説明

積層体を設計する方法、プログラム、及びコンピューター読み取り可能な記録媒体

【課題】より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法を提供する。
【解決手段】第一の表面領域及び第二の表面領域を有する基板、第一の表面領域に設けられた第一の被覆層、並びに第二の表面領域に設けられた第二の被覆層を含む、積層体を設計する方法であって、基板の材料を選択すること、第一の被覆層の材料を選択すること、第二の被覆層の材料を選択すること、並びに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長を選択すること、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長、並びに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての、基板の材料の複素屈折率、第一の被覆層の材料の複素屈折率、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率に基づいて、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるように、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さを決定することを含む、積層体を設計する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一つの態様は、積層体を設計する方法、プログラム、及びコンピューター読み取り可能な記録媒体の少なくとも一つに関する。
【背景技術】
【0002】
積層体を設計する方法、プログラム、及びコンピューター読み取り可能な記録媒体の少なくとも一つについて、積層体の一つの例としての粉体に関連したいくつかの従来の技術が開示されている。
【0003】
例えば、特開平1−224220号公報(特許文献1)には、無機基材と、該基材表面を被覆する酸化チタンとからなる酸化チタン被覆体であって、該基材表面を被覆している酸化チタンが、含水酸化チタンのゲルおよび/またはゾルに過酸化水素を加えて得られたチタン酸水溶液を、該無機基材の共存下に、加熱することにより該基材表面に析出した酸化チタンであることを特徴とする酸化チタン被覆体が開示されている。
【0004】
また、例えば、特開平9−255891号公報(特許文献2)には、α−アルミナからなる板状粒子にチタニア層を被覆してなることを特徴とするアルミナチタン系顔料が開示されている。
【0005】
しかしながら、酸化チタン又はチタニアは、紫外線を吸収する材料であるが、特許文献1に開示されるような酸化チタン被覆体に対する紫外線の透過率及び特許文献2に開示されるようなアルミナチタン系顔料に対する紫外線の透過率は、必ずしも十分に低減されたものではない。
【0006】
ここで、特許文献1に開示されるような酸化チタン被覆体において、基材表面を被覆する酸化チタンの量を増加させることによって酸化チタン被覆体に対する紫外線の透過率を低減することが考えられる。この場合、酸化チタン被覆体のサイズが顕著に増加することが考えられるが、酸化チタン被覆体のサイズを顕著に増加させることは、必ずしも好ましいことではない。
【0007】
同様に、特許文献2に開示されるようなアルミナチタン系顔料においてチタニア層の厚さを増加させることによってアルミナチタン系顔料に対する紫外線の透過率を低減することが考えられる。この場合にも、アルミナチタン系顔料のサイズが顕著に増加することが考えられるが、アルミナチタン系顔料のサイズを顕著に増加させることは、必ずしも好ましいことではない。
【0008】
このように、本発明の発明者は、従来の技術においてはより低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を提供することが困難なことであることを見出した。
【0009】
そして、本発明の発明者は、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法を提供すること、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法をコンピューターに実行させるためのプログラムを提供すること、及びより低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法をコンピューターに実行させるためのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体を提供することを考えた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平1−224220号公報
【特許文献2】特開平9−255891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の第一の目的は、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法を提供することである。
【0012】
本発明の第二の目的は、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法をコンピューターに実行させるためのプログラムを提供することである。
【0013】
本発明の第三の目的は、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法をコンピューターに実行させるためのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第一の態様は、第一の表面領域及び第二の表面領域を有する基板、前記第一の表面領域に設けられた第一の被覆層、並びに前記第二の表面領域に設けられた第二の被覆層を含む、積層体を設計する方法であって、前記基板の材料を選択すること、前記第一の被覆層の材料を選択すること、前記第二の被覆層の材料を選択すること、並びに、前記基板、前記第一の被覆層、及び前記第二の被覆層を透過する光の波長を選択すること、前記基板、前記第一の被覆層、及び前記第二の被覆層を透過する光の波長、並びに、前記基板、前記第一の被覆層、及び前記第二の被覆層を透過する光の波長についての、前記基板の材料の複素屈折率、前記第一の被覆層の材料の複素屈折率、及び前記第二の被覆層の材料の複素屈折率に基づいて、前記基板、前記第一の被覆層、及び前記第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるように、前記基板の厚さ、前記第一の被覆層の厚さ、及び前記第二の被覆層の厚さを決定することを含む、積層体を設計する方法である。
【0015】
本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様である積層体を設計する方法をコンピューターに実行させるためのプログラムである。
【0016】
本発明の第三の態様は、本発明の第二の態様であるプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第一の態様によれば、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法を提供することが可能となる。
【0018】
本発明の第二の態様によれば、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法をコンピューターに実行させるためのプログラムを提供することが可能となる。
【0019】
本発明の第三の態様によれば、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法をコンピューターに実行させるためのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法における積層体の例を概略的に示す図である。
【図2】図2は、本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法におけるフローチャートの例を概略的に示す図である。
【図3】図3は、本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法における基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、又は第二の被覆層の厚さに対する積層体を透過する光の透過率の関係を概略的に示す図である。
【図4】図4は、本発明の第三の実施形態に係る記録媒体の例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態(実施形態)を図面と共に説明する。
【0022】
本発明の第一の実施形態は、第一の表面領域及び第二の表面領域を有する基板、第一の表面領域に設けられた第一の被覆層、並びに第二の表面領域に設けられた第二の被覆層を含む、積層体を設計する方法であって、基板の材料を選択すること、第一の被覆層の材料を選択すること、第二の被覆層の材料を選択すること、並びに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長を選択すること、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長、並びに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての、基板の材料の複素屈折率、第一の被覆層の材料の複素屈折率、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率に基づいて、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるように、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さを決定することを含む、積層体を設計する方法である。
【0023】
本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、積層体は、基板、及び第一の被覆層、及び第二の被覆層を含む。積層体は、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層に加えて別の層を含むことがあるが、積層体は、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層(のみ)からなることもある。
【0024】
基板は、第一の表面領域及び第二の表面領域を含む。基板の第一の表面領域及び第二の表面領域は、互いに連続的な表面領域又は不連続な表面領域であることがある。また、基板の第一の表面領域及び第二の表面領域は、積層体に入射する光が、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過することが可能であるように、互いに対向する表面領域である。第一の表面領域及び第二の表面領域の各々は、必ずしも平面に限定されるものではないが、第一の表面領域及び第二の表面領域の各々は、好ましくは、平面である。ここで、平面は、完全に平坦な面又は実質的に平坦とみなせる面を意味する。また、第一の表面領域及び第二の表面領域は、好ましくは、互いに平行な平面である。ここで、互いに平行な平面は、完全に平行な平面又は実質的に平行とみなせる平面を意味する。
【0025】
