説明

積層体形成装置

【課題】 積層体形成装置を提供する。
【解決手段】 積層体形成領域12と、偏平部材28によって形成される積層体30を積層体形成領域12内で支持するための支持装置とを備えた、搬送方向Aに運ばれて来る多数の偏平部材28、特にフィルムカットシートまたは紙カットシートによって積層体30を形成するための積層体形成装置、特に紙を加工する産業の設備内の積層体形成装置について記載されている。本発明の特徴は、支持装置が独立した多数の支持要素22を備え、この支持要素が偏平部材28の搬送方向Aにおいて少なくとも相前後して配置され、かつ偏平部材28の搬送方向Aに対して角度をなして、特に偏平部材28の搬送方向Aに対してほぼ直角に配置され、および/またはほぼ垂直方向に移動可能に支承されていることにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体形成領域と、偏平部材によって形成される積層体を積層体形成領域内で支持するための支持装置とを備えた、搬送方向に運ばれて来る多数の偏平部材、特にフィルムカットシートまたは紙カットシートによって積層体を形成するための積層体形成装置、特に紙を加工する産業の設備内の積層体形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の慣用の装置の場合には、紙ウェブを縦方向裁断および横方向裁断することによって生じる紙カットシートが、フォーマットに依存した集積箱内に集積され、この集積箱は、例えば、薄板製のほぼ全面が滑らかな底を有する。従って、従来技術ではこれまでは、各々の個別保管のために必要な個々の集積箱を、いろいろなフォーマットのために適切に交換しなければならない。これはいろいろな集積箱のために比較的に大きなスペースを必要とすることになり、集積箱の交換はさらに作業コストの増大を生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、フォーマット調節が少ないコストで実現可能であるように、冒頭に述べた種類の装置を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、積層体形成領域と、偏平部材によって形成される積層体を積層体形成領域内で支持するための支持装置とを備えた、搬送方向に運ばれて来る多数の偏平部材、特にフィルムカットシートまたは紙カットシートによって積層体を形成するための積層体形成装置、特に紙を加工する産業の設備内の積層体形成装置において、支持装置が独立した多数の支持要素を備え、この支持要素が偏平部材の搬送方向において少なくとも相前後して配置され、かつ偏平部材の搬送方向に対して角度をなして、特に偏平部材の搬送方向に対してほぼ直角に配置され、および/または下側位置と上側位置との間でほぼ垂直方向に移動可能に支承されていることを特徴とする装置によって解決される。
【0005】
本発明により、従来技術で使用されたほぼ全面が滑らかな集積箱底が、出し入れ可能な支持要素によって置き換えられ、この支持要素は集積箱の底の代わりに、カットシートまたはカットシートによって形成される積層体を支持し、それによってカットシートまたは積層体を支持または保管するための支持装置の役目を果たす。それによって、積層体領域がカットシートによって形成される積層体の高さに適合するだけでなく、積層体形成領域の底がフォーマットに対してフレキシブルになる。なぜなら、積層体を支持するために、実際に必要な支持要素だけを使用すればよいからである。これは特に、側方ストッパを使用する場合に有利である。本発明の他の効果は、完成した積層体を積層体形成領域から取り出す際に、この積層体の後ろに生じる隙間が、上端位置への支持要素の繰り出しによって再び埋められるからである。それによって、新たに形成される次の積層体の最初のカットシートが支持され、搬送平面または集積平面に対してほぼ平行のままである。従って、本発明により、ほぼ自動的に格納する積層体保管装置が提案される。この積層体保管装置は場合によっては多数使用できるように形成され、使用あたりまたは個々の集積箱あたり1個の支持装置を備えている。この支持装置は上端位置と下端位置との間で移動可能に支承された多数の支持要素によって形成されている。
【0006】
本発明の有利な実施形および発展形は、従属請求項に記載されている。
【0007】
少なくとも若干の支持要素が棒状またはピン状の物体を有し、その棒状またはピン状の物体のほぼ長手方向に移動可能に支承されていると有利である。
【0008】
少なくとも若干の支持要素が残りの部分よりも幅広の頭部、特に偏平な頭部を有し、この頭部によってこの支持要素が積層体の最も下側の偏平部材の下面に特に面で接触可能であると合目的である。
