説明

移動体無線通信端末及びその制御方法

【課題】 アンテナサイズの大型化、送信出力の増大を伴わずに送信特性を向上させ、端末送信波が基地局へ届かないことによる通信切断や圏外表示の発生を少なくする。
【解決手段】
送受信共用の第1のアンテナ8と、受信専用の第2のアンテナ9と、送信専用整合回路12と、送受信共用整合回路13と、それら整合回路12,13の何れか一方を第1のアンテナ8に接続する切替スイッチ11,14とを有する。制御部31は、例えば位置登録要求や通話開始メッセージ、ページ応答メッセージ等に対応して基地局からACKが返されなかった場合、或いは、通話中に送信品質が悪くなった場合には、RSSI部32が測定したRSSI測定値と予め設定されているRSSI閾値とを比較し、RSSI測定値がRSSI閾値より大きい場合(受信電界強度が十分である場合)には、切替スイッチ11,14を制御して第1のアンテナ8と送信専用整合回路12を接続させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイバーシティアンテナを備えた携帯電話端末等の移動体無線通信端末とその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、無線通信の分野では、フェージング対策のための有効な手法の一つとして、ダイバーシティ受信方式が採用されている。特に、携帯電話端末等の移動体無線通信端末の場合、当該端末の移動に伴って電波の伝搬路が時々刻々と様々に変化するため、上記ダイバーシティ受信方式が有効であるとされている。
【0003】
なお、例えば特開2001−156672号の公開特許公報(特許文献1)には、送信回路の特性に合わせて第1のアンテナの第1の整合回路を送信用に整合する設計を行った後に、送信と受信の切り替えスイッチの後ろの位置の受信回路側に、受信用にアンテナ特性を補償する第2の整合回路を設けるようにして広帯域に特性を確保できるようにした送受信回路が開示されている。
【0004】
また、特開2002−314453号の公開特許公報(特許文献2)には、待機状態のときには受信帯域整合回路を選択し、通信接続状態で送信バーストOFF状態であるときには受信帯域整合回路を選択し、通信接続状態で送信バーストON状態且つデータ通信中であるときには送信帯域整合回路を選択し、通信接続状態で送信バーストON状態且つデータ通信中でないときには人体整合回路を選択するような切り替えを行うアンテナ整合回路切替機能付き携帯電話機が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−156672号公報(第1図)
【特許文献2】特開2002−314453号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、携帯電話端末等の移動体無線通信端末において、上述したように、ダイバーシティ受信を行うことは、受信特性を改善するのに有効である。一方で、例えば、弱電界条件下における通信切断や圏外表示は、基地局からの電波を移動体無線通信端末が受信できないことが原因となって発生する場合だけでなく、当該移動体無線通信端末からの送信波が基地局に届かないことが原因となって発生する場合もある。すなわち、通信切断や圏外表示の発生する原因が、移動体無線通信端末からの送信波が基地局に届かないことによる場合、上述したようなダイバーシティ受信では対応出来ない。
【0007】
このように、移動体無線通信端末からの送信波が基地局に届かないことによる圏外表示や通信切断等を少なくするための対策として最も有効なのは、送信特性の改善である。そして、当該送信特性を改善するための手法としては、例えばアンテナを大きくしてアンテナ利得を改善する手法や、送信出力を上げる手法などが考えられる。
【0008】
しかしながら、携帯電話端末等の移動体無線通信端末において、アンテナサイズを大きくするのには限度があり、また、送信出力を上げると消費電力が増大してしまうといった問題がある。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、例えばアンテナサイズを大きくしたり、送信出力を上げるようなことを行わずに送信特性を向上させ、端末からの送信波が基地局に届かないことが原因となって発生する通信切断や圏外表示を少なくすることを可能とする移動体無線通信端末及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の移動体無線通信端末は、送受信共用の第1のアンテナと、受信専用の第2のアンテナと、第1のアンテナを使用した信号送信に最適設定された第1の整合回路と、第1のアンテナを使用した信号送受信に最適設定された第2の整合回路と、第1,第2の整合回路の何れか一方を第1のアンテナに接続する接続切替手段と、受信信号品質を測定する受信信号品質測定手段と、基地局へ送信した所定の情報に対応して当該基地局から所定の応答が送られて来たか否か判定し、所定の応答が送られて来ない時には、受信信号品質が良好か否かを判断する基準値として予め設定されている所定の閾値と受信信号品質値とを比較し、受信信号品質値が所定の閾値より大きい場合には、接続切替手段を制御して第1のアンテナと第1の整合回路を接続させ、第1のアンテナを使用した信号送信と第2のアンテナを使用した信号受信を行わせる制御手段とを有することにより、上述した課題を解決する。
【0011】
