移動体通信システム、基地局装置、および基地局無線信号間同期方法
【課題】追加される基地局が他局に与える与干渉を低減し、通信品質を向上する。
【解決手段】移動体通信システムは、第1の基地局と、第1の基地局からの送信信号を受信する範囲にある第2の基地局と、それらの基地局を管理する上位装置を備え、上位装置が、それぞれの基地局に拡散符号を通知する手段と、各基地局の位置に基づき第2の基地局の周囲に有る第1の基地局を識別する手段と、基地局間の無線信号の到達遅延を示す情報に基づいて第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定して、第2の基地局に通知する手段と、第2の基地局における第1の基地局からの無線信号の拡散符号適用時の受信電力に関する情報に基づいて第2の基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を算定して第2の基地局に通知する手段を有し、第2の基地局が、通知された拡散符号とタイミングと電力を設定して、その設定に従って通信を行なう。
【解決手段】移動体通信システムは、第1の基地局と、第1の基地局からの送信信号を受信する範囲にある第2の基地局と、それらの基地局を管理する上位装置を備え、上位装置が、それぞれの基地局に拡散符号を通知する手段と、各基地局の位置に基づき第2の基地局の周囲に有る第1の基地局を識別する手段と、基地局間の無線信号の到達遅延を示す情報に基づいて第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定して、第2の基地局に通知する手段と、第2の基地局における第1の基地局からの無線信号の拡散符号適用時の受信電力に関する情報に基づいて第2の基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を算定して第2の基地局に通知する手段を有し、第2の基地局が、通知された拡散符号とタイミングと電力を設定して、その設定に従って通信を行なう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の基地局の構築するセル範囲内に、小範囲のセルを設ける移動体通信システム、小範囲のセルを構築する基地局装置、移動体通信システムで用いられる基地局間同期方法、および電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末(ユーザ端末)を用いた移動体通信の通信可能エリアは、国内全域にほぼ普及し終えた。その一方、ビル内や地下エリアなどで、既存の基地局装置からの電波が届ききらないエリアが残っている。また、既存の基地局装置の通信可能エリア内であっても、都市部の人工密集地帯などで、通信速度が定常的に低下した状態となるエリアが存在する。
【0003】
上記エリアの解消に、超小型基地局装置(FBTS(femtocell Base Transceiver Station):HBS:HNB:フェムト基地局)が提供されている。超小型基地局装置は、家庭内や小規模店舗などの人数が限られた場所などに設置する基地局装置であり、不感地帯の解消、高速ネットワークへアクセス可能などの利点を有する。また、超小型基地局装置の提供するセルは、限られたユーザで占有させることが可能であり、高速かつ高品質な通信を提供できる。また、超小型基地局装置は、ユーザ端末から固定ネットワークを介する通信が行える。
【0004】
一方、超小型基地局装置は、既存の基地局装置に比べ、低送信出力であり、周辺基地局装置(マクロセル基地局装置(macro Base Transceiver Station)や他の超小型基地局装置、移動局など)からの干渉を受けやすい。
【0005】
また、ユーザが移動させることができてしまうため、管理者側では周辺環境への影響を十分に把握でできずに、大きく通信品質を劣化させる場所を生じさせる可能性もある。
【0006】
超小型基地局装置には、既存の基地局装置との無線通信環境から自立的に出力電力を定める装置もある。即ち、自ら、拡散符号や送信電力を適宜変更しながら、周囲環境に干渉を与えないように動作する超小型基地局装置がある。
【0007】
また、関連する技術は、特許文献1にも記載されている。特許文献1に記載された小型基地局装置では、小型基地局装置が設置された際に、GPS衛星から読込んだ位置情報を基地局制御装置に送信し、該当基地局装置に周辺基地局(マクロセル基地局)が使用していない拡散符号、或いは周辺基地局で使用している拡散符号と符号間の干渉が小さくなる拡散符号の何れかを割り当てる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−266785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の様な既存の基地局の構築したセル内に配置される基地局は周辺基地局からの干渉や周辺基地局への干渉などを抑えることによって、通信品質の向上を図っている。
【0010】
また、特許文献1に記載された発明についても、更なる干渉の低減を試みる必要がある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、局所に設けられる基地局が関わる局間の干渉を効率良く抑えつつ、通信品質を向上した移動体通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る移動体通信システムは、第1の基地局と、前記第1の基地局からの送信信号を受信可能な範囲に設けられる第2の基地局と、前記第1および第2の基地局を管理する上位装置とを備え、前記上位装置は、それぞれの基地局に対して設定に使用する拡散符号を通知する手段と、保持する各基地局の位置情報に基づいて、前記第2の基地局の周囲に有る前記第1の基地局を識別する手段と、前記第1および第2の基地局との間の無線信号の到達遅延を示す情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定して、前記第2の基地局に通知する手段と、前記第2の基地局における前記第1の基地局からの無線信号の前記拡散符号適用時の受信電力に関する情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記第2の基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を算定して、前記第2の基地局に通知する手段とを有し、前記第2の基地局は、前記上位装置によって通知された拡散符号と送信のタイミングと送信に用いる電力を設定し、設定した情報に従って通信を行なうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、局所に設けられる基地局の関わる局間の干渉を効率良く抑えつつ、通信品質を向上した移動体通信システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態の移動体通信システムの配置を示す概略図である。
【図2】実施の形態に係る超小型基地局の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る基地局制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態に係る送受信メッセージフォーマットを例示する説明図である。
【図5】実施の形態に係る基地局装置管理データベースの内容を例示する説明図である。
【図6】実施の形態に係る移動体通信システム全体の動作を示すフローチャート1である。
【図7】実施の形態に係る移動体通信システム全体の動作を示すフローチャート2である。
【図8】実施の形態に係る移動体通信システム全体の動作を示すフローチャート3である。
【図9】超小型基地局の構築するセル内で移動体通信システムからの無線信号の拡散符号、タイミング、および電力の概略を示す説明図である。
【図10】超小型基地局の構築するセル内で移動体通信システムからの制御された無線信号の拡散符号、タイミング、および電力の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の一形態を図1ないし図10を用いて説明する。
図1は、実施の一形態の移動体通信システムの配置を示す概略図である。
移動体通信システムは、各基地局に使用する拡散符号を通知する上位装置として機能する基地局制御装置41(server41)と、マクロセルを構築するマクロセル基地局装置21、22(m-BTS21、m-BTS22)、フェムトセルを構築する超小型基地局装置01(f-BTS01)とが通信ネットワークによって接続されている。なお、上位装置の役割を基地局制御装置以外の他の装置に行わせるように構成してもよい。
【0016】
図中において、基地局制御装置41は通信エリア51(area51)を管理し、マクロセル基地局装置21、22はそれぞれ通信エリア31、32(m-cell31, m-cell32)を構築し、超小型基地局装置01は通信エリア11(f-cell11)を構築する。また、超小型基地局装置01の通信エリア11は、マクロセル基地局装置21が構築する通信エリア31内に配置されている。即ち、マクロセル基地局装置21の通信エリア31内に、通信エリア11を構築する超小型基地局装置01が設置されたとする。
【0017】
通信エリア31(m-cell31)内には、ユーザ端末61(u61)、62(u62)、63(u63)、64(u64)、71(u71)が存在する。また、通信エリア31内に存在する通信エリア11(f-cell11)内には、ユーザ端末71が存在する。
【0018】
基地局制御装置41は、配下の基地局装置に対して、通信に使用する拡散符号を通知する。また、拡散符号を通知すると共に、基地局制御装置41は、各基地局装置が移動局にデータを送信する基準となる送信タイミング等を通知していて、これを受けてマクロセル基地局装置21、22、超小型基地局装置01は、ユーザにデータを送信する。
【0019】
なお、移動体通信システムでは、通信エリア11が半径数十mのフェムトセルであって通信エリア31に対して極小であるため、ユーザ端末71と超小型基地局装置01間の距離および伝搬遅延を、処理上排除する。
【0020】
図2および図3は、実施形態に係る超小型基地局01と基地局制御装置41の構成を示すブロック図である。
超小型基地局装置01は、家庭向けやコンシューマ向けの可搬可能な大きさの基地局装置であり、基地局制御装置41に接続され、通信エリア51に設置されている。
【0021】
超小型基地局装置01は、図2に示されるように、拡散符号生成部A11、タイミング生成部A12、電力制御部A13、電力測定部A14、メッセージ生成部A21、メッセージ送受信部A22、データ処理部A23、無線信号受信部A31、無線信号復調部A32、データ変調部A41、データ送信部A42、GPS信号受信部A91、位置情報算出部A92を含み構成される。なお、本発明と関連の薄い各部については記載を省略する。
【0022】
無線信号受信部A31および復調部A32では、ユーザ端末からスペクトル拡散(DSSS:Direct Sequence Spread Spectrum)されて通信帯域幅を広帯域幅に拡散された信号を受信し、ベースバンド信号に復調する。復調部A32では、受信した広帯域幅の信号に、拡散符号生成部A11にて基地局制御装置41からの指示に基づき生成した拡散符号を重畳し、ベースバンド信号(復調信号)を出力する(逆拡散処理)。
【0023】
逆拡散された復調信号は、所定の情報を含んでいた場合、メッセージ生成部A21にてメッセージに変換され、メッセージ送受信部A22にて上位基地局制御装置41に送信される。なお、所定の情報には、他の基地局から送信された無線信号の送信時間を示す情報が含まれる。
【0024】
電力測定部A14は、送られてきた逆拡散された信号の受信電力を測定する。測定された受信電力の値は、超小型基地局装置01から送信する無線信号の出力電力を算出するため、メッセージ生成部A21にて測定結果メッセージに変換され(後述する図4のメッセージID03)、メッセージ送受信部A22を介して上位基地局制御装置41に送信される。
【0025】