第一の被覆層は、基板の第一の表面領域に設けられたものであると共に、基板の第二の被覆層は、第二の表面領域に設けられたものである。基板の第一の表面領域に設けられた第一の被覆層及び基板の第二の表面領域に設けられた第二の被覆層は、互いに異なる被覆層であることがある。ここで、互いに異なる被覆層は、材料又は厚さの少なくとも一方が互いに有意に異なる被覆層を意味する。しかしながら、基板の第一の表面領域に設けられた第一の被覆層及び基板の第二の表面領域に設けられた第二の被覆層は、好ましくは、完全に同一の被覆層又は実質的に同一とみなせる被覆層である。また、完全に同一の被覆層は、材料及び厚さが完全に同一である被覆層を意味する。さらに、実質的に同一とみなせる被覆層は、材料及び厚さが実質的に同一とみなせる被覆層を意味する。なお、第一の被覆層の厚さは、第一の表面領域に対する法線の方向における第一の被覆層の厚さを意味する。また、第二の被覆層の厚さは、第二の表面領域に対する法線の方向における第二の被覆層の厚さを意味する。
【0026】
本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、基板の材料を選択することは、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長を選択するとき、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての基板の材料の複素屈折率を決定することになる。基板の材料を選択することは、光が基板を透過する限り、特に限定されるものではない。ここで、光が基板を透過することは、基板に入射する光の全てが基板を透過すること、及び基板に入射する光の一部が基板に吸収される一方で基板に入射する光の残りが基板を透過することを意味する。
【0027】
本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、第一の被覆層の材料を選択することは、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長を選択するとき、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての第一の被覆層の材料の複素屈折率を決定することになる。第一の被覆層の材料を選択することは、光が第一の被覆層を透過する限り、特に限定されるものではない。ただし、第一の被覆層の材料及び基板の材料とは、互いに異なるものである。ここで、光が第一の被覆層を透過することは、第一の透過層に入射する光の全てが第一の被覆層を透過すること、及び第一の透過層に入射する光の一部が第一の透過層に吸収される一方で第一の透過層に入射する光の残りが第一の透過層を透過することを意味する。
【0028】
本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、第二の被覆層の材料を選択することは、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長を選択するとき、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての第二の被覆層の材料の複素屈折率を決定することになる。第二の被覆層の材料を選択することは、光が第二の被覆層を透過する限り、特に限定されるものではない。ただし、第二の被覆層の材料及び基板の材料とは、互いに異なるものである。ここで、光が第二の被覆層を透過することは、第二の透過層に入射する光の全てが第二の被覆層を透過すること、及び第二の透過層に入射する光の一部が第二の透過層に吸収される一方で第二の透過層に入射する光の残りが第二の透過層を透過することを意味する。
【0029】
なお、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光を(基板、第一の被覆層、又は第二の被覆層の)材料が吸収することが完全に無い又は基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光を(基板、第一の被覆層、又は第二の被覆層の)材料が吸収することを実質的に無視することができる場合には、(基板、第一の被覆層、又は第二の被覆層の)材料の複素屈折率は、(基板、第一の被覆層、又は第二の被覆層の)材料の屈折率に一致する。
【0030】
本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光は、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層の全てを完全に透過する光(基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層のいずれにも吸収されない光)又は基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層の全てを部分的に透過する光(基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層の少なくとも一つによって部分的に吸収される光)を意味する。基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長を選択することは、光の波長が、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長である限り、特に限定されるものではない。基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長としては、例えば、可視光の波長領域(400nm以上700nm以下)における波長、紫外線の波長領域(10nm以上400nm以下)における波長、近紫外線の波長領域(300nm以上380nm以下)における波長、遠紫外線の波長領域(10nm以上100nm以下)における波長、UVA(320nm以上400nm以下)における波長、UVB(290nm以上320nm以下)における波長、UVC(10nm以上290nm以下)における波長等が挙げられる。
【0031】
なお、本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、基板の材料を選択すること、第一の被覆層の材料を選択すること、第二の被覆層の材料を選択すること、並びに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長を選択することの順序は、特に限定されるものではない。
【0032】
本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法においては、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長、並びに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての、基板の材料の複素屈折率、第一の被覆層の材料の複素屈折率、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率に基づいて、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるように基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さを決定する。
【0033】
基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率は、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長、並びに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての、基板の材料の複素屈折率、第一の被覆層の材料の複素屈折率、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率、並びに基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さによって決定される。このため、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長、並びに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての、基板の材料の複素屈折率、第一の被覆層の材料の複素屈折率、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率が与えられたときには、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率は、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さの関数となる。
【0034】
本発明の発明者は、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長、並びに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての、基板の材料の複素屈折率、第一の被覆層の材料の複素屈折率、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率が与えられたとき、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率は、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、又は第二の被覆層の厚さの変動に対して周期的に又は繰り返し極小となることを見出した。より詳しくは、本発明の発明者は、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長、並びに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての、基板の材料の複素屈折率、第一の被覆層の材料の複素屈折率、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率が与えられたとき、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率は、(基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長)/(2×基板の材料の屈折率)の基板の厚さの変動(間隔)毎に、(基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長)/(2×第一の被覆層の材料の屈折率)の第一の被覆層の厚さの変動(間隔)毎に、及び/又は、(基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長)/(2×第二の被覆層の材料の屈折率)の第二の被覆層の厚さの変動(間隔)毎に、極小となることを見出した。なお、基板の材料の屈折率、第一の被覆層の材料の屈折率、及び第二の被覆層の材料の屈折率は、それぞれ、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての、基板の材料の複素屈折率の実部、第一の被覆層の材料の複素屈折率の実部、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率の実部である。
【0035】
