説明

積層セラミック電子部品

【課題】積層セラミック電子部品の実装時の姿勢を安定させるため、セラミック素体表面に直接めっきによって薄くフラットな外部導体を形成することが有効であるが、この外部導体となるめっき膜の析出の効率を高め得る積層セラミック電子部品の構造を提供する。
【解決手段】セラミック素体2の外表面に曲面部23〜26を設け、セラミック素体2の内部に配置された内部導体5〜10を曲面部23〜26ならびに主面17および18に露出させ、めっき析出の起点となるようにする。外部導体14における、めっき膜からなる下地層43は、内部導体5〜10の露出部を直接覆うように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、積層セラミック電子部品に関するものであり、特に、セラミック素体の外表面上に直接形成されためっき膜を含む外部導体を備える積層セラミック電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器に搭載されるICの高速化に伴い、ICの電源から基板上に流出するノイズが高周波化している。また、ICの動作電圧の低電圧化に伴い、電源の電圧変動が生じやすくなっている。
【0003】
このような背景を受けて、ノイズ除去能力が高く、電源の電圧変動を抑えることができるラインバイパスコンデンサが求められており、これに適したコンデンサとして、チップ3端子コンデンサが注目されている。チップ3端子コンデンサは、高周波信号をグラウンドへバイパスさせる能力が優れており、また、負荷側の急激な電力要求に対するレスポンスも優れるため、ICに供給する電圧を安定化することもできる。
【0004】
チップ3端子コンデンサは、コンデンサ本体の外表面に1対の信号用端子電極とグラウンド用端子電極とを備えた構造を有する。グラウンド用端子電極としては、コンデンサ本体の2つの主面および2つの側面を通ってコンデンサ本体を周回するように形成されるものがあり、この場合、不要なインダクタンス成分を小さく抑えることができる。特開2000−299145号公報(特許文献1)には、部品本体の2つの主面および2つの側面を通って部品本体を周回するように延びる端子電極の形成方法が記載されている。
【0005】
特許文献1にも記載されるように、従来、上述したように部品本体の外表面を周回する端子電極を形成するには、部品本体の2つの主面および2つの側面にそれぞれ導電性ペーストを塗布し、これを焼き付けることが行なわれている。しかし、このような厚膜タイプの端子電極の場合、次のような問題に遭遇し得る。
【0006】
(1)導電性ペーストのレオロジーの影響で中央が盛り上がった端子形状となるため、基板実装時に、端子電極の盛り上がった部分が基板と接触し、チップが転動することがある。
【0007】
(2)4面に導電性ペーストを塗布する必要があり、端子電極形成の効率が悪い。
【0008】
なお、上記のような問題は、程度の差こそあれ、部品本体の2つの主面および2つの側面を通って部品本体を周回するように延びる端子電極の形成に際してだけでなく、少なくとも1つの主面を横切るように延びる端子電極の形成に際しても遭遇し得る。また、チップ3端子コンデンサに限らず、他の電子部品においても、同様の問題に遭遇し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−299145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、この発明の目的は、上記のような問題を解決し得る、積層セラミック電子部品を提供しようとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、複数のセラミック層が積層されてなるセラミック素体を備える、積層セラミック電子部品に向けられる。
【0012】
このセラミック素体は、互いに対向する第1および第2の主面と、互いに対向する第1および第2の側面と、互いに対向する第1および第2の端面と、第1の主面および第1の側面をつなぐ第1の曲面部と、第1の主面および第2の側面をつなぐ第2の曲面部と、を有する。
【0013】
端子電極となり得る第1の外部導体は、第1の曲面部から第1の主面を経由して第2の曲面部に至るように配置される。この第1の外部導体は、上述した技術的課題を解決するため、より特定的には、実装時の積層セラミック電子部品の姿勢を安定させるため、セラミック素体上に直接形成されるめっき膜を含む構成とされ、それによって、薄くフラットな端子電極を実現するようにされる。
【0014】
そして、上記めっき膜の形成のためのめっき析出の効率を高めるため、以下のような構成が採用される。
【0015】
セラミック素体の内部には、第1ないし第3の内部導体が配置される。
【0016】
第1の主面が、第1の側面および第2の側面を結ぶ方向に沿って、第1の側面寄りに位置する第1の領域と、第2の側面寄りに位置する第2の領域と、第1の領域および第2の領域に挟まれた第3の領域と、に区画されたとき、
(1)第1の内部導体は、第1の曲面部および第1の領域に露出するようにして配置され、
(2)第2の内部導体は、第2の曲面部および第2の領域に露出するようにして配置され、
(3)第3の内部導体は、第1の曲面部、第2の曲面部および第3の領域に露出するようにして配置され、
(4)第3の内部導体は、第1の曲面部において、第1の内部導体よりも第2の主面寄りに露出し、
(5)第3の内部導体は、第2の曲面部において、第2の内部導体よりも第2の主面寄りに露出し、
(6)第3の内部導体は、第3の領域において第1の主面に沿って延びながら露出する。
【0017】
そして、前述の第1の外部導体に含まれるめっき膜は、第1ないし第3の内部導体の露出部を直接覆うように形成される。
【0018】