データ変調部A41およびデータ送信部A42では、上位装置である基地局制御装置41からのベースバンド信号をスペクトル拡散して通信帯域を広げた信号に変換し、変換した信号を送出する。データ送信部A42では、データ変調部A41の広帯域に広げた信号を、データを送信する基準の送信タイミングからタイミング生成部A12に設定されたタイミング時間分(送信タイミング情報分)だけ操作して、また電力制御部A13に設定された送信電力に従って送信する。
【0026】
メッセージ送受信部A22では、基地局制御装置41からのメッセージ信号を受信し、データ処理部A23でデータ処理を行う。ユーザ端末に対しての送信メッセージであった場合は、ベースバンド信号として、データ変調部A41に出力する。制御メッセージであった場合(図4のメッセージID04)、情報として含まれている拡散符号情報、送信タイミング情報、送信電力情報を取得して、拡散符号生成部A11、タイミング生成部A12、電力制御部A13にそれぞれの情報を設定する。
【0027】
GPS信号受信部A91および位置情報算出部A92では、GPS衛星からのGPS電波を受信して、自装置の位置情報が取得される。位置情報は、基地局制御装置41に送信するためメッセージ生成部A21にて位置情報メッセージに変換され(図4のメッセージID00)、メッセージ送受信部A22を介して送信される。
【0028】
次に、基地局制御装置41を説明する。基地局制御装置41は、マクロセル基地局装置21、22、および超小型基地局装置01とネットワークを介して接続し、通信エリア51を管理する。
【0029】
基地局制御装置41は、図3に示されるように、基地局装置管理DB B01、基地局装置位置情報登録部B11、周囲基地局特定部B21、タイミング算出部B22、電力算出部B23、メッセージ送受信部B31、メッセージ処理部B32、メッセージ生成部B33を含み構成される。
【0030】
基地局装置位置情報登録部B11では、メッセージ処理部B32で処理したメッセージが基地局装置からの位置情報メッセージ(図4のメッセージID00)の場合に、そのメッセージに含まれるBTS ID、GPS位置情報、cell ID等を取得する。取得した各情報は、基地局装置管理DB B01に書き込まれる。また、GPS位置情報を周囲基地局特定部B21に出力する。周囲基地局特定部B21では、基地局装置管理DB B01を検索して、最も近い基地局装置(ここでは、m-BTS21)を特定する。なお、複数の基地局を特定してもよい。特定した情報は、基地局装置管理DB B01(図5参照)に書き込まれ、メッセージ生成部B33へと出力される。基地局装置管理DB B01には、管理する基地局のID、位置情報、通信セル、周囲基地局装置、タイミング制御情報、電力制御情報、拡散符号情報等が記録されている。
【0031】
タイミング算出部B22、電力算出部B23では、メッセージ処理部B32で処理したメッセージが測定結果メッセージ(図4のメッセージID03)の場合に、そのメッセージの内容を取得して、周辺環境に合わせた超小型基地局装置01の干渉の少ない送信タイミングの算出と送信電力の算出を行う。算出した各情報は、基地局装置管理DB B01に書き込まれ、メッセージ生成部B33へと出力される。
【0032】
タイミング算出部B22は、小型基地局装置01から送られてきたメッセージの内容などを用い、選定した基地局(m-BTS21)からの無線信号と超小型基地局装置01からの無線信号とが通信エリア11内で同等の受信タイミングとなるように、超小型基地局装置01からの無線信号を送信すべきタイミングを算出して、基準となる送信タイミングと算出した送信タイミングとの差を送信タイミング情報として、メッセージ生成部B33に通知する。
【0033】
電力算出部B23は、超小型基地局装置01から報告された選定した基地局からの受信電力を取得し、選定した基地局からの無線信号と超小型基地局装置01からの無線信号とが通信エリア11内で同等の受信電力にできるように、超小型基地局装置01からの無線信号を送出する最大送信電力を算出して、算出した送信電力を送信電力情報としてメッセージ生成部B33に通知する。
【0034】
メッセージ送受信部B31では、上位装置である制御装置、あるいは下位装置である各基地局からのメッセージを受信し、メッセージ処理部B32へ出力する。また、メッセージ生成部B33からのメッセージを、上位の制御装置、あるいは下位の基地局装置へ出力する。メッセージ生成部B33では、周囲基地局特定部B21からの出力があった際、超小型基地局装置01と最も近い基地局装置との間の環境測定のための測定開始メッセージ(図4のメッセージID01)を生成して出力する。測定開始メッセージには、基地局間の伝搬環境を測定する測定用メッセージ(図4のメッセージID02)の送信開始時間、送信に用いる拡散符号を示す拡散符号情報、測定用メッセージを送信させる基地局を指定する送信基地局情報、測定用メッセージを受信する基地局を指定する受信基地局情報などが含まれる。なお、超小型基地局装置01と複数のマクロセル基地局との干渉を測定するために、複数の測定用メッセージを同時的に生成するようにしてもよい。
【0035】
また、メッセージ送受信部B31は、タイミング算出部B22、電力算出部B23からの出力があった際は、超小型基地局装置01に対して、送信制御用の制御メッセージ(図4のメッセージID04)を生成する。制御メッセージには、送信に使用する拡散符号情報、送信タイミング情報、送信電力情報、受信する基地局を指定する受信基地局情報などが含まれる。
【0036】
次に、本発明に係る移動体通信システム全体の動作を説明する。
【0037】
図6、図7、図8は、超小型基地局装置01の設定動作に係る移動体通信システム全体の動作を示すフローチャートである。
【0038】
まず、超小型基地局装置01(f-BTS01)は、通信エリア51(area51)に設置されて基地局制御装置41(server41)にネットワークを介して接続すると、GPS電波からの位置情報を取得する(ステップF11)。取得した位置にて位置情報メッセージ(図4のメッセージID00)を生成し(ステップF12)、基地局制御装置41に送信し、メッセージ待ち状態に待機する(ステップF13)。
【0039】
基地局制御装置41は、位置情報メッセージを受信し(ステップG11)、超小型基地局装置01の位置情報を取得して記憶する(ステップG12)。取得した位置情報と基地局装置管理DB B01から、小型基地局装置01の設置に伴い干渉を考慮する周囲の基地局装置(ここでは、最寄のマクロセル基地局装置21(m-BTS21))を探索し、基地局装置管理DB B01を更新する(ステップG13)。対象の基地局装置の探索が終わると、超小型基地局装置01とマクロセル基地局装置21間の通信状況を測定するための測定開始メッセージ(図4のメッセージID01)を生成し(ステップG14)、送信する(ステップG15)。
【0040】
超小型基地局装置01は、測定開始メッセージを受信(ステップF14)すると、メッセージ中の受信局が自局であることを確認(ステップF15)し、そうであればメッセージ中から拡散符号情報(Spreading Code)を取得する(ステップF17)。そうでなければメッセージを破棄して(ステップF16)、メッセージ待ちに戻る。
【0041】
マクロセル基地局装置21は、通常の稼動状態であるときに、測定開始メッセージを受信(ステップH11)すると、メッセージ中の送信局が自局であることを確認(ステップH12)し、そうであればメッセージ中から拡散符号情報を取得する(ステップH14)。そして、少なくとも送信時間を記録した測定用メッセージ(図4のメッセージID02)を生成(ステップH15)し、生成した測定用メッセージを指定された拡散符号によってスペクトル拡散した後、アンテナから送信する(ステップH16)。測定開始メッセージの送信局が自局でない場合、メッセージを破棄して(ステップH13)、メッセージ待ちに戻る。
【0042】
超小型基地局装置01は、アンテナから無線電波(測定開始メッセージ)を受信し、基地局制御装置41から指定された拡散符号にて逆拡散する(ステップF18)。メッセージ中の受信局が自局であることを確認(ステップF19)し、そうであれば受信した信号の電力を測定する(ステップF21)。そして、測定した受信電力、送信時間と受信時間を含んだ測定結果メッセージ(図4のメッセージID03)を生成し(ステップF22)、ネットワークを介して送信する(ステップF23)。測定用メッセージの受信局が自局でない場合、メッセージを破棄して(ステップF20)、メッセージ待ちに戻る。なお、測定結果メッセージに含む送信時間と受信時間は、基地局制御装置41で測定用メッセージを送信した基地局から受信した基地局までの無線信号の到達時間(伝搬遅延)を認識できる情報であれば、時差情報などであってもよい。
【0043】
基地局制御装置41は、超小型基地局装置01から測定結果メッセージを受信し(ステップG16)、送信局、受信局を確認する(ステップG17)。測定開始メッセージに記載した局からのメッセージであることが確認できたら、メッセージ中から、測定電力の情報を読み出し、送信電力を算出する(ステップG18)。また、マクロセル基地局装置21から超小型基地局装置01までの無線信号の到達時間(送信時間と受信時間の差など)から送信タイミングを算出する(ステップG19)。そして、超小型基地局装置01に対して、送信電力、送信タイミングをコントロールするための制御メッセージ(図4のメッセージID04)を生成し(ステップG20)、ネットワークを介して送信する(ステップG21)。
【0044】
超小型基地局装置01は、制御メッセージを受信し (ステップF24)、メッセージ中の受信局が自局であることを確認(ステップF25)し、そうであれば受信した制御メッセージから、指示された送信電力、送信タイミング、送信用拡散符号の情報を読み出し、送信部等を設定制御する(ステップF27)。以後は、設定値に基づいて、各局との通信を行う。もし、メッセージの受信局が自局でない場合、メッセージを破棄して(ステップF26)、メッセージ待ちに戻る。
【0045】
以上説明したように、移動体通信システムを動作させることによって、超小型基地局装置を新たに設置した際や再起動した際に、基地局制御装置から拡散符号とともに、送信電力に関する情報、送信タイミングに関する情報を合わせて送信し、当該超小型基地局装置にて指示された拡散符号、タイミング、電力送信をコントロールする事で、周辺基地局装置や移動局との干渉を低減できる。
【0046】
図9および図10は、超小型基地局の構築するセル内で移動体通信システムからの無線信号の拡散符号、タイミング、および電力の概略を示す説明図である。
【0047】
図9では、ユーザ端末71(u71)が周辺基地局から受ける無線信号を示しており、拡散符号のみが基地局間で干渉の少ないように制御している。このように異なる拡散符号を用いる事で干渉を抑制している。この送信電力は、周辺基地局装置からの干渉の大きさと通信品質によって決まる電力値である。
【0048】
ただし、基地局から移動局への無線信号を送信する際、規格上定められているタイミング内でランダムに送信すると、移動局での受信タイミングずれによって、符号間干渉が発生こともある。また、小型基地局装置は送信電力が小さく、周辺基地局装置からの干渉を受けやすくもなる。
【0049】
これは、図1の移動体通信システムの配置を用いて説明すれば、超小型基地局装置01からユーザ端末71への下り通信では、ユーザ端末71には超小型基地局装置01からユーザ端末71への信号以外に、マクロセル基地局装置21(m-BTS21)からユーザ端末61から64(u61〜u64)への無線信号が時間差λだけずれて到達する。これによって符号間干渉が発生すれば、通信品質が劣化する。また、超小型基地局装置01は、マクロセル基地局装置21に対比して送信電力が小さく設定されており、より影響を受けやすい。
【0050】
そこで、上記説明したとおり、図10に示すように、超小型基地局装置01からの送出無線信号をコントロールする。超小型基地局装置01に属するユーザ端末71では、超小型基地局装置01からの信号は、その到着タイミングが周辺基地局装置21からの信号と同時になる。加えて、ユーザ端末71で受信される超小型基地局装置01からの信号電力が周辺環境に応じ変更され、周辺基地局装置21からの信号電力と同等になる。
【0051】
即ち、本発明によれば、拡散符号の特性を最大限に活かして局所に設けられる基地局の関わる局間の干渉を効率良く抑えつつ、通信品質を最大限に向上した移動体通信システムを提供できる。
