説明

移動通信装置

【課題】複数の方式の通信を行なう装置で、消費される電力量を削減する。
【解決手段】制御手段と主通信手段とを含む主処理手段と、従通信手段を含む従処理手段とを備え、制御手段は、装置が第1種の無線通信のサービス圏外にある場合、主通信手段に第1種の無線通信のセルサーチをさせ、装置が第1種の無線通信のサービス圏内にある場合、主通信手段に第1種の無線通信の間欠受信をさせ、装置が第2種の無線通信のサービス圏外にある場合、従処理手段の動作を停止させて主通信手段に第2種の無線通信のセルサーチをさせ、装置が第2種の無線通信のサービス圏内にある場合、従処理手段を動作させて従通信手段に第2種の無線通信の間欠受信をさせ、従通信手段によって第2種の無線通信の着信信号が受信された場合、及び、入力手段から所定の入力がされた場合、従通信手段に第2種の無線通信をさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、移動通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音声通信を行う無線通信部とデータ通信を行う無線通信部とを備え、これらの無線通信部を同時に動作させて、両無線通信を同時に行う移動通信装置が知られている。無線データ通信として、移動通信網を介した通信、無線LANを介した通信等がある。移動通信網を介した通信であるCDMA(Code Division Multiple Access)2000には、音声通信用の1X方式と、高速のデータ通信用の1xEV−DO(Evolution-Data Only)方式があり、これらの方式による通信を同時に行うことが考えられる。
【0003】
1X方式と1xEV−DO方式とは、それぞれ独立した方式であり、それぞれの無線周波数やプロトコルは異なる。また、1X方式のみの基地局も両方式を備える基地局もある。基地局は、1X方式と1xEV−DO方式とのそれぞれ独立した制御信号を送出しており、両者は非同期である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−263364号公報(第2頁、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
装置が音声通信方式及び/又はデータ通信方式の通信を行っていない場合、通信を行っていない方式の通信に関し、装置がその方式のサービス圏内にあると、その方式の通信の間欠受信動作が、サービス圏外にあると、その方式の通信のセルサーチが必要である。ここで、セルサーチとは、その方式の基地局を検出し、待ち受け基地局として選択することである。待ち受け基地局の選択により、移動通信装置は、そのサービスの圏内にあると判断されることになる。
【0006】
これらの処理は、装置が消費する電力量の増大につながる問題点があった。特に、セルサーチは間欠受信よりも消費する電力量が大きく、削減が強く求められる。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、複数の方式の通信を行なう、消費される電力量が削減された移動通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の実施形態に係る移動通信装置は、第1種の基地局を介した第1種の無線通信及び第2種の基地局を介した第2種の無線通信の一方又は双方を行う移動通信装置であって、制御手段と主通信手段とを含む主処理手段と、従通信手段を含む従処理手段とを備え、前記制御手段は、装置が前記第1種の無線通信のサービス圏外にある場合、前記主通信手段に前記第1種の無線通信のセルサーチをさせ、装置が前記第1種の無線通信のサービス圏内にある場合、前記主通信手段に前記第1種の無線通信の間欠受信をさせ、装置が前記第2種の無線通信のサービス圏外にある場合、前記従処理手段の動作を停止させて前記主通信手段に前記第2種の無線通信のセルサーチをさせ、装置が前記第2種の無線通信のサービス圏内にある場合、前記従処理手段を動作させて前記従通信手段に前記第2種の無線通信の間欠受信をさせ、前記制御手段は、装置が前記第2種の無線通信のサービス圏内にあり、前記従通信手段によって前記第2種の無線通信の着信信号が受信された場合、及び、入力手段から所定の入力がされた場合、前記従通信手段に前記第2種の無線通信をさせることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る主処理部の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る従処理部の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る主制御部の通信制御動作のフローチャート(その1、双方の方式共通信が行われていない場合。)。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る主制御部の通信制御動作のフローチャート(その2、一方の方式の通信が行われる場合。)。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る主制御部の通信制御動作のフローチャート(その3、双方の方式の通信が行われる場合。)。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る主制御部の通信制御動作のフローチャート(その4、異なる処理部への通信の引継ぎが行われる場合。)。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る主制御部の通信制御動作のフローチャート(その1、双方の方式共通信が行われていない場合。)。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る主制御部の通信制御動作のフローチャート(その2、一方の方式の通信が行われる場合。)。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る主制御部の通信制御動作のフローチャート(その3、双方の方式の通信が行われる場合。)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の移動通信装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る移動通信装置の構成を示すブロック図である。この移動通信装置は、主接続部10−1を含む主処理部10と、従接続部30−1を含む従処理部30とからなる。そして、主接続部10−1及び従接続部30−1は接続されている。この接続は、例えば、USB(Universal Serial Bus)方式や、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)方式によるデータの送受信と、例えば、GPIO(General Purpose Input/Output)方式によって情報の通知とによる。主処理部10は、主たる処理部(マスター)であり、従処理部30を制御する。従処理部30は、従たる処理部(スレーブ)であり、主処理部10の制御に基づき動作する。
