移動機械により移動される経路を決定する方法および装置
【課題】移動機械の後続する経路の始点および終了点を計算するために用いられる左および右境界のベクトルを決定する。
【解決手段】連続する経路(22)の終了点(104)は、平行するラインに沿って作業経路(22)の幅分の距離を増すことにより見出される。Vt1とVs1とのベクトル外積が計算され、ベクトル外積の符号が、次の経路の始点および終了点を計算するのに用いるべく、左および右境界のベクトルVlおよびVrを決定するために用いられる。仮に、Vt1とVs1とのベクトル外積の符号が負であれば、角地点P(0)およびP(1)の間の境界ベクトルVl1が用いられる。仮に、ベクトル外積の符号が正であれば、角地点P(1)およびP(2)の間の境界ベクトルVl2が用いられる。
【解決手段】連続する経路(22)の終了点(104)は、平行するラインに沿って作業経路(22)の幅分の距離を増すことにより見出される。Vt1とVs1とのベクトル外積が計算され、ベクトル外積の符号が、次の経路の始点および終了点を計算するのに用いるべく、左および右境界のベクトルVlおよびVrを決定するために用いられる。仮に、Vt1とVs1とのベクトル外積の符号が負であれば、角地点P(0)およびP(1)の間の境界ベクトルVl1が用いられる。仮に、ベクトル外積の符号が正であれば、角地点P(1)およびP(2)の間の境界ベクトルVl2が用いられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、作業地領域を行き来する移動機械の操作、より詳しくは、移動機械によって行き来されるべき経路の組を決定するための方法および装置に関する。
【0002】
この特許明細書で用いられるとき、「移動機械」およびその種々の類似の語句は、軌道式トラクタ、道路均し機、舗装機械、アスファルト積層機、農業機械、締め固め機械等の自己推進式の機械を意味し、(1)作業地全域またはそれを通る移動性と、(2)作業地の地形あるいは外観を、ツール、あるいは、バケット、シャベル、ブレード、ライパ、締め固めホイール等のような機械の作動部分でもって変更する能力との両者を呈する。
【背景技術】
【0003】
伝統的に人のオペレータを必要とする移動用機械を自動化すべき需要が増大している。これには幾つかの理由がある。人のオペレータとは違って、自動化された機械は、環境条件および延長された仕事時間にかかわらず、一貫して生産的なままでいる。自動化された機械はまた、条件が、人間にとって不適当あるいは望ましくない適用例において理想的である。さらに、自動化された機械は、より正確な作業を可能にして、作業者の技能不足を補償する。
【0004】
異なる形式の機械による仕事サイクルは、同様の要求を含むかもしれない。地形、アスファルト、およびごみの締め固め機械を含むいくつかの機械は、物質が望まれる程度に圧縮されるまで、繰り返して作業地を行き来している。独自の作業の間に、これらの機械は、それらの位置、行き来されるべき領域、領域を行き来する間に追従すべき最良の経路を決定する手段、および、経路を行き来している間に、それらの動きを制御する手段を必要としている。
【0005】
先行技術において、現場調査は、典型的には、ラインオブサイト(line-of-sight)光学機器、または他の静的な地点毎の計測技術を用いることにより手動的に行われている。その後、該用地は、機械のオペレータに視覚的合図をもたらすべく杭棒でもって注意深く印される。所望の程度の固さ、または所望の用地地形を、移動式の地形整形および物質締固め機械でもって達成するシステムが米国特許第5,631,658号、同第5,493,494号、同第5,471,391号および同第5,646,844号に開示されている。これらの特許において、実際の用地地形は、機械上の全地球測位システムを用いて連続的を基本に測定され、空間における機械の位置に関する情報を提供している。機械の位置を用いることにより、機械が作業地を行き来するとき地形の実際の地形が更新され、実際の用地地形と所望の用地地形との差異が連続的を基本に測定される。所望の地形と実際の地形との間に差異が存する領域は、仕事が機械によってなされるべきことを必要とする領域を示している。この情報はリアルタイムのグラフ表示を通してオペレータに提供され、作業地に亘り機械を運転するための視覚的合図をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,631,658号
【特許文献2】米国特許第5,493,494号
【特許文献3】米国特許第5,471,391号
【特許文献4】米国特許第5,646,844号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、先行技術の方法は、作業地を独自に行き来できる移動機械によって用いられるべき経路ないしは経路の組を決定する手段を開示していない。さらに、独自的機械によれば、一連の経路は、機械を経路に従わせるにはどのように操舵するか、且つ機械を一つの経路から次へどのように移行させるかを決定する、コンピュータに基づく計画および操縦システムによって使用可能な方法で提供されねばならない。
【0008】
従って、本発明は上述のような問題の一つ以上を克服すべく向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施の形態において、独自的にまたは半独自的に作動可能な移動機械に対して作業地の経路ないしは一連の経路を決定する装置および方法は、機械が特定の方向に動くとき、位置付けシステムを用いて二つ以上の位置を読み取ることにより機械の方向を計算することを含んでいる。本発明は機械の方向とほぼ平行な一連の列を決定する。列の幅は一つ以上の機械の作業具により仕事される幅に基づいている。作業地は三つ以上の角地点により境界付けられ、作業地の周囲は角地点を結ぶ境界線により定められている。機械の方向にほぼ直交する第一のラインは、最初の角地点で始まり、経路の幅にほぼ等しい距離を有するラインに沿う終点で終わって計算される。機械の方向に平行で終点を通る第二のラインが決定される。第二のラインと境界線との交差点が計算され、第一の経路の終了点として保存される。連続する経路の終了点は、直交するラインに沿って作業経路の幅分の距離を増すことにより同様に見出される。方向および終点に基づく位置を有する一対のベクトルのベクトル外積は、何時、経路が最初の角地点に隣接する角地点を越えて延在するかを決定するのに用いられる。これが起こったとき、隣接する境界線が各経路の終了点を決定するのに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】複数の作業経路を有する作業領域の上平面図である。
【図2】位置データを提供するセンサーシステムの機能ブロック図である。
【図3】移動機械の制御システムを含む本発明を実施するのに用いられる機能ブロック図である。
【図4a】本発明を利用し得る車輪付締め固め機の斜視図である。
【図4b】本発明により決定されたように車輪付締め固め機が行き来する一連の経路を表す模式図である。
【図5a】本発明を利用し得る単一ロール締め固め機の斜視図である。
【図5b】本発明により決定されたように単一ロール締め固め機が行き来する一連の経路を表す模式図である。
【図6a】本発明を利用し得る軌道式トラクタの斜視図である。
【図6b】本発明により決定されたように軌道式トラクタが行き来する一連の経路を表す模式図である。