すなわち、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長、並びに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての、基板の材料の複素屈折率、第一の被覆層の材料の複素屈折率、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率が与えられたとき、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるところの基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さの組み合わせを求めることによって、積層体のサイズを顕著に増加させることなく積層体における基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率を低減することが可能になる。ここで、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であることは、基板の厚さの変動、第一の被覆層の厚さの変動、及び第二の被覆層の厚さの変動の少なくとも一つに対して極小であることを意味する。
【0036】
このように、本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法によれば、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法を提供することが可能となる。
【0037】
また、本発明の発明者は、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長、並びに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての、基板の材料の複素屈折率、第一の被覆層の材料の複素屈折率、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率が与えられたとき、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率は、基板の材料の消衰係数、第一の被覆層の材料の消衰係数、及び第二の被覆層の材料の消衰係数に依存して、基板の厚さの変動、第一の被覆層の厚さの変動、及び/又は第二の被覆層の厚さの変動に対して、変動することがあることを見出した。なお、基板の材料の消衰係数、第一の被覆層の材料の消衰係数、及び第二の被覆層の材料の消衰係数は、それぞれ、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての、基板の材料の複素屈折率の虚部、第一の被覆層の材料の複素屈折率の虚部、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率の虚部である。
【0038】
より詳しくは、基板の材料の消衰係数が、ゼロではないとき、基板の厚さが、増加(減少)すると、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率は、減少(増加)する傾向がある。また、第一の被覆層の材料の消衰係数が、ゼロではないとき、第一の被覆層の厚さが、増加(減少)すると、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率は、減少(増加)する傾向がある。さらに、第二の被覆層の材料の消衰係数が、ゼロではないとき、第二の被覆層の厚さが、増加(減少)すると、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率は、減少(増加)する傾向がある。
【0039】
本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、好ましくは、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光が第一の表面領域又は第二の表面領域に対する法線の方向において積層体に入射する場合における、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての、基板の第一の表面領域及び第二の表面領域のフレネル係数並びに第一の表面領域の側と反対側における第一の被覆層の表面のフレネル係数及び第二の表面領域の側と反対側における第二の被覆層の表面のフレネル係数、並びに、基板を透過する光の位相変化、第一の被覆層を透過する光の位相変化、及び第二の被覆層を透過する光に位相変化から、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率を算出する。
【0040】
上述したように、まず、第一の表面領域及び第二の表面領域を有する基板、第一の表面領域に設けられた第一の被覆層、並びに第二の表面領域に設けられた第二の被覆層を含む、積層体について、基板の材料、第一の被覆層の材料、第二の被覆層の材料、並びに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長を選択する。これにより、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λ、並びに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての、基板の材料の複素屈折率N1、第一の被覆層の材料の複素屈折率N2、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率N3が決定される。
【0041】
ここで、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての基板の材料の複素屈折率N1は、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての基板の材料の屈折率(基板の材料の複素屈折率の実部)n1及び基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての基板の材料の消衰係数(基板の材料の複素屈折率の虚部)k1によって、N1=n1−ik1のように表される。また、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての第一の被覆層の材料の複素屈折率N2は、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての第一の被覆層の材料の屈折率(第一の被覆層の材料の複素屈折率の実部)n2及び基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての第一の被覆層の材料の消衰係数(第一の被覆層の材料の複素屈折率の虚部)k2によって、N2=n2−ik2のように表される。さらに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての第二の被覆層の材料の複素屈折率N3は、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての第二の被覆層の材料の屈折率(第二の被覆層の材料の複素屈折率の実部)n3及び基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての第二の被覆層の材料の消衰係数(第二の被覆層の材料の複素屈折率の虚部)k3によって、N3=n3−ik3のように表される。なお、iは、虚数単位を表す。
【0042】
また、積層体を囲む媒質の材料は、均質な媒質であると仮定する。基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての積層体を囲む媒質の材料の複素屈折率N0は、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての積層体を囲む媒質の材料の屈折率(積層体を囲む媒質の材料の複素屈折率の実部)n0及び基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての積層体を囲む媒質の材料の消衰係数(積層体を囲む媒質の材料の複素屈折率の虚部)k0によって、N0=n0−ik0のように表される。ここで、積層体を囲む媒質の材料は、通常、空気である。積層体を囲む媒質が、空気である場合には、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての積層体を囲む媒質の材料の屈折率n0は、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての空気の屈折率(〜1.00)であると共に、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての積層体を囲む媒質の材料の消衰係数k0は、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての空気の消衰係数(〜0)である。
【0043】
次に、基板の第一の表面領域及び第二の表面領域が、(無限に広がる)互いに平行な平面であると仮定する。また、基板の第一の表面領域及び第一の表面領域の側と反対側における第一の被覆層の表面が、(無限に広がる)互いに平行な平面であると仮定する。さらに、基板の第二の表面領域及び第二の表面領域の側と反対側における第二の被覆層の表面が、(無限に広がる)互いに平行な平面であると仮定する。すなわち、基板の第一の表面領域及び第二の表面領域、並びに、第一の表面領域の側と反対側における第一の被覆層の表面及び第二の表面領域の側と反対側における第二の被覆層の表面は、全て互いに平行な平面であることを仮定する。
【0044】
そして、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光が、第一の表面領域又は第二の表面領域に対する法線の方向において(又は、第一の表面領域の側と反対側における第一の被覆層の表面若しくは第二の表面領域の側と反対側における第二の被覆層の表面に対する法線の方向において)積層体に入射することを仮定する。例えば、第一の表面領域の側と反対側における第一の被覆層の表面、第一の表面領域、第二の表面領域、及び第二のの表面領域の側と反対側における第二の被覆層の表面の順序で、光が積層体に入射すると共に光の一部が積層体を透過することを考える。そこで、第一の表面領域の側と反対側における第一の被覆層の表面、第一の表面領域、第二の表面領域、及び第二のの表面領域の側と反対側における第二の被覆層の表面を、それぞれ、第0面、第1面、第2面、及び第3面と呼ぶことにする。すなわち、光は、第0面に入射すると共に、光の一部が、第1面及び第2面を透過すると共に、第3面から射出する。
【0045】
このとき、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長(積層体に入射する光の波長)λについての、第一の表面領域の側と反対側における第一の被覆層の表面(第0面)のフレネル係数、基板の第一の表面領域(第1面)のフレネル係数、基板の第二の表面領域(第2面)のフレネル係数、及び第二の表面領域の側と反対側における第二の被覆層の表面(第3面)のフレネル係数は、それぞれ、
第0面の反射波のフレネル係数ρ0=(N0−N2)/(N0+N2)
第0面の透過波のフレネル係数τ0=(2×N0)/(N0+N2)
第1面の反射波のフレネル係数ρ1=(N2−N1)/(N2+N1)
第1面の透過波のフレネル係数τ1=(2×N2)/(N2+N1)
第2面の反射波のフレネル係数ρ2=(N1−N3)/(N1+N3)
第2面の透過波のフレネル係数τ2=(2×N1)/(N1+N3)
第3面の反射波のフレネル係数ρ3=(N3−N0)/(N3+N0)
第3面の透過波のフレネル係数τ3=(2×N3)/(N3+N0)
のように、表される。
【0046】
また、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長(積層体に入射する光の波長)λについての、基板を透過する光の位相変化、第一の被覆層を透過する光の位相変化、及び第二の被覆層を透過する光に位相変化は、それぞれ、
