説明

移植機

【課題】植付深さを調整する調整レバー及び載せ台からの苗の掻き取り量を変更する変更レバーを設け、植付け深さ調整に整地作業機の昇降高さ調整を連動させる移植機において、左右バランスが良好な移植機を提供する。
【解決手段】走行機体の後方に配置された苗載せ台と、苗載せ台の下方に配置されて苗を掻き取って圃場に植付ける植付部と、植付部の前方に配置されて圃場を整地する整地作業機6と、昇降作動機構33と、植付深さを調整する調整レバー31と、対地高さの変更に整地作業機6の昇降高さを連動させる連動機構34と、苗載せ台と植付部との距離を変更して苗の掻き取り量を変更する変更レバー27とを備え、植付作業機4の少なくとも一部を構成し、植付作業機の左右の一方側に、昇降作動機構33及び連動機構34を配置するとともに、他方側に調整レバー31及び変更レバー27を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、整地作業機を備え、植付深さを変更可能な移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
走行機体と、該走行機体の後方に配置されて苗を載せる苗載せ台と、該苗載せ台の下方に配置されて苗載せ台上の苗を掻き取って圃場に植付ける植付部と、該植付部の前方に配置されて圃場を整地する整地作業機と、整地作業機を昇降作動させる昇降作動機構と、植付部の対地高さを変更して植付深さを調整する調整レバーとを備え、苗載せ台と植付部によって走行機体の後方に配置される植付作業機の少なくとも一部を構成した移植機が従来公知であるが、このような移植機では、整地作業機の昇降高さ調節と、植付作業機の植付深さ調節とを別々に行う必要があり、操作が煩雑になるという問題があった。
【0003】
このような問題を改善し、植付深さが変更されると併せて整地作業機の昇降高さも変更されるようにようにするため、調整レバーによる植付部の対地高さの変更に整地作業機の昇降高さを連動させる連動機構を設けた移植機が公知になっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−81522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記文献の移植機は、植付作業機における左右の一方側に連係機構(同文献の符号111の機器)及び調整レバー(同文献の符号47の機器)が集中配置され、昇降作動機構(同文献の符号85等の機器)は走行機体から植付作業機に至る範囲に設置され、植付作業機等の左右バランスを良好に保つという観点から課題が残る。
【0006】
また、通常、移植機には、苗載せ台と植付部との距離を変更して植付部による苗載せ台からの苗の掻き取り量を変更する変更レバーが設けられる場合が多いが、上記文献の移植機では、左右バランスを考慮して植付作業機の左右における連係機構の反対側に変更レバーを設けると、植付関係の操作具である変更レバーと調整レバーが離れた位置に配置され操作性が悪くなり、操作性を考慮して植付作業機の左右における連係機構側に変更レバーを設けると左右バランスがさらに悪化するという課題がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決し、植付深さを調整する調整レバー及び載せ台からの苗の掻き取り量を変更する変更レバーを設け、植付け深さ調整に整地作業機の昇降高さ調整を連動させる移植機において、左右バランスが良好な移植機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するめ本発明の移植機は、第1に、走行機体3と、該走行機体3の後方に配置されて苗を載せる苗載せ台23と、該苗載せ台23の下方に配置されて苗載せ台23上の苗を掻き取って圃場に植付ける植付部24と、該植付部24の前方に配置されて圃場を整地する整地作業機6と、整地作業機6を昇降作動させる昇降作動機構33と、植付部24の対地高さを変更して植付深さを調整する調整レバー31と、調整レバー31による植付部24の対地高さの変更に整地作業機6の昇降高さを連動させる連動機構34と、苗載せ台23と植付部24との距離を変更して植付部24による苗載せ台23からの苗の掻き取り量を変更する変更レバー27とを備え、苗載せ台23と植付部24によって走行機体3の後方に配置される植付作業機4の少なくとも一部を構成し、該植付作業機4の左右の一方側に、昇降作動機構33及び連動機構34を配置するとともに、他方側に調整レバー31及び変更レバー27を配置してなることを特徴としている。
