説明

移動物体認識装置、移動物体認識方法及びコンピュータプログラム

【課題】画像から移動物体を正確に検出できる移動物体認識装置を提供する。
【解決手段】時系列の画像を撮像するカメラ2と、カメラ2で撮像した時系列の各画像の特徴点を抽出する特徴点抽出部23と、時系列の画像の特徴点を異なる画像間で比較して、同じパターンを有する特徴点を結ぶオプティカルフローを生成するオプティカルフロー生成部24と、オプティカルフローの延長線が所定の誤差範囲で1点の消失点で交わり、かつ、オプティカルフローの延長線においてオプティカルフローの一方の端点を外分点として、オプティカルフローの他方の端点と消失点とを結ぶ線分の外分比が所定の誤差範囲で等しいオプティカルフローを、1つの移動物体に属するオプティカルフローとして選択するグルーピング処理部25と、を備える。さらに、カメラ2で撮像した画像を、カメラ2のレンズの特性に合わせて、透視図に補正する画像補正部22を備えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を用いて移動物体を認識する移動物体認識装置、移動物体認識方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両をより安全に運転できるように運転者に他車の接近を知らせる目的で、車両に接近してくる移動物体、とりわけ進行方向の後方から接近する車両等を検知する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1の技術は、撮像画像から導出されたオプティカルフローと、車速センサによる自車の走行速度に対応したオプティカルフローとの一致、不一致に基づいて、斜め後方の走行車を検出するものである。
【0004】
特許文献2は、暗所を走行している場合においても他車両を認識するための技術が記載されている。特許文献2の技術は、自車両の後側方を撮像した所定時間相前後する2画像中における同一点について、当該点の無限遠点から発散する方向の移動をオプティカルフローとして検出する。そして、自車両の走行方向情報及び走行距離情報に基づいて算出した移動量により、オプティカルフローの無限遠点の位置を変更する。
【0005】
特許文献3は、自車が直進走行していない状況においても得られたオプティカルフローから車両周囲の移動物体を認識する技術が記載されている。特許文献3の技術は、時系列の画像から算出されたオプティカルフローを、変化が連続的な複数群に分類する。一方、車速センサ及びヨーレートセンサから推定した自車の運動方向に基づいてオプティカルフローを補正する。そして、補正されたオプティカルフロー群から移動物体を抽出し、相対速度を演算する。
【特許文献1】特開平6−130076号公報
【特許文献2】特開平9−86314号公報
【特許文献3】特開平6−282655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術は画像を使って後側方からの接近車を認識するものであるが、これらは、2枚の時系列画像からオプティカルフローを抽出し、オプティカルフローから接近車両を検出する技術を基本としている。
【0007】
特許文献1の技術では、オプティカルフローと自車速の差から移動体を検出している。画像面上では自車速は背景のオプティカルフローに対応している。背景とは異なるオプティカルフローを移動体と認識できるが、オプティカルフローをグルーピングしないので、移動体ごとの対応が取れない。
【0008】
特許文献2は、無限遠点からのオプティカルフローの方向から移動体を検出しているが、これも見かけ上(画像面上)のフローをグルーピングすることはできない。
【0009】
特許文献3は、変化が連続的なオプティカルフローを複数群に分けているが、変化の連続性だけでは画像上の位置で幾何学的な大きさが異なる為、グルーピングができない場合がある。特に広角レンズを使用する場合、同一移動物体のオプティカルフローであっても接近時に広がりが大きいため、方向や大きさが変わってしまいグルーピングが難しく、間違えてしまう場合があった。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、画像から移動物体を正確に検出できる移動物体認識装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る移動物体認識装置は、時系列の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で撮像した前記時系列の各画像の特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、前記時系列の画像の特徴点を異なる画像間で比較して、同じパターンを有する前記特徴点を結ぶベクトルであるオプティカルフローを生成するオプティカルフロー生成手段と、前記オプティカルフローのうち、前記オプティカルフローの延長線が所定の誤差範囲で1点の消失点で交わり、かつ、前記オプティカルフローの延長線において前記オプティカルフローの一方の端点を外分点として、前記オプティカルフローの他方の端点と前記消失点とを結ぶ線分の外分比が所定の誤差範囲で等しいオプティカルフローを、1つの移動物体に属するオプティカルフローとして選択するグルーピング手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記撮像手段で撮像した画像を、前記撮像手段のレンズの特性に合わせて、透視図に補正する画像補正手段を備え、前記特徴点抽出手段は、前記画像補正手段で補正された画像の特徴点を抽出することを特徴とする。
