説明

移動玩具、プログラム、情報記憶媒体、およびゲーム装置

【課題】移動玩具がコースアウトした際に原動機の動力をオフにできる。
【解決手段】コース60上を移動する移動玩具10であって、その接地面側に少なくとも1つの接地部18、20を有するボディ12と、ボディに搭載され、所与の動力が供給されて移動玩具を移動させる原動機30と、ボディの接地面側に設けられ、接地面側に対向する検知対象の輝度を検知するセンサ50と、センサからの検知結果に基づいて、ボディの接地面側がコースに所定時間以上対向していないと判断した場合に、原動機の駆動をオンからオフに切り替える制御部310と、を含む。このとき、制御部は、センサの検知対象の輝度が所定時間以上変化していないと判断した場合に、ボディの接地面側がコースに所定時間以上対向していないと判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動玩具、プログラム、情報記憶媒体、およびゲーム装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のコースパーツを連結することで構成されるコースを走行させるレーシングカー等を模して、ユーザがより楽しめるように各種趣向を凝らしている車両玩具(移動玩具)が知られている。このような移動玩具として、例えば、特許文献1、特許文献2の従来例がある。
【0003】
特許文献1には、コース状態に応じて、所定のプログラムに基づく自動操縦と、ユーザの遠隔のコントローラの使用によって走行速度と走行方向を操作する手動操縦とを切り替えられる車両玩具走行装置が開示されている。当該車両玩具走行装置では、自動操縦用プログラムは、外部端末となる入力装置で事前に設定し、車両玩具に搭載する人形に内蔵した記憶装置に書き込まれる。そして、自動操縦用プログラムは、当該人形を模した記憶装置を介して、車両玩具に搭載したメモリに転送される。
【0004】
また、特許文献2には、ゲーム装置でゲームプレイすることで得られた制御情報を車両玩具に転送し、この制御情報に基づいて車両玩具の走行を制御する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平6−269574号公報
【特許文献2】特開2000−210476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユーザがコース状態に応じて自動操縦から手動操縦に切り替えて、車両玩具の速度を過度に高めると、コースのカーブや傾斜面を有する立体交差部分等において、車両玩具がコースアウトしたり、転倒する等のトラブルの発生が起き易い。車両玩具がコースアウト等した際に車輪が回転駆動したままであると、余分にバッテリーの電力を消費したり、ユーザが当該車両玩具をコース内に戻すために車両玩具をつかむ際に、車両玩具のボディと車輪の間に手指等を挟んで負傷する等の不具合が発生することがあった。
【0006】
本発明に係る幾つかの態様によれば、移動玩具がコースアウトした際に原動機の動力をオフにできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コース上を移動する移動玩具であって、その接地面側に少なくとも1つの接地部を有するボディと、前記ボディに搭載され、所与の動力が供給されて前記移動玩具を移動させる原動機と、前記ボディの前記接地面側に設けられ、前記接地面側に対向する検知対象を検知するセンサと、前記センサからの検知結果に基づいて、前記接地面側が前記コースに所定時間以上対向していないと判断された場合に、前記原動機の駆動をオンからオフに切り替える制御部と、を含むことを特徴とする移動玩具に関係する。
【0008】
本発明の移動玩具によれば、ボディの接地面側に検知対象を検知するセンサを設け、当該センサの検知結果に基づいて、原動機の動力のオン・オフの切り替え制御をする。このため、当該センサは、移動玩具がコース上に走行中では、ボディの接地面がコースに対向し、移動玩具がコースアウト等してコース上を走行しなくなったら、ボディの接地面がコースに対向しなくなることを検知できる。従って、このようなセンサの検知結果に基づいて、移動玩具がコースアウト等したら、原動機の駆動をオンからオフに切り替えられる。
【0009】
このとき、本発明では、前記センサは、前記検知対象の輝度を検知し、前記制御部は、前記センサからの前記検知結果に基づいて、前記センサの検知対象の輝度が前記所定時間以上変化していないと判断した場合に、前記ボディの前記接地面側が前記コースに前記所定時間以上対向していないと判定して、前記原動機の駆動をオンからオフに切り替えることとしてもよい。
【0010】
このようにすれば、センサの検知対象の輝度の変化に基づいて、移動玩具がコース上を走行しているか否かの判断が容易にできるようになる。
【0011】
また、本発明では、前記制御部は、前記センサからの前記検知結果に基づいて、前記ボディの前記接地面側が前記コースに前記所定時間以上対向していないと判定した場合に、前記原動機への前記動力の供給をオンからオフに切り替えることによって、前記原動機の駆動をオンからオフに切り替えることとしてもよい。
【0012】
このようにすれば、移動玩具がコースアウト等してコース上を走行していないと判断されたら、原動機への動力供給をオンからオフに切り替えることによって、原動機の駆動を停止できるようになる。
【0013】
また、本発明では、前記コース上には、複数のマーカが設けられ、前記制御部は、前記マーカが前記センサによって前記所定時間以上検知されない場合に、前記原動機の駆動をオンからオフに切り替えることとしてもよい。
【0014】
このようにすれば、コース上に設けた複数のマーカを移動玩具の接地面側に設けたセンサが検知することによって、移動玩具がコース上を走行しているか否かの判断が容易にできるようになる。
【0015】
また、本発明では、前記コースの輝度が所与の基準輝度未満である場合に、前記マーカの輝度は、前記基準輝度以上になるように設定され、前記センサは、前記センサの検知対象の輝度を検知し、前記制御部は、前記センサからの検知結果に基づいて、前記センサの検知対象の輝度が前記基準輝度未満から前記基準輝度以上になったと判断した場合に、前記マーカが検出されたと判定すると共に、前記マーカが前記センサによって前記所定時間以上検知されない場合に、前記原動機の駆動をオンからオフに切り替えることとしてもよい。
【0016】
このようにすれば、センサの検知対象の輝度が所定時間内に基準輝度未満から基準輝度以上に変化しているか否かについて、センサがマーカをセンシングすることによって検知することによって、移動玩具がコース上を走行しているか否かの判断が容易にできるようになる。
【0017】
また、本発明では、前記コースの輝度が所与の基準輝度以上である場合に、前記マーカの輝度は、前記基準輝度未満になるように設定され、前記センサは、前記センサの検知対象の輝度を検知し、前記制御部は、前記センサからの検知結果に基づいて、前記センサの検知対象の輝度が前記基準輝度以上から前記基準輝度未満になったと判断した場合に、前記マーカが検出されたと判定すると共に、前記マーカが前記センサによって前記所定時間以上検知されない場合に、前記原動機の駆動をオンからオフに切り替えることとしてもよい。
【0018】
このようにすれば、センサの検知対象の輝度が所定時間内に基準輝度以上から基準輝度未満に変化しているか否かについて、センサがマーカをセンシングすることによって検知することによって、移動玩具がコース上を走行しているか否かの判断が容易にできるようになる。
【0019】
また、本発明では、前記複数のマーカで区切られた前記コースの第1〜第Nのコース区間に対応づけられた第1〜第Nの走行制御データを記憶する記憶部をさらに含み、前記制御部は、前記第1〜第Nの走行制御データに基づいて、移動玩具の走行を制御することとしてもよい。
【0020】
このようにすれば、移動玩具をコース上に走行させる際に、各コース区間に対応づけられた走行制御データに基づいて、移動玩具の走行を制御できるようになる。
【0021】
また、本発明では、前記制御部は、前記第1〜第Nの走行制御データに基づいて、前記所定時間を可変に設定することとしてもよい。
【0022】
このようにすれば、各コース区間に対応づけられた走行制御データに基づいて、所定時間を可変に設定できる。このため、各コース区間の状態に応じた適切な所定時間を設定できるようになる。
【0023】
また、本発明では、前記制御部は、前記第1〜第Nのコース区間の各コース区間の長さに基づいて、前記各コース区間毎に設定される前記所定時間を可変に設定することとしてもよい。
【0024】
このようにすれば、各コース区間の長さに応じて、所定時間が変更されるので、各コース区間の長さに応じた適切な所定時間を設定できるようになる。
【0025】
また、本発明では、前記ボディの前記接地面側には、前記接地部として少なくとも第1、第2の接地部が設けられ、前記センサは、前記第1、第2の接地部の間に設けられることとしてもよい。
【0026】
このようにすれば、移動玩具がコース上を走行中に、センサがコース上のマーカのセンシングを確実に行えるようになる。
【0027】
また、本発明では、前記記憶部には、前記センサによる検知結果を、前記第1〜第Nのコース区間に対応づけられた第1〜第Nの走行検知データとして記憶する走行検知データ記憶部をさらに含むこととしてもよい。
【0028】
このようにすれば、移動玩具の走行中に検知した検知結果を各コース区間に対応づけて記憶することができる。
【0029】
また、本発明では、前記第1〜第Nの走行制御データおよび前記第1〜第Nの走行検知データを外部のゲーム装置と送受信するための外部インターフェース部をさらに含み、前記制御部は、前記外部インターフェース部を介して前記ゲーム装置から受信した前記第1〜第Nの走行制御データに基づいて、移動玩具の制御を行うこととしてもよい。
【0030】
このようにすれば、移動玩具をコース上に走行させる際に、ゲーム装置から受信した各コース区間に対応づけられた走行制御データに基づいて、移動玩具の走行を制御できるようになる。
【0031】
また、本発明では、前記コースの輝度が所与の基準輝度以上であり、前記制御部は、前記センサからの検知結果に基づいて、前記センサの検知対象の輝度が前記基準輝度以上から前記基準輝度未満になったと判断した場合に、前記原動機の駆動をオンからオフに切り替えることとしてもよい。
【0032】
このようにすれば、センサがマーカを読み取れなくても、移動玩具がコースアウト等の検知ができるようになる。
【0033】
また、本発明では、前記センサは、前記検知対象に向けて光を投射する投光素子と、前記投光素子から投光した前記光の前記検知対象での反射光を受光する受光素子と、を含む反射型フォトセンサであることとしてもよい。
【0034】
このように、センサを反射型フォトセンサとすることによって、センサが外乱光と対向しても、検知対象の反射光を当該フォトセンサの受光部が受光できない。このため、車両玩具がコースアウト等により接地面がコースと対向しなくなった旨をより確実にできるようになる。また、コースの輝度が所与の基準輝度以上である場合では、移動玩具がコースアウトしたら、検知対象の輝度が基準輝度以上から基準値未満に変化するので、移動玩具のコースアウト等の検出が容易になる。
【0035】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の移動玩具の走行を制御するためのデータである走行制御データを記憶する走行制御データ記憶部と、前記走行制御データを、前記移動玩具に対して送信する処理を行う送信処理部と、前記コースに対応する仮想コースを表示部に表示する制御を行う表示制御部として、コンピュータを機能させ、前記表示制御部は、前記コースの各コース区間に対応する前記仮想コースの各仮想コース区間に対して、前記走行制御データをプレーヤが入力設定するための走行データ設定画面を表示する制御を行うことを特徴とするプログラムに関係する。
【0036】
本発明のプログラムによれば、プレーヤは、走行制御データ設定画面を用いた簡素な作業で、走行制御データを設定して、設定後の走行制御データを移動玩具に送信することができるので、移動玩具の走行制御のための簡素なインターフェース環境をプレーヤに提供できる。
【0037】
このとき、本発明では、前記送信処理部は、前記走行制御データに対応した前記所定時間の設定情報を送信することとしてもよい。
【0038】
このようにすれば、各コース区間に対応した適切な所定時間を移動玩具に送信することができる。
【0039】
また、本発明では、前記移動玩具が走行した際の前記センサによる検知結果である走行検知データを記憶する走行検知データ記憶部と、前記走行検知データを、前記移動玩具から受信する処理を行う受信処理部として、前記コンピュータをさらに機能させ、前記表示制御部は、前記コースの各コース区間に対応する前記仮想コースの各仮想コース区間に対して、前記走行検知データを元に、前記走行制御データをプレーヤが再度入力設定するための走行データ設定画面を表示する制御を行うこととしてもよい。
【0040】
このようにすれば、移動玩具の検知結果をゲーム装置に送信して、当該検知結果を元にゲーム装置がより好適な走行制御データを移動玩具に送信することができる。
【0041】
また、本発明は、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、上記のいずれかに記載のプログラムを記憶したことを特徴とする情報記憶媒体に関係する。
【0042】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の移動玩具の走行を制御するためのデータである走行制御データを記憶する走行制御データ記憶部と、前記走行制御データを前記移動玩具に対して送信する処理を行う送信処理部と、前記コースに対応する仮想コースを表示する制御を行う表示制御部と、を含み、前記表示制御部は、前記コースの各コース区間に対応する前記仮想コースの各仮想コース区間に対して、前記走行制御データをプレーヤが入力設定するための走行データ設定画面を表示する制御を行うことを特徴とするゲーム装置に関係する。
【0043】
このとき、本発明では、前記送信処理部は、前記走行制御データとして、前記所定時間の設定情報を送信することとしてもよい。
【0044】