【0009】
第2に、昇降作動機構33に植付深さを変更すること無く整地作業機6の昇降高さを変更させるアクチュエータ72を設け、整地作業機6の高さを検出する高さセンサ82を植付深さの変更に応じて姿勢が変更されるように支持することにより植付深さに対する整地作業機6の相対的な高さを検出可能に構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
以上のように構成される本発明の移植機によれば、昇降作動機構及び連動機構と、調整レバー及び変更レバーとが植付作業機の左右に振分け配置され、左右バランスが良好になるという効果がある。くわえて、これらを植付作業機の左右方向中央部に寄せて配置することも容易になり、左右バランスをさらに向上させることが可能になるという効果もある。
【0011】
また、昇降作動機構に植付深さを変更すること無く整地作業機を昇降駆動させるアクチュエータを設け、整地作業機の高さを検出する高さセンサを植付深さの変更に応じて姿勢が変更されるように支持することにより植付深さに対する整地作業機の相対的な高さを検出可能に構成すれば、植付深さに整地作業機の昇降高さを連動させた場合でも、整地作業機の植付深さに対する相対的な高さを変更する制御を容易に行うことが可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の移植機を適用した乗用田植機の全体側面図である。
【図2】植付作業機4及び整地作業機6の構成を示す正面図である。
【図3】植付作業機4及び整地作業機6の構成を示す左正面側斜視図ある。
【図4】植付作業機4及び整地作業機6の構成を示す右正面側斜視図である。
【図5】植付作業機4及び整地作業機6の構成を示す背面側斜視図である。
【図6】フロート支持機構、調整レバー及び連係機構の構成を示す左側面図である。
【図7】フロート支持機構、調整レバー及び連係機構の構成を示す右側面図である。
【図8】昇降作動機構及び連係機構の構成を示す左正面側斜視図である。
【図9】昇降作動機構及び連係機構の構成を示す右正面側斜視図である。
【図10】昇降作動機構及び連係機構の構成を示す背面側斜視図である。
【図11】本乗用田植機に搭載された制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図示する例に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の移植機を適用した乗用田植機の全体側面図である。本乗用田植機は、左右一対の前輪1,1及び後輪2,2によって支持される走行機体3と、走行機体3の後方に配置された植付作業機4と、植付作業機4と後輪2との間に配置された左右方向の整地作業機6とを備え、前進方向(進行方向)に走行し、前方の整地作業機6によって整地された圃場に植付作業機4によって苗を植付けていく。
【0014】
上記走行機体4は、エンジン(図示しない)を収容するボンネット7の後方にオペレータが乗込む操縦部8を備え、該操縦部8にはオペレータが着座する座席9の前方にステアリングハンドル11等が設けられている。
【0015】
エンジン動力は、トランスミッション(図示しない)を介して前後輪1,2に変速伝動される。くわえて、トランスミッションから後方突出する前後方向の植付伝動軸12等を介して植付作業機4にエンジン動力が伝動される他、後輪2のドライブシャフト13を支持するリヤアクスルケース14側から後方延設された整地伝動軸16、ユニバーサルジョイント17及び入力軸18等を介して整地作業機6にエンジン動力が伝動される。
【0016】
上記植付作業機6は、昇降リンク19を介して走行機体3に昇降自在に連結され、圧油の供給・排出によって伸縮する昇降シリンダー21によって昇降駆動される。
【0017】
次に、図1乃至10に基づいて植付作業機4及び整地作業機6の構成について説明する。
