説明

積層セラミック電子部品及びその製造方法

【課題】本発明は、還元雰囲気の熱処理を要しない積層セラミック電子部品及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明は、内部電極及び外部電極の材料として導電性酸化物を使用し、外部電極上に弾性を有する導電層を形成することを特徴とする。本発明による積層セラミックキャパシタは、大気雰囲気下で焼成を行うことができるため、製造工程が単純になり、製造費用が節減されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミック電子部品及びその製造方法に関するもので、具体的には、還元雰囲気の熱処理を要しない積層セラミック電子部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、キャパシタ、インダクタ、圧電体素子、バリスタ又はサーミスタ等のセラミック材料を用いる電子部品は、セラミック材料からなるセラミック本体と、本体内部に形成された内部電極と、上記内部電極と接続されるようにセラミック本体表面に設置された外部電極と、を具備する。
【0003】
内部電極は、セラミックシート上に印刷されて形成される。また、内部電極の材料としては、パラジウム、銀のような貴金属を用いることもできるが、この場合、製造費用が非常に高くなり得る。
【0004】
このような問題を解決するため、ニッケル等のベースメタルを使用してきたが、空気中で焼成する場合、内部電極が酸化される問題がある。
【0005】
内部電極の酸化を防止するためには、焼成雰囲気を還元雰囲気に維持しなければならないため、技術的側面及び費用側面で負担が発生する。
【0006】
また、誘電体層の焼結性の差異、熱膨張係数の差異等により、金属とセラミック層との間には不整合が発生することがあるため、これを制御できる精密な熱処理技術が必要である。
【0007】
なお、繰り返し熱履歴を経ると、本質的にセラミックと金属とが接する界面には熱膨張係数の差異によってクラック等の欠陥が発生する蓋然性が常に存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、還元雰囲気の熱処理を要しない積層セラミック電子部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、セラミック本体と、上記セラミック本体内部に積層配置され、第1導電性酸化物を含む内部電極と、上記セラミック本体外部面に形成され、上記内部電極に接続され、第2導電性酸化物を含む外部電極と、を含むことができる。
【0010】
上記第1及び第2導電性酸化物は、インジウム−すず酸化物またはルテニウム酸化物であることができる。
【0011】
上記第1及び第2導電性酸化物は、同一材料からなることができる。
【0012】
上記外部電極上に導電層が形成されることができる。
【0013】
上記導電層は、導電性金属及び有機重合体を含むことができる。
【0014】
上記導電性金属は、金、銀、銅、ニッケル及びこれらの合金からなるグループのうち選択されたいずれか一つであることができ、上記有機重合体は、エポキシ樹脂であることができ、より具体的には、上記導電層は、銀−エポキシ樹脂層であることができる。
【0015】
上記導電層上にめっき層が形成されることができる。
【0016】
上記めっき層は、ニッケルめっき層またはすずめっき層であることができる。
【0017】
本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法は、第1導電性酸化物を含む第1ペーストでセラミックグリーンシート上に内部電極を形成する段階と、上記セラミックグリーンシートを積層及び切断して得られたグリーンチップを製造する段階と、上記グリーンチップを焼成して焼成チップを製造する段階と、第2導電性酸化物を含む第2ペーストで上記焼成チップの外部面に外部電極を形成する段階と、を含むことができる。
【0018】
上記第1ペーストの粘度は、上記第2ペーストの粘度より小さいことができる。
【0019】
上記内部電極及び上記外部電極は、互いに異なる方式によって形成されることができる。
【0020】
上記内部電極は印刷方式によって形成され、上記外部電極はディッピング方式によって形成されることができる。
【0021】
上記焼成は空気中で行われることができる。
【0022】
上記第1及び第2導電性酸化物は、インジウム−すず酸化物またはルテニウム酸化物であることができる。
【0023】
上記第1及び第2導電性酸化物は、同一材料からなることができる。
【0024】
上記外部電極上に導電層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0025】
上記導電層は導電性金属及び有機重合体を含むことができる。
【0026】
上記導電性金属は、金、銀、銅、ニッケル及びこれらの合金からなるグループのうち選択されたいずれか一つであることができ、上記有機重合体は、エポキシ樹脂であることができ、より具体的には、上記導電層は、銀−エポキシ樹脂層であることができる。
【0027】
上記導電層上にめっき層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0028】
上記めっき層は、ニッケルめっき層またはすずめっき層であることができる。
【0029】