また、本発明では、前記移動玩具が走行した際の前記センサによる検知結果である走行検知データを記憶する走行検知データ記憶部と、前記走行検知データを前記移動玩具から受信する処理を行う受信処理部と、をさらに含み、前記表示制御部は、前記コースの各コース区間に対応する前記仮想コースの各仮想コース区間に対して、前記走行検知データを元に、前記走行制御データをプレーヤが再度入力設定するための走行データ設定画面を表示する制御を行うこととしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0046】
1.コース
図1(A)に、本実施形態の移動玩具となる車両玩具を走行させるコースの一例を斜視図で示す。本実施形態では、車両玩具10を走行させるコース60は、図1(A)に示すように、直線形状、カーブ形状、およびスロープ形状の各種構成を有する複数のコースパーツCP1〜CP16が適宜の連結構造を介して、隣接する他のコース部と連結されて無端状に形成し、直線、カーブ、およびスロープが配置される構成となっている。当該コース60は、コースパーツCP1〜CP8によって構成される第1の巡回コース61に、コースパーツCP9〜CP16によって当該第1の巡回コース61と略同一に構成される第2の巡回コース62を後続させるように設置し、サーキット2周で1コースとなる構成となっている。
【0047】
第1の巡回コース61は、第1の直線コースパーツCP1、第1のカーブコースパーツCP2、第1のスロープコースパーツCP3、第2のカーブコースパーツCP4、第2のスロープコースパーツCP5、第3のカーブコースパーツCP6、第2の直線コースパーツCP7、および第4のカーブコースパーツCP8を順に連結して構成される。第1の直線コースパーツCP1は、第2の直線コースパーツCP7より長い直線コースパーツであり、第1のカーブコースパーツCP2に連結される。第1のカーブコースパーツCP2は、ループ形状のコースパーツであり、第1のスロープコースパーツCP3に連結される。第1のスロープコースパーツCP3は、第1の直線コースパーツCP1および第3の直線コースパーツCP9と立体交差するように、スロープ形状の架橋となって、後続の第2のカーブコースパーツCP4に連結される。第2のカーブコースパーツCP4は、緩やかなカーブコースであり、かつ第6のカーブコースパーツCP12と立体交差するように、スロープ形状の架橋となって、後続の第2のスロープコースパーツCP5に連結される。第2のスロープコースパーツCP5は、第1の直線コースパーツCP1、第3の直線コースパーツCP9と立体交差するように、スロープ形状の架橋となって、後続の第3のカーブコースパーツCP6に連結される。第3のカーブコースパーツCP6は、カーブ形状のコースパーツであり、後続の第2の直線コースパーツCP7に連結される。第2の直線コースパーツCP7は、直線形状のコースパーツであり、後続の第4のカーブコースパーツCP8に連結される。第4のカーブコースパーツCP8は、ループ形状のコースパーツであり、後続の第2の巡回コース62の導入コースとなる第3の直線コースパーツCP9に連結される。
【0048】
一方、第2の巡回コース62は、第3の直線コースパーツCP9、第5のカーブコースパーツCP10、第3のスロープコースパーツCP11、第6のカーブコースパーツCP12、第4のスロープコースパーツCP13、第7のカーブコースパーツCP14、第4の直線コースパーツCP15、および第8のカーブコースパーツCP16を順に連結して構成される。第3の直線コースパーツCP9は、第1の直線コースパーツCP1と同一の直線コースパーツであり、第5のカーブコースパーツCP10に連結される。第5のカーブコースパーツCP10は、第1のループコースパーツCP2と同一のループ形状のコースパーツであり、第3のスロープコースパーツCP11に連結される。第3のスロープコースパーツCP11は、第1のスロープコースパーツCP3と同様の構成でスロープ形状の架橋となって、後続の第6のカーブコースパーツCP12に連結される。第6のカーブコースパーツCP12は、緩やかなカーブコースであり、後続の第4のスロープコースパーツCP13に連結される。第4のスロープコースパーツCP13は、第2のスロープコースパーツCP5と同様の構成でスロープ形状の架橋となって、後続の第7のカーブコースパーツCP14に連結される。第7のカーブコースパーツCP14は、カーブ形状のコースパーツであり、後続の第4の直線コースパーツCP15に連結される。第4の直線コースパーツCP15は、直線形状のコースパーツであり、後続の第8のカーブコースパーツCP16に連結される。
【0049】
また、各コース部は、図1(B)のA−A矢視断面図で示すように、第1の巡回コース61と第2の巡回コース62が並列され、各巡回コース61、62に対し両サイド側に、それぞれ側壁63L、63R、64L、64Rが設けられている。そして、各巡回コース61、62の略中央には、黒色のセンターラインCL1、CL2が設けられている。
【0050】
さらに、コース60には、図1(A)に示すように、各コースパーツCP1〜CP16の連結部付近に、白色のマーカMC1〜MC16が設けられており、そのうち、第1の直線コース部CP1の一端に設けられる第1のマーカMC1がスタートライン(スタートエリア)となる。そして、第1のマーカMC1をスタートラインとして走行開始した車両玩具10は、各種端末装置等からなるゲーム装置からインストールされるプログラムによって走行動作が制御されながら、コース60上を反時計回り(図1におけるX方向)で走行する。コース60は、第1〜第16のマーカMC1〜MC16で区切ることによって、第1〜第16のコース区間CS1〜CS16が設定されている。すなわち、各コースパーツCP9〜CP16に対応して、各コース区間CS1〜CS16が設定される。なお、本実施形態のコース60は、図1の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0051】
2.移動玩具
図2に、本実施形態の移動玩具の一例である車両玩具10の外観斜視図を示す。本実施形態では、図2に示すように、車両玩具10のボディ12は、スポーツカー等の外形を模した外装部14と、前輪18と後輪20(接地部)が一対ずつ設けられるシャシ16とを含む。これらの前輪18および後輪20は、シャシ16に搭載されたモータ等の原動機によって駆動されて、車両玩具10を移動させる。
【0052】
図2に示すように、ボディ12の四隅には、ガイドローラ(プレート)21、22、23、24(24について図3参照)がそれぞれ設けられている。これらのガイドローラ21〜24は、コース60を走行中に、図1(B)に示す側壁63L、63R、64L、64Rにヒットすることで、車両玩具10のコース60上での進行を円滑にすると共に、車両玩具10の走行の安定性を担保するための部材である。
【0053】
なお、本実施形態では、車両玩具10は、ボディ12(外装部14)がスポーツカーを模した形状になっているが、車両玩具10は、これに限らず様々な形態の自動車(例えば、トラック等)、或いは二輪車(例えば、バイク等)の外形を有していてもよい。また、本実施形態の移動玩具は、車両玩具に限定されず、例えば、競馬の競走馬等の動物や漫画等の各キャラクタを模した人形等をコースに沿って移動させるものにも適用可能である。
【0054】
図3は、本実施形態の車両玩具10の内部構成の平面図であり、ボディ12の外装部14を取り外した状態を示す。本実施形態では、車両玩具10は、前輪18(18L、18R)および後輪20(20L、20R)をそれぞれ左右に一対ずつ有し、これら前輪18、後輪20を軸支する前輪用車軸(シャフト)26、後輪用車軸28に、シャシ16の後方側に搭載されるモータ30の駆動が伝達され、前輪18および後輪20が回転駆動される四輪駆動車両玩具である。なお、所与の動力を供給して車両玩具10を走行移動させるための機械的エネルギーに変換する原動機は、モータ30に限定されず、例えば小型エンジン等の他の原動機を適用しても良い。
【0055】
後輪用車軸28には、後輪20を駆動させるための後輪駆動用ギア32が設けられ、当該後輪駆動用ギア32を介して、当該後輪用車軸28にモータ30の駆動が伝達される。また、後輪用車軸28には、前輪用車軸26にモータ30の駆動を伝達するための後輪側クラウンギア34が設けられており、前輪用車軸26に駆動を伝達するための駆動伝達軸36の端部に設けられる後輪側駆動伝達ギア38と噛合している。
【0056】
一方、前輪用車軸26には、駆動伝達軸36を介してモータ30の駆動を伝達するための前輪側クラウンギア40が設けられており、駆動伝達軸36の他端に設けられる前輪側駆動伝達ギア42と噛合している。このため、モータ30が駆動すると、モータ30の駆動が後輪駆動用ギア32、後輪側駆動伝達ギア38、駆動伝達軸36、前輪側駆動伝達ギア42、および前輪側クラウンギア40を介して伝達され、本実施形態の車両玩具10が四輪駆動となる。なお、本実施形態の車両玩具10のモータ30に所与の動力を供給して車両玩具10を走行させるための機械的エネルギーに変換する動力伝達機構は、図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0057】
また、前輪用車軸26は、シャシ16に対し軸部44を介して軸支される前輪軸支持部46に回転自在に支持されている。このため、前輪18は、前輪用車軸26を介して水平軸周りに回転可能とすることによって車両玩具10を走行させ、かつ軸部44で軸支される前輪軸支持部46を介して垂直軸周りに揺動可能とすることによって、車両玩具10の向きを変化させる。
【0058】
シャシ16の略中央には、モータ30に動力となる電力を供給する電源として乾電池48(動力源)が設置されている。乾電池48の設置場所は、シャシ16の略中央に限定されないが、重量を有する乾電池48をシャシ16の略中央に設置することによって、車両玩具10の重心が略中央に移動し、車両玩具10の走行動作が安定するようになるので、乾電池48の設置場所は、シャシ16の略中央に設置することが好ましい。なお、本実施形態では、電力供給源として乾電池48を設置する車両玩具10としているが、電力供給を充電式によるものとすることも可能である。
【0059】
さらに、車両玩具10がコース60上に走行中にコース60と対向するボディ12の接地面側、すなわちシャシ16の裏面側の前方には、当該接地面のコース60への対向を検知するセンサ50が設けられている。本実施形態では、センサ50は、コース60に設けられた複数のマーカMC1〜MC16の各マーカを検知する。具体的には、本実施形態では、センサ50は、検知対象の輝度(輝度情報)を検知する。そしてセンサ50からの検知結果(検知信号)に基づいて、シャシ16の裏面側となる接地面側が、コース60に対向しているか否かを検知する。
【0060】
具体的には、センサ50は、図1(B)に示すコース60の黒色のセンターラインCL1、CL2と対向するように配置され、検知対象(センターライン、マーカ等)の輝度を検知する。この場合に、コースの輝度であるセンターラインCL1、CL2の輝度は、所与の基準輝度未満であり、白色マーカMC1〜MC16の輝度は、基準輝度以上になるように設定される。そして、車両玩具10が走行してコース60上に設けられているMC1〜MC16の各マーカを通過すると、センサ50の検知対象の輝度が基準輝度未満から基準輝度以上になったと判断されて、各マーカが検出される。一方、センサ50の検出対象の輝度が所定時間以上、基準輝度未満であると判断されると、車両玩具10のジャンプ等により、シャシ16の裏面側、すなわち接地面側がコース60に対向しなくなったと判定される。このようにセンサ50がコース60のセンターラインCL1、CL2およびマーカMC1〜MC16を適宜読み取るためには、センサ50は、シャシ14の裏面側(接地面側)のうち、前輪18L、18R(広義には第1、第2の接地部)の間に配置されることが好ましい。なお、ここで言及する基準輝度とは、第1の輝度と第2の輝度の差異を明確に設定するための当該第1の輝度と第2の輝度の間の所与の輝度である。
【0061】
本実施形態では、車両玩具10が通常通りコース60を走行している場合は、当該センサ50がコース60と対向するので、所与の時間間隔でコース60上に設けられている白色のマーカMC1〜MC16を読み取れる。一方、車両玩具10がジャンプしたり、コースアウト、転倒等した場合には、車両玩具10の接地面がコース60に対向しなくなるので、所定時間以上経過しても、マーカMC1〜MC16を読み取れなくなる。
【0062】
なお、センサ50としては、例えば、反射型のフォトセンサ(赤外線センサ)を用いることができる。この反射型のフォトセンサは、LED等の発光素子(投光素子)を有し、当該発光素子で発光した(投光素子から投光された)光を検知対象で反射させて、その反射光を受光素子で受光することによって検知するセンサである。
【0063】
このように、センサ50を反射型フォトセンサに設定した場合では、センサ50が外乱光と対向しても、検知対象の反射光を当該フォトセンサの受光部が受光できない。このため、車両玩具10がコースアウト等により接地面側がコースと対向しなくなった旨をより確実にかつ容易にできるようになる。また、コース60の輝度が所与の基準輝度以上である場合では、車両玩具10がコースアウトしたら、検知対象の輝度が基準輝度以上から基準値未満に変化する。このため、車両玩具10のコースアウト等の検出が容易になるので好ましい。
【0064】
但し、センサ50は、反射型のフォトセンサには限定されず、距離センサ、バーコード読み取りセンサ、或いはCCD等の各種センサを用いることができる。例えば、センサ50を赤外線受光部が設置される赤外線センサにして、センサ50の検知対象となるスタートエリアSAやマーカMC1〜MC16に赤外線発光部を設置して、当該赤外線センサによる近距離データ通信に好適なIRDA通信を利用するものとしてもよい。すなわち、コース20上のスタートエリアSAやマーカMC1〜MC16から出力される赤外線信号によって、スタートの開始情報が伝達された場合、原動機の駆動をONからOFFに切り替えるようにすることも可能である。なお、このとき、センサ50の第1のセンサとして、マーカを読み取るフォトセンサを設け、センサ50の第2のセンサとして、スタート開始を検知する赤外線センサを設ける構成としてもよい。
【0065】
また、車両玩具10のスタート後(レース開始後、原動機がオンになった後)に、常時、センサ50による検知対象の検知を実行するようにしてもよい。すなわち、スタート後、常にセンサ50による検知を行い、得られた検知結果のデータを記憶部330に蓄積して行く。このとき、例えば検知結果のデータを記憶部330の図示しないリングバッファに格納するようにしてもよい。この場合には、リングバッファの全ての格納領域に検知結果データが書き込まれると、その後は検知結果が上書きされることになるため、リングバッファに格納される検知結果データが所定時間毎に更新されるようになる。