図2乃至5は、植付作業機4及び整地作業機6の構成を示す正面図、左正面側斜視図、右正面側斜視図及び背面側斜視図である。植付作業機4は、左右方向の四角柱状部材であって主フレームをなす横フレーム22と、横フレーム22の真後側近傍から前方に向かって上方に傾斜形成されて背面側に苗を載置する苗載せ台23と、横フレーム22側から後方に延設されて苗載せ台23上の苗を掻き取って圃場に植付ける植付部24と、苗載せ台23を横フレーム22に上下位置調整可能に支持する苗載せ台支持機構26と、苗載せ台23の上下位置変更操作を行う変更レバー27と、苗載せ台23の下方に配置された前後方向のフロート28と、フロート28を横フレーム22に対して上下位置調整可能に支持するフロート支持機構29と、フロート28の上下位置調整操作を行う調整レバー31と、整地作業機6を横フレーム22に昇降可能に支持する支持機構32と、整地作業機6を横フレーム22(植付部24)に対して昇降作動させる昇降作動機構33と、整地作業機6の昇降をフロート28の上下位置調整に連動させる連係機構34とを備えている。
【0018】
上記横フレーム22は、走行機体3に対してローリング可能に支持されている。具体的には、横フレーム22に固設されて横フレーム22の左右方向中央部から上方に突出する上下方向の支持フレーム36と、昇降リンク19によって走行機体3に昇降自在に連結された上下方向のホルダフレーム37と、が前後方向のローリング軸38を介して、ローリング軸38の軸回りに回動自在に連結されることにより、横フレーム22は昇降リンク19に左右傾斜自在(ローリング自在)に支持されている。
【0019】
また、左右傾斜制御モータ39の駆動力によって、支持フレーム36は、ホルダフレーム37に対してローリング軸38の軸回りに回動作動するため、植付作業機4の走行機体3に対する相対的な左右傾斜角を圃場の傾斜に関係無く強制的に変更することが可能になる。これによって、圃場に傾斜にかかわらず植付作業機4(横フレーム22)を水平に保持するローリング制御を行うことが可能になる。
【0020】
上記変更レバー27及び調整レバー31は、それぞれ、横フレーム22上面に取付固定されたガイド体41に挿通された状態で、植付作業機4の左右の一方側(図示する例では左側)に前後揺動操作可能に支持される一方で、植付作業機4の左右の他方側には、上述した昇降作動機構33及び連係機構34が配置されている。すなわち、変更レバー27及び調整レバー31と、昇降作動機構33及び連係機構34とが、ローリング軸38を境に、左右振分け配置されている。ちなみに、昇降作動機構33及び連係機構34の構成については後述する。
【0021】
ガイド体41は平面視U字状をなすとともに前面が上方に向かって後方傾斜するように上方に延説されている。この前面には2つのガイド孔41a,41bが左右に並べられた状態で穿設され、この2つのガイド孔41a,41bの一方(図示する例では右側のガイド孔41b)に変更レバー27の中途部が挿通され、他方(図示する例では左側のガイド孔41a)に調整レバー31の中途部が挿通されており、変更レバー27及び調整レバー31を前後揺動案内している。くわえて、変更レバー27及び調整レバー31がガイド孔41a,41bの複数個所に係止できるようにガイド孔41a,41b、変更レバー27及び調整レバー31が構成されている。
【0022】
上記苗載せ台23は、下端部の左右方向のエプロン42が苗載せ台支持機構26によって機械的に変更レバー27の基端部と連結されており、変更レバー27を前後揺動操作すると、横フレーム22に対する相対的な上下位置が変更される。そして、苗載せ台23の横フレーム22に対する相対的な上下位置変更によって、植付部24に対する苗載せ台23の相対的な上下位置(植付部24と苗載せ台23の距離)が変化し、植付部23によって行われる苗載せ台23からの苗の掻き取り量が変更される。ちなみに、上述したように変更レバー27が複数個所で係止可能なため、苗載せ台23からの苗の掻き取り量は複数段階で調整可能になっている。
【0023】
上記植付部24は左右方向に複数並列配置されており、各植付部24は前後方向の筒状のプランタケース43及びプランタケース43の後部に支持された植付爪とを備えている。各プランタケース43は、前端部が横フレーム22側に支持固定され、後部の植付爪に走行機体3側からの動力である植付伝動軸12の動力が伝動されるように構成されている。
【0024】
上記支持機構32は、横フレーム22の左部及び右部から上方に突設された上下方向の左右一対の各縦フレーム44,44中途部に設定固定(固設)された前後方向の支持ブラケット46と、この左右の支持ブラケット46,46間に軸回りに回動自在な状態で架設された操作軸47と、横フレーム22の中途部から上方に突設されて操作軸47の中途部を回動自在に支持する支持部材48とを備えている。
【0025】
