移動体通信端末、移動体通信システム、移動体通信端末制御方法、及び、移動体通信端末制御プログラム
【課題】電波環境が変動した場合であっても通信不能になる事態を極力少なくする。
【解決手段】
通信回路11と通信アンテナ12は携帯電話網の基地局と無線通信を行う。制御部10は、通信回路11が基地局電波を受信した際のCPICH RSCPのR値及びEb/N0のE値とから電波環境の評価スコアを生成する。また制御部10は、自端末と他端末のスコアを比較し、自端末のスコアが大きい時には親端末となり、他端末のスコアが大きいときには子端末となるグループを形成する。そして制御部10は、親端末になった時には、自端末と子端末のSIM情報を基地局へ送ってグループ単位で一括して位置登録を行い、子端末になった時には親端末へ自端末のSIM情報を送り、その後親端末から送られてきた位置登録情報を用いて基地局チャネルを参照する。
【解決手段】
通信回路11と通信アンテナ12は携帯電話網の基地局と無線通信を行う。制御部10は、通信回路11が基地局電波を受信した際のCPICH RSCPのR値及びEb/N0のE値とから電波環境の評価スコアを生成する。また制御部10は、自端末と他端末のスコアを比較し、自端末のスコアが大きい時には親端末となり、他端末のスコアが大きいときには子端末となるグループを形成する。そして制御部10は、親端末になった時には、自端末と子端末のSIM情報を基地局へ送ってグループ単位で一括して位置登録を行い、子端末になった時には親端末へ自端末のSIM情報を送り、その後親端末から送られてきた位置登録情報を用いて基地局チャネルを参照する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話網の携帯電話端末のように基地局に対して自端末の位置登録を行う移動体通信端末、複数の移動体通信端末と基地局からなる移動体通信システム、移動体通信端末における移動体通信端末制御方法、及び移動体通信端末制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、携帯電話端末等の移動体通信端末を各々所持した多数のユーザが電車等に乗車し、それら多数の移動体通信端末が当該電車等の移動に伴って或る基地局エリアから別の基地局エリアへ移るような場合には、それら多数の移動体通信端末により一斉に位置登録が行われることになるため、基地局エリア境界付近で無線負荷が増大し、回線容量を圧迫してしまうという問題が知られている。
【0003】
このような問題を解決する従来の技術として、特開2006−157957号の公開特許公報(特許文献1)には、電車等の移動体に乗車している多数のユーザがそれぞれ所有している携帯電話端末等の移動体端末の中で、例えば識別番号の小さい端末が親端末となり、他の複数の端末が子端末となされ、親端末が一括して子端末の位置登録を行うことにより、位置登録要求に関するトラヒックを削減可能とする技術が提案されている。また、この特許文献1によれば、親端末が移動体報知情報を報知し、子端末はその移動体報知情報の受信レベルを閾値と比較し、その受信レベルが閾値以下になったことを検知した時、親子関係を解除することが記載されている。さらに、この特許文献1において、親端末は、例えば電車等の移動体に設けられた中継装置とすることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−157957号公報(図13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、移動体通信端末は、基地局と無線により通信を行うようになされているため、例えば通信環境が悪化したような場合には、当該基地局との間で情報のやり取りが正常に行えなくなることがある。
【0006】
したがって、例えば上述の特許文献1に記載されているように、親端末が子端末の位置登録を一括して行うシステムにおいて、親端末と基地局との間の電波環境が悪化し、親端末が位置登録を行えないような状況になると、その親端末のみならず各子端末の全てが位置登録を行えないことになる。このように位置登録ができない状況になると、それら親端末、子端末の全てが通信不能になってしまう虞がある。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、電波環境が変動した場合であっても通信不能になってしまう事態を極力少なくすることを可能とする、移動体通信端末、移動体通信システム、移動体通信端末制御方法、及び移動体通信端末制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の移動体通信端末は、所定の移動体通信網の基地局との間で無線通信を行うための移動体無線通信部と、他端末との間で所定の近距離無線通信を行うための近距離無線通信部とを有する。さらに、本発明の移動体通信端末は、スコア情報生成部、グループ形成部、親端末動作制御部、子端末動作制御部を有する。ここで、スコア情報生成部は、所定の移動体通信網の基地局からの電波環境を評価するスコア情報を生成する。また、グループ形成部は、近距離無線通信が可能な他端末から、当該他端末が生成したスコア情報を近距離無線通信部を通じて取得して、自端末のスコア情報と当該他端末のスコア情報とを比較し、他端末のスコア情報よりも自端末のスコア情報の値が大きい時には、自端末が親端末となり他端末が子端末となるグループを形成し、一方、自端末のスコア情報よりも他端末のスコア情報の値が大きい時には、他端末が親端末となり自端末が子端末となるグループを形成する。そして、自端末が親端末となるグループが形成された時、親端末動作制御部は、当該グループ内の子端末が基地局に位置登録するための識別情報を、近距離無線通信部を通じて当該子端末から取得し、基地局への位置登録が必要になった際に、自端末の識別情報とともに子端末の識別情報を移動体無線通信部を通じて基地局へ送信し、その後に当該基地局から返送された位置登録情報を近距離無線通信部を通じてグループ内の子端末へ送信する。一方、自端末が子端末となるグループが形成された時、子端末動作制御部は、近距離無線通信部を通じて当該グループ内の親端末へ自端末の識別情報を送信し、その後に当該グループ内の親端末から近距離無線通信部を通じて送られてきた位置登録情報を用いて移動体通信網の基地局チャネルを参照する。これにより、本発明は上述した課題を解決する。
【0009】
すなわち、本発明によれば、基地局からの電波環境の評価スコアに応じて、グループの親端末、子端末が決定されるようになっている。特に、本発明では、電波環境のスコアが大きい端末が親端末になるため、電波環境が変動した場合でも確実に位置登録が行え、グループ内の各端末が位置登録不能により通信できなくなってしまうことがない。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、電波環境のスコアが大きい端末が親端末になるグループが形成されるため、電波環境が変動した場合であっても通信不能になってしまう事態を極力少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の移動体通信システムの概略的な一構成例を示す図である。
【図2】本発明実施形態の携帯電話端末の概略構成を示すブロック図である。
【図3】グループ形成時に親端末を決定するのに使用される電波環境のスコア情報の一例を示す図である。
【図4】グループを形成していない端末にて実行される処理の流れのうち、スタートから他端末がグループを形成しているか否かの判断までの処理部分を示すフローチャートである。
【図5】グループを形成していない端末にて実行される処理の流れのうち、他端末がグループを形成していないと判断した後の処理部分を示すフローチャートである。
【図6】グループを形成していない端末にて実行される処理の流れのうち、他端末が既にグループを形成していると判断した後、自端末が親端末になるまで処理部分を示すフローチャートである。
【図7】グループを形成していない端末にて実行される処理の流れのうち、他端末が既にグループを形成していると判断した後、自端末が子端末になるまでの処理部分を示すフローチャートである。
【図8】親端末となった端末にて実行される処理の流れのうち、子端末からスコア情報の取得と子端末リストから子端末の削除が行われる際の処理部分を示すフローチャートである。
【図9】親端末となった端末にて実行される処理の流れのうち、新たな位置登録が必要になった場合と自身が子端末になるまでの処理部分を示すフローチャートである。
【図10】子端末となった端末にて実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】或る携帯電話端末がグループ内の親端末になり、当該親端末である携帯電話端末が一括してグループ単位の位置登録を行う場合のシーケンス図である。
【図12】或る携帯電話端末が親端末となるグループが形成された後、例えば電波環境の変化により別の携帯電話端末のスコアが高くなったことで、親端末が切り替わり、その新たな親端末が一括して位置登録を行う場合のシーケンス図である。
【図13】或る携帯電話端末が親端末となるグループが形成された後、何れかの子端末が場所を離れる等してグループから外れ、その後に親端末が位置登録を行う場合のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0013】
なお、本発明が適用される一例として、本実施形態では、携帯電話端末と、複数の携帯電話端末からなるシステムを例に挙げているが、勿論、ここで説明する内容はあくまで一例であり、本発明はこの例に限定されないことは言うまでもない。
【0014】
[本実施形態のシステム構成例]
図1には、本実施形態の移動体通信システムの概略的な一構成例を示す。
【0015】
この図1において、複数の携帯電話端末2A〜2Fは、それぞれ同じ携帯電話通信網のサービスに加入しているとともに、本実施形態にかかる後述する移動体通信端末制御プログラムが実装されていて、後述する近距離無線通信機能などを含む各種機能をそれぞれ備えた携帯電話端末であるとする。そして、これら携帯電話端末2A〜2Fを所持した各ユーザは、例えば電車1のような移動装置に乗車しており、当該電車1の運行に伴って一緒に移動しているとする。なお、図1の例では、携帯電話端末を6台のみ挙げているが、勿論これよりも少ない数であっても、また多い数であってもよい。
【0016】
また、基地局3A〜3Cは、各携帯電話端末2A〜2Fが加入している携帯電話通信網の基地局であるとする。これら基地局の数についても、図1の例より少ない数であっても、また多い数であってもよい。
【0017】
[携帯電話端末の概略構成]
図2には、本実施形態の携帯電話端末の概略的な内部構成例を示す。
【0018】
図2において、通信アンテナ12は、例えば内蔵アンテナであり、通話や電子メール等のパケット通信のための信号電波の送受信を行う。通信回路11は、送受信信号の周波数変換、変調と復調等を行う。
【0019】
スピーカ20は、携帯電話端末に設けられている受話用のスピーカや、リンガ(着信音)、アラーム音、警告音、再生音楽、ディジタル音声、再生動画像の音声等の出力用スピーカであり、制御部10から供給された音声信号を音響波に変換して空気中に出力する。
【0020】
マイクロホン21は、送話用及び外部音声集音用のマイクロホンであり、音響波を音声信号に変換し、その音声信号を制御部10へ送る。
【0021】
表示部13は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(ElectroLuminescent)ディスプレイ等の表示デバイスと、そのディスプレイの表示駆動回路とを含み、制御部10から供給された画像信号により、上記ディスプレイ上に例えば電子メール等の各種文字やメッセージを表示したり、静止画像や動画像等の表示を行う。
【0022】
操作部14は、本実施形態の携帯電話端末の図示しない筐体上に設けられているテンキーや発話キー、終話/電源キー等の各キーや十字キー,ジョグダイヤル等の各操作子と、それら操作子が操作された時の操作信号を発生する操作信号発生器とからなる。
【0023】
近距離無線通信部22は、近距離無線通信アンテナ23を通じて例えばいわゆるブルートゥース(BlueTooth:登録商標)方式などによる近距離無線通信を行う。また、近距離無線通信通信部22は、近距離無線通信の全般的な制御と、制御部10との間でのデータのやり取りを行う。当該近距離無線通信部22は、他の端末等との間で近距離無線通信によるデータ送受信を行う場合の他に、本実施形態では、後述するような近距離範囲内で端末グループを形成する際のデータ送受信にも使用される。
【0024】
GPS部24は、GPSアンテナ25を通じて、GPS測地衛星からのGPS信号を受信し、そのGPS信号を用いて自端末の現在位置の緯度及び経度を求める。このGPS部24により得られたGPSデータ(緯度,経度を表す情報)は制御部10へ送られる。これにより、制御部10は、自端末の現在位置を知ることができる。当該GPS部24は、自端末の現在位置を計測する場合の他、本実施形態では、後述するような近距離範囲内で端末グループを形成或いは解散する処理の実行開始のトリガ信号を生成するためにも使用可能となされている。
【0025】