基板を透過する光の位相変化Δ1=2×π×N1×d1/λ
第一の被覆層を透過する光の位相変化Δ2=2×π×N2×d2/λ
第二の被覆層を透過する光に位相変化Δ3=2×π×N3×d3/λ
のように、表される。ここで、d1、d2、及びd3は、それぞれ、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さを表す。
【0047】
そして、第0面の反射波のフレネル係数ρ0、第0面の透過波のフレネル係数τ0、第1面の反射波のフレネル係数ρ1、第1面の透過波のフレネル係数τ1、第2面の反射波のフレネル係数ρ2、第2面の透過波のフレネル係数τ2、第3面の反射波のフレネル係数ρ3、及び第3面の透過波のフレネル係数τ3、並びに、基板を透過する光の位相変化Δ1、第一の被覆層を透過する光の位相変化Δ2、及び第二の被覆層を透過する光に位相変化Δ3から、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率Tを算出する。
【0048】
具体的には、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率Tは、
T(%)=|τ0’|×100
τ0’=(τ0×τ1’×exp(−iΔ1))/(1+ρ0×ρ1’×exp(−2iΔ1))
τ1’=(τ1×τ2’×exp(−iΔ2))/(1+ρ1×ρ2’×exp(−2iΔ2))
ρ1’=(ρ1+ρ2’×exp(−2iΔ2))/(1+ρ1×ρ2’×exp(−2iΔ2))
τ2’=(τ2×τ3×exp(−iΔ3))/(1+ρ2×ρ3×exp(−2iΔ3))
ρ2’=(ρ2+ρ3×exp(−2iΔ3))/(1+ρ2×ρ3×exp(−2iΔ3))
のように、表される。
【0049】
このようにして、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λ、並びに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての、基板の材料の複素屈折率N1、第一の被覆層の材料の複素屈折率N2、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率N3、並びに、基板の厚さd1、第一の被覆層の厚さd2、及び第二の被覆層の厚さd3に基づいて、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率Tを算出することが可能になる。
【0050】
次に、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるように、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さを決定する。
【0051】
具体的には、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さのうち二つを固定する一方で残りの一つを変動させることなどのような公知の手段を用いて、与えられた、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λ、並びに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての、基板の材料の複素屈折率N1、第一の被覆層の材料の複素屈折率N2、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率N3に対して、基板の厚さd1、第一の被覆層の厚さd2、及び第二の被覆層の厚さd3を変動させることによって、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率Tが極小であるような、基板の厚さd1、第一の被覆層の厚さd2、及び第二の被覆層の厚さd3の組み合わせを求める。なお、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率Tが極小であるような、基板の厚さd1、第一の被覆層の厚さd2、及び第二の被覆層の厚さd3の組み合わせの数は、基板の厚さd1、第一の被覆層の厚さd2、及び第二の被覆層の厚さd3を変動させる範囲に応じて、単数又は複数の場合がある。
【0052】
このようにして、選択された基板の材料、選択された第一の被覆層の材料、選択された第二の被覆層の材料、及び選択された基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長に対して、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるような、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さを求めることが可能となる。
【0053】
以上のように、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光が第一の表面領域又は第二の表面領域に対する法線の方向において積層体に入射する場合における、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての、基板の第一の表面領域及び第二の表面領域のフレネル係数並びに第一の表面領域の側と反対側における第一の被覆層の表面のフレネル係数及び第二の表面領域の側と反対側における第二の被覆層の表面のフレネル係数、並びに、基板を透過する光の位相変化、第一の被覆層を透過する光の位相変化、及び第二の被覆層を透過する光に位相変化から、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率を算出する場合には、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を近似的に設計する方法を提供することが可能となる。
【0054】
その結果、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体をより簡便に設計する方法を提供することが可能となる。
【0055】
本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、好ましくは、積層体は、粉体である。
【0056】
ここで、粉体は、1mm以下の最大の直径を有する固体の粒子を意味する。粉体としては、例えば、化粧品用の粉体が挙げられる。
【0057】
粉体としては、例えば、化粧品用の粉末等が挙げられる。
【0058】
積層体が、粉体である場合には、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた粉体を設計する方法を提供することが可能になる。例えば、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長が、紫外線の波長領域における波長である場合には、より低減された紫外線の透過率及びより低減されたサイズを備えた粉体を設計する方法を提供することが可能になる。
【0059】
また、積層体が、粉体である場合には、積層体のサイズが比較的小さいものである(基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長に対して積層体のサイズがあまり大きいものではない)ため、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、又は第二の被覆層の厚さの変動の比率に対して積層体を透過する光の透過率を低減する効果が比較的顕著なものとなる傾向がある。すなわち、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、又は第二の被覆層の厚さを選択することによって積層体を透過する光の透過率をより効果的に低減することが可能になる。
【0060】
本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、好ましくは、基板の材料を選択することは、シリカ、マイカ、合成マイカ、タルク、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、及びアルミニウムからなる群より基板の材料を選択することである。ここで、シリカは、無色の材料である。また、マイカ、合成マイカ、タルク、アルミナ、酸化亜鉛、及び酸化チタンは、白色の材料である。さらに、アルミニウムは、銀白色の材料である。このため、シリカ、マイカ、合成マイカ、タルク、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、及びアルミニウムからなる群より基板の材料を選択する場合には、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた無色、白色、又は銀白色の積層体を設計する方法を提供することが可能になる。
【0061】
より好ましくは、本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、基板の材料を選択することは、酸化亜鉛、酸化チタン、及びアルミニウムからなる群より基板の材料を選択することである。ここで、酸化亜鉛及び酸化チタンは、紫外線の波長領域における波長を備えた光を吸収する性質を有する。また、アルミニウムは、紫外線の波長領域における波長を備えた光を反射する性質を有する。このため、酸化亜鉛、酸化チタン、及びアルミニウムからなる群より基板の材料を選択する場合には、さらに低減された光の透過率を備えた積層体を設計する方法を提供することが可能になる。
【0062】
本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、好ましくは、第一の被覆層の材料を選択することは、シリカ、アルミナ、酸化鉄、酸化亜鉛、及び酸化チタンからなる群より第一の被覆層の材料を選択することである。シリカ、アルミナ、酸化鉄、酸化亜鉛、及び酸化チタンからなる群より第一の被覆層の材料を選択する場合には、積層体の経時安定性を向上させることが可能になる。その結果、向上させられた経時安定性、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法を提供することが可能となる。
【0063】
より好ましくは、本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、第一の被覆層の材料を選択することは、酸化亜鉛及び酸化チタンからなる群より第一の被覆層の材料を選択することである。ここで、酸化亜鉛及び酸化チタンは、紫外線の波長領域における波長を備えた光を吸収する性質を有する。このため、酸化亜鉛及び酸化チタンからなる群より第一の被覆層の材料を選択する場合には、さらに低減された光の透過率を備えた積層体を設計する方法を提供することが可能になる。
【0064】
本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、好ましくは、第二の被覆層の材料を選択することは、シリカ、アルミナ、酸化鉄、酸化亜鉛、及び酸化チタンからなる群より第二の被覆層の材料を選択することである。シリカ、アルミナ、酸化鉄、酸化亜鉛、及び酸化チタンからなる群より第二の被覆層の材料を選択する場合には、積層体の経時安定性を向上させることが可能になる。その結果、向上させられた経時安定性、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法を提供することが可能となる。
【0065】