【0013】
さらに、前記グルーピング手段でグルーピングしたオプティカルフローを用いて、前記撮像手段から前記移動物体までの距離を算出する距離算出手段を備えてもよい。
【0014】
本発明の第2の観点に係る移動物体認識装置は、時系列の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で撮像した前記時系列の各画像の特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、前記時系列の画像の特徴点を異なる画像間で比較して、同じパターンを有する前記特徴点を結ぶベクトルであるオプティカルフローを生成するオプティカルフロー生成手段と、前記撮像手段から、前記特徴点抽出手段で抽出した少なくとも1つの特徴点までの距離を検知する距離検知手段と、前記距離検知手段で検知した特徴点までの距離と前記特徴点を含むオプティカルフローから、前記オプティカルフローにおける特徴点の変位を算出する変位算出手段と、前記変位算出手段で算出された変位が等しい特徴点を1つの移動物体に属する特徴点として選択する等変位点選択手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記撮像手段で撮像した画像を、前記撮像手段のレンズの特性に合わせて、透視図に補正する画像補正手段を備え、前記特徴点抽出手段は、前記画像補正手段で補正された画像の特徴点を抽出することを特徴とする。
【0016】
さらに、前記距離検知手段は、前記オプティカルフローのうち、前記オプティカルフローの延長線が所定の誤差範囲で1点の消失点で交わり、かつ、前記オプティカルフローの延長線において前記オプティカルフローの一方の端点を外分点として、前記オプティカルフローの他方の端点と前記消失点とを結ぶ線分の外分比が所定の誤差範囲で等しいオプティカルフローを、1つの移動物体に属するオプティカルフローとして選択するグルーピング手段と、前記グルーピング手段でグルーピングしたオプティカルフローを用いて、前記撮像手段から前記移動物体までの距離を算出する距離算出手段と、を備え、前記距離算出手段で算出した距離を特徴点までの距離としてもよい。
【0017】
なお、前記距離検知手段は、光、電磁波もしくは音波などを用いる物理的手段によって前記移動物体までの距離を計測する構成としてもよい。
【0018】
本発明の第3の観点に係る移動物体認識方法は、時系列の画像を入力する撮像ステップと、前記撮像ステップで入力した前記時系列の各画像の特徴点を抽出する特徴点抽出ステップと、前記時系列の画像の特徴点を異なる画像間で比較して、同じパターンを有する前記特徴点を結ぶベクトルであるオプティカルフローを生成するオプティカルフロー生成ステップと、前記オプティカルフローのうち、前記オプティカルフローの延長線が所定の誤差範囲で1点の消失点で交わり、かつ、前記オプティカルフローの延長線において前記オプティカルフローの一方の端点を外分点として、前記オプティカルフローの他方の端点と前記消失点とを結ぶ線分の外分比が所定の誤差範囲で等しいオプティカルフローを選択するグルーピングステップと、を備えることを特徴とする。
【0019】
好ましくは、前記撮像ステップで入力した画像を、前記撮像手段のレンズの特性に合わせて、透視図に補正する画像補正ステップを備え、前記特徴点抽出ステップは、前記画像補正ステップで補正された画像の特徴点を抽出することを特徴とする。
【0020】
本発明の第4の観点に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、時系列の画像を撮像手段から入力する画像入力手段と、画像入力手段で入力した時系列の各画像の特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、前記時系列の画像の特徴点を異なる画像間で比較して、画像上で位置が変化した同じパターンを有する前記特徴点を結ぶベクトルであるオプティカルフローを生成するオプティカルフロー生成手段と、前記オプティカルフローのうち、前記オプティカルフローの延長線が所定の誤差範囲で1点の消失点で交わり、かつ、前記オプティカルフローの延長線において前記オプティカルフローの一方の端点を外分点として、前記オプティカルフローの他方の端点と前記消失点とを結ぶ線分の外分比が所定の誤差範囲で等しいオプティカルフローを、1つの移動物体に属するオプティカルフローとして選択するグルーピング手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の移動物体認識装置によれば、時系列の画像から抽出した特徴点のオプティカルフローを、移動物体毎に正しくグルーピングして移動物体を検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。本発明に係る移動物体認識装置の一実施の形態として、車両の移動物体認識装置について、図を参照して説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態である移動物体認識装置の論理的な構成を示すブロック図である。移動物体認識装置1は、カメラ2、画像入力部21、画像補正部22、特徴点抽出部23、オプティカルフロー生成部24、グルーピング処理部25、データ保持部5、移動物体判定部26、表示処理部27、表示装置7などから構成される。データ保持部5には、収集時系列画像データ51、補正時系列画像データ52、特徴点データ53、オプティカルフローデータ54、グルーピングデータ55が記憶保持される。移動物体認識装置1は、車両の周囲に移動物体があるかどうか、また、どのような移動物体であるかを認識する。特に、車両進行方向の後方から接近する車両等を検出する。