【図7】車輪付締め固め機用の経路の一つを決定するのに用いられるベクトル成分を表す模式図である。
【図8】車輪付締め固め機用の経路のもう一つを決定するのに用いられるベクトル成分を表す模式図である。
【図9】車輪付締め固め機用の経路のもう一つを決定するのに用いられるベクトル成分を表す模式図である。
【図10】車輪付締め固め機用の経路のもう一つを決定するのに用いられるベクトル成分を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照するに、複数の作業経路22を有し、周囲の境界線24により区画された作業領域20の上平面図が示されている。緩衝境界26が作業経路22と境界線24との間に含まれており、センサーシステムによって提供されるデータ内の小さな不正確さが、以下に説明されるように本発明に干渉しないようになっている。作業経路22は、作業領域20が分割され得るという方法の模範であり、物質の締め固めのような仕事が移動機械28によって行われる。作業領域20を作業経路22に分割するためには、種々のパターンが用いられ得ることが注目されるべきである。特別なパターンを選択するための要素のいくつかは、移動機械28の一通過の際にカバーされる領域、移動機械28の旋回半径および作業領域20の大きさを含む。本発明は、作業領域20を芝刈のように一回のみ、または物質の締め固めのように数回行き来するのを含む仕事に対して適用可能である。
【0012】
本発明は、移動機械28の一部の少なくとも二次元空間における瞬間位置を表す信号を発生する手段を含んでいる。かかる手段は、図2に示されるように、移動機械28の二次元または三次元空間における位置に関する情報を提供できる、種々の車両位置付けシステム30を包含する。いくつかの異なる形式のセンサー32がかかる位置付けシステム30で用いられるのに適しており、限定するわけではないが、慣性ジャイロ、レーザー、全地球測位システム(GPS)、GPS/レーザーの組合せ、およびレーダーを含んでいる。図1に示されるGPSの衛星34のような、ある形式の位置付けシステム30においては、位置データがレシーバー38に伝送される。レシーバー38は、図3の制御システム42に示される制御システムコンピュータ40にセンサーデータを提供するセンサー処理モジュール46と通信する。
【0013】
制御システムコンピュータ40は、マイクロプロセッサ、RAM,ROMおよび種々のデバイスへのデータの送受のためのデータバスのようなデータプロセッサを含んでいる。制御システムコンピュータ40は、種々のポンプ、バルブ、油圧シリンダ、モータ/操舵機構を作動させ、および移動機械28の運動を制御するための他のサーボ作動制御のために、アクチュエータ位置指令信号を決定すべく、一つ以上のソフトウエアプログラムに備えられている論理および方程式を実行する。サーボアクチュエータ44は位置指令を受けても、一般に、直ぐには指令された位置に動くことはできない。実際のアクチュエータ位置は検出され、制御システムのソフトウエアプログラムによって用いられるセンサ信号に調整するセンサー処理モジュール46に入力される。位置付けシステム30からの移動機械位置データや他のセンサー48からのデータは、センサー処理モジュール46によって調整されてもよく、信号からノイズをフィルタしたり必要な他の処理を行う。センサー処理モジュール46は、制御システムコンピュータ40のようなコンピュータで実行されるソフトウエアで実現されてもよく、または電子回路で実現されてもよい。センサー処理モジュール46からの感知パラメータは、ソフトウエアプログラムにより用いられるべく制御システムコンピュータ40に入力される。
【0014】
締め固め機50、74およびトラクタ86のような移動機械28は、図3に示したような電子−油圧制御システム42を用いて独自または半独自の作動を行うことができる。これらの制御機器は、例えば、操舵、制動、絞り、ブレードおよびモータ制御を作動させる。移動機械28には、作業領域20を行き来するとき高精度に機械の位置を動的に決定できる位置決めシステムが装備されている。好ましい実施例では、本発明の方法および装置の態様は、位相差GPSレシーバーを用いるGPSセンサーシステムから派生される三次元位置情報の利用を通じて実現されている。かかるGPSレシーバーは、全地球測位衛星により発生された信号のみならず、既知の精度内で位置座標データを発生すべく既知の位置座標の基準レシーバーを有する基地局からの差信号を利用している。
【0015】
図4aないし6bを参照するに、異なる形式の移動機械28およびそれらの作業具の対応する足跡の例が示されている。図4aは埋立地締め固め機50であり、図4bは二つの前輪52,54の足跡を表している。前輪52,54および後輪56,58は、幅広でスタッド付の表面が埋立地における屑および塵を既知の方法で締め固めることが出来るので、締め固め機50の作業具である。締め固め機50は重く、それらが行き来する物質に車輪52,54,56,58によって加えられる締め固め力を増すために錘が付けられてもよい。図4bにおいて、空間60が締め固め機50の前輪52,54の間に示されている。締め固め機50が作業領域20を行き来するとき、前輪52,54の間の空間60では物質が固められない。後続する通過の際に、この固められていない領域を締め固めるためには締め固め機50の右側または左側の車輪が空間60に重ならなければならない。これを達成する一つのパターンが図4bに四つの経路62,64,66,68の組で示されており、ここで、締め固め機は空間60に重なるために経路64に従い、その結果、経路62を行き来するときに締め固め機50によって残された空間60を車輪54が締め固める。経路64を行き来した後、締め固め機50は経路66を行き来し、車輪52および54の間に空間60を再度残す。経路68は、車輪54が空間60に重なるように計画されている。交互の経路62,64,66,68間の距離はこのように短距離70および長距離72間で変動する。このパターンは、空間が作業具の一つの幅以下のときに有用である。
【0016】
図5aは、大きく重いローラ76からなる作業具を備えた他の形式の締め固め機74を示している。図5bは三つの平行な経路78,80,82上のローラの足跡を表している。経路78,80,82間の距離84はローラ76の幅にほぼ等しく、作業具の間に空間60が残されないので、同じに留まっている。このパターンの経路は、芝刈機のように経路を行き来するとき不接触の領域を一般に残さない作業具を有する移動機械28の全ての形式に適用できる。
【0017】
図6aは、一つの軌道90または92の幅よりも大きな空間88を軌道90、92間に有する軌道式トラクタ86の例を示している。図6bは、軌道90,92が物質を締め固めるような作業具として用いられるときに用いられ得る一連の経路94,96,98,100を示している。この状況では、図6bに経路94,96および98によって示されるように、空間88をカバーするためには、少なくとも二つの経路が計画されねばならない。経路94,96間および経路96,98間の距離は、軌道90または92の幅以下である。経路98および100間の距離はトラクタ86の幅に等しい。
【0018】
図4b、図5bおよび図6bは、種々の形式の移動機械28のために計画され得る経路パターンの例である。異なる形態の作業具を有する他の移動機械28も、作業具の数および作業具の幅に関する情報が提供される限り、本発明と共に用いられ得る。さらに、作業具の幅は、本発明は各作業具によりカバーされる領域を考慮に入れそれに従い計画するので、同じである必要はない。