以上の構成では、端子電極となる第1の外部導体は、少なくとも第1の主面を横切るように延びるものであり、セラミック素体の2つの主面および2つの側面を通ってセラミック素体を周回するように延びることを必須としていない。
【0019】
第1の外部導体がセラミック素体の2つの主面および2つの側面を通ってセラミック素体を周回するように延びることを必須とする場合には、以下の構成をさらに備える。
【0020】
セラミック素体は、第2の主面および第1の側面をつなぐ第3の曲面部と、第2の主面および第2の側面をつなぐ第4の曲面部と、を有する。
【0021】
セラミック素体内部には、第4ないし第6の内部導体が配置される。
【0022】
第2の主面が、第1の側面および第2の側面を結ぶ方向に沿って、第1の側面寄りに位置する第4の領域と、第2の側面寄りに位置する第5の領域と、第1の領域および第2の領域に挟まれた第6の領域と、に区画されたとき、
(1)第4の内部導体は、第3の曲面部および第4の領域に露出するようにして配置され、
(2)第5の内部導体は、第4の曲面部および第5の領域に露出するようにして配置され、
(3)第6の内部導体は、第3の曲面部、第4の曲面部、および第6の領域に露出するようにして配置され、
(4)第6の内部導体は、第3の曲面部において、第4の内部導体よりも第1の主面寄りに露出し、
(5)第6の内部導体は、第4の曲面部において、第5の内部導体よりも第1の主面寄りに露出し、
(6)第6の内部導体は、第6の領域において第2の主面に沿いながら露出する。
【0023】
そして、第1の外部導体は、第1および第2の側面ならびに第2の主面にまで延長されることによって、セラミック素体を周回するように形成され、第1の外部導体のめっき膜は、さらに第4ないし第6の内部導体の露出部を直接覆う。
【0024】
この発明に係る積層セラミック電子部品は、セラミック素体の内部において、第1の側面および第2の側面に露出するように配置された第1の内部電極をさらに備えていてもよい。この場合、前述した第1の外部導体のめっき膜は、さらに第1の内部電極の露出部を直接覆う。
【0025】
この発明に係る積層セラミック電子部品は、上述の実施態様において備える構成に加えて、セラミック素体の内部において、第1の端面および第2の端面に露出するように配置された第2の内部電極と、第2の内部電極の露出部を覆うようにして、第1の端面および第2の端面に形成された第2の外部導体と、をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0026】
この発明に係る積層セラミック電子部品によれば、端子電極となり得る外部導体が薄くフラットな状態で形成されるので、実装時の姿勢を安定させることができる。
【0027】
また、少なくとも第1の主面には、第1ないし第3の内部導体が露出しているので、これら内部導体の露出部を起点としてめっきを析出させることができる。したがって、少なくとも第1の主面上に外部導体の少なくとも一部となるめっき膜を効率良く形成することができる。
【0028】
また、上述した内部導体は、セラミック素体の外表面の少なくとも2箇所に引出されかつ露出するため、電解めっき処理時において、スチールボールなどのメディアが内部導体の露出部のうち1箇所に接触すれば、残りの露出部にも通電する。つまり、メディアと接触する確率が高くなり、通電効率が高まる。これにより、外部導体の下地となるめっき膜の形成のためのめっき時間が短縮される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の第1の実施形態による積層セラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサ1の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示した積層セラミックコンデンサ1の、セラミック素体2の側面19および20に平行な面に沿う断面図である。
【図3】図1に示した積層セラミックコンデンサ1の、セラミック素体2の端面21および22に平行な面に沿う断面図である。
【図4】図1に示したセラミック素体2の主面17および18に平行な面に沿う断面図であり、第1の内部電極3が延びる面を示す。
【図5】図1に示したセラミック素体2の主面17および18に平行な面に沿う断面図であり、第2の内部電極4が延びる面を示す。
【図6】図1に示したセラミック素体2の内部に形成される第1ないし第6の内部導体5〜10およびダミースルー導体13の平面パターンを示す図である。
【図7】図1に示したセラミック素体2の第1の主面17での第1ないし第3の内部導体5〜7の露出状態の一例を示す平面図である。
【図8】図1に示したセラミック素体2の端面21および22に平行な面に沿う断面図であって、セラミック素体2上に第1の外部導体14の下地層43を形成したときに生じ得る状態を示している。
【図9】この発明の第2の実施形態による積層セラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサ1aの、セラミック素体2の側面19および20に平行な面に沿う断面図である。
【図10】図9に示したセラミック素体2の主面17および18に平行な面に沿う断面図であり、ダミースルー導体13および第3のダミー導体51が延びる面を示す。
【図11】この発明の第3の実施形態による積層セラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサに備えるセラミック素体2の端面に平行な面に沿う断面図である。
【図12】この発明の第4の実施形態による積層セラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサ1cの、セラミック素体2の側面19および20に平行な面に沿う断面図である。