非接触通信部26は、非接触通信アンテナ27を通じて、例えばいわゆるRFID(Radio Frequency-Identification:電波方式認識)や非接触型ICカード等で用いられる非接触通信を行う。当該非接触通信部26は、いわゆる電子財布による電子決済や駅入出場時の電子切符としての情報を非接触通信を用いてやり取りする場合の他、本実施形態では、後述するように、近距離範囲内で端末グループを形成或いは解散する処理の実行開始のトリガ信号を生成するためにも使用可能となされている。
【0026】
メモリ部15は、当該端末の内部に設けられている内蔵メモリ16と、いわゆるSIM(Subscriber Identity Module)情報等を格納する着脱可能なカード状メモリ17とを含む。内蔵メモリ16は、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とからなる。上記ROMは、OS(Operating System)、制御部10が各部を制御するための制御プログラム、各種の初期設定値、辞書データ、着信音やキー操作音等の音データ、本発明実施形態にかかる後述するグループ形成等に関連する各種処理を実行する移動体通信端末制御プログラム、その他の各種アプリケーションプログラム、上記近距離無線通信部22における識別情報(ブルートゥースデバイス識別情報のような近距離無線通信ID)などが格納されている。このROMは、NAND型フラッシュメモリ(NAND-type flash memory)或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような書き換え可能なROMを含み、電子メールデータ、電話帳や電子メールアドレス帳のデータ、スケジュール帳のデータ、通信履歴、インターネット等に接続した際のキャッシュデータ等の様々なデータ、ユーザ辞書データ、静止画や動画データ、その他、各種のユーザ設定値等をも保存可能となされている。なお、図2の例では、上記内蔵メモリ16の上記各種データやプログラムの格納領域のうち、特に、上記制御プログラムや移動体通信端末制御プログラム等の各種アプリケーションプログラムを保持するプログラム格納部16aと、電話帳やスケジュール帳などの各種データを保持するデータ格納部16b、詳細は後述する近距離範囲内の端末グループに関連する情報(グループ化された各端末の近距離無線通信IDや各端末における電波強度の評価スコアなど)を記憶するグループ関連情報格納部16c等を図示している。勿論、図示は省略しているが、当該メモリ部15には、辞書データや初期設定値、静止画や動画データ等の格納領域も用意されている。RAMは、制御部10が各種のデータ処理を行う際の作業領域として、随時データを格納する。
【0027】
制御部10は、CPU(中央処理ユニット)からなり、通信回路11における通信の制御、音声処理及びその制御、画像処理及びその制御、その他各種信号処理や各部の制御等を行う。また、制御部10は、メモリ部15に格納されている各種の制御プログラムやアプリケーションプログラムの実行及びそれに付随する各種データ処理等を行う。特に、詳細については後述するが、本実施形態の場合、制御部10は、メモリ部15のプログラム格納部16aに格納されている移動体通信端末制御プログラムにより、近距離範囲内での他の端末との間のグループ形成等に関連する各種処理を実行する。
【0028】
その他、図2には図示を省略しているが、本実施形態の携帯電話端末は、写真画像の撮影のためのディジタルカメラ部、キー照明や着信ライト用などのLED(発光ダイオード)とその駆動部、各部へ電力を供給するバッテリとその電力をコントロールするパワーマネージメントIC部、外部メモリ用スロット、ディジタル放送の受信チューナ部とAVコーデック部、タイマ(時計部)など、一般的な携帯電話端末に設けられる各構成要素についても備えている。
【0029】
[本発明実施形態の移動体通信システムにおけるグループ形成処理の概要]
以下、本実施形態において、上述したような構成の複数の携帯電話端末によるグループの形成処理と各端末の動作について説明する。
【0030】
先ず、本実施形態におけるグループの形成処理と各端末の動作についての概要を説明する。なお、以下の説明では、近距離無線通信については常に可能な状態にあり、近距離無線通信による接続ができない場合の動作については後述する。
【0031】
本実施形態において、図1のように、複数のユーザが電車1等に乗車したことで、それら各ユーザの携帯電話端末2A〜2Fが近距離範囲内に集合する状況となった場合、それら各携帯電話端末2A〜2Fは、上記ブルートゥース方式などの近距離無線通信を通じて連絡を取り合い、グループを形成する。
【0032】
すなわち本実施形態の場合、各携帯電話端末2A〜2Fは、基地局との間の電波環境を表したスコア情報を相互にやり取りし、それらスコアが最も高い端末が親端末となり、残りの端末が子端末となるグループ形成処理を実行する。そして、グループが形成された場合、親端末は、各子端末のSIM情報を取得して、それら各子端末のSIM情報と各子端末の近距離無線通信ID及びスコア情報をリスト化して記憶し、一方、子端末は、親端末の近距離無線通信IDを当該親端末のスコア情報とともに記憶する。
【0033】
上記グループ形成処理についてより具体的に説明すると、本実施形態の各携帯電話端末2A〜2Fは、何れか二つの端末が近距離無線通信を通じて一対一に接続されると、それぞれが個々に受信している基地局からの電界強度等の情報を、上記電波環境を表すスコア情報としてやり取りし、何れかスコア(電界強度)の大きい方が親端末となり他方が子端末となってグループを形成する。
【0034】
また、何れか二つの端末が近距離無線通信を通じて一対一に接続された場合において、一方が既にグループに属した端末であり、他方が未だグループに属していない端末である場合、上記グループに属さない端末は、上記グループに属した端末から、そのグループの親端末のスコアを取得する。そして、自端末のスコアの方が上記グループの親端末のスコアよりも大きい場合には、そのグループの親端末から当該グループのリスト情報を取得して、自端末が親端末となりグループの再形成が行われる。一方、自端末のスコアの方が上記グループの親端末のスコアよりも小さい場合には、自端末のSIM情報をそのグループの親端末へ渡し、自端末が子端末となるグループの再形成が行われる。
【0035】
なお、何れか二つの端末が近距離無線通信を通じて一対一に接続された場合において、一方が或るグループに属した端末であり、他方が別のグループに属した端末である場合、本実施形態では、新たにグループを形成する処理は行わない。もちろん、それら両グループを統合して新たなグループを形成しても良い。二つ以上のグループを統合する場合には、各グループの親端末同士でスコアの比較を行い、スコアの大きい親端末のグループへ、スコアの小さい親端末のグループが吸収されるようにすればよい。
【0036】
上述のようにしてグループが形成された後、例えば電車1の運行に伴って、そのグループが異なる基地局エリアへ移動したことにより、新たに位置登録が必要になった場合には、上記親端末のみが基地局との間でやり取りを行って位置登録処理を行う。
【0037】
より具体的に説明すると、親端末は、基地局との間の同期補足、認証などの処理を行い、それら認証等の処理が完了した後、当該グループ内の各子端末の認証情報を基地局へ送付することにより、グループ一括で位置登録を行う。そして、当該位置登録処理が完了した後、親端末は、近距離無線通信を通じて、そのグループ内の個々の子端末に位置登録が行われたことを伝える。
【0038】
また、本実施形態においては、上記グループが一旦形成された後であっても、そのグループ内の各端末は、予め決められた一定時間毎に、親端末となるべき端末の再確認処理を行うようになされている。すなわち例えば、上記グループを形成する各端末は、近距離無線通信により一定時間毎に各端末間で通信してスコア情報をやり取りする。そして、最もスコアの大きい端末が現時点での親端末とは異なる端末になっていた場合には、当該最もスコアの大きな端末が新たな親端末へ切り替わる親端末交代処理(グループの再形成処理)を行う。
【0039】
その他、例えば、グループ内の何れかの端末から当該グループを離脱する旨の連絡がなされた場合や、上記一定時間毎に近距離無線通信を行う際に何れかの端末と通信ができなくなった場合にも、それら以外の近距離無線通信可能な各端末により、上述同様のグループの再形成処理が行われる。
【0040】
[電波環境を評価する際のスコア例]
図3には、グループ形成時に親端末を決定するのに使用される電波環境のスコア情報の一例を示す。
【0041】
なお、図3には、電波環境を評価するためのスコアの一例として、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式におけるCPICH(Common Pilot Channel)RSCP(CPICH_RSCP)のR値とEb/N0のE値を例に挙げている。また、図3中のR1,R2,R3、E1,E2,E3は予め実環境にて評価を行い決定した値を用いる。
【0042】
すなわち、この図3の例の場合、例えばR<R1又はR1<R<R2又はR2<R<R3又はR3<Rであり且つE<E1である場合にはスコア“1”、同じく例えばR<R1であり且つE1<E<E2又はE2<E<E3又はE3<Eである場合にはスコア“1”、また、例えばR1<R<R2又はR2<R<R3又はR3<Rであり且つE1<E<E2である場合にはスコア“2”、同じく例えばR1<R<R2であり且つE2<E<E3又はE3<Eである場合にはスコア“2”、また、例えばR2<R<R3又はR3<Rであり且つE2<E<E3である場合にはスコア“3”、同じく例えばR2<R<R3であり且つE3<Eである場合にはスコア“3”、さらに、例えばR3<Rであり且つE3<Eである場合にはスコア“4”と評価する。
【0043】
このように、本実施形態の携帯電話端末は、通信回路11により上記CPICH RSCPのR値とEb/N0のE値を検出し、それらR値及びE値と予め用意されたR1,R2,R3、E1,E2,E3の値とを制御部10が比較することにより、自端末の電波環境を評価する。
【0044】
また、本実施形態によれば、制御部10は、上記図3の例のようにして求めた自端末における電波環境のスコア情報と、近距離無線通信部22を通じて他の端末から取得したスコア情報とを比較することにより、自端末が親端末になるか或いは子端末になるかの判定を行う。
【0045】
[グループ形成処理の詳細な流れの説明]
以下、図4〜図10を参照しながら、本実施形態におけるグループ形成処理の流れについて説明する。なお、以下のフローチャートの処理は、メモリ部15のプログラム格納部16aに格納されている本実施形態の移動体通信端末制御プログラムのうち特にグループ形成に関連するプログラム部分を、携帯電話端末の制御部10が実行することにより実現される処理である。また、図4〜図7には、グループを形成していない端末にて実行される処理の流れを示し、図8と図9には、グループの親端末にて実行される処理の流れを、図10にはグループの子端末にて実行される処理の流れを示している。
【0046】
[グループを形成していない時の端末の処理フローチャート]
先ず、図4〜図7において、グループを形成していない端末の制御部10は、例えば電源投入等により処理をスタートすると、ステップS1の処理として、上述したグループを形成する処理の実行を許可するか否かのユーザ設定がなされているか判断する。そして、制御部10は、グループ形成処理の実行を許可する旨のユーザ設定がなされていると判断した場合にはステップS2へ処理を進め、一方、許可しない旨のユーザ設定がなされている場合にはこのフローチャートの処理を終了する。
【0047】
ステップS2の処理に進むと、制御部10は、本実施形態のグループ形成の処理を開始するための所定のトリガが検出されたか否か判断する。なお、本実施形態において、当該グループ形成処理の開始トリガとしては、例えば非接触通信部26が例えば駅の改札機等に設けられた非接触通信装置を通過して駅へ入場したこと、或いは、GPS部24が現在位置として予め登録されている駅の位置を検出したこと、或いは、ユーザによる操作部14を通じた所定のトリガ操作を検出したことなどを挙げることができる。そして、このステップS2において、所定のトリガが検出されると、制御部10は、ステップS3へ処理を進める。
【0048】
ステップS3の処理に進むと、制御部10は、近距離無線通信部22を起動させるとともにタイマを起動させて一定時間のカウントを開始し、当該一定時間が経過すると、ステップS4へ処理を進める。なお、本実施形態において、上記一定時間としては、例えば一分間など、端末の処理負担が増加しない程度で且つ余り長すぎない時間を任意に設定することができる。
【0049】
ステップS4の処理に進むと、制御部10は、自端末との間でグループを形成可能な他の端末が近距離範囲内に存在しているか否かのサーチ処理を開始する。なお、本実施形態において、上記グループを形成可能な他の端末とは、上記近距離無線通信部22を通じて自端末と通信可能で且つグループ形成等に関連する移動体通信端末制御プログラムを実行可能な端末のことである。
【0050】
そして、制御部10は、ステップS5の処理として、近距離無線通信部22を通じたサーチにより、自端末との間でグループを形成可能な他の端末が検出できない間はステップS3へ処理を戻し、一方、グループ形成可能な他の端末が検出された時にはステップS6へ処理を進める。
【0051】