【0012】
図2は、主処理部10の構成を示すブロック図である。この主処理部10は、従接続部30−1と接続される主接続部10−1と、主処理部10全体の制御を行い、主接続部10−1を介して従処理部30を制御する主制御部11と、通信部12と、1X方式基地局(図示せず)及び1xEV−DO方式基地局(図示せず)との間で電波の送受を行うアンテナ12aと、送受信部13と、通話部14と、受話音声発生用のスピーカ14aと、送話音声入力用のマイクロフォン14bと、表示部15と、入力部16と、間欠受信部17と、セルサーチ部18と、アプリケーション部21と、例えば、USB方式によってパソコンとデータの送受信を行うパソコン接続部22とを備える。
【0013】
更に、この主処理部10は、主CPU10−2と、RAM及びROMからなる記憶部10−3とを備える。そして、主制御部11と、間欠受信部17と、セルサーチ部18と、アプリケーション部21とは、記憶部10−3に記憶され、主CPU10−2を利用するプログラムによって構成される。なお、装置は充電式電池(図示せず)を備え、その電池は、主制御部11による制御がされ、その制御に従って装置の各部へ電力を供給し、また、充電される。
【0014】
図3は、従処理部30の構成を示すブロック図である。この従処理部30は、従処理部30全体の制御を行い、主接続部10−1と接続される従接続部30−1と、従接続部30−1を介して主処理部10による制御を受け、従処理部30全体の制御を行う従制御部31と、通信部32と、1X方式基地局及び1xEV−DO方式基地局との間で電波の送受を行うアンテナ32aと、送受信部33と、間欠受信部34と、セルサーチ部35とを備える。
【0015】
更に、この従処理部30は、従CPU30−2と、RAM及びROMからなる記憶部30−3とを備え、従制御部31と、間欠受信部34と、セルサーチ部35とは、記憶部30−3に記憶され、従CPU30−2を利用するプログラムによって構成される。
【0016】
このような構成によって、この移動通信装置は、1X方式の通信と、1xEV−DO方式の通信とを行い、双方の通信を同時に行うことも可能である。加えて、これらの通信の制御処理の独立性を高めることによって、制御処理の複雑化、例えば、プログラム量の増加を抑制することができる。ただし、この装置は、双方の通信に対する1枚のSIMを備え、1つの電話番号を共用する。電話番号を1つ持つことは、例えば、1つの通信部、1つのアンテナ、1つの送受信部を備え、一時には双方の通信のいずれか一方を行う移動通信装置と共通であって、この移動通信装置は通信相手方の装置に何ら特別な処理を要求しない。
【0017】
上記のように構成された、本発明の第1の実施形態に係る移動通信装置の各部の動作を図2及び図3を参照して説明する。
【0018】
通信部12は、アンテナ12aによって受信された高周波信号を送受信部13へ出力し、また、送受信部13から出力された高周波信号をアンテナ12aより送信する。ここで、高周波信号は、1X方式の信号及び1xEV−DO方式の信号である。
【0019】
送受信部13は、1X方式の信号及び1xEV−DO方式の信号の送受信を行う。即ち、第1に、通信部12からの1X方式の高周波信号を増幅、周波数変換及び復調し、それによって得られたデジタル通話音声信号を通話部14に、1X方式の制御信号を主制御部11に送る。更には、送受信部13は、通話部14から出力されたデジタル通話音声信号、及び主制御部11から出力された1X方式の制御信号を変調、周波数変換及び増幅し、高周波信号を得て、それを通信部12に送って送信させる。
【0020】
第2に、送受信部13は、通信部12からの1xEV−DO方式の高周波信号を増幅、周波数変換及び復調し、それによって得られたデジタルデータ信号をアプリケーション部21に、1xEV−DO方式の制御信号を主制御部11に送る。更には、送受信部13は、アプリケーション部21から出力されたデジタルデータ信号、及び主制御部11から出力された1xEV−DO方式の制御信号を変調、周波数変換及び増幅し、高周波信号を得て、それを通信部12に送って送信させる。
【0021】
ここで、送受信部13は、通話部14に係るデジタル通話音声信号を1X方式基地局との間で送受信することと、アプリケーション部21に係るデジタルデータ信号を1xEV−DO方式基地局との間で送受信することとのいずれか一方を行う。これらの送受信の両方を同時に行うことはできない。
【0022】
通話部14は、送受信部13から出力された、又は、主制御部11の制御に従って主接続部10−1を介して送受信部33から出力されたデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、それを増幅してスピーカ14aに送る。また、マイクロフォン14bから出力されたアナログ音声信号を増幅し、それをデジタル音声信号に変換して送受信部13に、又は、主制御部11の制御に従って主接続部10−1を介して送受信部33に送信する。
【0023】
表示部15は、使用者に操作を促す表示や、使用者が操作した内容の表示や、装置の動作状態の表示等に用いられる有機ELディスプレー(Organic Electro-Luminescence Display)又はバックライト付きのLCD(Liquid Crystal Display)であって、主制御部11及び装置の各部に制御されることで、文字、数字、更に、アイコンを含む画像データを表示する。
【0024】
入力部16は、通信相手の電話番号等を指定するための数字キーと複数の機能キーを含むキーからなる。そして、入力部16のキーが操作されると、そのキーの識別子が主制御部11に通知され、主制御部11によって、表示部15に文字として表示され、又は、主処理部10の、更に、主接続部10−1を介した従処理部30の制御が行われる。
【0025】
なお、入力部16に加えて、装置は、タッチパッドを備え、入力部16のキーの操作の他、指や、スタイラスペンのタッチパッドへの接触によって入力操作としても良い。更に、そのタッチパッドは、表示部15の表示画面の略全面を覆って設置され、タッチパネルを構成しても良い。その場合、入力部16は、電源の投入と切断を指示するキー等の少数のキーを備えたものでも良い。
【0026】
間欠受信部17は、主制御部11によって起動されると、所定の間欠受信間隔毎に間欠起床して、1X方式及び/又は1xEV−DO方式であって、主制御部11によって指定された、サービス圏内にある方式の間欠受信動作を開始する。そして、間欠受信部17は、送受信部13を制御して、基地局から送信された電波を受信させ、着信信号を含む制御信号が含まれている場合、その信号が受信されたことを主制御部11に通知させる。
【0027】