本実施形態の他の側面による積層セラミック電子部品の製造方法は、第1導電性酸化物を含む第1ペーストでセラミックグリーンシート上に内部電極を形成する段階と、上記セラミックグリーンシートを積層及び切断してグリーンチップを製造する段階と、第2導電性酸化物を含む第2ペーストで上記グリーンチップの外部面に外部電極を形成する段階と、上記グリーンチップを焼成する段階と、を含むことができる。
【0030】
上記第1ペーストの粘度は、上記第2ペーストの粘度より小さいことができる。
【0031】
上記内部電極及び上記外部電極は、互いに異なる方式によって形成されることができる。
【0032】
上記内部電極は印刷方式によって形成され、上記外部電極はディッピング方式によって形成されることができる。
【0033】
上記焼成は空気中で行われることができる。
【0034】
上記第1及び第2導電性酸化物は、インジウム−すず酸化物またはルテニウム酸化物であることができる。
【0035】
上記第1及び第2導電性酸化物は、同一材料からなることができる。
【0036】
上記外部電極上に導電層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0037】
上記導電層は導電性金属及び有機重合体を含むことができる。
【0038】
上記導電性金属は、金、銀、銅、ニッケル及びこれらの合金からなるグループのうち選択されたいずれか一つであることができ、上記有機重合体は、エポキシ樹脂であることができ、より具体的には、上記導電層は、銀−エポキシ樹脂層であることができる。
【0039】
上記導電層上にめっき層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0040】
上記めっき層はニッケルめっき層またはすずめっき層であることができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によると、積層セラミック電子部品の製造過程のうち焼成段階で還元雰囲気を維持する必要がないため、製造工程が単純になることができる。また、金属とセラミックとの間に発生できる不整合の問題、内部電極の酸化問題等を容易に解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の斜視図である。
【図2】図1のX−X’に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。但し、本発明の実施形態は、他の様々な形態に変形されることができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態に限定されるものではない。
【0044】
また、本発明の実施形態は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するため、提供されるものである。
【0045】
従って、図面における要素の形状及びサイズ等は、より明確な説明のため、誇張されることがあり、図面上における同一符号で示される要素は同一要素である。
【0046】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の斜視図である。本実施形態による積層セラミック電子部品は、セラミック本体10と、外部電極21a、22aと、内部電極31、32と、を含むことができる。
【0047】
積層セラミック電子部品としては、積層セラミックキャパシタ、チップインダクタ、チップビーズ等があることができる。ここでは、積層セラミックキャパシタを例に挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0048】
セラミック本体10は直方体であることができる。図1の「L」方向は「長さ方向」、「W」方向は「幅方向」、「T」方向は「厚さ方向」であることができる。
【0049】
一般的に、セラミック本体10は長さが幅及び厚さより大きいことができ、幅及び厚さは同一であることもできる。
【0050】
セラミック本体10は、高い誘電率を有するセラミック材料からなることができ、これに制限されるものではないが、チタン酸バリウム(BaTiO)系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO)系材料等を用いることができる。
【0051】
上記セラミック本体10は、複数のセラミック誘電体層40を積層させた後に焼結させたもので、隣接する誘電体層40同士は境界が確認できないほど一体化されることができる。
【0052】
内部電極31、32は、一端がセラミック本体10の一面に露出するように形成されることができる。上記内部電極31、32のうち、いずれか一方の内部電極31の一端がセラミック本体10の一面に露出するように形成されると、それと隣接する内部電極32の一端はセラミック本体10の反対側の面に露出するように形成されることができる。
【0053】
内部電極31、32は、一般的に導電性金属、バインダー及び溶剤を含むペーストをセラミックグリーンシート上に印刷した後、これを焼成して形成されることができる。
【0054】
本実施形態の内部電極31、32は、導電性金属の代わりに導電性酸化物を含むことができる。以下では、内部電極31、32をなす導電性酸化物を「第1導電性酸化物」とする。
【0055】
内部電極31、32の材料として導電性酸化物を用いた理由は以下の通りである。即ち、内部電極31、32としてニッケル等のベースメタルを用いる場合には、焼成過程においてニッケルが酸化されることがあり、これにより、内部電極31、32の電気伝導度が減少する問題が発生することがある。