【図13】図12に示した積層セラミックコンデンサ1cの、セラミック素体2の端面21および22に平行な面に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、この発明を実施するための形態を説明するにあたり、積層セラミック電子部品として、積層セラミックコンデンサを例示する。
【0031】
[第1の実施形態]
図1ないし図8は、この発明の第1の実施形態を説明するためのものである。第1の実施形態による積層セラミックコンデンサ1は、3端子タイプのものである。積層セラミックコンデンサ1は、セラミック素体2と、セラミック素体2の内部にそれぞれ配置された、第1および第2の内部電極3および4、第1ないし第6の内部導体5〜10、第1および第2のダミー導体11および12ならびにダミースルー導体13と、セラミック素体2の外表面上に配置された第1および第2の外部導体14および15と、を備えている。以下、積層セラミックコンデンサ1の構造の詳細を、(1)セラミック素体、(2)内部電極、(3)内部導体、(4)ダミー導体、(5)ダミースルー導体、(6)外部導体に分けて説明し、その後、(7)製造方法について説明する。
【0032】
(1)セラミック素体
セラミック素体2は、その外表面として、互いに対向する第1および第2の主面17および18と、互いに対向する1対の側面19および20と、互いに対向する1対の端面21および22とを有する、ほぼ直方体状をなしている。なお、端面21および22の各形状は、それぞれ略正方形であってもよい。セラミック素体2は、コーナー部および稜部に丸みが付けられている。
【0033】
より詳細には、第1の主面17および第1の側面19をつなぐようにして第1の曲面部23が形成されている。第1の主面17および第2の側面20をつなぐようにして第2の曲面部24が形成されている。第2の主面18および第1の側面19をつなぐようにして第3の曲面部25が形成されている。第2の主面18および第2の側面20をつなぐようにして第4の曲面部26が形成されている。
【0034】
第1および第2の主面17および18の各々と第1および第2の端面21および22の各々との間にも曲面部が形成されおり、各コーナー部も曲面となっている。
【0035】
ここで、主面17および18間を結ぶ方向をT方向、側面19および20間を結ぶ方向をW方向、端面21および22間を結ぶ方向をL方向とそれぞれ定義する。
【0036】
図3に示すように、第1の主面17は、W方向に沿って、第1の領域27、第2の領域28および第3の領域29に区画される。第1の領域27は第1の側面19寄りに位置し、第2の領域28は第2の側面20寄りに位置し、第3の領域29は第1の領域27および第2の領域28に挟まれている。
【0037】
第2の主面18は、W方向に沿って、第4の領域30、第5の領域31および第6の領域32に区画される。第4の領域30は第1の側面19寄りに位置し、第5の領域31は第2の側面20寄りに位置し、第6の領域32は第4の領域30および第5の領域31に挟まれている。
【0038】
セラミック素体2は、図2および図3に示すように、W方向およびL方向に延びかつT方向に積層された複数のセラミック層33からなる積層構造を有する。セラミック層33の各厚みは0.5〜10μmであることが好ましい。セラミック層33を構成するセラミック材料としては、たとえば、BaTiO、CaTiO、SrTiO、CaZrOなどを主成分とする誘電体セラミックを用いることができる。また、これらの主成分に、Mn化合物、Mg化合物、Si化合物、Co化合物、Ni化合物、希土類元素化合物などの副成分を添加したものを用いてもよい。
【0039】
(2)内部電極
内部電極は、図4に示した複数の第1の内部電極3および図5に示した複数の第2の内部電極4を備える。複数の第1の内部電極3および複数の第2の内部電極4は、セラミック素体2の積層方向すなわちT方向に交互に配列される。
【0040】
なお、図4および図5ならびに後述する図6および図10では、セラミック素体2は未研磨の状態、すなわち面取り前の状態で図示されている。
【0041】
(2)−1.第1の内部電極
第1の内部電極3は、図4に示すように、これと隣り合う第2の内部電極4に対向する第1の対向部35と、第1の対向部35からセラミック素体2の外表面に引出された第1の引出し部36とを有する。図4において、第1の内部電極3における第1の対向部35と第1の引出し部36との境界が破線で示されている。この実施形態においては、第1の内部電極3は十字形状に形成され、第1の引出し部36の数は2つである。2つの第2の引出し部36の一方および他方は、それぞれ、第1および第2の側面19および20に露出している。言い換えると、第1の内部電極3は、第1の側面19から第2の側面20に至るようにして配置される。
【0042】
(2)−2.第2の内部電極
第2の内部電極4は、図5に示すように、これと隣り合う第1の内部電極3に対向する第2の対向部37と、第2の対向部37からセラミック素体2の外表面に引出された少なくとも2つの第2の引出し部38とを有する。図5において、第2の内部電極4における第2の対向部37と第2の引出し部38との境界が破線で示されている。この実施形態においては、第2の内部電極4は長方形状に形成され、第2の引出し部38の数は2つである。2つの第2の引出し部38の一方および他方は、それぞれ、第1および第2の端面21および22に露出している。言い換えると、第2の内部電極4は、第1の端面21から第2の端面22に至るようにして配置される。
【0043】
(2)−3.その他
内部電極3および4を構成する導電材料としては、たとえば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Auなどを用いることができる。