また、間欠受信部17は、セル再選択を行う。即ち、間欠受信の際、待ち受け基地局から送信された電波の品質と、その基地局に隣接して設置された基地局から送信された電波の品質とを比較し、後者が前者を上回る場合、最も品質が高い電波を送信した基地局を待ち受け基地局として選択する。更に、間欠受信部17は、いずれの基地局から送信された電波の品質も所定の品質閾値を下回った場合、装置は圏外にあると判断して、主制御部11に通知する。このように、間欠受信部17は、サービス圏内にある方式について、その方式の通信中であるか否かに拘らず間欠受信動作を行う。
【0028】
セルサーチ部18は、主制御部11によって起動されると、所定の間欠受信間隔より長い所定のセルサーチ間隔毎に間欠起床して、1X方式及び1xEV−DO方式であって、主制御部11によって指定された方式の基地局を検出し、待ち受け基地局として選択する。ここで、装置は、指定された方式のサービス圏外に位置していることが想定される。そして、所定の品質閾値を上回る電波を送信する基地局が検出された場合、言い替えると、装置が圏内にあると判断された場合、その基地局を待ち受け基地局として選択し、装置が圏内にある旨を主制御部11に通知して動作を終了する。また、所定時間に渡って動作したにも拘らず所定の品質閾値を上回る電波を送信する基地局が検出されない場合、その旨を主制御部11に通知して間欠動作を終了する。
【0029】
アプリケーション部21は、1xEV−DO方式によるデータ通信を伴う各種のアプリケーションからなる。例えば、電子メールデータの送受信を伴う電子メール送受信部(図示せず)、Webコンテンツへのアクセスを伴うブラウザ部(図示せず)、静止画、動画、また、音楽データ等のコンテンツのダウンロードを伴うコンテンツ再生部(図示せず)、ファイルの転送を行うファイル転送部(図示せず)等である。
【0030】
また、アプリケーション部21は、パソコン接続部22を介してパソコン(図示せず)との間でデータの送受信を行うパソコンデータ転送部(図示せず)を含む。これらのアプリケーション部21の各部は、記憶部10−3に記憶された情報を送受信部13を介して送信し、また、送受信部13を介して受信された情報を記憶部10−3に記憶させる。又は、送受信部13に代えて送受信部33を介した情報の送受信を行なう。また、パソコンデータ転送部は、1xEV−DO方式によるデータ通信を伴うアプリケーションと同時に動作することにより、パソコンが1xEV−DO方式によるデータ通信を行っているように動作することもある。
【0031】
従制御部31は、主接続部10−1及び従接続部30−1を介して主制御部11による制御を受け、受けた制御に基づいて従処理部30全体の制御を行う。また、主処理部10の各部と、従処理部30の各部との通信をさせる。この結果、従制御部31は、主制御部11による制御と、その制御に基づいた従処理部30の各部の動作との介在をする。そこで、以後、簡明な説明とするため、従制御部31の介在を省略し、主制御部11は、主処理部10の各部のみならず従処理部30の各部を制御し、更に、主制御部11は、主処理部10の各部及び従処理部30の各部と、直接通信するように説明する。しかし、従制御部31は主制御部11に依存せずに従処理部30の各部を制御することを排除している訳ではない。
【0032】
通信部32は、アンテナ32a及び送受信部33との間で信号の送受を行うことが通信部12と相違するが、動作は通信部12の動作と同じである。送受信部33は、通信部32及び従制御部31の間で信号の送受を行うことが送受信部13と相違するが、動作は送受信部13の動作と同じである。間欠受信部34は、間欠受信部17と同じ動作をする。セルサーチ部35は、セルサーチ部18と同じ動作をする。
【0033】
以下、本発明の第1の実施形態に係わる移動通信装置の通信をしていない場合に消費される電力量を削減する処理を説明する。以後、制御信号の通信の有無は問わない。また、1X方式及び1xEV−DO方式のいずれか一方を第1の方式、他方を第2の方式と称する。
【0034】
まず、移動通信装置が取り得る2つの方式の通信の状態を列挙する。それぞれの方式の通信は、(1)圏外にある、(2)圏内にあって通信中でない(以後、圏内にあって通信中でないことを圏内にあると称することがある。)、(3)通信中である、の3通りの状態のいずれかにある。そこで、第1の方式の3通りと第2の方式の3通りを掛け合わせて、移動通信装置は、合計9通りの状態のいずれかにある。
【0035】
第1の実施形態に係わる移動通信装置の特徴は、この9通りの中で、第1の方式で通信中であり、かつ、第2の方式で通信中である場合に限って従処理部30を動作させて、いずれか一方の方式の通信をさせることである。その結果、従処理部30が動作しない時間が長く、大きな消費電力量削減の効果が得られる。
【0036】
図4に示すフローチャートを参照して、第1の実施形態に係わる主制御部11による第1の方式で通信中でなく、かつ、第2の方式で通信中でない場合の通信に係る制御動作を説明する。主制御部11は、装置の電源投入によってこの場合の通信に係る制御動作を開始し(ステップS101)、従処理部30への電源供給をしないまま、装置は、第1の方式の通信の圏内にあるか圏外にあるか、及び、第1の方式の通信の圏内にあるか圏外にあるかをセルサーチ部18に調べさせる(ステップS102)。
【0037】
主制御部11は、装置がそれらの2つの方式の通信の圏内にあるか圏外にあるかの結果に従って動作を分岐し(ステップS103)、双方の方式の通信の圏内にあると、間欠受信部17にそれらの2つの方式の通信の間欠受信をさせ、セルサーチ部18が動作していれば、その動作を停止させる(ステップS104)。一方の方式の通信の圏内にあり、かつ、他方の方式の通信の圏外にあると、間欠受信部17に圏内にある方式の通信の間欠受信をさせると共に、セルサーチ部18に圏外にある方式の通信のセルサーチをさせる(ステップS105)。双方の方式の通信の圏外にあると、セルサーチ部18にそれらの2つの方式の通信のセルサーチをさせ、間欠受信部17が動作していれば、その動作を停止させる(ステップS106)。主制御部11は、ステップS104〜ステップS106のいずれの動作でも、従処理部30への電源供給をしない。
【0038】
ここで、間欠受信部17が間欠起床する間隔である間欠受信間隔は、それぞれの通信方式毎に一定である。また、起床するタイミングは、それぞれの通信方式の待ち受け基地局の指定に従うので、間欠受信部17の判断によって可変ではない。しかし、セルサーチ部18が間欠起床するタイミングは、セルサーチ部18の判断によって可変である。そこで、セルサーチ部18が双方の方式の通信の基地局の検出する場合、同時に、又は、連続してそれらの検出を行うことができる。
【0039】
このように起床するタイミングを設定し、セルサーチ部18のみならず、通信部12及び送受信部13の動作を2つの方式の通信の基地局検出毎に行わないことにより、消費される電力量の削減が可能である。なぜなら、検出の前に必要な各部の動作(主CPU10−2によるプログラムの実行を含む。)が定常になるための動作、及び、検出の後に必要な各部の動作を停止させる動作の回数が減少するためである。
【0040】