ステップS6の処理に進むと、制御部10は、上記近距離無線通信部22を通じたサーチにより検出された当該他の端末が、既に別のグループを形成しているか否か判定し、既に別のグループを形成していると判定した場合には図6のステップS13へ処理を進め、一方、未だグループを形成していないと判定した場合には図5のステップS7へ処理を進める。
【0052】
図5のステップS7の処理に進むと、制御部10は、上記近距離無線通信部22を通じて上記他の端末(相手端末)から前述した電波環境を評価するためのスコア情報を取得する。
【0053】
次に、制御部10は、ステップS8の処理として、自端末のスコアと上記相手端末から取得したスコアとを比較し、自端末のスコアの方が高い(値が大きい)か否か判定する。そして、制御部10は、自端末のスコアの方が高いと判定した場合にはステップS9へ処理を進め、一方、相手端末のスコアの方が高いと判定した場合にはステップS11へ処理を進める。
【0054】
ステップS9の処理に進んだ場合、制御部10は、上記近距離無線通信部22を通じてグループ形成のための情報のやり取りを行い、上記相手端末との間の関係として、自端末が親端末となり、相手端末が子端末となるグループを形成し、当該相手端末からSIM情報を取得する。
【0055】
そして、制御部10は、ステップS10の処理として、当該相手端末のSIM情報と同じく相手端末の近距離無線通信ID及びスコア情報を、上記メモリ部15のグループ関連情報格納部16cの子端末リストに登録する。
【0056】
このステップS9の処理後、制御部10は、図8及び図9に示す親端末のフローチャートへ処理を移す。
【0057】
一方、ステップS11の処理に進んだ場合、制御部10は、上記近距離無線通信部22を通じてグループ形成のための情報のやり取りを行い、上記相手端末との間の関係として、自端末が子端末となり、相手端末が親端末となるグループを形成し、自端末のSIM情報を相手端末(親端末)へ送信する。
【0058】
そして、制御部10は、ステップS12の処理として、親端末である相手端末の近距離無線通信ID及びスコア情報を、上記メモリ部15のグループ関連情報格納部16cに登録する。
【0059】
このステップS12の処理後、制御部10は、図10に示す子端末のフローチャートへ処理を移す。
【0060】
また、図4のステップS6にて既に別のグループに属していると判定されて図6のステップS13の処理へ進んだ場合、制御部10は、上記近距離無線通信部22を通じて上記他の端末(相手端末)から、そのグループの親端末のスコア情報を取得する。なお、当該スコア情報の取得の際には、相手端末がそのグループの子端末である場合には、当該相手端末からは、それ自身のグループ関連情報格納部16cに格納している親端末のスコア情報が送信されてくることになり、また、相手端末がそのグループの親端末である場合には、当該相手端末自身のスコア情報が送信されてくることになる。
【0061】
次に、制御部10は、ステップS14の処理として、自端末のスコアと上記取得した親端末のスコアとを比較し、自端末のスコアの方が高いか否か判定する。そして、制御部10は、上記取得した親端末のスコアの方が高いと判定した場合には図7のステップS20へ処理を進め、一方、自端末のスコアの方が高いと判定した場合にはステップS15へ処理を進める。
【0062】
ステップS15の処理に進むと、制御部10は、上記近距離無線通信部22を通じて、そのグループの親端末にアクセス可能であるか判定し、アクセス不能であると判定した場合にはステップS19の処理として、そのグループへは参加せずに、図4のステップS3へ処理を戻す。一方、上記ステップS15にて、そのグループの親端末にアクセス可能であると判定した場合、制御部10は、ステップS16へ処理を進める。
【0063】
ステップS16の処理に進むと、制御部10は、上記近距離無線通信部22を通じて、そのグループの親端末から子端末リストを入手する。
【0064】
次に、制御部10は、ステップS17の処理として、そのグループ内の全ての子端末について、上記近距離無線通信部22を通じた通信が可能であるかチェックする。
【0065】
そして、制御部10は、近距離無線通信ができない子端末が有る場合には、ステップS18の処理として、当該子端末を子端末リストから削除した後、図8及び図9に示す親端末のフローチャートへ処理を移す。
【0066】
また、図7のステップS20の処理に進んだ場合、制御部10は、上記近距離無線通信部22を通じて、上記相手端末から、そのグループの親端末の近距離無線通信IDを取得し、さらにステップS21の処理として、当該親端末に対して近距離無線通信によるアクセスが可能であるか判定する。当該ステップS21の判定において、親端末に対してアクセス不能であると判定した場合、制御部10は、そのグループには参加せずに、図4のステップS3へ処理を戻す。一方、親端末に対してアクセス可能であると判定した場合、制御部10は、ステップS22へ処理を進める。
【0067】
ステップS22の処理に進むと、制御部10は、そのグループの親端末に対して、自端末のSIM情報等を送信した後、図10に示す子端末のフローチャートへ処理を移す。
【0068】
[親端末の処理フローチャート]
次に、本実施形態の携帯電話端末が親端末になった場合の処理の流れを図8及び図9を参照しながら説明する。
【0069】
図8において、親端末となった場合、制御部10は、ステップS31の処理として、タイマを起動させて一定時間のカウントを行い、当該一定時間が経過すると、ステップS32へ処理を進める。なおこの時の一定時間は、例えば前述の図4のステップS3の場合と同様に例えば一分間などの時間を挙げることができる。
【0070】
ステップS32の処理に進むと、制御部10は、メモリ部15のグループ関連情報格納部16cに登録されている子端末リスト内から一つの子端末を選択し、その子端末に対して、上記近距離無線通信部22を通じた通信を試みる。さらに、制御部10は、ステップS33の処理として、所定時間内に当該子端末から応答があり、近距離無線通信が可能であるか判断する。なお、本実施形態において、当該所定時間は、上記ステップS31の一定時間よりも十分に短い時間であり、子端末リスト内に登録されている全子端末に対して近距離無線通信が可能であるかを、上記一定時間内に全て判断することができるだけの短い時間に設定されている。
【0071】
そして、ステップS33において、子端末と通信不能であると判定した場合、制御部10は、ステップS36の処理として、当該通信不能と判断された子端末を子端末リストから削除する。
【0072】
次に、制御部10は、ステップS37の処理として、子端末リストには他に子端末が残っているか判定し、残っている場合にはステップS32へ処理を戻し、一方、子端末リストに他の子端末が残っていないと判定した場合には、前述したグループ形成前のフローチャートへ処理を戻す。
【0073】
一方、ステップS33にて子端末と通信可能であると判定してステップS34の処理に進むと、制御部10は、その子端末との間で上記近距離無線通信部22を通じた情報のやり取りを行い、ステップS35の処理として、当該子端末から現時点でのスコア情報を取得する。このステップS35の処理後、制御部10は、図9のステップS38へ処理を進める。
【0074】
図9のステップS33の処理に進むと、制御部10は、自端末のスコアと上記子端末のスコアとを比較し、自端末のスコアの方が高い(値が大きい)か否か判定する。そして、制御部10は、子端末のスコアの方が自端末のスコアよりも高くなっていると判定した場合にはステップS34へ処理を進め、相手端末を親端末とし、自端末が子端末となるように親子関係を変更した後、メモリ部15のグループ関連情報格納部16cに格納している子端末リストを、その変更後の親端末へ渡す。
【0075】
その後、制御部10は、図10に示す子端末のフローチャートへ処理を移す。
【0076】
一方、ステップS38にて、自端末のスコアの方が子端末のスコアよりも高いと判定した場合、制御部10は、ステップS39へ処理を進める。
【0077】
当該ステップS39の処理に進むと、制御部10は、子端末リストに他に子端末が残っているか判定し、残っている場合には図8のステップS32へ処理を戻す。一方、ステップS39において、子端末リストに他の子端末が残っていないと判定した場合にはステップS40へ処理を進める。
【0078】
ステップS40の処理に進むと、制御部10は、例えば電車の運行等により自端末が移動し、新たに位置登録を行わなければならなくなったか否か判定する。そして、制御部10は、ステップS40で移動していないと判定した場合にはステップS44へ処理を進め、一方、移動により新たな位置登録が必要になったと判定した場合にはステップS41へ処理を進める。
【0079】
ステップS41の処理に進むと、制御部10は、自端末のSIM情報と、グループ関連情報格納部16cの子端末リストに登録されている全ての子端末のSIM情報を、基地局へ送信して位置登録を行う。
【0080】
そして、制御部10は、ステップS42の処理として位置登録がなされると、子端末リスト内の全子端末に対し、位置登録情報を送信する。その後、制御部10は、図8のステップS31へ処理を戻す。
【0081】
一方、ステップS40にて移動していないと判定してステップS44の処理に進んだ場合、制御部10は、予め決めた所定の長時間以上同じ場所に留まっているか否か判定し、当該所定の長時間以上同じ場所に留まっていると判定した時には、ステップS45の処理として、グループを解散した後、図4のグループを形成していない時の端末の処理に戻る。なお、上記所定の長時間は、前記ステップS4やステップS31における一定時間よりも十分長い時間であり、例えばユーザが電車等から降りたことで、移動しなくなったときにはグループを自動的に解散するために設定された時間である。
【0082】
また、ステップS44において、移動していない時間が上記所定の長時間に達していない場合、制御部10は、図8のステップS31へ処理を戻す。
【0083】
なお、制御部10は、本実施形態のグループを解散するための所定のトリガが検出された時に、そのグループを解散する処理を実行してもよい。本実施形態において、当該グループの解散処理の開始トリガとしては、例えば非接触通信部26が例えば駅の改札機等に設けられた非接触通信装置を通過して駅から出場したこと、或いは、GPS部24が検出している現在位置が予め登録されている電車の路線から外れたことを検出したこと、或いは、ユーザによる操作部14を通じた所定のトリガ操作を検出したことなどを挙げることができる。
【0084】
[親端末の処理フローチャート]
次に、本実施形態の携帯電話端末が子端末になった場合の処理の流れを図10を参照しながら説明する。
【0085】
図10において、子端末となった場合、制御部10は、ステップS51の処理として、タイマを起動させて一定時間のカウントを行い、当該一定時間が経過すると、ステップS52へ処理を進める。なおこの時の一定時間は、例えば前述の図4のステップS3や図8のステップS31の場合と同様に例えば一分間などの時間を挙げることができる。
【0086】
ステップS52の処理に進むと、制御部10は、自身が属するグループの親端末に対して、上記近距離無線通信部22を通じた通信を試みる。さらに、制御部10は、ステップS53の処理として、所定時間内に当該親端末から応答があり、近距離無線通信が可能であるか判断する。なお、本実施形態において、当該所定時間は、上記ステップS51の一定時間よりも短い時間に設定されている。
【0087】
そして、ステップS53において、親端末と通信不能であると判定した場合、制御部10は、自端末が既にグループから抜けてしまっていると判断し、前述したグループ形成前のフローチャートへ処理を戻す。
【0088】
一方、ステップS53にて親端末と通信が可能であると判定した場合、制御部10は、ステップS54の処理として、上記近距離無線通信部22を通じて親端末と情報をやり取りし、自端末が当該親端末により子端末リストから削除されてしまっているか判定する。そして、制御部10は、子端末リストから既に削除されていると判定した場合には前述したグループ形成前のフローチャートへ処理を戻し、子端末リストから削除されていないいと判定した場合にはステップS55へ処理を進める。
【0089】
ステップS55の処理に進むと、親端末から新たな位置登録情報を受信したか否か判定し、受信していない時にはステップS51へ処理を戻す。
【0090】
一方、ステップS55にて親端末から新たな位置登録情報を受信したと判定した場合、制御部10は、ステップS56の処理として、当該新しい位置登録先の基地局チャンネルを参照した後、ステップS51へ処理を戻す。
【0091】
[グループ形成と位置登録のシーケンス]
以下、図1に示したシステムのうち携帯電話端末2A,2B,2Cと基地局3A,3Bのみを例に挙げ、それら携帯電話端末2A,2B,2Cによりグループが形成され、また、そのグループの親端末により位置登録が一括して行われる様子を、図11〜図13のシーケンス図を用いて説明する。
【0092】
図11は、携帯電話端末2Cがグループ内の親端末になり、当該親端末である携帯電話端末2Cが一括して位置登録を行う場合のシーケンス例を示している。
【0093】