【0019】
一つの実施の形態において、図7に示されるように、境界線24により区画された作業領域20内で経路ないしは一連の経路を決定する方法の本発明は、移動機械28の方向に基づき経路22の方向を決定し、そして移動機械28の一つ以上の作業具幅に基づき隣接する経路22間の距離を決定することを含んでいる。経路の終了点102,104は、境界線24の角地点P(0),P(1),P(2),P(3)の位置、移動機械28の幅および一つ以上の作業具の幅に基づき決定される。ベクトルVh,Vo,Vt1,Vs1,Vt2,Vl、VrおよびVs2が経路22を決定するのに用いられる。ベクトルVhは移動機械28の方向ベクトルである。
【0020】
ベクトルVoは、原点を角地点P(0)に有し、方向ベクトルVhにほぼ直交するベクトルである。移動機械28の左に対し最遠の角地点P(i)が典型的には原点P(0)として選ばれるが、しかし、移動機械28の右に対し最遠の角地点も、本発明に対し対応する変更が変更を考慮してなされるなら用いられてもよい。もしも、最も左の角地点が選ばれたなら、他の角地点は時計回りに、P(0)からP(1)、P(2)、P(3)として、P(n)まで指定され、ここでnは境界線24周りの角地点の合計数である。境界線24は角地点P(n)をいくつ含んでもよいことに留意されたい。Voの初期長さは、原点P(0)から移動機械28の幅の1/2までの距離にほぼ等しい。後続の経路22のための終了点102,104を計算するためには、Voの長さが、図8に示されるように、同じ方向に次の経路22までの距離分、新しい終点106まで増大される。経路22間の距離は、上述の図4aないし6bのパターン例につき説明したように、経路のパターン、作業具の幅および数、作業具間の空間に基づいて計算される。
【0021】
一旦、特定の経路22のためのVoの方向、長さおよび終点106が決定されると、次のステップは、ベクトルVoの終点106を通るライン108を決定することである。ここで、ライン108は移動機械28の方向にほぼ平行であり、周囲境界線24の一側辺に始点102で、周囲境界線24の他の側辺に経路22の終了点104で交差する。各経路22の始点102および終了点104は制御システムコンピュータ40に接続されたメモリに保存される。好ましい実施の形態では、作業領域20の境界線24とライン108との交差点は、ベクトルVo、Vl、Vrおよび経路22間の距離lを用いて見出される。ベクトルVo、Vl、Vrの方向および長さを知れば、ベクトルVlおよびVr上へのVoの投影が良く知られているように計算され、投影の終了点がライン108の終了点102,104として記録される。
【0022】
代わりに、作業領域20の境界線24とライン108との交差点は、デカルト座標系および角地点の座標を用い境界線24の側辺についての等式を計算し、そして次式を解くことで交差点のx座標を見出すことにより見出されてもよい。
x = (b1−b2)/(m2−m1)
【0023】
ここで、b1およびb2はラインのy軸交点、m1およびm2はラインの傾きである。一旦、交差点のx座標が見出されると、それはラインの一つについてy座標を解くために式で下記のように用いられる。
y = mx+b
【0024】
ここで、mは傾きm1またはm2、bは対応するy軸交点b1またはb2、およびxは交差点のx座標である。これらの計算は、ライン108およびライン108に交差する境界線24の他の側辺についてのラインについて繰返される。
【0025】
ベクトルVt1、Vs1、Vt2およびVs2は、ライン108の始点102および/または終了点104が境界線24の前の境界以外の異なる境界と交差する場合を、ベクトルVoが終点106に増されたときに決定するために用いられる。ベクトルVs1およびVs2は移動機械28の方向にほぼ平行であり、各々がベクトルVoの終点106に原点を有している。四つの角地点を有する周囲境界線については、ベクトルVt1の最初の原点は角地点P(1)であり、ベクトルVt1の終点はベクトルVoの終点106である。Vt1とVs1とのベクトル外積が既知のように計算され、ベクトル外積の符号が、次の経路の始点および終了点を計算するのに用いるべく、左および右境界のベクトルVlおよびVrを決定するために用いられる。図7に示された例では、仮に、Vt1とVs1とのベクトル外積の符号が負であれば、角地点P(0)およびP(1)の間の境界ベクトルVl1が用いられる。仮に、ベクトル外積の符号が正であれば、角地点P(1)およびP(2)の間の境界ベクトルVl2が用いられる。
【0026】
ベクトルVt2およびVs2を用いる同様のテストが正しい境界をチェックするために実行される。四つの角地点を有する周囲境界線については、ベクトルVt2の最初の原点は角地点P(3)であり、ベクトルVs2の終点はベクトルVoの終点106である。Vt2とVs2とのベクトル外積が既知のように計算され、ベクトル外積の符号が、次の経路の始点および終了点を計算するのに用いるべく、右境界のベクトルを決定するために用いられる。仮に、ベクトル外積の符号が負であれば、角地点P(0)およびP(3)の間の境界ベクトルVrが用いられる。仮に、ベクトル外積の符号が正であれば、角地点P(3)およびP(2)の間の境界ベクトルVr2が用いられる。
【0027】
図8はそのベクトル外積が負であるベクトルVt1とVs1とを示し、図9はそのベクトル外積が正であるベクトルVt1とVs1とを示している。図9において、ライン108は角地点P(1)およびP(2)の間の境界ベクトルVl2および角地点P(2)およびP(3)の間の境界ベクトルVr2と交差する。ベクトルVr1およびVs1のベクトル外積が正のときには、このベクトル外積は、後続の左の境界ベクトルVl2がライン108の終了点102を計算するのに用いられるべきことを示している。ベクトルVt2およびVs2のベクトル外積が正のときには、このベクトル外積は、後続の右の境界ベクトルVr2がライン108の終了点104を計算するのに用いられるべきことを示している。新しい境界ベクトルVl2,Vr2が用いられるときには、終了点102、104は、古い境界ベクトルVl1およびVr1に沿った距離を考慮し、且つ、新しい境界ベクトルVl2,Vr2に沿った残りの距離を計算することにより見出されねばならない。これは、ベクトルVoの古い境界ベクトルVl1およびVr1上への投影を決定し、Vl1を過ぎる超過分を決定し、そして超過分を次の境界ベクトルVl2に投影することにより計算される。
【0028】
次の経路22にまでVoを増し、ベクトルVoの終点106を通るラインを決定し、ベクトル(Vt1、Vs1)および(Vt2、Vs2)のベクトル外積を計算し、ライン108の終了点を演算することは、次の経路22が作業領域20の境界線24の外側に存するまで繰返される。
【0029】
本発明は、周囲境界線24が、五つの角地点を有する図10における境界線のように、三つ以上の角地点を有する場合に適用可能であり、ここで、P(0)は移動機械28の左に対し最遠の角地点であり、他の角地点は連続して時計回りに番号付けられている。作業領域20は、仕事が遂行されるべき所有地境界すなわち領域のような要素によって指図されているような如何なる形状をも有し得る。ここに示された作業領域20は図解の目的のためのみであり、本発明を特定の形状または境界点の数を有する領域に限定することは意味されていない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