セルサーチ部18が双方の方式の通信の基地局の検出する場合に限らず、間欠受信部17が一方の方式の通信の間欠受信をし、セルサーチ部18が他方の方式の通信のセルサーチをする場合、セルサーチ部18は、間欠受信部17の動作と同時に、又は、連続して動作することによって、同様に、消費される電力量の削減が可能である。これらの消費される電力量の削減は、従処理部30を動作させず、主処理部10によって間欠受信及びセルサーチを行うことによって得られる。
【0041】
ステップS104〜ステップS106の後、主制御部11は、間欠受信部17及びセルサーチ部18から、圏内及び圏外に係る通知を受信したか否かを判断する(ステップS107)。ここで、圏内及び圏外に係る通知とは、間欠受信部17から送信された、装置が圏内から圏外に移った旨の通知、及び、セルサーチ部18から送信された、装置が圏外から圏内に移った旨の通知である。この通知を受信しないと判断される場合、主制御部11は、このステップの判断動作を繰り返す。受信したと判断される場合、ステップS103の装置が2つの方式の通信の圏内にあるか圏外にあるかの結果に従って動作を分岐する動作に移る。なお、主制御部11は、第1の方式で通信中であるか否かに拘らず、かつ、第2の方式で通信中であるか否かに拘らず、装置の電源の切断に至るまで、この制御動作を続ける。
【0042】
なお、第1の方式及び第2の方式の通信が行われていない時間は、装置に電源が投入されている時間の中の多くの時間を占める。そこで、上述した主制御部11の制御によって、従処理部30へ電力が供給されない時間の割合は大きく、大きな消費電力量の削減が行われる。また、1xEV−DO方式のサービス圏内の面積は、必ずしも1X方式のサービス圏内の面積に達していない。そこで、一方の方式の通信が圏外である可能性もあり、その際においても、従処理部30の各部へ電力が供給されないため、大きな消費電力量の削減が行われる。
【0043】
次に、本発明の第1の実施形態に係わる移動通信装置の通信をしている場合に消費される電力量を削減する処理を説明する。まず、通信の開始は、入力部16の通話発呼操作によって、又は、アプリケーション部21のデータ発呼処理によって開始される場合と、基地局から送信された通話着信信号の受信に対する入力部16の着呼操作に基づいて、又は、データ着信信号の受信に対するアプリケーション部21のデータ着呼処理によって開始される場合との双方の場合を含む。通信の終了も、同じように、装置の動作に起因する場合と、基地局から送信された信号に起因する場合との2つの場合を含む。更には、装置が圏外に移動することによることも含む。
【0044】
通信の開始には、(1)1X方式及び1xEV−DO方式のいずれか一方の方式(以後、第1の方式として説明する。)の通信のみが圏内であり、その方式の通信が開始される、(2)双方の方式の通信が圏内であり、一方の方式(以後、第1の方式として説明する。)の通信が開始される、(3)双方の方式の通信が圏内であり、かつ、一方の方式(以後、第1の方式として説明する。)の通信が行われており、他方の方式(以後、第2の方式として説明する。)の通信が開始される、の3通りがある。それぞれの際の主制御部11の制御を説明する。
【0045】
まず、図5に示すフローチャートを参照して、第1の方式の通信のみが圏内であり、又は、双方の方式の通信が圏内であり、第1の方式の通信が開始される場合の、第1の実施形態に係わる主制御部11による通信に係る制御動作を説明する。主制御部11は、第1の方式の通信を開始させる(ステップS201)。この開始の際、第1の方式の通信のみが圏内であれば、図4に示すフローチャートのステップS105の動作中であって、この場合の通信に係る制御動作終了の際に戻る状態をステップS105の動作であると主制御部11内に記憶する。又は、双方の方式の通信が圏内であれば、上記フローチャートのステップS104の動作中であって、この場合の通信に係る制御動作終了の際に戻る状態をステップS104の動作であると主制御部11内に記憶する。
【0046】
主制御部11は、引き続き従処理部30への電源供給をしないまま、主処理部10で第1の方式の通信を行わせる。この通信に加え、第1の方式の通信のみが圏内である場合、間欠受信部17による第1の方式の通信に係る間欠受信と、セルサーチ部18による第2の方式の通信に係るセルサーチとを行わせる。また、双方の方式の通信が圏内である場合、間欠受信部17に第1の方式の通信に係る間欠受信及び第2の方式の通信に係る間欠受信を行わせ(ステップS202)、発生した双方の方式の通信に係るイベントを判断する(ステップS203)。
【0047】
その判断されたイベントが、装置が第2の方式の通信が圏内にあることへの変化である場合、主制御部11は、セルサーチ部18の動作を停止させ、間欠受信部17に第1の方式の通信に係る間欠受信に加えて第2の方式の通信の間欠受信をさせ(ステップS204)、この場合の通信に係る制御動作終了の際に戻る状態をステップS104の動作であると主制御部11内に記憶して(ステップS205)、ステップS203のイベントを判断する動作に戻る。
【0048】
ステップS203で、装置が第2の方式の通信の圏外にあることへの変化のイベントが発生したと判断された場合、間欠受信部17に第2の方式の通信の間欠受信を停止させ、セルサーチ部18に第2の方式の通信のセルサーチをさせ(ステップS206)、戻る状態をステップS105の動作であると記憶して(ステップS207)、ステップS203のイベントを判断する動作に戻る。
【0049】
ステップS203で判断されたイベントが、装置が第1の方式の通信が圏外にあることへの変化である場合、主制御部11は、この場合の通信に係る制御動作終了の際に戻る状態をステップS106(装置は第2の方式の通信の圏外にある場合。)又はステップS105(装置は第2の方式の通信の圏内にある場合。)の動作であると主制御部11内に記憶して(ステップS208)、上記通信を終了させ(ステップS209)、この場合の通信に係る制御動作を終了する(ステップS210)。そして、主制御部11内に記憶された戻る状態へ移る。なお、記憶された状態(上述したように、ステップS106又はステップS105。)へ戻った後、そのステップの動作に従い、間欠受信部17及びセルサーチ部18を動作させ、また、停止させることがある。
【0050】
ステップS203で判断されたイベントが上記通信の正常終了、即ち、入力部16の操作又は基地局から送信された呼の切断を示す制御信号に基づいて通信を終了する場合、主制御部11は、ステップS209の上記通信を終了させる以降の動作に移る。
【0051】
次に、図6に示すフローチャートを参照して、双方の方式の通信が圏内であり、かつ、第1の方式の通信が行われており、第2の方式の通信が開始される場合の、第1の実施形態に係わる主制御部11による通信に係る制御動作を説明する。主制御部11は、双方の方式の通信が圏内であり、かつ、第1の方式の通信が主処理部10によって行われている際(この際、図5のステップS203のイベントを判断する動作ステップにある。)、第2の方式の通信が開始されると(ステップS301)、従処理部30への電源供給を行って、従処理部30に第2の方式の通信をさせ(ステップS302)、発生した双方の方式の通信に係るイベントを判断する(ステップS303)。