この図11において、先ず、例えば携帯電話端末2Aと携帯電話端末2Bとの間で近距離無線通信が行われ、それらの間でスコア情報の通信(T1)が行われたとする。ここで、例えば携帯電話端末2B側のスコアが大きい(T2)場合には、当該携帯電話端末2Bが親端末(T3)となる。そして、このように上記携帯電話端末2Aと携帯電話端末2Bとの間において携帯電話端末2Bが親端末になった場合、子端末側の携帯電話端末2Aから親端末側の携帯電話端末2BへはSIM情報等が送信(T4)される。
【0094】
次に、携帯電話端末2Bと携帯電話端末2Cとの間で近距離無線通信が行われ、さらにそれらの間でスコア情報の通信(T5)が行われたとする。ここで、例えば携帯電話端末2C側のスコアが大きい(T6)場合には、当該携帯電話端末2Cが親端末(T7)となる。そして、上述のように、携帯電話端末2Aと携帯電話端末2Bとの間で携帯電話端末2Bが親端末になった後、さらに携帯電話端末2Bと携帯電話端末2Cとの間で携帯電話端末2Cが親端末になった場合、親端末から子端末になった携帯電話端末2Bから、新たに親端末になった携帯電話端末2Cへは、携帯電話端末2A,2BのSIM情報等が送信(T8)される。
【0095】
このように携帯電話端末2A,2B,2Cの間で、携帯電話端末2Cが親端末となるグループが形成された後、当該親端末の携帯電話端末2Cは、自身が属する携帯電話網の基地局エリアが基地局3Aのエリア内(T9)である場合には、その基地局3Aに対して、自身のSIM情報とともに子端末である携帯電話端末2A,2BのSIM情報をも送信して位置登録(T10)を行う。当該位置登録が完了すると、基地局3Aから携帯電話端末2Cへは登録完了の応答(T11)が返される。
【0096】
そしてこの時の携帯電話端末2Cは、子端末である携帯電話端末2B,2Aに対してそれぞれ位置登録情報を送信(T12,T13)する。
【0097】
その後、例えば携帯電話端末2Cとそのグループに属する携帯電話端末2A,2Bが移動し、基地局3Aのエリアから基地局3Bのエリアに移った(T14)とすると、親端末である携帯電話端末2Cは、当該移動先の基地局3Bに対して、自身のSIM情報とともに携帯電話端末2A,2BのSIM情報をも送信して位置登録(T15)を行う。この位置登録が完了すると、基地局3Bから携帯電話端末2Cへは登録完了の応答(T16)が返される。
【0098】
そしてこの時の携帯電話端末2Cは、子端末である携帯電話端末2B,2Aに対してそれぞれ新たな位置登録情報を送信(T17,T18)する。
【0099】
図12には、図11のように携帯電話端末2Cが親端末となるグループが形成された後、例えば電波環境の変化により携帯電話端末2Cよりも携帯電話端末2Bのスコアが高くなったことで、親端末が携帯電話端末2Cから携帯電話端末2Bへ切り替わり、新たな親端末となった携帯電話端末2Bが一括して位置登録を行う場合のシーケンス例を示している。
【0100】
この図12において、図11に示したようにグループが形成された後、そのグループ内では、一定時間毎に、各端末間ではスコア通信(T21,T22)が行われる。
【0101】
このスコア通信の結果、親端末であった携帯電話端末2Cのスコアよりも例えば携帯電話端末2Bのスコアが大きく(T23)なった場合、携帯電話端末2Cからは、自身のSIMと携帯電話端末2AのSIM、及び子端末リストが携帯電話端末2Bへ送信(T24)される。そして、携帯電話端末2Cから上記SIMと子端末リストを受け取った携帯電話端末2Bは、新たな親端末(T25)となる。
【0102】
上述のように、携帯電話端末2A,2B,2Cの間で、携帯電話端末2Bが新たな親端末となった場合、この親端末の携帯電話端末2Bは、自身が属する携帯電話網の基地局エリアが基地局3Aのエリア内(T26)である場合には、その基地局3Aに対して、自身のSIM情報とともに子端末である携帯電話端末2A,2CのSIM情報を送信して位置登録(T26)を行う。当該位置登録が完了すると、基地局3Aから携帯電話端末2Bへは登録完了の応答(T27)が返される。
【0103】
そしてこの時の携帯電話端末2Bは、子端末である携帯電話端末2A,2Cに対してそれぞれ位置登録情報を送信(T28,T29)する。
【0104】
その後、例えば携帯電話端末2Bとそのグループに属する携帯電話端末2A,2Cが移動し、基地局3Aのエリアから基地局3Bのエリアに移った(T30)とすると、親端末である携帯電話端末2Bは、当該移動先の基地局3Bに対して、自身のSIM情報とともに携帯電話端末2A,2CのSIM情報を送信して位置登録(T31)を行う。この位置登録が完了すると、基地局3Bから携帯電話端末2Bへは登録完了の応答(T32)が返される。
【0105】
そしてこの時の携帯電話端末2Bは、子端末である携帯電話端末2A,2Cに対してそれぞれ新たな位置登録情報を送信(T33,T34)する。
【0106】
図13には、図11のように携帯電話端末2Cが親端末となるグループが形成された後、何れかの子端末(図13の例では携帯電話端末2A)が場所を離れる等してグループから外れ、その後に親端末の携帯電話端末2Cが位置登録を行う場合のシーケンス例を示している。
【0107】
この図13において、図11に示したようにグループが形成された後、そのグループ内では、一定時間毎に、前述の図12のように各端末間でスコア通信を行うことになるが、この時それら各端末間の通信(T41,T42)の際に、例えば携帯電話端末2Aが通信不能(T43)になっていたとする。
【0108】
このように携帯電話端末2Aが通信不能になった場合、親端末であった携帯電話端末2Cは、当該携帯電話端末2Aを子端末リストから削除(T44)する。
【0109】
その後、親端末の携帯電話端末2Bは、自身が属する携帯電話網の基地局エリアが基地局3Aのエリア内(T26)である場合には、その基地局3Aに対して、自身のSIM情報とともに子端末である携帯電話端末2BのSIM情報を送信して位置登録(T46)を行う。当該位置登録が完了すると、基地局3Aから携帯電話端末2Cへは登録完了の応答(T47)が返される。
【0110】
そしてこの時の携帯電話端末2Cは、子端末である携帯電話端末2Bに対して位置登録情報を送信(T48)する。
【0111】
[まとめ]
以上説明したように、本発明実施形態によれば、相互に近距離無線通信が可能な各端末のうち電波環境のスコアが最も良い端末が適宜切り替わって親端末となり、他の各端末が子端末となるグループを形成し、そのグループ内の親端末が一括してグループ単位で位置登録を行うことにより、無線リソースの効率的な利用のみならず、電波環境の変動による影響を受け難く位置登録を確実に行えるようになる。
【0112】
なお、上述した実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した各実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0113】
上述した実施形態では、携帯電話端末を例に挙げたが、本発明は、位置登録を行って無線通信を行う様々な通信端末に適用可能である。
【符号の説明】
【0114】
1…電車、2A〜2F…携帯電話端末、3A〜3C…基地局、
10…制御部、11…通信回路、12…通信アンテナ、13…表示部、14…操作部、15…メモリ部、16…内蔵メモリ、17…カード状メモリ、16a…プログラム格納部、16b…データ格納部、16c…グループ関連情報格納部、20…スピーカ、21…マイクロホン、22…近距離無線通信部、23…近距離無線通信用のアンテナ、24…GPS部、25…GPS用のアンテナ、26…非接触通信部、27…非接触通信用のアンテナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話網の携帯電話端末のように基地局に対して自端末の位置登録を行う移動体通信端末、複数の移動体通信端末と基地局からなる移動体通信システム、移動体通信端末における移動体通信端末制御方法、及び移動体通信端末制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、携帯電話端末等の移動体通信端末を各々所持した多数のユーザが電車等に乗車し、それら多数の移動体通信端末が当該電車等の移動に伴って或る基地局エリアから別の基地局エリアへ移るような場合には、それら多数の移動体通信端末により一斉に位置登録が行われることになるため、基地局エリア境界付近で無線負荷が増大し、回線容量を圧迫してしまうという問題が知られている。
【0003】
このような問題を解決する従来の技術として、特開2006−157957号の公開特許公報(特許文献1)には、電車等の移動体に乗車している多数のユーザがそれぞれ所有している携帯電話端末等の移動体端末の中で、例えば識別番号の小さい端末が親端末となり、他の複数の端末が子端末となされ、親端末が一括して子端末の位置登録を行うことにより、位置登録要求に関するトラヒックを削減可能とする技術が提案されている。また、この特許文献1によれば、親端末が移動体報知情報を報知し、子端末はその移動体報知情報の受信レベルを閾値と比較し、その受信レベルが閾値以下になったことを検知した時、親子関係を解除することが記載されている。さらに、この特許文献1において、親端末は、例えば電車等の移動体に設けられた中継装置とすることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−157957号公報(図13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、移動体通信端末は、基地局と無線により通信を行うようになされているため、例えば通信環境が悪化したような場合には、当該基地局との間で情報のやり取りが正常に行えなくなることがある。
【0006】
したがって、例えば上述の特許文献1に記載されているように、親端末が子端末の位置登録を一括して行うシステムにおいて、親端末と基地局との間の電波環境が悪化し、親端末が位置登録を行えないような状況になると、その親端末のみならず各子端末の全てが位置登録を行えないことになる。このように位置登録ができない状況になると、それら親端末、子端末の全てが通信不能になってしまう虞がある。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、電波環境が変動した場合であっても通信不能になってしまう事態を極力少なくすることを可能とする、移動体通信端末、移動体通信システム、移動体通信端末制御方法、及び移動体通信端末制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の移動体通信端末は、所定の移動体通信網の基地局との間で無線通信を行うための移動体無線通信部と、他端末との間で所定の近距離無線通信を行うための近距離無線通信部とを有する。さらに、本発明の移動体通信端末は、スコア情報生成部、グループ形成部、親端末動作制御部、子端末動作制御部を有する。ここで、スコア情報生成部は、所定の移動体通信網の基地局からの電波環境を評価するスコア情報を生成する。また、グループ形成部は、近距離無線通信が可能な他端末から、当該他端末が生成したスコア情報を近距離無線通信部を通じて取得して、自端末のスコア情報と当該他端末のスコア情報とを比較し、他端末のスコア情報よりも自端末のスコア情報の値が大きい時には、自端末が親端末となり他端末が子端末となるグループを形成し、一方、自端末のスコア情報よりも他端末のスコア情報の値が大きい時には、他端末が親端末となり自端末が子端末となるグループを形成する。そして、自端末が親端末となるグループが形成された時、親端末動作制御部は、当該グループ内の子端末が基地局に位置登録するための識別情報を、近距離無線通信部を通じて当該子端末から取得し、基地局への位置登録が必要になった際に、自端末の識別情報とともに子端末の識別情報を移動体無線通信部を通じて基地局へ送信し、その後に当該基地局から返送された位置登録情報を近距離無線通信部を通じてグループ内の子端末へ送信する。一方、自端末が子端末となるグループが形成された時、子端末動作制御部は、近距離無線通信部を通じて当該グループ内の親端末へ自端末の識別情報を送信し、その後に当該グループ内の親端末から近距離無線通信部を通じて送られてきた位置登録情報を用いて移動体通信網の基地局チャネルを参照する。これにより、本発明は上述した課題を解決する。
【0009】
すなわち、本発明によれば、基地局からの電波環境の評価スコアに応じて、グループの親端末、子端末が決定されるようになっている。特に、本発明では、電波環境のスコアが大きい端末が親端末になるため、電波環境が変動した場合でも確実に位置登録が行え、グループ内の各端末が位置登録不能により通信できなくなってしまうことがない。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、電波環境のスコアが大きい端末が親端末になるグループが形成されるため、電波環境が変動した場合であっても通信不能になってしまう事態を極力少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の移動体通信システムの概略的な一構成例を示す図である。
【図2】本発明実施形態の携帯電話端末の概略構成を示すブロック図である。
【図3】グループ形成時に親端末を決定するのに使用される電波環境のスコア情報の一例を示す図である。
【図4】グループを形成していない端末にて実行される処理の流れのうち、スタートから他端末がグループを形成しているか否かの判断までの処理部分を示すフローチャートである。