【0052】
尚、超小型基地局装置の各部は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせを用いて実現すればよい。ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせた形態では、RAMにサービス再編成評価プログラムが展開され、プログラムに基づいて制御部(CPU)等のハードウェアを動作させることによって、各部を各種手段として実現する。
【0053】
また、上記説明では、基地局間の同期制御および電力制御を、超小型基地局装置に対して最も近い基地局装置との間で行うこととして説明した。しかし、上記の様に上位装置には各基地局の位置情報が収集されているので、超小型基地局装置と、干渉を生じさせる可能性が高い複数の基地局を特定して、その基地局全てに測定開始メッセージを一括又は分割して送信するようにしても良い。このようにすれば、測定開始メッセージを受けた各基地局装置(マクロセル基地局装置や隣接する超小型基地局装置)から順次新たに設置された超小型基地局装置に対して測定用メッセージを送信することとなる。このとき、上位装置は、干渉が予見される範囲に入る各基地局装置に、それぞれ異なる拡散符合を割当てるようにしてもよいし、それぞれ異なる送信タイミングとなるようにメッセージの送信タイミングを指定するようにしてもよい。複数の測定メッセージを受けた超小型基地局装置は、上位装置から指示されている1又は複数の拡散符号を順次用いて受けた測定用メッセージの復調と電力測定を行ない、測定結果メッセージを順次又は一括して上位装置に通知することとなる。通知を受けた上位装置は、送信した測定開始メッセージに対応する全ての情報もしくは所定時間内に揃った情報を収集分析し、新たに設置した超小型基地局装置からの送信に用いる送信タイミングと送信電力、必要に応じて周辺の基地局の送信電力を算出し、各基地局装置(コントロールを要する基地局装置)に制御メッセージを通知する。通知を受けた各々の基地局は、上位装置からの制御メッセージに基づき自装置の設定を行ない、その後構築するセル内の移動局と通信するように動作する。
【0054】
また、上記説明では、超小型基地局装置の設置時に、本方式で同期制御および電力制御を行っている。他方、超小型基地局装置は、容易に移動可能な特性を有するので、超小型基地局装置が移動されたときに局間の与干渉の状態が変化しやすい。そこで、超小型基地局装置は、GPS信号を所定間隔で取得し、自己の保持するGPS位置情報が変化していた時に、干渉対策の再設定の目的で上記の位置情報メッセージを上位装置に再度送信するようにすることとしても良い。このようにすれば、例えば同一室内で移動された程度の僅かの位置変化に対しても変動する干渉に対して常時使用者が意図しないで備えることが可能となる。なおこのとき、上位装置は、位置変化量の少ない場合にはタイミングの算出を省略して、電力制御のみを行うこととしても良い。
【0055】
また、本方式で局間の同期制御を行うことで、1又は複数の周辺基地局装置の送信時間と超小型基地局装置の受信時間の差から送信タイミングを一度だけ算出することによって、瞬時且つ精確に送信タイミングの調整量を算出できる。
【0056】
また、上位装置は周辺基地局装置の増減にも容易に識別できるので、例えば隣接する超小型基地局装置が廃止されたときに、上位装置の指示の元、周囲の超小型基地局装置に与干渉の再設定を行わせることが可能となる。
【0057】
また、上位装置を介してマクロセル基地局装置の送信電力を調整できるので、超小型基地局装置の電力調整に合わせて、超小型基地局装置とマクロセル基地局装置間のやり取りで送信電力を決めることも可能となる。
【0058】
また、本発明の具体的な構成は前述の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があってもこの発明に含まれる。
【0059】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載されうる。尚、以下の付記は本発明をなんら限定するものではない。
[付記1]
第1の基地局と、前記第1の基地局からの送信信号を受信可能な範囲に設けられる第2の基地局と、前記第1および第2の基地局を管理する上位装置とを備え、
前記上位装置は、
それぞれの基地局に対して設定に使用する拡散符号を通知する手段と、
保持する各基地局の位置情報に基づいて、前記第2の基地局の周囲に有る前記第1の基地局を識別する手段と、
前記第1および第2の基地局との間の無線信号の到達遅延を示す情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定して、前記第2の基地局に通知する手段と、
前記第2の基地局における前記第1の基地局からの無線信号の前記拡散符号適用時の受信電力に関する情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記第2の基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を算定して、前記第2の基地局に通知する手段と、
を有し、
前記第2の基地局は、前記上位装置によって通知された拡散符号と送信のタイミングと送信に用いる電力を設定し、設定した情報に従って通信を行なう
ことを特徴とする移動体通信システム。
【0060】
[付記2]
セルを構築する第1の基地局と、
前記第1の基地局の構築したセル内に配置された第2の基地局と、
前記第1の基地局および前記第2の基地局に対してそれぞれ使用する拡散符号を通知する上位装置と、
を備え、
前記第1の基地局は、
前記上位装置から通知された拡散符号で拡散した送信時間を含む無線信号を送出する手段
を備え、
前記第2の基地局は、
GPS信号から位置情報を取得する手段と、
前記上位装置から受けた拡散符号に基づいて、前記第1の基地局から送信された無線信号を逆拡散して復調信号に復調すると共に、当該復調信号から受信電力と送信時間とを取得する手段と、
取得した位置情報、受信電力および前記第1の基地局から自局までの無線信号の到達時間を示せる情報を、前記上位装置に通知する手段と、
を備え、
前記上位装置は、
前記第2の基地局から受けた位置情報に基づいて、前記第1の基地局を識別する手段と、
前記第2の基地局から受けた前記第1の基地局から自局までの無線信号の到達時間を示せる情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを設定して、前記第2の基地局に通知する手段と、
前記第2の基地局から受けた受信電力に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記第2の基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を設定して、前記第2の基地局に通知する手段と、
を備え、
前記第2の基地局は、
前記上位装置によって通知された拡散符号と送信タイミングと送信電力に従ってセル内に在圏するユーザ端末装置との通信を行なう
ことを特徴とする移動体通信システム。
【0061】
[付記3]
上記付記記載の移動体通信システムであって、
前記上位装置は、前記第2の基地局の与干渉を考慮すべき周囲に有る複数の第1の基地局を識別し、
識別した複数の第1の基地局全てに対して、前記第2の基地局との間で無線信号の到達時間を示せる情報を収集させる通知を送信し、
前記第2の基地局を介して得た複数の無線信号の到達時間を示す情報を用いて、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定する
ことを特徴とする移動体通信システム。
【0062】
[付記4]
上記付記記載の移動体通信システムであって、
前記第2の基地局は、所定間隔で位置情報を取得し、位置に変化があれば、前記上位装置に新たな位置情報を通知し、
前記上位装置から拡散符号と送信タイミングの再設定を受ける
ことを特徴とする移動体通信システム。
【0063】
[付記5]
上記付記記載の移動体通信システムであって、
前記上位装置は、基地局制御装置であり、
前記第2の基地局は、フェムトセル基地局である
ことを特徴とする移動体通信システム。
【0064】
[付記6]
上記付記記載の移動体通信システムであって、
前記第1の基地局は、マクロセル基地局とフェムトセル基地局の両方が含まれる
ことを特徴とする移動体通信システム。
【0065】
[付記7]
位置情報を取得して、上位装置に通知する手段と、
受信した無線信号を所定の拡散符号を用いて復調して、復調信号から得た前記無線信号が送信された時刻情報を取得すると共に、当該無線信号を受信した時刻情報を関連付けて前記上位装置に通知する手段と、
前記復調信号の受信電力を測定して前記上位装置に通知する手段と、
前記上位装置から通知された拡散符号と移動局と通信する無線電波の送信のタイミングと送信に用いる電力を設定して通信に用いる手段と、
を備え、
上位装置によって定められた設定に従って通信を行なえることを特徴とする基地局装置。
【0066】
[付記8]
上記付記記載の基地局装置であって、
前記所定の拡散符号は、前記上位装置から、周囲の基地局装置と自局との間の伝搬遅延を測定させるメッセージに付されて送信された拡散符号であることを特徴とする基地局装置。
【0067】
[付記9]
上記付記記載の基地局装置であって、
前記上位装置からの周囲の基地局装置と自局との間の伝搬遅延を測定させるメッセージに従って、複数の基地局との間の伝搬遅延を識別できる情報を、前記上位装置に通知する
ことを特徴とする基地局装置。
【0068】
[付記10]
上記付記記載の基地局装置であって、
前記複数の基地局との間の伝搬遅延を識別できる情報を取得すると共に、それぞれの基地局から得た復調信号の受信電力を測定して、前記上位装置に通知する
ことを特徴とする基地局装置。
【0069】
[付記11]
上記付記記載の基地局装置であって、
所定間隔で位置情報を取得し、位置に変化があれば、前記上位装置に新たな位置情報を通知し、
前記上位装置からの再設定を受ける
ことを特徴とする基地局装置。
【0070】
[付記12]
上記付記記載の基地局装置であって、
フェムトセル基地局である
ことを特徴とすることを特徴とする基地局装置。
【0071】
[付記13]
配下に従えるそれぞれセルを構築する基地局に対して設定に使用する拡散符号を通知する手段と、
保持する各基地局の位置情報に基づいて、無線信号の送信タイミングを設定する基地局の周囲に有る基地局を識別する手段と、
前記基地局間の無線信号の到達遅延を示す情報を受け付け、当該情報から、前記送信タイミングを設定する基地局と、前記周囲に有る基地局の両局からの無線信号が前記送信タイミングを設定する基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記送信タイミングを設定する基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定して通知する手段と、
前記送信タイミングを設定する基地局における前記周囲に有る基地局からの無線信号の通知した拡散符号適用時の受信電力に関する情報を受け付け、当該情報から前記両基地局からの無線信号が前記送信タイミングを設定する基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記送信タイミングを設定する基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を算定して通知する手段と、
を有する
ことを特徴とする上位局。
【0072】
[付記14]
上記付記記載の上位局であって、
新たに配下に加える基地局からの位置情報の通知を受け、当該基地局から通知された位置情報を用いて干渉が予見される周囲に有る基地局を識別し、
識別した前記周囲に有る基地局と前記新たに配下に加える基地局に伝搬遅延を識別できる情報を取得する指示と共に同一の拡散符号を通知する
ことを特徴とする上位局。
【0073】
[付記15]
上記付記記載の上位局であって、
新たに配下に加える基地局からの位置情報の通知を受け、当該基地局の与干渉を考慮すべき周囲に有る複数の基地局を識別し、
識別した前記複数の周囲に有る基地局の全てと前記新たに配下に加える基地局との間の伝搬遅延を識別できる情報を取得する指示を通知する