【0056】
このような問題を解決するため、焼成過程の雰囲気を還元雰囲気に維持しなければならないという更なる負担があるが、内部電極31、32に導電性酸化物を適用すると、焼成雰囲気を還元雰囲気に維持する必要がなく、空気中で焼成を行っても問題ない。
【0057】
導電性酸化物の室温比抵抗は1×10−2Ωcm以下であることができる。
【0058】
第1導電性酸化物はインジウム−すず酸化物またはルテニウム酸化物であることができる。具体的には、RuO、IrO、ReO、SrVO、SrRuO、SrMoO、CaRuO、BaRuO、PbRuO、BiRuO、LaTaO、BiRuであることができる。
【0059】
インジウム−すず酸化物、いわゆるITO(Indium Tin Oxide)は、タッチスクリーン等ディスプレイパネルの透明電極物質として多く利用されている導電性酸化物である。
【0060】
バインダーとしては、ポリビニルブチラール、エチルセルロース等の高分子樹脂を用いることができる。内部電極用導電性ペーストの溶剤は、特に制限されず、例えば、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン等を用いることができる。
【0061】
内部電極31、32は、スクリーン印刷またはグラビア印刷等の方法でセラミックグリーンシート上に形成されることができる。
【0062】
外部電極21a、22aは、上記セラミック本体10の長さ方向の両側面に形成されることができる。外部電極21a、22aは、セラミック本体10の一面に露出した内部電極31、32と電気的に連結されることができる。
【0063】
本実施形態の外部電極21a、22aは、導電性酸化物を含むことができる。以下では、外部電極21a、22aをなす導電性酸化物を「第2導電性酸化物」とする。
【0064】
一般的に、外部電極21a、22aは、導電性金属及びガラスフリットを含む導電性ペーストを用いて形成されることができる。本実施形態においては導電性金属を導電性酸化物に代替した。
【0065】
外部電極21a、22aの材料として、導電性酸化物を用いたのは、導電性セラミック酸化物からなる内部電極31、32との連結性を安定的に確保するためである。
【0066】
金属及びセラミックは、それぞれの内部構造及び原子状態が相違しているため、金属とセラミックとを接続して連結することは容易ではない。また、金属とセラミックとが接続されたとしても、金属の熱膨張係数がセラミックの熱膨張係数より大きいため、繰り返し熱履歴を経る場合、金属の膨張及び収縮程度がより激しくなり、金属とセラミックとの界面ではクラックが発生しやすく、これにより、金属とセラミックとの連結性が低下してキャパシタの容量低下につながることがある。
【0067】
第2導電性酸化物は、インジウム−すず酸化物またはルテニウム酸化物であることができる。
【0068】
第1導電性酸化物及び第2導電性酸化物は、同一材料からなることができる。
【0069】
内部電極31、32及び外部電極21a、22aが同一材料からなると、内部電極31、32と外部電極21a、22aとの界面での付着性に優れて内部電極31、32と外部電極21a、22aとの連結性をより安定的に確保することができる。
【0070】
外部電極21a、22a上には導電層21b、22bが形成されることができる。
【0071】
導電層21b、22bは、導電性はもちろん、弾性を有することができる。外部電極21a、22aは、導電性酸化物からなるため、外部衝撃に対して耐性が弱い。このような弱点を補完するため、弾性を有する導電層21b、22bを外部電極上に塗布することによって、外部衝撃が導電層21b、22bにおいて吸収されるようにして外部電極21a、22aを保護することができる。
【0072】
導電層21b、22bは、導電性金属及び有機重合体を含むことができる。
【0073】
導電性金属は導電層21b、22bに導電性を、有機重合体は導電層21b、22bに弾性を与えることができる。
【0074】
導電性金属は、金、銀、銅、ニッケル及びこれらの合金からなるグループのうち選択されたいずれか一つであることができる。
【0075】
有機重合体はエポキシ樹脂であることができる。但し、導電層21b、22bに弾性を与えるものであれば、他の樹脂も用いることができる。この場合、硬化剤の量を調節して導電層21b、22bの弾性を調節することができる。即ち、硬化剤の量が少ないほど、導電層21b、22bの弾性が向上することができる。
【0076】
導電層21b、22b上にはめっき層21c、22cが形成されることができる。積層セラミック電子部品にめっき層21c、22cを形成することで、基板に実装する際、外部電極21a、22aと端子との半田付けを容易にすることができる。
【0077】
めっき層21c、22cは、ニッケルめっき層またはすずめっき層であることができる。
【0078】
本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法は、第1導電性酸化物を含む第1ペーストでセラミックグリーンシート上に内部電極31、32を形成する段階と、上記セラミックグリーンシートを積層及び切断して得られたグリーンチップを製造する段階と、上記グリーンチップを焼成して焼成チップを製造する段階と、第2導電性酸化物を含む第2ペーストで上記焼成チップの外部面に外部電極21a、22aを形成する段階と、を含むことができる。