【0052】
その判断されたイベントが、装置が第1の方式の通信が圏外にあることへの変化である場合、主制御部11は、主処理部10内の第1の方式の通信に係る処理を終了させ(ステップS304)、セルサーチ部18を動作させて第1の方式の通信のセルサーチをさせ(ステップS305)、ステップS303のイベントを判断する動作に戻る。
【0053】
ステップS303で判断されたイベントが、主処理部10による第1の方式の通信の正常終了である場合、主制御部11は、主処理部10内のその通信に係る処理を終了させ(ステップS306、このステップの動作は、上述したステップS304の動作と同じである。)、ステップS303のイベントを判断する動作に戻る。
【0054】
ステップS303で判断されたイベントが、装置が第1の方式の通信が圏内にあることへの変化である場合(これは、主処理部10による第1の方式の通信が終了した後に発生するイベントである。)、主制御部11は、間欠受信部17に第2の方式の通信の間欠受信に加えて第1の方式の通信の間欠受信をさせ、セルサーチ部18の動作を停止させて(ステップS307)、ステップS303のイベントを判断する動作に戻る。
【0055】
ステップS303で判断されたイベントが、第1の方式の通信の開始である場合、主制御部11は、その通信を主処理部10に行わせ(ステップS308)、ステップS303のイベントを判断する動作に戻る。この通信開始のイベントは、当然に装置が第1の方式の通信の圏内にあり、かつ、その方式の通信中でない場合に発生する。
【0056】
ステップS303で判断されたイベントが、従処理部30による第2の方式の通信の終了である場合、及び、装置が第2の方式の通信が圏外にあることへの変化である場合、主制御部11は、従処理部30への電源供給を切断し(ステップS309)、この場合の制御動作を終了する(ステップS310)。この終了によって、主制御部11は、図5に示すステップS203の動作に戻り、図6に示すフローチャートを参照して説明した動作中で発生したイベント、即ち、第1の方式の通信が行われているか否か、また、双方の通信の圏内であるか圏外であるかを参照し、ステップS203の判断動作を行い、異なる動作ステップに移ることがある。
【0057】
ステップS302で、従処理部30に第2の方式の通信を行わせる詳細な手順には、以下のような処理があり、いずれでも良い。発呼の場合と、着呼の場合とで、異なる処理でも良い。第1に、主制御部11は、入力部16の操作が発呼操作であると判断された場合、及び、着信信号が受信されたと判断された場合、その後の処理を従処理部30に行わせる。この際、通信の容易な引継ぎに必要な情報を従処理部30に送信する。即ち、入力部16からの操作内容、又は、着信信号を送信した基地局と適切に通信するための全ての情報、例えば、その基地局を識別する情報、使用している制御チャネルを識別する情報、適切な送信電力を含む、その基地局との間の通信状況等を従処理部30に送信する。
【0058】
第2に、主制御部11は、入力部16の操作に基づく発呼信号を基地局に送信し、又は、受信された着信信号に対して着呼信号を基地局に送信し、その後の処理を従処理部30に行わせる。この際、通信の容易な引継ぎに必要な情報を従処理部30に送信することは、上述した第1の処理と同じである。
【0059】
(第1の実施形態の第1の変形例)
以上の説明で、主処理部10が第1の方式の通信を行い、従処理部30が第2の方式の通信を行っており、主処理部10が行っていた第1の方式の通信が終了した場合、主制御部11は、従処理部30に第2の方式の通信を継続させる。そして、第1の方式の通信に係る間欠受信を間欠受信部17に行わせ、又は、その方式の通信に係るセルサーチをセルサーチ部18に行わせるとしたが、これに限るものではない。間欠受信部17に代えて間欠受信部34に行わせ、セルサーチ部18に代えてセルサーチ部35に行わせても良い。また、第2の方式の通信を主処理部10に引継ぎ、従処理部30への電源供給を切断しても良い。この引継ぎ処理によれば、消費される電力量の削減の効果が得られる。引継ぎの処理の詳細は、後述する。
【0060】
(第1の実施形態の第2の変形例)
以上の説明で、主処理部10及び従処理部30は、1X方式の通信を行うことができ、更に、1xEV−DO方式の通信を行うことができるとした。また、各処理部は、双方の通信に適しており、いずれかの方式の通信により適し、他方の方式の通信にはやや適していない等の差はないとした。しかしながら、これに限るものではなく、一方の処理部は、一方の通信により適しているとしても良く、更には、一方の処理部は、一方の通信のみを行うとしても良い。
【0061】
即ち、一方の処理部は、一方の通信により適している場合、図5に示すフローチャートのステップS201で第1の方式の通信が開始される際、その方式の通信が主処理部10に適した通信であれば、既に述べた通りの動作となる。その方式の通信が従処理部30に適した通信であれば、主制御部11は、例えば、その通信の開始までに要する時間を短縮するため、一旦その通信を主処理部10に行わせ、その後、従処理部30に引き継がせる。また、装置がその通信とは異なる方式の通信の圏外にある場合、主制御部11は、2つの方式の通信が同時に行われる可能性がないので、一旦その通信を主処理部10に行わせ、その後、装置がその異なる方式の通信の圏内に移った場合、従処理部30に引き継がせる。
【0062】
なお、引き継がせた後、その通信とは異なる方式の通信の間欠受信を間欠受信部17に行わせるが、その異なる方式の通信の圏外でれば、セルサーチをセルサーチ部18に行わせることは、図6に示すフローチャートのステップS305及びステップS307の動作で説明したことに準じる。
【0063】
主処理部10は1X方式の通信に適し、従処理部30は1xEV−DO方式の通信に適しているとして、図7に示すフローチャートを参照して、装置が1X方式の通信の圏外にある際に1xEV−DO方式の通信が開始され、その後、装置が1X方式の通信の圏内に移った場合を例にとり、主制御部11による引継ぎの制御動作を説明する。
【0064】
なお、主処理部10は1X方式の通信に適し、従処理部30は1xEV−DO方式の通信に適する理由は、音声に係る信号の処理を主処理部10内で全て行い、従処理部30は音声に係る機能を備える必要がない効果が得られるからである。なお、逆に、主処理部10は1xEV−DO方式の通信に適し、従処理部30は1X方式の通信に適しているとしても同様な引継ぎの制御動作が可能である。主処理部10は1xEV−DO方式の通信に適し、従処理部30は1X方式の通信に適する理由は、音声信号の伝送は1xEV−DO方式で通信されるデータ信号の伝送より低速であるため、主接続部10−1と、従接続部30−1との間のデータ伝送速度を高速にする必要がない効果が得られるからである。
【0065】