作業領域20の境界線24を確定する本発明は、移動機械28の独自の制御のためのシステムにおいて有利に使用され得る。本発明の原理および用途は、仕事を行いながら作業領域20を行き来するほとんど全ての移動機械28に役に立つ。かかる移動機械には、既知の方法で、上述したような電子−油圧制御システム42が装備されてもよい。独自の移動機械28用の制御システム42は、制御システムコンピュータ40で実行され得るいくつかのソフトウエアプログラムを含んでいる。これらのソフトウエアプログラムは、作業経路22を発生する作業プラナー、作業経路22間の繋ぎを計画する経路プラナー、および作業経路22に従わせるために移動機械28をどちらに操舵するかを決定する経路フォロアを含んでいる。これらのソフトウエアプログラムは、他人の所有地への不法侵入を避けるため、または崖や湖の縁、障害物の近傍のような望ましくない領域内で移動機械28を作業させるのを避けるためなどの種々の理由で、作業領域20の境界線24に関する知識を必要とする。制御システム42はまた、一旦境界線24が確定されると、センサーシステム30がその不正確さによる誤差を含む位置データを提供したときにさらなる緩衝をもたらす緩衝区域26を発生し得る。
【0031】
本発明の他の形態、目的および有利な点は図面、詳細な説明および添付の特許請求の範囲を検討することにより得られる。
【符号の説明】
【0032】
20 作業領域
22 経路
24 境界線
28 移動機械
102 出発地点
104 終地点
106 第一のベクトルの終点
108 ライン
Vl1,Vl2,Vr1,Vr2 境界ベクトル
P(0),P(1),P(2),P(3) 角地点
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、作業地領域を行き来する移動機械の操作、より詳しくは、移動機械によって行き来されるべき経路の組を決定するための方法および装置に関する。
【0002】
この特許明細書で用いられるとき、「移動機械」およびその種々の類似の語句は、軌道式トラクタ、道路均し機、舗装機械、アスファルト積層機、農業機械、締め固め機械等の自己推進式の機械を意味し、(1)作業地全域またはそれを通る移動性と、(2)作業地の地形あるいは外観を、ツール、あるいは、バケット、シャベル、ブレード、ライパ、締め固めホイール等のような機械の作動部分でもって変更する能力との両者を呈する。
【背景技術】
【0003】
伝統的に人のオペレータを必要とする移動用機械を自動化すべき需要が増大している。これには幾つかの理由がある。人のオペレータとは違って、自動化された機械は、環境条件および延長された仕事時間にかかわらず、一貫して生産的なままでいる。自動化された機械はまた、条件が、人間にとって不適当あるいは望ましくない適用例において理想的である。さらに、自動化された機械は、より正確な作業を可能にして、作業者の技能不足を補償する。
【0004】
異なる形式の機械による仕事サイクルは、同様の要求を含むかもしれない。地形、アスファルト、およびごみの締め固め機械を含むいくつかの機械は、物質が望まれる程度に圧縮されるまで、繰り返して作業地を行き来している。独自の作業の間に、これらの機械は、それらの位置、行き来されるべき領域、領域を行き来する間に追従すべき最良の経路を決定する手段、および、経路を行き来している間に、それらの動きを制御する手段を必要としている。
【0005】
先行技術において、現場調査は、典型的には、ラインオブサイト(line-of-sight)光学機器、または他の静的な地点毎の計測技術を用いることにより手動的に行われている。その後、該用地は、機械のオペレータに視覚的合図をもたらすべく杭棒でもって注意深く印される。所望の程度の固さ、または所望の用地地形を、移動式の地形整形および物質締固め機械でもって達成するシステムが米国特許第5,631,658号、同第5,493,494号、同第5,471,391号および同第5,646,844号に開示されている。これらの特許において、実際の用地地形は、機械上の全地球測位システムを用いて連続的を基本に測定され、空間における機械の位置に関する情報を提供している。機械の位置を用いることにより、機械が作業地を行き来するとき地形の実際の地形が更新され、実際の用地地形と所望の用地地形との差異が連続的を基本に測定される。所望の地形と実際の地形との間に差異が存する領域は、仕事が機械によってなされるべきことを必要とする領域を示している。この情報はリアルタイムのグラフ表示を通してオペレータに提供され、作業地に亘り機械を運転するための視覚的合図をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,631,658号
【特許文献2】米国特許第5,493,494号
【特許文献3】米国特許第5,471,391号
【特許文献4】米国特許第5,646,844号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、先行技術の方法は、作業地を独自に行き来できる移動機械によって用いられるべき経路ないしは経路の組を決定する手段を開示していない。さらに、独自的機械によれば、一連の経路は、機械を経路に従わせるにはどのように操舵するか、且つ機械を一つの経路から次へどのように移行させるかを決定する、コンピュータに基づく計画および操縦システムによって使用可能な方法で提供されねばならない。
【0008】
従って、本発明は上述のような問題の一つ以上を克服すべく向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施の形態において、独自的にまたは半独自的に作動可能な移動機械に対して作業地の経路ないしは一連の経路を決定する装置および方法は、機械が特定の方向に動くとき、位置付けシステムを用いて二つ以上の位置を読み取ることにより機械の方向を計算することを含んでいる。本発明は機械の方向とほぼ平行な一連の列を決定する。列の幅は一つ以上の機械の作業具により仕事される幅に基づいている。作業地は三つ以上の角地点により境界付けられ、作業地の周囲は角地点を結ぶ境界線により定められている。機械の方向にほぼ直交する第一のラインは、最初の角地点で始まり、経路の幅にほぼ等しい距離を有するラインに沿う終点で終わって計算される。機械の方向に平行で終点を通る第二のラインが決定される。第二のラインと境界線との交差点が計算され、第一の経路の終了点として保存される。連続する経路の終了点は、直交するラインに沿って作業経路の幅分の距離を増すことにより同様に見出される。方向および終点に基づく位置を有する一対のベクトルのベクトル外積は、何時、経路が最初の角地点に隣接する角地点を越えて延在するかを決定するのに用いられる。これが起こったとき、隣接する境界線が各経路の終了点を決定するのに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】複数の作業経路を有する作業領域の上平面図である。
【図2】位置データを提供するセンサーシステムの機能ブロック図である。
【図3】移動機械の制御システムを含む本発明を実施するのに用いられる機能ブロック図である。
【図4a】本発明を利用し得る車輪付締め固め機の斜視図である。
【図4b】本発明により決定されたように車輪付締め固め機が行き来する一連の経路を表す模式図である。