【0066】
また、車両玩具10のボディ12(シャシ16)の後端側には、ブレーキランプ等として機能する発光素子52L、52Rが設けられており、車両玩具10の速度変化時(例えば、減速時または加速時等)に点灯する。これにより、減速時のブレーキランプの点灯を擬似的に表現できる。なお、本実施形態の車両玩具10の内部構成は、図3の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0067】
図4に、本実施形態の車両玩具(移動玩具)10の機能ブロック図の例を示す。車両玩具10のボディ12内には、車両玩具10の各構成要素を制御するための回路部品が実装された回路基板(システム基板)300が設けられている。この回路基板300は、図4に示すように、制御部310、記憶部330、発光素子駆動部340、駆動部350、センサコントローラ360、および外部インターフェース(I/F)部370を含む。なお、本実施形態の車両玩具10の回路基板300に含まれる各構成要素は、図4の機能ブロック図の例に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0068】
制御部310は、車両玩具10(移動玩具)の制御を行う。具体的には、記憶部330から読み出されたデータやプログラムなどに基づいて、車両玩具10全体の制御や、回路基板300の各構成要素(駆動部等)の制御を行う。本実施形態では、制御部310は、例えば、図4に示すように、輝度変化判断部312、モータ駆動制御部314、発光素子駆動制御部316、およびデータ送受信処理部318を含む。
【0069】
輝度変化判断部312は、センサ50で検知された検知対象(コース60のセンターラインCL1、CL2およびマーカMC1〜MC16)の輝度が例えば所与の基準輝度未満の黒色(第1の輝度)から当該基準輝度以上の白色(第2の輝度)に変化したか否かの判断をする。
【0070】
モータ駆動制御部314は、センサ50からの検知結果に基づいてモータ30の駆動をオンまたはオフに切り替える制御をする。本実施形態では、モータ駆動制御部314は、例えば、輝度変化判断部312でセンサ50の検知結果から、センサ50の検知対象の輝度が所定時間以上変化していないと判断した場合に、ボディ12の接地面側がコース60に所定時間以上対向していないと判断する。そして、モータ駆動制御部314は、オンになっていたモータ30の駆動をオフに切り替えるコマンドを駆動部350に送信する。なお、車両玩具10の走行停止をさせるために、モータ30の減速機構でも可能であるが、モータ30の駆動力の慣性が作用することによるリスクがあることから、動力の供給をオフにすることによって、モータ30の駆動をオンからオフに切り替えることが好ましい。
【0071】
発光素子駆動制御部316は、発光素子52を発光させる動作コマンドを受信したら、発光素子52を発光させるために駆動させるコマンドを発光素子駆動部340に送信する制御をする。
【0072】
データ送受信処理部318は、外部インターフェース部370が外部機器とインターフェース処理をした際に、当該外部機器とデータの送受信を行う制御をする。具体的には、データ送受信処理部318は、外部インターフェース部370がゲーム装置400とインターフェース処理をした際に、ゲーム装置400から送信される各種データを受信して記憶部330のROMに記憶させたり、反対に実際に走行した車両玩具10に新たに記憶された各種データをゲーム装置400に送信する制御を行う。
【0073】
このようにして、本実施形態では、制御部310は、例えば、センサ50からの検知情報や、記憶部330に記憶されるデータ(走行制御データ、動力設定データ、電力設定データ)に基づいて、モータ(広義には原動機)30を駆動するための制御を行う。なお、この制御部310の機能は、各種プロセッサ(CPU等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
【0074】
記憶部330は、各種プログラムやデータを記憶するものであり、その機能は、RAMやROMなどにより実現できる。例えば、制御部310は、記憶部330(ROM)から読み出されたプログラムにより動作し、記憶部330(RAM)をワーク領域として各種処理を行う。本実施形態では、記憶部330は、外部のゲーム装置(外部端末)から受信した走行制御データを記憶する走行制御データ記憶部332と、車両玩具10のセンサ50の検知情報、車両玩具10のジャンプ区間、滞空時間等の走行検知データをデータログとして記憶する走行検知データ記憶部334とを含む。このように、記憶部310では、車両玩具10の走行制御等に関する各種データが保存される。なお、メモリーカードなどの携帯型情報記憶装置の装着が可能な移動玩具の場合には、当該携帯型情報記憶装置によって、記憶部330の一部の機能を実現してもよい。
【0075】
発光素子駆動部340は、ブレーキランプ等に使用されるLED等の発光素子52を駆動する。例えば、本実施形態では、制御部310は、車両玩具10の減速制御時(ブレーキング時)に、発光素子52を発光させる制御を行う。具体的には、車両玩具10の減速時に、制御部310からの指示信号に基づいて、発光素子駆動部340が発光素子52を駆動して発光させ、ブレーキランプの点灯を疑似的に表現する。
【0076】
駆動部350(モータ駆動部)は、制御部310の制御の下でモータ30を駆動する。モータ30(原動機)は、車両玩具10(移動玩具)のボディ12に搭載されており、所与の動力(電力)が供給されて、車両玩具10を走行(移動)させる。
【0077】
例えば、車両玩具10を走行させる場合には、駆動部350は、モータ30をPWM駆動する。この場合のPWM駆動のデューティは、記憶部330から読み出された走行制御データである動力設定データ(電力設定データ)により設定される。そして、車両玩具10の走行速度は、PWM駆動のデューティにより制御できる。また、車両玩具10の加速制御を行う場合には、例えば、100パーセントなどの高いデューティに対応する電圧をモータ30に印加する。一方、減速制御を行う場合には、例えば、通常走行時とは逆極性の電圧をモータ30に印加する。
【0078】
また、本実施形態では、センサ50からの検知結果に基づいて、ボディ12(シャシ16)の接地面側がコース60に所定時間以上対向していないと判断された場合に、モータ30への電力(動力)の供給を停止して、モータ30を停止させる。すなわちPWM駆動を停止して、モータ30の回転動作を停止させる。その際に、モータ30の慣性による回転動作を逆極性の電圧印加により減速した後に、電力供給を停止してもよい。
【0079】
センサコントローラ360は、センサ50の制御等を行うコントローラである。具体的には、センサ50からの検知信号を受けて、検知信号に対応するデータを制御部310に出力する。例えば、センサ50が反射型のフォトセンサである場合には、センサ50は、LED等の発光素子により実現される投光部と、検知対象からの反射光を受光する受光部を有する。この場合に、センサコントローラ360は、発光素子を発光させたり、受光部からの検知信号を検出する処理などを行う。また、センサ50が赤外線受光部の設置される赤外線センサを含む構成とした場合は、センサコントローラ360は、センサ50の赤外線受光部からの検知信号を検出する処理を行う。
【0080】
外部インターフェース(I/F)部370は、外部機器とのインターフェース処理を行うものである。具体的には、外部機器であるゲーム装置400から走行制御データなどのデータを受信したり、ゲーム装置400に対して実走行結果データなどのデータを送信する。なお、センサ50が赤外線受光部の設置される赤外線センサを含む構成とした場合は、センサコントローラ360が外部インターフェース部370を兼用することとなる。
【0081】
すなわち、外部I/F部370によるインターフェースは、RS232CやUSBなどの有線のインターフェースにより実現してもよいし、赤外線などの無線のインターフェースにより実現してもよい。例えば赤外線通信(IRDA)により、外部I/F部370のインターフェースを実現する場合には、車両玩具10の例えば裏面側に赤外線の受光センサを設ける。そしてゲーム装置側(ゲーム装置本体やゲーム装置に装着されるICカード)の発光素子からの赤外線を、この受光センサで検知することで、ゲーム装置からの走行制御データ(動作制御データ)等のデータを車両玩具10にダウンロードする。また、車両玩具10の例えば裏面側に赤外線の発光素子を設ける。そして、この発光素子からの赤外線をゲーム装置側の受光センサにより検知することで、車両玩具10の走行結果データ(動作結果データ)等のデータを、ゲーム装置にアップロードする。
【0082】
こうして、センサコントローラ360によって、外部機器であるゲーム装置100から走行制御データなどのデータを赤外線センサによるIRDA通信で受信することによって、車両玩具10の走行動作を制御したり、ゲーム装置100に対して実走行結果データなどのデータを送信する。このように、センサ50として、赤外線センサを設けることによって、近距離通信に好適なIRDA通信による車両玩具10の動作制御が可能になる。また、また複数の車両玩具をレースさせるために、同時にコース上に走行させる場合に、これらの車両玩具間における混線によるトラブル等を抑制できる。
【0083】
そして、本実施形態では、記憶部330は、コース60での移動玩具(狭義には、車両玩具10)の走行を制御するためのデータである走行制御データを記憶する。この走行制御データは、移動玩具の各コース区間での速度等を設定するためのデータである。
【0084】
また、センサ50は、コース60に設けられた複数のマーカMC1〜MC16の各マーカを検知する。例えば、移動玩具が各マーカの設置位置を通過した時に、その通過を検知し、移動玩具がどのコース区間に位置するのかを検出する。
【0085】
そして、記憶部330は、走行制御データとして、コース60の各コース区間において原動機(狭義にはモータ30)に供給される動力の大きさを設定する動力設定データを、コース60の各コース区間に対応づけて記憶する。当該動力設定データは、例えば、モータ30に供給される電力(実効電圧)の設定データであり、具体的には、モータ30をPWM駆動する際のデューティを設定するためのデータである。
【0086】
3.ゲーム装置
図5に本実施形態のゲーム装置(画像生成装置)の外観図を示す。ここではゲーム装置の一例として携帯型ゲーム装置を示している。なお、本実施形態のゲーム装置は、このような携帯型ゲーム装置には限定されず、例えば、携帯型ゲーム装置以外のゲーム装置や、ゲームプログラムの実行が可能な携帯型情報端末や携帯電話機などの種々のゲーム装置に適用できる。
【0087】
図5のゲーム装置400は、タッチパネル型の表示部190と、通常の表示部191を有する。また操作部として機能する方向指示キー(十字キー)401、操作ボタン402や、音出力部として機能するスピーカ404、406を有する。また、情報記憶媒体として機能するICカード410(ゲームカード、ゲームカートリッジ)が着脱自在に装着されるカードスロット412を有する。このICカード410には、ゲームプログラム(ゲームデータ)が記憶される。なお、スタイラスペン420は、タッチパネル型の表示部190へのタッチ操作を、プレーヤ(ユーザ)の指の代わりに行うために使用される。
【0088】
表示部190、191には、種々の画像(メニュー画面、シミュレーション画像、ゲーム画像)が表示される。例えば、タッチパネル型の表示部190には、後述する走行制御データの設定画面が表示される。また、表示部191には、シミュレーション画像(ゲーム画像)が表示される。具体的には、コース60に対応する仮想コース430(コース60を模した仮想空間内のコース)が表示される。また、車両玩具10に対応する仮想移動体440(車両玩具を模した移動オブジェクト)が表示され、仮想移動体440が仮想コース430で走行する様子が表示される。これらの表示部190、表示部191は、TFTなどのカラー液晶ディスプレイにより構成できる。そして、タッチパネル型の表示部190では、カラー液晶ディスプレイの上面(或いは下面)にタッチパネルが一体的に形成されており、これによりタッチ操作による操作入力が可能になる。
【0089】
図6に本実施形態のゲーム装置400の機能ブロック図の例を示す。なお、本実施形態のゲーム装置400は、図6の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0090】
操作部160は、プレーヤが操作データを入力するためのものであり、その機能は、方向指示キー、操作ボタン、或いはジョイスティックなどにより実現できる。
【0091】
記憶部170は、処理部100や通信部196などのワーク領域となるもので、その機能はRAM(DRAM、VRAM)などにより実現できる。この記憶部170は、走行特性データ記憶部172、コースデータ記憶部173、走行制御データ記憶部174、走行検知データ記憶部175、および描画バッファ178を含む。
【0092】
走行特性データ記憶部172は、走行特性データを記憶する。この走行特性データは、コース上を移動する移動玩具の走行特性(加速特性、ブレーキング特性、コーナリング特性等)に基づき設定されたデータである。コースデータ記憶部173は、コースデータ(コース特性データ)を記憶する。このコースデータは、移動玩具が移動するコースのコース特性(コース長、コース幅、コーナー曲率等)に基づき設定されたデータである。走行制御データ記憶部174は、走行制御データを記憶する。この走行制御データ(動作制御データ)は、コースでの移動玩具の走行(速度、加速度、旋回等)を制御するためのデータである。走行検知データ記憶部175は、車両玩具10が走行した際のセンサ50による検知結果である走行検知データ(コースアウト発生区間、ジャンプ空間、滞空時間等)を記憶する。
【0093】
