説明

積層スクリーンを有する可視ディスプレイの奥行き移動の制御

【課題】特定スクリーンの2次元平面から別のスクリーンへ可視インジケータを移動する方法を提供する。
【解決手段】マルチレベルの可視ディスプレイシステムは、奥行き方向に離間された複数のスクリーン1,2を有する。ユーザは、マウスボタンのような入力装置によりこれらスクリーン1,2間でカーソル3のような可視インジケータを移動することができる。描画アプリケーションでは、2つのスクリーン間に線のような可視的リンクを形成することができる。ゲームアプリケーションでは、ユーザは、スクリーン間にカーソルを移動しながらカーソルをドラッグすることによりスクリーン1,2内及びそれらの間で像を移動して、3次元的移動の幻影を与えることができる。スクリーン1,2は、積層された液晶ディスプレイより成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視ディスプレイシステムに係る。より詳細には、本発明は、物理的に離間配置されたマルチレベルスクリーンを含む可視ディスプレイシステムに係る。
【背景技術】
【0002】
このようなスクリーンが、PCT出願第PCT/NZ98/00098号及び第PCT/NZ99/00021号に開示されている。
これらの装置は、選択的透明スクリーンの多数の層を組合せることにより形成される。各スクリーンは、像を表示することができる。好ましい実施形態では、スクリーン層は、液晶ディスプレイである。好ましくは、スクリーンは、それらの間に予め設定された距離をおいて互いに平行に整列される。
この装置では、見る者から離れたスクリーン(背景スクリーン)に表示された像が、見る者の近くのスクリーン(前景スクリーン)に表示された像よりもある距離後方に見える。前景スクリーンの透明部分は、見る者が、背景スクリーンに表示された像を見ることができるようにする。
【0003】
多数のスクリーンを許すこの構成は、像を多数のレベルで表示できるようにし、ガラスやレンズを使用せずに見る者に真の奥行きを与える。
現在までに、マルチレベルスクリーンに可視シーケンスを形成するソフトウェアが書かれている。これらシーケンスは、主として受動的で、双方向作用のためではなく主として見るためのものである。
これらシーケンスの視覚効果は、壮観であるが、マルチレベルスクリーンディスプレイの潜在的な使用を更に探求できることが望まれる。
【発明の開示】
【0004】
本発明の目的は、この問題に対処し、即ち少なくとも大衆に有用な選択を与えることである。
本発明の特徴を以下に一例として述べる。
本発明の1つの特徴によれば、2次元平面を各々有する物理的に離間されたマルチレベルスクリーンと、可視インジケータと、入力装置と、ユーザ選択可能な入力とを備えた可視ディスプレイシステムにおいて、ユーザは、ユーザ選択可能な入力を使用して、特定スクリーンの2次元平面から入力装置を経て可視インジケータを移動できることを特徴とする可視ディスプレイシステムが提供される。
本発明の別の特徴によれば、2次元平面を各々有する物理的に離間されたマルチレベルスクリーンと、可視インジケータと、入力装置と、ユーザ選択可能な入力とを備えた可視ディスプレイシステムの使用方法において、ユーザは、ユーザ選択可能な入力を使用して、特定スクリーンの2次元平面から別のスクリーンへ可視インジケータを移動する段階を含むことを特徴とする方法が提供される。
【0005】
本発明の1つの特徴によれば、上記可視ディスプレイシステムを動作する命令を含む媒体が提供される。
本発明の好ましい実施形態では、マルチレベルスクリーンは、PCT出願第PCT/NZ98/00098号及び第PCT/NZ99/00021号に開示されたものと同様であるが、これに限定されるものではない。
「2次元平面」という用語は、通常の表示スクリーン上のスクリーンと同様に、特定のスクリーン上の有効ビュー平面を指す。
可視インジケータは、いかなる形式の指示子でもよく、例えば、カーソル、像、アイコン、又はスクリーン像である。可視インジケータは、ある入力メカニズムによりシステムのユーザに応答して移動し得る何かであると考えられる。
【0006】
入力装置は、任意の適当な入力装置、例えば、マウス、タブレットデータグローブ、キーボード、タッチスクリーン、ジョイスティック、トラックボール、ペン、スタイラス、タッチパッド、音声、等々である。
ユーザ選択可能な入力は、入力装置を経てディスプレイ装置を動作するソフトウェアのオペレーションをユーザが行えるようにする入力である。
例えば、入力装置がマウスである場合には、ユーザ選択可能な入力は、マウスボタンである。入力装置がジョイスティックである場合には、ユーザ選択可能な入力は、トリガーである。ユーザ入力がキーボードである場合には、ユーザ選択可能な入力は、矢印キーであり、等々となる。
【0007】
本発明は、グラフィック業界において広範囲に利用できると考えられる。それ故、本発明の1つの実施形態は、ペン又はスタイラスとして入力装置をもつことにより、これら業界において本発明を完全に利用できることが考えられる。
ある実施形態では、ユーザ選択可能な入力は、実際には、入力装置とは独立したタッチスクリーンにおけるソフトウェアボタンである。これは、標準的な入力装置及びドライバーを変更せずに使用できるようにする。