また、本発明の移動体無線通信端末は、送受信共用の第1のアンテナと、受信専用の第2のアンテナと、第1のアンテナを使用した信号送信に最適設定された第1の整合回路と、第1のアンテナを使用した信号送受信に最適設定された第2の整合回路と、第1,第2の整合回路の何れか一方を第1のアンテナに接続する接続切替手段と、受信信号品質を測定する受信信号品質測定手段と、送信信号品質が良好か否かを判断する基準値として予め決められている所定の送信品質閾値と基地局から送られてくる自端末の送信信号品質値とを比較し、自端末の送信信号品質値が所定の送信品質閾値以下の時に、受信信号品質が良好か否かを判断する基準値として予め決められている所定の受信品質閾値と受信信号品質値とを比較し、受信信号品質値が所定の受信品質閾値より大きい場合には、接続切替手段を制御して第1のアンテナと第1の整合回路を接続させ、第1のアンテナを使用した信号送信と第2のアンテナを使用した信号受信を行わせる制御手段とを有することにより、上述した課題を解決する。
【0012】
また、本発明の制御方法は、送受信共用の第1のアンテナと、受信専用の第2のアンテナと、第1のアンテナを使用した信号送信に最適設定された第1の整合回路と、第1のアンテナを使用した信号送受信に最適設定された第2の整合回路とを有する移動体無線通信端末の制御方法であって、基地局へ送信した所定の情報に対応して当該基地局から所定の応答が送られて来たか否かを判定するステップと、所定の応答が送られて来ない時には、受信信号品質が良好か否かを判断する基準値として予め設定されている所定の閾値と受信信号品質値とを比較するステップと、受信信号品質値が所定の閾値より大きい場合には、第1のアンテナと第1の整合回路を接続させるステップと、第1のアンテナを使用した信号送信と第2のアンテナを使用した信号受信を行わせるステップとを有することにより、上述した課題を解決する。
【0013】
また、本発明の制御方法は、送受信共用の第1のアンテナと、受信専用の第2のアンテナと、第1のアンテナを使用した信号送信に最適設定された第1の整合回路と、第1のアンテナを使用した信号送受信に最適設定された第2の整合回路とを有する移動体無線通信端末の制御方法であって、送信信号品質が良好か否かを判定する基準値として予め決められている所定の送信品質閾値と、基地局から送られてくる自端末の送信信号品質値とを比較するステップと、自端末の送信信号品質値が所定の送信品質閾値以下の時に、受信信号品質が良好か否かを判定する基準値として予め決められている所定の受信品質閾値と受信信号品質値とを比較するステップと、受信信号品質値が所定の受信品質閾値より大きい場合には、第1のアンテナと第1の整合回路を接続させるステップと、第1のアンテナを使用した信号送信と第2のアンテナを使用した信号受信を行わせるステップとを有することにより、上述した課題を解決する。
【0014】
すなわち、本発明によれば、受信信号品質が良好か否かを判断する基準値として予め設定されている所定の閾値よりも受信信号品質が良いにもかかわらず、基地局から所定の応答が得られていなかったり、自端末の送信信号品質が悪くなっているときには、受信は出来ているが端末からの送信波が基地局に届いていない可能性があるため、送受信共用となされている第1のアンテナに送信用に最適化された整合回路を接続して、送信帯域でのアンテナ利得を向上させるようにしている。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、基地局から所定の応答が得られていなかったり、自端末の送信信号品質が悪くなっているのに、所定の閾値よりも受信信号品質が良い場合、送受信共用となされている第1のアンテナに送信用に最適化された整合回路を接続することにより、例えばアンテナサイズを大きくしたり、送信出力を上げるようなことを行わずに送信特性を向上させることができ、それにより、端末からの送信波が基地局に届かないことが原因となって発生する通信切断や圏外表示を少なくすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の移動体無線通信端末及びその制御方法の一実施形態について説明する。
【0017】
なお、本実施形態では、本発明の一例として携帯電話端末を挙げているが、勿論、ここで説明する内容はあくまで一例であり、本発明はこの例に限定されないことは言うまでもない。
【0018】
〔概略的な外観構成〕
図1には、本発明実施形態の携帯電話端末の概略的な外観構成を示している。本実施形態の携帯電話端末は、図1に示すように、第1の筐体1と、この第1の筐体1に対して折り重なるように二つ折り可能となされる第2の筐体2とを有した、いわゆる折り畳み型の携帯電話端末である。すなわち、第1の筐体1と第2の筐体2は各々の主面に対して並行な軸を有するヒンジ部6によって互いの一端側が回動自在に連結されており、本実施形態の携帯電話端末は、図1の開いた状態(以下、開状態と表記する。)と図示しない折り重ねた状態(以下、閉状態と表記する。)とで使用可能となされている。
【0019】
第1の筐体1には、液晶等からなるディスプレイ3、受話用スピーカ5などが設けられている。なお、これらディスプレイ3や受話用スピーカ5などは、閉状態のときに、第2の筐体2と重なり合う側(第2の筐体との対向面側)に設けられている。
【0020】
第2の筐体2には、携帯電話端末の主要な回路構成が内蔵されている。また、この第2の筐体2の上面(閉状態の時に第1の筐体1と対向する面)には、例えば電話番号や文字等を入力するためのキーや各種のファンクションキー等の複数のデバイスからなる操作部4と、送話用マイクロホン7などが設けられている。なお、これら操作部や送話用マイクロホン7等は、閉状態の時に第1の筐体1と重なり合う面側に設けられている。また、当該第2の筐体2の内部には、必要に応じてダイバーシティ受信に使用される第1のアンテナ8及び第2のアンテナ9が配されている。本実施形態において、上記第1のアンテナ8は例えば上記ヒンジ部6近傍の筐体端部内に、上記第2のアンテナ9は例えば上記送話用マイクロホン7近傍の筐体端部内に配されている。