【0024】
ここで、オプティカルフローとそのグルーピング手法について説明する。図3は、オプティカルフローを説明する図である。図3では、移動物体として車両がカメラ2の方に近づいてくる場合を模式的に示す。現在の画像Πにおける特徴点をx1i(i=1...n)とする。過去の画像Πにおけるx1iに対応する特徴点をx2iとする。現在の画像Πに過去の画像Πの特徴点x2iを重ねて表したときに、x2iからx1iに向かうベクトルをオプティカルフローという。
【0025】
画像が透視図である場合は、カメラ2に固定された座標(カメラ座標)に対して平行に(カメラ座標で直進)運動する物体の特徴点のオプティカルフローを延長すると、画像上で1点で交わる(図3)。カメラ座標に対して各特徴点は平行な直線を描くので、これを透視図法で見れば平行線は1点で交わるからである。この点を消失点(FOE:Focus Of Expansion)という。異なる移動物体が互いに平行に移動していなければ、それらのオプティカルフローは異なる消失点で交わる。
【0026】
カメラ座標に対して平行に移動している1つの物体のオプティカルフローは、画像が透視図の場合は次の関係が成り立つ。
【数1】


ここで、x1iは現在の画像Πの特徴点の画像上の座標、x2iは過去の画像Πの特徴点の画像上の座標、xfoeは消失点の画像上の座標、Cは定数である。
【0027】
すなわち、オプティカルフローの一方の端点である現在の画像の特徴点x1iを外分点とする、オプティカルフローの過去の画像の特徴点x2i(他方の端点)と消失点xfoeとを結ぶ線分の外分比が、1つの平行移動する物体では一定である。したがって、1点の消失点で交わり、かつ、上記の外分比が等しいオプティカルフローを1つの物体のオプティカルフローとしてグルーピングできる。外分比としては上記のほかに、例えば、消失点を外分点として、オプティカルフローの外分比をとっても1つの平行移動物体では一定である。
【0028】
図1に戻って、移動物体認識装置1の各部の作用を説明する。カメラ2は画像を撮像しデジタル画像データに変換する。画像入力部21は、一定時間間隔でカメラ2から時系列の画像データを入力し、データ保持部5に収集時系列画像データ51として記憶する。
【0029】
移動物体を撮像するカメラ2として、例えば図4に示すような車両4の後方モニター用のカメラ2を利用することができる。後方モニター用のカメラ2を用いることによって、新たにカメラ2を設ける必要がなく、低コストで移動物体認識装置1を構成できる。
【0030】
駐車支援の後方モニターカメラは広角レンズであるので、画像の周辺が歪んでおり、遠方の分解能が低い。また取り付け位置が低い。これらの条件は、実世界座標として画像を処理するのに都合が悪く、接近する移動物体を認識するのを難しくしている。
【0031】
そこで、撮像した画像の歪みを補正する。図1の画像補正部22は、撮像した画像をレンズの特性に応じて歪みを補正し、透視図の画像に変換する。補正した画像を補正時系列画像データとしてデータ保持部5に記憶する。
【0032】
透視図の画像の座標(x,y)とそれに対応する補正前画像の座標(x’,y’)は次の式の関係がある。
【数2】



ここで、(x0,y0)は補正画像の歪み中心座標、(x'0、y'0)は補正前の画像の歪み中心座標である。fn(r)はカメラレンズ歪み特性関数である。
【0033】
さらに、カメラ2の向きを水平にした場合の画像に変換してもよい。カメラ2の向きを変える場合の変換は、変換前の座標を(x',y')、変換後の座標を(x',y')として、次の式で表される。
【数3】




ここで、βはカメラ2のチルト角、zはスケール因子、e0は画像変換前の消失点と画像中心の距離、H=[hij]は画像変換行列をそれぞれ表す。
【0034】
図5は、広角レンズの後方モニタカメラで撮像した画像の例である。図6は、図5の歪みを補正した画像の例である。図5では、路面の白線が湾曲しているが、図6の補正画像では直線道路の白線が補正されて直線になっている。図7は図6の画像を正規化した画像を示す。これは、さらにカメラ2の向きを水平にして撮像した画像に変換したものである。図6では、鉛直線が下方の1点に収束するが、図7ではカメラ2の向きを水平に補正しているので、鉛直線が平行になっている。
【0035】
次に補正された時系列の画像データから、画像間の比較を行うための特徴点を抽出する。特徴点抽出部23は、補正時系列画像データ52から特徴点を抽出し、特徴点データ53としてデータ保持部5に記憶する。オプティカルフロー生成部24は、特徴点を画像間で比較してパターンの相関の高い特徴点を結ぶベクトルをオプティカルフローとして生成する。オプティカルフロー生成部24は、生成したオプティカルフローをオプティカルフローデータ54としてデータ保持部5に記憶する。特徴点抽出とオプティカルフロー生成の方法を次に説明する。
【0036】
