説明

移動玩具、オートスタート装置、プログラム、情報記憶媒体、およびゲーム装置

【課題】コースのスタートエリアに設置した車両玩具の走行を自動的に開始させる。
【解決手段】コース60上を移動する移動玩具10であって、その接地面側に少なくとも1つの接地部18、20を有するボディ12と、このボディに搭載され、所与の動力が供給されて移動玩具を移動させる原動機30と、当該ボディの接地面側に設けられ、接地面側に対向する検知対象を検知するセンサ50と、このセンサからの検知結果の変化に基づいて、移動玩具がコース上のスタートエリアSAに配置されて、スタートエリアの輝度が第1の輝度から第2の輝度に切り替わったと判断した場合に、原動機の駆動をオフからオンに切り替える制御部310と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動玩具、オートスタート装置、プログラム、情報記憶媒体、およびゲーム装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のコースパーツを連結することで構成される所望のコースを走行させるレーシングカー等を模して、ユーザがより楽しめるように各種趣向を凝らしている車両玩具(移動玩具)が知られている。このような移動玩具として、例えば、特許文献1、特許文献2の従来例がある。
【0003】
特許文献1には、コース状態に応じて、所定のプログラムに基づく自動操縦と、ユーザの遠隔のコントローラの使用によって走行速度と走行方向を操作する手動操縦とを切り替えられる車両玩具走行装置が開示されている。当該車両玩具走行装置では、自動操縦用プログラムは、外部端末となる入力装置で事前に設定し、車両玩具に搭載する人形に内蔵した記憶装置に書き込まれる。そして、自動操縦用プログラムは、当該人形を模した記憶装置を介して、車両玩具に搭載したメモリに転送される。
【0004】
また、特許文献2には、ゲーム装置でゲームプレイすることで得られた制御情報を車両玩具に転送し、この制御情報に基づいて車両玩具の走行を制御する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平6−269574号公報
【特許文献2】特開2000−210476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両玩具によるユーザの楽しみ方の一つとして、例えば、各自が所有の車両玩具を持ち寄って当該車両玩具のレースを行うことがある。しかしながら、特許文献1、2の従来技術では、このようなレースで各自の車両玩具をスタートさせるのに際して、例えば、各ユーザがスタートシグナルと同時に車両玩具から手を離してコースインさせる等、人為的に行われ、各車両玩具が正確に同時スタートを行うことが困難であった。
【0006】
本発明に係る幾つかの態様によれば、コースインさせた車両玩具の走行を自動的に開始できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コース上を移動する移動玩具であって、その接地面側に少なくとも1つの接地部を有するボディと、前記ボディに搭載され、所与の動力が供給されて前記移動玩具を移動させる原動機と、前記ボディの前記接地面側に設けられ、前記接地面側に対向する検知対象を検知するセンサと、前記センサからの検知結果の変化に基づいて、前記移動玩具が前記コース上のスタートエリアに配置されたと判断された場合に、前記原動機の駆動をオフからオンに切り替える制御部と、を含む移動玩具に関係する。
【0008】
本発明の移動玩具によれば、移動玩具のボディの接地面側に設けられたセンサからの検知結果の変化に基づいて、移動玩具がスタートエリアに配置されたと判断されると、原動機の駆動をオフからオンに切り替えられるので、ユーザがコースのスタートエリアに移動玩具を設置すると自動的に移動玩具の走行を開始できるようになる。
【0009】
このとき、本発明では、前記センサは、前記検知対象の輝度を検知し、前記制御部は、前記センサからの検知結果の変化に基づいて、前記移動玩具が前記スタートエリアに配置されて、前記スタートエリアの輝度が第1の輝度から第2の輝度に切り替わったと判断した場合に、前記原動機の駆動をオフからオンに切り替えることとしてもよい。
【0010】
このようにすれば、センサからの検知結果の変化に基づいて、移動玩具がスタートエリアに配置されて、スタートエリアの輝度が第1の輝度から第2の輝度に切り替わったと判断されると、原動機の駆動をオフからオンに切り替えて、自動的に移動玩具の走行を開始できるようになる。
【0011】
また、本発明では、前記スタートエリアには、前記スタートエリアの輝度を前記第1の輝度から前記第2の輝度に切り替えるオートスタート装置が配置され、前記制御部は、前記センサからの検知結果の変化に基づいて、前記オートスタート装置によって前記スタートエリアの輝度が前記第1の輝度から前記第2の輝度に切り替わったと判断した場合に、前記原動機の駆動をオフからオンに切り替えることとしてもよい。
【0012】
このようにすれば、オートスタート装置によって、スタートエリアの輝度を第1の輝度から第2の輝度に切り替えられるので、当該オートスタート装置のスタートエリアの輝度切替操作によって、自動的に移動玩具の走行を開始できるようになる。
【0013】
このとき、本発明では、前記第1の輝度は、所与の基準輝度未満の輝度であり、前記第2の輝度は、前記基準輝度以上の輝度であり、前記制御部は、前記コースの輝度が前記第1の輝度である場合に、前記センサからの検知結果の変化に基づいて、前記スタートエリアの輝度が前記第1の輝度から第2の輝度に切り替わったと判断した場合に、前記原動機の駆動をオフからオンに切り替えることとしてもよい。
【0014】
このようにすれば、オートスタート装置がスタートエリアの輝度を所与の基準輝度未満の輝度から当該基準輝度以上の輝度に切り替えることによって、自動的に移動玩具の走行を開始できるようになる。
【0015】
また、本発明では、前記第1の輝度は、所与の基準輝度以上の輝度であり、前記第2の輝度は、前記基準輝度未満の輝度であり、前記制御部は、前記コースの輝度が前記第1の輝度である場合に、前記センサからの検知結果の変化に基づいて、前記スタートエリアの輝度が前記第1の輝度から第2の輝度に切り替わったと判断した場合に、前記原動機の駆動をオフからオンに切り替えることとしてもよい。
【0016】
このようにすれば、オートスタート装置がスタートエリアの輝度を所与の基準輝度以上の輝度から当該基準輝度未満の輝度に切り替えることによって、自動的に移動玩具の走行を開始できるようになる。
【0017】
このとき、本発明では、前記センサは、前記検知対象に向けて光を投射する投光素子と、前記投光素子から投光した前記光の前記検知対象での反射光を受光する受光素子と、を含む反射型フォトセンサであることとしてもよい。
【0018】
このようにすれば、反射型フォトセンサによる検知対象の輝度変化に基づいて、自動的に移動玩具の走行を開始できるようになる。
【0019】
また、本発明では、前記コース上には、前記コースと輝度の異なる複数のマーカがさらに設けられ、前記移動玩具は、前記スタートエリアおよび前記複数のマーカで区切られた前記コースの第1〜第Nのコース区間に対応づけられた第1〜第Nの走行制御データを記憶する記憶部をさらに含み、前記制御部は、前記第1〜第Nの走行制御データに基づいて、移動玩具の走行を制御することとしてもよい。
【0020】
このようにすれば、移動玩具をコース上に走行させる際に、各コース区間に対応づけられた走行制御データに基づいて、移動玩具の走行を制御できるようになる。
【0021】
また、本発明では、前記第1〜第Nの走行制御データを外部のゲーム装置と送受信するための外部インターフェース部をさらに含み、前記制御部は、前記外部インターフェース部を介して前記ゲーム装置から受信した前記第1〜第Nの走行制御データに基づいて、移動玩具の制御を行うこととしてもよい。
【0022】
このようにすれば、移動玩具をコース上に走行させる際に、ゲーム装置から受信した各コース区間に対応づけられた走行制御データに基づいて、移動玩具の走行を制御できるようになる。
【0023】
また、本発明では、前記制御部は、前記センサからの検知結果の変化および前記第1〜第Nの走行制御データに基づいて、前記マーカの検知された回数が所定の回数に到達したと判断した場合に、前記原動機の駆動をオンからオフに切り替えることとしてもよい。
【0024】
このようにすれば、センサからの検知結果および走行制御データに基づいて、移動玩具の原動機の駆動をオンからオフに切り替える条件を設定できるようになる。
【0025】
このとき、本発明では、前記スタートエリアの輝度が所与の基準輝度以上に設定され、前記制御部は、前記センサからの検知結果の変化に基づいて、前記移動玩具が前記スタートエリアに配置されて、前記検知対象の輝度が前記基準輝度以上であると判断した場合に、前記原動機の駆動をオフからオンに切り替えることとしてもよい。
【0026】
このようにすれば、スタートエリアの輝度が所与の基準輝度以上に設定された場合に、移動玩具をスタートエリアに設置して、センサが検知した輝度が基準輝度以上であると判断すると、原動機の駆動をオフからオンに切り替わって、移動玩具の走行が自動的に開始されるようになる。
【0027】
また、本発明では、前記センサは、前記検知対象に向けて光を投射する投光素子と、前記投光素子から投光した前記光の前記検知対象での反射光を受光する受光素子と、を含む反射型フォトセンサであることとしてもよい。
【0028】
このようにすれば、スタートエリアに移動玩具を設置した際に、反射型フォトセンサによって、輝度が基準輝度以上であると判断すると、原動機の駆動をオフからオンに切り替わり、移動玩具の走行が自動的に開始されるようになる。
【0029】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の移動玩具が走行するコースのスタートエリアに設置され、前記車両玩具の前記コース上での走行を開始させるオートスタート装置であって、前記スタートエリアの輝度を第1の輝度から第2の輝度に切り替える輝度切替機構を含むことを特徴とするオートスタート装置に関係する。
【0030】
本発明のオートスタート装置によれば、輝度切替機構によってスタートエリアの輝度を第1の輝度から第2の輝度に切り替えられるので、オートスタート装置によって、輝度を検知するセンサを接地面側に設けた車両玩具を自動的に走行開始できるようになる。
【0031】
このとき、本発明では、前記輝度切替機構は、前記スタートエリアが画面で表示され、前記画面を第1の輝度から第2の輝度に切り替え表示するディスプレイであることとしてもよい。
【0032】
このようにすれば、ディスプレイの画面の輝度を第1の輝度から第2の輝度に切り替えることによって、スタートエリアの輝度の切り替え操作ができるようになる。
【0033】
また、本発明では、前記輝度切替機構は、前記スタートエリアにおいて前記車両玩具が走行する透明な走行面と、前記第1の輝度を有する第1の輝度プレートと、前記第2の輝度を有する第2の輝度プレートと、前記走行面の下側に設けられる輝度プレートを第1の輝度プレートから第2の輝度プレートに切り替える輝度プレート切替装置と、を含むこととしてもよい。
【0034】
このようにすれば、輝度プレート切替装置によって、スタートエリアの輝度を第1の輝度から第2の輝度に切り替えられる操作ができるようになる。
【0035】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の移動玩具の走行を制御するためのデータである走行制御データを記憶する走行制御データ記憶部と、前記走行制御データを、前記移動玩具に対して送信する処理を行う送信処理部として、コンピュータを機能させ、前記送信処理部は、前記移動玩具の前記コースにおける走行終了条件を設定する走行終了条件情報を前記走行制御データとして、前記移動玩具に対して送信する処理を行うことを特徴とするプログラムに関係する。
【0036】