【0009】
支持要素が上側位置と下側位置との間で移動可能であり、この上側位置と下側位置との間隔が、偏平部材によって形成される積層体の所定の最大高さに依存して決定されるかまたは調節可能であると有利である。
【0010】
完成した積層体を積層体形成領域からほぼ偏平部材の延在平面の方向に移動させることによって、積層体を取り出すための搬出装置を備えた本発明のきわめて有利な実施形は、支持要素が、積層体を取り出す間に積層体の後ろに生じる隙間をその上側位置への移動によって埋めるように、移動可能に支承されていることを特徴とする。この実施形でも本発明の効果が生じる。というのは、次の新しい積層体の最初のカットシートが、できるだけ直ちに再び繰り出される支持要素上に問題なく支持され、その際、集積平面に対してほぼ平行に位置したままであるからである。
【0011】
支持要素が偏平部材の搬送方向に並べて配置されていると有利である。それによって特に、支持要素からなるマトリックスが生じ得る。
【0012】
支持要素がその運動に関してグループ毎にまとめることができると合目的である。一列の支持要素が一緒に動き、この支持要素の列が、特にその都度の運転状態に依存して、搬送方向と搬送方向に対して横方向のどちらも選択可能であると有利である。
【0013】
積層体形成領域がフォーマット調節のために適当に調節可能に配置された少なくとも1個の側方ストッパによって画成されている、他の有利な実施形は、少なくとも1個の側方ストッパが、その都度のその位置の領域内にある支持要素を下側位置に保持するように形成されていることを特徴とする。それによって、積層体形成領域の底はフォーマットに対してフレキシブルである。というのは、側方ストッパが不要な支持要素だけしか覆っていないからである。
【0014】
少なくとも若干の支持要素は好ましくは電動式、電磁式、空気圧式または油圧式に運転される昇降装置によって移動可能である。好ましくは、積層体の上面がほぼ定置されたままになるよう、積層体の形成中に支持要素を下降させるように、この昇降装置は形成されおよび/または制御可能である。絶えず成長する積層体の上面がほぼ所定の位置にとどまることによって、手前に接続された搬送装置からの摩擦を生じない受け取りを実現することができる。
【0015】
その代わりにまたはそれに加えて、少なくとも若干の支持要素を可撓的に支承することができる。そのために、支持要素は好ましくは空気圧式装置および/または機械式ばね装置によって偏平部材を搬送して来る搬送平面の方へ弾性的に付勢可能である。その際、積層体の形成中にこの積層体の上面がほぼ定置されたままになるように、すなわちほぼ同じ、好ましくは水平な平面内にとどまるように、弾性付勢が決定されているかまたは調節可能である。
【0016】
積層体形成領域が底を備え、支持要素がこの底から外におよび底内に移動可能に支承されていると有利である。それによって、このような底は、支持要素が底内に完全に入って下降する場合の、完成した積層体のための保管装置を提供する。
【0017】
他の実施形の場合には、いわゆる押え具を使用することができる。この押え具は偏平部材の搬送方向において上流側から、積層体形成領域内に挿入可能に配置および形成され、そこにある支持要素が下側位置に保持され、かつそれによって偏平部材の搬送方向の上流側にある搬送装置のフレキシブルなフォーマット調節のためのスペースが形成されるように、押え具が配置および形成されている。この実施形の発展形では、押え具が少なくとも1個の板状要素を備え、この板状要素が支持要素の運動方向に対して角度をなして、好ましくは支持要素の移動方向に対してほぼ直角におよび/またはほぼ水平に延在し、偏平部材の搬送方向の下流側にある板状要素の端部が支持要素の上側位置の方へ上方に傾斜している。それによって、一種の斜面が形成され、この斜面が支持要素に接触し、押え具の進行する移動に基づいて支持要素を下方に押し下げることができる。
【0018】
次に、添付の図に基づいて本発明の有利な実施形態を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】下流側にある搬送装置の端区間と、後続配置された、本発明の有利な第1の実施形態に係る集積ステーションとを有する紙加工設備の端範囲の概略的な側面図である。
【図2】図1の装置の概略的な平面図である。
【図3】9つのいろいろな運転状態(a〜i)にある図1の装置の概略的な縮小側面図である。
【図4】下流側にある搬送装置の端区間と、後続配置された、本発明の有利な第2の実施形態に係る集積ステーションとを有する紙加工設備の端範囲の概略的な側面図である。