【0021】
〔概略的な内部構成〕
図2には、本発明の実施形態の携帯電話端末における概略的な内部回路構成を示す。なお、この図2には、第1,第2のアンテナ8,9からベースバンド制御回路30までの構成のみを示している。この図2に示している構成以外の、一般的な携帯電話端末が備えている回路構成については図示及びその説明を省略する。
【0022】
この図2において、第1のアンテナ8は、切替スイッチ11の共通端子に接続されている。切替スイッチ11の被切替端子aは、本発明の第1の整合回路である送信専用整合回路12を介して切替スイッチ14の被切替端子aと接続され、切替スイッチ11の被切替端子bは、本発明の第2の整合回路である送受信共用整合回路13を介して切替スイッチ14の被切替端子bと接続されている。そして、切替スイッチ14の共通端子は、アンテナ共用器15を介して、受信回路16と送信回路17に接続されている。
【0023】
アンテナ共用器15は、送受信共用となされている第1のアンテナ8の受信信号と送信信号を分離するために設けられている。受信回路16は、アンテナ共用器15により分離された受信信号の増幅やフィルタリング,周波数変換等の処理を行い、それら処理後の受信信号をベースバンド制御回路30へ出力する。送信回路17は、ベースバンド制御回路30から供給された送信信号の周波数変換やフィルタリング,増幅等の処理を行い、それら処理後の送信信号をアンテナ共用器15へ出力する。
【0024】
また、第2のアンテナ9は、受信専用整合回路21を介して、受信回路22と接続されている。当該受信回路22は、上記第2のアンテナ9にて受信され、上記受信専用整合回路21を介して入力した受信信号の増幅やフィルタリング,周波数変換等の処理を行い、それら処理後の受信信号をベースバンド制御回路30へ出力する。
【0025】
ベースバンド制御回路30は、変復調回路、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、メモリ等からなり、ベースバンドの受信信号における逆拡散や復号化,誤り訂正等の処理や、ベースバンドの送信信号における誤り訂正符号の付加や符号化,拡散等の処理、その他各種の制御や演算処理を行う。なお、図2の例では、上記ベースバンド制御回路30に含まれる構成要素のうち、特に、上記切替スイッチ11,14の切替制御を含む各種制御を行う制御部31と、受信信号の品質(具体的にはRSSI(Receive Signal Strength Indicator)レベルによる受信電界強度)を測定するRSSI部32とを図示している。なお、制御部31は例えばCPUの機能の一部として実現され、上記RSSI部32は例えばDSPの機能の一部として実現されている。
【0026】
〔携帯電話端末の制御方法〕
ここで、本実施形態の携帯電話端末においては、上記ベースバンド制御回路30の上記制御部31が上記切替スイッチ11と切替スイッチ14の切替動作を制御することにより、当該端末からの送信波が基地局に届かないことが原因となって発生する通信切断や圏外表示を少なくする端末制御を実行可能となされている。
【0027】
〔電源投入後の動作〕
図3には、本発明の実施形態の携帯電話端末に電源投入がなされた後、基地局に対して位置登録を行う際の端末制御の流れを示す。なお、この図3のフローは、主にベースバンド制御回路30の制御部31が行う処理である。
【0028】
この図3において、本実施形態の携帯電話端末に電源投入がなされると、制御部31は、ステップS1の初期設定処理として、切替スイッチ11を被切替端子b側に切り替え制御すると共に切替スイッチ14を被切替端子b側に切り替え制御することにより、第1のアンテナ8の整合回路を送受信共用整合回路13に設定し、当該第1のアンテナ8により送受信が行われるようにする。なお、この時、第2のアンテナ9は、未使用状態となされるか、又は、必要に応じてダイバーシティ受信のために使用される。
【0029】
次に、制御部31は、ステップS2の処理として、上記第1のアンテナ8と送受信共用整合回路13を介した通信により、基地局からのパイロット信号の獲得及び基地局との同期確立がなされたか否かを判定する。
【0030】
当該ステップS2にてパイロット信号の獲得及び同期確立がなされなかったと判定(No)した場合、制御部31は、ステップS9へ処理を進め、当該携帯電話端末の状態を圏外待ち受け状態に移行させる。一方、ステップS2にてパイロット信号の獲得及び同期確立がなされたと判定(Yes)した場合、制御部31は、ステップS3へ処理を進める。
【0031】
ステップS3の処理に進むと、制御部31は、上記第1のアンテナ8を介した通信により、基地局に対して位置登録要求を送信した後、ステップS4へ処理を進める。
【0032】
ステップS4の処理に進むと、制御部31は、上記位置登録要求の送信に対する応答(ACK)が基地局から送られてきたか否かの判定を行う。
【0033】
当該ステップS4にてACKが送られてきたと判定した場合(Yes)、制御部31は、ステップS10へ処理を進め、当該携帯電話端末の状態を圏内待ち受け状態に移行させる。一方、ステップS4にてACKが送られてきていないと判定(No)した場合には、受信は出来ているが当該携帯電話端末からの送信波が基地局に届いていない可能性が考えられるため、制御部31は、ステップS5以降の処理を行う。
【0034】