本発明のプログラムによれば、プレーヤは、走行制御データ設定画面を用いた簡素な作業で、走行制御データを設定して、設定後の走行制御データを移動玩具に送信することができるので、移動玩具の走行制御のための簡素なインターフェース環境をプレーヤに提供できる。特に、走行終了条件情報を走行制御データとして送信することによって、送信先の移動玩具の走行終了条件を設定できる。
【0037】
また、本発明では、前記走行終了条件は、前記移動玩具が前記コースを走行する際に、前記コース上に設けられた前記マーカを検知した回数によって設定されることとしてもよい。
【0038】
このようにすれば、走行制御データの送信先の移動玩具の走行終了条件を移動玩具のセンサがマーカを検知した回数に基づいて、移動玩具の走行を終了させることができる。
【0039】
また、本発明は、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、上記のいずれかに記載のプログラムを記憶したことを特徴とする情報記憶媒体に関係する。
【0040】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の移動玩具の走行を制御するためのデータである走行制御データを記憶する走行制御データ記憶部と、前記走行制御データを、前記移動玩具に対して送信する処理を行う送信処理部と、を含み、前記送信処理部は、前記移動玩具の前記コースにおける移動の終了条件を設定する移動終了条件情報を前記走行制御データとして、前記移動玩具に対して送信する処理を行うことを特徴とするゲーム装置に関係する。
【0041】
このとき、本発明では、前記走行終了条件は、前記移動玩具が前記コースを走行する際に、前記コース上に設けられた前記マーカを検知した回数によって設定されることとしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0043】
1.コース
図1(A)に、本実施形態の移動玩具となる車両玩具を走行させるコースの一例を斜視図で示す。本実施形態では、車両玩具10を走行させるコース60は、図1(A)に示すように、直線形状、カーブ形状、およびスロープ形状の各種構成を有する複数のコースパーツCP1〜CP16が適宜の連結構造を介して、隣接する他のコース部と連結されて無端状に形成し、直線、カーブ、およびスロープが配置される構成となっている。当該コース60は、コースパーツCP1〜CP8によって構成される第1の巡回コース61に、コースパーツCP9〜CP16によって当該第1の巡回コース61と略同一に構成される第2の巡回コース62を後続させるように設置し、サーキット2周で1コースとなる構成となっている。
【0044】
第1の巡回コース61は、第1の直線コースパーツCP1、第1のカーブコースパーツCP2、第1のスロープコースパーツCP3、第2のカーブコースパーツCP4、第2のスロープコースパーツCP5、第3のカーブコースパーツCP6、第2の直線コースパーツCP7、および第4のカーブコースパーツCP8を順に連結して構成される。第1の直線コースパーツCP1は、第2の直線コースパーツCP7より長い直線コースパーツであり、第1のカーブコースパーツCP2に連結される。第1のカーブコースパーツCP2は、ループ形状のコースパーツであり、第1のスロープコースパーツCP3に連結される。第1のスロープコースパーツCP3は、第1の直線コースパーツCP1および第3の直線コースパーツCP9と立体交差するように、スロープ形状の架橋となって、後続の第2のカーブコースパーツCP4に連結される。第2のカーブコースパーツCP4は、緩やかなカーブコースであり、かつ第6のカーブコースパーツCP12と立体交差するように、スロープ形状の架橋となって、後続の第2のスロープコースパーツCP5に連結される。第2のスロープコースパーツCP5は、第1の直線コースパーツCP1、第3の直線コースパーツCP9と立体交差するように、スロープ形状の架橋となって、後続の第3のカーブコースパーツCP6に連結される。第3のカーブコースパーツCP6は、カーブ形状のコースパーツであり、後続の第2の直線コースパーツCP7に連結される。第2の直線コースパーツCP7は、直線形状のコースパーツであり、後続の第4のカーブコースパーツCP8に連結される。第4のカーブコースパーツCP8は、ループ形状のコースパーツであり、後続の第2の巡回コース62の導入コースとなる第3の直線コースパーツCP9に連結される。
【0045】
一方、第2の巡回コース62は、第3の直線コースパーツCP9、第5のカーブコースパーツCP10、第3のスロープコースパーツCP11、第6のカーブコースパーツCP12、第4のスロープコースパーツCP13、第7のカーブコースパーツCP14、第4の直線コースパーツCP15、および第8のカーブコースパーツCP16を順に連結して構成される。第3の直線コースパーツCP9は、第1の直線コースパーツCP1と同一の直線コースパーツであり、第5のカーブコースパーツCP10に連結される。第5のカーブコースパーツCP10は、第1のループコースパーツCP2と同一のループ形状のコースパーツであり、第3のスロープコースパーツCP11に連結される。第3のスロープコースパーツCP11は、第1のスロープコースパーツCP3と同様の構成でスロープ形状の架橋となって、後続の第6のカーブコースパーツCP12に連結される。第6のカーブコースパーツCP12は、緩やかなカーブコースであり、後続の第4のスロープコースパーツCP13に連結される。第4のスロープコースパーツCP13は、第2のスロープコースパーツCP5と同様の構成でスロープ形状の架橋となって、後続の第7のカーブコースパーツCP14に連結される。第7のカーブコースパーツCP14は、カーブ形状のコースパーツであり、後続の第4の直線コースパーツCP15に連結される。第4の直線コースパーツCP15は、直線形状のコースパーツであり、後続の第8のカーブコースパーツCP16に連結される。
【0046】
また、各コース部は、図1(B)のA−A矢視断面図で示すように、第1の巡回コース61と第2の巡回コース62が並列され、各巡回コース61、62に対し両サイド側に、それぞれ側壁63L、63R、64L、64Rが設けられている。そして、各巡回コース61、62の略中央には、黒色のセンターラインCL1、CL2が設けられている。
【0047】
さらに、コース60には、図1(A)に示すように、各コースパーツCP1〜CP16の連結部に白色のマーカMC1〜MC16が設けられており、そのうち、第1の直線コース部CP1の一端に設けられる第1のマーカMC1がスタートエリアSAとなる。本実施形態では、当該スタートエリアSAには、スタートエリアSAの輝度を一の輝度(第1の輝度)から他の輝度(第2の輝度)に切り替えるオートスタート装置600が配置される。なお、ここで言及する基準輝度とは、第1の輝度と第2の輝度の差異を明確に設定するための当該第1の輝度と第2の輝度の間の所与の輝度である。
【0048】
本実施形態では、オートスタート装置600がスタートエリアSAの輝度を一の輝度(第1の輝度)から他の輝度(第2の輝度)に切り替えることによって、車両玩具10は、スタートエリアSA(第1のマーカMC1)をスタートラインとして走行開始する。そして、車両玩具10は、各種端末装置等からなるゲーム装置からインストールされるプログラムによって走行動作が制御されながら、コース60上を反時計回り(図1におけるX方向)で走行する。また、コース60は、第1〜第16のマーカMC1〜MC16で区切ることによって、第1〜第16のコース区間CS1〜CS16が設定されるものとする。すなわち、各コースパーツCP9〜CP16に対応して、各コース区間CS1〜CS16が設定されるものとする。なお、本実施形態のコース60は、図1の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0049】
2.移動玩具
図2に、本実施形態の移動玩具の一例である車両玩具10の外観斜視図を示す。本実施形態では、図2に示すように、車両玩具10のボディ12は、スポーツカー等の外形を模した外装部14と、前輪18と後輪20(接地部)が一対ずつ設けられるシャシ16とを含む。これらの前輪18および後輪20は、シャシ16に搭載されたモータ等の原動機によって駆動されて、車両玩具10を移動させる。
【0050】
図2に示すように、ボディ12の四隅には、ガイドローラ(プレート)21、22、23、24(24について図3参照)がそれぞれ設けられている。これらのガイドローラ21〜24は、コース60を走行中に、図1(B)に示す側壁63L、63R、64L、64Rにヒットすることで、車両玩具10のコース60上での進行を円滑にすると共に、車両玩具10の走行の安定性を担保するための部材である。
【0051】
なお、本実施形態では、車両玩具10は、ボディ12(外装部14)がスポーツカーを模した形状になっているが、車両玩具10は、これに限らず様々な形態の自動車(例えば、トラック等)、或いは二輪車(例えば、バイク等)の外形を有していてもよい。また、本実施形態の移動玩具は、車両玩具に限定されず、例えば、競馬の競走馬等の動物や漫画等の各キャラクタを模した人形等をコースに沿って移動させるものにも適用可能である。
【0052】
図3は、本実施形態の車両玩具10の内部構成の平面図であり、ボディ12の外装部14を取り外した状態を示す。本実施形態では、車両玩具10は、前輪18(18L、18R)および後輪20(20L、20R)をそれぞれ左右に一対ずつ有し、これら前輪18、後輪20を軸支する前輪用車軸(シャフト)26、後輪用車軸28に、シャシ16の後方側に搭載されるモータ30の駆動が伝達され、前輪18および後輪20が回転駆動される四輪駆動車両玩具である。なお、所与の動力を供給して車両玩具10を走行移動させるための機械的エネルギーに変換する原動機は、モータ30に限定されず、例えば小型エンジン等の他の原動機を適用しても良い。
【0053】
後輪用車軸28には、後輪20を駆動させるための後輪駆動用ギア32が設けられ、当該後輪駆動用ギア32を介して、当該後輪用車軸28にモータ30の駆動が伝達される。また、後輪用車軸28には、前輪用車軸26にモータ30の駆動を伝達するための後輪側クラウンギア34が設けられており、前輪用車軸26に駆動を伝達するための駆動伝達軸36の端部に設けられる後輪側駆動伝達ギア38と噛合している。
【0054】
一方、前輪用車軸26には、駆動伝達軸36を介してモータ30の駆動を伝達するための前輪側クラウンギア40が設けられており、駆動伝達軸36の他端に設けられる前輪側駆動伝達ギア42と噛合している。このため、モータ30が駆動すると、モータ30の駆動が後輪駆動用ギア32、後輪側駆動伝達ギア38、駆動伝達軸36、前輪側駆動伝達ギア42、および前輪側クラウンギア40を介して伝達され、本実施形態の車両玩具10が四輪駆動となる。なお、本実施形態の車両玩具10のモータ30に所与の動力を供給して車両玩具10を走行させるための機械的エネルギーに変換する動力伝達機構は、図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0055】
また、前輪用車軸26は、シャシ16に対し軸部44を介して軸支される前輪軸支持部46に回転自在に支持されている。このため、前輪18は、前輪用車軸26を介して水平軸周りに回転可能とすることによって車両玩具10を走行させ、かつ軸部44で軸支される前輪軸支持部46を介して垂直軸周りに揺動可能とすることによって、車両玩具10の向きを変化させる。
【0056】
シャシ16の略中央には、モータ30に動力となる電力を供給する電源として乾電池48(動力源)が設置されている。乾電池48の設置場所は、シャシ16の略中央に限定されないが、重量を有する乾電池48をシャシ16の略中央に設置することによって、車両玩具10の重心が略中央に移動し、車両玩具10の走行動作が安定するようになるので、乾電池48の設置場所は、シャシ16の略中央に設置することが好ましい。なお、本実施形態では、電力供給源として乾電池48を設置する車両玩具10としているが、電力供給を充電式によるものとすることも可能である。