ことを特徴とする上位局。
【0074】
[付記16]
上記付記記載の上位局であって、
前記上位装置は、基地局制御装置であり、
前記新たに配下に加える基地局は、フェムトセル基地局である
ことを特徴とする上位局。
【0075】
[付記17]
上記付記記載の上位局であって、
前記与干渉を考慮すべき周囲に有る複数の基地局として、マクロセル基地局とフェムトセル基地局の両方を含めて選出する
ことを特徴とする上位局。
【0076】
[付記18]
既存の送信タイミングで無線信号を送出する第1の基地局と、前記第1の基地局からの送信信号を受信可能な範囲に設けられる第2の基地局と、前記第1および第2の基地局を管理する上位装置とを用い、
前記第2の基地局から前記上位局に位置情報をメッセージとして送出し、
前記上位装置で、保持する各基地局の位置情報に基づいて、前記第2の基地局の周囲に有る前記第1の基地局を識別して、当該第1の基地局から前記第2の基地局までの遅延を測定させる所定の拡散符号を含むメッセージを前記第1および第2の基地局に送出し、
前記第1の基地局から前記第2の基地局に対して、無線信号の送出時間を記した前記所定の拡散符号を用いて拡散されたメッセージを送出し、
前記第2の基地局で前記第1の基地局から送出された無線信号を前記拡散符号を用いて復調して、当該無線信号が送出された送出時間を取得すると共に、当該無線信号を受けた時間を前記上位装置にメッセージとして送出し、
前記第1および第2の基地局との間の無線信号の到達遅延を示す情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定して、前記第2の基地局に通知し、
前記第2の基地局で、通知された拡散符号と無線信号を送信するタイミングを用いて通信する
ことで前記第2の基地局の構築するセル内で前記第1および第2の基地局から得られる無線信号を同期させることを特徴とする基地局無線信号間同期方法。
【0077】
[付記19]
上記付記記載の基地局無線信号間同期方法であって、
前記第2の基地局は、前記第1の基地局から送出された無線信号を前記拡散符号を用いて復調すると共に当該無線信号の受信電力を測定して、当該無線信号が送出された送出時間と受けた時間と共に前記上位装置にメッセージを用いて送出し、
前記上位装置は、前記第2の基地局における前記第1の基地局からの無線信号の前記拡散符号適用時の受信電力に関する情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記第2の基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を算定して、前記送信するタイミングと共に、前記第2の基地局に通知し、
前記第2の基地局は、前記上位局から通知された拡散符号と無線信号を送信するタイミングと電力値を用いて通信する
ことを特徴とする基地局無線信号間同期方法。
【0078】
[付記20]
上記付記記載の基地局無線信号間同期方法であって、
前記上位装置は、保持する各基地局の位置情報に基づいて、前記第2の基地局の周囲に有る複数の前記第1の基地局を識別して処理する
ことを特徴とする基地局無線信号間同期方法。
【0079】
[付記21]
上記付記記載の基地局無線信号間同期方法であって、
前記上位装置は、基地局制御装置であり、
前記新たに配下に加える基地局は、フェムトセル基地局である
ことを特徴とする基地局無線信号間同期方法。
【0080】
[付記22]
上記付記記載の上位局であって、
前記複数の第1の基地局として、マクロセル基地局とフェムトセル基地局の両方を含めて選出する
ことを特徴とする基地局無線信号間同期方法。
【符号の説明】
【0081】
01 超小型基地局装置(f-BTS:第2の基地局)
11 通信エリア(f-cell)
21、22 マクロセル基地局装置(m-BTS:第1の基地局)
31、32 通信エリア(m-cell)
41 基地局制御装置(server:上位装置)
51 通信エリア(area)
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の基地局の構築するセル範囲内に、小範囲のセルを設ける移動体通信システム、小範囲のセルを構築する基地局装置、移動体通信システムで用いられる基地局間同期方法、および電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末(ユーザ端末)を用いた移動体通信の通信可能エリアは、国内全域にほぼ普及し終えた。その一方、ビル内や地下エリアなどで、既存の基地局装置からの電波が届ききらないエリアが残っている。また、既存の基地局装置の通信可能エリア内であっても、都市部の人工密集地帯などで、通信速度が定常的に低下した状態となるエリアが存在する。
【0003】
上記エリアの解消に、超小型基地局装置(FBTS(femtocell Base Transceiver Station):HBS:HNB:フェムト基地局)が提供されている。超小型基地局装置は、家庭内や小規模店舗などの人数が限られた場所などに設置する基地局装置であり、不感地帯の解消、高速ネットワークへアクセス可能などの利点を有する。また、超小型基地局装置の提供するセルは、限られたユーザで占有させることが可能であり、高速かつ高品質な通信を提供できる。また、超小型基地局装置は、ユーザ端末から固定ネットワークを介する通信が行える。
【0004】
一方、超小型基地局装置は、既存の基地局装置に比べ、低送信出力であり、周辺基地局装置(マクロセル基地局装置(macro Base Transceiver Station)や他の超小型基地局装置、移動局など)からの干渉を受けやすい。
【0005】
また、ユーザが移動させることができてしまうため、管理者側では周辺環境への影響を十分に把握でできずに、大きく通信品質を劣化させる場所を生じさせる可能性もある。
【0006】
超小型基地局装置には、既存の基地局装置との無線通信環境から自立的に出力電力を定める装置もある。即ち、自ら、拡散符号や送信電力を適宜変更しながら、周囲環境に干渉を与えないように動作する超小型基地局装置がある。
【0007】
また、関連する技術は、特許文献1にも記載されている。特許文献1に記載された小型基地局装置では、小型基地局装置が設置された際に、GPS衛星から読込んだ位置情報を基地局制御装置に送信し、該当基地局装置に周辺基地局(マクロセル基地局)が使用していない拡散符号、或いは周辺基地局で使用している拡散符号と符号間の干渉が小さくなる拡散符号の何れかを割り当てる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−266785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の様な既存の基地局の構築したセル内に配置される基地局は周辺基地局からの干渉や周辺基地局への干渉などを抑えることによって、通信品質の向上を図っている。
【0010】
また、特許文献1に記載された発明についても、更なる干渉の低減を試みる必要がある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、局所に設けられる基地局が関わる局間の干渉を効率良く抑えつつ、通信品質を向上した移動体通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る移動体通信システムは、第1の基地局と、前記第1の基地局からの送信信号を受信可能な範囲に設けられる第2の基地局と、前記第1および第2の基地局を管理する上位装置とを備え、前記上位装置は、それぞれの基地局に対して設定に使用する拡散符号を通知する手段と、保持する各基地局の位置情報に基づいて、前記第2の基地局の周囲に有る前記第1の基地局を識別する手段と、前記第1および第2の基地局との間の無線信号の到達遅延を示す情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定して、前記第2の基地局に通知する手段と、前記第2の基地局における前記第1の基地局からの無線信号の前記拡散符号適用時の受信電力に関する情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記第2の基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を算定して、前記第2の基地局に通知する手段とを有し、前記第2の基地局は、前記上位装置によって通知された拡散符号と送信のタイミングと送信に用いる電力を設定し、設定した情報に従って通信を行なうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、局所に設けられる基地局の関わる局間の干渉を効率良く抑えつつ、通信品質を向上した移動体通信システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態の移動体通信システムの配置を示す概略図である。
【図2】実施の形態に係る超小型基地局の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る基地局制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態に係る送受信メッセージフォーマットを例示する説明図である。
【図5】実施の形態に係る基地局装置管理データベースの内容を例示する説明図である。
【図6】実施の形態に係る移動体通信システム全体の動作を示すフローチャート1である。
【図7】実施の形態に係る移動体通信システム全体の動作を示すフローチャート2である。
【図8】実施の形態に係る移動体通信システム全体の動作を示すフローチャート3である。
【図9】超小型基地局の構築するセル内で移動体通信システムからの無線信号の拡散符号、タイミング、および電力の概略を示す説明図である。
【図10】超小型基地局の構築するセル内で移動体通信システムからの制御された無線信号の拡散符号、タイミング、および電力の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の一形態を図1ないし図10を用いて説明する。
図1は、実施の一形態の移動体通信システムの配置を示す概略図である。
移動体通信システムは、各基地局に使用する拡散符号を通知する上位装置として機能する基地局制御装置41(server41)と、マクロセルを構築するマクロセル基地局装置21、22(m-BTS21、m-BTS22)、フェムトセルを構築する超小型基地局装置01(f-BTS01)とが通信ネットワークによって接続されている。なお、上位装置の役割を基地局制御装置以外の他の装置に行わせるように構成してもよい。
【0016】
図中において、基地局制御装置41は通信エリア51(area51)を管理し、マクロセル基地局装置21、22はそれぞれ通信エリア31、32(m-cell31, m-cell32)を構築し、超小型基地局装置01は通信エリア11(f-cell11)を構築する。また、超小型基地局装置01の通信エリア11は、マクロセル基地局装置21が構築する通信エリア31内に配置されている。即ち、マクロセル基地局装置21の通信エリア31内に、通信エリア11を構築する超小型基地局装置01が設置されたとする。
【0017】
通信エリア31(m-cell31)内には、ユーザ端末61(u61)、62(u62)、63(u63)、64(u64)、71(u71)が存在する。また、通信エリア31内に存在する通信エリア11(f-cell11)内には、ユーザ端末71が存在する。
【0018】
基地局制御装置41は、配下の基地局装置に対して、通信に使用する拡散符号を通知する。また、拡散符号を通知すると共に、基地局制御装置41は、各基地局装置が移動局にデータを送信する基準となる送信タイミング等を通知していて、これを受けてマクロセル基地局装置21、22、超小型基地局装置01は、ユーザにデータを送信する。
【0019】
なお、移動体通信システムでは、通信エリア11が半径数十mのフェムトセルであって通信エリア31に対して極小であるため、ユーザ端末71と超小型基地局装置01間の距離および伝搬遅延を、処理上排除する。
【0020】
図2および図3は、実施形態に係る超小型基地局01と基地局制御装置41の構成を示すブロック図である。