より好ましくは、本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、第二の被覆層の材料を選択することは、酸化亜鉛及び酸化チタンからなる群より第二の被覆層の材料を選択することである。ここで、酸化亜鉛及び酸化チタンは、紫外線の波長領域における波長を備えた光を吸収する性質を有する。このため、酸化亜鉛及び酸化チタンからなる群より第二の被覆層の材料を選択する場合には、さらに低減された光の透過率を備えた積層体を設計する方法を提供することが可能になる。
【0066】
本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、好ましくは、第一の被覆層の材料及び第二の被覆層の材料は、同一の材料である。
【0067】
ここで、同一の材料は、完全に同一の材料又は実質的に同一とみなせる材料を意味する。特に、同一の材料は、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての、完全に同一の複素屈折率を備えた材料又は実質的に同一とみなせる複素屈折率を備えた材料を意味する。
【0068】
第一の被覆層の材料及び第二の被覆層の材料が、同一の材料である場合には、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長λについての、第一の被覆層の材料の複素屈折率及び第二の被覆層の材料の複素屈折率が、同一であるため、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるように、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さをより容易に決定することが可能となる。その結果、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体をより容易に設計する方法を提供することが可能となる。
【0069】
本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、好ましくは、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長を選択することは、280nm以上320nm以下の範囲の波長において基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長を選択することである。
【0070】
280nm以上320nm以下の範囲の波長において基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長を選択する場合には、少なくとも280nm以上320nm以下の範囲の波長において選択された波長を備えた光のより低減された透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法を提供することが可能となる。また、280nm以上320nm以下の範囲の波長は、紫外線の波長領域に含まれる波長であるため、より低減された紫外線の透過率及びより低減されたサイズを備えた粉体を設計する方法を提供することが可能になる。
【0071】
本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、好ましくは、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さを決定することは、基板の厚さが10nm以上500nm以下であることを条件として、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるように基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さを決定することである。
【0072】
基板の厚さが10nm以上500nm以下である場合には、積層体のサイズがより低減される。また、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長に対する基板の厚さの比が、比較的小さいものであるため、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、又は第二の被覆層の厚さの変動の比率に対して積層体を透過する光の透過率を低減する効果が比較的顕著なものとなる傾向がある。すなわち、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、又は第二の被覆層の厚さを選択することによって積層体を透過する光の透過率をより効果的に低減することが可能になる。
【0073】
本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、好ましくは、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さを決定することは、第一の被覆層の厚さが5nm以上100nm以下であることを条件として、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるように基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さを決定することである。
【0074】
第一の被覆層の厚さが5nm以上100nm以下である場合には、積層体のサイズがより低減される。また、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長に対する第一の被覆層の厚さの比が、比較的小さいものであるため、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、又は第二の被覆層の厚さの変動の比率に対して積層体を透過する光の透過率を低減する効果が比較的顕著なものとなる傾向がある。すなわち、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、又は第二の被覆層の厚さを選択することによって積層体を透過する光の透過率をより効果的に低減することが可能になる。
【0075】
本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、好ましくは、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さを決定することは、第二の被覆層の厚さが5nm以上100nm以下であることを条件として、基板、前記第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるように基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さを決定することである。
【0076】
第二の被覆層の厚さが5nm以上100nm以下である場合には、積層体のサイズがより低減される。また、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長に対する第二の被覆層の厚さの比が、比較的小さいものであるため、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、又は第二の被覆層の厚さの変動の比率に対して積層体を透過する光の透過率を低減する効果が比較的顕著なものとなる傾向がある。すなわち、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、又は第二の被覆層の厚さを選択することによって積層体を透過する光の透過率をより効果的に低減することが可能になる。
【0077】
本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法において、好ましくは、第一の被覆層の厚さ及び第二の被覆層の厚さは、同一の厚さである。
【0078】
ここで、同一の厚さは、完全に同一の厚さ又は実質的に同一とみなせる厚さを意味する。
【0079】
第一の被覆層の厚さ及び第二の被覆層の厚さは、同一の厚さである場合に、第一の被覆層の厚さ及び第二の被覆層の厚さの各々を単に被覆層の厚さと表現することにする。この場合には、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるように、基板の厚さ及び被覆層の厚さを決定することになる。言い換えれば、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率は、(基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さの三変数関数というよりもむしろ)基板の厚さ及び被覆層の厚さの二変数関数になる。このため、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるように、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さ(即ち、基板の厚さ及び被覆層の厚さ)をより容易に決定することが可能となる。その結果、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体をより容易に設計する方法を提供することが可能となる。
【0080】
図1は、本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法における積層体の例を概略的に示す図である。図1に示すような本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法における積層体の例としての積層体10は、粉体である。ここで、積層体10は、第一の表面領域(第1面)S1及び第二の表面領域(第2面)S2を有する基板11、第一の表面領域S1に設けられた第一の被覆層12、並びに第二の表面領域S2に設けられた第二の被覆層13を含む。また、第一の表領域S1、第二の表面領域S2、第一の表面領域S1の側と反対側における第一の被覆層12の表面(第0面)S0、及び第二の表面領域S2の側と反対側における第二の被覆層13の表面(第3面)S3は、互いに平行な平面である。
【0081】
ここで、基板11の材料は、例えば、シリカ、マイカ、合成マイカ、タルク、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、及びアルミニウムからなる群より選択される。第一の被覆層12の材料は、例えば、シリカ、アルミナ、酸化鉄、酸化亜鉛、及び酸化チタンからなる群より選択される。第二の被覆層13の材料は、例えば、シリカ、アルミナ、酸化鉄、酸化亜鉛、及び酸化チタンからなる群より前記第二の被覆層の材料を選択される。なお、第一の被覆層12の材料及び第二の被覆層の材料13は、好ましくは、同一の材料である。
【0082】
一方、基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光(積層体10に入射する光)の波長は、例えば、紫外線の波長領域に含まれる280nm以上320nm以下の範囲の波長において選択される。積層体10に入射する光は、第一の表面領域S1の側と反対側における第一の被覆層12の表面S0、第一の表面領域S1、前記第二の表面領域S2、又は第二の表面領域S2の側と反対側における第二の被覆層13の表面S3に対する法線の方向において積層体10に入射する。
【0083】
また、基板11の厚さd1は、10nm以上500nm以下である。第一の被覆層12の厚さd2は、5nm以上100nm以下であると共に、第二の被覆層13の厚さd3は、5nm以上100nm以下である。なお、第一の被覆層の厚さd2及び第二の被覆層の厚さd3は、好ましくは、同一の厚さである。
【0084】