【0057】
さらに、車両玩具10がコース60上に走行中にコース60と対向するボディ12の接地面側、すなわちシャシ16の裏面側の前方には、当該接地面のコース60への対向を検知するセンサ50が設けられている。本実施形態では、センサ50は、コース60に設けられた複数のマーカMC1〜MC16の各マーカを検知する。具体的には本実施形態では、センサ50は、検知対象の輝度(輝度情報)を検知する。そしてセンサ50からの検知結果(検知信号)に基づいて、シャシ16の裏面側となる接地面側が、コース60に対向しているか否かを検知する。
【0058】
具体的には、センサ50は、図1(B)に示すコース60の黒色のセンターラインCL1、CL2と対向するように配置され、検知対象(センターライン、マーカ等)の輝度を検知する。この場合に、コースの輝度であるセンターラインCL1、CLの輝度は、所与の基準輝度未満であり、白色マーカMC1〜MC16の輝度は、基準輝度以上になるように設定される。そして、車両玩具10が走行してコース60上に設けられているMC1〜MC16の各マーカを通過すると、センサ50の検知対象の輝度が基準輝度未満から基準輝度以上になったと判断されて、各マーカが検出される。一方、センサ50の検出対象の輝度が所定判定時間以上、基準輝度未満であると判断されると、車両玩具10のジャンプ等により、シャシ16の裏面側、すなわち接地面側がコース60に対向しなくなったと判定される。このようにセンサ50がコース60のセンターラインCL1、CL2およびマーカMC1〜MC16を適宜読み取るためには、センサ50は、シャシ14の裏面側(接地面側)のうち、前輪18L、18R(広義には第1、第2の接地部)の間に配置されることが好ましい。なお、ここで言及する基準輝度とは、第1の輝度と第2の輝度の差異を明確に設定するための当該第1の輝度と第2の輝度の間の所与の輝度である。
【0059】
本実施形態では、車両玩具10が通常通りコース60を走行している場合は、当該センサ50がコース60と対向するので、所与の時間間隔でコース60上に設けられている白色のマーカMC1〜MC16を読み取れる。一方、車両玩具10がジャンプしたり、コースアウト、転倒等した場合には、車両玩具10の接地面がコース60に対向しなくなるので、所定判定時間以上経過しても、マーカMC1〜MC16を読み取れなくなる。
【0060】
なお、センサ50としては、例えば、反射型のフォトセンサ(赤外線センサ)を用いることができる。この反射型のフォトセンサは、LED等の発光素子(投光素子)を有し、当該発光素子で発光した(投光素子から投光した)光を検知対象で反射させて、その反射光を受光素子で受光することによって検知するセンサである。センサ50を反射型フォトセンサに設定した場合では、センサ50が外乱光と対向しても、検知対象の反射光を当該フォトセンサの受光部が受光できない。このため、コース60の輝度が所与の基準輝度以上である場合では、車両玩具10をコース20上に設置すると、センサ50の検知対象の輝度が所与の基準輝度未満から基準値以上に変化する。それによって、モータ30の駆動がオンになり、車両玩具10がコース60上で走行開始するようになる。このように、得に、コース60の輝度が所与の基準輝度以上である場合では、センサ50を反射型フォトセンサにすると、車両玩具10のオートスタートを容易に行えるので好ましい。
【0061】
但し、センサ50は、反射型のフォトセンサには限定されず、距離センサ、バーコード読み取りセンサ、或いはCCD等の各種センサを用いることができる。例えば、センサ50を赤外線受光部が設置される赤外線センサにして、センサ50の検知対象となるスタートエリアSAやマーカMC1〜MC16に赤外線発光部を設置して、当該赤外線センサによる近距離データ通信に好適なIRDA通信を利用するものとしてもよい。すなわち、コース20上のスタートエリアSAやマーカMC1〜MC16から出力される赤外線信号によって、スタートの開始情報が伝達された場合、原動機の駆動をONからOFFに切り替えるようにすることも可能である。なお、このとき、センサ50の第1のセンサとして、マーカを読み取るフォトセンサを設け、センサ50の第2のセンサとして、スタート開始を検知する赤外線センサを設ける構成としてもよい。
【0062】
また、車両玩具10のスタート後(レース開始後、原動機がオンになった後)に、常時、センサ50による検知対象の検知を実行するようにしてもよい。すなわち、スタート後、常にセンサ50による検知を行い、得られた検知結果のデータを記憶部330に蓄積して行く。このとき、例えば検知結果のデータを記憶部330の図示しないリングバッファに格納するようにしてもよい。この場合には、リングバッファの全ての格納領域に検知結果データが書き込まれると、その後は検知結果が上書きされることになるため、リングバッファに格納される検知結果データが所定時間毎に更新されるようになる。
【0063】
また、車両玩具10のボディ12(シャシ16)の後端側には、ブレーキランプ等として機能する発光素子52L、52Rが設けられており、車両玩具10の速度変化時(例えば、減速時または加速時等)に点灯する。これにより、減速時のブレーキランプの点灯等を擬似的に表現できる。なお、本実施形態の車両玩具10の内部構成は、図3の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0064】
図4に、本実施形態の車両玩具(移動玩具)10の機能ブロック図の例を示す。車両玩具10のボディ12内には、車両玩具10の各構成要素を制御するための回路部品が実装された回路基板(システム基板)300が設けられている。この回路基板300は、図4に示すように、制御部310、記憶部330、発光素子駆動部340、駆動部350、センサコントローラ360、および外部インターフェース(I/F)部370を含む。なお、本実施形態の車両玩具10の回路基板300に含まれる各構成要素は、図4の機能ブロック図の例に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0065】
制御部310は、車両玩具10(移動玩具)の制御を行う。具体的には、記憶部330から読み出されたデータやプログラムなどに基づいて、車両玩具10全体の制御や、回路基板300の各構成要素(駆動部等)の制御を行う。本実施形態では、制御部310は、例えば、図4に示すように、輝度変化判断部312、モータ駆動制御部314、発光素子駆動制御部316、およびデータ送受信処理部318を含む。
【0066】
輝度変化判断部312は、センサ50で検知された検知対象(コース60のセンターラインCL1、CL2およびマーカMC1〜MC16)の輝度が例えば所与の基準輝度未満の黒色(第1の輝度)から当該基準輝度以上の白色(第2の輝度)に変化したか否かの判断をする。
【0067】
モータ駆動制御部314は、センサ50からの検知結果に基づいてモータ30の駆動をオンまたはオフに切り替える制御をする。本実施形態では、例えば、輝度変化判断部312でセンサ50の検知結果として、スタートエリアSAの輝度変化を検出すると、モータ駆動制御部314がオフになっていたモータ30の駆動をオンに切り替える判断をして、駆動部350にモータ30を駆動させるようコマンドを送信する。
【0068】
発光素子駆動制御部316は、発光素子52を発光させる動作コマンドを受信したら、発光素子52を発光させるために駆動させるコマンドを発光素子駆動部340に送信する制御をする。
【0069】
データ送受信処理部318は、外部インターフェース部370が外部機器とインターフェース処理をした際に、当該外部機器とデータの送受信を行う制御をする。具体的には、データ送受信処理部318は、外部インターフェース部370がゲーム装置100とインターフェース処理をした際に、ゲーム装置100から送信される各種データを受信して記憶部330のROMに記憶させたり、反対に実際に走行した車両玩具10に新たに記憶された各種データをゲーム装置100に送信する制御を行う。
【0070】
このようにして、本実施形態では、制御部310は、例えば、センサ50からの検知情報や、記憶部330に記憶されるデータ(走行制御データ、動力設定データ、電力設定データ)に基づいて、モータ(広義には原動機)30を駆動するための制御を行う。なお、この制御部310の機能は、各種プロセッサ(CPU等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
【0071】
記憶部330は、各種プログラムやデータを記憶するものであり、その機能はRAMやROMなどにより実現できる。例えば、制御部310は、記憶部330(ROM)から読み出されたプログラムにより動作し、記憶部330(RAM)をワーク領域として各種処理を行う。また、外部のゲーム装置(外部端末)から受信した走行制御データなどの各種データは、記憶部310(ROM)に保存される。なお、メモリーカードなどの携帯型情報記憶装置の装着が可能な移動玩具の場合には、当該携帯型情報記憶装置によって、記憶部330の一部の機能を実現してもよい。
【0072】
発光素子駆動部340は、ブレーキランプ等に使用されるLED等の発光素子52を駆動する。例えば、本実施形態では、制御部310は、車両玩具10の減速制御時(ブレーキング時)に、発光素子52を発光させる制御を行う。具体的には、車両玩具10の減速時に、制御部310からの指示信号に基づいて、発光素子駆動部340が発光素子52を駆動して発光させ、ブレーキランプの点灯を疑似的に表現する。
【0073】
駆動部350(モータ駆動部)は、制御部310の制御の下でモータ30を駆動する。モータ30(原動機)は、車両玩具10(移動玩具)のボディ12に搭載されており、所与の動力(電力)が供給されて、車両玩具10を走行(移動)させる。
【0074】
例えば、車両玩具10を走行させる場合には、駆動部350は、モータ30をPWM駆動する。この場合のPWM駆動のデューティは、記憶部330から読み出された走行制御データである動力設定データ(電力設定データ)により設定される。そして、車両玩具10の走行速度は、PWM駆動のデューティにより制御できる。また、車両玩具10の加速制御を行う場合には、例えば、100パーセントなどの高いデューティに対応する電圧をモータ30に印加する。一方、減速制御を行う場合には、例えば、通常走行時とは逆極性の電圧をモータ30に印加する。
【0075】
また、本実施形態では、センサ50からの検知結果に基づいて、ボディ12(シャシ16)の接地面側がコース60に所定の判定時間以上対向していないと判断された場合に、モータ30への電力(動力)の供給を停止して、モータ30を停止させる。すなわちPWM駆動を停止して、モータ30の回転動作を停止させる。その際に、モータ30の慣性による回転動作を逆極性の電圧印加により減速した後に、電力供給を停止してもよい。
【0076】
センサコントローラ360は、センサ50の制御等を行うコントローラである。具体的には、センサ50からの検知信号を受けて、検知信号に対応するデータを制御部310に出力する。例えば、センサ50が反射型のフォトセンサである場合には、センサ50は、LED等の発光素子により実現される投光部と、検知対象からの反射光を受光する受光部を有する。この場合に、センサコントローラ360は、発光素子を発光させたり、受光部からの検知信号を検出する処理などを行う。また、センサ50が赤外線受光部の設置される赤外線センサを含む構成とした場合は、センサコントローラ360は、センサ50の赤外線受光部からの検知信号を検出する処理を行う。
【0077】
外部インターフェース(I/F)部370は、外部機器とのインターフェース処理を行うものである。具体的には、外部機器であるゲーム装置100から走行制御データなどのデータを受信したり、ゲーム装置100に対して実走行結果データなどのデータを送信する。なお、センサ50が赤外線受光部の設置される赤外線センサを含む構成とした場合は、センサコントローラ360が外部インターフェース部370を兼用することとなる。
【0078】