【0079】
第1ペーストの粘度は、第2ペーストの粘度より小さいことができ、内部電極31、32及び外部電極21a、22aは、互いに異なる方式によって形成されることができる。具体的には、内部電極31、32は印刷方式によって形成され、外部電極21a、22aはディッピング方式によって形成されることができる。
【0080】
内部電極31、32はスクリーン印刷方式によって形成されることができるが、外部電極21a、22aはディッピング方式によって形成されることができる。
【0081】
内部電極31、32及び外部電極21a、22aを形成する工程の特性上(スクリーン印刷方式vs.ディッピング方式)、内部電極31、32を形成するのに用いられる第1ペーストの粘度は、外部電極を形成するのに用いられる第1ペーストの粘度より小さいことができる。
【0082】
焼成は空気中で行われることができる。
【0083】
内部電極31、32は、導電性酸化物で形成されて焼成過程を還元雰囲気に維持する必要がないため、工程が単純になることができ、製造費用が節減されることができる。
【0084】
また、空気中で焼成する際、還元雰囲気下において誘電材料の絶縁特性低下を抑制するために誘電材料に添加される希土類元素等の添加剤を用いる必要がない。
【0085】
外部電極21a、22a上に導電層21b、22bを形成する段階をさらに含むことができる。
【0086】
また、導電層21b、22b上にめっき層21c、22cを形成する段階をさらに含むことができる。
【0087】
その他第1及び第2導電性酸化物、導電層21b、22b、めっき層21c、22cに関する事項は前述した通りである。
【0088】
本実施形態の他の側面による積層セラミック電子部品の製造方法は、第1導電性酸化物を含む第1ペーストでセラミックグリーンシート上に内部電極31、32を形成する段階と、上記セラミックグリーンシートを積層及び切断してグリーンチップを製造する段階と、第2導電性酸化物を含む第2ペーストで上記グリーンチップの外部面に外部電極21a、22aを形成する段階と、上記グリーンチップを焼成する段階と、を含むことができる。
【0089】
本側面の最も大きな特徴は、内部電極31、32及び外部電極21a、22aを同時に焼成することができる点である。
【0090】
即ち、グリーンチップを焼成した後、焼成チップに外部電極21a、22aを形成するのではなく、グリーンチップに外部電極21a、22aを形成した後に焼成することで、内部電極31、32及び外部電極21a、22aを同時に焼成することができる。
【0091】
第1及び第2ペーストの粘度、内部電極31、32及び外部電極21a、22aの形成方式、第1及び第2導電性酸化物、導電層21b、22b、めっき層21c、22c等に関する事項は前述した通りである。
【実施例】
【0092】
実施例の積層セラミックキャパシタは、以下のような方法によって用意された。
【0093】
まず、チタン酸バリウム粉末にエタノールやバインダー等の添加剤を混合しボールミリングしてセラミック粉末が均一に分散されたセラミックスラリーを製造し、ドクターブレード方法を利用してキャリアフィルム上にセラミックスラリーを塗布及び乾燥して焼結後の厚さが20umになるようにセラミックグリーンシートを製造した。
【0094】
次に、ITO粉末に溶媒、バインダー等の添加剤を添加しボールミリングしてITOが均一に分散された内部電極用ペーストを用意した。また、バインダーの含量を少なくして粘度の低い外部電極用ペーストを別途に用意した。これは、ディッピング方式で外部電極を形成するためである。
【0095】
内部電極及び外部電極の材料は同一であるが、バインダーの含量によってペーストの粘度が異なるようにした。
【0096】
続いて、内部電極用ペーストでセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷法を用いて内部電極を形成し、セラミックグリーンシートを積層して積層体を形成し、積層体を85℃で1.000kgf/cmの圧力によって等圧圧縮成形(isostatic pressing)した後、積層体を切断してグリーンチップを用意した。
【0097】
グリーンチップを外部電極用ペーストにディッピング及び乾燥してグリーンチップの外部面に外部電極を形成した。
【0098】
外部電極が形成されたグリーンチップを大気雰囲気下において230℃で60時間維持する脱バインダー工程を経た後、1200℃の大気雰囲気で焼成して内部電極及び外部電極を同時に焼成した。
【0099】
銀(Ag)−エポキシ導電性ペーストで外部電極上に導電層を形成し、導電層上には電気めっきによってすずめっき層を形成した。
【0100】
比較例については、上記実施例との差異点を主に説明する。
【0101】
比較例1及び2は、両方とも内部電極としては、ニッケルを使用しており、外部電極としては、銅を主成分として使用した。
【0102】
比較例の場合、グリーンチップを焼成して焼成チップを用意した後、焼成チップの外部面に外部電極を形成した。
【0103】
比較例1の場合、還元雰囲気(Ni/NiOの平形酸素分圧より低い10−11〜10−10atm)下の900℃で焼成しており、比較例2の場合、比較例1と同一温度の大気雰囲気下で焼成を行った。
【0104】
積層セラミックキャパシタは、容量が10uFになるように設計された。
【0105】
上記のような方法で用意した積層セラミックキャパシタに対し、内部電極の比抵抗及びキャパシタの容量を測定比較して表1に示した。