背景差分によって得られた探索領域に対して、接近物体を検出するため、動きベクトルを算出する。動きベクトルの算出方法には各種考えられるが、比較的環境の変化に強いテンプレートマッチングを採用することができる。テンプレートマッチングには追跡しやすい画像ブロックを選択することが重要である。例えば、KLT特徴点計算法を用いることができる。
【0037】
輝度勾配∇I=[Ix,Iy]Tのモーメント行列を、
【数4】


とおく。ここで、
【数5】


である。KLT特徴量をλ2/λ1(行列M(x,y)の条件数=固有値の比)、もしくはmin(λ2,λ1)として、KLT特徴点計算法は次の計算式で表される。
【数6】




【0038】
得られた特徴点の周りにテンプレートを設定し、時系列の後の画像からテンプレートと相関の高い領域を探索する。その移動ベクトルが動きベクトル(オプティカルフロー)として得られる。テンプレートマッチングの手法として、正規化相関法(NCC)を採用できる。正規化相関法の類似度RNCCは次の式によって求められる。
【数7】




ここで、IはN行×M列の領域の輝度値ベクトル、TはN行×M列のテンプレート領域の輝度値ベクトルである。変数の上のバーはそれぞれの領域内の平均値を表す。
【0039】
領域の全探索を行うと計算量が大きいので、状況に応じて物体の移動制約量を想定し、その制約された領域のみを探索して計算量を低減する。例えば、接近方向以外は探索しない。または、過去の移動量から物理的に可能性が低い領域は探索しない、等である。さらに、カメラ2に近い物体は画像上で移動量が大きいので階層化処理を行い、上位階層でのマッチングで探索領域を絞った上で詳細探索することによって、計算量を低減できる。
【0040】
図8は、オプティカルフローの例を示す。白抜きの四角が前回フレームの特徴点、白抜きの丸がそれと相関値の高い最新フレームの点を表す。1つの移動物体のオプティカルフローであっても、例えば、フロントグリルのオプティカルフローと後輪のオプティカルフローでは、方向と長さが異なり、1つの移動物体のオプティカルフローとしてグルーピングするのは難しい。
【0041】
そこで、前述のとおり、1点の消失点で交わり、かつ、数1の外分比が等しいオプティカルフローを1つの物体のオプティカルフローとしてグルーピングする。グルーピング処理部25は、例えば、次のようにオプティカルフローをグルーピングする。
【0042】
数1は2つのパラメータ(消失点と外分比定数)があり、各オプティカルフローに対して、パラメータが同様の値であることがグルーピングの条件である。そこで、数1を2つの変数に対する直線の式に変形する。
【数8】

ここで、dxi=x1i−x2i、C1=C・xfoe である。
【0043】
各オプティカルフローに対して、dxiとx1iをx座標とy座標それぞれについて平面にプロットすると、図9のようになる。図9(a)は、x1iのx座標に対するdxiのx成分を示す。図9(b)は、x1iのy座標に対するdxiのy成分を示す。
【0044】
図9のようにプロットした点のうち、ある誤差を許容して直線上にある点を同一の移動物体に属するオプティカルフローとしてグルーピングできる。直線上にあるかどうかを判定するには種々の方法があるが、例えば、RANSAC(RANdom SAmple Consensus)を用いることができる。RANSACは任意の2点を選んで、その2点を結ぶ直線の一定許容幅内にある点の数を数え、最も点数の多い直線を選択するアルゴリズムである。選択された直線の一定許容幅内にある点を1つのオプティカルフローのグループとする。
【0045】
1つのグループに分類された点を除いて、さらにある誤差を許容して直線上にある点を選択することによって、別の移動物体に属するオプティカルフローをグルーピングできる。これを繰り返して、複数の移動物体を認識することができる。
【0046】
オプティカルフロー処理部は、グルーピングしたオプティカルフローのデータをグルーピングデータ55としてデータ保持部5に記憶する。移動物体判定部26は、グルーピングデータ55から移動物体を判定する。例えば、特徴点の配置から移動物体の大きさ、車種などを判定する。また、移動物体までの距離を算出することもできる。
【0047】
オプティカルフローの最下点を路面(自車と同じ平面上にある)と仮定して、次の式で移動物体までの距離を算出することができる。ここでの距離Zは、カメラから物体の特徴点までの距離の撮像方向への方向余弦である。撮像方向はカメラの光軸の向きであるが、画像を水平方向に正規化した場合は、水平方向(路面に平行)である。以下は、撮像方向を水平(路面に平行)とする。画像平面座標を(u,v)、世界座標を(X,Y,Z)、画像中心座標を(cu、cv)とする。U=u−cu、V=v−cvとおく。
【数9】




ここで、fはカメラ2の焦点距離、δu、δvはそれぞれ横方向、縦方向の画素の物理的間隔、hは路面からのカメラ高さである。また、R=[rij]は射影変換行列係数の回転行列、T=[tkTは射影変換行列係数の平行移動ベクトルである。
【0048】
表示処理部27は、移動物体判定部26で判定した結果を表示装置7に表示する。例えば、後方の接近車の位置の自車両との関係を平面図で示す。また、表示装置7の表示は、音声又はチャイムなどの音響を伴ってもよい。
【0049】
図2は、移動物体認識装置1の物理的な構成の一例を示すブロック図である。図1に示す本発明の移動物体認識装置1は、ハードウェアとしては図2に示すように、制御部11、主記憶部12、外部記憶部13、操作部14、画面表示部15、送受信部16、カメラ2、距離計測器3及び表示装置7から構成される。制御部11、主記憶部12、外部記憶部13、操作部14、画面表示部15及び送受信部16はいずれも内部バス10を介して制御部11に接続されている。