【図5】2個の側方ストッパを付加的に略示する、図2と同様な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1と図2には、紙加工設備のうち、無端コンベヤベルト4を備えた搬送装置2の端領域が例示的に略示されている。この端領域は矢印Aで示す処理方向において下流側にある。コンベヤベルトはその下流側端部で方向変換プーリを介して方向変換される。この方向変換プーリ6の上方にはいわゆる叩き落とし具8が回転可能に支承されている。この叩き落とし具は短縮して叩き具と呼ぶ。図示していないこの叩き具の回転軸は方向変換プーリ6の回転軸に対して平行に延在している。叩き具8を省略した図2から分かるように、搬送装置2は図示した実施形態では並べて設けられた多数のコンベヤベルト4を備えている。このコンベヤベルトは共に、方向変換プーリ6を介して方向変換される。図1からさらに分かるように、コンベヤベルト4の上側半部、すなわち張り側4aは、カットシートを搬送して来るので搬送面とも呼ぶことができる図示していない平面を形成する。搬送装置2のコンベヤベルト4と叩き具8によって、カットシートは下流側にある集積ステーション10に運ばれる。この集積ステーションは積層体形成装置または積層体保管装置とも呼ばれる。その際、搬送装置2によって案内されて来るカットシートは矢印A方向に搬送される。従って、この矢印はカットシートの処理方向だけでなく、搬送方向も示している。集積ステーション10は同様に、紙加工設備の一部であり、搬送装置2によって供給されたカットシートからなる積層体を形成するための積層体保管装置としての働きをする。
【0021】
上述の紙加工設備のその他の部分は図示されていない。この紙加工設備では慣用の巻取り紙が使用される。この巻取り紙は巻き取られた無端の紙ウェブからなり、この紙ウェブは後続の加工のために巻取り紙から巻き戻される。このような設備において後続の加工ステップは所定の大きさのカットシートへの紙ウェブの縦方向裁断および横方向裁断を含んでいる。そのために、適当な縦方向裁断ステーションと横方向裁断ステーションが設けられている。出来上がったカットシートは加工プロセスの終わりに積層される。そのために、既に前述した集積ステーション10が設けられている。必要な場合には、裁断されたカットシートを集積ステーション10へのその通路でうろこ状にオーバーラップさせることができる。これを例えば搬送装置2内で行ってもよいし、または固有のオーバーラップステーションを設けてもよい。カットシートには所望な印刷像が印刷される。これは特に、設備において本の冊子が製造される場合であり、適当な印刷ステーションが設けられる。この印刷ステーションは好ましくは縦方向裁断ステーションと横方向裁断ステーションの上流に設けられている。
【0022】
いわゆる切抜き、連、本冊子または紙葉積層体であってもよい完成した積層体を形成した後で、積層体は集積ステーション10から取り出され、その他の加工部に供給される。従って、集積ステーション10は受取りステーションの機能も有する。
【0023】
図1からさらに分かるように、集積ステーション10は集積箱を形成する積層体形成領域12を備えている。並べられた多数の列のカットシートが形成される多数使用の用途の場合には、積層体形成領域12が並べられた適当な数の個々の集積箱を備えている。これは図示していない。矢印Aに沿った前方への搬送方向において、積層体形成領域12は前方のストッパ14によって画成される。このストッパは前側揃え具とも呼ばれる。図示した実施形態では、前方のストッパ14は垂直に配置された板状要素からなっている。この板状要素は垂直方向に動くことができるように、それによってその垂直方向の高さを調節できるように配置されている。図1からさらに分かるように、積層体形成領域12はその後側で、すなわち矢印Aで示す搬送方向においてその下流側で、後方のストッパ16によって画成されている。図示した実施形態では、後方のストッパ16は、垂直に向けて定置された板状要素からなっている。後方のストッパ16の上端は図示した実施形態では搬送装置2の方向変換プーリ6に隣接し、かつコンベヤベルト4の上側半部、すなわち張り側4aによって形成された搬送面の下方に位置している。それにより、搬送装置2によって搬送されて来たカットシートは、後方のストッパ16を越えて集積ステーション10の積層体形成領域12に達し得る。上方が開放した積層体形成領域12はその下側が底18によって画成されている。この底は図示した実施形態では同時に箱状ケーシング20の上面を形成している。
【0024】
ケーシング20内には多数のピン22が支承されている。このピンは垂直方向に向いていて、底18の図示していない穴を通って案内され、そしてコンベヤベルト4の張り側4aによって形成された搬送面の方へ上方に向けて延在している。特に図2から分かるように、ピン22は図示した実施形態では矢印Aで示す搬送方向において相前後してかつ並べてマトリックスのように積層体形成領域12の底18のほぼ全体にわたって配置されている。