情報記憶媒体180(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、ICカード(メモリーカード)、光ディスク(CD、DVD)、HDD(ハードディスクドライブ)、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部100は、情報記憶媒体180に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。すなわち、情報記憶媒体180には、本実施形態の各部としてコンピュータ(操作部、処理部、記憶部、出力部を備える装置)を機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶される。
【0094】
タッチパネル型の表示部190は、プレーヤ(ユーザ)が種々の操作を行ったり、本実施形態により生成された画像を表示するためのものであり、例えば、LCD、有機ELなどのディスプレイと、それに一体的に形成されたタッチパネルなどにより実現できる。タッチパネル方式としては、抵抗膜方式(4線式、5線式)、静電容量結合方式、超音波表面弾性波方式、赤外線走査方式などがある。
【0095】
表示部191は、本実施形態により生成された画像を表示するためのものであり、例えばLCD、有機ELなどのディスプレイにより実現できる。なお、表示部191としてタッチパネル型のディスプレイを用いてもよい。
【0096】
音出力部192は、本実施形態により生成された音を出力するものであり、その機能は、スピーカ、或いはヘッドフォン端子などにより実現できる。
【0097】
補助記憶装置194(補助メモリ、2次メモリ)は、記憶部170の容量を補うために使用される記憶装置であり、SDメモリーカード、マルチメディアカードなどのICカードにより実現できる。この補助記憶装置194は、脱着自在になっているが、内蔵されるものであってもよい。この補助記憶装置194は、ゲームの途中結果などのセーブデータや、プレーヤ(ユーザ)の個人的な画像データや音楽データなどを保存するために使用される。
【0098】
通信部196は、有線や無線の通信網(ネットワーク)を介して外部(例えば、移動玩具、サーバ、他のゲーム装置等)との間で通信を行うものであり、その機能は、通信用ASICまたは通信用プロセッサなどのハードウェアや、通信用ファームウェアにより実現できる。
【0099】
例えば、ゲーム装置400と移動玩具10との間でデータの送受信を行う場合には、通信部196の機能は、RS232CやUSBなどの規格にしたがってデータ転送を行う転送コントローラにより実現できる。この場合に、この転送コントローラを図5に示すICカード410に内蔵させてもよい。また、ICカード410に、カードなどの外部情報記憶媒体の情報を読み取るバーコードリーダ等のコントローラをさらに内蔵させてもよい。また、ゲーム装置400と移動玩具10との間で、通信部196により無線によりデータを送受信するようにしてもよい。或いは、USBメモリなどの携帯型記憶装置を用いて、ゲーム装置と移動玩具との間でデータを送受信してもよい。
【0100】
なお、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(データ)は、サーバ(ホスト装置)が有する情報記憶媒体からネットワークおよび通信部196を介して情報記憶媒体180(あるいは記憶部170、補助記憶装置194)に配信してもよい。このようなサーバ(ホスト装置)による情報記憶媒体の使用も、本発明の範囲内に含めることができる。
【0101】
処理部100(プロセッサ)は、操作部160からの操作データやプログラムなどに基づいて、ゲーム処理(シミュレーション処理)、画像生成処理、或いは音生成処理などを行う。この場合のゲーム処理としては、ゲームの内容やゲームモードを決定する処理、ゲーム開始条件が満たされた場合にゲームを開始する処理、ゲームを進行させる処理、或いはゲーム終了条件が満たされた場合にゲームを終了する処理などがある。この処理部100の機能は、各種プロセッサ(CPU、GPU等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
【0102】
処理部100は、シミュレーション処理部102、送信処理部104、受信処理部106、認証処理部108、比較処理部110、表示制御部112、成績評価部114、アップロード処理部116、設定変更部130を含む。なお、これらの一部の構成要素(例えば、認証処理部、比較処理部等)を省略する構成としてもよい。
【0103】
シミュレーション処理部102は、移動玩具10に対応する仮想移動体を移動(動作)させるシミュレーションを行う。例えば、コースに対応する仮想コース上で仮想移動体を走行させるシミュレーション処理を行う。このシミュレーション処理は、例えばゲーム処理の一部として行われる。
【0104】
具体的には、シミュレーション処理部102は、移動玩具10に対応して設けられ走行特性データに基づきその走行特性が設定される仮想移動体を、コースに対応して設けられて、コースデータに基づきそのコース特性が設定される仮想空間内の仮想コースにおいて、走行制御データにしたがって走行させるシミュレーション処理を行う。そして、走行シミュレーションの結果データを生成する。
【0105】
この場合のシミュレーション処理は、通常のレーシングゲームと同様に、仮想移動体の移動情報(位置、回転角度、速度、或いは加速度)を、1フレーム(1/60秒)毎に順次求める処理を行うことで実現してもよい。すなわち、仮想移動体の加速性能、最高速性能、ブレーキング性能、或いはコーナリング性能等を、走行特性データにより設定する。また、コースデータを、通常のレーシングゲームと同様の手法により設定する。例えば、コースに沿って設定された複数のサンプリングポイントの各サンプリングポイントに対して、コース幅やコース方向などを対応づけたコースデータを用意する。そして、このコースデータを用いて、移動玩具が走行する実際のコース(例えば、基本コースや店舗の特設コース等)に対応した仮想コースを、仮想空間(ゲーム空間)内に構築する。そして、レーシングゲームで一般的に使用される自動走行アルゴリズムにより、仮想移動体を仮想コース内で走行させるシミュレーション処理を行う。そして必要であれば、図5に示すように、仮想移動体440が仮想コース430上で走行する様子を、表示部191に表示する。
【0106】
或いは、このような仮想移動体のリアルタイムなシミュレーション移動処理は行わずに、走行特性データやコースデータを入力データとし、ラップタイムなどの走行シミュレーション結果データを出力データとするテーブルデータを用いて、シミュレーション処理を実現してもよい。このテーブルデータは、記憶部170の図示しないテーブルデータ記憶部に記憶される。そして、シミュレーション処理部102は、このテーブルデータを用いて、シミュレーション処理を実行する。この場合のテーブルデータは、例えば、移動玩具のメーカが実際の移動玩具を実際のコースで走行させることで、様々な条件のテーブルデータを用意する。例えば、同じコースで同じ種類(車種)の移動玩具であっても、移動玩具に装着されるパーツが異なる場合には、異なった走行シミュレーション結果データになるように、複数のテーブルデータの各テーブルデータを作成する。そして、作成したテーブルデータをゲームソフトのデータとして情報記憶媒体180に格納したり、ネットワーク、通信部196を介して外部からダウンロードできるようにする。
【0107】
送信処理部104は、移動玩具に対してデータを送信するための処理を行う。例えば、送信するデータを記憶部170に用意したり、データの送信を通信部196に指示する。具体的には、送信処理部104は、走行制御データを移動玩具に送信するための処理を行う。例えば、コースの各コース区間に対応づけられた走行制御データ(動力設定データ、電力設定データ)を送信する。或いは走行制御データとして、コースデータ取得用の走行制御データを移動玩具に送信してもよい。
【0108】
受信処理部106は、移動玩具からのデータを受信するための処理を行う。例えば、データの受信を通信部196に指示したり、受信したデータを記憶部170に保存する。具体的には、受信処理部106は、送信処理部104により送信された走行制御データに基づき移動玩具がコースを走行することで得られた実走行結果データを、移動玩具から受信するための処理を行う。この場合に、コースの各コース区間での移動玩具の実走行ラップタイムデータを、実走行結果データとして受信してもよいし、コースの各コース区間での移動玩具の実加減速データを、実走行結果データとして受信してもよい。或いは、送信されたコースデータ取得用走行制御データに基づき移動玩具がコースを走行することで得られたコースデータ取得用の実走行結果データを、受信してもよい。また、受信処理部106は、移動玩具が走行した際のセンサ50による検知結果である走行検知データ(コースアウト発生区間、ジャンプ空間、滞空時間等)を受信して、走行検知データ記憶部175に保存する。このように、受信処理部106を制御することによって、移動玩具の検知結果を受信して、当該検知結果を元にゲーム装置がより好適な走行制御データを移動玩具に送信することができる。
【0109】
認証処理部108は、移動玩具から受信したデータの認証処理を行う。例えば、受信した実走行結果データが正当なデータ(アップロード等が許可されるデータ)であるか否かを認証する。具体的には、移動玩具がコースのスタート地点からスタートしてコースのゴール地点を通過したと判定された場合に、実走行結果データが正当なデータであると判断する。例えば、スタート地点に対応するコース区間とゴール地点に対応するコース区間を移動玩具が通過したとセンサからの検知情報に基づき判断された場合に、その走行により得られた実走行結果データが正当なデータであると判断する。この場合に、コースの全てのコース区間(マーカ)を通過(検知)したことを条件に、その実走行結果データが正当なデータであると判断してもよい。或いは、移動玩具がコースでジャンプして、センサの検出が読み飛ばされることを考慮し、一定の割合(例えば90パーセント)以上のコース区間(マーカ)を通過(検知)したことを条件に、正当なデータであると判断してもよい。
【0110】
比較処理部110は、データの比較処理を行う。例えば、受信処理部106により受信された実走行結果データと、シミュレーション処理部102でのシミュレーション処理により得られた走行シミュレーション結果データとの比較処理を行う。この場合の比較処理としては、例えば、各コース区間での実走行ラップタイムと、そのコース区間に対応する各仮想コース区間でのシミュレーションラップタイムを比較し、その差分を求める処理などがある。或いは、各コース区間での実加減速データと、各仮想コース区間でのシミュレーション加減速データの比較処理を行ってもよい。そして、このような比較処理を行うことによって、実走行結果を向上させるのに必要なパーツを特定する。そして、表示制御部112は、この比較処理での比較結果に基づいて、移動玩具のパーツ変更のアドバイス画面(変更パーツ表示画面)を表示する制御を行う。
【0111】
表示制御部112は、表示部190、191の表示制御を行う。例えば、処理部100で行われる種々の処理(シミュレーション処理、ゲーム処理)の結果に基づいて、描画バッファ178への画像の描画処理を行い、これにより画像(例えば、図5の走行制御データ設定画面の画像、シミュレーション画像)を生成し、生成された画像を表示部190、191に表示する。この場合に、生成する画像は、いわゆる2次元画像であってもよいし、3次元画像であってもよい。そして、3次元画像を生成する場合には、まず、座標変換(ワールド座標変換、カメラ座標変換)、クリッピング処理、或いは透視変換等のジオメトリ処理が行われ、その処理結果に基づいて、描画データ(プリミティブ面の頂点の位置座標、テクスチャ座標、色データ、法線ベクトル或いはα値等)が作成される。そして、この描画データ(プリミティブ面データ)に基づいて、透視変換後(ジオメトリ処理後)のオブジェクト(1または複数プリミティブ面)を描画バッファ178(フレームバッファ、中間バッファなどのピクセル単位で画像情報を記憶できるバッファ。VRAM)に描画する。これにより、仮想空間(オブジェクト空間)内において仮想カメラ(所与の視点)から見える画像が生成される。
【0112】
そして、本実施形態では、表示制御部112は、実走行結果データをコースの各コース区間に対応づけて表示する制御を行う。具体的には、実走行結果データであるラップタイムデータや加減速データを、コースの各コース区間に対応づけて表示する。或いは、シミュレーション処理により得られた走行シミュレーション結果データに対して、実走行結果データを関連づけて表示してもよい。
【0113】
成績評価部114(成績演算部)は、プレーヤのプレイ成績(走行成績、得点、ポイント、勝敗)の評価処理(演算処理)を行う。例えば、受信した実走行結果データ(実動作結果データ)に基づいて、移動玩具についてのプレーヤのプレイ成績を評価する。或いはプレーヤのゲームプレイのプレイ成績を評価してもよい。
【0114】
アップロード処理部116は、データのアップロード処理を行う。具体的には、通信部196およびネットワークを介して、プレーヤの実走行結果データなどのプレイ成績を、外部のサーバ等にアップロードする処理を行う。これにより、サーバの管理の下でプレーヤの実走行結果データのランキング表示などが可能になる。この場合に、受信した実走行結果データが正当なデータであると認証処理部108により判断された場合に、正当なデータであると判断された実走行結果データを、ネットワークを介してアップロードしてもよい。すなわち、正当な実走行結果データについてはアップロードを許可し、不正な実走行結果データについてはアップロードを許可しないようにする。
【0115】
設定変更部130は、種々の設定の変更処理を行う。例えば、設定変更部130は、移動玩具のパーツ変さらに対応して走行特性データの設定内容を変更する処理を行う。例えばプレーヤが、自身が所有する移動玩具のモータ、タイヤ等のパーツを変更し、後述するパーツの選択画面等において、その変更を入力(登録)すると、設定変更部130は、それに応じて走行特性データの設定内容(走行シミュレーションのアルゴリズムのパラメータや、使用するテーブルデータ等)を変更する。そしてシミュレーション処理部102は、変更後の走行特性データに基づいて、仮想移動体を仮想コースで走行させるシミュレーション処理を行う。
【0116】