すなわち、外部I/F部370によるインターフェースは、RS232CやUSBなどの有線のインターフェースにより実現してもよいし、赤外線などの無線のインターフェースにより実現してもよい。例えば赤外線通信(IRDA)により、外部I/F部370のインターフェースを実現する場合には、車両玩具10の例えば裏面側に赤外線の受光センサを設ける。そしてゲーム装置側(ゲーム装置本体やゲーム装置に装着されるICカード)の発光素子からの赤外線を、この受光センサで検知することで、ゲーム装置からの走行制御データ(動作制御データ)等のデータを車両玩具10にダウンロードする。また、車両玩具10の例えば裏面側に赤外線の発光素子を設ける。そして、この発光素子からの赤外線をゲーム装置側の受光センサにより検知することで、車両玩具10の走行結果データ(動作結果データ)等のデータを、ゲーム装置にアップロードする。
【0079】
こうして、センサコントローラ360によって、外部機器であるゲーム装置100から走行制御データなどのデータを赤外線センサによるIRDA通信で受信することによって、車両玩具10の走行動作を制御したり、ゲーム装置100に対して実走行結果データなどのデータを送信する。このように、センサ50として、赤外線センサを設けることによって、近距離通信に好適なIRDA通信による車両玩具10の動作制御が可能になる。また、また複数の車両玩具をレースさせるために同時にコース上に走行させる場合に、これらの車両玩具間における混線によるトラブル等を抑制できる。
【0080】
そして、本実施形態では、記憶部330は、コース60での移動玩具(狭義には、車両玩具10)の走行を制御するためのデータである走行制御データを記憶する。この走行制御データは、移動玩具の各コース区間での速度等を設定するためのデータである。
【0081】
また、センサ50は、コース60に設けられた複数のマーカMC1〜MC16の各マーカを検知する。例えば、移動玩具が各マーカの設置位置を通過した時に、その通過を検知し、移動玩具がどのコース区間に位置するのかを検出する。
【0082】
そして、記憶部330は、走行制御データとして、コース60の各コース区間において原動機(狭義にはモータ30)に供給される動力の大きさを設定する動力設定データを、コース60の各コース区間に対応づけて記憶する。当該動力設定データは、例えば、モータ30に供給される電力(実効電圧)の設定データであり、具体的には、モータ30をPWM駆動する際のデューティを設定するためのデータである。
【0083】
3.オートスタート装置
3.1.第1の構成例
図5(A)に、本実施形態のオートスタート装置の第1の構成例の斜視図、図5(B)に、当該第1の構成例のオートスタート装置の上から見た平面図を示す。図5(A)に示すように、第1の構成例のオートスタート装置は、コース60のスタートエリアSAとなる部分に設置され、スタートエリアSAの輝度を黒色等の基準輝度未満の輝度(第1の輝度)から白色等の基準輝度以上の輝度(第2の輝度)に切り替える輝度切替機構として、スタートエリアSAの画像が表示されるディスプレイ602が使用されている。
【0084】
第1の構成例のオートスタート装置は、ディスプレイ602にスタートエリアSAが画面に表示され、当該画面の輝度を不図示の操作部の操作によって、適宜切り替えられる。第1の構成例のオートスタート装置となるディスプレイ602は、第1のコースパーツCP1と別体パーツとして、第1のコースパーツCP1と第16のコースパーツCP16との間に連結可能となるように、両端部に連結部603、604が設けられている。なお、当該ディスプレイ602は、第1のコースパーツCP1の一部に配置されるように一体成型される構成としても良い。
【0085】
第1の構成例では、スタートエリアSAの輝度を基準輝度未満から基準輝度以上に切り替える輝度切替機構として、スタートエリアSAを画面表示するディスプレイ602を使用することによって、ディスプレイ602の輝度を図6(A)に示すような黒色から図6(B)に示す白色に切り替える。このように、ディスプレイ602の画面表示の輝度を切り替えることによって、車両玩具10のボディ12の接地面側に設けられるセンサ50がスタートエリアSAの輝度の変化を検知する。そして、センサ50が検知対象となるスタートエリアSAの輝度変化によって、制御部310がモータ30を駆動させることによって、車両玩具10の走行が開始される。このようにして、本実施形態の車両玩具10が自動的に走行を開始できるようになる。
【0086】
また、例えば、複数(2つ)の車両玩具MT1、MT2をコース上でレースをさせる際に、これらの車両玩具MT1、MT2をスタートエリアSAに設置して同時にスタートさせるために、ディスプレイ602の輝度を図7(A)に示すような黒色から図7(B)に示すような白色に切り替える。こうすることによって、各車両玩具MT1、MT2のボディ12−1、12−2の接地面側に設けられるセンサ50−1、50−2がスタートエリアSAの輝度の変化を同時に検知できるようになる。このため、従来のように各自がスタートシグナル等によって人為的にスタートエリアSAに設置してから手を離すよりも、確実に各車両玩具MT1、MT2を同時に走行動作開始させることが容易にできるようになる。
【0087】
なお、第1の構成例におけるオートスタート装置のディスプレイ602の輝度の切り替えによる車両玩具10の走行開始は、図6(A)に示すようなスタートエリアSAの輝度を基準輝度未満から図6(B)に示す基準輝度以上に切り替える場合に限定されない。すなわち、スタートエリアSAの輝度が基準輝度以上から基準輝度未満に切り替わったことをセンサ50が検知することによって、制御部310がモータ30を駆動させるように制御を設定してもよい。このように制御部310を設定すれば、図8(A)に示すようなスタートエリアSAの輝度を基準輝度以上から、図8(B)に示す基準輝度未満に切り替わった場合に、車両玩具10の走行が開始される。
【0088】
3.2.第2の構成例
図9(A)に本実施形態のオートスタート装置の第2の構成例の斜視図、図9(B)に図9(A)のB−B矢視断面図、図9(C)に第2の構成例のオートスタート装置を解体した場合の上から見た平面図を示す。
【0089】
図9(A)に示すように、第2の構成例のオートスタート装置は、コース60のスタートエリアSAとなる部分に設置され、スタートエリアSAの輝度を黒色等の基準輝度未満の輝度(第1の輝度)から白色等の基準輝度以上の輝度(第2の輝度)に切り替える輝度切替機構として、輝度プレート切替装置610が使用される。第2の構成例のオートスタート装置となる輝度プレート切替装置610は、第1のコースパーツCP1と別体パーツとして、第1のコースパーツCP1と第16のコースパーツCP16との間に連結可能となるように、両端部に連結部608、609が設けられている。なお、当該輝度プレート切替装置610は、第1のコースパーツCP1の一端部側に配置されるように一体成型される構成としても良い。
【0090】
第2の構成例のオートスタート装置の輝度切替機構となる輝度プレート切替装置610は、スタートエリアSAにおける走行面612が透明に形成され、図9(B)に示すように、当該走行面の下側にコースパーツCPにおける車両玩具10のコースの幅方向(Y方向)に形成されたレール部614が設けられている。そして、黒色等の基準輝度未満の輝度(第1の輝度)を有する第1の輝度プレート616と、白色等の基準輝度以上の輝度(第2の輝度)を有する第2の輝度プレート618とが並列配置されたスライド操作プレート620が、当該レール部614に沿ってスライド可能に設けられている。
【0091】
スライド操作プレート620は、一端側に当該スライド操作部材620がレール部614から抜けないようにするためのストッパー部622、他端側に当該スライド操作部材620をレール部614に沿って、ユーザがスライド操作し易くするための把持部624が設けられている。また、スライド操作プレート620は、図9(C)に示すように、長さ方向(Y方向)に、第1の輝度プレート616と第2の輝度プレート618とが並列配置されるように形成されている。第1の輝度プレート616および第2の輝度プレート618は、共にスタートエリアSAと略同一の形状および面積を有する。第2の構成例では、このように構成されたスライド操作プレート620を、図9(A)〜図9(C)に示すY方向にスライド移動させる操作をすることによって、スタートエリアSAの輝度を基準輝度未満の輝度(第1の輝度)、または基準輝度以上の輝度(第2の輝度)の何れかになるように切り替える。
【0092】
輝度プレート切替装置610をこのような構成とすることによって、スタートエリアSAに配置された車両玩具10を走行開始させる際に、図10(A)に示すように、例えば、スライド操作プレート620の把持部624を持ってY方向にスライド移動させる。すると、スタートエリアSAの輝度が、図10(A)に示す黒色等の基準輝度未満の輝度(第1の輝度)から、図10(B)に示すから白色等の基準輝度以上の輝度(第2の輝度)に切り替わる。このように、スライド操作プレート620の把持部624を持ってY方向にスライド移動させることによって、車両玩具10のボディ12の接地面側に設けられるセンサ50がスタートエリアSAの輝度の変化を検知する。そして、センサ50が検知対象となるスタートエリアSAの輝度変化によって、制御部310がモータ30を駆動させて、車両玩具10の走行が開始される。このようにして、本実施形態の車両玩具10が自動的に走行を開始できるようになる。
【0093】
なお、第2の構成例におけるオートスタート装置として、輝度プレート切替装置610のスライド操作プレート620のスライド移動による車両玩具10の走行開始は、図10(A)に示すようなスタートエリアSAの輝度を基準輝度未満から、図10(B)に示す基準輝度以上に切り替える場合に限定されない。すなわち、スタートエリアSAの輝度が基準輝度以上から基準輝度未満に切り替わったことをセンサ50が検知することにより、制御部310がモータ30を駆動させるように制御を設定してもよい。
【0094】
また、第2の構成例におけるオートスタート装置における輝度切替機構となる輝度プレート切替装置610は、スライド操作プレート620のスライド移動によるものに限定されない。すなわち、略透明の走行面612の下側に設けられる輝度プレートが第1の輝度を有する第1の輝度プレートから、第2の輝度を有する第2の輝度プレートに切り替えられる構成であればよい。例えば、図11(A)の平面図のC−C矢視断面図である図11(B)に示すように、スタートエリアSAの走行面612を略透明にして、当該走行面612の下側に有する黒色等の基準輝度未満の輝度(第1の輝度)を有する第1の輝度プレート630が回転軸632を中心に、図11(B)に示すC方向に回動可能な構成としてもよい。すなわち、スタートエリアSAの走行面612に対して、回転軸632を中心に第1の輝度プレート630を回動させて、第1の輝度プレート630より更に下側に有する第2の輝度プレート634にスタートエリアSAの走行面612を対向させて、スタートエリアSAの輝度を第1の輝度から第2の輝度に切り替わるようにしても良い。
【0095】
なお、上記の第1の構成例および第2の構成例において、オートスタート装置は、スタートエリアSAの輝度を変化させる構成のものが記載されているが、前述したように、車両玩具10の接地面側に設けられるセンサ50が赤外線センサを含む構成の場合では、オートスタート装置は、スタートエリアSAに赤外線発光部を設置する構成となる。このように、オートスタート装置を赤外線発光部で構成することによって、パネルの輝度変化によるオートスタート装置とした場合よりも、オートスタート装置のコンパクト化が実現できる。
【0096】
4.ゲーム装置
図12に本実施形態のゲーム装置(画像生成装置)の外観図を示す。ここでは、ゲーム装置の一例として携帯型ゲーム装置を示している。なお、本実施形態のゲーム装置は、このような携帯型ゲーム装置には限定されず、例えば、携帯型ゲーム装置以外のゲーム装置や、ゲームプログラムの実行が可能な携帯型情報端末や携帯電話機などの種々のゲーム装置に適用できる。