【0050】
制御部11はCPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部13に記憶されているプログラムに従って、画像入力部21、画像補正部22、特徴点抽出部23、オプティカルフロー生成部24、グルーピング処理部25、移動物体判定部26及び表示処理部27の処理を実行する。画像入力部21、画像補正部22、特徴点抽出部23、オプティカルフロー生成部24、グルーピング処理部25、移動物体判定部26及び表示処理部27は、制御部11とその上で実行されるプログラムで実現される。
【0051】
主記憶部12はRAM(Random-Access Memory)等から構成され、制御部11の作業領域として用いられる。データ保持部5は、主記憶部12の一部に記憶領域の構造体として記憶保持される。
【0052】
外部記憶部13は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、前記の処理を制御部11に行わせるためのプログラムを予め記憶し、また、制御部11の指示に従って、このプログラムのデータを制御部11に供給し、制御部11から供給されたデータを記憶する。例えば、時系列画像データは、外部記憶部13に格納されている場合がある。
【0053】
操作部14は、オペレータが移動体認識装置1に指令を与えるために、キースイッチ、ジョグダイヤル、キーボード及びマウスなどのポインティングデバイス等と、それらを内部バス10に接続するインターフェース装置を備える。操作部14を介して、移動物体認識判定条件の入力、移動物体認識の開始などの指令が入力され、制御部11に供給される。
【0054】
表示装置7は、CRT(Cathode Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、操作部14から入力された指令に応じた制御部11の命令によって、収集時系列画像データ51、補正時系列画像データ52、移動物体判定結果などを表示する。画面表示部15は、表示装置7に表示する画面のデータを、表示装置7を駆動する信号に変換する。
【0055】
表示装置7は、スピーカ又はブザーなどを備えてもよい。その場合、画面表示部15は、音声又はチャイムなどの音響を表示装置7から出力させる。
【0056】
カメラ2は、例えば、CCDなどでレンズの結像を電気信号に変換し、画素ごとにデジタル化した画像データを出力する。距離計測器3は、例えば、ミリ波レーダ、レーザ距離計、超音波距離計などであって、物体までの距離を電気信号として出力する。実施の形態1では、距離計測器3は用いない。後述する実施の形態2で物体までの距離を測定するのに用いる。
【0057】
送受信部16は、モデム又は網終端装置、及びそれらと接続するシリアルインタフェース又はLAN(Local Area Network)インタフェースから構成されている。制御部11は、送受信部16を介して、カメラ2又は距離計測器3から時系列データを入力する。
【0058】
つぎに、移動物体認識装置1の動作について説明する。なお、上述のように、移動物体認識装置1の動作は、制御部11が主記憶部12、外部記憶部13、操作部14、画面表示部15及び送受信部16と協働して行う。
【0059】
図11は、移動物体認識の動作の一例を示すフローチャートである。制御部11は送受信部16を介してカメラ2から時系列の画像を入力する(ステップA1)。そして、前述のとおり、カメラ2のレンズ特性に応じて画像を補正する(ステップA2)。さらに、カメラ2のチルト角を補正して水平方向の画像に正規化してもよい。
【0060】
制御部11は、補正された画像の特徴点を、例えば前述のKLT特徴点抽出法で抽出する(ステップA3)。制御部11は、抽出した特徴点を時系列の画像間で比較し、前述のテンプレートマッチングでオプティカルフローを生成する(ステップA4)。
【0061】
次にオプティカルフローをグルーピングする(ステップA5)。前述のとおり、図9のようにプロットした点のうち、ある誤差を許容して直線上にある点を同一の移動物体に属するオプティカルフローとしてグルーピングする。直線上にあるかどうかを判定するには、例えば、RANSACを用いる。そして、グルーピングされたオプティカルフローに属する特徴点のパターンから、移動物体を判定する(ステップA6)。さらに、オプティカルフローの最下点を路面(自車と同じ平面上にある)と仮定して、数9に示した方法で移動物体までの距離を算出してもよい。
【0062】
移動物体が認識された場合は(ステップA7;Yes)、制御部11は、画面表示部15を介して、表示装置7にその情報を表示する(ステップA8)。例えば、後方の接近車の位置を自車両との関係で平面図に示す。また、音声又はチャイムなどの音響で運転者に知らせてもよい。そして、時系列画像データ入力(ステップA1)にもどって、移動物体認識を繰り返す。移動物体が認識されない場合は(ステップA7;No)、表示を行わずに移動物体認識を繰り返す(ステップA1)。
【0063】
本発明の移動物体認識装置1によれば、時系列の画像データから生成されたオプティカルフローを、移動物体ごとに正しくグルーピングできる。その結果、移動物体を正確に認識することができる。また、カメラ2のレンズ特性に応じて画像を補正するので、例えば、広角レンズを使用する後方カメラなどであっても、補正された画像データから生成されたオプティカルフローを、移動物体ごとに正しくグルーピングできる。