【0044】
また、内部電極3および4の各厚みは、0.3〜2.0μmであることが好ましい。
【0045】
第1の内部電極3の第1の対向部36と第2の内部電極4の第2の対向部38とがセラミック層33を挟んで対向する領域において静電容量が生じる。図4および図5に示すように、セラミック素体2において、この領域を有効領域39と定義する。他方、図2に表示するように、セラミック層33の積層方向に沿って、第1の内部電極3および第2の内部電極4がいずれも存在しない領域を外層部40と定義する。この実施形態において、外層部40は、セラミック素体2の第1の主面17側および第2の主面18側にそれぞれ存在する。なお、T方向に沿った各外層部40の厚みは、W方向に沿った後述するWギャップ領域41の寸法に比べて、同等もしくは薄くされていてもよい。
【0046】
(3)内部導体
図3に示すように、第1ないし第6の内部導体5〜10は、セラミック素体2の外層部40に配置される。図2および図3等において、内部導体5〜10が、内部電極3および4等に比べて、より太い線で示されているのは、図面上、区別しやすくするためであり、厚みの関係を表わしたものではない。
【0047】
内部導体5〜10は、図6に示すような平面パターンを有している。図6には、後述するプレス工程の前のセラミックグリーンシート上に印刷された段階、すなわち、プレスされることによって曲がる前の段階での内部導体5〜10のパターンが示されている。
【0048】
(3)−1.第1ないし第3の内部導体
第1の内部導体5は、図3に示すように、第1の曲面部23および第1の領域27に露出している。他方、第2の内部導体6は、第1の内部導体5と図3において左右対称の関係にあり、第2の曲面部24および第2の領域28に露出している。
【0049】
第3の内部導体7は、図2および図3に示すように、第1の曲面部23、第2の曲面部24および第3の領域29に露出している。第3の内部導体7は、第1の曲面部23において第1の内部導体5よりも第2の主面18寄りに露出している。また、第3の内部導体7は、第2の曲面部24において第2の内部導体6よりも第2の主面18寄りに露出している。第3の内部導体7は、第3の領域29において第1の主面17に沿って延びながら露出している。なお、「主面に沿う」というのは、必ずしも主面に平行という意味ではない。
【0050】
このように、第1および第2の内部導体5および6は、2箇所において露出し、第3の内部導体7は、少なくとも3箇所において露出するため、第1の外部導体14の下地層43のめっき膜を電解めっきにより形成する場合に有利である。なぜなら、スチールボールなどのメディアが内部導体5〜7の各々の1つの露出部に接触すれば、他の露出部にも通電するため、メディアと接触する確率が高くなり、通電効率が高まるためである。
【0051】
(3)−2.第4ないし第6の内部導体
第4ないし第6の内部導体8〜10は、それぞれ、上述した第1ないし第3の内部導体5〜7と図3において上下対称の関係にある。
【0052】
より詳細には、第4の内部導体8は、図3に示すように、第3の曲面部25および第4の領域30に露出している。他方、第5の内部導体9は、第4の内部導体8と図3において左右対称の関係にあり、第4の曲面部26および第5の領域31に露出している。
【0053】
第6の内部導体10は、図2および図3に示すように、第3の曲面部25、第4の曲面部26および第6の領域32に露出している。第6の内部導体10は、第3の曲面部25において第4の内部導体8よりも第1の主面17寄りに露出している。また、第6の内部導体10は、第4の曲面部26において第5の内部導体9よりも第1の主面17寄りに露出している。第6の内部導体10は、第6の領域32において第2の主面18に沿って延びながら露出している。
【0054】
第1ないし第3の内部導体5〜7について前述した電解めっきにおける有利さは、第4ないし第6の内部導体8〜10についても言える。
【0055】
(3)−3.その他
内部導体5〜10は、曲がった状態で配置されている。この曲がった状態は、第1および第2の内部電極3および4が重なる有効領域39と、第1の内部電極3の引出し部36が重なるWギャップ領域41(図4参照)とで、電極密度が異なることに起因する段差が原因となって、焼成前のプレス工程でもたらされる。
【0056】
内部導体5〜10は、それぞれ、主面17および18のいずれかにおいて、線状または面状に露出し得る。また、露出状態としては、たとえば、まだら状など不連続な状態もあり得る。
【0057】
図7には、セラミック素体2の第1の主面17での第1ないし第3の内部導体5〜7の露出状態の一例が示されている。たとえば図3の断面図では、便宜上、内部導体5〜10の各々を1枚ずつ比較的間隔を広げて図示しているため、この図7に示した露出状態はイメージしにくいが、内部導体5〜10の各々について、複数のものを間隔を狭めて多数積層した場合、各内部導体の曲がり状態によって、T方向において異なる高さ位置に配置された内部導体の露出部が、年輪のように現れることがある。
【0058】
より具体的は、図7に示すように、第1および第2の内部導体5および6の各々の露出部は、閉じた輪のように現れることがある。第3の内部導体7の露出部は、H字状に現れることがある。
【0059】
内部導体5〜10は、もともとは共通の長方形状のパターンを有するものであるが、曲げられたり、研磨されたりすることにより、上述したような形状の露出部を与える。
【0060】
内部導体5〜10の材質および厚みの好ましい条件は、前述した内部電極3および4の場合と同様である。内部導体5〜10と内部電極3および4とは、互いに同じ材質および同じ厚みをもって構成されることが望ましい。
【0061】