【0097】
図12のゲーム装置400は、タッチパネル型の表示部190と、通常の表示部191を有する。また操作部として機能する方向指示キー(十字キー)401、操作ボタン402や、音出力部として機能するスピーカ404、406を有する。また、情報記憶媒体として機能するICカード410(ゲームカード、ゲームカートリッジ)が着脱自在に装着されるカードスロット412を有する。このICカード410には、ゲームプログラム(ゲームデータ)が記憶される。なお、スタイラスペン420は、タッチパネル型の表示部190へのタッチ操作を、プレーヤ(ユーザ)の指の代わりに行うために使用される。
【0098】
表示部190、191には、種々の画像(メニュー画面、シミュレーション画像、ゲーム画像)が表示される。例えば、タッチパネル型の表示部190には、後述する走行制御データの設定画面が表示される。また、表示部191には、シミュレーション画像(ゲーム画像)が表示される。具体的には、コース60に対応する仮想コース430(コース60を模した仮想空間内のコース)が表示される。また、車両玩具10に対応する仮想移動体440(車両玩具を模した移動オブジェクト)が表示され、仮想移動体440が仮想コース430で走行する様子が表示される。これらの表示部190、表示部191は、TFTなどのカラー液晶ディスプレイにより構成できる。そして、タッチパネル型の表示部190では、カラー液晶ディスプレイの上面(或いは下面)にタッチパネルが一体的に形成されており、これによりタッチ操作による操作入力が可能になる。
【0099】
図13に、本実施形態のゲーム装置400の機能ブロック図の例を示す。なお、本実施形態のゲーム装置400は、図13の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0100】
操作部160は、プレーヤが操作データを入力するためのものであり、その機能は、方向指示キー、操作ボタン、或いはジョイスティックなどにより実現できる。
【0101】
記憶部170は、処理部100や通信部196などのワーク領域となるもので、その機能はRAM(DRAM、VRAM)などにより実現できる。この記憶部170は、走行特性データ記憶部172、コースデータ記憶部173、走行制御データ記憶部174、描画バッファ178を含む。
【0102】
走行特性データ記憶部172は、走行特性データを記憶する。この走行特性データは、コース上を移動する移動玩具の走行特性(加速特性、ブレーキング特性、コーナリング特性等)に基づき設定されたデータである。コースデータ記憶部173は、コースデータ(コース特性データ)を記憶する。このコースデータは、移動玩具が移動するコースのコース特性(コース長、コース幅、コーナー曲率等)に基づき設定されたデータである。走行制御データ記憶部174は、走行制御データを記憶する。この走行制御データ(動作制御データ)は、コースでの移動玩具の走行(速度、加速度、旋回等)を制御するためのデータである。
【0103】
情報記憶媒体180(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、ICカード(メモリーカード)、光ディスク(CD、DVD)、HDD(ハードディスクドライブ)、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部100は、情報記憶媒体180に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。すなわち、情報記憶媒体180には、本実施形態の各部としてコンピュータ(操作部、処理部、記憶部、出力部を備える装置)を機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶される。
【0104】
タッチパネル型の表示部190は、プレーヤ(ユーザ)が種々の操作を行ったり、本実施形態により生成された画像を表示するためのものであり、例えば、LCD、有機ELなどのディスプレイと、それに一体的に形成されたタッチパネルなどにより実現できる。タッチパネル方式としては、抵抗膜方式(4線式、5線式)、静電容量結合方式、超音波表面弾性波方式、赤外線走査方式などがある。
【0105】
表示部191は、本実施形態により生成された画像を表示するためのものであり、例えばLCD、有機ELなどのディスプレイにより実現できる。なお、表示部191としてタッチパネル型のディスプレイを用いてもよい。
【0106】
音出力部192は、本実施形態により生成された音を出力するものであり、その機能は、スピーカ、或いはヘッドフォン端子などにより実現できる。
【0107】
補助記憶装置194(補助メモリ、2次メモリ)は、記憶部170の容量を補うために使用される記憶装置であり、SDメモリーカード、マルチメディアカードなどのICカードにより実現できる。この補助記憶装置194は、脱着自在になっているが、内蔵されるものであってもよい。この補助記憶装置194は、ゲームの途中結果などのセーブデータや、プレーヤ(ユーザ)の個人的な画像データや音楽データなどを保存するために使用される。
【0108】
通信部196は、有線や無線の通信網(ネットワーク)を介して外部(例えば、移動玩具、サーバ、他のゲーム装置等)との間で通信を行うものであり、その機能は、通信用ASICまたは通信用プロセッサなどのハードウェアや、通信用ファームウェアにより実現できる。
【0109】
例えば、ゲーム装置400と移動玩具10との間でデータの送受信を行う場合には、通信部196の機能は、RS232CやUSBなどの規格にしたがってデータ転送を行う転送コントローラにより実現できる。この場合に、この転送コントローラを図12に示すICカード410に内蔵させてもよい。また、ICカード410に、カードなどの外部情報記憶媒体の情報を読み取るバーコードリーダ等のコントローラを更に内蔵させてもよい。また、ゲーム装置400と移動玩具10との間で、通信部196により無線によりデータを送受信するようにしてもよい。或いは、USBメモリなどの携帯型記憶装置を用いて、ゲーム装置と移動玩具との間でデータを送受信してもよい。
【0110】
なお、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(データ)は、サーバ(ホスト装置)が有する情報記憶媒体からネットワークおよび通信部196を介して情報記憶媒体180(あるいは記憶部170、補助記憶装置194)に配信してもよい。このようなサーバ(ホスト装置)による情報記憶媒体の使用も、本発明の範囲内に含めることができる。
【0111】
処理部100(プロセッサ)は、操作部160からの操作データやプログラムなどに基づいて、ゲーム処理(シミュレーション処理)、画像生成処理、或いは音生成処理などを行う。この場合のゲーム処理としては、ゲームの内容やゲームモードを決定する処理、ゲーム開始条件が満たされた場合にゲームを開始する処理、ゲームを進行させる処理、或いはゲーム終了条件が満たされた場合にゲームを終了する処理などがある。この処理部100の機能は、各種プロセッサ(CPU、GPU等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
【0112】
処理部100は、シミュレーション処理部102、送信処理部104、受信処理部106、認証処理部108、比較処理部110、表示制御部112、成績評価部114、アップロード処理部116、設定変更部130を含む。なお、これらの一部の構成要素(例えば、認証処理部、比較処理部等)を省略する構成としてもよい。
【0113】
シミュレーション処理部102は、移動玩具10に対応する仮想移動体を移動(動作)させるシミュレーションを行う。例えば、コースに対応する仮想コース上で仮想移動体を走行させるシミュレーション処理を行う。このシミュレーション処理は、例えばゲーム処理の一部として行われる。
【0114】
具体的には、シミュレーション処理部102は、移動玩具10に対応して設けられ走行特性データに基づきその走行特性が設定される仮想移動体を、コースに対応して設けられて、コースデータに基づきそのコース特性が設定される仮想空間内の仮想コースにおいて、走行制御データにしたがって走行させるシミュレーション処理を行う。そして、走行シミュレーションの結果データを生成する。
【0115】
この場合のシミュレーション処理は、通常のレーシングゲームと同様に、仮想移動体の移動情報(位置、回転角度、速度、或いは加速度)を、1フレーム(1/60秒)毎に順次求める処理を行うことで実現してもよい。すなわち仮想移動体の加速性能、最高速性能、ブレーキング性能、或いはコーナリング性能等を、走行特性データにより設定する。また、コースデータを、通常のレーシングゲームと同様の手法により設定する。例えば、コースに沿って設定された複数のサンプリングポイントの各サンプリングポイントに対して、コース幅やコース方向などを対応づけたコースデータを用意する。そして、このコースデータを用いて、移動玩具が走行する実際のコース(例えば、基本コースや店舗の特設コース等)に対応した仮想コースを、仮想空間(ゲーム空間)内に構築する。そして、レーシングゲームで一般的に使用される自動走行アルゴリズムにより、仮想移動体を仮想コース内で走行させるシミュレーション処理を行う。そして必要であれば、図12に示すように、仮想移動体440が仮想コース430上で走行する様子を、表示部191に表示する。
【0116】
或いは、このような仮想移動体のリアルタイムなシミュレーション移動処理は行わずに、走行特性データやコースデータを入力データとし、ラップタイムなどの走行シミュレーション結果データを出力データとするテーブルデータを用いて、シミュレーション処理を実現してもよい。このテーブルデータは、記憶部170の図示しないテーブルデータ記憶部に記憶される。そして、シミュレーション処理部102は、このテーブルデータを用いて、シミュレーション処理を実行する。この場合のテーブルデータは、例えば移動玩具のメーカが実際の移動玩具を実際のコースで走行させることで、様々な条件のテーブルデータを用意する。例えば、同じコースで同じ種類(車種)の移動玩具であっても、移動玩具に装着されるパーツが異なる場合には、異なった走行シミュレーション結果データになるように、複数のテーブルデータの各テーブルデータを作成する。そして、作成したテーブルデータをゲームソフトのデータとして情報記憶媒体180に格納したり、ネットワーク、通信部196を介して外部からダウンロードできるようにする。
【0117】
送信処理部104は、移動玩具に対してデータを送信するための処理を行う。例えば、送信するデータを記憶部170に用意したり、データの送信を通信部196に指示する。具体的には、送信処理部104は、走行制御データを移動玩具に送信するための処理を行う。例えば、コースの各コース区間に対応づけられた走行制御データ(動力設定データ、電力設定データ)を送信する。或いは走行制御データとして、コースデータ取得用の走行制御データを移動玩具に送信してもよい。
【0118】
また、本実施形態では、送信処理部104は、走行制御データとして、車両玩具10のコースにおける走行終了条件を設定する走行終了条件情報も送信する。当該走行終了条件情報は、例えば、車両玩具10がコース60を何周したら、走行終了のゴールにすること、換言すると、車両玩具10がコース60を走行する際に、コース60上に設けられたマーカMC1〜MC12を検知した回数によって設定される。
【0119】
受信処理部106は、移動玩具からのデータを受信するための処理を行う。例えば、データの受信を通信部196に指示したり、受信したデータを記憶部170に保存する。具体的には、受信処理部106は、送信処理部104により送信された走行制御データに基づき、移動玩具がコースを走行することで得られた実走行結果データを、移動玩具から受信するための処理を行う。この場合に、コースの各コース区間での移動玩具の実走行ラップタイムデータを、実走行結果データとして受信してもよいし、コースの各コース区間での移動玩具の実加減速データを、実走行結果データとして受信してもよい。或いは、送信されたコースデータ取得用走行制御データに基づき移動玩具がコースを走行することで得られたコースデータ取得用の実走行結果データを、受信してもよい。