ここで、基体11の材料、第一の被覆層12の材料、及び第二の被覆層の材料13、及び積層体10に入射する光の波長λが選択されると、積層体10に入射する光の波長λについての、基板11の材料の複素屈折率N1、第一の被覆層12の材料の複素屈折率N2、及び第二の被覆層13の材料の複素屈折率N3が、与えられる。なお、積層体10に入射する光の波長λについての、基板11の材料の屈折率n1、基板11の材料の消衰係数k1、第一の被覆層12の材料の屈折率n2、第一の被覆層12の材料の消衰係数k2、第二の被覆層13の材料の屈折率n3、第二の被覆層13の材料の消衰係数k3、及び虚数単位iによって、積層体10に入射する光の波長λについての基板11の材料の複素屈折率N1、第一の被覆層12の材料の複素屈折率N2、及び第二の被覆層13の材料の複素屈折率N3は、それぞれ、N1=n1−i×k1、N2=n2−i×k2、及びN3=n3−i×k3のように表される。同様に、積層体10に入射する光の波長λが選択されると、層体10に入射する光の波長λについての積層体10を囲む媒質の複素屈折率N0も与えられる。積層体10に入射する光の波長λについての積層体10を囲む媒質の材料の屈折率n0及び積層体10を囲む媒質の材料の消衰係数k0並びに虚数単位iによって、積層体10に入射する光の波長λについての積層体10を囲む媒質の材料の複素屈折率N0は、N0=n0−i×k0のように表される。積層体10を囲む媒質は、通常、空気であるが、その場合には、n0〜1及びk〜0であるため、N0〜1である。
【0085】
そして、積層体10に入射する光の波長λ、及び積層体10に入射する光の波長λについての、基板11の材料の複素屈折率N1、第一の被覆層12の材料の複素屈折率N2、及び第二の被覆層13の材料の複素屈折率N3に基づいて、基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光の透過率が極小であるように、基板の厚さd1、第一の被覆層の厚さd2、及び第二の被覆層の厚さd3が決定される。なお、基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光の透過率が極小であることは、基板11の厚さd1の変動、第一の被覆層12の厚さd2の変動、及び第二の被覆層13の厚さの変動の少なくとも一つに対して極小であることを意味する。
【0086】
なお、上述したように、基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光の透過率は、積層体10に入射する光の波長についての第一の表面領域S1のフレネル係数、第二の表面領域S2のフレネル係数、第一の表面領域S1の側と反対側における第一の被覆層12の表面S0のフレネル係数、及び第二の表面領域S2の側と反対側における第二の被覆層13の表面S3のフレネル係数、並びに、基板11を透過する光の位相変化、第一の被覆層12を透過する光の位相変化、及び第二の被覆層13を透過する光に位相変化から算出される。
【0087】
このようにして、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体10を設計する方法を提供することが可能となる。
【0088】
図2は、本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法におけるフローチャートの例を概略的に示す図である。
【0089】
図2に示すような本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法におけるフローチャートの例は、第一の表面領域及び第二の表面領域を有する基板、第一の表面領域に設けられた第一の被覆層、並びに第二の表面領域に設けられた第二の被覆層を含む、積層体を設計する方法についてのフローチャートである。ここで、積層体は、例えば、粉体である。
【0090】
積層体を設計する方法は、基板の材料を選択するステップ21、第一の被覆層の材料を選択するステップ22、第二の被覆層の材料を選択するステップ23、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長を選択するステップ24、及び、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さを決定するステップ25を含む。
【0091】
まず、基板の材料を選択するステップ21においては、例えば、シリカ、マイカ、合成マイカ、タルク、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、及びアルミニウムからなる群より基板の材料を選択する。
【0092】
次に、第一の被覆層の材料を選択するステップ22おいては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化鉄、酸化亜鉛、及び酸化チタンからなる群より第一の被覆層の材料を選択する。
【0093】
次に、第二の被覆層の材料を選択するステップ23においては、シリカ、アルミナ、酸化鉄、酸化亜鉛、及び酸化チタンからなる群より前記第二の被覆層の材料を選択する。
【0094】
なお、第一の被覆層の材料を選択するステップ22及び第二の被覆層の材料を選択するステップ23について、第一の被覆層の材料及び第二の被覆層の材料は、好ましくは、同一の材料である。
【0095】
次に、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長を選択するステップ24においては、例えば、紫外線の波長領域に含まれる280nm以上320nm以下の範囲の波長において基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長を選択する。
【0096】
これにより、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての、基板の材料の複素屈折率、第一の被覆層の材料の複素屈折率、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率を得ることができる。
【0097】
次に、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さを決定するステップ25においては、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長、並びに、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての、基板の材料の複素屈折率、第一の被覆層の材料の複素屈折率、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率に基づいて、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるように、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さを決定する。なお、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であることは、基板の厚さの変動、第一の被覆層の厚さの変動、及び第二の被覆層の厚さの変動の少なくとも一つに対して極小であることを意味する。
【0098】
このとき、例えば、基板の厚さが10nm以上500nm以下であること、第一の被覆層の厚さが5nm以上100nm以下であること、及び、第二の被覆層の厚さが5nm以上100nm以下であることを条件として、基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、及び第二の被覆層の厚さを決定する。なお、第一の被覆層の厚さ及び第二の被覆層の厚さは、好ましくは、同一の厚さである。
【0099】
また、上述したように、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の透過率は、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光が第一の表面領域又は前記第二の表面領域に対する法線の方向において積層体に入射する場合における、基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長についての、基板の第一の表面領域のフレネル係数、基板の第二の表面領域のフレネル係数、基板の第一の表面領域の側と反対側における第一の被覆層の表面のフレネル係数、及び基板の第二の表面領域の側と反対側における第二の被覆層の表面のフレネル係数、並びに、基板を透過する光の位相変化、第一の被覆層を透過する光の位相変化、及び第二の被覆層を透過する光に位相変化から算出される。
【0100】
このようにして、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法を提供することが可能となる。
【0101】
図3は、本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法における基板の厚さ、第一の被覆層の厚さ、又は第二の被覆層の厚さに対する積層体を透過する光の透過率の関係を概略的に示す図である。図3(a)は、本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法における基板の厚さに対する積層体を透過する光の透過率の関係を概略的に示す図である。図3(b)は、本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法における第一の被覆層の厚さに対する積層体を透過する光の透過率の関係を概略的に示す図である。図3(c)は、本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法における第二の被覆層の厚さに対する積層体を透過する光の透過率の関係を概略的に示す図である。
【0102】
図3(a)に示すように、基板の材料の複素屈折率、第一の被覆層の材料の複素屈折率、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率、並びに基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長が与えられたとき、積層体を透過する光の透過率は、基板の厚さの変動に対して周期的に又は繰り返し極小となる。ここで、積層体を透過する光の透過率は、(積層体を透過する光の波長)/(2×基板の材料の屈折率)の基板の厚さの変動(間隔)毎に極小となる。ただし、基板の材料の屈折率は、積層体を透過する光の波長についての基板の材料の屈折率である。また、積層体を透過する光の波長についての基板の材料の消衰係数がゼロではないときには、基板の厚さが、増加(減少)すると、積層体を透過する光の透過率は、減少(増加)する傾向がある。
【0103】
図3(b)に示すように、基板の材料の複素屈折率、第一の被覆層の材料の複素屈折率、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率、並びに基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長が与えられたとき、積層体を透過する光の透過率は、第一の被覆層の厚さの変動に対して周期的に又は繰り返し極小となる。ここで、積層体を透過する光の透過率は、(積層体を透過する光の波長)/(2×第一の被覆層の材料の屈折率)の第一の被覆層の厚さの変動(間隔)毎に極小となる。ただし、第一の被覆層の材料の屈折率は、積層体を透過する光の波長についての第一の被覆層の材料の屈折率である。また、積層体を透過する光の波長についての第一の被覆層の材料の消衰係数がゼロではないときには、第一の被覆層の厚さが、増加(減少)すると、積層体を透過する光の透過率は、減少(増加)する傾向がある。