本発明の更に別の実施形態では、入力装置は、マウスと称されねばならず、そしてユーザ選択可能な入力は、マウスボタンと称されねばならない。マウスボタンは、マウス上の既存のボタンでよく、又ある実施形態では、本発明に使用するための専用ボタンでもよい。
本発明は、これに限定されるものではない。
【0008】
可視インジケータは、ここでは、カーソルと称されるが、これに限定されるものでもない。
ユーザは、マウスを使用して、通常のソフトウェアで達成できるようにディスプレイスクリーンの周りにカーソルを移動することができる。しかしながら、本発明の1つの実施形態では、ユーザは、特定のマウスボタンをクリックして、可視インジケータをあるスクリーンから別のスクリーンへ移動することができる。1つの実施形態では、3ボタンマウスの中央ボタン又は構成可能なボタンが使用されるが、これに限定されるものではない。
好ましい実施形態では、カーソル位置を制御するソフトウェアが通常のマウスドライブを補足する。
【0009】
それ故、プログラムは、標準的なマウスドライブコマンドで通常に実行できるが、スクリーン間のカーソル位置は、マウスからの付加的な入力に応答する補足プログラムの双方向作用の結果として変化し得る。
この能力は、どちらのスクリーンが選択されてもそれと双方向作用できる入力装置をもつことに関して、ユーザが異なるスクリーンと実際に双方向作用しそして別々のスクリーン上で作業できるようにする。この特徴の効果は、自明である。
ある実施形態では、あるスクリーンから別のスクリーンへの2次元平面の移動が個別の行われ、可視インジケータは、あるスクリーンから別のスクリーンへ単にジャンプし、そしてz軸が変化するだけで同じx−y座標となることが明らかである。
【0010】
他の実施形態では、あるスクリーンから他のスクリーンへの移動の結果として認知される直線的移動がより多く得られる。
例えば、本発明は、描画パッケージに関連して使用することができる。描画する個人は、マウス及びカーソルを使用して可視装置のフロントスクリーンに描き始める。
次いで、個人は、本発明により許された3次元クオリティの効果を活用して、z方向に効果的に描くことを希望する(x及びy軸は、2次元スクリーンにおいて既に描かれている)。これは、ユーザがマウスボタンをクリックしてカーソルを効果的にドラッグし、現れる像(例えば線)があるスクリーンから他のスクリーンへ見掛け上通過し、フロントスクリーンと、別のスクリーン又は背景スクリーンとの間に可視ブリッジを形成するようにして行うことができる。
【0011】
本発明の他の実施形態では、この能力は、特定の全スクリーン像に使用される。例えば、本発明は、対話式ゲームに使用され、ユーザがシーン内の深部に移動するという印象を与えることができる。例えば、ユーザは、ゲームにおいて飛行機を飛ばし、ユーザがゲームにおいて前方に移動すると、像が背景スクリーンから前景スクリーンへと通過し、完全に移動するという幻影を与える。この実施形態では、可視インジケータが像であり、そして入力装置がジョイスティックである。
本発明の特徴は、添付図面を参照して一例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1a及び図1bは、本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】図2a及び図2bは、本発明の第2の実施形態を示す図である。
【図3】図3a及び図3bは、本発明の第3の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1a及び1bは、本発明の一実施形態のある様式化バージョンを示す図である。この図は、前景スクリーン1と、背景スクリーン2を示す。
2つのスクリーンのみを参照するのは、一例に過ぎず、本発明は、多数のスクリーンに関連して機能し得ることを理解されたい。
図1aは、前方の前景スクリーン1においてカーソル矢印の形態の可視インジケータ3の位置を示している。
本発明のこの実施形態では、マウスボタンを単にクリックすると、カーソル3が、前景スクリーンと厳密に同じxy座標であるが背景スクリーン2に配置されて現れる。
【0014】
従って、この実施形態では、ユーザ選択可能な入力は、単にz軸におけるスクリーン間の直接的な転置である。
図2も、同様に前景スクリーン1及び背景スクリーン2を示す。図2aでは、三角形4が前景スクリーン1のxy2次元平面に描かれている。
図2bでは、三角形4に奥行きを与えるために、ユーザは、xy方向に像を選択してドラッグし、背景スクリーン2に三角形5の像を与えるだけでなく、立体的に見える表示を見つけるためにz軸6にも平面を与える。スクリーンは、物理的に全く個別であるから、精巧なソフトウェア陰影付け技術により立体壁6の幻影が得られる。
図3も、前景スクリーン1及び背景スクリーン2を示す。
【0015】
本発明のこの実施形態は、3次元風景を通して移動するのに使用できる。例えば、図3には、前景スクリーンに花7が描かれており、そして背景スクリーン2に木8及び雲9が配置されている。
次いで、ユーザは、入力装置を使用して、シーンを通して視覚的に有効に移動することができる。これは、図3aに描かれた花を、図3bに示すように前景スクリーンから消す。又、木8を背景スクリーン2から前景スクリーン1へ移動させる。背景にある雲9は、背景スクリーン2に留まる。
従って、本発明は、ユーザとスクリーンとの間に著しい量の双方向作用を許すことが明らかである。