具体的には、設定変更部130は、移動玩具が有する原動機(モータ、エンジン)の変さらに対応して、走行特性データのうちの加速特性データ(馬力、トルクデータ)を変更する。例えば、プレーヤが移動玩具のモータを別の種類のモータに取り替えた場合には、それに応じて仮想移動体の加速特性も変更する。そしてシミュレーション処理部102は、変更後の加速特性データに基づき、その加速特性が設定される仮想移動体を、仮想コースで走行(疑似走行)させるシミュレーション処理を行う。また、設定変更部130は、移動玩具が有するタイヤの変さらに対応して、走行特性データのうちのコーナリング特性データ(グリップ能力、旋回能力)を変更する。例えば、プレーヤが移動玩具のタイヤを別の種類のタイヤに取り替えた場合には、それに応じて仮想移動体のコーナリング特性も変更する。そしてシミュレーション処理部102は、変更後のコーナリング特性データに基づきそのコーナリング特性が設定される仮想移動体を、仮想コースで走行させるシミュレーション処理を行う。
【0117】
4.本実施形態の手法
4.1.走行制御データの設定
次に、本実施形態の手法について説明する。まず、走行制御データ(広義には、動作制御データ)の設定手法について説明する。
【0118】
図7に走行制御データの設定画面の例を示す。この設定画面は、図5に示すようにタッチパネル型の表示部190に表示され、プレーヤは、この設定画面において、図1(A)のコース60の各コース区間CS1〜CS16での走行制御データを設定する。
【0119】
例えば、走行制御データの雛形データ(メーカ側が用意するデフォルトのデータ)が存在する場合や、過去に設定して保存した走行制御データが存在する場合には、図7のJ1に示すアイコンをタッチパネル型表示部190へのタッチ操作により選択して、そのセッティング内容を読み出す。また、走行制御データの設定が完了した場合には、J2に示すアイコンを選択して、そのセッティング内容を保存する。また、走行制御データを車両玩具10に送信する場合には、J3に示すアイコンを選択する。一方、実走行結果データ(走行検知データ)等を車両玩具12から受信(アップロード)する場合には、H1に示すアイコンを選択する。
【0120】
また、コース選択画面を表示してコースを選択する場合には、H2に示すアイコンを選択し、コース周回数選択画面を表示してコースの周回数を設定する場合には、H3に示すアイコンを選択し、キャラクタ選択画面を表示して車両玩具10を仮想的に操作するキャラクタを選択する場合には、H4に示すアイコンを選択する。
【0121】
また、図7のJ4では、スタート地点に対応する第1のコース区間CS1での走行制御データとして、「61」が設定されている。この場合の走行制御データは、モータ30の動力設定データ(電力設定データ)であり、具体的には、後述するPWM駆動におけるデューティである。走行制御データを「61」を設定することで、第1のコース区間CS1では、61パーセントのデューティでモータ30がPWM駆動される。すなわち、第1のコース区間CS1は、距離の長い直線の区間であるため、プレーヤは、高いデューティを設定して、車両玩具を加速させる。
【0122】
また、図7のJ5では、次の第2のコース区間CS2での走行制御データとして、「10」が設定されている。すなわち、第2のコース区間CS2は、急カーブの区間であるため、コースアウトしないように、プレーヤは、低いデューティを設定して、車両玩具10を減速させる。
【0123】
また、図7のJ6では、次の第3のコース区間CS3での走行制御データとして、「29」が設定されている。すなわち、第3のコース区間CS3は、図7に示すように、第2のコース区間CS2と立体交差するためのスロープ状の区間であるため、プレーヤは、直線状の第1のコース区間CS1より低く、かつカーブ状の第2のコース区間CS2よりも高いデューティを設定して、車両玩具10を加速させる。同様にして、コース区間CS3〜CS7の走行制御データを設定し、J7に示すように第1の周回コース61の最終の第8のコース区間CS8の走行制御データを設定する。またJ8、J9、J10、J11等に示すように、第2の周回コース62の各コース区間CS9〜CS16の走行制御データを設定する。
【0124】
図8のJ20では、プレーヤは、スタイラスペン420を用いたドラッグ操作により、走行制御データを設定している。図8のJ20では、ドラッグ操作により走行制御データが「62」に設定され、その後にJ21に示すアイコンを選択することで、「62」の走行制御データの設定が確定する。なお、設定をキャンセルする場合には、J22に示すアイコンを選択する。
【0125】
全てのコース区間についての走行制御データの設定が完了すると、プレーヤは、図8のJ3に示すアイコンを選択する。そして、ゲーム装置400から車両玩具10への全ての走行制御データの送信(ダウンロード)が完了すると、図9に示すような画面が表示される。
【0126】
以上の本実施形態の走行制御データの設定手法によれば、プレーヤは、複数のコース区間の走行制御データを、簡素な作業で効率良く入力することが可能になる。
【0127】
4.2.走行制御データによる速度制御
次に、本実施形態の走行制御データによる速度制御の手法について説明する。
【0128】
図10(A)に走行制御データのデータ構造の例を示す。図10(A)では、CS1〜CSNの各コース区間に対して、DS1〜DSNの各走行制御データが対応づけられて、図6の走行制御データ記憶部174に記憶される。具体的には、走行制御データとして、各コース区間においてモータに供給される動力(電力)の大きさを設定する走行制御データ(動力設定データ)が、各コース区間CS1〜CSNに対応づけて記憶される。
【0129】
この走行制御データは、図7〜図9で説明した手法により設定できる。図7を例にとれば、第1のコース区間CS1には、DS1=61、第2のコース区間CS2には、DS2=10というように走行制御データが設定される。そして、DS1=61と設定された第1のコース区間CS1では、車両玩具の速度が速くなり、DS2=10と設定された第2のコース区間CS2では、車両玩具の速度が遅くなる。
【0130】
また、図10(B)に示すように、車両玩具MTに設けられたセンサにより、コース上のマーカMCi+1(iは自然数)が検知される。これにより、車両玩具MTがコース区間CSiからコース区間CSi+1に進入したことが検出される。なお、マーカMCi+1は、例えば、コースブロックに一体形成されて埋め込まれる樹脂部材等により実現してもよいし、コースブロックに貼り付けられた白色のテープにより実現してもよい。或いはICタグなどのデバイスにより実現してもよい。
【0131】
さらに、本実施形態では、図10(A)に示すように、各コース区間CS1〜CSNに対応づけられた走行制御データDS1〜DSNに基づいて、車両玩具10のコースアウト、ジャンプ検出の判定時間(所定時間)TS1〜TSNを可変に設定できる。
【0132】
前述で説明したように、車両玩具10を走行させるコース60は、図1(A)に示すように、直線形状、カーブ形状、およびスロープ形状の各種構成を有する複数のコースパーツCP1〜CP16が連結されて構成され、各コースパーツCP1〜CP16に対応して、直線、カーブ、およびスロープが配置される各コース区間CS1〜CSNが設定される。すなわち、各コース区間CS1〜CSNの状態および長さは、各コース区間CS1〜CSNごとに異なる。このため、センサ50が各マーカMC1〜MC16を検知する時間間隔も異なることとなる。
【0133】
例えば、同じ直線コース区間でも、図11(A)に示すように、第1のコース区間CS1は、第7のコース区間CS7よりも長いので、その長さに応じて、マーカ検知の時間間隔が大きくなる。すなわち、ジャンプ検出の判定時間(所定時間)は、図11(C)に示すように、第1のコース区間用判定時間TS1の方が第7のコース区間用判定時間TS7よりも大きい値となる。
【0134】
また、カーブ形状のコース区間では、図12(A)に示すように車両玩具10を加速すると、図12(B)に示すように、車両玩具10がコースアウトし易い。このため、車両玩具MTが通常にコース60上を走行している場合では、図11(B)に示すように、各コース区間CS1〜CS16に対応する各マーカMC1〜MC16をセンサ50がセンシングするが、カーブコース区間でコースアウトした場合では、図11(C)のA、Dに示すように、センサ50が当該コース区間の終端側に有するマーカMC3、MC9を検知しない。このため、このようなカーブコース区間CS2、CS4、CS8では、直線コース区間CS1、CS7よりも判定時間を短く設定する。
【0135】
さらに、スロープ形状のコース区間では、図13(A)に示すように車両玩具10を加速すると、図13(B)に示すように、車両玩具10がジャンプし易い。このため、車両玩具MTが通常にコース60上を走行している場合では、図11(B)に示すように、各コース区間CS1〜CS16に対応する各マーカMC1〜MC16をセンサ50がセンシングするが、スロープコース区間でジャンプした場合では、図11(C)のB、Cに示すように、センサ50がマーカMC4、MC6を検知しない。このため、スロープコース区間CS3、CS5では、直線コース区間CS1、CS7よりも判定時間を短く設定する。
【0136】
このように、本実施形態では、車両玩具10のコースアウトやジャンプを検出するための判定時間(所定時間)TS1〜TSNを各コース区間CS1〜CSNの状態および長さに応じて可変に設定する。各コース区間CS1〜CSNの状態および長さ等のコース情報は、走行制御データDS1〜DSNに反映されるので、当該判定時間(所定時間)TS1〜TSNは、第1〜第Nの走行制御データに基づいて可変に設定されることとなる。このため、各コース区間DS1〜DSNの形状や長さ等の状態に応じた適切な判定時間(所定時間)TS1〜TSNを設定できるようになる。
【0137】
なお、本実施形態では、図11(A)に示すように、コース60が所与の基準輝度BDより小さい黒色等の基準輝度未満に設定され、マーカMC1〜MC16を白色等の基準輝度以上に設定している。このため、センサ50が検知対象となるコース60およびマーカMC1〜MC16の輝度をセンシングし、図11(B)に示すように、センサ50の検知結果が当該基準輝度未満から基準輝度以上になったと判断した場合に、マーカマーカMC1〜MC16が検出されたと判定される。コース60とマーカMC1〜MC16との輝度の関係は、所与の基準輝度BDを介して、双方が互いに逆の輝度となっていればよい。
【0138】
すなわち、図14(A)に示すように、コース60が所与の基準輝度BDより大きい白色等の基準輝度以上に設定され、マーカMC1〜MC16を黒色等の基準輝度未満に設定してもよい。このように設定することによって、車両玩具10の走行中に、センサ50が検知対象となるコース60およびマーカMC1〜MC16の輝度をセンシングし、図14(B)に示すように、センサ50の検知結果が基準輝度以上から基準輝度未満になったと判断した場合に、マーカMC1〜MC16が検出されたと判定される。
【0139】
また、このように、コース60を赤外線反射率の高い基準輝度以上に、マーカMC1〜MC16を当該反射率の低い基準輝度未満に設定した場合では、センサ50として反射型フォトセンサを使用すると、センサ50によって車両玩具10がコース上を走行しているか否かを常に監視できる。すなわち、反射型フォトセンサでは、外乱光と対向しても、検知対象の反射光を当該フォトセンサの受光部が受光できないので、車両玩具10がコースアウトしたら、検知対象の輝度が基準輝度以上から基準値未満に変化する。このため、マーカMC1〜MC16の読み飛ばしがあっても、車両玩具10がコースアウトやジャンプした際には、車両玩具10の接地面がコースと対向しなくなったと判定されるので、車両玩具10のコースアウトの判定が容易になる。
【0140】
4.3.PWM駆動
本実施形態の車両玩具10のように原動機がモータである場合には、モータは、PWM方式により駆動することが望ましい。すなわち、走行制御データにより設定されるデューティで原動機であるモータをPWM駆動する。例えば、図15(A)に示すように。走行制御データが「60」に設定されていた場合には、デューティが60パーセントのPWMの駆動波形でモータを駆動する。また、走行制御データが「40」に設定されていた場合には、デューティが40パーセントのPWMの駆動波形でモータを駆動する。このようにモータをPWM駆動すれば、モータは、デューティに対応した実効電圧で駆動されるようになるため、デューティを変化させることで、車両玩具MTを所望の速度で移動させることが可能になる。
【0141】
例えば、図15(A)において、車両玩具MTがコース区間CSiに位置している時には、コース区間CSiの走行制御データにより設定される第iのデューティDTiでモータをPWM駆動する。一方、図15(B)において、車両玩具MTがコース区間CSiからCSi+1に進入した場合には、コース区間CSi+1の走行制御データにより設定される第i+1のデューティDTiでモータをPWM駆動する。例えばコース区間CSiに設定されるデューティDTi=60の場合には、図15(A)の60パーセントのデューティのPWM駆動波形でモータを駆動し、コース区間CSi+1に設定されるデューティDTi=40の場合には、図15(A)の40パーセントのデューティのPWM駆動波形でモータを駆動する。
【0142】
4.4.駆動部
次に、図4の駆動部350の詳細な構成および動作について説明する。図16に駆動部350の回路構成例を示す。図16に示すように、駆動部350は、第1〜第4のトランジスタTR1〜TR4を含む。また、第5、第6のトランジスタTR5、TR6や、ダイオードDI1〜DI4や、抵抗R1〜R6を含むことができる。ここで、トランジスタTR1〜TR6は、例えば電界効果型のトランジスタ(FET)である。なお、トランジスタTR1〜TR6は、MOS型FETであってもよいし、接合型FETであってもよく、或いはバイポーラ型のトランジスタであってもよい。また、本実施形態の駆動部350は、図16の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば、トランジスタTR5、TR6、ダイオードDI1〜DI4等)を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0143】
P型のトランジスタTR1は、第1の電源VDDのノードNDと、モータ30の第1の端子TM1のノードNT1との間に設けられる。具体的には、トランジスタTR1は、そのソース、ゲート、ドレインに、各々、ノードND、N1、NT1が接続される。またノードNDとN1の間には抵抗R1が設けられる。
【0144】
P型のトランジスタTR2は、ノードNDと、モータ30の第2の端子TM2のノードNT2との間に設けられる。具体的には、トランジスタTR2は、そのソース、ゲート、ドレインに、各々、ノードND、N2、NT2が接続される。またノードNDとN2の間には抵抗R2が設けられる。