【0106】
比較例及び実施例それぞれ50個の試片に対して測定した平均値を示した。
【0107】
【表1】

【0108】
表1を参照すると、比較例1は内部電極としてニッケルを使用し、還元雰囲気で焼成を行った場合で、内部電極の比抵抗は1.24×10Ωcm、キャパシタの容量は10.5uFである。
【0109】
一方、比較例2は内部電極としてニッケルを使用し、空気中で焼成を行った場合で、内部電極の比抵抗は5.4×1011Ωcm、容量は0.01uFである。比較例2ではキャパシタの容量が殆ど形成されなかった。
【0110】
比較例2は比抵抗の値が比較例1より約10程度大きく測定されたが、これは空気中で焼成したため、内部電極として用いられたニッケルが酸化されたためである。また、これにより、キャパシタの静電容量も殆ど形成されなかったことが分かる。
【0111】
実施例は内部電極として導電性酸化物のITOを使用し、空気中で焼成を行った場合で、内部電極の比抵抗は1.52×10Ωcm、キャパシタの容量は10.1uFである。
【0112】
比較例1と比べると、実施例は空気中で焼成を行ったが、内部電極の比抵抗やキャパシタの容量に大きな差異がない。これは、内部電極として導電性酸化物のITOを使用することで、内部電極の酸化による抵抗増加が発生しなかったためである。
【0113】
実施例の比抵抗が比較例1よりやや大きい理由は、導電性酸化物自体の導電性がニッケル金属より小さいためである。
【0114】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面により限定されず、添付の請求の範囲により限定される。従って、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を外れない範囲内で当該技術分野における通常の知識を有する者による多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これもまた、本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0115】
10 セラミック本体
21、22 端子電極
21a、22a 外部電極
21b、22b 導電層
21c、22c めっき層
31、32 内部電極
40 誘電体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック本体と、
前記セラミック本体の内部に積層配置され、第1導電性酸化物を含む内部電極と、
前記セラミック本体の外部面に形成され、前記内部電極に接続され、第2導電性酸化物を含む外部電極と、
を含む、積層セラミック電子部品。
【請求項2】
前記第1及び第2導電性酸化物は、インジウム−すず酸化物またはルテニウム酸化物である、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項3】
前記第1及び第2導電性酸化物は、同一材料からなる、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項4】
前記外部電極上に導電層が形成される、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項5】
前記導電層は、導電性金属及び有機重合体を含む、請求項4に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項6】
前記導電性金属は、金、銀、銅、ニッケル及びこれらの合金からなる、請求項5に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項7】
前記有機重合体は、エポキシ樹脂である、請求項5に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項8】
前記導電層は、銀−エポキシ樹脂層である、請求項4に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項9】
前記導電層上にめっき層が形成される、請求項4に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項10】
前記めっき層は、ニッケルめっき層またはすずめっき層である、請求項9に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項11】
第1導電性酸化物を含む第1ペーストでセラミックグリーンシート上に内部電極を形成する段階と、
前記セラミックグリーンシートを積層及び切断して得られたグリーンチップを製造する段階と、
前記グリーンチップを焼成して焼成チップを製造する段階と、
第2導電性酸化物を含む第2ペーストで前記焼成チップの外部面に外部電極を形成する段階と、
を含む、積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項12】
前記第1ペーストの粘度は、前記第2ペーストの粘度より小さい、請求項11に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記内部電極は、印刷方式によって形成される、請求項11に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記外部電極は、ディッピング方式によって形成される、請求項11に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項15】