ステップS5の処理に進むと、制御部31は、上記RSSI部32が測定したRSSI値(以下、RSSI測定値と表記する。)が、受信状況が良好かどうかを判定する基準値として予め決められている所定の閾値(以下、RSSI閾値と表記する。)より大きいか否かの判定を行う。
【0035】
ここで、ステップS5にて上記測定RSSI値がRSSI閾値以下であると判定(No)した場合は、受信状況の悪化のためにACKを受信できなくなっていると考えられるため、制御部31は、ステップS9へ処理を進め、当該携帯電話端末の状態を圏外待ち受け状態に移行させる。
【0036】
一方、ステップS5にて測定RSSI値がRSSI閾値より大きいと判定(Yes)した場合は、当該携帯電話端末からの送信波が基地局に届いていないことが考えられるため、制御部31は、ステップS6へ処理を進め、切替スイッチ11を被切替端子a側に切り替え制御すると共に切替スイッチ14を被切替端子a側に切り替え制御することにより、第1のアンテナ8の整合回路を送信専用整合回路12に設定し、当該第1のアンテナ8にて送信が行われるようにし、受信については第2のアンテナ9により行うように設定を変更する制御を行う。
【0037】
その後、制御部31は、ステップS7へ処理を進め、上記第1のアンテナ8と送信専用整合回路12を介した通信により、再度、基地局に対して位置登録要求を送信した後、ステップS8へ処理を進める。
【0038】
ステップS8の処理に進むと、制御部31は、上記第2のアンテナ9と受信専用整合回路21を介した通信により、上記位置登録要求の送信に対する応答(ACK)が基地局から送られてきたか否かの判定を行い、ACKが送られてきたと判定した場合(Yes)には、ステップS10へ処理を進め、当該携帯電話端末の状態を圏内待ち受け状態に移行させ、一方、ACKが送られてきていないと判定(No)した場合には、ステップS9へ処理を進め、当該携帯電話端末の状態を圏外待ち受け状態に移行させる。
【0039】
以上説明したように、パイロット信号の獲得及び同期確立がなされ、RSSI測定値が所定のRSSI閾値以上あるにもかかわらず、位置登録要求に対するACKが基地局から送られてきていない場合、受信は出来ているが当該端末からの送信波が基地局に届いていない可能性が考えられるため、本実施形態の携帯電話端末では、第1のアンテナ8の整合回路を送信専用整合回路12に切り替え、送信帯域でのアンテナ利得を向上させることにより、送信波が基地局に届かないために圏外表示されてしまう状態になることを防ぐようにし、受信については元々ダイバーシティ受信用に設けられている第2のアンテナ9にて行うようにしている。
【0040】
なお、本実施形態の携帯電話端末において、第1のアンテナ8の整合回路を送信専用整合回路12に切り替えた場合でも、当該第1のアンテナ8と送信専用整合回路12を通じた受信は可能であるため、第1のアンテナ8と第2のアンテナ9を用いたダイバーシティ受信を行うことができる。
【0041】
〔発信、着信時の動作〕
図4には、本発明の実施形態の携帯電話端末において発信や着信を行う際の端末制御の流れを示す。なお、この図4のフローは、主にベースバンド制御回路30の制御部31が行う処理である。
【0042】
この図4において、実施形態の携帯電話端末にて発信や着信を行う際、制御部31は、ステップS20の初期設定処理として、切替スイッチ11を被切替端子b側に切り替え制御すると共に切替スイッチ14を被切替端子b側に切り替え制御することにより、第1のアンテナ8の整合回路を送受信共用整合回路13に設定し、当該第1のアンテナ8により送受信が行われるようにする。なお、この時、第2のアンテナ9は、未使用状態となされるか、又は、必要に応じてダイバーシティ受信のために使用される。
【0043】
次に、ステップS21において、例えばユーザから発信指示操作がなされた場合、制御部31は、ステップS22の処理として、上記第1のアンテナ8と送受信共用整合回路13を介した通信により、基地局に対して通話開始メッセージを送信する。また、ステップS21において、例えばページメッセージの受信がなされた場合、制御部31は、ステップS22の処理として、上記第1のアンテナ8と送受信共用整合回路13を介した通信により、基地局に対してページ応答メッセージを送信する。
【0044】
次に、ステップS23の処理に進むと、制御部31は、上記通話開始メッセージ又はページ応答メッセージ対する応答(ACK)が基地局から送られてきたか否かの判定を行う。
【0045】
当該ステップS23にてACKが送られてきたと判定した場合(Yes)、制御部31は、ステップS29へ処理を進め、当該携帯電話端末の状態を発信又は着信が成功した時の状態に移行させる。一方、ステップS23にてACKが送られてきていないと判定(No)した場合には、受信は出来ているが当該携帯電話端末からの送信波が基地局に届いていない可能性が考えられるため、制御部31は、ステップS24以降の処理を行う。
【0046】
ステップS24の処理に進むと、制御部31は、上記RSSI部32からのRSSI測定値が、所定のRSSI閾値より大きいか否かの判定を行う。
【0047】
ここで、ステップS24にて上記測定RSSI値がRSSI閾値以下であると判定(No)した場合は、受信状況の悪化のためにACKを受信できなくなっていると考えられるため、制御部31は、ステップS28へ処理を進め、当該携帯電話端末の状態を上記発信又は着信が失敗した時の状態に移行させる。
【0048】