(4)ダミー導体
図3に示すように、第1のダミー導体11は、第1の外部導体14に接続される。図2に示すように、第2のダミー導体12は、第2の外部導体15に接続される。
【0062】
この実施形態では、第1のダミー導体11は、図5に示すように、第2の内部電極4と同一面上に配置されている。第2のダミー導体12は、図4に示すように、第1の内部電極3と同一面上に配置されている。
【0063】
第1および第2のダミー導体11および12は、それぞれ、第1および第2の外部導体14および15の下地層を構成するめっき膜の析出ポイントとして機能し、通電効率を向上させる。また、セラミック素体2の強度向上にも寄与する。
【0064】
ダミー導体11および12の材質および厚みの好ましい条件は、前述した内部電極3および4の場合と同様である。ダミー導体11および12と内部電極3および4とは、互いに同じ材質および同じ厚みをもって構成されることが望ましい。
【0065】
なお、ダミー導体11および12は形成されていなくてもよい。
【0066】
(5)ダミースルー導体
図2および図3に示すように、ダミースルー導体13は外層部40に配置される。ダミースルー導体13は、内部導体5〜10と同様、図6に示すような平面パターンを有している。したがって、ダミースルー導体13を形成するための印刷版と内部導体5〜10を形成するための印刷版との共通化を図ることができる。
【0067】
ダミースルー導体13は、第1の側面19および第2の側面20にそれぞれ引出される。言い換えると、ダミースルー導体13は、第1の側面19から第2の側面20に至るようにして配置される。
【0068】
ダミースルー導体13は、上述のように、2箇所において露出するため、第1の外部導体14の下地層のめっき膜を電解めっきにより形成する場合に有利である。なぜなら、スチールボールなどのメディアがダミースルー導体13の一方の露出部に接触すれば、他の露出部にも通電するため、メディアと接触する確率が高くなり、通電効率が高まるためである。
【0069】
ダミースルー導体13は、図2および図3に示すように、セラミック素体2のT方向に沿って連続して複数枚積層されている。ダミースルー導体13は、図3に示すように、内部導体5〜10の場合と同様、段差の影響により曲がることがある。ダミースルー導体13は、静電容量等の電気的特性の発現に実質的に寄与しない。
【0070】
ダミースルー導体13の材質および厚みの好ましい条件は、前述した内部電極3および4の場合と同様である。ダミースルー導体13と内部電極3および4とは、互いに同じ材質および同じ厚みをもって構成されることが望ましい。
【0071】
ダミースルー導体13の枚数は、各外層部40において、10〜100枚であることが好ましい。なお、ダミースルー導体13は形成されていなくてもよい。
【0072】
(6)外部導体
(6)−1.第1の外部導体
第1の外部導体14は、図3によく示されているように、セラミック素体2の第1および第2の主面17および18ならびに第1および第2の側面19および20を周回するように配置されている。
【0073】
第1の外部導体14は、第1の内部電極5、第1ないし第6の内部導体5〜10、第1のダミー導体11ならびにダミースルー導体13の各露出部を覆う。第1の外部導体14の下地層43は、上記の各露出部と接触する。下地層43は、めっき膜により構成される。
【0074】
なお、めっき膜からなる下地層43は、第1の主面17側が図8に示されるように、主面17および18の各々上において、第1および第3の領域27および29の境界近傍、第2および第3の領域28および29の境界近傍、第4および第6の領域30および32の境界近傍、ならびに第5および第6の領域31および32の境界近傍(図3参照)で部分的に厚みが薄くなることがある。
【0075】
下地層43となるめっき膜を構成する金属としては、たとえば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au、Sn、Pb、Pd、Bi、Znなどを用いることができる。めっき膜は、ガラス成分を含まないことが好ましい。また、めっき膜の単位体積あたりの金属割合は99体積%以上であることが好ましい。
【0076】
下地層43となるめっき膜の厚みは、最も厚い部分において、1〜20μmであることが好ましい。
【0077】
第1の外部導体14は、上記下地層43上に形成される上層44をさらに備えていてもよい。上層44は、たとえば、めっき膜により構成される。上層44となるめっき膜を構成する金属としては、たとえば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au、Sn、Pb、Pd、Bi、Znなどを用いることができる。上層44のめっき膜は、複数層から構成されてもよい。上層44のめっき膜の厚みは、1層あたり、1〜10μmであることが好ましい。
【0078】
第1の外部導体14において上層44が形成される場合、好ましくは、上述の下地層43がNiめっき膜から構成され、上層44がSnめっき膜から構成される。あるいは、上層44が複数層から構成される場合、好ましくは、Niめっき層およびその上のSnめっき層の2層構造とされる。
【0079】
(6)−2.第2の外部導体
第2の外部導体15は、第1の外部導体14とは異なる電位に接続されるもので、図2に示すように、セラミック素体2の第1および第2の端面21および22上にそれぞれ配置されている。この実施形態では、第2の外部導体15は、第1および第2の主面17および18ならびに第1および第2の側面19および20にまで回り込んでいる。
【0080】
第2の外部導体15は、第2の内部電極4と電気的に接続されるようにして、第2の引出し部38の露出部および第2のダミー導体12の露出部を覆う。第2の外部導体15において、第2の内部電極4の露出部と接触する下地層46は、めっき膜、焼結金属膜、および/または導電性樹脂膜などにより構成され得る。