くわえて、該支持機構32では、操作軸47の左右の端部からは操作軸47と一体的に上下揺動する左右一対の上部リンク51が前側に向かって突出し、横フレーム22の上面における左部及び右部側には前後方向の下部リンク52の後部がそれぞれ上下揺動自在に支持され、左側の上部リンク51及び下部リンク52の前端部を上下方向の支持ロッド53の上部に上下揺動自在に支持することにより左側のリンク機構54を構成する一方で、右側の上部リンク51及び下部リンク52の前端部を上下方向の支持ロッド53の上部に昇降揺動自在に支持することにより右側のリンク機構54を構成している。
【0026】
左右の支持ロッド53の下端部間には左右方向のロータ軸56が軸回りに前後回転自在に支持されている。ロータ軸56にはロータ軸56と一体回転する左右方向の角柱状部材である整地ロータ57が左右並列状態で複数軸装されて上述の整地作業機6を構成している。ロータ軸56の左右方向中央部にはギヤケース58が設置されており、上述した入力軸18の動力がギヤケース58内に入力されることにより、ロータ軸56に動力が伝動され、整地作業機6が駆動される。ちなみに、横フレーム22に固設された左右の縦フレーム44の上端部同士はステー59によって連結されることにより全体が補強されている。
【0027】
この支持機構32によれば、操作軸47を軸回り一方側に回動させることにより各支持ロッド53が上側に変位してロータ軸56(整地作業機6)が上昇作動する一方で、操作軸47を軸回り他方側に回動させることにより各支持ロッド53が下側に変位して整地作業機6が下降作動する。
【0028】
図6,7は、フロート支持機構、調整レバー及び連係機構の構成を示す左側面図及び右側面図である。
上記フロート28は左右方向に複数並列配置されている。各フロート28は、後部がフロート支持機構29によって前後傾斜自在に近傍するプランタケース43(横フレーム22)に支持されている。
【0029】
フロート支持機構29は、植付作業機4の横幅略全体に亘り形成される左右方向の単一のフロート支持軸61を、並列配置された複数のプランタケース43に、軸回りに前後回動自在に支持し、フロート支持軸61と一体で上下揺動するフロート支持アーム62をフロート28毎に設けることによりなる。
【0030】
フロート支持軸61には上述の調整レバー31の基端部が取付固定されており、調整レバー31を前後揺動させると、フロート支持軸61が一体で軸回りに前後回動する。各フロート支持アーム62は、前端部(基端部)がフロート支持軸61に取付固定され、後端部に対応するフロート28の後部を前後揺動自在に支持しており、フロート支持軸61が軸回りに前後回動すると、フロート支持アーム62が一体で上下揺動して、フロート28のプランタケース43及び横フレーム22に対する相対的な上下位置が変更調整される。
【0031】
具体的には調整レバー31を後方揺動することによってフロート支持アーム62が下方揺動してフロート28が植付部24を基準に下方に変位する一方で、変更レバー31を前方揺動することによってフロート支持アーム62が上方揺動してフロート28が植付部24を基準に上方に変位する。本乗用田植機では、後述する手段により、フロート28を圃場に接地させた状態で、植付作業機4の植付部24によって植付作業を行うため、植付部24を基準としたフロート28の上下位置変動によって、圃場への苗の植付深さが変更される。調整レバー31は、ガイド体41の複数個所に係止可能であるため、圃場への苗の植付深さは複数段で調整可能である。
【0032】
図8,9及び10は、昇降作動機構及び連係機構の構成を示す左正面側斜視図、右正面側斜視図及び背面側斜視図である。
上記連係機構34は、図6乃至10に示すように、主に、操作軸47の左右の一方側(図示する例では右側)半部に回動自在に支持されて操作軸47の外周面を覆う筒状部材である回動軸64と、この回動軸64と一体で前後揺動するように回動軸64から下方に突出する整地側連動アーム66と、上記フロート支持軸61と一体で前後揺動するようにフロート支持軸61の左右の回動軸64側半部から上方に突出する植付側連動アーム67と、上記整地側連動アーム66と植付側連動アーム67とを連結して両アーム66,67を一体的に前後揺動させる連動ロッド68とから構成されている。操作軸47と回動軸64とは昇降作動機構33によって接続され、昇降作動機構33の非作動時には操作軸47と回動軸64とが一体的に軸回りに回動するように構成されている。
【0033】