一方、ステップS24にて測定RSSI値がRSSI閾値より大きいと判定(Yes)した場合は、当該携帯電話端末からの送信波が基地局に届いていないことが考えられるため、制御部31は、ステップS25へ処理を進め、切替スイッチ11を被切替端子a側に切り替え制御すると共に切替スイッチ14を被切替端子a側に切り替え制御することにより、第1のアンテナ8の整合回路を送信専用整合回路12に設定し、当該第1のアンテナ8にて送信が行われるようにし、受信については第2のアンテナ9により行うように設定を変更する制御を行う。
【0049】
その後、制御部31は、ステップS26へ処理を進め、上記第1のアンテナ8と送信専用整合回路12を介した通信により、再度、基地局に対して通話開始メッセージ、又は、ページ応答メッセージを送信した後、ステップS27へ処理を進める。
【0050】
ステップS27の処理に進むと、制御部31は、上記第2のアンテナ9と受信専用整合回路21を介した通信により、上記通話開始メッセージ又はページ応答メッセージの送信に対する応答(ACK)が基地局から送られてきたか否かの判定を行い、ACKが送られてきたと判定した場合(Yes)には、ステップS29へ処理を進め、当該携帯電話端末の状態を発信又は着信が成功した時の状態に移行させ、一方、ACKが送られてきていないと判定(No)した場合には、ステップS28へ処理を進め、当該携帯電話端末の状態を発信又は着信が失敗した時の状態に移行させる。
【0051】
以上説明したように、ユーザによる発信指示操作又はページメッセージの受信がなされ、通話開始メッセージ又はページ応答メッセージの送信を行った後において、RSSI測定値が所定のRSSI閾値以上あるにもかかわらず、それらメッセージに対するACKが基地局から送られてきていない場合、受信は出来ているが当該端末からの送信波が基地局に届いていない可能性が考えられるため、本実施形態の携帯電話端末では、第1のアンテナ8の整合回路を送信専用整合回路12に切り替え、送信帯域でのアンテナ利得を向上させることにより、送信波が基地局に届かないために発信又は着信が失敗する状態になることを防ぐようにし、受信については元々ダイバーシティ受信用に設けられている第2のアンテナ9にて行うようにしている。
【0052】
〔通話中の動作〕
図5には、本発明の実施形態の携帯電話端末において例えば通話を行っている際の端末制御の流れを示す。なお、この図5のフローは、主にベースバンド制御回路30の制御部31が行う処理である。
【0053】
この図5において、携帯電話端末が通話中である時、基地局は、端末からの送信信号の品質をモニタリングしており、その送信信号の品質を、報知情報として端末に通知している。したがって、携帯電話端末が通話中である時、制御部31は、ステップS40の処理として、上記基地局からの報知情報により、自端末の送信信号品質を認識している。
【0054】
上記報知情報を受け取った制御部31は、ステップS41の処理として、当該報知情報により基地局から知らされている端末自身の送信信号品質が、送信状況が良好かどうかを判定するための基準値として予め決められている所定の閾値(以下、送信品質閾値と表記する)を下回っているか否かの判定を行う。
【0055】
そして、制御部31は、ステップS41にて上記送信信号品質が送信品質閾値を下回っていると判定(Yes)した場合にはステップS42以降へ処理を進め、一方、上記送信信号品質が送信品質閾値を下回っていないと判定(No)した場合にはステップS46以降へ処理を進める。
【0056】
上記ステップS41からステップS42へ処理を進めた場合、制御部31は、切替スイッチ11が被切替端子b側に切り替えられていると共に切替スイッチ14が被切替端子b側に切り替えられていることで、第1のアンテナ8の整合回路が送受信共用整合回路13となされ、第1のアンテナ8で送受信が行われる設定になっているか否かの判定を行う。
【0057】
上記ステップS42において、第1のアンテナ8で送受信が行われる設定になっていないと判定(No)した場合、制御部31は、ステップS45へ処理を進め、ユーザからの終話指示操作がなされていない場合にはステップS41へ処理を戻し、ユーザからの終話指示操作がなされた時にはステップS48にて通話終了処理を行う。
【0058】
これに対し、上記ステップS42において、第1のアンテナ8で送受信が行われる設定になっていると判定(Yes)した場合、制御部31は、ステップS43の処理として、上記RSSI部32からのRSSI測定値が、所定のRSSI閾値より大きいか否かの判定を行う。
【0059】
当該ステップS43にて上記測定RSSI値がRSSI閾値以下であると判定(No)した場合は、受信信号の品質も悪化して余裕が無くなっていると考えられるため、制御部31は、特に設定変更等の制御は行わず、ステップS45へ処理を進める。
【0060】
一方、ステップS43にて測定RSSI値がRSSI閾値より大きいと判定(Yes)した場合は、当該携帯電話端末からの送信波が基地局に届き難くなっていることが考えられるため、制御部31は、ステップS44へ処理を進め、切替スイッチ11を被切替端子a側に切り替え制御すると共に切替スイッチ14を被切替端子a側に切り替え制御することにより、第1のアンテナ8の整合回路を送信専用整合回路12に設定し、当該第1のアンテナ8にて送信が行われるようにし、受信については第2のアンテナ9により行うように設定を変更する制御を行う。
【0061】
また、ステップS41からステップS46へ処理が進められた場合、制御部31は、切替スイッチ11が被切替端子a側に切り替えられていると共に切替スイッチ14が被切替端子a側に切り替えられていることで、第1のアンテナ8の整合回路が送信専用整合回路12となされ、第1のアンテナ8で送信が行われ、第2のアンテナ9で受信が行われる設定になっているか否かの判定を行う。