超小型基地局装置01は、家庭向けやコンシューマ向けの可搬可能な大きさの基地局装置であり、基地局制御装置41に接続され、通信エリア51に設置されている。
【0021】
超小型基地局装置01は、図2に示されるように、拡散符号生成部A11、タイミング生成部A12、電力制御部A13、電力測定部A14、メッセージ生成部A21、メッセージ送受信部A22、データ処理部A23、無線信号受信部A31、無線信号復調部A32、データ変調部A41、データ送信部A42、GPS信号受信部A91、位置情報算出部A92を含み構成される。なお、本発明と関連の薄い各部については記載を省略する。
【0022】
無線信号受信部A31および復調部A32では、ユーザ端末からスペクトル拡散(DSSS:Direct Sequence Spread Spectrum)されて通信帯域幅を広帯域幅に拡散された信号を受信し、ベースバンド信号に復調する。復調部A32では、受信した広帯域幅の信号に、拡散符号生成部A11にて基地局制御装置41からの指示に基づき生成した拡散符号を重畳し、ベースバンド信号(復調信号)を出力する(逆拡散処理)。
【0023】
逆拡散された復調信号は、所定の情報を含んでいた場合、メッセージ生成部A21にてメッセージに変換され、メッセージ送受信部A22にて上位基地局制御装置41に送信される。なお、所定の情報には、他の基地局から送信された無線信号の送信時間を示す情報が含まれる。
【0024】
電力測定部A14は、送られてきた逆拡散された信号の受信電力を測定する。測定された受信電力の値は、超小型基地局装置01から送信する無線信号の出力電力を算出するため、メッセージ生成部A21にて測定結果メッセージに変換され(後述する図4のメッセージID03)、メッセージ送受信部A22を介して上位基地局制御装置41に送信される。
【0025】
データ変調部A41およびデータ送信部A42では、上位装置である基地局制御装置41からのベースバンド信号をスペクトル拡散して通信帯域を広げた信号に変換し、変換した信号を送出する。データ送信部A42では、データ変調部A41の広帯域に広げた信号を、データを送信する基準の送信タイミングからタイミング生成部A12に設定されたタイミング時間分(送信タイミング情報分)だけ操作して、また電力制御部A13に設定された送信電力に従って送信する。
【0026】
メッセージ送受信部A22では、基地局制御装置41からのメッセージ信号を受信し、データ処理部A23でデータ処理を行う。ユーザ端末に対しての送信メッセージであった場合は、ベースバンド信号として、データ変調部A41に出力する。制御メッセージであった場合(図4のメッセージID04)、情報として含まれている拡散符号情報、送信タイミング情報、送信電力情報を取得して、拡散符号生成部A11、タイミング生成部A12、電力制御部A13にそれぞれの情報を設定する。
【0027】
GPS信号受信部A91および位置情報算出部A92では、GPS衛星からのGPS電波を受信して、自装置の位置情報が取得される。位置情報は、基地局制御装置41に送信するためメッセージ生成部A21にて位置情報メッセージに変換され(図4のメッセージID00)、メッセージ送受信部A22を介して送信される。
【0028】
次に、基地局制御装置41を説明する。基地局制御装置41は、マクロセル基地局装置21、22、および超小型基地局装置01とネットワークを介して接続し、通信エリア51を管理する。
【0029】
基地局制御装置41は、図3に示されるように、基地局装置管理DB B01、基地局装置位置情報登録部B11、周囲基地局特定部B21、タイミング算出部B22、電力算出部B23、メッセージ送受信部B31、メッセージ処理部B32、メッセージ生成部B33を含み構成される。
【0030】
基地局装置位置情報登録部B11では、メッセージ処理部B32で処理したメッセージが基地局装置からの位置情報メッセージ(図4のメッセージID00)の場合に、そのメッセージに含まれるBTS ID、GPS位置情報、cell ID等を取得する。取得した各情報は、基地局装置管理DB B01に書き込まれる。また、GPS位置情報を周囲基地局特定部B21に出力する。周囲基地局特定部B21では、基地局装置管理DB B01を検索して、最も近い基地局装置(ここでは、m-BTS21)を特定する。なお、複数の基地局を特定してもよい。特定した情報は、基地局装置管理DB B01(図5参照)に書き込まれ、メッセージ生成部B33へと出力される。基地局装置管理DB B01には、管理する基地局のID、位置情報、通信セル、周囲基地局装置、タイミング制御情報、電力制御情報、拡散符号情報等が記録されている。
【0031】
タイミング算出部B22、電力算出部B23では、メッセージ処理部B32で処理したメッセージが測定結果メッセージ(図4のメッセージID03)の場合に、そのメッセージの内容を取得して、周辺環境に合わせた超小型基地局装置01の干渉の少ない送信タイミングの算出と送信電力の算出を行う。算出した各情報は、基地局装置管理DB B01に書き込まれ、メッセージ生成部B33へと出力される。
【0032】
タイミング算出部B22は、小型基地局装置01から送られてきたメッセージの内容などを用い、選定した基地局(m-BTS21)からの無線信号と超小型基地局装置01からの無線信号とが通信エリア11内で同等の受信タイミングとなるように、超小型基地局装置01からの無線信号を送信すべきタイミングを算出して、基準となる送信タイミングと算出した送信タイミングとの差を送信タイミング情報として、メッセージ生成部B33に通知する。
【0033】
電力算出部B23は、超小型基地局装置01から報告された選定した基地局からの受信電力を取得し、選定した基地局からの無線信号と超小型基地局装置01からの無線信号とが通信エリア11内で同等の受信電力にできるように、超小型基地局装置01からの無線信号を送出する最大送信電力を算出して、算出した送信電力を送信電力情報としてメッセージ生成部B33に通知する。
【0034】
メッセージ送受信部B31では、上位装置である制御装置、あるいは下位装置である各基地局からのメッセージを受信し、メッセージ処理部B32へ出力する。また、メッセージ生成部B33からのメッセージを、上位の制御装置、あるいは下位の基地局装置へ出力する。メッセージ生成部B33では、周囲基地局特定部B21からの出力があった際、超小型基地局装置01と最も近い基地局装置との間の環境測定のための測定開始メッセージ(図4のメッセージID01)を生成して出力する。測定開始メッセージには、基地局間の伝搬環境を測定する測定用メッセージ(図4のメッセージID02)の送信開始時間、送信に用いる拡散符号を示す拡散符号情報、測定用メッセージを送信させる基地局を指定する送信基地局情報、測定用メッセージを受信する基地局を指定する受信基地局情報などが含まれる。なお、超小型基地局装置01と複数のマクロセル基地局との干渉を測定するために、複数の測定用メッセージを同時的に生成するようにしてもよい。
【0035】
また、メッセージ送受信部B31は、タイミング算出部B22、電力算出部B23からの出力があった際は、超小型基地局装置01に対して、送信制御用の制御メッセージ(図4のメッセージID04)を生成する。制御メッセージには、送信に使用する拡散符号情報、送信タイミング情報、送信電力情報、受信する基地局を指定する受信基地局情報などが含まれる。
【0036】
次に、本発明に係る移動体通信システム全体の動作を説明する。
【0037】
図6、図7、図8は、超小型基地局装置01の設定動作に係る移動体通信システム全体の動作を示すフローチャートである。
【0038】
まず、超小型基地局装置01(f-BTS01)は、通信エリア51(area51)に設置されて基地局制御装置41(server41)にネットワークを介して接続すると、GPS電波からの位置情報を取得する(ステップF11)。取得した位置にて位置情報メッセージ(図4のメッセージID00)を生成し(ステップF12)、基地局制御装置41に送信し、メッセージ待ち状態に待機する(ステップF13)。
【0039】
基地局制御装置41は、位置情報メッセージを受信し(ステップG11)、超小型基地局装置01の位置情報を取得して記憶する(ステップG12)。取得した位置情報と基地局装置管理DB B01から、小型基地局装置01の設置に伴い干渉を考慮する周囲の基地局装置(ここでは、最寄のマクロセル基地局装置21(m-BTS21))を探索し、基地局装置管理DB B01を更新する(ステップG13)。対象の基地局装置の探索が終わると、超小型基地局装置01とマクロセル基地局装置21間の通信状況を測定するための測定開始メッセージ(図4のメッセージID01)を生成し(ステップG14)、送信する(ステップG15)。
【0040】
超小型基地局装置01は、測定開始メッセージを受信(ステップF14)すると、メッセージ中の受信局が自局であることを確認(ステップF15)し、そうであればメッセージ中から拡散符号情報(Spreading Code)を取得する(ステップF17)。そうでなければメッセージを破棄して(ステップF16)、メッセージ待ちに戻る。
【0041】
マクロセル基地局装置21は、通常の稼動状態であるときに、測定開始メッセージを受信(ステップH11)すると、メッセージ中の送信局が自局であることを確認(ステップH12)し、そうであればメッセージ中から拡散符号情報を取得する(ステップH14)。そして、少なくとも送信時間を記録した測定用メッセージ(図4のメッセージID02)を生成(ステップH15)し、生成した測定用メッセージを指定された拡散符号によってスペクトル拡散した後、アンテナから送信する(ステップH16)。測定開始メッセージの送信局が自局でない場合、メッセージを破棄して(ステップH13)、メッセージ待ちに戻る。
【0042】
超小型基地局装置01は、アンテナから無線電波(測定開始メッセージ)を受信し、基地局制御装置41から指定された拡散符号にて逆拡散する(ステップF18)。メッセージ中の受信局が自局であることを確認(ステップF19)し、そうであれば受信した信号の電力を測定する(ステップF21)。そして、測定した受信電力、送信時間と受信時間を含んだ測定結果メッセージ(図4のメッセージID03)を生成し(ステップF22)、ネットワークを介して送信する(ステップF23)。測定用メッセージの受信局が自局でない場合、メッセージを破棄して(ステップF20)、メッセージ待ちに戻る。なお、測定結果メッセージに含む送信時間と受信時間は、基地局制御装置41で測定用メッセージを送信した基地局から受信した基地局までの無線信号の到達時間(伝搬遅延)を認識できる情報であれば、時差情報などであってもよい。
【0043】
基地局制御装置41は、超小型基地局装置01から測定結果メッセージを受信し(ステップG16)、送信局、受信局を確認する(ステップG17)。測定開始メッセージに記載した局からのメッセージであることが確認できたら、メッセージ中から、測定電力の情報を読み出し、送信電力を算出する(ステップG18)。また、マクロセル基地局装置21から超小型基地局装置01までの無線信号の到達時間(送信時間と受信時間の差など)から送信タイミングを算出する(ステップG19)。そして、超小型基地局装置01に対して、送信電力、送信タイミングをコントロールするための制御メッセージ(図4のメッセージID04)を生成し(ステップG20)、ネットワークを介して送信する(ステップG21)。
【0044】
超小型基地局装置01は、制御メッセージを受信し (ステップF24)、メッセージ中の受信局が自局であることを確認(ステップF25)し、そうであれば受信した制御メッセージから、指示された送信電力、送信タイミング、送信用拡散符号の情報を読み出し、送信部等を設定制御する(ステップF27)。以後は、設定値に基づいて、各局との通信を行う。もし、メッセージの受信局が自局でない場合、メッセージを破棄して(ステップF26)、メッセージ待ちに戻る。
【0045】
以上説明したように、移動体通信システムを動作させることによって、超小型基地局装置を新たに設置した際や再起動した際に、基地局制御装置から拡散符号とともに、送信電力に関する情報、送信タイミングに関する情報を合わせて送信し、当該超小型基地局装置にて指示された拡散符号、タイミング、電力送信をコントロールする事で、周辺基地局装置や移動局との干渉を低減できる。
【0046】