装置が1X方式の通信の圏外にあり、1xEV−DO方式の通信の圏内にある場合、主制御部11は、従処理部30へ電源を供給せず、セルサーチ部18に1X方式の通信のセルサーチをさせ、間欠受信部17に1xEV−DO方式の通信の間欠受信をさせている(ステップS401、図4に示すステップS105の動作に対応する。)。ここでアプリケーション部21からの、又は、データ着信信号を受信したことによるデータ通信の要求があると(ステップS402)、主制御部11は、送受信部13に1xEV−DO方式の通信の接続と、プロトコルの確立とを行わせ(ステップS403)、上記要求に係る通信をさせる(ステップS404、図5のステップS202の動作に対応する。)。
【0066】
そして、その通信がドーマント状態にあるか否かを判断させ(ステップS405)、ドーマント状態でない場合、主制御部11は、ステップS404の通信を続けさせる。一方、ドーマント状態である場合、上記の1xEV−DO方式の通信を従処理部30に引き継がせる(ステップS406)。以上の動作は、全て主処理部10で行われ、従処理部30へ電源は供給されない。ここで、ドーマント状態とは、主にデータ通信の際に発生する状態であって、通信セッションは続いているが、パケットの伝送が行われていない状態である。この引継ぎの際、通信セッションは一旦切断され、再度セッションの確立を行わせることになるが、これは何ら問題を生じない。装置の使用者は何ら違和感を覚えることがない。
【0067】
上記引継ぎに拘らず、主処理部10では、セルサーチ部18が1X方式の通信のセルサーチを続け、又は、間欠受信部17がその方式の通信の間欠受信を行う(ステップS407、図6に示すステップS305又はステップS307の動作に対応する。)。
【0068】
上記引継ぎに応じて、従処理部30へ電源が供給され(ステップS411)、上記通信がドーマント状態から通信状態に移る際、主制御部11は、送受信部33に1xEV−DO方式の通信の接続と、プロトコルの確立とを行わせ(ステップS412)、上記要求に係る通信をさせる(ステップS413)。
【0069】
また、一方の処理部は、一方の通信のみを行う場合、例えば、上述したように、主処理部10は1X方式の通信を行い、従処理部30は1xEV−DO方式の通信を行うとした場合の主制御部11の動作を図7のフローチャートを援用して説明する。主制御部11は、ステップS402でデータ通信の要求があると、主処理部10でその通信を行うことなく、直ちに、ステップS407のセルサーチ又は間欠受信をさせる動作に移ると共に、従処理部30にステップS411の電源を供給する以降の動作をさせる。
【0070】
(第1の実施形態のその他の変形例)
以上の説明で明らかなように、間欠受信及びセルサーチは、主処理部10で行われ、従処理部30で行われることはない。そこで、装置は、間欠受信部34及びセルサーチ部35を備えない構成であっても良い。しかし、これに限ることはなく、例えば、従処理部30で通信が行われている場合、その通信に係る間欠受信は間欠受信部34に行わせても良い。これによれば、間欠受信の際に得られた制御信号に基づくその通信の制御が従処理部30内で行われ、主処理部10と従処理部30との間の通信量の減少が得られる。
【0071】
以上の説明で、主制御部11は、従処理部30へ電源を供給し、また、その供給を停止するとしたが、これに限るものではない。電源供給を完全に停止した場合、電源供給開始から、従処理部30の動作に至る時間が長いことがあるからである。そこで、電源供給の停止に代えて、従CPU30−2を動作させるクロック(図示せず)を遅くする、従制御部31を要求待ちの一時停止状態に置く、等の中の1つ又は複数としても良い。
【0072】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る移動通信装置の構成は、実施形態に係る移動通信装置の構成と同じである。相違は、主制御部11の通信に関して消費される電力量を削減する処理にある。即ち、第2の実施形態に係る主制御部11は、間欠受信部17に1X方式の通信の間欠受信及び1xEV−DO方式の通信の間欠受信を同時には行わせない。
【0073】
言い換えると、双方の方式の通信の圏内にある場合、第2の実施形態に係る主制御部11は、間欠受信部17と、間欠受信部34とを動作させ、それぞれに1つの方式の通信の間欠受信をさせる。圏内にあるということは、通信が開始される可能性があることを意味し、この主制御部11の制御動作によれば、その開始の要求から通信開始までの所要時間を短くする効果が得られる。そこで、以後、相違点を説明し、同じ動作ステップには同じ符号を付して説明を省略する。
【0074】
図8に示すフローチャートを参照して、第2の実施形態に係わる主制御部11による第1の方式で通信中でなく、かつ、第2の方式で通信中でない場合の通信に係る制御動作を説明する。なお、この動作は、図4に示す同じ場合の第1の実施形態に係わる主制御部11による制御動作と同じ動作ステップを含み、同じ動作ステップには同じ符号を付した。
【0075】
この制御動作は、第1の実施形態に係わる主制御部11によるステップS104の間欠受信部17を動作させて2つの方式の通信の間欠受信をさせる動作に代えて、間欠受信部17を動作させて第1の方式の通信の間欠受信をさせると共に、間欠受信部34を動作させて第2の方式の通信の間欠受信をさせる(ステップS501)。間欠受信部34を動作させることに伴い、従処理部30への電源の供給が行われる。
【0076】
なお、間欠受信部34は、セルサーチ部18によって検出された待ち受け基地局からの電波を受信する。そのため、主制御部11は、セルサーチ部18に検出された待ち受け基地局と適切に通信するための情報を間欠受信部34へ通知させる。即ち、この通知のために、情報が主処理部10から従処理部30へ高速に送られる。
【0077】
そこで、この通知のための情報を少なくするため、セルサーチ部18が待ち受け基地局を検出した後、セルサーチ部35がセルサーチを行い、検出された待ち受け基地局に係る情報を従処理部30の内部で扱うとしても良い。ここで、セルサーチ部18が検出した待ち受け基地局に係る情報がセルサーチ部35に通知され、その情報によってセルサーチ部35は、セルサーチ部18が検出した待ち受け基地局を容易に検出するとしても良い。
【0078】
また、セルサーチ部35はセルサーチ部18とは独立に動作し、セルサーチ部18が検出した待ち受け基地局と、セルサーチ部35が検出した待ち受け基地局とは同一である必要はないとしても良い。この処理は、以下に述べる間欠受信部34がセルサーチ部18によって検出された待ち受け基地局からの電波を受信する全ての場合に適用することができる。
【0079】
なお、ステップS501の動作によれば、間欠受信部17は、1X方式の通信の間欠受信を行なうことも、1xEV−DO方式の通信の間欠受信を行なうこともある。間欠受信部34についても同様である。しかしながら、これに限るものではなく、一方の処理部は、一方の通信により適している、更には、一方の処理部は、一方の通信のみを行う場合、いずれの処理部にも、その処理部が行なう通信の間欠受信を行なわせることが適切である。そこで、ステップS105の実行による状態からステップS501の実行による状態へ遷移する際、主制御部11は、ある方式の通信の間欠受信が間欠受信部17から間欠受信部34へ引き継がせる。そこで、主制御部11は、間欠受信部17に待ち受け基地局と適切に通信するための情報を間欠受信部34へ通知させる。