【0062】
上記ステップS46において、第1のアンテナ8で送信が行われ、第2のアンテナ9で受信が行われる設定になっていると判定(Yes)した場合、制御部31は、ステップS47の処理として、切替スイッチ11を被切替端子b側に切り替え制御すると共に切替スイッチ14を被切替端子b側に切り替え制御することにより、第1のアンテナ8の整合回路を送受信共用整合回路13に設定し、当該第1のアンテナ8により送受信が行われるようにする。
【0063】
一方、上記ステップS46において、第1のアンテナ8で送信が行われ、第2のアンテナ9で受信が行われる設定になっていないと判定(No)した場合、制御部31は、そのまま何も設定を変更せず、ステップS45へ処理を進める。
【0064】
以上説明したように、本実施形態の携帯電話端末が通話中である場合において、RSSI測定値が所定のRSSI閾値以上あるにもかかわらず、送信信号品質が所定の送信品質閾値を下回っている場合、受信は出来ているが当該端末からの送信波が基地局に届き難くなっている可能性が考えられるため、本実施形態の携帯電話端末では、第1のアンテナ8の整合回路を送信専用整合回路12に切り替え、送信帯域でのアンテナ利得を向上させることにより、送信波が基地局に届き難くなったために通話が切断されてしまう状態になることを防ぐようにし、受信については元々ダイバーシティ受信用に設けられている第2のアンテナ9にて行うようにしている。
【0065】
〔通話中の切替動作にヒステリシスを持たせる例〕
ところで、携帯電話端末が通話中である場合において、第1のアンテナ8の整合回路を頻繁に切り替えることは好ましくない。このため、本実施形態の携帯電話端末は、上記第1のアンテナ8の整合回路の切り替えを行うかどうかの判定に、適当なヒステリシスを持たせることにより、整合回路の切り替えが必要以上に頻繁に行われないようにすることも可能となっている。
【0066】
図6には、本発明実施形態の携帯電話端末にて例えば通話を行っている際の端末制御において、第1のアンテナ8の整合回路の切り替え判定に、一定時間カウントによってヒステリシスを持たせるようにした場合の流れを示す。なお、この図6のフローチャートにおいて、図5のフローチャートの各ステップと同じステップには同一の指示符号を付し、それらの説明については省略する。
【0067】
この図6のフローチャートの場合、ステップS44の処理後、又は、ステップS47の処理後、制御部31は、ステップS51へ処理を進める。当該ステップS51の処理に進んだ場合、制御部31は、予め設定されている一定時間が経過するのを待ち、一定時間経過後にステップS45へ処理を進める。
【0068】
このように、当該図6のフローチャートの処理によれば、ステップS44又はステップS47の処理後、一定時間だけ次の処理への移行を停止させ、送信信号品質と送信品質閾値の比較判定やRSSI測定値とRSSI閾値の比較判定が行われるタイミングを延ばす(遅らせる)ことにより、第1のアンテナ8の整合回路の切り替えが頻繁に行われてしまう状態になり難くすることができる。
【0069】
また、第1のアンテナ8の整合回路の切り替えを行うかどうかの判定に、適当なヒステリシスを持たせる他の例として、図7に示すフローチャートの処理も考えられる。
【0070】
なお、この図7のフローチャートにおいて、図5のフローチャートの各ステップと同じステップには同一の指示符号を付し、それらの説明については省略する。
【0071】
この図7のフローチャートの場合、制御部31は、ステップS44の処理後はステップS52へ処理を進め、RSSI閾値を1ランク上の値に上げた(増加させた)後にステップS45へ処理を進める。また、制御部31は、ステップS47の処理後はステップS53へ処理を進め、RSSI閾値を初期値に戻した後にステップS45へ処理を進める。
【0072】
このように、当該図7のフローチャートの処理によれば、ステップS44の処理後にRSSI閾値を1ランク上の値に上げることにより、ステップS43からステップS44への遷移が起こり難くすることにより、第1のアンテナ8の整合回路の切り替えが頻繁に行われてしまう状態になり難くすることができる。一方、ステップS47の処理後にステップS53にてRSSI閾値を初期値に戻すことにより、ステップS52にて変更されたRSSI閾値を元に戻すことができる。
【0073】
〔概略的な内部構成の他の例〕
図8には、他の実施形態の携帯電話端末の概略的な内部回路構成を示す。なお、この図8において、図2と同じ構成要素には同一の指示符号を付して、それらの詳細な説明は省略する。
【0074】
この図8の例の場合、切替スイッチ14とアンテナ共用器15との間に切替スイッチ18が設けられ、また、送信回路17とアンテナ共用器15との間に開閉スイッチ19が設けられている。上記切替スイッチ18の共通端子は切替スイッチ14の共通端子と接続され、切替スイッチ18の被切替端子bはアンテナ共用器15に接続され、切替スイッチ18の被切替端子aは送信回路17に接続されている。そして、上記切替スイッチ18と開閉スイッチ19は、上記制御部31によりそのスイッチ動作が制御され、上記切替スイッチ11及び14にて共に被切替端子bが選択されたときには、当該切替スイッチ18の被切替端子bが選択されると共に開閉スイッチ19が閉成され、上記切替スイッチ11及び14にて共に被切替端子aが選択されたときには、当該切替スイッチ18の被切替端子aが選択されると共に開閉スイッチ19が開成される。
【0075】