【0064】
(実施の形態2)
次に、オプティカルフローにおける特徴点の座標を算出し、2つの画像間の変位が等しい特徴点を1つの移動物体に属する特徴点としてグルーピングする場合の移動物体認識装置1について説明する。図12は、本発明の実施の形態2に係る移動物体認識装置1の論理的な構成の例を示すブロック図である。
【0065】
移動物体認識装置1は、カメラ2、距離計測器3、データ取得部28、画像補正部22、特徴点抽出部23、オプティカルフロー生成部24、等変位点抽出処理部29、データ保持部5、移動物体判定部26、表示処理部27、表示装置7などから構成される。データ保持部5には、収集時系列画像データ51、距離データ56、補正時系列画像データ52、特徴点データ53、オプティカルフローデータ54、グルーピングデータ55が記憶保持される。
【0066】
カメラ2、画像補正部22、特徴点抽出部23、オプティカルフロー生成部24、移動物体判定部26、表示処理部27、表示装置7は、実施の形態1と同様である。
【0067】
距離計測器3は、例えば、ミリ波レーダ、レーザ距離計、超音波距離計などの物理的方法によって距離を測定する計測器であって、カメラ2で撮像する方向にある物体までの距離を計測する。データ取得部28は、カメラ2から時系列の画像を入力して収集時系列画像データ51とする。また、距離計測器3のデータを入力し、距離データ56としてデータ保持部5に記憶する。
【0068】
等変位点抽出処理部29は、特徴点までの距離とその特徴点を含むオプティカルフローから、そのオプティカルフローにおける特徴点の変位を算出する。また、算出した変位が等しい特徴点を1つの移動物体に属する特徴点としてグルーピングする。そして、等変位点抽出処理部29は、グルーピングしたオプティカルフローのデータをグルーピングデータ55としてデータ保持部5に記憶する。
【0069】
オプティカルフローの端点である特徴点までの距離Zから、以下の式で特徴点の世界座標(X,Y)を算出することができる。ここでの距離Zは、カメラから物体の特徴点までの距離の撮像方向への方向余弦である。撮像方向はカメラの光軸の向きであるが、画像を水平方向に正規化した場合は、水平方向(路面に平行)である。以下は、撮像方向を水平(路面に平行)とする。特徴点の画像平面における座標を(u,v)、世界座標を(X,Y,Z)、画像中心座標を(cu、cv)とする。(Xnum,Ynum)はオプティカルフローの始点の世界座標である。始点の世界座標として、前回計算した値を用いることができる。
【数10】








ここで、Su、Svはスケールファクタ、R=[rij]は射影変換行列係数の回転行列、T=[tkTは射影変換行列係数の平行移動ベクトルである。すなわち、θPan、θTilt、θRollをカメラ取り付け角度、TX、TY、TZをカメラ取り付け位置として、射影変換行列係数は次の式で表される。
【数11】

【0070】
端点のZに関して、始点のZ座標は前回計算した値、終点のZ座標はオプティカルフローの最下点を路面と仮定して数9で計算した値とすることができる。すなわち、実施の形態1で計算した距離Zを用いることができる。その場合、距離計測器3は用いなくてもよい。
【0071】
特徴点それぞれの距離Zを計測して、特徴点の世界座標を計算すれば、世界座標における変位(ベクトル)が等しい特徴点を1つの移動物体に属するものとして、グルーピングできる。近似的には、処理領域の特徴点までの距離Zを1つの値で代表して、距離Z(撮像方向への方向余弦)が同じとみなして世界座標を計算してもよい。近似的には、例えば次のようにグルーピングする。
【0072】
算出した端点を始点から終点へのベクトルとして、(X,Y)座標を平面にプロットすると、図10のようになる。このベクトルの方向と長さが同様のもの、すなわち、変位が所定の誤差範囲で等しいオプティカルフローを、1つの移動物体に属する特徴点としてグルーピングする。グルーピングされたオプティカルフローから移動物体を判定し、表示処理することは、実施の形態1と同様である。
【0073】
次に、オプティカルフローにおける特徴点の座標を算出し、2つの画像間の変位が等しい特徴点を1つの移動物体に属する特徴点としてグルーピングする場合の移動物体認識装置1の動作について説明する。実施の形態2における移動物体認識装置1の物理的な構成は、例えば図2で示される。図13は、実施の形態2の移動物体認識の動作の一例を示すフローチャートである。
【0074】
制御部11は送受信部16を介してカメラ2から時系列の画像を入力する(ステップB1)。また、距離計測器3から距離データ56を入力する(ステップB2)。距離Zをオプティカルフローの最下点を路面と仮定して数9で計算した値とする場合は、前回の値を用いる。前述のとおり、カメラ2のレンズ特性に応じて画像を補正する(ステップB3)。さらに、カメラ2のチルト角を補正して水平方向の画像に正規化してもよい。
【0075】
制御部11は、補正された画像の特徴点を、例えば前述のKLT特徴点抽出法で抽出する(ステップB4)。制御部11は、抽出した特徴点を時系列の画像間で比較し、前述のテンプレートマッチングでオプティカルフローを生成する(ステップB5)。
【0076】