図9および図10は、超小型基地局の構築するセル内で移動体通信システムからの無線信号の拡散符号、タイミング、および電力の概略を示す説明図である。
【0047】
図9では、ユーザ端末71(u71)が周辺基地局から受ける無線信号を示しており、拡散符号のみが基地局間で干渉の少ないように制御している。このように異なる拡散符号を用いる事で干渉を抑制している。この送信電力は、周辺基地局装置からの干渉の大きさと通信品質によって決まる電力値である。
【0048】
ただし、基地局から移動局への無線信号を送信する際、規格上定められているタイミング内でランダムに送信すると、移動局での受信タイミングずれによって、符号間干渉が発生こともある。また、小型基地局装置は送信電力が小さく、周辺基地局装置からの干渉を受けやすくもなる。
【0049】
これは、図1の移動体通信システムの配置を用いて説明すれば、超小型基地局装置01からユーザ端末71への下り通信では、ユーザ端末71には超小型基地局装置01からユーザ端末71への信号以外に、マクロセル基地局装置21(m-BTS21)からユーザ端末61から64(u61〜u64)への無線信号が時間差λだけずれて到達する。これによって符号間干渉が発生すれば、通信品質が劣化する。また、超小型基地局装置01は、マクロセル基地局装置21に対比して送信電力が小さく設定されており、より影響を受けやすい。
【0050】
そこで、上記説明したとおり、図10に示すように、超小型基地局装置01からの送出無線信号をコントロールする。超小型基地局装置01に属するユーザ端末71では、超小型基地局装置01からの信号は、その到着タイミングが周辺基地局装置21からの信号と同時になる。加えて、ユーザ端末71で受信される超小型基地局装置01からの信号電力が周辺環境に応じ変更され、周辺基地局装置21からの信号電力と同等になる。
【0051】
即ち、本発明によれば、拡散符号の特性を最大限に活かして局所に設けられる基地局の関わる局間の干渉を効率良く抑えつつ、通信品質を最大限に向上した移動体通信システムを提供できる。
【0052】
尚、超小型基地局装置の各部は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせを用いて実現すればよい。ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせた形態では、RAMにサービス再編成評価プログラムが展開され、プログラムに基づいて制御部(CPU)等のハードウェアを動作させることによって、各部を各種手段として実現する。
【0053】
また、上記説明では、基地局間の同期制御および電力制御を、超小型基地局装置に対して最も近い基地局装置との間で行うこととして説明した。しかし、上記の様に上位装置には各基地局の位置情報が収集されているので、超小型基地局装置と、干渉を生じさせる可能性が高い複数の基地局を特定して、その基地局全てに測定開始メッセージを一括又は分割して送信するようにしても良い。このようにすれば、測定開始メッセージを受けた各基地局装置(マクロセル基地局装置や隣接する超小型基地局装置)から順次新たに設置された超小型基地局装置に対して測定用メッセージを送信することとなる。このとき、上位装置は、干渉が予見される範囲に入る各基地局装置に、それぞれ異なる拡散符合を割当てるようにしてもよいし、それぞれ異なる送信タイミングとなるようにメッセージの送信タイミングを指定するようにしてもよい。複数の測定メッセージを受けた超小型基地局装置は、上位装置から指示されている1又は複数の拡散符号を順次用いて受けた測定用メッセージの復調と電力測定を行ない、測定結果メッセージを順次又は一括して上位装置に通知することとなる。通知を受けた上位装置は、送信した測定開始メッセージに対応する全ての情報もしくは所定時間内に揃った情報を収集分析し、新たに設置した超小型基地局装置からの送信に用いる送信タイミングと送信電力、必要に応じて周辺の基地局の送信電力を算出し、各基地局装置(コントロールを要する基地局装置)に制御メッセージを通知する。通知を受けた各々の基地局は、上位装置からの制御メッセージに基づき自装置の設定を行ない、その後構築するセル内の移動局と通信するように動作する。
【0054】
また、上記説明では、超小型基地局装置の設置時に、本方式で同期制御および電力制御を行っている。他方、超小型基地局装置は、容易に移動可能な特性を有するので、超小型基地局装置が移動されたときに局間の与干渉の状態が変化しやすい。そこで、超小型基地局装置は、GPS信号を所定間隔で取得し、自己の保持するGPS位置情報が変化していた時に、干渉対策の再設定の目的で上記の位置情報メッセージを上位装置に再度送信するようにすることとしても良い。このようにすれば、例えば同一室内で移動された程度の僅かの位置変化に対しても変動する干渉に対して常時使用者が意図しないで備えることが可能となる。なおこのとき、上位装置は、位置変化量の少ない場合にはタイミングの算出を省略して、電力制御のみを行うこととしても良い。
【0055】
また、本方式で局間の同期制御を行うことで、1又は複数の周辺基地局装置の送信時間と超小型基地局装置の受信時間の差から送信タイミングを一度だけ算出することによって、瞬時且つ精確に送信タイミングの調整量を算出できる。
【0056】
また、上位装置は周辺基地局装置の増減にも容易に識別できるので、例えば隣接する超小型基地局装置が廃止されたときに、上位装置の指示の元、周囲の超小型基地局装置に与干渉の再設定を行わせることが可能となる。
【0057】
また、上位装置を介してマクロセル基地局装置の送信電力を調整できるので、超小型基地局装置の電力調整に合わせて、超小型基地局装置とマクロセル基地局装置間のやり取りで送信電力を決めることも可能となる。
【0058】
また、本発明の具体的な構成は前述の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があってもこの発明に含まれる。
【0059】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載されうる。尚、以下の付記は本発明をなんら限定するものではない。
[付記1]
第1の基地局と、前記第1の基地局からの送信信号を受信可能な範囲に設けられる第2の基地局と、前記第1および第2の基地局を管理する上位装置とを備え、
前記上位装置は、
それぞれの基地局に対して設定に使用する拡散符号を通知する手段と、
保持する各基地局の位置情報に基づいて、前記第2の基地局の周囲に有る前記第1の基地局を識別する手段と、
前記第1および第2の基地局との間の無線信号の到達遅延を示す情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定して、前記第2の基地局に通知する手段と、
前記第2の基地局における前記第1の基地局からの無線信号の前記拡散符号適用時の受信電力に関する情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記第2の基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を算定して、前記第2の基地局に通知する手段と、
を有し、
前記第2の基地局は、前記上位装置によって通知された拡散符号と送信のタイミングと送信に用いる電力を設定し、設定した情報に従って通信を行なう
ことを特徴とする移動体通信システム。
【0060】
[付記2]
セルを構築する第1の基地局と、
前記第1の基地局の構築したセル内に配置された第2の基地局と、
前記第1の基地局および前記第2の基地局に対してそれぞれ使用する拡散符号を通知する上位装置と、
を備え、
前記第1の基地局は、
前記上位装置から通知された拡散符号で拡散した送信時間を含む無線信号を送出する手段
を備え、
前記第2の基地局は、
GPS信号から位置情報を取得する手段と、
前記上位装置から受けた拡散符号に基づいて、前記第1の基地局から送信された無線信号を逆拡散して復調信号に復調すると共に、当該復調信号から受信電力と送信時間とを取得する手段と、
取得した位置情報、受信電力および前記第1の基地局から自局までの無線信号の到達時間を示せる情報を、前記上位装置に通知する手段と、
を備え、
前記上位装置は、
前記第2の基地局から受けた位置情報に基づいて、前記第1の基地局を識別する手段と、
前記第2の基地局から受けた前記第1の基地局から自局までの無線信号の到達時間を示せる情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを設定して、前記第2の基地局に通知する手段と、
前記第2の基地局から受けた受信電力に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記第2の基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を設定して、前記第2の基地局に通知する手段と、
を備え、
前記第2の基地局は、
前記上位装置によって通知された拡散符号と送信タイミングと送信電力に従ってセル内に在圏するユーザ端末装置との通信を行なう
ことを特徴とする移動体通信システム。
【0061】
[付記3]
上記付記記載の移動体通信システムであって、
前記上位装置は、前記第2の基地局の与干渉を考慮すべき周囲に有る複数の第1の基地局を識別し、
識別した複数の第1の基地局全てに対して、前記第2の基地局との間で無線信号の到達時間を示せる情報を収集させる通知を送信し、
前記第2の基地局を介して得た複数の無線信号の到達時間を示す情報を用いて、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定する
ことを特徴とする移動体通信システム。
【0062】
[付記4]
上記付記記載の移動体通信システムであって、
前記第2の基地局は、所定間隔で位置情報を取得し、位置に変化があれば、前記上位装置に新たな位置情報を通知し、
前記上位装置から拡散符号と送信タイミングの再設定を受ける
ことを特徴とする移動体通信システム。
【0063】
[付記5]
上記付記記載の移動体通信システムであって、
前記上位装置は、基地局制御装置であり、
前記第2の基地局は、フェムトセル基地局である
ことを特徴とする移動体通信システム。
【0064】
[付記6]
上記付記記載の移動体通信システムであって、
前記第1の基地局は、マクロセル基地局とフェムトセル基地局の両方が含まれる
ことを特徴とする移動体通信システム。
【0065】
[付記7]
位置情報を取得して、上位装置に通知する手段と、
受信した無線信号を所定の拡散符号を用いて復調して、復調信号から得た前記無線信号が送信された時刻情報を取得すると共に、当該無線信号を受信した時刻情報を関連付けて前記上位装置に通知する手段と、
前記復調信号の受信電力を測定して前記上位装置に通知する手段と、
前記上位装置から通知された拡散符号と移動局と通信する無線電波の送信のタイミングと送信に用いる電力を設定して通信に用いる手段と、
を備え、
上位装置によって定められた設定に従って通信を行なえることを特徴とする基地局装置。
【0066】
[付記8]
上記付記記載の基地局装置であって、
前記所定の拡散符号は、前記上位装置から、周囲の基地局装置と自局との間の伝搬遅延を測定させるメッセージに付されて送信された拡散符号であることを特徴とする基地局装置。
【0067】
[付記9]
上記付記記載の基地局装置であって、
前記上位装置からの周囲の基地局装置と自局との間の伝搬遅延を測定させるメッセージに従って、複数の基地局との間の伝搬遅延を識別できる情報を、前記上位装置に通知する
ことを特徴とする基地局装置。
【0068】
[付記10]
上記付記記載の基地局装置であって、
前記複数の基地局との間の伝搬遅延を識別できる情報を取得すると共に、それぞれの基地局から得た復調信号の受信電力を測定して、前記上位装置に通知する
ことを特徴とする基地局装置。
【0069】
[付記11]
上記付記記載の基地局装置であって、
所定間隔で位置情報を取得し、位置に変化があれば、前記上位装置に新たな位置情報を通知し、
前記上位装置からの再設定を受ける
ことを特徴とする基地局装置。
【0070】
[付記12]
上記付記記載の基地局装置であって、
フェムトセル基地局である
ことを特徴とすることを特徴とする基地局装置。
【0071】
[付記13]