【0080】
次に、本発明の第2の実施形態に係わる移動通信装置の通信をしている場合に消費される電力量を削減する処理を説明する。まず、図9に示すフローチャートを参照して、第1の方式の通信のみが圏内であり、又は、双方の方式の通信が圏内であり、第1の方式の通信が開始される場合の、第1の実施形態に係わる主制御部11による通信に係る制御動作を説明する。なお、この動作は、図5に示す同じ場合の第1の実施形態に係わる主制御部11による制御動作と同じ動作ステップを含み、同じ動作ステップには同じ符号を付した。
【0081】
主制御部11は、第1の方式の通信を開始させる(ステップS511)。この開始の際、第1の方式の通信のみが圏内であれば、図8に示すフローチャートのステップS105の動作中であって、この場合の通信に係る制御動作終了の際に戻る状態をステップS105の動作であると主制御部11内に記憶する。又は、双方の方式の通信が圏内であれば、上記フローチャートのステップS501の動作中であって、この場合の通信に係る制御動作終了の際に戻る状態をステップS501の動作であると主制御部11内に記憶する。
【0082】
主制御部11は、主処理部10に第1の方式の通信を行わせる。この通信に加え、第1の方式の通信のみが圏内である場合、引き続き従処理部30への電源供給をしないまま、間欠受信部17による第1の方式の通信に係る間欠受信と、セルサーチ部18による第2の方式の通信に係るセルサーチとを行わせる。また、双方の方式の通信が圏内である場合、間欠受信部17に第1の方式の通信に係る間欠受信を、間欠受信部34に第2の方式の通信に係る間欠受信を行わせ(ステップS512)、ステップS203の発生した双方の方式の通信に係るイベントを判断する動作に移る。
【0083】
その判断されたイベントが、装置が第2の方式の通信の圏内にあることへの変化である場合、主制御部11は、セルサーチ部18の動作を停止させ、間欠受信部34に第2の方式の通信の間欠受信をさせ(ステップS513)、この場合の通信に係る制御動作終了の際に戻る状態をステップS501の動作であると主制御部11内に記憶して(ステップS514)、ステップS203のイベントを判断する動作に戻る。
【0084】
ステップS203で、装置が第2の方式の通信の圏外にあることへの変化のイベントが発生したと判断された場合、従処理部30への電源供給を停止して間欠受信部34の第2の方式の通信の間欠受信を停止させ、セルサーチ部18に第2の方式の通信のセルサーチをさせ(ステップS515)、ステップS207の戻る状態をステップS105の動作であると記憶する動作に移る。
【0085】
なお、この場合の通信に係る制御動作を終了し、主制御部11内に記憶された戻る状態へ移った後、主制御部11は、この制御動作中で発生したイベントに従い、間欠受信部17及びセルサーチ部18のみならず、間欠受信部34を動作させ、また、停止させることがある。
【0086】
次に、図10に示すフローチャートを参照して、双方の方式の通信が圏内であり、かつ、第1の方式の通信が行われており、第2の方式の通信が開始される場合の、第2の実施形態に係わる主制御部11による通信に係る制御動作を説明する。なお、この動作は、図6に示す同じ場合の第1の実施形態に係わる主制御部11による制御動作と同じ動作ステップを含み、同じ動作ステップには同じ符号を付した。
【0087】
主制御部11は、双方の方式の通信が圏内であり、かつ、第1の方式の通信が主処理部10によって行われている際(この際、図9のステップS203のイベントを判断する動作ステップにある。)、第2の方式の通信が開始されると(ステップS521)、従処理部30に第2の方式の通信をさせる(ステップS522)。この際、双方の方式の通信の圏内であるので、間欠受信部34の動作に伴い、従処理部30への電源供給は既にされている。次に、ステップS303の発生した双方の方式の通信に係るイベントを判断する動作に移る。
【0088】
ステップS303で判断された装置が第1の方式の通信が圏外にあることへの変化である場合、主制御部11は、ステップS304の通信に係る処理を終了させた後、セルサーチ部18を動作させて第1の方式の通信のセルサーチをさせると共に、間欠受信部17の動作を停止させて(ステップS523)、ステップS303のイベントを判断する動作に戻る。
【0089】
ステップS303で判断されたイベントが、装置が第1の方式の通信が圏内にあることへの変化である場合、主制御部11は、セルサーチ部18の動作を停止させると共に、間欠受信部17を動作させて第1の方式の通信の間欠受信をさせて(ステップS524)、ステップS303のイベントを判断する動作に戻る。
【0090】
以上説明した第2の実施形態に係る主制御部11の制御動作によれば、セルサーチ部18は、1X方式の通信のセルサーチ及び1xEV−DO方式の通信のセルサーチを行うことによって、消費される電力量の削減が可能である。ここで、セルサーチの周期は、間欠受信の周期より長くて良く、また、セルサーチのタイミングはセルサーチ部18に委ねられる。更には、セルサーチによって待ち受け基地局が検出された場合、間欠受信が開始されるが、この検出から間欠受信の開始までの時間は、例えば、着信信号が受信されてから着呼信号を送信するまでの時間と比較すれば、長時間で良い。このように、2つの方式の通信のセルサーチをセルサーチ部18が行うことは、主処理部10が必ずしも高速で動作することを要しないので、この第2の実施形態は、容易に実装が可能である。
【0091】
(第2の実施形態の変形例)
以上の説明で明らかなように、セルサーチは、主処理部10で行われ、従処理部30で行われることはない。そこで、装置は、セルサーチ部35を備えない構成であっても良い。
【0092】
(その他の実施形態)
第2の実施形態で、第1の方式の通信の間欠受信は間欠受信部17が行い、第2の方式の通信の間欠受信は間欠受信部34が行うとしたが、これに限るものではない。主処理部10が第1の方式の通信中である場合、第2の方式の通信の間欠受信は間欠受信部34が行うとしても良い。この場合、第1の方式の通信の開始及び終了に際し、第2の方式の通信の間欠受信を間欠受信部17と間欠受信部34との間で引き継ぐ。この引継ぎに際し、間欠受信に持ちられる全ての情報、例えば、待ち受け基地局を識別する情報、使用している制御チャネルを識別する情報、適切な送信電力を含む、その基地局との間の通信状況等を通知して、間欠受信を引き継ぐ処理部の処理を減らす。
【0093】