【0145】
N型のトランジスタTR3は、ノードNT1と第2の電源VSS(GND)のノードNSとの間に設けられる。具体的には、トランジスタTR3は、そのソース、ゲート、ドレインに、各々、ノードNS、N3、NT1が接続される。また、ノードN3とNSの間には、抵抗R3が設けられ、ノードN3には、制御信号SG3が入力される。
【0146】
N型のトランジスタTR4は、ノードNT2とNSとの間に設けられる。具体的には、トランジスタTR4は、そのソース、ゲート、ドレインに、各々、ノードNS、N4、NT2が接続される。また、ノードN4とNSの間には、抵抗R4が設けられ、ノードN4には、制御信号SG4が入力される。
【0147】
N型のトランジスタTR5は、ノードN1とNSの間に設けられる。具体的には、トランジスタTR5は、そのソース、ゲート、ドレインに、各々、ノードNS、N5、N1が接続される。また、ノードN5とNSの間には、抵抗R5が設けられ、ノードN5には、制御信号SG5が入力される。
【0148】
N型のトランジスタTR6は、ノードN2とNSの間に設けられる。具体的には、トランジスタTR6は、そのソース、ゲート、ドレインに、各々、ノードNS、N6、N2が接続される。また、ノードN6とNSの間には、抵抗R6が設けられ、ノードN6には、制御信号SG6が入力される。
【0149】
また、ダイオードDI1は、ノードNDとNT1の間に設けられ、ダイオードDI2は、ノードNDとNT2の間に設けられ、ダイオードDI3は、ノードNT1とNSの間に設けられ、ダイオードDI4は、ノードNT2とNSの間に設けられる。
【0150】
図4の駆動部340では、車両玩具の通常走行時には、トランジスタTR1がオンになり、トランジスタがオフTR2、TR3がオフになる。そして、トランジスタTR4がPWM駆動のデューティにしたがってオン・オフされる。一方、車両玩具の減速制御時には、トランジスタTR1、TR4がオフになり、トランジスタTR2、TR3がオンになる。これにより、モータの第1の端子TM1と第2の端子TM2との間に、通常走行時とは逆極性の電圧が印加される。
【0151】
4.5.車両玩具側の詳細な処理
次に、車両玩具側の詳細な処理フローについて、図17のフローチャートを用いて説明する。図17は、主に図4の制御部310が行う処理を示したものである。
【0152】
まず、走行制御データをゲーム装置から受信したか否かを判断する(ステップS1)。そして走行制御データを受信した場合には、受信した走行制御データ(区間データ)を図4の記憶部330に格納する(ステップS2)。
【0153】
まず、走行制御データをゲーム装置400から外部インターフェース部370を介して受信したか否かをデータ送受信処理部318で判断する(ステップS1)。そして、走行制御データを受信した場合には、受信した走行制御データ(区間データ)を図4の記憶部330に格納する(ステップS2)。なお、本実施形態では、当該走行制御データには、車両玩具10がコース60を1周したら、走行終了とする走行終了条件を設定する走行終了条件情報が含まれる。
【0154】
次に、車両玩具の動作開始を指示するセレクトボタンが押されたか否かを判断する(ステップS3)。そして、押された場合には、走行制御データの区間番号iを1に設定し(ステップS4)、モータ駆動制御部316から駆動部350にモータの駆動を開始させるコマンドを送信し、モータの駆動を開始して車両玩具の走行をスタートする(ステップS5)。なお、車両玩具10の走行開始は、セレクトボタンのオン・オフ動作に限定されず、オートスタート等の他の走行開始手法によるものにしてもよい。
【0155】
次に、i番号の走行制御データDSiの値をモータ駆動用のPWM値に設定する(ステップS6)。そして、センサ50によりマーカが検出されたか否かを判断する(ステップS7)。
【0156】
ステップS7でマーカが検出されない場合、すなわち、輝度変化判断部312において、センサ50の検知対象の輝度変化が検知されない場合には、制御部310は、次にセンサ50でマーカを検知してから所定時間を経過したか否かの判断をする(ステップS13)。ステップS13で所定時間以上経過したと判断された場合には、センサ50の検知対象の輝度が所定時間以上変化していないと判断されることとなる。すなわち、ボディ12の接地面側がコース60に所定時間以上対向していない状態であると判断されるので、車両玩具10がコースアウトやジャンプ等したと判断される。
【0157】
ステップS13で制御部310の輝度変化判断部312において、センサ50の検知対象の輝度が所定時間以上変化していないと判断されると、次に、制御部310では、モータ30の駆動をオンからオフに切り替えて、モータ30の駆動を停止する(ステップS14)。具体的には、制御部310のモータ駆動制御部314がセンサ50からの検知結果に基づいて、オンになっていたモータ30の駆動をオフに切り替えるコマンドを駆動部350に送信して、モータ30への動力の供給を停止させて、モータ30の駆動をオンからオフに切り替わって、モータ30の駆動を停止する。
【0158】
一方、ステップS7でマーカが検出された場合には、コース区間CSi+1の走行制御データDSi+1とコース区間CSiの走行制御データDSiとの間に、DSi+1<DSiの関係が成り立つか否かを判断する(ステップS8)。そして、DSi+1<DSiである場合には、減速制御を行うと判断し、DF=DSi+1−DSiに対応する期間T1だけ、デューティ=100の逆極性電圧をモータに印加する(ステップS9)。
【0159】
次に、i=16か否かを判断する(ステップS10)。そしてi=16ではない場合には、iを1だけインクリメントして(ステップS11)、ステップS6に戻る。一方、i=16になった場合には、車両玩具がゴール地点に対応するコース区間CS16にゴールしたと判断して、区間番号iを初期値である1に設定する(ステップS12)。
【0160】
4.6.シミュレーション処理
さて、図2に示すホビーレーシングカーでは、プレーヤは、モータやタイヤなどのパーツを交換するチューニングを行って、他のプレーヤとラップタイプを競い合う。
【0161】
しかしながら、これまでのホビーレーシングカーでは、交換したパーツが、ラップタイムの向上にどの程度貢献したかを、プレーヤは客観的に評価することができなかった。従って、プレーヤは、試行錯誤をして、直感的にパーツを交換せざるを得なかった。このため、ラップタイムをなかなか短縮することができず、ラップタイムの向上に限界があり、これが原因でプレーヤにすぐに飽きられてしまうという課題があった。
【0162】
また、プレーヤは、図1に示すような占有面積が大きなコースを自宅に設置することは難しいため、特設コースが設置された店舗に出向き、そこでパーツを色々と変えながら、ラップタイム短縮のための試行錯誤をせざるを得なかった。従って、車両玩具のチューニングを、手軽に行うことができず、このようなチューニング作業の面倒さが、ホビーレーシングカーからプレーヤの興味を遠ざける原因となっていた。
【0163】
この点、前述の特許文献2の従来技術では、プレーヤがゲーム装置でゲームプレイすることで得られた制御情報により、車両玩具側を走行させることで、ゲームの面白味の幅を広げている。
【0164】
しかしながら、この特許文献2の従来技術では、車両玩具が実際に走るコースと、ゲーム装置においてゲーム空間に構築される仮想的なコースは、お互いにリンクしていなかった。また、車両玩具の走行特性と、ゲーム空間で走行する車の走行性能もリンクしていなかった。このため、ゲーム装置でのセッティングを側に反映させたり、逆に車両玩具の実際の走行結果を、ゲーム装置側に反映させることができないという課題があった。
【0165】
本実施形態では、このような課題を解決するために以下に説明するような手法を採用している。
【0166】
すなわち、まず本実施形態では、コース上を移動する車両玩具の走行特性に基づき設定されたデータである走行特性データや、車両玩具が移動するコースのコース特性に基づき設定されたデータであるコースデータを用意する。また、図7〜図9に示すような手法で設定される走行制御データを用意する。そして、これらの走行特性データとコースデータと走行制御データとに基づいて、ゲーム装置において、車両玩具のセッティングのためのシミュレーション処理を行う。
【0167】
このようにすることで、車両玩具が走る実際のコースと、ゲーム装置において車両玩具に対応する仮想移動体が走行する仮想コースとが、お互いにリンクするようになる。また車両玩具の加速性能などの走行特性と、ゲーム装置側の仮想移動体の走行特性もリンクするようになる。従って、プレーヤは、例えば、特設コースが設置されている店舗等に出向かなくても、自身が所有するゲーム装置でのシミュレーション処理により、車両玩具の走行を仮想的に試すことができず。また実機の車両玩具の実走行結果をゲーム装置側に取り込むことで、交換したパーツのラップタイムへの貢献度合い等を、客観的に判断することが可能になる。従って、試行錯誤により、直感に頼っていたこれまでのホビーレーシングカーでは実現できなかったチューニングの面白さを、ユーザであるプレーヤに提供できるようになる。
【0168】
例えば、図18(A)〜図18(C)に、車両玩具の走行特性の設定のためにゲーム装置の表示部に表示される画面の例を示す。
【0169】
まず、図18(A)に示すように、車種選択画面を表示する。プレーヤは、この選択画面において、自身が使用する車両玩具の車種を選択する。具体的には、選択画面に車両玩具の商品名を表示し、プレーヤは、この商品名の中から自身が所有する車両玩具の商品名を選択する。
【0170】
次に、図18(B)、図18(B)に示すように、パーツセット選択画面を表示する。プレーヤは、この選択画面において、車両玩具のチューニングに使用しているパーツセットを選択する。例えば図18(B)では、プレーヤは、基本パーツセットB1に代えて、グレートアップパーツセットB2を購入して使用しているため、このグレードアップパーツセットB2を選択する。また、このグレードアップパーツセットB2のうち、変更しているパーツがあれば、図18(C)の選択画面で変更しているパーツを選択する。なお、図18(B)のようなパーツセットの選択画面を表示せずに、図18(C)に示すように、変更しているパーツを直接に選択してもよい。
【0171】
以上のような選択画面を表示し、プレーヤが自身の使用する車種やパーツを選択することで、プレーヤの使用する車両玩具の走行特性が特定されて、走行特性データが設定される。すなわち車両玩具やパーツを製造・販売するメーカは、車両玩具の重さや形状、モータの馬力やトルク、タイヤの大きさやグリップ力、シャシの強化度や走行安定性などを把握している。従って、プレーヤが、自身が使用する車両玩具の車種やパーツ名をゲーム装置に入力することで、その車両玩具の加速力、最高速、コーナリング性能、走行安定性等を特定できる。従って、特定された走行特性を、シミュレーション処理のアルゴリズムが取り扱うできるフォーマットの走行特性データとして用意することで、実際の車両玩具の走行特性に適合したシミュレーション処理が可能になる。なお、この走行特性データを作成するための車種、パーツ等のデータベース情報は、ゲーム装置が有するネットワークへの接続機能を利用して、適宜、ゲーム装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0172】
以上のように走行特性データを設定することで、プレーヤが実際にコース上で走行させる車両玩具と、仮想コース上で走行させる仮想移動体とをマッチングさせて、リンクさせることが可能になる。
【0173】
次に、図19に示すように、プレーヤが使用するコースの選択画面を表示する。例えば図19では、選択候補となるコースとして、スタータキットとして販売される基本オーバルコースや基本8の字コースが表示されている。また、例えば東京の店舗Aに設置されている特設コースが、選択候補コースとして表示されている。
【0174】
すなわち、スタータキット等として市販される基本オーバルコースや基本8の字コースのコース形状についてはすぐに特定できる。一方、特定の店舗に設置される公式レース用の特設コースについても、市販用のコースパーツと同じコースパーツで作成されているため、使用されているコースパーツやその接続構成を特定することで、特設コースのコース形状についても特定できる。
【0175】
この場合に、特設コースの使用コースパーツや接続構成の情報については、ネットワークを介してゲーム装置にダウンロードするようにしてもよいし、プレーヤが、コース編集画面において配置設定するようにしてもよい。すなわち、プレーヤは、このコース編集画面において、コースパーツの画像を適宜組み合わせて接続することで、特設コースと同じ形状のコースを作成して編集する。そして、編集されたコースを登録することで、その特設コースに対応するコースデータを設定する。
【0176】
以上のようにコースデータを設定することで、車両玩具が実際に走行するコースと、仮想移動体が走行する仮想コースとをマッチングさせて、リンクさせることが可能になる。
【0177】
次に、図7、図8に示す走行制御データ設定画面を表示する。プレーヤは、この設定画面において、試行錯誤しながら、良いラップタイムを獲得するのに必要な走行制御データを設定する。そして、プレーヤが、シミュレーション処理の開始を指示すると、図18(A)〜図18(C)で設定された走行特性データと、図19で設定されたコースデータと、図7、図8で設定された走行制御データに基づいて、シミュレーション処理が行われる。すなわち走行特性データに基づきその走行特性が設定される仮想移動体を、コースデータに基づきそのコース特性が設定される仮想空間内の仮想コースにおいて、走行制御データにしたがって走行させるシミュレーション処理が行われる。
【0178】
そして、プレーヤは、走行シミュレーションの結果データを確認し、走行制御データを再度設定して、自身が所望するラップライムを獲得できるまで、シミュレーション処理を繰り返し実行させる。こうして、ゲーム装置側で車両玩具の走行に関する仮想的なチューニングを繰り返す。そして、プレーヤは、満足する結果が得られると、ゲーム装置と車両玩具を有線または無線で接続して、図9に示すように最終的な走行制御データを車両玩具に送信して、その記憶部に記憶させる。そして、図1(A)等に示すコース上で車両玩具を実際に走行させる。
【0179】