【図5】グループを形成していない端末にて実行される処理の流れのうち、他端末がグループを形成していないと判断した後の処理部分を示すフローチャートである。
【図6】グループを形成していない端末にて実行される処理の流れのうち、他端末が既にグループを形成していると判断した後、自端末が親端末になるまで処理部分を示すフローチャートである。
【図7】グループを形成していない端末にて実行される処理の流れのうち、他端末が既にグループを形成していると判断した後、自端末が子端末になるまでの処理部分を示すフローチャートである。
【図8】親端末となった端末にて実行される処理の流れのうち、子端末からスコア情報の取得と子端末リストから子端末の削除が行われる際の処理部分を示すフローチャートである。
【図9】親端末となった端末にて実行される処理の流れのうち、新たな位置登録が必要になった場合と自身が子端末になるまでの処理部分を示すフローチャートである。
【図10】子端末となった端末にて実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】或る携帯電話端末がグループ内の親端末になり、当該親端末である携帯電話端末が一括してグループ単位の位置登録を行う場合のシーケンス図である。
【図12】或る携帯電話端末が親端末となるグループが形成された後、例えば電波環境の変化により別の携帯電話端末のスコアが高くなったことで、親端末が切り替わり、その新たな親端末が一括して位置登録を行う場合のシーケンス図である。
【図13】或る携帯電話端末が親端末となるグループが形成された後、何れかの子端末が場所を離れる等してグループから外れ、その後に親端末が位置登録を行う場合のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0013】
なお、本発明が適用される一例として、本実施形態では、携帯電話端末と、複数の携帯電話端末からなるシステムを例に挙げているが、勿論、ここで説明する内容はあくまで一例であり、本発明はこの例に限定されないことは言うまでもない。
【0014】
[本実施形態のシステム構成例]
図1には、本実施形態の移動体通信システムの概略的な一構成例を示す。
【0015】
この図1において、複数の携帯電話端末2A〜2Fは、それぞれ同じ携帯電話通信網のサービスに加入しているとともに、本実施形態にかかる後述する移動体通信端末制御プログラムが実装されていて、後述する近距離無線通信機能などを含む各種機能をそれぞれ備えた携帯電話端末であるとする。そして、これら携帯電話端末2A〜2Fを所持した各ユーザは、例えば電車1のような移動装置に乗車しており、当該電車1の運行に伴って一緒に移動しているとする。なお、図1の例では、携帯電話端末を6台のみ挙げているが、勿論これよりも少ない数であっても、また多い数であってもよい。
【0016】
また、基地局3A〜3Cは、各携帯電話端末2A〜2Fが加入している携帯電話通信網の基地局であるとする。これら基地局の数についても、図1の例より少ない数であっても、また多い数であってもよい。
【0017】
[携帯電話端末の概略構成]
図2には、本実施形態の携帯電話端末の概略的な内部構成例を示す。
【0018】
図2において、通信アンテナ12は、例えば内蔵アンテナであり、通話や電子メール等のパケット通信のための信号電波の送受信を行う。通信回路11は、送受信信号の周波数変換、変調と復調等を行う。
【0019】
スピーカ20は、携帯電話端末に設けられている受話用のスピーカや、リンガ(着信音)、アラーム音、警告音、再生音楽、ディジタル音声、再生動画像の音声等の出力用スピーカであり、制御部10から供給された音声信号を音響波に変換して空気中に出力する。
【0020】
マイクロホン21は、送話用及び外部音声集音用のマイクロホンであり、音響波を音声信号に変換し、その音声信号を制御部10へ送る。
【0021】
表示部13は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(ElectroLuminescent)ディスプレイ等の表示デバイスと、そのディスプレイの表示駆動回路とを含み、制御部10から供給された画像信号により、上記ディスプレイ上に例えば電子メール等の各種文字やメッセージを表示したり、静止画像や動画像等の表示を行う。
【0022】
操作部14は、本実施形態の携帯電話端末の図示しない筐体上に設けられているテンキーや発話キー、終話/電源キー等の各キーや十字キー,ジョグダイヤル等の各操作子と、それら操作子が操作された時の操作信号を発生する操作信号発生器とからなる。
【0023】
近距離無線通信部22は、近距離無線通信アンテナ23を通じて例えばいわゆるブルートゥース(BlueTooth:登録商標)方式などによる近距離無線通信を行う。また、近距離無線通信通信部22は、近距離無線通信の全般的な制御と、制御部10との間でのデータのやり取りを行う。当該近距離無線通信部22は、他の端末等との間で近距離無線通信によるデータ送受信を行う場合の他に、本実施形態では、後述するような近距離範囲内で端末グループを形成する際のデータ送受信にも使用される。
【0024】
GPS部24は、GPSアンテナ25を通じて、GPS測地衛星からのGPS信号を受信し、そのGPS信号を用いて自端末の現在位置の緯度及び経度を求める。このGPS部24により得られたGPSデータ(緯度,経度を表す情報)は制御部10へ送られる。これにより、制御部10は、自端末の現在位置を知ることができる。当該GPS部24は、自端末の現在位置を計測する場合の他、本実施形態では、後述するような近距離範囲内で端末グループを形成或いは解散する処理の実行開始のトリガ信号を生成するためにも使用可能となされている。
【0025】
非接触通信部26は、非接触通信アンテナ27を通じて、例えばいわゆるRFID(Radio Frequency-Identification:電波方式認識)や非接触型ICカード等で用いられる非接触通信を行う。当該非接触通信部26は、いわゆる電子財布による電子決済や駅入出場時の電子切符としての情報を非接触通信を用いてやり取りする場合の他、本実施形態では、後述するように、近距離範囲内で端末グループを形成或いは解散する処理の実行開始のトリガ信号を生成するためにも使用可能となされている。
【0026】
メモリ部15は、当該端末の内部に設けられている内蔵メモリ16と、いわゆるSIM(Subscriber Identity Module)情報等を格納する着脱可能なカード状メモリ17とを含む。内蔵メモリ16は、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とからなる。上記ROMは、OS(Operating System)、制御部10が各部を制御するための制御プログラム、各種の初期設定値、辞書データ、着信音やキー操作音等の音データ、本発明実施形態にかかる後述するグループ形成等に関連する各種処理を実行する移動体通信端末制御プログラム、その他の各種アプリケーションプログラム、上記近距離無線通信部22における識別情報(ブルートゥースデバイス識別情報のような近距離無線通信ID)などが格納されている。このROMは、NAND型フラッシュメモリ(NAND-type flash memory)或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような書き換え可能なROMを含み、電子メールデータ、電話帳や電子メールアドレス帳のデータ、スケジュール帳のデータ、通信履歴、インターネット等に接続した際のキャッシュデータ等の様々なデータ、ユーザ辞書データ、静止画や動画データ、その他、各種のユーザ設定値等をも保存可能となされている。なお、図2の例では、上記内蔵メモリ16の上記各種データやプログラムの格納領域のうち、特に、上記制御プログラムや移動体通信端末制御プログラム等の各種アプリケーションプログラムを保持するプログラム格納部16aと、電話帳やスケジュール帳などの各種データを保持するデータ格納部16b、詳細は後述する近距離範囲内の端末グループに関連する情報(グループ化された各端末の近距離無線通信IDや各端末における電波強度の評価スコアなど)を記憶するグループ関連情報格納部16c等を図示している。勿論、図示は省略しているが、当該メモリ部15には、辞書データや初期設定値、静止画や動画データ等の格納領域も用意されている。RAMは、制御部10が各種のデータ処理を行う際の作業領域として、随時データを格納する。
【0027】
制御部10は、CPU(中央処理ユニット)からなり、通信回路11における通信の制御、音声処理及びその制御、画像処理及びその制御、その他各種信号処理や各部の制御等を行う。また、制御部10は、メモリ部15に格納されている各種の制御プログラムやアプリケーションプログラムの実行及びそれに付随する各種データ処理等を行う。特に、詳細については後述するが、本実施形態の場合、制御部10は、メモリ部15のプログラム格納部16aに格納されている移動体通信端末制御プログラムにより、近距離範囲内での他の端末との間のグループ形成等に関連する各種処理を実行する。
【0028】
その他、図2には図示を省略しているが、本実施形態の携帯電話端末は、写真画像の撮影のためのディジタルカメラ部、キー照明や着信ライト用などのLED(発光ダイオード)とその駆動部、各部へ電力を供給するバッテリとその電力をコントロールするパワーマネージメントIC部、外部メモリ用スロット、ディジタル放送の受信チューナ部とAVコーデック部、タイマ(時計部)など、一般的な携帯電話端末に設けられる各構成要素についても備えている。
【0029】
[本発明実施形態の移動体通信システムにおけるグループ形成処理の概要]
以下、本実施形態において、上述したような構成の複数の携帯電話端末によるグループの形成処理と各端末の動作について説明する。
【0030】
先ず、本実施形態におけるグループの形成処理と各端末の動作についての概要を説明する。なお、以下の説明では、近距離無線通信については常に可能な状態にあり、近距離無線通信による接続ができない場合の動作については後述する。
【0031】
本実施形態において、図1のように、複数のユーザが電車1等に乗車したことで、それら各ユーザの携帯電話端末2A〜2Fが近距離範囲内に集合する状況となった場合、それら各携帯電話端末2A〜2Fは、上記ブルートゥース方式などの近距離無線通信を通じて連絡を取り合い、グループを形成する。
【0032】
すなわち本実施形態の場合、各携帯電話端末2A〜2Fは、基地局との間の電波環境を表したスコア情報を相互にやり取りし、それらスコアが最も高い端末が親端末となり、残りの端末が子端末となるグループ形成処理を実行する。そして、グループが形成された場合、親端末は、各子端末のSIM情報を取得して、それら各子端末のSIM情報と各子端末の近距離無線通信ID及びスコア情報をリスト化して記憶し、一方、子端末は、親端末の近距離無線通信IDを当該親端末のスコア情報とともに記憶する。
【0033】
上記グループ形成処理についてより具体的に説明すると、本実施形態の各携帯電話端末2A〜2Fは、何れか二つの端末が近距離無線通信を通じて一対一に接続されると、それぞれが個々に受信している基地局からの電界強度等の情報を、上記電波環境を表すスコア情報としてやり取りし、何れかスコア(電界強度)の大きい方が親端末となり他方が子端末となってグループを形成する。
【0034】
また、何れか二つの端末が近距離無線通信を通じて一対一に接続された場合において、一方が既にグループに属した端末であり、他方が未だグループに属していない端末である場合、上記グループに属さない端末は、上記グループに属した端末から、そのグループの親端末のスコアを取得する。そして、自端末のスコアの方が上記グループの親端末のスコアよりも大きい場合には、そのグループの親端末から当該グループのリスト情報を取得して、自端末が親端末となりグループの再形成が行われる。一方、自端末のスコアの方が上記グループの親端末のスコアよりも小さい場合には、自端末のSIM情報をそのグループの親端末へ渡し、自端末が子端末となるグループの再形成が行われる。
【0035】
なお、何れか二つの端末が近距離無線通信を通じて一対一に接続された場合において、一方が或るグループに属した端末であり、他方が別のグループに属した端末である場合、本実施形態では、新たにグループを形成する処理は行わない。もちろん、それら両グループを統合して新たなグループを形成しても良い。二つ以上のグループを統合する場合には、各グループの親端末同士でスコアの比較を行い、スコアの大きい親端末のグループへ、スコアの小さい親端末のグループが吸収されるようにすればよい。
【0036】
上述のようにしてグループが形成された後、例えば電車1の運行に伴って、そのグループが異なる基地局エリアへ移動したことにより、新たに位置登録が必要になった場合には、上記親端末のみが基地局との間でやり取りを行って位置登録処理を行う。
【0037】
より具体的に説明すると、親端末は、基地局との間の同期補足、認証などの処理を行い、それら認証等の処理が完了した後、当該グループ内の各子端末の認証情報を基地局へ送付することにより、グループ一括で位置登録を行う。そして、当該位置登録処理が完了した後、親端末は、近距離無線通信を通じて、そのグループ内の個々の子端末に位置登録が行われたことを伝える。
【0038】