【図5a】本発明を利用し得る単一ロール締め固め機の斜視図である。
【図5b】本発明により決定されたように単一ロール締め固め機が行き来する一連の経路を表す模式図である。
【図6a】本発明を利用し得る軌道式トラクタの斜視図である。
【図6b】本発明により決定されたように軌道式トラクタが行き来する一連の経路を表す模式図である。
【図7】車輪付締め固め機用の経路の一つを決定するのに用いられるベクトル成分を表す模式図である。
【図8】車輪付締め固め機用の経路のもう一つを決定するのに用いられるベクトル成分を表す模式図である。
【図9】車輪付締め固め機用の経路のもう一つを決定するのに用いられるベクトル成分を表す模式図である。
【図10】車輪付締め固め機用の経路のもう一つを決定するのに用いられるベクトル成分を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照するに、複数の作業経路22を有し、周囲の境界線24により区画された作業領域20の上平面図が示されている。緩衝境界26が作業経路22と境界線24との間に含まれており、センサーシステムによって提供されるデータ内の小さな不正確さが、以下に説明されるように本発明に干渉しないようになっている。作業経路22は、作業領域20が分割され得るという方法の模範であり、物質の締め固めのような仕事が移動機械28によって行われる。作業領域20を作業経路22に分割するためには、種々のパターンが用いられ得ることが注目されるべきである。特別なパターンを選択するための要素のいくつかは、移動機械28の一通過の際にカバーされる領域、移動機械28の旋回半径および作業領域20の大きさを含む。本発明は、作業領域20を芝刈のように一回のみ、または物質の締め固めのように数回行き来するのを含む仕事に対して適用可能である。
【0012】
本発明は、移動機械28の一部の少なくとも二次元空間における瞬間位置を表す信号を発生する手段を含んでいる。かかる手段は、図2に示されるように、移動機械28の二次元または三次元空間における位置に関する情報を提供できる、種々の車両位置付けシステム30を包含する。いくつかの異なる形式のセンサー32がかかる位置付けシステム30で用いられるのに適しており、限定するわけではないが、慣性ジャイロ、レーザー、全地球測位システム(GPS)、GPS/レーザーの組合せ、およびレーダーを含んでいる。図1に示されるGPSの衛星34のような、ある形式の位置付けシステム30においては、位置データがレシーバー38に伝送される。レシーバー38は、図3の制御システム42に示される制御システムコンピュータ40にセンサーデータを提供するセンサー処理モジュール46と通信する。
【0013】
制御システムコンピュータ40は、マイクロプロセッサ、RAM,ROMおよび種々のデバイスへのデータの送受のためのデータバスのようなデータプロセッサを含んでいる。制御システムコンピュータ40は、種々のポンプ、バルブ、油圧シリンダ、モータ/操舵機構を作動させ、および移動機械28の運動を制御するための他のサーボ作動制御のために、アクチュエータ位置指令信号を決定すべく、一つ以上のソフトウエアプログラムに備えられている論理および方程式を実行する。サーボアクチュエータ44は位置指令を受けても、一般に、直ぐには指令された位置に動くことはできない。実際のアクチュエータ位置は検出され、制御システムのソフトウエアプログラムによって用いられるセンサ信号に調整するセンサー処理モジュール46に入力される。位置付けシステム30からの移動機械位置データや他のセンサー48からのデータは、センサー処理モジュール46によって調整されてもよく、信号からノイズをフィルタしたり必要な他の処理を行う。センサー処理モジュール46は、制御システムコンピュータ40のようなコンピュータで実行されるソフトウエアで実現されてもよく、または電子回路で実現されてもよい。センサー処理モジュール46からの感知パラメータは、ソフトウエアプログラムにより用いられるべく制御システムコンピュータ40に入力される。
【0014】
締め固め機50、74およびトラクタ86のような移動機械28は、図3に示したような電子−油圧制御システム42を用いて独自または半独自の作動を行うことができる。これらの制御機器は、例えば、操舵、制動、絞り、ブレードおよびモータ制御を作動させる。移動機械28には、作業領域20を行き来するとき高精度に機械の位置を動的に決定できる位置決めシステムが装備されている。好ましい実施例では、本発明の方法および装置の態様は、位相差GPSレシーバーを用いるGPSセンサーシステムから派生される三次元位置情報の利用を通じて実現されている。かかるGPSレシーバーは、全地球測位衛星により発生された信号のみならず、既知の精度内で位置座標データを発生すべく既知の位置座標の基準レシーバーを有する基地局からの差信号を利用している。
【0015】
図4aないし6bを参照するに、異なる形式の移動機械28およびそれらの作業具の対応する足跡の例が示されている。図4aは埋立地締め固め機50であり、図4bは二つの前輪52,54の足跡を表している。前輪52,54および後輪56,58は、幅広でスタッド付の表面が埋立地における屑および塵を既知の方法で締め固めることが出来るので、締め固め機50の作業具である。締め固め機50は重く、それらが行き来する物質に車輪52,54,56,58によって加えられる締め固め力を増すために錘が付けられてもよい。図4bにおいて、空間60が締め固め機50の前輪52,54の間に示されている。締め固め機50が作業領域20を行き来するとき、前輪52,54の間の空間60では物質が固められない。後続する通過の際に、この固められていない領域を締め固めるためには締め固め機50の右側または左側の車輪が空間60に重ならなければならない。これを達成する一つのパターンが図4bに四つの経路62,64,66,68の組で示されており、ここで、締め固め機は空間60に重なるために経路64に従い、その結果、経路62を行き来するときに締め固め機50によって残された空間60を車輪54が締め固める。経路64を行き来した後、締め固め機50は経路66を行き来し、車輪52および54の間に空間60を再度残す。経路68は、車輪54が空間60に重なるように計画されている。交互の経路62,64,66,68間の距離はこのように短距離70および長距離72間で変動する。このパターンは、空間が作業具の一つの幅以下のときに有用である。
【0016】
図5aは、大きく重いローラ76からなる作業具を備えた他の形式の締め固め機74を示している。図5bは三つの平行な経路78,80,82上のローラの足跡を表している。経路78,80,82間の距離84はローラ76の幅にほぼ等しく、作業具の間に空間60が残されないので、同じに留まっている。このパターンの経路は、芝刈機のように経路を行き来するとき不接触の領域を一般に残さない作業具を有する移動機械28の全ての形式に適用できる。
【0017】
図6aは、一つの軌道90または92の幅よりも大きな空間88を軌道90、92間に有する軌道式トラクタ86の例を示している。図6bは、軌道90,92が物質を締め固めるような作業具として用いられるときに用いられ得る一連の経路94,96,98,100を示している。この状況では、図6bに経路94,96および98によって示されるように、空間88をカバーするためには、少なくとも二つの経路が計画されねばならない。経路94,96間および経路96,98間の距離は、軌道90または92の幅以下である。経路98および100間の距離はトラクタ86の幅に等しい。