例えば、週末に、店舗の特設コースで公式レースが開催される場合に、プレーヤは、平日に、ゲーム装置を用いてシミュレーションを行って、車両玩具の仮想的なチューニングを繰り返す。
【0180】
この場合に、プレーヤの自宅には特設コースは存在しないが、ゲーム装置の仮想空間内には、特設コースのコースデータに基づいて特設コースに対応する仮想コースが構築されている。プレーヤは、この仮想コースにおいて、自身が出場させる車両玩具に対応する仮想移動体を走行させるシミュレーション処理を、ゲーム装置を用いて実行させる。そして、プレーヤの納得が行くまで、チューニング設定を繰り返して、週末の公式レースに参加する。
【0181】
この時、例えば、特定のパーツが原因で、良いラップタイムを獲得できない場合には、図18(B)、図18(C)で説明した手法により、パーツを交換する設定を行う。この場合に、プレーヤは、実際にパーツを購入しなくても、仮想的にパーツ交換を行って、そのパーツがラップタイム向上に有効か否かを、シミュレーション処理により確認することができる。そして、特定のパーツ(例えば、モータ、タイヤ)を交換することで、シミュレーションにおいて、良いラップタイムを獲得できた場合には、そのパーツを実際に購入して、車両玩具に装着し、週末の公式レースに参加する。
【0182】
以上のように、本実施形態によれば、特設コースのように自宅に置けないようなコースについても、ゲーム装置でのシミュレーション処理により、車両玩具を仮想的に試走させることができる。また、交換するパーツを購入する前に、プレーヤは、そのパーツのラップタイムへの貢献度合い等を、客観的に評価できる。従って、プレーヤの利便性を向上できると共に、シミュレーションにより高いレベルのチューニングを行って、ラップタイムの向上を目指すことができるため、速さの追求に関するプレーヤのモチベーションを向上させることができ、飽きの来にくいホビーレーシングカーのシステムを提供できる。
【0183】
なお、シミュレーション処理は、車両玩具に対応する仮想移動体のリアルなシミュレーション処理を行って、走行シミュレーション処理の結果データを求めるものであってもよいし、このようなリアルなシミュレーション処理を行わずに、走行特性データ、コースデータ、移動制御データとテーブルデータに基づいて、走行シミュレーション処理の結果データを瞬時に求めるような処理であってもよい。また、走行シミュレーション処理を、ゲーム処理の一部として行ってもよく、この場合には、図5に示すように、車両玩具に対応する仮想移動体が移動する様子を示す演出画面を表示すればよい。
【0184】
4.7.実走行結果データ
本実施形態では、図20(A)に示すように、走行制御データをゲーム装置から車両玩具に送信するのみならず、その走行制御データに基づき車両玩具がコースを走行することで得られた実走行結果データを、車両玩具から受信するようにしてもよい。
【0185】
図20(B)に実走行結果データの一例を示す。図20(B)では、コースの各コース区間での車両玩具の実走行ラップタイムデータを、実走行結果データとして受信している。この受信された実走行結果データは、ゲーム装置の表示部に表示される。
【0186】
この場合に図20(B)では、実走行結果データがコースの各コース区間に対応づけて表示されている。例えば、コース区間CS1に対して、CS1での実走行結果データである実走行ラップタイム=0.89が対応づけられて表示され、コース区間CS2に対して、CS2での実走行ラップタイム=0.62が対応づけられて表示される。
【0187】
また、図21(A)では、ゲーム装置側でのシミュレーション処理により走行シミュレーション結果データが得られている。そして車両玩具から受信した実走行結果データと、この走行シミュレーション結果データの両方が表示される。また実走行結果データと走行シミュレーション結果データの比較処理が行われている。
【0188】
具体的には図21(B)に示すように、シミュレーション処理により得られた走行シミュレーション結果データに対して、受信した実走行結果データが関連づけて表示される。例えばコース区間CS1に対して、CS1での走行シミュレーション結果データであるシミュレーションラップタイム=0.94と、CS1での実走行ラップタイム0.89が対応づけられて表示され、コース区間CS2に対して、CS2でのシミュレーションラップタイム=0.64と、CS2での実走行ラップタイム0.62が対応づけられて表示される。
【0189】
さらに、本実施形態では、実走行結果データには、車両玩具がコース上に走行した際におけるセンサ50の検知結果である走行検知データが含まれる。図22(A)、図22(B)に走行検知データの一例を示す。
【0190】
走行検知データは、例えば、各コース区間CS1〜CSNに対応づけて各マーカMC1〜MCNおよびマーカ検知フラグが表示される。各コース区間CS1〜CSNの始発点側に有するマーカMC1〜MCNがセンサ50で検知されると、図22(A)に示すように、マーカ検知フラグが立って1となる。図1(A)に示す本実施形態のコース60では、第3のコース区間CS3や第5のコース区間CS5のようなスロープコース区間において、車両玩具の速度が大きい場合では、図13(B)に示すように、ジャンプしてしまうことがある。このように車両玩具がジャンプした場合では、当該コース区間CS3、CS5の終了地点に設けられるマーカMC4、MC6を飛び越すことによって、センサ50が読み飛ばしてしまうことがある。このようにマーカを読み飛ばすと、図22(A)に示すように、その読み飛ばしマーカMC4、MC6に対応するマーカ検知フラグが0となる。
【0191】
また、第2のコース区間CS2のようにカーブが急なコース区間では、車両玩具の速度が大きい場合では、図12(B)に示すように、コースアウトしてしまうことがある。このように、コースアウトした場合では、当該コース区間CS2の終了地点に設けられるマーカMC3が検知されないので、図22(B)に示すように、マーカ検知フラグが0となり、第3のコース区間CS3以降のマーカMC4〜MCNは、コースアウトによって、読み取り不能となるので、フラグが0となる。
【0192】
以上のような実走行結果データは、車両玩具がそのセンサによりコース上のマーカ等を検知することで計測することができる。例えば、コース区間CSiのマーカMCiをセンサが検知すると、カウンタのカウント値のカウント動作を開始し、次のコース区間CSi+1のマーカMCi+1を検知すると、カウント動作を停止する。こうして得られたカウント値によって、そのコース区間CSiでの実走行ラップタイムデータを得ることができる。そして、各コース区間において計測された実走行ラップタイムデータを、各コース区間に対応づけた実走行結果データとしてゲーム装置に送信することで、ゲーム装置は、図20(B)に示すような表示を行うことができる。また、走行シミュレーション結果データについても、仮想コース上に設定された仮想マーカを用いて、走行シミュレーション時に上記と同様のカウント処理を行うことで求めることができ、これにより、図21(B)に示すような表示が可能になる。
【0193】
また、ゲーム装置は、実走行結果データに含まれる走行検知データ(検知結果)を元にして、マーカの読み飛ばしのあったマーカの手前側のコース区間の速度を好適な速度に設定して、車両玩具がジャンプやコースアウトをしないように、当該コース区間におけるより好適な速度設定をした走行制御データを車両玩具(移動玩具)に送信することができるようになる。
【0194】
なお、ゲーム装置での実走行結果データや走行シミュレーション結果データの表示形態は、図20(B)、図21(B)、図22(B)に限定されない。例えば、図7に示すような画面を表示して、各コース区間CS1〜CS16に対応づけて、実走行結果データや走行シミュレーション結果データを表示してもよい。
【0195】
また、実走行結果データや走行シミュレーション結果データとしては、ラップタイムデータに限定されず、種々のデータを想定することができ、例えば、移動玩具の加速または減速の度合いを表す実加減速データであってもよい。
【0196】
図23(A)、図23(B)に加減速データの例を示す。図23(A)は、コース区間CS1に対応づけられる加減速データであり、図23(B)は、コース区間CS2に対応づけられる加減速データである。図23(A)において、横軸はコース区間内距離であり、縦軸は車両玩具(仮想移動体)の速度になっている。横軸のコース区間内距離は、コース区間CS1に対応するマーカMC1から車両玩具(仮想移動体)までの距離を表す。図23(B)も同様である。
【0197】
図23(A)は、例えば直線のコース区間CS1において、停止状態の車両玩具が加速して、加速後に一定の速度で走行している状態を示している。図23(B)は、例えば、直線のコース区間CS1で加速した車両玩具がカーブのコース区間CS2において減速している状態を示している。
【0198】
図23(A)、図23(B)に示す加減速データは、例えば、車両玩具に加速センサを設けることで測定できる。或いは、タイヤの部分にロータリエンコーダを設けて、このロータリエンコーダによりタイヤの回転速度を検出することで、加速度データを測定してもよい。このようなロータリエンコーダは、例えば、反射型のフォトセンサをそのセンサ面がタイヤのホイールに対向するように設置し、スリットが設けられたタイヤのホイールのうち、スリット以外の部分で反射した光を検知することで実現できる。
【0199】
図23(A)、図23(B)に示すような加減速データを車両玩具側で測定し、ゲーム装置がこの加減速データを受信して、表示部に表示することで、プレーヤは、ラップタイムだけでは知ることができない情報を得ることができる。すなわち、図23(A)に示すような加速特性のデータを表示することで、プレーヤは、モータの馬力やトルクが最適な設定か否かを判断できる。また、図23(B)に示すような減速特性のデータを表示することで、プレーヤは、タイヤのグリップ力や、逆極性電圧印加によるモータの制動動作が最適な設定か否かを判断できる。
【0200】
以上の本実施形態の手法によれば、走行制御データを車両玩具に送信し、その走行制御データに対応する実走行結果データを車両玩具から受信することで、プレーヤは、自身が設定した走行制御データが最適な設定か否かを客観的に判断することができる。また、実走行結果データを各コース区間に対応づけて表示することで、各コース区間に設定した走行制御データの妥当性についても客観的に判断できる。
【0201】
従って、設定した走行制御データを送信し、それに対応する実走行結果データを受信して、設定の妥当性を判断するという作業を繰り返すことで、プレーヤは、最適なチューニング設定を容易に得ることができる。この結果、これまでのように直感に頼って行っていたチューニング設定を実走行結果データに基づいて客観的に評価して行うことが可能になり、これまでにないチューニングの楽しみをプレーヤに与えることが可能になる。
【0202】
また、車両玩具のパーツを変更した場合に、そのパーツ変更の効果についても、プレーヤは、実走行結果データに基づいて客観的に評価できるようになり、プレーヤの改造の楽しみをさらに増すことができる。
【0203】
また、例えばシミュレーション処理は、理想的な走行特性データおよびコースデータに基づいて行われるものであるため、それによる走行シミュレーション結果データは、現実とは食い違っている場合が多い。
【0204】
この点、図21(B)のように、走行シミュレーション結果データと実走行結果データとを対応づけて表示すれば、プレーヤは、シミュレーションの走行と現実の走行の違いを、客観的に認識できる。従って、プレーヤは、この違いを考慮しながら、ゲーム装置においてシミュレーションによる仮想的なチューニングを行うことが可能になり、シミュレーションによるチューニングの精度を向上できる。
【0205】
なお、走行シミュレーション結果データと実走行結果データの比較処理を行い、その比較結果に基づいて補正データを求め、その補正データに基づいて、走行シミュレーション結果データを実走行結果データに近づけるための補正処理を行ってもよい。このようにすることで、シミュレーションによるチューニングの精度をさらに向上できる。
【0206】
4.8.コースデータの自動取得
以上のように、本実施形態では、ゲーム装置と車両玩具との間でデータの送受信を行っているが、この送受信のシステムを有効活用して、車両玩具が走行するコースのコースデータを自動取得するようにしてもよい。
【0207】
具体的には、図20(A)において、走行制御データとして、コースデータ取得用の走行制御データを車両玩具に送信する。次に、送信されたコースデータ取得用の走行制御データに基づき、車両玩具がコースを走行することで得られたコースデータ取得用の実走行結果データを車両玩具から受信する。そして、受信したコースデータ取得用の実走行結果データにより取得されたコースデータに基づいて、シミュレーション処理を行うようにする。すなわち、図19でプレーヤが選択するコースデータを、実際のコースにおいて車両玩具を走行させることで自動的に取得する。
【0208】
さらに具体的には、例えば図24(A)に示すような確認画面を表示して、プレーヤがコースデータを自動取得するか否かを選択させる。そして、図24(B)に示すように、車両玩具をゲーム装置に接続することを指示する画面を表示した後、コースデータ取得用の走行制御データを車両玩具に送信する。そして、このコースデータ取得用の走行制御データに基づいて、車両玩具がコースデータを走行することで、車両玩具側においてコースデータを取得する。そして、取得されたコースデータを車両玩具から受信すると、ゲーム装置において、例えば図24(C)に示すような画面を表示する。
【0209】
この場合において、ゲーム装置から車両玩具に送信するコースデータ取得用の走行制御データは、コースデータの取得に最適な設定のデータになっている。すなわち、コースデータ取得用の走行制御データは、図7のようにラップタイムを向上させるためのデータである必要はない。このため、例えば、全てのコース区間において、車両玩具の速度が定速の低い速度になるように設定された走行制御データをコースデータ取得用の走行制御データとして、ゲーム装置から車両玩具に送信する。例えば、図7において、全てのコース区間CS1〜CS16において走行制御データDS=10となるようなデータを送信する。このようにすることで、コースデータの安定した測定が可能になる。
【0210】
なお、コースデータは、例えば、定速で走行する車両玩具の各コース区間でのラップタイムを測定したり、車両玩具に設けられた例えば3軸の加速センサで車両玩具の各軸での加速度を測定したり、タイヤに設けられたロータリエンコーダにより車両玩具の速度や移動距離を測定することなどにより取得できる。