【0120】
認証処理部108は、移動玩具から受信したデータの認証処理を行う。例えば、受信した実走行結果データが正当なデータ(アップロード等が許可されるデータ)であるか否かを認証する。具体的には、移動玩具がコースのスタート地点からスタートしてコースのゴール地点を通過したと判定された場合に、実走行結果データが正当なデータであると判断する。例えば、スタート地点に対応するコース区間とゴール地点に対応するコース区間を移動玩具が通過したとセンサからの検知情報に基づき判断された場合に、その走行により得られた実走行結果データが正当なデータであると判断する。この場合に、コースの全てのコース区間(マーカ)を通過(検知)したことを条件に、その実走行結果データが正当なデータであると判断してもよい。或いは、移動玩具がコースでジャンプして、センサの検出が読み飛ばされることを考慮し、一定の割合(例えば90パーセント)以上のコース区間(マーカ)を通過(検知)したことを条件に、正当なデータであると判断してもよい。
【0121】
比較処理部110は、データの比較処理を行う。例えば、受信処理部106により受信された実走行結果データと、シミュレーション処理部102でのシミュレーション処理により得られた走行シミュレーション結果データとの比較処理を行う。この場合の比較処理としては、例えば、各コース区間での実走行ラップタイムと、そのコース区間に対応する各仮想コース区間でのシミュレーションラップタイムを比較し、その差分を求める処理などがある。或いは、各コース区間での実加減速データと、各仮想コース区間でのシミュレーション加減速データの比較処理を行ってもよい。そして、このような比較処理を行うことによって、実走行結果を向上させるのに必要なパーツを特定する。そして、表示制御部112は、この比較処理での比較結果に基づいて、移動玩具のパーツ変更のアドバイス画面(変更パーツ表示画面)を表示する制御を行う。
【0122】
表示制御部112は、表示部190、191の表示制御を行う。例えば、処理部100で行われる種々の処理(シミュレーション処理、ゲーム処理)の結果に基づいて、描画バッファ178への画像の描画処理を行い、これにより画像(例えば、図12の走行制御データ設定画面の画像、シミュレーション画像)を生成し、生成された画像を表示部190、191に表示する。この場合に、生成する画像は、いわゆる2次元画像であってもよいし、3次元画像であってもよい。そして、3次元画像を生成する場合には、まず、座標変換(ワールド座標変換、カメラ座標変換)、クリッピング処理、或いは透視変換等のジオメトリ処理が行われ、その処理結果に基づいて、描画データ(プリミティブ面の頂点の位置座標、テクスチャ座標、色データ、法線ベクトル或いはα値等)が作成される。そして、この描画データ(プリミティブ面データ)に基づいて、透視変換後(ジオメトリ処理後)のオブジェクト(1または複数プリミティブ面)を描画バッファ178(フレームバッファ、中間バッファなどのピクセル単位で画像情報を記憶できるバッファ。VRAM)に描画する。これにより、仮想空間(オブジェクト空間)内において仮想カメラ(所与の視点)から見える画像が生成される。
【0123】
そして、本実施形態では、表示制御部112は、実走行結果データをコースの各コース区間に対応づけて表示する制御を行う。具体的には、実走行結果データであるラップタイムデータや加減速データを、コースの各コース区間に対応づけて表示する。或いは、シミュレーション処理により得られた走行シミュレーション結果データに対して、実走行結果データを関連づけて表示してもよい。
【0124】
成績評価部114(成績演算部)は、プレーヤのプレイ成績(走行成績、得点、ポイント、勝敗)の評価処理(演算処理)を行う。例えば、受信した実走行結果データ(実動作結果データ)に基づいて、移動玩具についてのプレーヤのプレイ成績を評価する。或いはプレーヤのゲームプレイのプレイ成績を評価してもよい。
【0125】
アップロード処理部116は、データのアップロード処理を行う。具体的には、通信部196およびネットワークを介して、プレーヤの実走行結果データなどのプレイ成績を、外部のサーバ等にアップロードする処理を行う。これにより、サーバの管理の下でプレーヤの実走行結果データのランキング表示などが可能になる。この場合に、受信した実走行結果データが正当なデータであると認証処理部108により判断された場合に、正当なデータであると判断された実走行結果データを、ネットワークを介してアップロードしてもよい。すなわち、正当な実走行結果データについてはアップロードを許可し、不正な実走行結果データについてはアップロードを許可しないようにする。
【0126】
設定変更部130は、種々の設定の変更処理を行う。例えば、設定変更部130は、移動玩具のパーツ変更に対応して走行特性データの設定内容を変更する処理を行う。例えばプレーヤが、自身が所有する移動玩具のモータ、タイヤ等のパーツを変更し、後述するパーツの選択画面等において、その変更を入力(登録)すると、設定変更部130は、それに応じて走行特性データの設定内容(走行シミュレーションのアルゴリズムのパラメータや、使用するテーブルデータ等)を変更する。そしてシミュレーション処理部102は、変更後の走行特性データに基づいて、仮想移動体を仮想コースで走行させるシミュレーション処理を行う。
【0127】
具体的には、設定変更部130は、移動玩具が有する原動機(モータ、エンジン)の変更に対応して、走行特性データのうちの加速特性データ(馬力、トルクデータ)を変更する。例えば、プレーヤが移動玩具のモータを別の種類のモータに取り替えた場合には、それに応じて仮想移動体の加速特性も変更する。そしてシミュレーション処理部102は、変更後の加速特性データに基づき、その加速特性が設定される仮想移動体を、仮想コースで走行(疑似走行)させるシミュレーション処理を行う。また、設定変更部130は、移動玩具が有するタイヤの変更に対応して、走行特性データのうちのコーナリング特性データ(グリップ能力、旋回能力)を変更する。例えば、プレーヤが移動玩具のタイヤを別の種類のタイヤに取り替えた場合には、それに応じて仮想移動体のコーナリング特性も変更する。そしてシミュレーション処理部102は、変更後のコーナリング特性データに基づきそのコーナリング特性が設定される仮想移動体を、仮想コースで走行させるシミュレーション処理を行う。
【0128】
5.本実施形態の手法
5.1.走行制御データの設定
次に、本実施形態の手法について説明する。まず走行制御データ(広義には動作制御データ)の設定手法について説明する。
【0129】
図14に走行制御データの設定画面の例を示す。この設定画面は、図12に示すようにタッチパネル型の表示部190に表示され、プレーヤは、この設定画面において、図1(A)のコース60の各コース区間CS1〜CS16での走行制御データを設定する。
【0130】
例えば、走行制御データの雛形データ(メーカ側が用意するデフォルトのデータ)が存在する場合や、過去に設定して保存した走行制御データが存在する場合には、図14のJ1に示すアイコンをタッチパネル型表示部190へのタッチ操作により選択して、そのセッティング内容を読み出す。また、走行制御データの設定が完了した場合には、J2に示すアイコンを選択して、そのセッティング内容を保存する。また、走行制御データを車両玩具10に送信(ダウンロード)する場合には、J3に示すアイコンを選択する。一方、実走行結果データ(走行検知データ)等を車両玩具12から受信(アップロード)する場合には、H1に示すアイコンを選択する。
【0131】
また、コース選択画面を表示して、コースを選択する場合には、H2に示すアイコンを選択し、コース周回数選択画面を表示して、コースの周回数を設定する場合には、H3に示すアイコンを選択し、キャラクタ選択画面を表示して、車両玩具10を仮想的に操作するキャラクタを選択する場合には、H4に示すアイコンを選択する。
【0132】
また、図14のJ4では、スタート地点に対応する第1のコース区間CS1での走行制御データとして、「61」が設定されている。この場合の走行制御データは、モータ30の動力設定データ(電力設定データ)であり、具体的には、後述するPWM駆動におけるデューティである。走行制御データを「61」を設定することで、第1のコース区間CS1では、61パーセントのデューティでモータ30がPWM駆動される。すなわち、第1のコース区間CS1は、距離の長い直線の区間であるため、プレーヤは、高いデューティを設定して、車両玩具を加速させる。
【0133】
また、図14のJ5では、次の第2のコース区間CS2での走行制御データとして、「10」が設定されている。すなわち、第2のコース区間CS2は、急カーブの区間であるため、コースアウトしないように、プレーヤは、低いデューティを設定して、車両玩具10を減速させる。
【0134】
また、図14のJ6では、次の第3のコース区間CS3での走行制御データとして、「29」が設定されている。すなわち、第3のコース区間CS3は、図14に示すように、第2のコース区間CS2と立体交差するためのスロープ状の区間であるため、プレーヤは、直線状の第1のコース区間CS1より低く、かつカーブ状の第2のコース区間CS2よりも高いデューティを設定して、車両玩具10を加速させる。同様にして、コース区間CS3〜CS7の走行制御データを設定し、J7に示すように第1の周回コース61の最終の第8のコース区間CS8の走行制御データを設定する。またJ8、J9、J10、J11等に示すように、第2の周回コース62の各コース区間CS9〜CS16の走行制御データを設定する。
【0135】
また、走行制御データの設定画面において、走行制御データとして、車両玩具10のコースにおける走行終了条件を設定する際に、図14のH3に示すアイコンを選択すると、周回数選択画面が表示される。周回数選択画面は、図15に示すように、車両玩具10の走行終了条件となる周回数ごとに選択項目K1〜K10があり、これらの選択項目K1〜K10のうち、所望の周回数に対応する選択項目を選択(クリック)する。そして、走行終了条件の設定を完了する場合には、K20に示す「OK」のアイコンを選択する。一方、走行終了条件の設定を変更したい場合には、K30に示す「OK」のアイコンを選択し、所望の周回数に対応する選択項目を再度選択して、走行終了条件をする。
【0136】
また、走行制御データの設定画面において、走行制御データを設定する際に、図16のJ20では、プレーヤは、スタイラスペン420を用いたドラッグ操作により、走行制御データを設定している。図16のJ20では、ドラッグ操作により走行制御データが「62」に設定され、その後にJ21に示すアイコンを選択することで、「62」の走行制御データの設定が確定する。なお、設定をキャンセルする場合には、J22に示すアイコンを選択する。 全てのコース区間についての走行制御データの設定が完了すると、プレーヤは、図16のJ3に示すアイコンを選択する。そして、ゲーム装置400から車両玩具10への全ての走行制御データの送信が完了すると、図17に示すような画面が表示される。
【0137】
以上の本実施形態の走行制御データの設定手法によれば、プレーヤは、複数のコース区間の走行制御データを、簡素な作業で効率良く入力することが可能になる。
【0138】
5.2.走行制御データによる速度制御
次に、本実施形態の走行制御データによる速度制御の手法について説明する。
【0139】
図18(A)に走行制御データのデータ構造の例を示す。図18(A)では、CS1〜CSNの各コース区間に対して、DS1〜DSNの各走行制御データが対応づけられて、図13の走行制御データ記憶部174に記憶される。具体的には、走行制御データとして、各コース区間においてモータに供給される動力(電力)の大きさを設定する走行制御データ(動力設定データ)が、CS1〜CSNの各コース区間に対応づけて記憶される。
【0140】