第2の実施形態で、セルサーチは、第1の方式の通信のセルサーチであれ、第2の方式の通信のセルサーチであれ、主処理部10のセルサーチ部18が行うとしたが、これに限るものではない。例えば、主処理部10が第1の方式の通信中である場合、第2の方式の通信について従処理部30のセルサーチ部35を動作させても良い。また、主処理部10のセルサーチ部18は、いずれか一方の方式の通信についてセルサーチを行い、他方の方式の通信についてのセルサーチはセルサーチ部35が行うとしても良い。
【0094】
これによれば、セルサーチ部35が待ち受け基地局を検出した際、間欠受信部34に間欠受信を開始させるまでに要する時間を短縮することができる。なぜなら、従制御部31の制御が行われる結果、主制御部11の制御が容易であり、主処理部10と従処理部30との間の通信が減少するからである。更には、主処理部10と、従処理部30との依存性を少なくすることにより、装置をより簡単な構成とする、例えば、プログラム量を少なくすることができる。
【0095】
以上の説明で、従処理部30は、通話部、表示部、入力部、及びアプリケーション部を備えないとしたが、これに限るものではない。これらの一部又は全部を備えても良い。また、主処理部10と共有しても良い。更に、例えば、主処理部10は1X方式の通信に適し、従処理部30は1xEV−DO方式の通信に適す場合、従処理部30は、通話部を備えず、主処理部10に代えてアプリケーション部を備えるとしても良い。
【0096】
以上説明した実施形態及び変形例は、適宜組み合わせることができる。この組合せに際し、装置へ電力を供給する電池に蓄えられた電力量を参照しても良い。即ち、その電力量の減少に伴い、より消費される電力量が削減される処理としても良い。更には、その電力量が所定の閾値未満である場合、双方の通信を同時に行うことはないとしても良い。この場合、消費される電力量が少ない第1の実施形態を基本とし、更に、従処理部30への電源供給を常に停止することができる。
【0097】
以上の説明は、主処理部10及び従処理部30の2つの無線通信処理部を備えた装置を例にとって行ったが、本発明は、3つ以上の無線通信処理部を備えた装置に適用することが当然に可能である。本発明は以上の構成に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0098】
10 主処理部
10−1 主接続部
11 主制御部
12、32 通信部
13、33 送受信部
14 通話部
15 表示部
16 入力部
17、34 間欠受信部
18、35 セルサーチ部
21 アプリケーション部
30 従処理部
30−1 従接続部
31 従制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1種の基地局を介した第1種の無線通信及び第2種の基地局を介した第2種の無線通信の一方又は双方を行う移動通信装置であって、
制御手段と主通信手段とを含む主処理手段と、
従通信手段を含む従処理手段とを備え、
前記制御手段は、装置が前記第1種の無線通信のサービス圏外にある場合、前記主通信手段に前記第1種の無線通信のセルサーチをさせ、装置が前記第1種の無線通信のサービス圏内にある場合、前記主通信手段に前記第1種の無線通信の間欠受信をさせ、装置が前記第2種の無線通信のサービス圏外にある場合、前記従処理手段の動作を停止させて前記主通信手段に前記第2種の無線通信のセルサーチをさせ、装置が前記第2種の無線通信のサービス圏内にある場合、前記従処理手段を動作させて前記従通信手段に前記第2種の無線通信の間欠受信をさせ、
前記制御手段は、装置が前記第2種の無線通信のサービス圏内にあり、前記従通信手段によって前記第2種の無線通信の着信信号が受信された場合、及び、入力手段から所定の入力がされた場合、前記従通信手段に前記第2種の無線通信をさせる
ことを特徴とする移動通信装置。
【請求項2】
第1種の基地局を介した第1種の無線通信及び第2種の基地局を介した第2種の無線通信の一方又は双方を行う移動通信装置であって、
制御手段と主通信手段とを含む主処理手段と、
従通信手段を含む従処理手段とを備え、
前記制御手段は、前記従処理手段の動作を停止させて前記主通信手段に前記第1種の無線通信の間欠受信及び前記第2種の無線通信の間欠受信をさせ、
前記制御手段は、前記間欠受信中の主通信手段によって前記第2種の無線通信の着信信号が受信された場合、及び、入力手段から所定の入力がされた場合、前記従処理手段を動作させて前記従通信手段に前記第2種の無線通信をさせる
ことを特徴とする移動通信装置。
【請求項3】
第1種の基地局を介した第1種の無線通信及び第2種の基地局を介した第2種の無線通信の一方又は双方を行う移動通信装置であって、
制御手段と主通信手段とを含む主処理手段と、
従通信手段を含む従処理手段とを備え、
前記制御手段は、前記従処理手段の動作を停止させて前記主通信手段に前記第1種の無線通信の間欠受信及び前記第2種の無線通信のそれぞれについてセルサーチ又は間欠受信をさせ、
前記制御手段は、装置が前記第2種の無線通信のサービス圏内にあり、前記主通信手段によって前記第2種の無線通信の着信信号が受信された場合、及び、入力手段から所定の入力がされた場合、前記従処理手段を動作させて前記従通信手段に前記第2種の無線通信をさせる
ことを特徴とする移動通信装置。
【請求項4】
第1種の基地局を介した第1種の無線通信及び第2種の基地局を介した第2種の無線通信の一方又は双方を行う移動通信装置であって、
制御手段と主通信手段とを含む主処理手段と、
従通信手段を含む従処理手段とを備え、
前記制御手段は、装置が前記第1種の無線通信のサービス圏外、かつ、前記第2種の無線通信のサービス圏内にある場合、前記従処理手段の動作を停止させ前記主通信手段に前記第1種の無線通信のセルサーチと、前記第2種の無線通信の間欠受信をさせ、
前記制御手段は、前記主通信手段によって前記第2種の無線通信の着信信号が受信された場合、及び、入力手段から所定の入力がされた場合、前記主通信手段に前記第2種の無線通信を開始させ、その通信が開始された後、装置が前記第1種の無線通信のサービス圏外にあると変化した場合、前記従処理手段を動作させて前記主通信手段から前記従通信手段に前記第2種の無線通信を引き継がせ、前記主通信手段に前記第1種の無線通信の間欠受信をさせる
ことを特徴とする移動通信装置。
【請求項5】
前記第1種の無線通信は音声通信であり、
前記第2種の無線通信はデータ通信である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の移動通信装置。
【請求項6】
前記第1種の無線通信はデータ通信であり、
前記第2種の無線通信は音声通信である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の移動通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−60288(P2012−60288A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199564(P2010−199564)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】