配下に従えるそれぞれセルを構築する基地局に対して設定に使用する拡散符号を通知する手段と、
保持する各基地局の位置情報に基づいて、無線信号の送信タイミングを設定する基地局の周囲に有る基地局を識別する手段と、
前記基地局間の無線信号の到達遅延を示す情報を受け付け、当該情報から、前記送信タイミングを設定する基地局と、前記周囲に有る基地局の両局からの無線信号が前記送信タイミングを設定する基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記送信タイミングを設定する基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定して通知する手段と、
前記送信タイミングを設定する基地局における前記周囲に有る基地局からの無線信号の通知した拡散符号適用時の受信電力に関する情報を受け付け、当該情報から前記両基地局からの無線信号が前記送信タイミングを設定する基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記送信タイミングを設定する基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を算定して通知する手段と、
を有する
ことを特徴とする上位局。
【0072】
[付記14]
上記付記記載の上位局であって、
新たに配下に加える基地局からの位置情報の通知を受け、当該基地局から通知された位置情報を用いて干渉が予見される周囲に有る基地局を識別し、
識別した前記周囲に有る基地局と前記新たに配下に加える基地局に伝搬遅延を識別できる情報を取得する指示と共に同一の拡散符号を通知する
ことを特徴とする上位局。
【0073】
[付記15]
上記付記記載の上位局であって、
新たに配下に加える基地局からの位置情報の通知を受け、当該基地局の与干渉を考慮すべき周囲に有る複数の基地局を識別し、
識別した前記複数の周囲に有る基地局の全てと前記新たに配下に加える基地局との間の伝搬遅延を識別できる情報を取得する指示を通知する
ことを特徴とする上位局。
【0074】
[付記16]
上記付記記載の上位局であって、
前記上位装置は、基地局制御装置であり、
前記新たに配下に加える基地局は、フェムトセル基地局である
ことを特徴とする上位局。
【0075】
[付記17]
上記付記記載の上位局であって、
前記与干渉を考慮すべき周囲に有る複数の基地局として、マクロセル基地局とフェムトセル基地局の両方を含めて選出する
ことを特徴とする上位局。
【0076】
[付記18]
既存の送信タイミングで無線信号を送出する第1の基地局と、前記第1の基地局からの送信信号を受信可能な範囲に設けられる第2の基地局と、前記第1および第2の基地局を管理する上位装置とを用い、
前記第2の基地局から前記上位局に位置情報をメッセージとして送出し、
前記上位装置で、保持する各基地局の位置情報に基づいて、前記第2の基地局の周囲に有る前記第1の基地局を識別して、当該第1の基地局から前記第2の基地局までの遅延を測定させる所定の拡散符号を含むメッセージを前記第1および第2の基地局に送出し、
前記第1の基地局から前記第2の基地局に対して、無線信号の送出時間を記した前記所定の拡散符号を用いて拡散されたメッセージを送出し、
前記第2の基地局で前記第1の基地局から送出された無線信号を前記拡散符号を用いて復調して、当該無線信号が送出された送出時間を取得すると共に、当該無線信号を受けた時間を前記上位装置にメッセージとして送出し、
前記第1および第2の基地局との間の無線信号の到達遅延を示す情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定して、前記第2の基地局に通知し、
前記第2の基地局で、通知された拡散符号と無線信号を送信するタイミングを用いて通信する
ことで前記第2の基地局の構築するセル内で前記第1および第2の基地局から得られる無線信号を同期させることを特徴とする基地局無線信号間同期方法。
【0077】
[付記19]
上記付記記載の基地局無線信号間同期方法であって、
前記第2の基地局は、前記第1の基地局から送出された無線信号を前記拡散符号を用いて復調すると共に当該無線信号の受信電力を測定して、当該無線信号が送出された送出時間と受けた時間と共に前記上位装置にメッセージを用いて送出し、
前記上位装置は、前記第2の基地局における前記第1の基地局からの無線信号の前記拡散符号適用時の受信電力に関する情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記第2の基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を算定して、前記送信するタイミングと共に、前記第2の基地局に通知し、
前記第2の基地局は、前記上位局から通知された拡散符号と無線信号を送信するタイミングと電力値を用いて通信する
ことを特徴とする基地局無線信号間同期方法。
【0078】
[付記20]
上記付記記載の基地局無線信号間同期方法であって、
前記上位装置は、保持する各基地局の位置情報に基づいて、前記第2の基地局の周囲に有る複数の前記第1の基地局を識別して処理する
ことを特徴とする基地局無線信号間同期方法。
【0079】
[付記21]
上記付記記載の基地局無線信号間同期方法であって、
前記上位装置は、基地局制御装置であり、
前記新たに配下に加える基地局は、フェムトセル基地局である
ことを特徴とする基地局無線信号間同期方法。
【0080】
[付記22]
上記付記記載の上位局であって、
前記複数の第1の基地局として、マクロセル基地局とフェムトセル基地局の両方を含めて選出する
ことを特徴とする基地局無線信号間同期方法。
【符号の説明】
【0081】
01 超小型基地局装置(f-BTS:第2の基地局)
11 通信エリア(f-cell)
21、22 マクロセル基地局装置(m-BTS:第1の基地局)
31、32 通信エリア(m-cell)
41 基地局制御装置(server:上位装置)
51 通信エリア(area)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基地局と、前記第1の基地局からの送信信号を受信可能な範囲に設けられる第2の基地局と、前記第1および第2の基地局を管理する上位装置とを備え、
前記上位装置は、
それぞれの基地局に対して設定に使用する拡散符号を通知する手段と、
保持する各基地局の位置情報に基づいて、前記第2の基地局の周囲に有る前記第1の基地局を識別する手段と、
前記第1および第2の基地局との間の無線信号の到達遅延を示す情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定して、前記第2の基地局に通知する手段と、
前記第2の基地局における前記第1の基地局からの無線信号の前記拡散符号適用時の受信電力に関する情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記第2の基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を算定して、前記第2の基地局に通知する手段と、
を有し、
前記第2の基地局は、前記上位装置によって通知された拡散符号と送信のタイミングと送信に用いる電力を設定し、設定した情報に従って通信を行なう
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項2】
セルを構築する第1の基地局と、
前記第1の基地局の構築したセル内に配置された第2の基地局と、
前記第1の基地局および前記第2の基地局に対してそれぞれ使用する拡散符号を通知する上位装置と、
を備え、
前記第1の基地局は、
前記上位装置から通知された拡散符号で拡散した送信時間を含む無線信号を送出する手段
を備え、
前記第2の基地局は、
GPS信号から位置情報を取得する手段と、
前記上位装置から受けた拡散符号に基づいて、前記第1の基地局から送信された無線信号を逆拡散して復調信号に復調すると共に、当該復調信号から受信電力と送信時間とを取得する手段と、
取得した位置情報、受信電力および前記第1の基地局から自局までの無線信号の到達時間を示せる情報を、前記上位装置に通知する手段と、
を備え、
前記上位装置は、
前記第2の基地局から受けた位置情報に基づいて、前記第1の基地局を識別する手段と、
前記第2の基地局から受けた前記第1の基地局から自局までの無線信号の到達時間を示せる情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを設定して、前記第2の基地局に通知する手段と、
前記第2の基地局から受けた受信電力に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記第2の基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を設定して、前記第2の基地局に通知する手段と、
を備え、
前記第2の基地局は、
前記上位装置によって通知された拡散符号と送信タイミングと送信電力に従ってセル内に在圏するユーザ端末装置との通信を行なう
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の移動体通信システムであって、
前記上位装置は、
前記第2の基地局の与干渉を考慮すべき周囲に有る複数の第1の基地局を識別し、
識別した複数の第1の基地局全てに対して、前記第2の基地局との間で無線信号の到達時間を示せる情報を収集させる通知を送信し、
前記第2の基地局を介して得た複数の無線信号の到達時間を示す情報を用いて、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定する
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項4】
請求項3に記載の移動体通信システムであって、
前記第2の基地局は、所定間隔で位置情報を取得し、位置に変化があれば、前記上位装置に新たな位置情報を通知し、
前記上位装置から拡散符号と送信タイミングの再設定を受ける
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項5】
請求項4に記載の移動体通信システムであって、
前記上位装置は、基地局制御装置であり、
前記第2の基地局は、フェムトセル基地局である
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項6】
請求項5に記載の移動体通信システムであって、
前記第1の基地局は、マクロセル基地局とフェムトセル基地局の両方が含まれる
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項7】
位置情報を取得して、上位装置に通知する手段と、
受信した無線信号を所定の拡散符号を用いて復調して、復調信号から得た前記無線信号が送信された時刻情報を取得すると共に、当該無線信号を受信した時刻情報を関連付けて前記上位装置に通知する手段と、
前記復調信号の受信電力を測定して前記上位装置に通知する手段と、
前記上位装置から通知された拡散符号と移動局と通信する無線電波の送信のタイミングと送信に用いる電力を設定して通信に用いる手段と、
を備え、
上位装置によって定められた設定に従って通信を行なえることを特徴とする基地局装置。
【請求項8】
配下に従えるそれぞれセルを構築する基地局に対して設定に使用する拡散符号を通知する手段と、
保持する各基地局の位置情報に基づいて、無線信号の送信タイミングを設定する基地局の周囲に有る基地局を識別する手段と、
前記基地局間の無線信号の到達遅延を示す情報を受け付け、当該情報から、前記送信タイミングを設定する基地局と、前記周囲に有る基地局の両局からの無線信号が前記送信タイミングを設定する基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記送信タイミングを設定する基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定して通知する手段と、