以上により、連係機構34は、調整レバー31を後方揺動操作してフロート28が植付部24を基準に下方に変位されると、植付部24を基準に植付作業機6が下方に変位するように操作軸47を軸回り一方側に回動作動させる一方で、調整レバー31を前方揺動操作してフロート28が植付部24を基準に上方に変位されると、植付部24を基準に植付作業機6が上方に変位するように操作軸47を軸回り他方側に回動作動させる。すなわち、本乗用田植機では、連係機構34を介して、植付深さ調整に整地作業機6の上下位置調整が連動するように構成されている。
【0034】
上記昇降作動機構33は、図8乃至10に示すように、上記回動軸64と、この回動軸64と一体で上下揺動するように回動軸64に前方突出状態で取付固定された板状のベース体69と、上述した操作軸47と一体で上下揺動するように操作軸47に前方突出状態で取付固定された板状扇形の従動ギヤ71と、ベース体69に固設された昇降モータ(アクチュエータ)72と、昇降モータ72の動力が直接的に伝動されて従動ギヤ71と噛合う駆動ギヤとを備えている。
【0035】
従動ギヤ71は、平行に対向した状態でベース体69に隣接配置されており、扇形の中心側が操作軸47に取付固定されている。昇降モータ72が正逆転方向に駆動されると、駆動ギヤを介して従動ギヤ71が上下揺動し、これによって、回動軸64に対する操作軸47の相対的な回動位置が変更される。
【0036】
操作軸47の回動位置は上述した構成によってロータ軸56の植付部24に対する相対的な上下位置に連動しているとともに、回動軸64の回動位置は上述した連係機構34によってフロート28の植付部24に対する相対的な上下位置に連動しているため、前述した昇降モータ72の駆動によって、ロータ軸56(整地作業機6)の植付深さに対する相対的な上下位置(昇降高さ)が変更される。
【0037】
このように構成される昇降作動機構33は、ボックス状の保護カバー体70によって覆われ、保護されている。くわえて、昇降モータ72の駆動が停止された昇降作動機構33の非作動時には、前述したように操作軸47と回動軸64とが一体的に回動する。
【0038】
次に、図6乃至11に基づき本乗用田植機の各種制御手段について説明する。
図11は、本乗用田植機に搭載された制御装置のブロック図である。本乗用田植機では、制御装置74を介して、植付作業機4の昇降高さ及び整地作業機6の植付部24に対する相対的な上下位置等が制御される。
【0039】
制御装置74は、マイコン等で構成される制御部76を備えている。この制御部76の出力側には、上述した昇降モータ72等の他、植付作業機4を昇降させる昇降シリンダー21に対して圧油の供給・排出を行うことにより該昇降シリンダー21の伸縮制御を行う電磁切換弁である昇降バルブ77が接続されている。
【0040】
制御装置74の入力側には、操縦部8における座席9前方に設置された操作具である整地作業機昇降ダイヤル78及び感度調節ダイヤル79と、フロート28の前後揺動角の検出を行うフロート揺動角検出ポテンショ(接地センサ)81と、整地作業機6の高さ検出を行う整地作業機高さ検出ポテンショ(高さセンサ)82とが接続されている。
【0041】
上記フロート揺動角検出ポテンショ81は、回動軸64と一体で上下揺動するように回動軸64に前方突出状態で取付固定された板状のフロート検出側支持体83に設置されている。フロート検出側支持体83には上下揺動可能に検出アーム84の基端部が支持されており、この検出アーム84の基端部側の揺動軸がフロート揺動角検出ポテンショ81に接続される一方で、先端側がフロート側検出リンクをなす検出ロッド86によって検出ロッド86に近接するフロート28である感知フロートの前端部に連結されている。
【0042】
そして、後部が支持された感知フロート28が上方揺動して前上り状態になると、検出ロッド86が上方に変位して検出アーム84を上方揺動させる一方で、感知フロート28が下方揺動して前下り状態になると、検出ロッド86が下方に変位して検出アーム84を下方揺動させ、この検出アーム84の上下揺動角をフロート揺動角検出ポテンショ81によって検知することによって、感知フロート28の前後揺動角を検出することが可能になる。
【0043】
ちなみに、フロート揺動角検出ポテンショ81は、回動軸64と共に揺動するフロート検出側支持体83に設置されて回動軸64と一体で姿勢変更されるため、フロート支持機構29によって感知フロート28の植付部24に対する相対的な上下位置が変更され場合には、それに伴ってフロート揺動角検出ポテンショ81も一体的に姿勢変更され、フロート揺動角検出ポテンショ81の検出値は殆ど変更しない。このため、感知フロート28の上下位置に関係無く、感知フロート28の正確な前後揺動角を検出することが可能になる。