この走行制御データは、図14〜図16で説明した手法により設定できる。図14を例にとれば、第1のコース区間CS1には、DS1=61、第2のコース区間CS2には、DS2=10というように走行制御データが設定される。そして、DS1=61と設定された第1のコース区間CS1では、車両玩具の速度が速くなり、DS2=10と設定された第2のコース区間CS2では、車両玩具の速度が遅くなる。
【0141】
また、図18(B)に示すように、車両玩具MTに設けられたセンサにより、コース上のマーカMCi+1(iは自然数)が検知される。これにより、車両玩具MTがコース区間CSiからコース区間CSi+1に進入したことが検出される。なお、マーカMCi+1は、例えば、コースブロックに一体形成されて埋め込まれる樹脂部材等により実現してもよいし、コースブロックに貼り付けられた白色のテープにより実現してもよい。或いはICタグなどのデバイスにより実現してもよい。
【0142】
5.3.PWM駆動
本実施形態の車両玩具10のように、原動機がモータである場合には、モータは、PWM方式により駆動することが望ましい。すなわち、走行制御データにより設定されるデューティで原動機であるモータをPWM駆動する。例えば、図19(A)に示すように。走行制御データが「60」に設定されていた場合には、デューティが60パーセントのPWMの駆動波形でモータを駆動する。また、走行制御データが「40」に設定されていた場合には、デューティが40パーセントのPWMの駆動波形でモータを駆動する。このようにモータをPWM駆動すれば、モータは、デューティに対応した実効電圧で駆動されるようになるため、デューティを変化させることで、車両玩具MTを所望の速度で移動させることが可能になる。
【0143】
例えば、図19(A)において、車両玩具MTがコース区間CSiに位置している時には、コース区間CSiの走行制御データにより設定される第iのデューティDTiでモータをPWM駆動する。一方、図19(B)において、車両玩具MTがコース区間CSiからCSi+1に進入した場合には、コース区間CSi+1の走行制御データにより設定される第i+1のデューティDTi+1でモータをPWM駆動する。例えば、コース区間CSiに設定されるデューティDTi=60の場合には、図19(A)の60パーセントのデューティのPWM駆動波形でモータを駆動し、コース区間CSi+1に設定されるデューティDTi+1=40の場合には、図19(A)の40パーセントのデューティのPWM駆動波形でモータを駆動する。
【0144】
5.4.駆動部
次に、図4の駆動部350の詳細な構成および動作について説明する。図20に駆動部350の回路構成例を示す。図20に示すように、駆動部350は、第1〜第4のトランジスタTR1〜TR4を含む。また、第5、第6のトランジスタTR5、TR6や、ダイオードDI1〜DI4や、抵抗R1〜R6を含むことができる。ここで、トランジスタTR1〜TR6は、例えば、電界効果型のトランジスタ(FET)である。なお、トランジスタTR1〜TR6は、MOS型FETであってもよいし、接合型FETであってもよく、或いはバイポーラ型のトランジスタであってもよい。また、本実施形態の駆動部350は、図20の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば、トランジスタTR5、TR6、ダイオードDI1〜DI4等)を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0145】
P型のトランジスタTR1は、第1の電源VDDのノードNDと、モータ30の第1の端子TM1のノードNT1との間に設けられる。具体的にはトランジスタTR1は、そのソース、ゲート、ドレインに、各々、ノードND、N1、NT1が接続される。また、ノードNDとN1の間には、抵抗R1が設けられる。
【0146】
P型のトランジスタTR2は、ノードNDと、モータ30の第2の端子TM2のノードNT2との間に設けられる。具体的には、トランジスタTR2は、そのソース、ゲート、ドレインに、各々、ノードND、N2、NT2が接続される。またノードNDとN2の間には抵抗R2が設けられる。
【0147】
N型のトランジスタTR3は、ノードNT1と第2の電源VSS(GND)のノードNSとの間に設けられる。具体的には、トランジスタTR3は、そのソース、ゲート、ドレインに、各々、ノードNS、N3、NT1が接続される。また、ノードN3とNSの間には、抵抗R3が設けられ、ノードN3には、制御信号SG3が入力される。
【0148】
N型のトランジスタTR4は、ノードNT2とNSとの間に設けられる。具体的には、トランジスタTR4は、そのソース、ゲート、ドレインに、各々、ノードNS、N4、NT2が接続される。また、ノードN4とNSの間には、抵抗R4が設けられ、ノードN4には、制御信号SG4が入力される。
【0149】
N型のトランジスタTR5は、ノードN1とNSの間に設けられる。具体的には、トランジスタTR5は、そのソース、ゲート、ドレインに、各々、ノードNS、N5、N1が接続される。また、ノードN5とNSの間には、抵抗R5が設けられ、ノードN5には、制御信号SG5が入力される。
【0150】
N型のトランジスタTR6は、ノードN2とNSの間に設けられる。具体的には、トランジスタTR6は、そのソース、ゲート、ドレインに、各々、ノードNS、N6、N2が接続される。また、ノードN6とNSの間には、抵抗R6が設けられ、ノードN6には、制御信号SG6が入力される。
【0151】
また、ダイオードDI1は、ノードNDとNT1の間に設けられ、ダイオードDI2は、ノードNDとNT2の間に設けられ、ダイオードDI3は、ノードNT1とNSの間に設けられ、ダイオードDI4は、ノードNT2とNSの間に設けられる。
【0152】
図4の駆動部340では、車両玩具の通常走行時には、トランジスタTR1がオンになり、トランジスタがオフTR2、TR3がオフになる。そして、トランジスタTR4がPWM駆動のデューティにしたがってオン・オフされる。一方、車両玩具の減速制御時には、トランジスタTR1、TR4がオフになり、トランジスタTR2、TR3がオンになる。これにより、モータの第1の端子TM1と第2の端子TM2との間に、通常走行時の電圧(正電圧)とは逆極性の電圧(負電圧)が印加される。
【0153】
5.5.車両玩具側の詳細な処理
次に、車両玩具側の詳細な処理フローについて、図21のフローチャートを用いて説明する。図21は、主に図4の制御部310が行う処理を示したものであり、その一例として、コース1周で車両玩具10の走行を終了させる場合の処理フローを示す。
【0154】
まず、走行制御データをゲーム装置400から外部インターフェース部370を介して受信したか否かをデータ送受信処理部318で判断する(ステップS1)。そして、走行制御データを受信した場合には、受信した走行制御データ(区間データ)を図4の記憶部330に格納する(ステップS2)。なお、本実施形態では、当該走行制御データには、車両玩具10がコース60を1周したら、走行終了とする走行終了条件を設定する走行終了条件情報が含まれる。
【0155】
次に、車両玩具10のセンサ部50が検知対象の輝度の変化を検知したか否かを輝度変化判断部312で判断する(ステップS3)。そして、輝度変化が検知された場合には、走行制御データの区間番号iを1に設定して(ステップS4)、モータ駆動制御部316から駆動部350にモータ30の駆動を開始させるコマンドを送信して、車両玩具10の走行を開始する(ステップS5)。
【0156】
次に、i番号の走行制御データDSiの値をモータ駆動用のPWM値に設定する(ステップS6)。そして、センサ50によりマーカが検出されたか否かを判断する(ステップS7)。マーカが検出された場合には、コース区間CSi+1の走行制御データDSi+1とコース区間CSiの走行制御データDSiとの間に、DSi+1<DSiの関係が成り立つか否かを判断する(ステップS8)。そして、DSi+1<DSiである場合には、減速制御を行うと判断し、DF=DSi+1−DSiに対応する期間T1だけ、デューティ=100の逆極性電圧をモータに印加する(ステップS9)。
【0157】
次に、i=16か否かを判断する(ステップS10)。i=16と判断される場合は、コース60の最終コース区間となる第16のコース区間CS16での走行が終了してゴールしたと判断して、モータ30の駆動を停止して(ステップS11)、走行を終了する(ステップS12)。
【0158】
一方、ステップS10でi=16ではないと判断される場合には、iを1だけインクリメントして(ステップS13)、ステップS6に戻る。
【0159】
なお、図21のフローチャートは、コース1周で車両玩具10の走行を終了させる場合の処理フローを示しているが、図15に示す周回数選択画面において、N周で車両玩具10の走行を終了させると設定した場合では、ステップS10でi=16Nであるか否かの判断がされるものとする。
【0160】
車両玩具10の走行開始の判断工程となるステップS3において、車両玩具10のセンサ部50による輝度の検知対象は、図22(A)、図22(B)に示すように、ユーザが車両玩具10をスタートエリアSAに設置した際に、センサ50と対向するコース60のスタートエリアSAとなる。本実施形態では、オートスタート装置600の輝度切替操作によって、センサ50の輝度の検知結果が変化して、車両玩具10の走行が開始される。このため、車両玩具10をスタートエリアSAに設置した際に、スタートエリアSAの輝度が基準輝度未満の輝度から、図22(C)に示すように、基準輝度以上の輝度に切り替わったと判断されると、ステップS5でモータの駆動がオンになり、車両玩具10が自動的に走行開始するようになる。
【0161】
なお、スタートエリアSAの輝度が基準輝度以上の場合には、車両玩具10の走行開始条件は、オートスタート装置600によるスタートエリアSAの輝度切替操作に限定されない。すなわち、センサ50が反射型フォトセンサの場合では、外乱光が対向しても、検知対象の反射光を当該フォトセンサの受光部が受光できないので、輝度が基準値以上と検知されない。このため、車両玩具10のセンサ50が反射型フォトセンサであって、スタートエリアSAの輝度が白色等の基準輝度以上の場合では、スタートエリアSAに車両玩具10を設置するだけで、センサ50の検知結果に基づいて、検知対象の輝度が変化したと判断される。すなわち、図23(A)、図23(B)に示すように、車両玩具10をスタートエリアSAに設置すると、ステップS3において、センサ50の検知結果が基準輝度未満の輝度(第1の輝度)から、白色等の基準輝度以上の輝度(第2の輝度)に切り替わったと判断される。それによって、図23(C)に示すように、モータの駆動がオンになり、車両玩具10が走行開始する。
【0162】
一方、車両玩具10の走行終了の判断工程となるステップS10において、i=16と判断される場合は、図24(A)に示すコース60の最終コース区間となる第16のコース区間CS16での走行が終了してゴールしたと判断されるので、図24(B)に示すように、モータ30の駆動を停止して、車両玩具10の走行が終了する。
【0163】
これに対して、ステップS10でi=16ではないと判断される場合には、図25(A)に示すように、車両玩具10がコース60の途中のコース区間となる第iのコース区間CSiで走行中と判断されるので、図25(B)に示すように、モータ30の駆動がオンの状態を維持し、車両玩具10の走行が継続される。
【0164】
このように、走行制御データとして、車両玩具10がコース60を1周したら、走行終了とする走行終了条件を設定する走行終了条件情報を含ませることによって、車両玩具10が1周のコース60の走行を完了したら、当該車両玩具10の走行動作を自動的に終了させることができる。すなわち、走行制御データとして、車両玩具10の所望の走行終了条件を設定する走行終了条件情報を含ませることによって、車両玩具10を所望の走行終了条件で走行を自動的に完了させることができる。
【0165】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例やその組み合わせは、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【0166】