【0018】
図4b、図5bおよび図6bは、種々の形式の移動機械28のために計画され得る経路パターンの例である。異なる形態の作業具を有する他の移動機械28も、作業具の数および作業具の幅に関する情報が提供される限り、本発明と共に用いられ得る。さらに、作業具の幅は、本発明は各作業具によりカバーされる領域を考慮に入れそれに従い計画するので、同じである必要はない。
【0019】
一つの実施の形態において、図7に示されるように、境界線24により区画された作業領域20内で経路ないしは一連の経路を決定する方法の本発明は、移動機械28の方向に基づき経路22の方向を決定し、そして移動機械28の一つ以上の作業具幅に基づき隣接する経路22間の距離を決定することを含んでいる。経路の終了点102,104は、境界線24の角地点P(0),P(1),P(2),P(3)の位置、移動機械28の幅および一つ以上の作業具の幅に基づき決定される。ベクトルVh,Vo,Vt1,Vs1,Vt2,Vl、VrおよびVs2が経路22を決定するのに用いられる。ベクトルVhは移動機械28の方向ベクトルである。
【0020】
ベクトルVoは、原点を角地点P(0)に有し、方向ベクトルVhにほぼ直交するベクトルである。移動機械28の左に対し最遠の角地点P(i)が典型的には原点P(0)として選ばれるが、しかし、移動機械28の右に対し最遠の角地点も、本発明に対し対応する変更が変更を考慮してなされるなら用いられてもよい。もしも、最も左の角地点が選ばれたなら、他の角地点は時計回りに、P(0)からP(1)、P(2)、P(3)として、P(n)まで指定され、ここでnは境界線24周りの角地点の合計数である。境界線24は角地点P(n)をいくつ含んでもよいことに留意されたい。Voの初期長さは、原点P(0)から移動機械28の幅の1/2までの距離にほぼ等しい。後続の経路22のための終了点102,104を計算するためには、Voの長さが、図8に示されるように、同じ方向に次の経路22までの距離分、新しい終点106まで増大される。経路22間の距離は、上述の図4aないし6bのパターン例につき説明したように、経路のパターン、作業具の幅および数、作業具間の空間に基づいて計算される。
【0021】
一旦、特定の経路22のためのVoの方向、長さおよび終点106が決定されると、次のステップは、ベクトルVoの終点106を通るライン108を決定することである。ここで、ライン108は移動機械28の方向にほぼ平行であり、周囲境界線24の一側辺に始点102で、周囲境界線24の他の側辺に経路22の終了点104で交差する。各経路22の始点102および終了点104は制御システムコンピュータ40に接続されたメモリに保存される。好ましい実施の形態では、作業領域20の境界線24とライン108との交差点は、ベクトルVo、Vl、Vrおよび経路22間の距離lを用いて見出される。ベクトルVo、Vl、Vrの方向および長さを知れば、ベクトルVlおよびVr上へのVoの投影が良く知られているように計算され、投影の終了点がライン108の終了点102,104として記録される。
【0022】
代わりに、作業領域20の境界線24とライン108との交差点は、デカルト座標系および角地点の座標を用い境界線24の側辺についての等式を計算し、そして次式を解くことで交差点のx座標を見出すことにより見出されてもよい。
x = (b1−b2)/(m2−m1)
【0023】
ここで、b1およびb2はラインのy軸交点、m1およびm2はラインの傾きである。一旦、交差点のx座標が見出されると、それはラインの一つについてy座標を解くために式で下記のように用いられる。
y = mx+b
【0024】
ここで、mは傾きm1またはm2、bは対応するy軸交点b1またはb2、およびxは交差点のx座標である。これらの計算は、ライン108およびライン108に交差する境界線24の他の側辺についてのラインについて繰返される。
【0025】
ベクトルVt1、Vs1、Vt2およびVs2は、ライン108の始点102および/または終了点104が境界線24の前の境界以外の異なる境界と交差する場合を、ベクトルVoが終点106に増されたときに決定するために用いられる。ベクトルVs1およびVs2は移動機械28の方向にほぼ平行であり、各々がベクトルVoの終点106に原点を有している。四つの角地点を有する周囲境界線については、ベクトルVt1の最初の原点は角地点P(1)であり、ベクトルVt1の終点はベクトルVoの終点106である。Vt1とVs1とのベクトル外積が既知のように計算され、ベクトル外積の符号が、次の経路の始点および終了点を計算するのに用いるべく、左および右境界のベクトルVlおよびVrを決定するために用いられる。図7に示された例では、仮に、Vt1とVs1とのベクトル外積の符号が負であれば、角地点P(0)およびP(1)の間の境界ベクトルVl1が用いられる。仮に、ベクトル外積の符号が正であれば、角地点P(1)およびP(2)の間の境界ベクトルVl2が用いられる。
【0026】
ベクトルVt2およびVs2を用いる同様のテストが正しい境界をチェックするために実行される。四つの角地点を有する周囲境界線については、ベクトルVt2の最初の原点は角地点P(3)であり、ベクトルVs2の終点はベクトルVoの終点106である。Vt2とVs2とのベクトル外積が既知のように計算され、ベクトル外積の符号が、次の経路の始点および終了点を計算するのに用いるべく、右境界のベクトルを決定するために用いられる。仮に、ベクトル外積の符号が負であれば、角地点P(0)およびP(3)の間の境界ベクトルVrが用いられる。仮に、ベクトル外積の符号が正であれば、角地点P(3)およびP(2)の間の境界ベクトルVr2が用いられる。
【0027】
図8はそのベクトル外積が負であるベクトルVt1とVs1とを示し、図9はそのベクトル外積が正であるベクトルVt1とVs1とを示している。図9において、ライン108は角地点P(1)およびP(2)の間の境界ベクトルVl2および角地点P(2)およびP(3)の間の境界ベクトルVr2と交差する。ベクトルVr1およびVs1のベクトル外積が正のときには、このベクトル外積は、後続の左の境界ベクトルVl2がライン108の終了点102を計算するのに用いられるべきことを示している。ベクトルVt2およびVs2のベクトル外積が正のときには、このベクトル外積は、後続の右の境界ベクトルVr2がライン108の終了点104を計算するのに用いられるべきことを示している。新しい境界ベクトルVl2,Vr2が用いられるときには、終了点102、104は、古い境界ベクトルVl1およびVr1に沿った距離を考慮し、且つ、新しい境界ベクトルVl2,Vr2に沿った残りの距離を計算することにより見出されねばならない。これは、ベクトルVoの古い境界ベクトルVl1およびVr1上への投影を決定し、Vl1を過ぎる超過分を決定し、そして超過分を次の境界ベクトルVl2に投影することにより計算される。
【0028】
次の経路22にまでVoを増し、ベクトルVoの終点106を通るラインを決定し、ベクトル(Vt1、Vs1)および(Vt2、Vs2)のベクトル外積を計算し、ライン108の終了点を演算することは、次の経路22が作業領域20の境界線24の外側に存するまで繰返される。
【0029】