また、本実施形態においては、上記グループが一旦形成された後であっても、そのグループ内の各端末は、予め決められた一定時間毎に、親端末となるべき端末の再確認処理を行うようになされている。すなわち例えば、上記グループを形成する各端末は、近距離無線通信により一定時間毎に各端末間で通信してスコア情報をやり取りする。そして、最もスコアの大きい端末が現時点での親端末とは異なる端末になっていた場合には、当該最もスコアの大きな端末が新たな親端末へ切り替わる親端末交代処理(グループの再形成処理)を行う。
【0039】
その他、例えば、グループ内の何れかの端末から当該グループを離脱する旨の連絡がなされた場合や、上記一定時間毎に近距離無線通信を行う際に何れかの端末と通信ができなくなった場合にも、それら以外の近距離無線通信可能な各端末により、上述同様のグループの再形成処理が行われる。
【0040】
[電波環境を評価する際のスコア例]
図3には、グループ形成時に親端末を決定するのに使用される電波環境のスコア情報の一例を示す。
【0041】
なお、図3には、電波環境を評価するためのスコアの一例として、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式におけるCPICH(Common Pilot Channel)RSCP(CPICH_RSCP)のR値とEb/N0のE値を例に挙げている。また、図3中のR1,R2,R3、E1,E2,E3は予め実環境にて評価を行い決定した値を用いる。
【0042】
すなわち、この図3の例の場合、例えばR<R1又はR1<R<R2又はR2<R<R3又はR3<Rであり且つE<E1である場合にはスコア“1”、同じく例えばR<R1であり且つE1<E<E2又はE2<E<E3又はE3<Eである場合にはスコア“1”、また、例えばR1<R<R2又はR2<R<R3又はR3<Rであり且つE1<E<E2である場合にはスコア“2”、同じく例えばR1<R<R2であり且つE2<E<E3又はE3<Eである場合にはスコア“2”、また、例えばR2<R<R3又はR3<Rであり且つE2<E<E3である場合にはスコア“3”、同じく例えばR2<R<R3であり且つE3<Eである場合にはスコア“3”、さらに、例えばR3<Rであり且つE3<Eである場合にはスコア“4”と評価する。
【0043】
このように、本実施形態の携帯電話端末は、通信回路11により上記CPICH RSCPのR値とEb/N0のE値を検出し、それらR値及びE値と予め用意されたR1,R2,R3、E1,E2,E3の値とを制御部10が比較することにより、自端末の電波環境を評価する。
【0044】
また、本実施形態によれば、制御部10は、上記図3の例のようにして求めた自端末における電波環境のスコア情報と、近距離無線通信部22を通じて他の端末から取得したスコア情報とを比較することにより、自端末が親端末になるか或いは子端末になるかの判定を行う。
【0045】
[グループ形成処理の詳細な流れの説明]
以下、図4〜図10を参照しながら、本実施形態におけるグループ形成処理の流れについて説明する。なお、以下のフローチャートの処理は、メモリ部15のプログラム格納部16aに格納されている本実施形態の移動体通信端末制御プログラムのうち特にグループ形成に関連するプログラム部分を、携帯電話端末の制御部10が実行することにより実現される処理である。また、図4〜図7には、グループを形成していない端末にて実行される処理の流れを示し、図8と図9には、グループの親端末にて実行される処理の流れを、図10にはグループの子端末にて実行される処理の流れを示している。
【0046】
[グループを形成していない時の端末の処理フローチャート]
先ず、図4〜図7において、グループを形成していない端末の制御部10は、例えば電源投入等により処理をスタートすると、ステップS1の処理として、上述したグループを形成する処理の実行を許可するか否かのユーザ設定がなされているか判断する。そして、制御部10は、グループ形成処理の実行を許可する旨のユーザ設定がなされていると判断した場合にはステップS2へ処理を進め、一方、許可しない旨のユーザ設定がなされている場合にはこのフローチャートの処理を終了する。
【0047】
ステップS2の処理に進むと、制御部10は、本実施形態のグループ形成の処理を開始するための所定のトリガが検出されたか否か判断する。なお、本実施形態において、当該グループ形成処理の開始トリガとしては、例えば非接触通信部26が例えば駅の改札機等に設けられた非接触通信装置を通過して駅へ入場したこと、或いは、GPS部24が現在位置として予め登録されている駅の位置を検出したこと、或いは、ユーザによる操作部14を通じた所定のトリガ操作を検出したことなどを挙げることができる。そして、このステップS2において、所定のトリガが検出されると、制御部10は、ステップS3へ処理を進める。
【0048】
ステップS3の処理に進むと、制御部10は、近距離無線通信部22を起動させるとともにタイマを起動させて一定時間のカウントを開始し、当該一定時間が経過すると、ステップS4へ処理を進める。なお、本実施形態において、上記一定時間としては、例えば一分間など、端末の処理負担が増加しない程度で且つ余り長すぎない時間を任意に設定することができる。
【0049】
ステップS4の処理に進むと、制御部10は、自端末との間でグループを形成可能な他の端末が近距離範囲内に存在しているか否かのサーチ処理を開始する。なお、本実施形態において、上記グループを形成可能な他の端末とは、上記近距離無線通信部22を通じて自端末と通信可能で且つグループ形成等に関連する移動体通信端末制御プログラムを実行可能な端末のことである。
【0050】
そして、制御部10は、ステップS5の処理として、近距離無線通信部22を通じたサーチにより、自端末との間でグループを形成可能な他の端末が検出できない間はステップS3へ処理を戻し、一方、グループ形成可能な他の端末が検出された時にはステップS6へ処理を進める。
【0051】
ステップS6の処理に進むと、制御部10は、上記近距離無線通信部22を通じたサーチにより検出された当該他の端末が、既に別のグループを形成しているか否か判定し、既に別のグループを形成していると判定した場合には図6のステップS13へ処理を進め、一方、未だグループを形成していないと判定した場合には図5のステップS7へ処理を進める。
【0052】
図5のステップS7の処理に進むと、制御部10は、上記近距離無線通信部22を通じて上記他の端末(相手端末)から前述した電波環境を評価するためのスコア情報を取得する。
【0053】
次に、制御部10は、ステップS8の処理として、自端末のスコアと上記相手端末から取得したスコアとを比較し、自端末のスコアの方が高い(値が大きい)か否か判定する。そして、制御部10は、自端末のスコアの方が高いと判定した場合にはステップS9へ処理を進め、一方、相手端末のスコアの方が高いと判定した場合にはステップS11へ処理を進める。
【0054】
ステップS9の処理に進んだ場合、制御部10は、上記近距離無線通信部22を通じてグループ形成のための情報のやり取りを行い、上記相手端末との間の関係として、自端末が親端末となり、相手端末が子端末となるグループを形成し、当該相手端末からSIM情報を取得する。
【0055】
そして、制御部10は、ステップS10の処理として、当該相手端末のSIM情報と同じく相手端末の近距離無線通信ID及びスコア情報を、上記メモリ部15のグループ関連情報格納部16cの子端末リストに登録する。
【0056】
このステップS9の処理後、制御部10は、図8及び図9に示す親端末のフローチャートへ処理を移す。
【0057】
一方、ステップS11の処理に進んだ場合、制御部10は、上記近距離無線通信部22を通じてグループ形成のための情報のやり取りを行い、上記相手端末との間の関係として、自端末が子端末となり、相手端末が親端末となるグループを形成し、自端末のSIM情報を相手端末(親端末)へ送信する。
【0058】
そして、制御部10は、ステップS12の処理として、親端末である相手端末の近距離無線通信ID及びスコア情報を、上記メモリ部15のグループ関連情報格納部16cに登録する。
【0059】
このステップS12の処理後、制御部10は、図10に示す子端末のフローチャートへ処理を移す。
【0060】
また、図4のステップS6にて既に別のグループに属していると判定されて図6のステップS13の処理へ進んだ場合、制御部10は、上記近距離無線通信部22を通じて上記他の端末(相手端末)から、そのグループの親端末のスコア情報を取得する。なお、当該スコア情報の取得の際には、相手端末がそのグループの子端末である場合には、当該相手端末からは、それ自身のグループ関連情報格納部16cに格納している親端末のスコア情報が送信されてくることになり、また、相手端末がそのグループの親端末である場合には、当該相手端末自身のスコア情報が送信されてくることになる。
【0061】
次に、制御部10は、ステップS14の処理として、自端末のスコアと上記取得した親端末のスコアとを比較し、自端末のスコアの方が高いか否か判定する。そして、制御部10は、上記取得した親端末のスコアの方が高いと判定した場合には図7のステップS20へ処理を進め、一方、自端末のスコアの方が高いと判定した場合にはステップS15へ処理を進める。
【0062】
ステップS15の処理に進むと、制御部10は、上記近距離無線通信部22を通じて、そのグループの親端末にアクセス可能であるか判定し、アクセス不能であると判定した場合にはステップS19の処理として、そのグループへは参加せずに、図4のステップS3へ処理を戻す。一方、上記ステップS15にて、そのグループの親端末にアクセス可能であると判定した場合、制御部10は、ステップS16へ処理を進める。
【0063】
ステップS16の処理に進むと、制御部10は、上記近距離無線通信部22を通じて、そのグループの親端末から子端末リストを入手する。
【0064】
次に、制御部10は、ステップS17の処理として、そのグループ内の全ての子端末について、上記近距離無線通信部22を通じた通信が可能であるかチェックする。
【0065】
そして、制御部10は、近距離無線通信ができない子端末が有る場合には、ステップS18の処理として、当該子端末を子端末リストから削除した後、図8及び図9に示す親端末のフローチャートへ処理を移す。
【0066】
また、図7のステップS20の処理に進んだ場合、制御部10は、上記近距離無線通信部22を通じて、上記相手端末から、そのグループの親端末の近距離無線通信IDを取得し、さらにステップS21の処理として、当該親端末に対して近距離無線通信によるアクセスが可能であるか判定する。当該ステップS21の判定において、親端末に対してアクセス不能であると判定した場合、制御部10は、そのグループには参加せずに、図4のステップS3へ処理を戻す。一方、親端末に対してアクセス可能であると判定した場合、制御部10は、ステップS22へ処理を進める。
【0067】
ステップS22の処理に進むと、制御部10は、そのグループの親端末に対して、自端末のSIM情報等を送信した後、図10に示す子端末のフローチャートへ処理を移す。
【0068】
[親端末の処理フローチャート]
次に、本実施形態の携帯電話端末が親端末になった場合の処理の流れを図8及び図9を参照しながら説明する。
【0069】
図8において、親端末となった場合、制御部10は、ステップS31の処理として、タイマを起動させて一定時間のカウントを行い、当該一定時間が経過すると、ステップS32へ処理を進める。なおこの時の一定時間は、例えば前述の図4のステップS3の場合と同様に例えば一分間などの時間を挙げることができる。
【0070】
ステップS32の処理に進むと、制御部10は、メモリ部15のグループ関連情報格納部16cに登録されている子端末リスト内から一つの子端末を選択し、その子端末に対して、上記近距離無線通信部22を通じた通信を試みる。さらに、制御部10は、ステップS33の処理として、所定時間内に当該子端末から応答があり、近距離無線通信が可能であるか判断する。なお、本実施形態において、当該所定時間は、上記ステップS31の一定時間よりも十分に短い時間であり、子端末リスト内に登録されている全子端末に対して近距離無線通信が可能であるかを、上記一定時間内に全て判断することができるだけの短い時間に設定されている。
【0071】
そして、ステップS33において、子端末と通信不能であると判定した場合、制御部10は、ステップS36の処理として、当該通信不能と判断された子端末を子端末リストから削除する。
【0072】
次に、制御部10は、ステップS37の処理として、子端末リストには他に子端末が残っているか判定し、残っている場合にはステップS32へ処理を戻し、一方、子端末リストに他の子端末が残っていないと判定した場合には、前述したグループ形成前のフローチャートへ処理を戻す。
【0073】
一方、ステップS33にて子端末と通信可能であると判定してステップS34の処理に進むと、制御部10は、その子端末との間で上記近距離無線通信部22を通じた情報のやり取りを行い、ステップS35の処理として、当該子端末から現時点でのスコア情報を取得する。このステップS35の処理後、制御部10は、図9のステップS38へ処理を進める。
【0074】
図9のステップS33の処理に進むと、制御部10は、自端末のスコアと上記子端末のスコアとを比較し、自端末のスコアの方が高い(値が大きい)か否か判定する。そして、制御部10は、子端末のスコアの方が自端末のスコアよりも高くなっていると判定した場合にはステップS34へ処理を進め、相手端末を親端末とし、自端末が子端末となるように親子関係を変更した後、メモリ部15のグループ関連情報格納部16cに格納している子端末リストを、その変更後の親端末へ渡す。