例えば、明細書又は図面中の記載において広義や同義な用語(移動玩具、原動機、動作制御データ等)として引用された用語(車両玩具、モータ、走行制御データ等)は、明細書又は図面中の他の記載においても広義や同義な用語に置き換えることができる。
【0167】
また、移動玩具の制御手法、マーカの検知手法、走行制御データの設定手法、移動玩具の減速、加速制御手法、原動機の駆動手法、シミュレーション処理手法等は、本実施形態で説明したものに限定されず、これらと均等な手法も本発明の範囲に含むことができる。また本発明が適用される移動玩具、ゲーム装置は、本発明で説明したような構成の移動玩具やゲーム装置に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】図1(A)、図1(B)は、車両玩具が走行するコースの説明図。
【図2】本実施形態が適用される車両玩具の外観斜視図。
【図3】本実施形態が適用される車両玩具の内部構成を示す平面図。
【図4】本実施形態が適用される車両玩具の機能ブロック図。
【図5】図5(A)、図5(B)は、オートスタート装置の第1の構成例の説明図。
【図6】図6(A)、図6(B)は、車両玩具の走行開始の動作の説明図。
【図7】図7(A)、図7(B)は、車両玩具の走行開始の動作の他の説明図。
【図8】図8(A)、図8(B)は、車両玩具の走行開始の動作の他の説明図。
【図9】図9(A)〜図9(C)は、オートスタート装置の第2の構成例の説明図。
【図10】図10(A)、図10(B)は、車両玩具の走行開始の動作の説明図。
【図11】図11(A)、図11(B)は、オートスタート装置の第2の構成例の変形例の説明図。
【図12】本実施形態が適用されるゲーム装置の外観図。
【図13】本実施形態が適用されるゲーム装置の機能ブロック図。
【図14】走行制御データの設定手法を説明するための図。
【図15】走行制御データの設定手法を説明するための図。
【図16】走行制御データの設定手法を説明するための図。
【図17】走行制御データの設定手法を説明するための図。
【図18】図18(A)、図18(B)は、本実施形態の走行速度制御の手法の説明図。
【図19】図19(A)、図19(B)は、PWM駆動を用いた減速制御、加速制御の手法の説明図。
【図20】駆動部の具体的な構成例を示す図。
【図21】車両玩具側の詳細な処理のフローチャート。
【図22】図22(A)〜図22(C)は、車両玩具の走行開始の手法を説明する図。
【図23】図23(A)〜図23(C)は、車両玩具の走行開始の手法を説明する図。
【図24】図24(A)、図24(B)は、車両玩具の走行終了の手法を説明する図。
【図25】図25(A)、図25(B)は、車両玩具の走行継続の手法を説明する図。
【符号の説明】
【0169】
CSi、CSi+1 コース区間、DSi、DSi+1 走行制御データ、
MCi、MCi+1 マーカ、DTi、DTi+1 デューティ、
MT 車両玩具、DF 差分情報、CP1〜CP16 コースパーツ、
10 車両玩具、12 ボディ、30 モータ、50 センサ、52 発光素子、
60 コース、61、62 第1、第2の周回コース、
100 処理部、102 シミュレーション処理部、104 送信処理部、
106 受信処理部、108 認証処理部、110 比較処理部、112 表示制御部、
114 成績評価部、116 アップロード処理部、130 設定変更部、
160 操作部、170 記憶部、172 走行特性データ記憶部、
173 コースデータ記憶部、174 走行制御データ記憶部、178 描画バッファ、
190 タッチパネル型表示部、191 表示部、192 音出力部、
194 携帯型情報記憶装置、196 通信部、
300 回路基板、310 制御部、330 記憶部、340 発光素子駆動部、
350 駆動部、360 センサコントローラ、370 外部インターフェース部
400 ゲーム装置、600 オートスタート装置、602 ディスプレイ、
610 輝度プレート切替装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コース上を移動する移動玩具であって、
その接地面側に少なくとも1つの接地部を有するボディと、
前記ボディに搭載され、所与の動力が供給されて前記移動玩具を移動させる原動機と、
前記ボディの前記接地面側に設けられ、前記接地面側に対向する検知対象を検知するセンサと、
前記センサからの検知結果の変化に基づいて、前記移動玩具が前記コース上のスタートエリアに配置されたと判断された場合に、前記原動機の駆動をオフからオンに切り替える制御部と、
を含むことを特徴とする移動玩具。
【請求項2】
請求項1において、
前記センサは、前記検知対象の輝度を検知し、
前記制御部は、
前記センサからの検知結果の変化に基づいて、前記移動玩具が配置される前記スタートエリアの輝度が第1の輝度から第2の輝度に切り替わったと判断した場合に、前記原動機の駆動をオフからオンに切り替えることを特徴とする移動玩具。
【請求項3】
請求項2において、
前記スタートエリアには、前記スタートエリアの輝度をスタートタイミングにおいて前記第1の輝度から前記第2の輝度に切り替えるオートスタート装置が配置され、
前記制御部は、
前記センサからの検知結果の変化に基づいて、前記オートスタート装置によって前記スタートエリアの輝度が前記第1の輝度から前記第2の輝度に切り替わったと判断した場合に、前記原動機の駆動をオフからオンに切り替えることを特徴とする移動玩具。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、
前記第1の輝度は、所与の基準輝度未満の輝度であり、
前記第2の輝度は、前記基準輝度以上の輝度であり、
前記制御部は、
前記コースのうちの前記スタートエリア以外の領域の輝度が、前記基準輝度未満第1の輝度である場合に、
前記センサからの検知結果の変化に基づいて、前記スタートエリアの輝度が前記第1の輝度から前記第2の輝度に切り替わったと判断した場合に、前記原動機の駆動をオフからオンに切り替えることを特徴とする移動玩具。
【請求項5】
請求項2または請求項3において、
前記第1の輝度は、所与の基準輝度以上の輝度であり、
前記第2の輝度は、前記基準輝度未満の輝度であり、
前記制御部は、
前記コースのうちの前記スタートエリア以外の領域の輝度が、前記基準輝度以上第1の輝度である場合に、
前記センサからの検知結果の変化に基づいて、前記スタートエリアの輝度が前記第1の輝度から前記第2の輝度に切り替わったと判断した場合に、前記原動機の駆動をオフからオンに切り替えることを特徴とする移動玩具。
【請求項6】
請求項5において、
前記センサは、
前記検知対象に向けて光を投射する投光素子と
前記投光素子から投光した前記光の前記検知対象での反射光を受光する受光素子と、
を含む反射型フォトセンサであることを特徴とする移動玩具。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれかにおいて、
前記コース上には、前記コースとは輝度が異なる複数のマーカがさらに設けられ、
前記スタートエリアおよび前記複数のマーカで区切られた前記コースの第1〜第Nのコース区間に対応づけられた第1〜第Nの走行制御データを記憶する記憶部をさらに含み、
前記制御部は、
前記第1〜第Nの走行制御データに基づいて、移動玩具の走行を制御することを特徴とする移動玩具。
【請求項8】
請求項7において、
前記第1〜第Nの走行制御データを外部のゲーム装置と送受信するための外部インターフェース部をさらに含み、
前記制御部は、
前記外部インターフェース部を介して前記ゲーム装置から受信した前記第1〜第Nの走行制御データに基づいて、移動玩具の制御を行うことを特徴とする移動玩具。
【請求項9】
請求項7または請求項8において、
前記制御部は、
前記センサからの検知結果の変化および前記第1〜第Nの走行制御データに基づいて、前記マーカの検知された回数が所定の回数に到達したと判断した場合に、前記原動機の駆動をオンからオフに切り替えることを特徴とする移動玩具。
【請求項10】
請求項1において、
前記スタートエリアの輝度が所与の基準輝度以上に設定され、
前記制御部は、
前記センサからの検知結果の変化に基づいて、前記移動玩具が前記スタートエリアに配置されて、前記検知対象の輝度が前記基準輝度以上であると判断した場合に、前記原動機の駆動をオフからオンに切り替えることを特徴とする移動玩具。
【請求項11】
請求項10において、
前記センサは、
前記検知対象に向けて光を投射する投光素子と
前記投光素子から投光した前記光の前記検知対象での反射光を受光する受光素子と、
を含む反射型フォトセンサであることを特徴とする移動玩具。
【請求項12】
請求項2乃至11のいずれかに記載の移動玩具が走行するコースの前記スタートエリアに設置され、前記移動玩具の前記コース上での走行を開始させるオートスタート装置であっ
て、
前記スタートエリアの輝度を第1の輝度から第2の輝度に切り替える輝度切替機構を含むことを特徴とするオートスタート装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記輝度切替機構は、
前記スタートエリアが画面表示され、前記画面表示を第1の輝度から第2の輝度に切り替え表示するディスプレイであることを特徴とするオートスタート装置。
【請求項14】
請求項12において、
前記輝度切替機構は、
前記スタートエリアにおいて前記移動玩具が走行する透明な走行面と、
前記第1の輝度を有する第1の輝度プレートと、
前記第2の輝度を有する第2の輝度プレートと、
前記走行面の下側に設けられる輝度プレートを前記第1の輝度プレートから前記第2の輝度プレートに切り替える輝度プレート切替装置と、
を含むことを特徴とするオートスタート装置。
【請求項15】
請求項1乃至11のいずれかに記載の移動玩具の走行を制御するためのデータである走行制御データを記憶する走行制御データ記憶部と、
前記走行制御データを、前記移動玩具に対して送信する処理を行う送信処理部として、
コンピュータを機能させ、
前記送信処理部は、
前記移動玩具の前記コースにおける走行終了条件を設定する走行終了条件情報を前記走行制御データとして、前記移動玩具に対して送信する処理を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項16】
請求項15において、
前記走行終了条件は、
前記移動玩具が前記コースを走行する際に、前記コース上に設けられた前記マーカを検知した回数によって設定されることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、請求項15または請求項16に記載のプログラムを記憶したことを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項18】
請求項1乃至11のいずれかに記載の移動玩具の走行を制御するためのデータである走行制御データを記憶する走行制御データ記憶部と、
前記走行制御データを、前記移動玩具に対して送信する処理を行う送信処理部と、を含み、
前記送信処理部は、
前記移動玩具の前記コースにおける移動の終了条件を設定する移動終了条件情報を前記走行制御データとして、前記移動玩具に対して送信する処理を行うことを特徴とするゲーム装置。
【請求項19】
請求項18において、
前記走行終了条件は、
前記移動玩具が前記コースを走行する際に、前記コース上に設けられた前記マーカを検知した回数によって設定されることを特徴とするゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−247577(P2009−247577A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98800(P2008−98800)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】