【0081】
下地層46を構成するものとしてめっき膜が選択される場合、めっき膜を構成する金属としては、たとえば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au、Sn、Pb、Pd、Bi、Znなどを用いることができる。この場合、下地層46の厚みは、最も厚い部分で、1〜20μmであることが好ましい。第2のダミー導体12は、下地層46となるめっき膜の析出および成長を促進するように作用する。
【0082】
なお、下地層46を構成するものとしてめっき膜が選択される場合、下地層46の厚みは、第1の外部導体14の下地層43となるめっき膜の厚みと同じであることが好ましい。
【0083】
下地層46を構成するものとして焼結金属膜が選択される場合、焼結金属膜を構成する金属としては、たとえば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Auなどを用いることができる。焼結金属膜には、ガラス成分が含まれ得る。また、焼結金属膜は、セラミック素体2ならびに内部電極3および4と同時焼成されたものでもよく、焼成後のセラミック素体2に導電性ペーストを塗布して焼き付けられたものでもよい。
【0084】
下地層46を構成するものとして導電性樹脂膜が選択される場合、熱硬化性樹脂および金属フィラーを混合したものを用いて導電性樹脂膜を形成することができる。
【0085】
上述した焼結金属膜または導電性樹脂膜が選択される場合、下地層46の厚みは、最も厚い部分で、10〜50μmであることが好ましい。
【0086】
図示の実施形態では、下地層46は、第2の内部電極4および第2のダミー導体12の各露出部と接触するめっき膜47と、このめっき膜47上に形成される焼結金属膜48とから構成される。
【0087】
ここで、下地層46の外側を焼結金属により構成する意義としては、第1に、
製造効率の向上が挙げられる。めっき膜47だけでは、第2の外部導体15を、第1および第2の主面17および18ならびに第1および第2の側面19および20にまで成長させるのに時間がかかる場合があるが、焼結金属膜48を用いれば、ペースト塗布により短時間で回り込ませることができる。第2に、第2の外部導体15のシール性の向上が挙げられる。めっき膜47は比較的薄く形成されることが想定されるため、めっき膜47だけでは、上層49のめっき膜形成時に用いられるめっき液などの水分がセラミック素体2内部に浸入する場合があるが、焼結金属膜48を用いれば、ガラス成分によりシール性が向上する。
【0088】
第2の外部導体15は、上記下地層46上に形成される上層49をさらに備えていてもよい。上層49は、たとえば、めっき膜により構成される。上層49となるめっき膜を構成する金属としては、たとえば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au、Sn、Pb、Pd、Bi、Znなどを用いることができる。上層49のめっき膜は、複数層から構成されてもよい。この場合、好ましくは、Niめっき層およびその上のSnめっき層の2層構造とされる。上層49のめっき膜の厚みは、1層あたり、1〜10μmであることが好ましい。
【0089】
なお、第2の外部導体15の全体の厚みは、第1の外部導体14の全体の厚みに比べて厚くなりやすいが、両者は同じであることが望ましい。
【0090】
(7)製造方法
積層セラミックコンデンサ1は、たとえば、次のようにして製造される。
【0091】
(7)−1.
セラミック層33となるべきセラミックグリーンシート、内部電極用導電性ペースト、および外部導体用導電性ペーストを準備する。内部電極用導電性ペーストは、内部導体用導電性ペースト、ダミー導体用導電性ペーストおよびダミースルー導体用導電性ペーストを兼ねる。セラミックグリーンシートならびに内部電極用および外部導体用の各導電性ペーストには、バインダおよび溶剤が含まれるが、公知の有機バインダや有機溶剤を用いることができる。
【0092】
(7)−2.
セラミックグリーンシート上に、たとえばスクリーン印刷などにより所定のパターンで導電性ペーストを印刷し、内部電極パターン、内部導体パターン、ダミー導体パターンおよびダミースルー導体パターンを形成する。
【0093】
(7)−3.
いずれのパターンも印刷されていない外層用セラミックグリーンシート、および各種パターンが印刷されたセラミックグリーンシートを、それぞれ所定枚数かつ所定順序で積層し、マザー積層体を作製する。
【0094】
(7)−4.
マザー積層体をラバープレスなどの手段により積層方向にプレスする。プレス時に、有効領域39とWギャップ領域41との段差の影響を受けて、内部導体5〜10およびダミースルー導体13が、図3に示すように曲がる。このとき、内部電極3および4の引出し部36および38も曲がることがある。
【0095】
(7)−5.
マザー積層体を所定のサイズにカットし、生のセラミック素体を切り出す。
【0096】
(7)−6.
生のセラミック素体を焼成する。これによって、セラミック素体2が得られる。焼成温度は、セラミックや内部電極等の材料にもよるが、900〜1300℃であることが好ましい。
【0097】
(7)−7.
焼成後のセラミック素体2を研磨する。これにより、セラミック素体2のコーナー部や稜部に丸みが付けられる。その結果、セラミック素体2において、曲面部23〜26が形成されるとともに、内部導体5〜10の各一部が除去されながら、これら内部導体5〜10が対応の曲面部23〜26および対応の主面17および18上に露出する。研磨手段としては、バレル研磨などを用いることができる。
【0098】
(7)−8.