すなわち、この図8に示した構成の場合、第1のアンテナ8の整合回路が送受信共用整合回路13に設定された場合には、当該送受信共用整合回路13とアンテナ共用器15との間を接続すると共に、アンテナ共用器15と送信回路17との間を接続し、一方、第1のアンテナ8の整合回路が送信専用整合回路12に設定された場合には、アンテナ共用器15を介さずに送信専用整合回路12と送信回路17とを接続する。
【0076】
これにより、当該図8の構成によれば、第1のアンテナ8が送信専用整合回路12に接続されて、主として送信のみに使用される場合には、アンテナ共用器15による伝送ロスを無くし、送信帯域での利得を向上させることが可能となる。
【0077】
〔まとめ〕
以上説明したように、本実施形態の携帯電話端末によれば、送受信の両方に使用可能な第1のアンテナ8と、上記第1のアンテナ8と共にダイバーシティ受信を行うための第2のアンテナ9とを搭載し、上記第1のアンテナ8の整合回路を、必要に応じて、送信帯域に最適化した整合回路(送信専用整合回路12)に切り替え、当該第1のアンテナ8を送信専用アンテナとして使用し、受信については第2のアンテナ9にて行うことにより、送信アンテナの利得を向上させ、弱電界条件下での送信波不達が原因となる通話切断や圏外表示の発生頻度を少なくすることが可能となっている。
【0078】
なお、上述した各実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0079】
上述の実施形態では、受信品質を知るためにRSSIを用いたが、例えば携帯電話端末と基地局との間におけるデータ通信時のビットエラーレート(BER:Bit Error Rate)を用いても良い。
【0080】
本発明の移動体無線通信端末は、携帯電話端末に限定されず、無線通信機能を備えたPDA装置(PDA:Personal Digital Assistants)やノート型のパーソナルコンピュータ、携帯型の電子ゲーム装置、カーナビゲーション装置等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明実施形態の携帯電話端末の概略的な外観構成を示す外観図である。
【図2】本発明実施形態の携帯電話端末の主要部の概略的な内部回路構成を示すブロック図である。
【図3】本発明実施形態の携帯電話端末に電源投入がなされた後、基地局に対して位置登録を行う際の端末制御の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明実施形態の携帯電話端末において発信や着信を行う際の端末制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明実施形態の携帯電話端末において通話が行われている際の端末制御の流れを示すフローチャートである。
【図6】通話が行われている際の端末制御において、第1のアンテナの整合回路の切り替え判定に一定時間カウントによりヒステリシスを持たせた場合の流れを示すフローチャートである。
【図7】通話が行われている際の端末制御において、第1のアンテナの整合回路の切り替え判定にRSSI閾値変更によりヒステリシスを持たせた場合の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明実施形態の携帯電話端末において、送信専用整合回路設定時にアンテナ共用器をパスするようにした場合の主要部の概略的な内部回路構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0082】
1 第1の筐体、2 第2の筐体、3 ディスプレイ、4 操作部、5 受話用スピーカ、6 ヒンジ部、7 送話用マイクロホン、8 第1のアンテナ、9 第2のアンテナ、11,14,18 切替スイッチ、12 送信専用整合回路、13 送受信共用整合回路、15 アンテナ共用器、16,22 受信回路、17 送信回路、19 開閉スイッチ、21 受信専用整合回路、30 ベースバンド制御回路、31 制御部、32 RSSI部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送受信共用の第1のアンテナと、
受信専用の第2のアンテナと、
上記第1のアンテナを使用した信号送信に最適設定された第1の整合回路と、
上記第1のアンテナを使用した信号送受信に最適設定された第2の整合回路と、
上記第1の整合回路と上記第2の整合回路の何れか一方を上記第1のアンテナに接続する接続切替手段と、
受信信号品質を測定する受信信号品質測定手段と、
基地局へ送信した所定の情報に対応して当該基地局から所定の応答が送られて来たか否か判定し、上記所定の応答が送られて来ない時には、受信信号品質が良好か否かを判断する基準値として予め設定されている所定の閾値と上記受信信号品質測定手段が測定した受信信号品質値とを比較し、上記受信信号品質値が上記所定の閾値より大きい場合には、上記接続切替手段を制御して上記第1のアンテナと上記第1の整合回路を接続させ、上記第1のアンテナを使用した信号送信と上記第2のアンテナを使用した信号受信を行わせる制御手段とを有する
ことを特徴とする移動体無線通信端末。
【請求項2】
請求項1記載の移動体無線通信端末であって、
上記制御手段は、上記基地局へ位置登録要求を送信し、当該位置登録要求に対応した応答が上記基地局から送られて来ない時に、上記所定の閾値と上記受信信号品質値との比較を行うことを特徴とする移動体無線通信端末。
【請求項3】
請求項2記載の移動体無線通信端末であって、
上記制御手段は、上記第1のアンテナと上記第1の整合回路を接続させる制御を行った後、上記基地局へ位置登録要求を再送信し、当該再送信した位置登録要求に対応した応答が上記基地局から送られて来ない時には、所定の通信圏外処理を行うことを特徴とする移動体無線通信端末。