次に、オプティカルフローと距離Zから特徴点の世界座標を計算する(ステップB6)。距離Zをオプティカルフローの最下点を路面と仮定して数9で計算した値とする場合は、前回の最下点だった特徴点のオプティカルフローから距離Zを計算する。そして、等変位点をグルーピングする(ステップB7)。前述のとおり、図10のようにプロットしたベクトルのうち、ある誤差を許容して同じ方向と大きさのベクトルを同一の移動物体に属するオプティカルフローとしてグルーピングする。
【0077】
グルーピングされたオプティカルフローに属する特徴点のパターンから、移動物体を判定する(ステップB8)。さらに、オプティカルフローの最下点を路面(自車と同じ平面上にある)と仮定して、数9に示した方法で移動物体までの距離を算出してもよい。
【0078】
移動物体が認識された場合は(ステップB9;Yes)、制御部11は、画面表示部15を介して、表示装置7にその情報を表示する(ステップB10)。例えば、後方の接近車の位置を自車両との関係で平面図に示す。また、音声又はチャイムなどの音響で運転者にしらせてもよい。そして、時系列画像データ入力(ステップB1)にもどって、移動物体認識を繰り返す。移動物体が認識されない場合は(ステップB9;No)、表示を行わずに移動物体認識を繰り返す(ステップB1)。
【0079】
本発明の移動物体認識装置1によれば、時系列の画像データから生成されたオプティカルフローを、移動物体ごとに正しくグルーピングできる。その結果、移動物体を正確に認識することができる。また、カメラ2のレンズ特性に応じて画像を補正するので、例えば、広角レンズを使用する後方カメラなどであっても、補正された画像データから生成されたオプティカルフローを、移動物体ごとに正しくグルーピングできる。
【0080】
その他、前記のハードウエア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更及び修正が可能である。
【0081】
制御部11、主記憶部12、外部記憶部13、操作部14、画面表示部15、送受信部16及び内部バス10などから構成される移動物体認識装置1の処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読みとり可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する移動物体認識装置1を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで移動物体認識装置1を構成してもよい。
【0082】
また、移動物体認識装置1の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0083】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施の形態である移動物体認識装置の論理的な構成を示すブロック図である。
【図2】移動物体認識装置の物理的な構成の一例を示すブロック図である。
【図3】オプティカルフローを説明する図である。
【図4】車両のカメラ取り付け位置の例を示す図である。
【図5】広角レンズの後方モニタカメラで撮像した画像の例である。
【図6】図5の歪みを補正した画像の例である。
【図7】図6の画像を正規化した画像を示す図である。
【図8】オプティカルフローの例を示す図である。
【図9】オプティカルフローと消失点の外分比を変形した直線の式のx成分(a)とy成分(b)をプロットしたグラフである。
【図10】オプティカルフローの世界座標をXY平面に投影した図である。
【図11】移動物体認識の動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態2に係る移動物体認識装置の論理的な構成の例を示すブロック図である。
【図13】実施の形態2の移動物体認識の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
1 移動物体認識装置
2 カメラ(撮像手段)
3 距離計測器(距離検知手段)
5 データ保持部
7 表示装置
10 内部バス
11 制御部(特徴点抽出手段、オプティカルフロー生成手段、グルーピング手段、変位算出手段、等変位点選択手段、画像補正手段)
12 主記憶部
13 外部記憶部
14 操作部
15 画面表示部
16 送受信部
21 画像入力部
22 画像補正部(画像補正手段)
23 特徴点抽出部(特徴点抽出手段)
24 オプティカルフロー生成部(オプティカルフロー生成手段)
25 グルーピング処理部(グルーピング手段)
26 移動物体判定部
27 表示処理部
28 データ取得部
29 等変位点抽出処理部(変位算出手段、等変位点選択手段)
51 収集時系列画像データ
52 補正時系列画像データ
53 特徴点データ
54 オプティカルフローデータ
55 グルーピングデータ
56 距離データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時系列の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で撮像した前記時系列の各画像の特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、
前記時系列の画像の特徴点を異なる画像間で比較して、同じパターンを有する前記特徴点を結ぶベクトルであるオプティカルフローを生成するオプティカルフロー生成手段と、