【0075】
その後、制御部10は、図10に示す子端末のフローチャートへ処理を移す。
【0076】
一方、ステップS38にて、自端末のスコアの方が子端末のスコアよりも高いと判定した場合、制御部10は、ステップS39へ処理を進める。
【0077】
当該ステップS39の処理に進むと、制御部10は、子端末リストに他に子端末が残っているか判定し、残っている場合には図8のステップS32へ処理を戻す。一方、ステップS39において、子端末リストに他の子端末が残っていないと判定した場合にはステップS40へ処理を進める。
【0078】
ステップS40の処理に進むと、制御部10は、例えば電車の運行等により自端末が移動し、新たに位置登録を行わなければならなくなったか否か判定する。そして、制御部10は、ステップS40で移動していないと判定した場合にはステップS44へ処理を進め、一方、移動により新たな位置登録が必要になったと判定した場合にはステップS41へ処理を進める。
【0079】
ステップS41の処理に進むと、制御部10は、自端末のSIM情報と、グループ関連情報格納部16cの子端末リストに登録されている全ての子端末のSIM情報を、基地局へ送信して位置登録を行う。
【0080】
そして、制御部10は、ステップS42の処理として位置登録がなされると、子端末リスト内の全子端末に対し、位置登録情報を送信する。その後、制御部10は、図8のステップS31へ処理を戻す。
【0081】
一方、ステップS40にて移動していないと判定してステップS44の処理に進んだ場合、制御部10は、予め決めた所定の長時間以上同じ場所に留まっているか否か判定し、当該所定の長時間以上同じ場所に留まっていると判定した時には、ステップS45の処理として、グループを解散した後、図4のグループを形成していない時の端末の処理に戻る。なお、上記所定の長時間は、前記ステップS4やステップS31における一定時間よりも十分長い時間であり、例えばユーザが電車等から降りたことで、移動しなくなったときにはグループを自動的に解散するために設定された時間である。
【0082】
また、ステップS44において、移動していない時間が上記所定の長時間に達していない場合、制御部10は、図8のステップS31へ処理を戻す。
【0083】
なお、制御部10は、本実施形態のグループを解散するための所定のトリガが検出された時に、そのグループを解散する処理を実行してもよい。本実施形態において、当該グループの解散処理の開始トリガとしては、例えば非接触通信部26が例えば駅の改札機等に設けられた非接触通信装置を通過して駅から出場したこと、或いは、GPS部24が検出している現在位置が予め登録されている電車の路線から外れたことを検出したこと、或いは、ユーザによる操作部14を通じた所定のトリガ操作を検出したことなどを挙げることができる。
【0084】
[親端末の処理フローチャート]
次に、本実施形態の携帯電話端末が子端末になった場合の処理の流れを図10を参照しながら説明する。
【0085】
図10において、子端末となった場合、制御部10は、ステップS51の処理として、タイマを起動させて一定時間のカウントを行い、当該一定時間が経過すると、ステップS52へ処理を進める。なおこの時の一定時間は、例えば前述の図4のステップS3や図8のステップS31の場合と同様に例えば一分間などの時間を挙げることができる。
【0086】
ステップS52の処理に進むと、制御部10は、自身が属するグループの親端末に対して、上記近距離無線通信部22を通じた通信を試みる。さらに、制御部10は、ステップS53の処理として、所定時間内に当該親端末から応答があり、近距離無線通信が可能であるか判断する。なお、本実施形態において、当該所定時間は、上記ステップS51の一定時間よりも短い時間に設定されている。
【0087】
そして、ステップS53において、親端末と通信不能であると判定した場合、制御部10は、自端末が既にグループから抜けてしまっていると判断し、前述したグループ形成前のフローチャートへ処理を戻す。
【0088】
一方、ステップS53にて親端末と通信が可能であると判定した場合、制御部10は、ステップS54の処理として、上記近距離無線通信部22を通じて親端末と情報をやり取りし、自端末が当該親端末により子端末リストから削除されてしまっているか判定する。そして、制御部10は、子端末リストから既に削除されていると判定した場合には前述したグループ形成前のフローチャートへ処理を戻し、子端末リストから削除されていないいと判定した場合にはステップS55へ処理を進める。
【0089】
ステップS55の処理に進むと、親端末から新たな位置登録情報を受信したか否か判定し、受信していない時にはステップS51へ処理を戻す。
【0090】
一方、ステップS55にて親端末から新たな位置登録情報を受信したと判定した場合、制御部10は、ステップS56の処理として、当該新しい位置登録先の基地局チャンネルを参照した後、ステップS51へ処理を戻す。
【0091】
[グループ形成と位置登録のシーケンス]
以下、図1に示したシステムのうち携帯電話端末2A,2B,2Cと基地局3A,3Bのみを例に挙げ、それら携帯電話端末2A,2B,2Cによりグループが形成され、また、そのグループの親端末により位置登録が一括して行われる様子を、図11〜図13のシーケンス図を用いて説明する。
【0092】
図11は、携帯電話端末2Cがグループ内の親端末になり、当該親端末である携帯電話端末2Cが一括して位置登録を行う場合のシーケンス例を示している。
【0093】
この図11において、先ず、例えば携帯電話端末2Aと携帯電話端末2Bとの間で近距離無線通信が行われ、それらの間でスコア情報の通信(T1)が行われたとする。ここで、例えば携帯電話端末2B側のスコアが大きい(T2)場合には、当該携帯電話端末2Bが親端末(T3)となる。そして、このように上記携帯電話端末2Aと携帯電話端末2Bとの間において携帯電話端末2Bが親端末になった場合、子端末側の携帯電話端末2Aから親端末側の携帯電話端末2BへはSIM情報等が送信(T4)される。
【0094】
次に、携帯電話端末2Bと携帯電話端末2Cとの間で近距離無線通信が行われ、さらにそれらの間でスコア情報の通信(T5)が行われたとする。ここで、例えば携帯電話端末2C側のスコアが大きい(T6)場合には、当該携帯電話端末2Cが親端末(T7)となる。そして、上述のように、携帯電話端末2Aと携帯電話端末2Bとの間で携帯電話端末2Bが親端末になった後、さらに携帯電話端末2Bと携帯電話端末2Cとの間で携帯電話端末2Cが親端末になった場合、親端末から子端末になった携帯電話端末2Bから、新たに親端末になった携帯電話端末2Cへは、携帯電話端末2A,2BのSIM情報等が送信(T8)される。
【0095】
このように携帯電話端末2A,2B,2Cの間で、携帯電話端末2Cが親端末となるグループが形成された後、当該親端末の携帯電話端末2Cは、自身が属する携帯電話網の基地局エリアが基地局3Aのエリア内(T9)である場合には、その基地局3Aに対して、自身のSIM情報とともに子端末である携帯電話端末2A,2BのSIM情報をも送信して位置登録(T10)を行う。当該位置登録が完了すると、基地局3Aから携帯電話端末2Cへは登録完了の応答(T11)が返される。
【0096】
そしてこの時の携帯電話端末2Cは、子端末である携帯電話端末2B,2Aに対してそれぞれ位置登録情報を送信(T12,T13)する。
【0097】
その後、例えば携帯電話端末2Cとそのグループに属する携帯電話端末2A,2Bが移動し、基地局3Aのエリアから基地局3Bのエリアに移った(T14)とすると、親端末である携帯電話端末2Cは、当該移動先の基地局3Bに対して、自身のSIM情報とともに携帯電話端末2A,2BのSIM情報をも送信して位置登録(T15)を行う。この位置登録が完了すると、基地局3Bから携帯電話端末2Cへは登録完了の応答(T16)が返される。
【0098】
そしてこの時の携帯電話端末2Cは、子端末である携帯電話端末2B,2Aに対してそれぞれ新たな位置登録情報を送信(T17,T18)する。
【0099】
図12には、図11のように携帯電話端末2Cが親端末となるグループが形成された後、例えば電波環境の変化により携帯電話端末2Cよりも携帯電話端末2Bのスコアが高くなったことで、親端末が携帯電話端末2Cから携帯電話端末2Bへ切り替わり、新たな親端末となった携帯電話端末2Bが一括して位置登録を行う場合のシーケンス例を示している。
【0100】
この図12において、図11に示したようにグループが形成された後、そのグループ内では、一定時間毎に、各端末間ではスコア通信(T21,T22)が行われる。
【0101】
このスコア通信の結果、親端末であった携帯電話端末2Cのスコアよりも例えば携帯電話端末2Bのスコアが大きく(T23)なった場合、携帯電話端末2Cからは、自身のSIMと携帯電話端末2AのSIM、及び子端末リストが携帯電話端末2Bへ送信(T24)される。そして、携帯電話端末2Cから上記SIMと子端末リストを受け取った携帯電話端末2Bは、新たな親端末(T25)となる。
【0102】
上述のように、携帯電話端末2A,2B,2Cの間で、携帯電話端末2Bが新たな親端末となった場合、この親端末の携帯電話端末2Bは、自身が属する携帯電話網の基地局エリアが基地局3Aのエリア内(T26)である場合には、その基地局3Aに対して、自身のSIM情報とともに子端末である携帯電話端末2A,2CのSIM情報を送信して位置登録(T26)を行う。当該位置登録が完了すると、基地局3Aから携帯電話端末2Bへは登録完了の応答(T27)が返される。
【0103】
そしてこの時の携帯電話端末2Bは、子端末である携帯電話端末2A,2Cに対してそれぞれ位置登録情報を送信(T28,T29)する。
【0104】
その後、例えば携帯電話端末2Bとそのグループに属する携帯電話端末2A,2Cが移動し、基地局3Aのエリアから基地局3Bのエリアに移った(T30)とすると、親端末である携帯電話端末2Bは、当該移動先の基地局3Bに対して、自身のSIM情報とともに携帯電話端末2A,2CのSIM情報を送信して位置登録(T31)を行う。この位置登録が完了すると、基地局3Bから携帯電話端末2Bへは登録完了の応答(T32)が返される。
【0105】
そしてこの時の携帯電話端末2Bは、子端末である携帯電話端末2A,2Cに対してそれぞれ新たな位置登録情報を送信(T33,T34)する。
【0106】
図13には、図11のように携帯電話端末2Cが親端末となるグループが形成された後、何れかの子端末(図13の例では携帯電話端末2A)が場所を離れる等してグループから外れ、その後に親端末の携帯電話端末2Cが位置登録を行う場合のシーケンス例を示している。
【0107】
この図13において、図11に示したようにグループが形成された後、そのグループ内では、一定時間毎に、前述の図12のように各端末間でスコア通信を行うことになるが、この時それら各端末間の通信(T41,T42)の際に、例えば携帯電話端末2Aが通信不能(T43)になっていたとする。
【0108】
このように携帯電話端末2Aが通信不能になった場合、親端末であった携帯電話端末2Cは、当該携帯電話端末2Aを子端末リストから削除(T44)する。
【0109】
その後、親端末の携帯電話端末2Bは、自身が属する携帯電話網の基地局エリアが基地局3Aのエリア内(T26)である場合には、その基地局3Aに対して、自身のSIM情報とともに子端末である携帯電話端末2BのSIM情報を送信して位置登録(T46)を行う。当該位置登録が完了すると、基地局3Aから携帯電話端末2Cへは登録完了の応答(T47)が返される。
【0110】
そしてこの時の携帯電話端末2Cは、子端末である携帯電話端末2Bに対して位置登録情報を送信(T48)する。
【0111】
[まとめ]
以上説明したように、本発明実施形態によれば、相互に近距離無線通信が可能な各端末のうち電波環境のスコアが最も良い端末が適宜切り替わって親端末となり、他の各端末が子端末となるグループを形成し、そのグループ内の親端末が一括してグループ単位で位置登録を行うことにより、無線リソースの効率的な利用のみならず、電波環境の変動による影響を受け難く位置登録を確実に行えるようになる。
【0112】
なお、上述した実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した各実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0113】
上述した実施形態では、携帯電話端末を例に挙げたが、本発明は、位置登録を行って無線通信を行う様々な通信端末に適用可能である。
【符号の説明】
【0114】
1…電車、2A〜2F…携帯電話端末、3A〜3C…基地局、
10…制御部、11…通信回路、12…通信アンテナ、13…表示部、14…操作部、15…メモリ部、16…内蔵メモリ、17…カード状メモリ、16a…プログラム格納部、16b…データ格納部、16c…グループ関連情報格納部、20…スピーカ、21…マイクロホン、22…近距離無線通信部、23…近距離無線通信用のアンテナ、24…GPS部、25…GPS用のアンテナ、26…非接触通信部、27…非接触通信用のアンテナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の移動体通信網の基地局との間で無線通信を行うための移動体無線通信部と、