研磨後のセラミック素体2に対して、めっき処理を行なう。
【0099】
これによって、第1の外部導体14の、めっき膜からなる下地層43が形成される。このとき、図3に示すように、第1の内部電極3ばかりでなく、第1ないし第6の内部導体5〜10、第1のダミー導体11ならびにダミースルー導体13が、側面19および20、対応の曲面部23〜26ならびに対応の主面17および18上に露出していて、これらの露出部分を起点にめっきが析出するため、第1の外部導体14の下地層43を能率的に形成することができる。
【0100】
めっき処理には、回転バレル法による電解めっきを適用することが好ましい。めっき方法は回転バレルめっきであることが好ましい。めっき処理には、スチールボールなどの導電性メディアが用いられる。
【0101】
第1、第2、第4および第5の内部導体5、6、4および5ならびにダミースルー導体13は、各々2つの露出部を有し、第3および第6の内部導体7および10は、各々少なくとも3つの露出部を有しているため、めっき工程において、導電性メディアが1つの露出部に接触すれば、他の露出部にも通電する。つまり、メディアと接触する確率が高くなり、通電効率が高まる。これにより、下地層43の形成のためのめっき時間が短縮される。
【0102】
このめっき処理において、同時に、第2の内部電極4および第2のダミー導体12の各露出部をめっき析出の起点として、第2の外部導体15の下地層46におけるめっき膜47も形成され得る。
【0103】
めっき処理後、600〜900℃の温度で熱処理を行なうことが好ましい。これにより、セラミック素体2に対するめっき膜の固着力が向上する。
【0104】
(7)−9.
第2の外部導体15の下地層46における焼結金属膜48が、導電性ペーストを塗布し、焼き付けることによって形成される。焼き付け温度は、700〜900℃であることが好ましい。
【0105】
(7)−10.
第1の外部導体14の上層44および第2の外部導体15の上層49を形成するため、めっき処理を行なう。
【0106】
以上のようにして、積層セラミックコンデンサ1が完成される。
【0107】
[第2の実施形態]
この発明の第2の実施形態が図9および図10に示されている。図9は図2に対応し、図10は図6に対応する。図9および図10において、図2または図6に示す要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0108】
第2の実施形態による積層セラミックコンデンサ1aでは、ダミースルー導体13と同一面上に第3のダミー導体51が配置されていることを特徴としている。
【0109】
また、第2の外部導体15の下地層46全体がめっき膜により構成されている。これによって、第1および第2の外部導体14および15の下地層43および46を同時に形成することができる。さらに、第1の外部導体14の全体の厚みと、第2の外部導体15の全体の厚みと、を容易に同じにすることができる。
【0110】
第3のダミー導体51は、第2の外部導体15の下地層43を構成するめっき膜の析出ポイントとして機能し、通電効率を向上させる。
【0111】
[第3の実施形態]
この発明の第3の実施形態が図11に示されている。図11は、図3に示したセラミック素体2の一部に相当する部分が示されている。図11において、図3に示す要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0112】
第3の実施形態によるセラミック素体2bでは、第1の主面17の中央部が凹むようにして形成されている。図示しないが、第2の主面18についても、同様に、中央部が凹むようにして形成され得る。
【0113】
このように、内部導体5〜7は、必ずしも図3に示すように曲げなくても、これらを第1ないし第3の領域27〜29に露出させることができる。図示しないが、内部導体8〜10についても、必ずしも図3に示すように曲げなくても、これらを第4ないし第6の領域30〜32に露出させることができる。
【0114】
図11に示すようなセラミック素体2bの状態は、たとえば、焼成後において研磨を実施する際、研磨時間を長くし、主面17および18の各中央部をより多く削り取ることによって実現することができる。
【0115】
[第4の実施形態]
この発明の第4の実施形態が図12および図13に示されている。図12は図2に対応し、図13は図3に対応する。図12および図13において、図2または図3に示す要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0116】
第4の実施形態による積層セラミックコンデンサ1cでは、第1の外部導体が上側外部導体14aと下側外部導体14bとの2つに分割されて形成されていることを特徴としている。そのため、第1の内部電極3は、側面19および20にまで届かない状態となっており、また、第1のダミー導体11に相当するダミー導体は形成されない。
【0117】
さらに、第4の実施形態による積層セラミックコンデンサ1cでは、セラミック素体2の内部に、信号用ビア導体53が配置されていることを特徴としている。信号用ビア導体53は、第1の内部電極3と電気的に接続されるが、第2の内部電極4とは電気的に絶縁される。また、信号用ビア導体53は、第3および第6の内部導体7および10ならびにダミースルー導体13と電気的に接続される。信号用ビア導体53の両端は、それぞれ、第1の外部導体としての上側外部導体14aおよび下側外部導体14bと電気的に接続される。
【0118】
信号用ビア導体53には信号電流が流れ、信号電流に寄生した高周波ノイズは、信号用ビア導体53から、第1の内部電極3、第2の内部電極4、およびグラウンド用の第2の外部導体15を通じてグラウンドに落ちる。
【0119】
信号用ビア導体53を構成する導電材料としては、たとえば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Auなどを用いることができる。
【0120】