【0104】
図3(c)に示すように、基板の材料の複素屈折率、第一の被覆層の材料の複素屈折率、及び第二の被覆層の材料の複素屈折率、並びに基板、第一の被覆層、及び第二の被覆層を透過する光の波長が与えられたとき、積層体を透過する光の透過率は、第二の被覆層の厚さの変動に対して周期的に又は繰り返し極小となる。ここで、積層体を透過する光の透過率は、(積層体を透過する光の波長)/(2×第二の被覆層の材料の屈折率)の第二の被覆層の厚さの変動(間隔)毎に極小となる。ただし、第二の被覆層の材料の屈折率は、積層体を透過する光の波長についての第二の被覆層の材料の屈折率である。また、積層体を透過する光の波長についての第二の被覆層の材料の消衰係数がゼロではないときには、第二の被覆層の厚さが、増加(減少)すると、積層体を透過する光の透過率は、減少(増加)する傾向がある。
【0105】
本発明の第二の実施形態は、本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法をコンピューターに実行させるためのプログラムである。
【0106】
本発明の第二の実施形態に係るプログラムは、公知のプログラミング言語を用いることで本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法をコンピューターによる処理に適した命令の順序付けられた列に変換することによって得られる。
【0107】
例えば、図2に概略的に示すような本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法におけるフローチャートに示された手順をコンピューターに実行させるためのプログラムを提供することができる。
【0108】
上述したように、本発明の第一の実施形態に係る積層体を設計する方法によれば、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法を提供することが可能となる。このため、本発明の第二の実施形態に係るプログラムによれば、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法をコンピューターに実行させるためのプログラムを提供することが可能となる。
【0109】
本発明の第三の実施形態は、本発明の第二の実施形態に係るプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体である。
【0110】
本発明の第三の実施形態に係る記録媒体において、コンピューター読み取り可能な記録媒体は、記録媒体に記録されたプログラムを読み取る装置に固定された媒体又は記録媒体に記録されたプログラムを読み取る装置から着脱自在の媒体であることがある。
【0111】
コンピューター読み取り可能な記録媒体としては、例えば、光磁気ディスク(MO)、並びに、CD−R、CD−RW、DVD+R、DVD+RW、DVD−R、DVD−RW、及びDVD−RAMのような光ディスクが挙げられる。
【0112】
図4は、本発明の第三の実施形態に係る記録媒体の例を概略的に示す図である。図4に示す本発明の第三の実施形態に係る記録媒体の例としての光ディスク40は、本発明の第二の実施形態に係るプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体である。
【0113】
上述したように、本発明の第二の実施形態に係るプログラムによれば、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法をコンピューターに実行させるためのプログラムを提供することが可能となる。このため、本発明の第三の実施形態に係る記録媒体によれば、より低減された光の透過率及びより低減されたサイズを備えた積層体を設計する方法をコンピューターに実行させるためのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体を提供することが可能となる。
【0114】
次に、本発明の実施形態に係る本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0115】
本発明の実施形態に係る本発明の実施例1は、図1に示すような、粉体である積層体10を設計する方法である。
【0116】
本発明の実施例1においては、積層体10は、第一の表面領域(第1面)S1及び第二の表面領域(第2面)S2を有する基板11、第一の表面領域S1に設けられた第一の被覆層12、並びに第二の表面領域S2に設けられた第二の被覆層13からなる。また、第一の表領域S1、第二の表面領域S2、第一の表面領域S1の側と反対側における第一の被覆層12の表面(第0面)S0、及び第二の表面領域S2の側と反対側における第二の被覆層13の表面(第3面)S3は、互いに平行な平面である。さらに、基板11の厚さd1、第一の被覆層12の厚さd2、及び第二の被覆層13の厚さd3のうち、第一の被覆層の厚さd2及び第二の被覆層の厚さd3は、同一の厚さである。
【0117】
ここで、基板11の材料としては、マイカを選択する。第一の被覆層12の材料及び第二の被覆層の材料13は、同一の材料である。第一の被覆層12の材料及び第二の被覆層13の材料としては、酸化チタンを選択する。なお、積層体10を囲む媒質は、空気である。
【0118】
一方、基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光(積層体10に入射する光)の波長としては、306nmの波長を選択する。積層体10に入射する光は、第一の表面領域S1の側と反対側における第一の被覆層12の表面S0、第一の表面領域S1、前記第二の表面領域S2、又は第二の表面領域S2の側と反対側における第二の被覆層13の表面に対する法線の方向において積層体10に入射する。
【0119】
このとき、積層体10に入射する光の波長306nmについての基板11の材料マイカの複素屈折率は、1.56−0×iであると共に、積層体10に入射する光の波長306nmについての第一の被覆層12の材料及び第二の被覆層13の材料酸化チタンの複素屈折率は、3.38−i×1.10である。また、積層体10を囲む媒質の空気の複素屈折率は、1.00−i×0である。なお、iは、虚数単位を表す。
【0120】
そして、積層体10に入射する光の波長306nmについての第一の表面領域S1のフレネル係数、第二の表面領域S2のフレネル係数、第一の表面領域S1の側と反対側における第一の被覆層12の表面S0のフレネル係数、及び第二の表面領域S2の側と反対側における第二の被覆層13の表面S3のフレネル係数、並びに、基板11を透過する光の位相変化、第一の被覆層12を透過する光の位相変化、及び第二の被覆層13を透過する光に位相変化から基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光の透過率を算出する。
【0121】
ここで、第一の被覆層12の厚さd2及び第二の被覆層の厚さd2を特定の値に固定する一方で基板11の厚さd1を変動させるとき、基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光の透過率が極小であるような、基板の厚さd1、第一の被覆層の厚さd2、及び第二の被覆層の厚さd3の組み合わせを得る。
【0122】
このようにして得られた基板の厚さd1、第一の被覆層の厚さd2、及び第二の被覆層の厚さd3の組み合わせ並びにその組み合わせについての基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光の透過率の一部を表1に示す。
【0123】
表1
【0124】
【表1】


表1に示すように、第一の被覆層12の厚さd2及び第二の被覆層の厚さd2を特定の値に固定する一方で基板11の厚さd1を変動させるとき、基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光の透過率は、積層体10に入射する光の波長306nm/(2×基板11の材料マイカの屈折率1.56)〜98nmの基板の厚さd1の変動毎に、極小となる。
【実施例2】
【0125】
上述した本発明の実施例1における積層体10を設計する方法において、基板11の材料として、マイカの代わりに、アルミナを選択する以外は、本発明の実施例1における積層体10を設計する方法と同様にして、本発明の実施形態に係る本発明の実施例2における積層体10を設計する方法を実施する。このとき、積層体10に入射する光の波長306nmについての基板11の材料アルミナの複素屈折率は、1.76−0×iである。
【0126】
得られた基板の厚さd1、第一の被覆層の厚さd2、及び第二の被覆層の厚さd3の組み合わせ並びにその組み合わせについての基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光の透過率の一部を表2に示す。
【0127】
表2
【0128】
【表2】


表2に示すように、第一の被覆層12の厚さd2及び第二の被覆層の厚さd2を特定の値に固定する一方で基板11の厚さd1を変動させるとき、基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光の透過率は、積層体10に入射する光の波長306nm/(2×基板11の材料アルミナの屈折率1.76〜84nmの基板の厚さd1の変動毎に、極小となる。
【実施例3】
【0129】
上述した本発明の実施例1における積層体10を設計する方法において、基板11の材料として、マイカの代わりに、シリカを選択すると共に、第一の被覆層12の材料及び第二の被覆層13の材料としては、酸化チタンの代わりに、アルミナを選択する以外は、本発明の実施例1における積層体10を設計する方法と同様にして、本発明の実施形態に係る本発明の実施例3における積層体10を設計する方法を実施する。このとき、積層体10に入射する光の波長306nmについての基板11の材料シリカの複素屈折率は、1.58−0×iである。また、積層体10に入射する光の波長306nmについての第一の被覆層12の材料及び第二の被覆層13の材料アルミナの複素屈折率は、1.76−0×iである。
【0130】
得られた基板の厚さd1、第一の被覆層の厚さd2、及び第二の被覆層の厚さd3の組み合わせ並びにその組み合わせについての基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光の透過率の一部を表3に示す。
【0131】
表3
【0132】
【表3】


表3に示すように、第一の被覆層12の厚さd2及び第二の被覆層の厚さd2を特定の値に固定する一方で基板11の厚さd1を変動させるとき、基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光の透過率は、積層体10に入射する光の波長306nm/(2×基板11の材料シリカの屈折率1.58〜96nmの基板の厚さd1の変動毎に、極小となる。
【実施例4】
【0133】
上述した本発明の実施例1における積層体10を設計する方法において、基板11の材料として、マイカの代わりに、アルミナを選択すると共に、第一の被覆層12の材料及び第二の被覆層13の材料として、酸化チタンの代わりに、シリカを選択する以外は、本発明の実施例1における積層体10を設計する方法と同様にして、本発明の実施形態に係る本発明の実施例4における積層体10を設計する方法を実施する。このとき、積層体10に入射する光の波長306nmについての基板11の材料アルミナの複素屈折率は、1.76−0×iである。また、積層体10に入射する光の波長306nmについての第一の被覆層12の材料及び第二の被覆層13の材料シリカの複素屈折率は、1.58−0×iである。