上記所定の移動体通信網の基地局からの電波環境を評価するスコア情報を生成するスコア生成部と、
他端末との間で所定の近距離無線通信を行うための近距離無線通信部と、
近距離無線通信が可能な他端末から、当該他端末が生成したスコア情報を上記近距離無線通信部を通じて取得して、自端末のスコア情報と当該他端末のスコア情報とを比較し、上記他端末のスコア情報よりも自端末のスコア情報の値が大きい時には、自端末が親端末となり上記他端末が子端末となるグループを形成し、一方、自端末のスコア情報よりも上記他端末のスコア情報の値が大きい時には、上記他端末が親端末となり自端末が子端末となるグループを形成するグループ形成部と、
自端末が親端末となるグループが形成された時には、当該グループ内の子端末が上記基地局に位置登録するための識別情報を、上記近距離無線通信部を通じて当該子端末から取得し、上記基地局への位置登録が必要になった際に、自端末の識別情報とともに上記子端末の識別情報を上記移動体無線通信部を通じて上記基地局へ送信し、その後に当該基地局から返送された位置登録情報を上記近距離無線通信部を通じて上記グループ内の子端末へ送信する親端末動作制御部と、
自端末が子端末となるグループが形成された時には、上記近距離無線通信部を通じて当該グループ内の親端末へ自端末の識別情報を送信し、その後に当該グループ内の親端末から上記近距離無線通信部を通じて送られてきた位置登録情報を用いて上記移動体通信網の基地局チャネルを参照する子端末動作制御部と、
を有する移動体通信端末。
【請求項2】
上記グループ形成部は、一定時間毎に、上記他端末が生成したスコア情報を上記近距離無線通信部を通じて取得し、自端末のスコア情報と当該他端末のスコア情報とを比較して、上記グループの再形成を行う請求項1記載の移動体通信端末。
【請求項3】
親端末であった自端末が上記グループの再形成により子端末となった時、上記子端末動作制御部は、親端末であった際に子端末から取得した識別情報を、上記近距離無線通信部を通じて当該再形成されたグループの親端末へ送信する請求項2記載の移動体通信端末。
【請求項4】
移動体通信端末との間で無線通信を行う所定の移動体通信網の基地局と、
上記所定の移動体通信網の基地局との間で無線通信を行い、所定の近距離無線通信により他端末との間で近距離無線通信を行う複数の移動体通信端末とからなり、
上記移動体通信端末は、上記所定の移動体通信網の基地局からの電波環境を評価するスコア情報を生成して、他端末が生成したスコア情報と自端末のスコア情報とを比較し、上記他端末のスコア情報よりも自端末のスコア情報の値が大きい時には、自端末が親端末となり上記他端末が子端末となるグループを形成して、その子端末が上記基地局に位置登録するための識別情報を当該子端末から取得し、上記基地局への位置登録が必要になった際には、自端末の識別情報とともに上記子端末の識別情報を上記基地局へ送信し、その後に当該基地局から返送された位置登録情報を上記子端末へ送信し、一方で、自端末のスコア情報よりも上記他端末のスコア情報の値が大きい時には、上記他端末が親端末となり自端末が子端末となるグループを形成し、その親端末へ自端末の識別情報を送信し、その後に当該親端末から送られてきた位置登録情報を用いて上記移動体通信網の基地局チャネルを参照する、
移動体通信システム。
【請求項5】
所定の移動体通信網の基地局からの電波環境を評価するスコア情報を、スコア生成部が生成するステップと、
他端末が生成したスコア情報を、近距離無線通信部が取得するステップと、
グループ形成部が、自端末のスコア情報と当該他端末のスコア情報とを比較し、上記他端末のスコア情報よりも自端末のスコア情報の値が大きい時には、自端末が親端末となり上記他端末が子端末となるグループを形成し、一方、自端末のスコア情報よりも上記他端末のスコア情報の値が大きい時には、上記他端末が親端末となり自端末が子端末となるグループを形成するステップと、
自端末が親端末となるグループが形成された時には、親端末動作制御部が、当該グループ内の子端末が上記基地局に位置登録するための識別情報を、上記近距離無線通信部を通じて当該子端末から取得し、上記基地局への位置登録が必要になった際に、自端末の識別情報とともに上記子端末の識別情報を上記移動体無線通信部を通じて上記基地局へ送信し、その後に当該基地局から返送された位置登録情報を上記近距離無線通信部を通じて上記グループ内の子端末へ送信するステップと、
自端末が子端末となるグループが形成された時には、子端末動作制御部が、上記近距離無線通信部を通じて当該グループ内の親端末へ自端末の識別情報を送信し、その後に当該グループ内の親端末から上記近距離無線通信部を通じて送られてきた位置登録情報を用いて上記移動体通信網の基地局チャネルを参照するステップと、
を有する移動体通信端末制御方法。
【請求項6】
所定の移動体通信網の基地局との間で無線通信を行うための移動体無線通信部が当該基地局からの電波を受信した際の電波環境を評価するスコア情報を生成するスコア生成処理と、
他端末が生成したスコア情報を、所定の近距離無線通信を行うための近距離無線通信部を通じて取得し、自端末のスコア情報と当該他端末のスコア情報とを比較して、上記他端末のスコア情報よりも自端末のスコア情報の値が大きい時には、自端末が親端末となり上記他端末が子端末となるグループを形成し、一方、自端末のスコア情報よりも上記他端末のスコア情報の値が大きい時には、上記他端末が親端末となり自端末が子端末となるグループを形成するグループ形成処理と、
自端末が親端末となるグループが形成された時には、当該グループ内の子端末が上記基地局に位置登録するための識別情報を、上記近距離無線通信部を通じて当該子端末から取得し、上記基地局への位置登録が必要になった際に、自端末の識別情報とともに上記子端末の識別情報を上記移動体無線通信部を通じて上記基地局へ送信し、その後に当該基地局から返送された位置登録情報を上記近距離無線通信部を通じて上記グループ内の子端末へ送信する親端末動作制御処理と、
自端末が子端末となるグループが形成された時には、上記近距離無線通信部を通じて当該グループ内の親端末へ自端末の識別情報を送信し、その後に当該グループ内の親端末から上記近距離無線通信部を通じて送られてきた位置登録情報を用いて上記移動体通信網の基地局チャネルを参照する子端末動作制御処理とを、
移動体通信端末に実行させる移動体通信端末制御プログラム。
【請求項1】
所定の移動体通信網の基地局との間で無線通信を行うための移動体無線通信部と、
上記所定の移動体通信網の基地局からの電波環境を評価するスコア情報を生成するスコア生成部と、
他端末との間で所定の近距離無線通信を行うための近距離無線通信部と、
近距離無線通信が可能な他端末から、当該他端末が生成したスコア情報を上記近距離無線通信部を通じて取得して、自端末のスコア情報と当該他端末のスコア情報とを比較し、上記他端末のスコア情報よりも自端末のスコア情報の値が大きい時には、自端末が親端末となり上記他端末が子端末となるグループを形成し、一方、自端末のスコア情報よりも上記他端末のスコア情報の値が大きい時には、上記他端末が親端末となり自端末が子端末となるグループを形成するグループ形成部と、
自端末が親端末となるグループが形成された時には、当該グループ内の子端末が上記基地局に位置登録するための識別情報を、上記近距離無線通信部を通じて当該子端末から取得し、上記基地局への位置登録が必要になった際に、自端末の識別情報とともに上記子端末の識別情報を上記移動体無線通信部を通じて上記基地局へ送信し、その後に当該基地局から返送された位置登録情報を上記近距離無線通信部を通じて上記グループ内の子端末へ送信する親端末動作制御部と、
自端末が子端末となるグループが形成された時には、上記近距離無線通信部を通じて当該グループ内の親端末へ自端末の識別情報を送信し、その後に当該グループ内の親端末から上記近距離無線通信部を通じて送られてきた位置登録情報を用いて上記移動体通信網の基地局チャネルを参照する子端末動作制御部と、
を有する移動体通信端末。
【請求項2】
上記グループ形成部は、一定時間毎に、上記他端末が生成したスコア情報を上記近距離無線通信部を通じて取得し、自端末のスコア情報と当該他端末のスコア情報とを比較して、上記グループの再形成を行う請求項1記載の移動体通信端末。
【請求項3】
親端末であった自端末が上記グループの再形成により子端末となった時、上記子端末動作制御部は、親端末であった際に子端末から取得した識別情報を、上記近距離無線通信部を通じて当該再形成されたグループの親端末へ送信する請求項2記載の移動体通信端末。
【請求項4】
移動体通信端末との間で無線通信を行う所定の移動体通信網の基地局と、
上記所定の移動体通信網の基地局との間で無線通信を行い、所定の近距離無線通信により他端末との間で近距離無線通信を行う複数の移動体通信端末とからなり、
上記移動体通信端末は、上記所定の移動体通信網の基地局からの電波環境を評価するスコア情報を生成して、他端末が生成したスコア情報と自端末のスコア情報とを比較し、上記他端末のスコア情報よりも自端末のスコア情報の値が大きい時には、自端末が親端末となり上記他端末が子端末となるグループを形成して、その子端末が上記基地局に位置登録するための識別情報を当該子端末から取得し、上記基地局への位置登録が必要になった際には、自端末の識別情報とともに上記子端末の識別情報を上記基地局へ送信し、その後に当該基地局から返送された位置登録情報を上記子端末へ送信し、一方で、自端末のスコア情報よりも上記他端末のスコア情報の値が大きい時には、上記他端末が親端末となり自端末が子端末となるグループを形成し、その親端末へ自端末の識別情報を送信し、その後に当該親端末から送られてきた位置登録情報を用いて上記移動体通信網の基地局チャネルを参照する、
移動体通信システム。
【請求項5】
所定の移動体通信網の基地局からの電波環境を評価するスコア情報を、スコア生成部が生成するステップと、
他端末が生成したスコア情報を、近距離無線通信部が取得するステップと、
グループ形成部が、自端末のスコア情報と当該他端末のスコア情報とを比較し、上記他端末のスコア情報よりも自端末のスコア情報の値が大きい時には、自端末が親端末となり上記他端末が子端末となるグループを形成し、一方、自端末のスコア情報よりも上記他端末のスコア情報の値が大きい時には、上記他端末が親端末となり自端末が子端末となるグループを形成するステップと、
自端末が親端末となるグループが形成された時には、親端末動作制御部が、当該グループ内の子端末が上記基地局に位置登録するための識別情報を、上記近距離無線通信部を通じて当該子端末から取得し、上記基地局への位置登録が必要になった際に、自端末の識別情報とともに上記子端末の識別情報を上記移動体無線通信部を通じて上記基地局へ送信し、その後に当該基地局から返送された位置登録情報を上記近距離無線通信部を通じて上記グループ内の子端末へ送信するステップと、
自端末が子端末となるグループが形成された時には、子端末動作制御部が、上記近距離無線通信部を通じて当該グループ内の親端末へ自端末の識別情報を送信し、その後に当該グループ内の親端末から上記近距離無線通信部を通じて送られてきた位置登録情報を用いて上記移動体通信網の基地局チャネルを参照するステップと、
を有する移動体通信端末制御方法。
【請求項6】
所定の移動体通信網の基地局との間で無線通信を行うための移動体無線通信部が当該基地局からの電波を受信した際の電波環境を評価するスコア情報を生成するスコア生成処理と、
他端末が生成したスコア情報を、所定の近距離無線通信を行うための近距離無線通信部を通じて取得し、自端末のスコア情報と当該他端末のスコア情報とを比較して、上記他端末のスコア情報よりも自端末のスコア情報の値が大きい時には、自端末が親端末となり上記他端末が子端末となるグループを形成し、一方、自端末のスコア情報よりも上記他端末のスコア情報の値が大きい時には、上記他端末が親端末となり自端末が子端末となるグループを形成するグループ形成処理と、
自端末が親端末となるグループが形成された時には、当該グループ内の子端末が上記基地局に位置登録するための識別情報を、上記近距離無線通信部を通じて当該子端末から取得し、上記基地局への位置登録が必要になった際に、自端末の識別情報とともに上記子端末の識別情報を上記移動体無線通信部を通じて上記基地局へ送信し、その後に当該基地局から返送された位置登録情報を上記近距離無線通信部を通じて上記グループ内の子端末へ送信する親端末動作制御処理と、
自端末が子端末となるグループが形成された時には、上記近距離無線通信部を通じて当該グループ内の親端末へ自端末の識別情報を送信し、その後に当該グループ内の親端末から上記近距離無線通信部を通じて送られてきた位置登録情報を用いて上記移動体通信網の基地局チャネルを参照する子端末動作制御処理とを、
移動体通信端末に実行させる移動体通信端末制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−213126(P2010−213126A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58795(P2009−58795)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】
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