本発明は、周囲境界線24が、五つの角地点を有する図10における境界線のように、三つ以上の角地点を有する場合に適用可能であり、ここで、P(0)は移動機械28の左に対し最遠の角地点であり、他の角地点は連続して時計回りに番号付けられている。作業領域20は、仕事が遂行されるべき所有地境界すなわち領域のような要素によって指図されているような如何なる形状をも有し得る。ここに示された作業領域20は図解の目的のためのみであり、本発明を特定の形状または境界点の数を有する領域に限定することは意味されていない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
作業領域20の境界線24を確定する本発明は、移動機械28の独自の制御のためのシステムにおいて有利に使用され得る。本発明の原理および用途は、仕事を行いながら作業領域20を行き来するほとんど全ての移動機械28に役に立つ。かかる移動機械には、既知の方法で、上述したような電子−油圧制御システム42が装備されてもよい。独自の移動機械28用の制御システム42は、制御システムコンピュータ40で実行され得るいくつかのソフトウエアプログラムを含んでいる。これらのソフトウエアプログラムは、作業経路22を発生する作業プラナー、作業経路22間の繋ぎを計画する経路プラナー、および作業経路22に従わせるために移動機械28をどちらに操舵するかを決定する経路フォロアを含んでいる。これらのソフトウエアプログラムは、他人の所有地への不法侵入を避けるため、または崖や湖の縁、障害物の近傍のような望ましくない領域内で移動機械28を作業させるのを避けるためなどの種々の理由で、作業領域20の境界線24に関する知識を必要とする。制御システム42はまた、一旦境界線24が確定されると、センサーシステム30がその不正確さによる誤差を含む位置データを提供したときにさらなる緩衝をもたらす緩衝区域26を発生し得る。
【0031】
本発明の他の形態、目的および有利な点は図面、詳細な説明および添付の特許請求の範囲を検討することにより得られる。
【符号の説明】
【0032】
20 作業領域
22 経路
24 境界線
28 移動機械
102 出発地点
104 終地点
106 第一のベクトルの終点
108 ライン
Vl1,Vl2,Vr1,Vr2 境界ベクトル
P(0),P(1),P(2),P(3) 角地点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の角地点を有する多側辺境界線(24)により囲まれた作業領域(20)内で移動機械(28)が従うべき一連の経路(22)を決定する方法であって、
(a)移動機械(28)の方向に基づいて経路(22)の方向を決定し、
(b)移動機械(28)の作業具の幅に基づき経路(22)の幅を決定し、
(c)移動機械(28)の方向にほぼ直交する第一のベクトルであって、その原点が移動機械(28)の左側で移動機械(28)から最遠距離の角地点にあり、その終点(106)が該原点から所定の初期移動の量の距離にある第一のベクトルを計算し、
(d)角地点の位置、作業領域(20)の境界線(24)および第一のベクトルに基づき、経路(22)の出発地点(102)および終地点(104)を決定し、
(e)移動機械(28)の方向に直交する第一のベクトルの終点(106)に一連の経路(22)の隣接する経路(22)までの距離分を増し、
(f)移動機械(28)の方向にほぼ平行な第二のベクトルであって、第一のベクトルの終点(106)に原点を有する第二のベクトルを計算し、
(g)第三のベクトルであって、その原点が最遠の角地点に時計回りで隣接する角にあり、その終点(106)が第一のベクトルの終点(106)にある第三のベクトルを計算し、
(h)第二および第三のベクトルのベクトル外積を計算し、
(i)次の経路(22)の出発地点(102)および終地点(104)を計算するのに用いるべく境界線(24)の側辺を決定するためにベクトル外積の符号を用い、
(j)第一のベクトルの終点(106)および作業領域(20)の境界線(24)に基づき、次の経路(22)のための出発地点(102)および終地点を決定し、
(k)次の経路(22)が作業領域(20)の境界線(24)の外側になるまでステップ(e)ないし(j)を繰返す
ステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
該ステップ(d)は、さらに、第一のベクトルの終点(106)を通り、移動機械(28)の方向にほぼ平行し境界線(24)の二つの側辺に交差するライン(108)であって、交差する地点の一方が経路(22)の出発地点(102)であり、他方が経路(22)の終地点(104)であるライン(108)を決定することを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該ステップ(j)は、さらに、第一のベクトルの終点(106)を通り、移動機械(28)の方向にほぼ平行し境界線(24)の二つの側辺に交差するライン(108)であって、交差する地点の一方が次の経路(22)の出発地点(102)であり、他方が次の経路(22)の終地点(104)であるライン(108)を決定することを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複数の角地点を有する多側辺境界線(24)により囲まれた作業領域(20)内で移動機械(28)が従うべき一連の経路(22)を決定する装置であって、
移動機械(28)の位置、速度および方向のデータを提供する位置付けシステム(30)と通信するデータプロセッサであって、移動機械(28)の方向に基づいて経路(22)の方向を決定すべく作動し得るデータプロセッサ、
さらに、作業具間の領域が後の通過の際に作業されるように、移動機械(28)の作業具の幅および作業具間の空間の幅に基づいて経路(22)の幅を決定すべく作動し得るデータプロセッサ、
さらに、移動機械(28)の方向にほぼ直交する第一のベクトルであって、その原点が移動機械(28)の左側で移動機械(28)から最遠距離の角地点にあり、その終点(106)が該原点から所定の初期移動の量の距離にある第一のベクトルを計算すべく作動し得るデータプロセッサ、
さらに、角地点の位置、作業領域(20)の境界線(24)および第一のベクトルに基づき、経路(22)の出発地点(102)および終地点(104)を決定べく作動し得るデータプロセッサ、
さらに、移動機械(28)の方向に直交する第一のベクトルの終点(106)に一連の経路(22)の次の経路(22)の幅分を、移動機械(28)の方向にほぼ平行な第二のベクトルであって、第一のベクトルの終点(106)に原点を有する第二のベクトルを計算し、第三のベクトルであって、その原点が最遠の角地点に時計回りで隣接する角にあり、その終点(106)が第一のベクトルの終点(106)にある第三のベクトルを計算し、第二および第三のベクトルのベクトル外積を計算し、次の経路(22)の出発地点(102)および終地点(104)を計算するのに用いるべく境界線(24)の側辺を決定するためにベクトル外積の符号を用い、第一のベクトルの終点(106)および作業領域(20)の境界線(24)に基づき、次の経路(22)のための出発地点(102)および終地点を決定し、次の経路(22)が作業領域(20)の境界線(24)の外側になるまで繰返し増すべく作動し得るデータプロセッサ
を備えることを特徴とする装置。
【請求項5】