【0211】
或いは、車両玩具にバーコードセンサを設けると共に、コースブロックのマーカ等にバーコード情報を設定する。そして、このバーコード情報の中に各コースブロックの識別情報やコース形状情報を含ませて、この識別情報やコース形状情報を車両玩具のバーコードセンサで読み取ることで、コースデータを取得してもよい。例えば、バーコード情報の中にコースブロックの識別情報を含ませれば、ゲーム装置において、データベースに登録されているコースブロックデータの中から識別情報に対応するコースブロックデータを読み出すことで、コースデータを作成できる。
【0212】
以上の本実施形態の手法によれば、プレーヤは、自身が所望するコース上で車両玩具を実際に走行させるだけで、そのコースデータが自動取得されて、シミュレーション処理に活用できるようになる。また、任意の組み合わせのコースブロックの連結により構成されたコースのコースデータを、1回の車両玩具の走行だけで取得できる。これにより、プレーヤの利便性を大幅に向上できる。
【0213】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例やその組み合わせは、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【0214】
例えば、明細書または図面中の記載において広義や同義な用語(移動玩具、原動機、動作制御データ等)として引用された用語(車両玩具、モータ、走行制御データ等)は、明細書または図面中の他の記載においても広義や同義な用語に置き換えることができる。
【0215】
また、移動玩具の制御手法、マーカの検知手法、走行制御データの設定手法、移動玩具の減速、加速制御手法、原動機の駆動手法、シミュレーション処理手法等は、本実施形態で説明したものに限定されず、これらと均等な手法も本発明の範囲に含むことができる。また本発明が適用される移動玩具、ゲーム装置は、本発明で説明したような構成の移動玩具やゲーム装置に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0216】
【図1】図1(A)、図1(B)は車両玩具が走行するコースの説明図。
【図2】本実施形態が適用される車両玩具の外観斜視図。
【図3】本実施形態が適用される車両玩具の内部構成を示す平面図。
【図4】本実施形態が適用される車両玩具の機能ブロック図。
【図5】本実施形態が適用されるゲーム装置の外観図。
【図6】本実施形態が適用されるゲーム装置の機能ブロック図。
【図7】走行制御データの設定手法を説明するための図。
【図8】走行制御データの設定手法を説明するための図。
【図9】走行制御データの設定手法を説明するための図。
【図10】図10(A)、図10(B)は、本実施形態の走行速度制御の手法の説明図。
【図11】図11(A)〜図11(C)は、車両玩具のジャンプ検出の手法を説明する図。
【図12】車両玩具のカーブ区間を走行時のコースアウト状態を説明する図。
【図13】車両玩具のスロープ区間を走行時のジャンプ状態を説明する図。
【図14】図14(A)〜図14(C)は、車両玩具のジャンプ検出の手法を説明する図。
【図15】図15(A)、図15(B)は、PWM駆動を用いた減速制御、加速制御の手法の説明図。
【図16】駆動部の具体的な構成例を示す図。
【図17】車両玩具側の詳細な処理のフローチャート。
【図18】図18(A)〜図18(C)は、走行制御データの設定手法を説明する図。
【図19】コースデータの設定手法を説明する図。
【図20】図20(A)、図20(B)は、実走行結果データを受信して表示する手法の説明図。
【図21】図21(A)、図21(B)は、実走行結果データと走行シミュレーション結果データを比較して表示する手法の説明図。
【図22】図22(A)、図22(B)は、走行検知データを説明する図。
【図23】図23(A)〜図23(C)は、加減速データを説明する図。
【図24】図24(A)、図24(B)は、コースデータの自動取得手法の説明図。
【符号の説明】
【0217】
CSi、CSi+1 コース区間、DSi、DSi+1 走行制御データ、
MCi、MCi+1 マーカ、DTi、DTi+1 デューティ、
MT 車両玩具、DF 差分情報、CP1〜CP16 コースブロック、
10 車両玩具、12 ボディ、30 モータ、50 センサ、52 発光素子、
60 コース、61、62 第1、第2の周回コース、
100 処理部、102 シミュレーション処理部、104 送信処理部、
106 受信処理部、108 認証処理部、110 比較処理部、112 表示制御部、
114 成績評価部、116 アップロード処理部、130 設定変更部、
160 操作部、170 記憶部、172 走行特性データ記憶部、
173 コースデータ記憶部、174 走行制御データ記憶部、178 描画バッファ、
190 タッチパネル型表示部、191 表示部、192 音出力部、
194 携帯型情報記憶装置、196 通信部、
300 回路基板、310 制御部、330 記憶部、332 走行制御データ記憶部、334 走行検知データ記憶部、340 発光素子駆動部、350 駆動部、
360 センサコントローラ、370 外部インターフェース部、400 ゲーム装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コース上を移動する移動玩具であって、
その接地面側に少なくとも1つの接地部を有するボディと、
前記ボディに搭載され、所与の動力が供給されて前記移動玩具を移動させる原動機と、
前記ボディの前記接地面側に設けられ、前記接地面側に対向する検知対象を検知するセンサと、
前記センサからの検知結果に基づいて、前記接地面側が前記コースに所定時間以上対向していないと判断された場合に、前記原動機の駆動をオンからオフに切り替える制御部と、
を含むことを特徴とする移動玩具。
【請求項2】
請求項1において、
前記センサは、
前記検知対象の輝度を検知し、
前記制御部は、
前記センサからの前記検知結果に基づいて、前記センサの検知対象の輝度が前記所定時間以上変化していないと判断した場合に、前記ボディの前記接地面側が前記コースに前記所定時間以上対向していないと判定して、前記原動機の駆動をオンからオフに切り替えることを特徴とする移動玩具。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記制御部は、
前記センサからの前記検知結果に基づいて、前記ボディの前記接地面側が前記コースに前記所定時間以上対向していないと判定した場合に、前記原動機への前記動力の供給をオンからオフに切り替えることによって、前記原動機の駆動をオンからオフに切り替えることを特徴とする移動玩具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記コース上には、複数のマーカが設けられ、
前記制御部は、
前記マーカが前記センサによって前記所定時間以上検知されない場合に、前記原動機の駆動をオンからオフに切り替えることを特徴とする移動玩具。
【請求項5】
請求項4において
前記コースの輝度が所与の基準輝度未満である場合に、前記マーカの輝度は、前記基準輝度以上になるように設定され、
前記センサは、
前記センサの検知対象の輝度を検知し、
前記制御部は、
前記センサからの検知結果に基づいて、前記センサの検知対象の輝度が前記基準輝度未満から前記基準輝度以上になったと判断した場合に、前記マーカが検出されたと判定すると共に、
前記マーカが前記センサによって前記所定時間以上検知されない場合に、前記原動機の駆動をオンからオフに切り替えることを特徴とする移動玩具。
【請求項6】
請求項4において、
前記コースの輝度が所与の基準輝度以上である場合に、前記マーカの輝度は、前記基準輝度未満になるように設定され、
前記センサは、
前記センサの検知対象の輝度を検知し、
前記制御部は、
前記センサからの検知結果に基づいて、前記センサの検知対象の輝度が前記基準輝度以上から前記基準輝度未満になったと判断した場合に、前記マーカが検出されたと判定すると共に、
前記マーカが前記センサによって前記所定時間以上検知されない場合に、前記原動機の駆動をオンからオフに切り替えることを特徴とする移動玩具。
【請求項7】
請求項4乃至6の何れかにおいて、
前記複数のマーカで区切られた前記コースの第1〜第Nのコース区間に対応づけられた第1〜第Nの走行制御データを記憶する記憶部をさらに含み、
前記制御部は、
前記第1〜第Nの走行制御データに基づいて、移動玩具の走行を制御することを特徴とする移動玩具。
【請求項8】
請求項7において、
前記制御部は、
前記第1〜第Nの走行制御データに基づいて、前記所定時間を可変に設定することを特徴とする移動玩具。
【請求項9】
請求項7または請求項8において、
前記制御部は、
前記第1〜第Nのコース区間の各コース区間の長さに基づいて、前記各コース区間毎に設定される前記所定時間を可変に設定することを特徴とする移動玩具。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記ボディの前記接地面側には、前記接地部として少なくとも第1、第2の接地部が設けられ、
前記センサは、前記第1、第2の接地部の間に設けられることを特徴とする移動玩具。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれかにおいて、
前記記憶部には、
前記センサによる検知結果を、前記第1〜第Nのコース区間に対応づけられた第1〜第Nの走行検知データとして記憶する走行検知データ記憶部をさらに含むことを特徴とする移動玩具。
【請求項12】
請求項7乃至11のいずれかにおいて、
前記第1〜第Nの走行制御データおよび前記第1〜第Nの走行検知データを外部のゲーム装置と送受信するための外部インターフェース部をさらに含み、
前記制御部は、
前記外部インターフェース部を介して前記ゲーム装置から受信した前記第1〜第Nの走行制御データに基づいて、移動玩具の制御を行うことを特徴とする移動玩具。
【請求項13】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記コースの輝度が所与の基準輝度以上であり、
前記制御部は、
前記センサからの検知結果に基づいて、前記センサの検知対象の輝度が前記基準輝度以上から前記基準輝度未満になったと判断した場合に、前記原動機の駆動をオンからオフに切り替えることを特徴とする移動玩具。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかにおいて、
前記センサは、
前記検知対象に向けて光を投射する投光素子と
前記投光素子から投光した前記光の前記検知対象での反射光を受光する受光素子と、
を含む反射型フォトセンサであることを特徴とする移動玩具。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載の移動玩具の走行を制御するためのデータである走行制御データを記憶する走行制御データ記憶部と、
前記走行制御データを、前記移動玩具に対して送信する処理を行う送信処理部と、
前記コースに対応する仮想コースを表示部に表示する制御を行う表示制御部として、
コンピュータを機能させ、
前記表示制御部は、
前記コースの各コース区間に対応する前記仮想コースの各仮想コース区間に対して、前記走行制御データをプレーヤが入力設定するための走行データ設定画面を表示する制御を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項16】
請求項15において、
前記送信処理部は、
前記走行制御データに対応した前記所定時間の設定情報を送信することを特徴とするプログラム。
【請求項17】
請求項15または請求項16において、
前記移動玩具が走行した際の前記センサによる検知結果である走行検知データを記憶する走行検知データ記憶部と、
前記走行検知データを、前記移動玩具から受信する処理を行う受信処理部として、
前記コンピュータをさらに機能させ、
前記表示制御部は、
前記コースの各コース区間に対応する前記仮想コースの各仮想コース区間に対して、前記走行検知データを元に、前記走行制御データをプレーヤが再度入力設定するための走行データ設定画面を表示する制御を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項18】
コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、請求項15乃至17のいずれかに記載のプログラムを記憶したことを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項19】
請求項1乃至14のいずれかに記載の移動玩具の走行を制御するためのデータである走行制御データを記憶する走行制御データ記憶部と、
前記走行制御データを前記移動玩具に対して送信する処理を行う送信処理部と、
前記コースに対応する仮想コースを表示する制御を行う表示制御部と、を含み、
前記表示制御部は、
前記コースの各コース区間に対応する前記仮想コースの各仮想コース区間に対して、前記走行制御データをプレーヤが入力設定するための走行データ設定画面を表示する制御を行うことを特徴とするゲーム装置。
【請求項20】
請求項19において、
前記送信処理部は、
前記走行制御データに対応した前記所定時間の設定情報を送信することを特徴とするゲーム装置。
【請求項21】
請求項19または請求項20において、
前記移動玩具が走行した際の前記センサによる検知結果である走行検知データを記憶する走行検知データ記憶部と、
前記走行検知データを前記移動玩具から受信する処理を行う受信処理部と、をさらに含み、
前記表示制御部は、
前記コースの各コース区間に対応する前記仮想コースの各仮想コース区間に対して、前記走行検知データを元に、前記走行制御データをプレーヤが再度入力設定するための走行データ設定画面を表示する制御を行うことを特徴とするゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−247575(P2009−247575A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98796(P2008−98796)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】