前記焼成は、空気中で行われる、請求項11に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記第1及び第2導電性酸化物は、同一材料からなる、請求項11に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項17】
前記外部電極上に導電層を形成する段階をさらに含む、請求項11に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項18】
前記導電層は、導電性金属及び有機重合体を含む、請求項17に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項19】
前記導電性金属は、金、銀、銅、ニッケル及びこれらの合金からなるグループのうち選択されたいずれか一つである、請求項18に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項20】
前記有機重合体は、エポキシ樹脂である、請求項18に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項21】
前記導電層は、銀−エポキシ樹脂層である、請求項17に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項22】
前記導電層上にめっき層を形成する段階をさらに含む、請求項17に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項23】
前記めっき層は、ニッケルめっき層またはすずめっき層である、請求項22に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項24】
第1導電性酸化物を含む第1ペーストでセラミックグリーンシート上に内部電極を形成する段階と、
前記セラミックグリーンシートを積層及び切断してグリーンチップを製造する段階と、
第2導電性酸化物を含む第2ペーストで前記グリーンチップの外部面に外部電極を形成する段階と、
前記グリーンチップを焼成する段階と、
を含む、積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項25】
前記第1ペーストの粘度は、前記第2ペーストの粘度より小さい、請求項24に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項26】
前記内部電極は、印刷方式によって形成される、請求項24に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項27】
前記外部電極は、ディッピング方式によって形成される、請求項24に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項28】
前記焼成は、空気中で行われる、請求項24に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項29】
前記第1及び第2導電性酸化物は、インジウム−すず酸化物またはルテニウム酸化物である、請求項24に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項30】
前記第1及び第2導電性酸化物は、同一材料からなる、請求項24に記載の
積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項31】
前記外部電極上に導電層を形成する段階をさらに含む、請求項24に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項32】
前記導電層は、導電性金属及び有機重合体を含む、請求項31に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項33】
前記導電性金属は、金、銀、銅、ニッケル及びこれらの合金からなるグループのうち選択されたいずれか一つである、請求項32に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項34】
前記有機重合体は、エポキシ樹脂である、請求項32に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項35】
前記導電層は、銀−エポキシ樹脂層である、請求項31に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項36】
前記導電層上にめっき層を形成する段階をさらに含む、請求項31に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項37】
前記めっき層は、ニッケルめっき層またはすずめっき層である、請求項36に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−80903(P2013−80903A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−164494(P2012−164494)
【出願日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】