前記送信タイミングを設定する基地局における前記周囲に有る基地局からの無線信号の通知した拡散符号適用時の受信電力に関する情報を受け付け、当該情報から前記両基地局からの無線信号が前記送信タイミングを設定する基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記送信タイミングを設定する基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を算定して通知する手段と、
を有することを特徴とする上位局。
【請求項9】
既存の送信タイミングで無線信号を送出する第1の基地局と、前記第1の基地局からの送信信号を受信可能な範囲に設けられる第2の基地局と、前記第1および第2の基地局を管理する上位装置とを用い、
前記第2の基地局から前記上位局に位置情報をメッセージとして送出し、
前記上位装置で、保持する各基地局の位置情報に基づいて、前記第2の基地局の周囲に有る前記第1の基地局を識別して、当該第1の基地局から前記第2の基地局までの遅延を測定させる所定の拡散符号を含むメッセージを前記第1および第2の基地局に送出し、
前記第1の基地局から前記第2の基地局に対して、無線信号の送出時間を記した前記所定の拡散符号を用いて拡散されたメッセージを送出し、
前記第2の基地局で前記第1の基地局から送出された無線信号を前記拡散符号を用いて復調して、当該無線信号が送出された送出時間を取得すると共に、当該無線信号を受けた時間を前記上位装置にメッセージとして送出し、
前記第1および第2の基地局との間の無線信号の到達遅延を示す情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定して、前記第2の基地局に通知し、
前記第2の基地局で、通知された拡散符号と無線信号を送信するタイミングを用いて通信する
ことで前記第2の基地局の構築するセル内で前記第1および第2の基地局から得られる無線信号を同期させることを特徴とする基地局無線信号間同期方法。
【請求項10】
請求項9記載の基地局無線信号間同期方法であって、
前記第2の基地局は、前記第1の基地局から送出された無線信号を前記拡散符号を用いて復調すると共に当該無線信号の受信電力を測定して、当該無線信号が送出された送出時間と受けた時間と共に前記上位装置にメッセージを用いて送出し、
前記上位装置は、前記第2の基地局における前記第1の基地局からの無線信号の前記拡散符号適用時の受信電力に関する情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記第2の基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を算定して、前記送信するタイミングと共に、前記第2の基地局に通知し、
前記第2の基地局は、前記上位局から通知された拡散符号と無線信号を送信するタイミングと電力値を用いて通信する
ことを特徴とする基地局無線信号間同期方法。
【請求項1】
第1の基地局と、前記第1の基地局からの送信信号を受信可能な範囲に設けられる第2の基地局と、前記第1および第2の基地局を管理する上位装置とを備え、
前記上位装置は、
それぞれの基地局に対して設定に使用する拡散符号を通知する手段と、
保持する各基地局の位置情報に基づいて、前記第2の基地局の周囲に有る前記第1の基地局を識別する手段と、
前記第1および第2の基地局との間の無線信号の到達遅延を示す情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定して、前記第2の基地局に通知する手段と、
前記第2の基地局における前記第1の基地局からの無線信号の前記拡散符号適用時の受信電力に関する情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記第2の基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を算定して、前記第2の基地局に通知する手段と、
を有し、
前記第2の基地局は、前記上位装置によって通知された拡散符号と送信のタイミングと送信に用いる電力を設定し、設定した情報に従って通信を行なう
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項2】
セルを構築する第1の基地局と、
前記第1の基地局の構築したセル内に配置された第2の基地局と、
前記第1の基地局および前記第2の基地局に対してそれぞれ使用する拡散符号を通知する上位装置と、
を備え、
前記第1の基地局は、
前記上位装置から通知された拡散符号で拡散した送信時間を含む無線信号を送出する手段
を備え、
前記第2の基地局は、
GPS信号から位置情報を取得する手段と、
前記上位装置から受けた拡散符号に基づいて、前記第1の基地局から送信された無線信号を逆拡散して復調信号に復調すると共に、当該復調信号から受信電力と送信時間とを取得する手段と、
取得した位置情報、受信電力および前記第1の基地局から自局までの無線信号の到達時間を示せる情報を、前記上位装置に通知する手段と、
を備え、
前記上位装置は、
前記第2の基地局から受けた位置情報に基づいて、前記第1の基地局を識別する手段と、
前記第2の基地局から受けた前記第1の基地局から自局までの無線信号の到達時間を示せる情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを設定して、前記第2の基地局に通知する手段と、
前記第2の基地局から受けた受信電力に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記第2の基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を設定して、前記第2の基地局に通知する手段と、
を備え、
前記第2の基地局は、
前記上位装置によって通知された拡散符号と送信タイミングと送信電力に従ってセル内に在圏するユーザ端末装置との通信を行なう
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の移動体通信システムであって、
前記上位装置は、
前記第2の基地局の与干渉を考慮すべき周囲に有る複数の第1の基地局を識別し、
識別した複数の第1の基地局全てに対して、前記第2の基地局との間で無線信号の到達時間を示せる情報を収集させる通知を送信し、
前記第2の基地局を介して得た複数の無線信号の到達時間を示す情報を用いて、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定する
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項4】
請求項3に記載の移動体通信システムであって、
前記第2の基地局は、所定間隔で位置情報を取得し、位置に変化があれば、前記上位装置に新たな位置情報を通知し、
前記上位装置から拡散符号と送信タイミングの再設定を受ける
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項5】
請求項4に記載の移動体通信システムであって、
前記上位装置は、基地局制御装置であり、
前記第2の基地局は、フェムトセル基地局である
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項6】
請求項5に記載の移動体通信システムであって、
前記第1の基地局は、マクロセル基地局とフェムトセル基地局の両方が含まれる
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項7】
位置情報を取得して、上位装置に通知する手段と、
受信した無線信号を所定の拡散符号を用いて復調して、復調信号から得た前記無線信号が送信された時刻情報を取得すると共に、当該無線信号を受信した時刻情報を関連付けて前記上位装置に通知する手段と、
前記復調信号の受信電力を測定して前記上位装置に通知する手段と、
前記上位装置から通知された拡散符号と移動局と通信する無線電波の送信のタイミングと送信に用いる電力を設定して通信に用いる手段と、
を備え、
上位装置によって定められた設定に従って通信を行なえることを特徴とする基地局装置。
【請求項8】
配下に従えるそれぞれセルを構築する基地局に対して設定に使用する拡散符号を通知する手段と、
保持する各基地局の位置情報に基づいて、無線信号の送信タイミングを設定する基地局の周囲に有る基地局を識別する手段と、
前記基地局間の無線信号の到達遅延を示す情報を受け付け、当該情報から、前記送信タイミングを設定する基地局と、前記周囲に有る基地局の両局からの無線信号が前記送信タイミングを設定する基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記送信タイミングを設定する基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定して通知する手段と、
前記送信タイミングを設定する基地局における前記周囲に有る基地局からの無線信号の通知した拡散符号適用時の受信電力に関する情報を受け付け、当該情報から前記両基地局からの無線信号が前記送信タイミングを設定する基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記送信タイミングを設定する基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を算定して通知する手段と、
を有することを特徴とする上位局。
【請求項9】
既存の送信タイミングで無線信号を送出する第1の基地局と、前記第1の基地局からの送信信号を受信可能な範囲に設けられる第2の基地局と、前記第1および第2の基地局を管理する上位装置とを用い、
前記第2の基地局から前記上位局に位置情報をメッセージとして送出し、
前記上位装置で、保持する各基地局の位置情報に基づいて、前記第2の基地局の周囲に有る前記第1の基地局を識別して、当該第1の基地局から前記第2の基地局までの遅延を測定させる所定の拡散符号を含むメッセージを前記第1および第2の基地局に送出し、
前記第1の基地局から前記第2の基地局に対して、無線信号の送出時間を記した前記所定の拡散符号を用いて拡散されたメッセージを送出し、
前記第2の基地局で前記第1の基地局から送出された無線信号を前記拡散符号を用いて復調して、当該無線信号が送出された送出時間を取得すると共に、当該無線信号を受けた時間を前記上位装置にメッセージとして送出し、
前記第1および第2の基地局との間の無線信号の到達遅延を示す情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信タイミングになるように、前記第2の基地局からの無線信号を送信するタイミングを算定して、前記第2の基地局に通知し、
前記第2の基地局で、通知された拡散符号と無線信号を送信するタイミングを用いて通信する
ことで前記第2の基地局の構築するセル内で前記第1および第2の基地局から得られる無線信号を同期させることを特徴とする基地局無線信号間同期方法。
【請求項10】
請求項9記載の基地局無線信号間同期方法であって、
前記第2の基地局は、前記第1の基地局から送出された無線信号を前記拡散符号を用いて復調すると共に当該無線信号の受信電力を測定して、当該無線信号が送出された送出時間と受けた時間と共に前記上位装置にメッセージを用いて送出し、
前記上位装置は、前記第2の基地局における前記第1の基地局からの無線信号の前記拡散符号適用時の受信電力に関する情報に基づいて、前記第1の基地局からの無線信号と前記第2の基地局からの無線信号とが前記第2の基地局の構築するセル内で同等の受信電力になるように、前記第2の基地局からの無線信号を送出する最大送信電力を算定して、前記送信するタイミングと共に、前記第2の基地局に通知し、
前記第2の基地局は、前記上位局から通知された拡散符号と無線信号を送信するタイミングと電力値を用いて通信する
ことを特徴とする基地局無線信号間同期方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−65061(P2012−65061A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206262(P2010−206262)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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