【0044】
制御部76は、このフロート揺動角検出ポテンショ81を介して、感知フロート28を圃場に接地させる植付作業機4の自動昇降制御を行う。具体的には、植付作業機4が下降して感知フロート28が勢いで圃場に埋没すると、圃場からの土圧によって感知フロート28が前上がり状態になる一方で、植付作業機4が上昇して感知フロート28から圃場面から離間すると、感知フロート28が自重により前下がり状態なるため、この感知フロート28の姿勢をフロート揺動角検出ポテンショ81を介して検出し、感知フロート28が水平状態になるように、制御部76が昇降バルブ77を介して植付作業機4を昇降駆動させる。
【0045】
上記感度調節ダイヤル79は、感知フロート28の上下揺動感度の設定を行う操作具である。具体的には、感知フロート28の上面前部側にs感知フロート28を上下揺動させるために必要な荷重を変更可能な油圧作動機器が設けられており、この油圧作動機器の調整操作を感度調節ダイヤル79によって行う。これによって、感知フロート28の接地検出感度が設定される。
【0046】
上記整地作業機高さ検出ポテンショ82は、回動軸64と一体で上下揺動するように回動軸64に後方突出状態で取付固定された板状の整地作業機検出側支持体87に設置されている。この整地作業機高さ検出ポテンショ82は、検出軸が整地作業機側検出リンク88によって、上述の操作軸47に機械的に連結され、操作軸47に対する相対的な回動軸64の回動位置が検知可能に構成されている。該回動位置の検知によって、上述の構成により、フロート28に対する(植付深さに対する)相対的な整地作業機6の上下位置(高さ)が検出できる。
【0047】
上記整地作業機昇降ダイヤル78によって、整地作業機6の植付深さに対する相対的な高さが設定されると、制御部76は、整地作業機高さ検出ポテンショ82の検出結果に基づいて、昇降モータ72により、設定された所定高さに整地作業機6を昇降駆動させる。
【符号の説明】
【0048】
3 走行機体
4 植付作業機
6 整地作業機
23 苗載せ台
24 植付部
27 変更レバー
31 調整レバー
33 昇降作動機構
34 連動機構
72 昇降モータ(アクチュエータ)
82 整地作業機高さ検出ポテンショ(高さセンサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体(3)と、該走行機体(3)の後方に配置されて苗を載せる苗載せ台(23)と、該苗載せ台(23)の下方に配置されて苗載せ台(23)上の苗を掻き取って圃場に植付ける植付部(24)と、該植付部(24)の前方に配置されて圃場を整地する整地作業機(6)と、整地作業機(6)を昇降作動させる昇降作動機構(33)と、植付部(24)の対地高さを変更して植付深さを調整する調整レバー(31)と、調整レバー(31)による植付部(24)の対地高さの変更に整地作業機(6)の昇降高さを連動させる連動機構(34)と、苗載せ台(23)と植付部(24)との距離を変更して植付部(24)による苗載せ台(23)からの苗の掻き取り量を変更する変更レバー(27)とを備え、苗載せ台(23)と植付部(24)によって走行機体(3)の後方に配置される植付作業機(4)の少なくとも一部を構成し、該植付作業機(4)の左右の一方側に、昇降作動機構(33)及び連動機構(34)を配置するとともに、他方側に調整レバー(31)及び変更レバー(27)を配置してなる移植機。
【請求項2】
昇降作動機構(33)に植付深さを変更すること無く整地作業機(6)の昇降高さを変更させるアクチュエータ(72)を設け、整地作業機(6)の高さを検出する高さセンサ(82)を植付深さの変更に応じて姿勢が変更されるように支持することにより植付深さに対する整地作業機(6)の相対的な高さを検出可能に構成した請求項1の移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−187638(P2010−187638A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38105(P2009−38105)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】