前記オプティカルフローのうち、前記オプティカルフローの延長線が所定の誤差範囲で1点の消失点で交わり、かつ、前記オプティカルフローの延長線において前記オプティカルフローの一方の端点を外分点として、前記オプティカルフローの他方の端点と前記消失点とを結ぶ線分の外分比が所定の誤差範囲で等しいオプティカルフローを、1つの移動物体に属するオプティカルフローとして選択するグルーピング手段と、
を備えることを特徴とする移動物体認識装置。
【請求項2】
前記撮像手段で撮像した画像を、前記撮像手段のレンズの特性に合わせて、透視図に補正する画像補正手段を備え、
前記特徴点抽出手段は、前記画像補正手段で補正された画像の特徴点を抽出することを特徴とする請求項1に記載の移動物体認識装置。
【請求項3】
前記グルーピング手段でグルーピングしたオプティカルフローを用いて、前記撮像手段から前記移動物体までの距離を算出する距離算出手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の移動物体認識装置。
【請求項4】
時系列の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で撮像した前記時系列の各画像の特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、
前記時系列の画像の特徴点を異なる画像間で比較して、同じパターンを有する前記特徴点を結ぶベクトルであるオプティカルフローを生成するオプティカルフロー生成手段と、
前記撮像手段から、前記特徴点抽出手段で抽出した少なくとも1つの特徴点までの距離を検知する距離検知手段と、
前記距離検知手段で検知した特徴点までの距離と前記特徴点を含むオプティカルフローから、前記オプティカルフローにおける特徴点の変位を算出する変位算出手段と、
前記変位算出手段で算出された変位が等しい特徴点を1つの移動物体に属する特徴点として選択する等変位点選択手段と、
を備えることを特徴とする移動物体認識装置。
【請求項5】
前記撮像手段で撮像した画像を、前記撮像手段のレンズの特性に合わせて、透視図に補正する画像補正手段を備え、
前記特徴点抽出手段は、前記画像補正手段で補正された画像の特徴点を抽出することを特徴とする請求項4に記載の移動物体認識装置。
【請求項6】
前記距離検知手段は、
前記オプティカルフローのうち、前記オプティカルフローの延長線が所定の誤差範囲で1点の消失点で交わり、かつ、前記オプティカルフローの延長線において前記オプティカルフローの一方の端点を外分点として、前記オプティカルフローの他方の端点と前記消失点とを結ぶ線分の外分比が所定の誤差範囲で等しいオプティカルフローを、1つの移動物体に属するオプティカルフローとして選択するグルーピング手段と、
前記グルーピング手段でグルーピングしたオプティカルフローを用いて、前記撮像手段から前記移動物体までの距離を算出する距離算出手段と、
を備え、前記距離算出手段で算出した距離を特徴点までの距離とすることを特徴とする請求項4に記載の移動物体認識装置。
【請求項7】
前記距離検知手段は、物理的手段によって前記移動物体までの距離を計測することを特徴とする請求項4に記載の移動物体認識装置。
【請求項8】
時系列の画像を入力する撮像ステップと、
前記撮像ステップで入力した前記時系列の各画像の特徴点を抽出する特徴点抽出ステップと、
前記時系列の画像の特徴点を異なる画像間で比較して、同じパターンを有する前記特徴点を結ぶベクトルであるオプティカルフローを生成するオプティカルフロー生成ステップと、
前記オプティカルフローのうち、前記オプティカルフローの延長線が所定の誤差範囲で1点の消失点で交わり、かつ、前記オプティカルフローの延長線において前記オプティカルフローの一方の端点を外分点として、前記オプティカルフローの他方の端点と前記消失点とを結ぶ線分の外分比が所定の誤差範囲で等しいオプティカルフローを選択するグルーピングステップと、
を備えることを特徴とする移動物体認識方法。
【請求項9】
前記撮像ステップで入力した画像を、前記撮像手段のレンズの特性に合わせて、透視図に補正する画像補正ステップを備え、
前記特徴点抽出ステップは、前記画像補正ステップで補正された画像の特徴点を抽出することを特徴とする請求項8に記載の移動物体認識方法。
【請求項10】
コンピュータを、
時系列の画像を撮像手段から入力する画像入力手段と、
画像入力手段で入力した時系列の各画像の複数の特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、
前記時系列の画像の特徴点を異なる画像間で比較して、画像上で位置が変化した同じパターンを有する前記特徴点を結ぶベクトルであるオプティカルフローを生成するオプティカルフロー生成手段と、
前記オプティカルフローのうち、前記オプティカルフローの延長線が所定の誤差範囲で1点の消失点で交わり、かつ、前記オプティカルフローの延長線において前記オプティカルフローの一方の端点を外分点として、前記オプティカルフローの他方の端点と前記消失点とを結ぶ線分の外分比が所定の誤差範囲で等しいオプティカルフローを、1つの移動物体に属するオプティカルフローとして選択するグルーピング手段、
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−97126(P2008−97126A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275387(P2006−275387)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】