この実施形態によれば、セラミック素体2には、第1ないし第6の内部導体5〜10が配置されている。したがって、第1の外部導体としての上側外部導体14aおよび下側外部導体14bに信号用ビア導体53のみが接続される場合に比べて、外部導体14aおよび14bの固着力を向上させることができるとともに、電流経路が分散されてインダクタンスを低下させることができる。
【0121】
なお、第4の実施形態による積層セラミックコンデンサ1cでは、図12に示すように、第2の外部導体15は、焼結金属膜からなる下地層46とめっき膜からなる上層49とを備え、上層49は、たとえば、Niからなる第1のめっき層54およびSnからなる第2のめっき層55との2層構造とされている。この積層セラミックコンデンサ1cでは、下地層46が焼結金属膜から形成されるので、第2のダミー導体12に相当するダミー導体は形成されていない。
【産業上の利用可能性】
【0122】
この発明は、以上説明した積層セラミックコンデンサに限らず、他の積層セラミック電子部品にも適用することができる。たとえば、セラミック素体を圧電体セラミックで構成した場合は、圧電部品として機能する積層セラミック電子部品とすることができ、セラミック素体をスピネル状セラミックなどの半導体セラミックで構成した場合は、サーミスタとして機能する積層セラミック電子部品とすることができる。また、低誘電率の誘電体基板をベースにしたストリップラインにも転用可能性がある。
【符号の説明】
【0123】
1,1a,1c 積層セラミックコンデンサ
2,2b セラミック素体
3,4 第1および第2の内部電極
5〜10 第1ないし第6の内部導体
14 第1の外部導体
14a 上側外部導体
14b 下側外部導体
15 第2の外部導体
17,18 主面
19,20 側面
21,22 端面
23〜26 第1ないし第4の曲面部
27〜32 第1ないし第6の領域
33 セラミック層
43 第1の外部導体の下地層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセラミック層が積層されてなるもので、互いに対向する第1および第2の主面と、互いに対向する第1および第2の側面と、互いに対向する第1および第2の端面と、前記第1の主面および前記第1の側面をつなぐ第1の曲面部と、前記第1の主面および前記第2の側面をつなぐ第2の曲面部と、を有する、セラミック素体と、
前記セラミック素体の内部に配置された、第1ないし第3の内部導体と、
前記第1の曲面部から前記第1の主面を経由して前記第2の曲面部に至るように配置された第1の外部導体と、
備え、
前記第1の主面は、前記第1の側面および前記第2の側面を結ぶ方向に沿って、前記第1の側面寄りに位置する第1の領域と、前記第2の側面寄りに位置する第2の領域と、前記第1の領域および前記第2の領域に挟まれた第3の領域と、に区画され、
前記第1の内部導体は、前記第1の曲面部および前記第1の領域に露出するようにして配置され、
前記第2の内部導体は、前記第2の曲面部および前記第2の領域に露出するようにして配置され、
前記第3の内部導体は、前記第1の曲面部、前記第2の曲面部および前記第3の領域に露出するようにして配置され、
前記第3の内部導体は、前記第1の曲面部において、前記第1の内部導体よりも前記第2の主面寄りに露出し、
前記第3の内部導体は、前記第2の曲面部において、前記第2の内部導体よりも前記第2の主面寄りに露出し、
前記第3の内部導体は、前記第3の領域において前記第1の主面に沿って延びながら露出し、
前記第1の外部導体は、前記第1ないし第3の内部導体の露出部を直接覆うめっき膜を含む、
積層セラミック電子部品。
【請求項2】
前記セラミック素体は、前記第2の主面および前記第1の側面をつなぐ第3の曲面部と、前記第2の主面および前記第2の側面をつなぐ第4の曲面部と、を有し、
前記セラミック素体内部に配置された第4ないし第6の内部導体をさらに備え、
前記第2の主面は、前記第1の側面および前記第2の側面を結ぶ方向に沿って、前記第1の側面寄りに位置する第4の領域と、前記第2の側面寄りに位置する第5の領域と、前記第1の領域および前記第2の領域に挟まれた第6の領域と、に区画され、
前記第4の内部導体は、前記第3の曲面部および前記第4の領域に露出するようにして配置され、
前記第5の内部導体は、前記第4の曲面部および前記第5の領域に露出するようにして配置され、
前記第6の内部導体は、前記第3の曲面部、前記第4の曲面部、および前記第6の領域に露出するようにして配置され、
前記第6の内部導体は、前記第3の曲面部において、前記第4の内部導体よりも前記第1の主面寄りに露出し、
前記第6の内部導体は、前記第4の曲面部において、前記第5の内部導体よりも前記第1の主面寄りに露出し、
前記第6の内部導体は、前記第6の領域において前記第2の主面に沿いながら露出し、
前記第1の外部導体は、前記第1および第2の側面ならびに前記第2の主面まで延長されることによって、前記セラミック素体を周回するように形成され、
前記第1の外部導体の前記めっき膜は、さらに前記第4ないし第6の内部導体の露出部を直接覆う、
請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項3】
前記セラミック素体の内部において、前記第1の側面および前記第2の側面に露出するように配置された第1の内部電極をさらに備え、
前記第1の外部導体の前記めっき膜は、さらに前記第1の内部電極の露出部を直接覆う、
請求項1または請求項2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項4】
前記セラミック素体の内部において、前記第1の端面および前記第2の端面に露出するように配置された第2の内部電極と、
前記第2の内部電極の露出部を覆うようにして、前記第1の端面および前記第2の端面に形成された第2の外部導体と、
をさらに備える、請求項3に記載の積層セラミック電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−21298(P2013−21298A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−57087(P2012−57087)
【出願日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】