【0134】
得られた基板の厚さd1、第一の被覆層の厚さd2、及び第二の被覆層の厚さd3の組み合わせ並びにその組み合わせについての基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光の透過率の一部を表4に示す。
【0135】
表4
【0136】
【表4】


表4に示すように、第一の被覆層12の厚さd2及び第二の被覆層の厚さd2を特定の値に固定する一方で基板11の厚さd1を変動させるとき、基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光の透過率は、積層体10に入射する光の波長306nm/(2×基板11の材料アルミナの屈折率1.76〜84nmの基板の厚さd1の変動毎に、極小となる。
【実施例5】
【0137】
上述した本発明の実施例1における積層体10を設計する方法において、第一の被覆層12の材料及び第二の被覆層13の材料として、酸化チタンの代わりに、酸化鉄を選択する以外は、本発明の実施例1における積層体10を設計する方法と同様にして、本発明の実施形態に係る本発明の実施例5における積層体10を設計する方法を実施する。このとき、積層体10に入射する光の波長306nmについての第一の被覆層12の材料及び第二の被覆層13の材料酸化鉄の複素屈折率は、2.14−0.96×iである。
【0138】
得られた基板の厚さd1、第一の被覆層の厚さd2、及び第二の被覆層の厚さd3の組み合わせ並びにその組み合わせについての基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光の透過率の一部を表5に示す。
【0139】
表5
【0140】
【表5】


表5に示すように、第一の被覆層12の厚さd2及び第二の被覆層の厚さd2を特定の値に固定する一方で基板11の厚さd1を変動させるとき、基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光の透過率は、積層体10に入射する光の波長306nm/(2×基板11の材料マイカの屈折率1.56〜98nmの基板の厚さd1の変動毎に、極小となる。
【実施例6】
【0141】
上述した本発明の実施例1における積層体10を設計する方法において、基板11の材料として、マイカの代わりに、アルミナを選択すると共に、第一の被覆層12の材料及び第二の被覆層13の材料として、酸化チタンの代わりに、酸化鉄を選択する以外は、本発明の実施例1における積層体10を設計する方法と同様にして、本発明の実施形態に係る本発明の実施例4における積層体10を設計する方法を実施する。このとき、積層体10に入射する光の波長306nmについての基板11の材料アルミナの複素屈折率は、1.76−0×iである。また、積層体10に入射する光の波長306nmについての第一の被覆層12の材料及び第二の被覆層13の材料酸化鉄の複素屈折率は、2.14−0.96×iである。
【0142】
得られた基板の厚さd1、第一の被覆層の厚さd2、及び第二の被覆層の厚さd3の組み合わせ並びにその組み合わせについての基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光の透過率の一部を表6に示す。
【0143】
表6
【0144】
【表6】


表6に示すように、第一の被覆層12の厚さd2及び第二の被覆層の厚さd2を特定の値に固定する一方で基板11の厚さd1を変動させるとき、基板11、第一の被覆層12、及び第二の被覆層13を透過する光の透過率は、積層体10に入射する光の波長306nm/(2×基板11の材料アルミナの屈折率1.76〜84nmの基板の厚さd1の変動毎に、極小となる。
【0145】
以上、本発明の実施の形態及び実施例を具体的に説明してきたが、本発明は、これらの実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、これら本発明の実施の形態及び実施例を、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明の実施形態を、積層体を設計する方法、プログラム、及びコンピューター読み取り可能な記録媒体の少なくとも一つに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0147】
10 積層体
11 基板
12 第一の被覆層
13 第二の被覆層
40 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の表面領域及び第二の表面領域を有する基板、前記第一の表面領域に設けられた第一の被覆層、並びに前記第二の表面領域に設けられた第二の被覆層を含む、積層体を設計する方法であって、
前記基板の材料を選択すること、
前記第一の被覆層の材料を選択すること、
前記第二の被覆層の材料を選択すること、並びに、
前記基板、前記第一の被覆層、及び前記第二の被覆層を透過する光の波長を選択すること、
前記基板、前記第一の被覆層、及び前記第二の被覆層を透過する光の波長、並びに、前記基板、前記第一の被覆層、及び前記第二の被覆層を透過する光の波長についての、前記基板の材料の複素屈折率、前記第一の被覆層の材料の複素屈折率、及び前記第二の被覆層の材料の複素屈折率に基づいて、前記基板、前記第一の被覆層、及び前記第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるように、前記基板の厚さ、前記第一の被覆層の厚さ、及び前記第二の被覆層の厚さを決定すること
を含む、積層体を設計する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の積層体を設計する方法において、
前記基板、前記第一の被覆層、及び前記第二の被覆層を透過する光が前記第一の表面領域又は前記第二の表面領域に対する法線の方向において前記積層体に入射する場合における、前記基板、前記第一の被覆層、及び前記第二の被覆層を透過する光の波長についての、前記基板の前記第一の表面領域及び前記第二の表面領域のフレネル係数並びに前記第一の表面領域の側と反対側における前記第一の被覆層の表面のフレネル係数及び前記第二の表面領域の側と反対側における前記第二の被覆層の表面のフレネル係数、並びに、前記基板を透過する光の位相変化、前記第一の被覆層を透過する光の位相変化、及び前記第二の被覆層を透過する光に位相変化から、前記基板、前記第一の被覆層、及び前記第二の被覆層を透過する光の透過率を算出する、積層体を設計する方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の積層体を設計する方法において、
前記積層体は、粉体である、積層体を設計する方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の積層体を設計する方法において、
前記基板の材料を選択することは、シリカ、マイカ、合成マイカ、タルク、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、及びアルミニウムからなる群より前記基板の材料を選択することである、積層体を設計する方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の積層体を設計する方法において、
前記第一の被覆層の材料を選択することは、シリカ、アルミナ、酸化鉄、酸化亜鉛、及び酸化チタンからなる群より前記第一の被覆層の材料を選択することである、積層体を設計する方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の積層体を設計する方法において、
前記第二の被覆層の材料を選択することは、シリカ、アルミナ、酸化鉄、酸化亜鉛、及び酸化チタンからなる群より前記第二の被覆層の材料を選択することである、積層体を設計する方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の積層体を設計する方法において、
前記第一の被覆層の材料及び前記第二の被覆層の材料は、同一の材料である、積層体を設計する方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項に記載の積層体を設計する方法において、
前記基板、前記第一の被覆層、及び前記第二の被覆層を透過する光の波長を選択することは、280nm以上320nm以下の範囲の波長において前記基板、前記第一の被覆層、及び前記第二の被覆層を透過する光の波長を選択することである、積層体を設計する方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一項に記載の積層体を設計する方法において、
前記基板の厚さ、前記第一の被覆層の厚さ、及び前記第二の被覆層の厚さを決定することは、前記基板の厚さが10nm以上500nm以下であることを条件として、前記基板、前記第一の被覆層、及び前記第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるように前記基板の厚さ、前記第一の被覆層の厚さ、及び前記第二の被覆層の厚さを決定することである、積層体を設計する方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか一項に記載の積層体を設計する方法において、
前記基板の厚さ、前記第一の被覆層の厚さ、及び前記第二の被覆層の厚さを決定することは、前記第一の被覆層の厚さが5nm以上100nm以下であることを条件として、前記基板、前記第一の被覆層、及び前記第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるように前記基板の厚さ、前記第一の被覆層の厚さ、及び前記第二の被覆層の厚さを決定することである、積層体を設計する方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一項に記載の積層体を設計する方法において、
前記基板の厚さ、前記第一の被覆層の厚さ、及び前記第二の被覆層の厚さを決定することは、前記第二の被覆層の厚さが5nm以上100nm以下であることを条件として、前記基板、前記第一の被覆層、及び前記第二の被覆層を透過する光の透過率が極小であるように前記基板の厚さ、前記第一の被覆層の厚さ、及び前記第二の被覆層の厚さを決定することである、積層体を設計する方法。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか一項に記載の積層体を設計する方法において、
前記第一の被覆層の厚さ及び前記第二の被覆層の厚さは、同一の厚さである、積層体を設計する方法。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか一項に記載の積層体を設計する方法をコンピューターに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−35206(P2013−35206A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172987(P2011−172987)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年2月14日発行の 「平成22年度 山梨大学大学院 医学工学総合教育部 人間システム工学専攻 修士論文発表会予稿集」に発表
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】