【請求項4】
請求項1記載の移動体無線通信端末であって、
上記制御手段は、上記基地局へ通信開始メッセージ又はページ応答メッセージを送信し、当該通信開始メッセージ又はページ応答メッセージに対応した応答が上記基地局から送られて来ない時に、上記所定の閾値と上記受信信号品質値との比較を行うことを特徴とする移動体無線通信端末。
【請求項5】
請求項4記載の移動体無線通信端末であって、
上記制御手段は、上記第1のアンテナと上記第1の整合回路を接続させる制御を行った後、上記基地局へ通信開始メッセージ又はページ応答メッセージを再送信し、当該再送信した通信開始メッセージ又はページ応答メッセージに対応した応答が上記基地局から送られて来ない時には、所定の通信失敗処理を行うことを特徴とする移動体無線通信端末。
【請求項6】
送受信共用の第1のアンテナと、
受信専用の第2のアンテナと、
上記第1のアンテナを使用した信号送信に最適設定された第1の整合回路と、
上記第1のアンテナを使用した信号送受信に最適設定された第2の整合回路と、
上記第1の整合回路と上記第2の整合回路の何れか一方を上記第1のアンテナに接続する接続切替手段と、
受信信号品質を測定する受信信号品質測定手段と、
送信信号品質が良好か否かを判断する基準値として予め決められている所定の送信品質閾値と、基地局から送られてくる自端末の送信信号品質値とを比較し、上記自端末の送信信号品質値が上記所定の送信品質閾値以下の時に、受信信号品質が良好か否かを判断する基準値として予め決められている所定の受信品質閾値と上記受信信号品質測定手段が測定した受信信号品質値とを比較し、上記受信信号品質値が上記所定の受信品質閾値より大きい場合には、上記接続切替手段を制御して上記第1のアンテナと上記第1の整合回路を接続させ、上記第1のアンテナを使用した信号送信と上記第2のアンテナを使用した信号受信を行わせる制御手段とを有する
ことを特徴とする移動体無線通信端末。
【請求項7】
請求項6記載の移動体無線通信端末であって、
上記制御手段は、上記自端末の送信信号品質値が上記所定の送信品質閾値より大きい時、上記接続切替手段を制御して上記第1のアンテナと上記第2の整合回路を接続させ、上記第1のアンテナを使用した信号送受信と上記第2のアンテナを使用した信号受信とを行わせることを特徴とする移動体無線通信端末。
【請求項8】
請求項6記載の移動体無線通信端末であって、
上記制御手段は、上記第1のアンテナと上記第1の整合回路を接続させる制御を行った後、一定時間が経過するまで上記比較の処理を停止することを特徴とする移動体無線通信端末。
【請求項9】
請求項6記載の移動体無線通信端末であって、
上記制御手段は、上記第1のアンテナと上記第1の整合回路を接続させる制御を行った後、上記所定の受信品質閾値を所定値分だけ増加させることを特徴とする移動体無線通信端末。
【請求項10】
請求項7記載の移動体無線通信端末であって、
上記制御手段は、上記第1のアンテナと上記第1の整合回路を接続させる制御を行った後には上記所定の受信品質閾値を所定値分だけ増加させ、上記第1のアンテナと上記第2の整合回路を接続させる制御を行った後には上記所定の受信品質閾値を初期値に設定することを特徴とする移動体無線通信端末。
【請求項11】
送受信共用の第1のアンテナと、受信専用の第2のアンテナと、上記第1のアンテナを使用した信号送信に最適設定された第1の整合回路と、上記第1のアンテナを使用した信号送受信に最適設定された第2の整合回路とを有する移動体無線通信端末の制御方法であって、
基地局へ送信した所定の情報に対応して当該基地局から所定の応答が送られて来たか否かを判定するステップと、
上記所定の応答が送られて来ない時には、受信信号品質が良好か否かを判断する基準値として予め設定されている所定の閾値と測定した受信信号品質値とを比較するステップと、
上記受信信号品質値が上記所定の閾値より大きい場合には、上記第1のアンテナと上記第1の整合回路を接続させるステップと、
上記第1のアンテナを使用した信号送信と上記第2のアンテナを使用した信号受信を行わせるステップとを有する
ことを特徴とする移動体無線通信端末の制御方法。
【請求項12】
送受信共用の第1のアンテナと、受信専用の第2のアンテナと、上記第1のアンテナを使用した信号送信に最適設定された第1の整合回路と、上記第1のアンテナを使用した信号送受信に最適設定された第2の整合回路とを有する移動体無線通信端末の制御方法であって、
送信信号品質が良好か否かを判定する基準値として予め決められている所定の送信品質閾値と、基地局から送られてくる自端末の送信信号品質値とを比較するステップと、
上記自端末の送信信号品質値が上記所定の送信品質閾値以下の時に、受信信号品質が良好か否かを判定する基準値として予め決められている所定の受信品質閾値と測定した受信信号品質値とを比較するステップと、
上記受信信号品質値が上記所定の受信品質閾値より大きい場合には、上記第1のアンテナと上記第1の整合回路を接続させるステップと、
上記第1のアンテナを使用した信号送信と上記第2のアンテナを使用した信号受信を行わせるステップとを有する
ことを特徴とする移動体無線通信端末の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−270366(P2006−270366A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−83985(P2005−83985)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】