以上、本発明を一例として説明したが、本発明の範囲から逸脱せずに、変更や追加がなされ得ることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスクリーンと、可視インジケータと、入力装置と、ユーザ選択可能な入力とを備えた可視ディスプレイシステムであって、
前記複数のスクリーンは、重ねられた構成であって、かつ、物理的に互いに離間させられており、
前記複数のスクリーンは、少なくとも前景スクリーンと背景スクリーンとを含んでおり、
そして、前記複数のスクリーンは、前記背景スクリーンに表示された像が、前記前景スクリーンにおける透明部分を通して視認可能となる構成とされており、
さらに、各スクリーンは、2次元の有効な視認用の平面を有しており、
この可視ディスプレイシステムは、以下を特徴とする:
前記ユーザ選択可能な入力は、前記入力装置を介して、前記可視インジケータを、ある特定のスクリーンにおける2次元平面から、他のスクリーンへ移動させることができるようになっている。
【請求項2】
上記可視インジケータは、カーソルである請求項1に記載の可視ディスプレイシステム。
【請求項3】
上記入力装置は、マウスである請求項1又は2に記載の可視ディスプレイシステム。
【請求項4】
上記ユーザ選択可能な入力は、マウスボタンである請求項1ないし3のいずれかに記載の可視ディスプレイシステム。
【請求項5】
前記入力装置は、ペンである請求項1又は2に記載の可視ディスプレイシステム。
【請求項6】
上記可視インジケータをあるスクリーンから別のスクリーンへ移動させるために上記入力装置のソフトウェアドライバを補足するソフトウェアを備えた、請求項1〜5のいずれか1項に記載の可視ディスプレイシステム。
【請求項7】
上記のそれぞれのスクリーンは、2次元平面内においてx及びy座標を持っており、上記可視インジケータは、異なるスクリーンであるが同じx−y座標に、ユーザによって移動させられるようになっている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の可視ディスプレイシステム。
【請求項8】
上記可視インジケータは、スクリーン像である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の可視ディスプレイシステム。
【請求項9】
複数のスクリーンを有する可視ディスプレイシステムを用いる方法であって、
前記可視ディスプレイシステムは、複数のスクリーンを備えており、
前記複数のスクリーンは、重ねられた構成であって、かつ、物理的に互いに離間させられており、
前記複数のスクリーンは、少なくとも前景スクリーンと背景スクリーンとを含んでおり、
そして、前記複数のスクリーンは、前記背景スクリーンに表示された像が、前記前景スクリーンにおける透明部分を通して視認可能となる構成とされており、
さらに、各スクリーンは、2次元の有効な視認用の平面を有しており、
この可視ディスプレイシステムは、さらに、可視インジケータと、入力装置と、ユーザ選択可能な入力とを備えており、
さらに、この方法は、ユーザ選択可能な入力を用いて、前記入力装置を介して、前記可視インジケータを、ある特定のスクリーンにおける2次元平面から、他のスクリーンへ移動させるステップを備えている。
【請求項10】
上記可視インジケータは、カーソルである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
上記入力装置は、マウスである請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
上記ユーザ選択可能な入力は、マウスボタンである請求項9ないし11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記入力装置は、ペンである請求項9又は10に記載の方法。
【請求項14】
上記可視インジケータをあるスクリーンから別のスクリーンへ移動させるために上記入力装置のソフトウェアドライバを補足するソフトウェアを備えた請求項9ないし13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
上記のそれぞれのスクリーンは、2次元平面内においてx及びy座標を持っており、上記可視インジケータは、異なるスクリーンであるが同じx−y座標に、ユーザにより移動できる請求項9ないし14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
上記可視インジケータは、スクリーン像である請求項9ないし15のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−259259(P2009−259259A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141920(P2009−141920)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【分割の表示】特願2001−519417(P2001−519417)の分割
【原出願日】平成12年8月18日(2000.8.18)
【出願人】(505000745)ピュアデプス リミテッド (6)
【Fターム(参考)】