データプロセッサは、さらに、ベクトルの終点(106)を通り、移動機械(28)の方向にほぼ平行し境界線(24)の二つの側辺に交差するライン(108)であって、交差する地点の一方が経路(22)の出発地点(102)であり、他方が経路(22)の終地点(104)であるライン(108)を決定すべく作動し得ることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
ベクトルの終点(106)を通り、移動機械(28)の方向にほぼ平行し境界線(24)の二つの側辺に交差するライン(108)であって、交差する地点の一方が次の経路(22)の出発地点(102)であり、他方が次の経路(22)の終地点(104)であるライン(108)を決定すべく作動し得ることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項1】
複数の角地点を有する多側辺境界線(24)により囲まれた作業領域(20)内で移動機械(28)が従うべき一連の経路(22)を決定する方法であって、
(a)移動機械(28)の方向に基づいて経路(22)の方向を決定し、
(b)移動機械(28)の作業具の幅に基づき経路(22)の幅を決定し、
(c)移動機械(28)の方向にほぼ直交する第一のベクトルであって、その原点が移動機械(28)の左側で移動機械(28)から最遠距離の角地点にあり、その終点(106)が該原点から所定の初期移動の量の距離にある第一のベクトルを計算し、
(d)角地点の位置、作業領域(20)の境界線(24)および第一のベクトルに基づき、経路(22)の出発地点(102)および終地点(104)を決定し、
(e)移動機械(28)の方向に直交する第一のベクトルの終点(106)に一連の経路(22)の隣接する経路(22)までの距離分を増し、
(f)移動機械(28)の方向にほぼ平行な第二のベクトルであって、第一のベクトルの終点(106)に原点を有する第二のベクトルを計算し、
(g)第三のベクトルであって、その原点が最遠の角地点に時計回りで隣接する角にあり、その終点(106)が第一のベクトルの終点(106)にある第三のベクトルを計算し、
(h)第二および第三のベクトルのベクトル外積を計算し、
(i)次の経路(22)の出発地点(102)および終地点(104)を計算するのに用いるべく境界線(24)の側辺を決定するためにベクトル外積の符号を用い、
(j)第一のベクトルの終点(106)および作業領域(20)の境界線(24)に基づき、次の経路(22)のための出発地点(102)および終地点を決定し、
(k)次の経路(22)が作業領域(20)の境界線(24)の外側になるまでステップ(e)ないし(j)を繰返す
ステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
該ステップ(d)は、さらに、第一のベクトルの終点(106)を通り、移動機械(28)の方向にほぼ平行し境界線(24)の二つの側辺に交差するライン(108)であって、交差する地点の一方が経路(22)の出発地点(102)であり、他方が経路(22)の終地点(104)であるライン(108)を決定することを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該ステップ(j)は、さらに、第一のベクトルの終点(106)を通り、移動機械(28)の方向にほぼ平行し境界線(24)の二つの側辺に交差するライン(108)であって、交差する地点の一方が次の経路(22)の出発地点(102)であり、他方が次の経路(22)の終地点(104)であるライン(108)を決定することを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複数の角地点を有する多側辺境界線(24)により囲まれた作業領域(20)内で移動機械(28)が従うべき一連の経路(22)を決定する装置であって、
移動機械(28)の位置、速度および方向のデータを提供する位置付けシステム(30)と通信するデータプロセッサであって、移動機械(28)の方向に基づいて経路(22)の方向を決定すべく作動し得るデータプロセッサ、
さらに、作業具間の領域が後の通過の際に作業されるように、移動機械(28)の作業具の幅および作業具間の空間の幅に基づいて経路(22)の幅を決定すべく作動し得るデータプロセッサ、
さらに、移動機械(28)の方向にほぼ直交する第一のベクトルであって、その原点が移動機械(28)の左側で移動機械(28)から最遠距離の角地点にあり、その終点(106)が該原点から所定の初期移動の量の距離にある第一のベクトルを計算すべく作動し得るデータプロセッサ、
さらに、角地点の位置、作業領域(20)の境界線(24)および第一のベクトルに基づき、経路(22)の出発地点(102)および終地点(104)を決定べく作動し得るデータプロセッサ、
さらに、移動機械(28)の方向に直交する第一のベクトルの終点(106)に一連の経路(22)の次の経路(22)の幅分を、移動機械(28)の方向にほぼ平行な第二のベクトルであって、第一のベクトルの終点(106)に原点を有する第二のベクトルを計算し、第三のベクトルであって、その原点が最遠の角地点に時計回りで隣接する角にあり、その終点(106)が第一のベクトルの終点(106)にある第三のベクトルを計算し、第二および第三のベクトルのベクトル外積を計算し、次の経路(22)の出発地点(102)および終地点(104)を計算するのに用いるべく境界線(24)の側辺を決定するためにベクトル外積の符号を用い、第一のベクトルの終点(106)および作業領域(20)の境界線(24)に基づき、次の経路(22)のための出発地点(102)および終地点を決定し、次の経路(22)が作業領域(20)の境界線(24)の外側になるまで繰返し増すべく作動し得るデータプロセッサ
を備えることを特徴とする装置。
【請求項5】
データプロセッサは、さらに、ベクトルの終点(106)を通り、移動機械(28)の方向にほぼ平行し境界線(24)の二つの側辺に交差するライン(108)であって、交差する地点の一方が経路(22)の出発地点(102)であり、他方が経路(22)の終地点(104)であるライン(108)を決定すべく作動し得ることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
ベクトルの終点(106)を通り、移動機械(28)の方向にほぼ平行し境界線(24)の二つの側辺に交差するライン(108)であって、交差する地点の一方が次の経路(22)の出発地点(102)であり、他方が次の経路(22)の終地点(104)であるライン(108)を決定すべく作動し得ることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−209681(P2009−209681A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151167(P2009−151167)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【分割の表示】特願2000−565444(P2000−565444)の分割
【原出願日】平成11年7月29日(1999.7.29)
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【分割の表示】特願2000−565444(P2000−565444)の分割
【原出願日】平成11年7月29日(1999.7.29)
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]