【0025】
ピン22は、搬送装置2によって到着するカットシートを受け取る働きをし、それによって積層体形成のためのカットシートを降ろすための支持機能を受け持つ。従って、ピン22は支持要素とも呼ばれる。図に示したピン22は棒状またはピン状の物体だけからなっているが、その代わりに例えば、ピンがカットシートのための大きな面の載置部を形成するための、棒状またはピン状物体と比べて幅の広い、好ましくは偏平な頭部またはプランジャを備えていてもよい。しかしながら、これは図示していない。
【0026】
ピン22は上端位置と下端位置との間で垂直方向に移動可能に支承されている。上端位置ではピン22は最も繰り出している。図1に示したピン22はその上端位置にある。それに対して、下端位置ではピンは引っ込んでいる。図示した実施形態ではピン22はその下端位置でその端面側の上端または頭部が底18の高さ位置にあり、この底と一直線上に並んでおり、それによってケーシング20内へほぼ完全に下方へ後退しているかまたはケーシングから消えている。特に、ピン22が下側位置で底18の下方までケーシング20内に引っ込むように、ピンがケーシング20内を移動可能に支承されているときには、有効な下端位置が底18によって代替的に形成される。
【0027】
図示した実施形態において、完成した積層体を形成した後で搬送装置2によって案内されて来る後続のカットシートを積層体から分離保持するために、集積ステーション10はさらに分離フィンガ24を備えている。そのために、分離フィンガ24は矢印Aで示す搬送方向の下流に位置する積層体形成領域12の前方側において、前方のストッパ14の上方に配置され、このストッパと一直線に並んでいる。理解しやすくするために注釈を加えると、分離フィンガ24は図示していないホルダに可動に保持されている。
【0028】
完成した積層体を取り出すために、図示の集積ステーション10はさらに挟み具26を備えている。この挟み具は矢印Aによって示す搬送方向に見て積層体形成領域12の下流に配置されている。この挟み具26も、同様に図示していないホルダに可動に保持されている。
【0029】
図1に示す運転状態では、搬送装置2によってカットシート28が集積ステーション10の積層体形成領域12内に運ばれ、矢印Aで示す搬送方向に見て上流側に位置するカットシートの後側部分が完全に繰り出したピン22上に載り、そして矢印Aで示す搬送方向に見て下流側に位置するカットシートの前側エッジの下に、分離フィンガ24のフィンガ部分24aが係合している。このフィンガ部分はほぼ水平に向き、積層体形成領域12の方に延在している。図1にはさらに、完成した積層体30が示してある。この積層体は挟み具26によってその大部分が既に集積ステーション10の積層体形成領域12から引き出されており、その上流側部分だけが底18に載っている。図1に略示するように、挟み具26は図示した実施形態では上側ジョー26aと下側ジョー26bを備えている。この両ジョーの間で、完成した積層体30の、矢印Aで示す搬送方向に見て上流側のエッジが挟持され、それによって挟み具26が積層体30のこのエッジを掴んで、図示した実施形態では集積ステーション10の積層体形成領域12から矢印Aで示す搬送方向と同じ方向に引き出す。
【0030】
積層体30の上流側部分がまだ底18に載っている領域では、ピン22が完全に引っ込んでいる。これは図2において、積層体30の領域のピンが概略的に破線で示されていることによって分かる。これに対して、積層体30の背面30aの後側に生じる隙間は、図1から分かるように、完全に繰り出したピン22で埋められている。ピン22が積層体30と搬送装置2との間の積層体形成領域12の範囲内で繰り出していることは、図2の実線の円によって分かる。図2では、既にこのピンの上にあるカットシート28(図1)の図示は見やすくするために省略されている。
【0031】
図示した実施形態において、ピン22の上端位置と下端位置との間隔は、カットシートによって形成される積層体30の所定の最大高さに依存して定められるかまたは調節可能である。
【0032】
ピン22の上端位置と下端位置との間でのピンの運動のために、昇降装置が設けられている。この昇降装置はケーシング20内に配置され、図に示していない。このような昇降装置は好ましくはピン22を繰り出すためあるいは降下させるためまたは引っ込めるために、電動式、電磁式、空気圧式または油圧式に運転可能である。昇降装置は好ましくは、ピン22が積層体30の形成中に連続的に案内されてくるカットシート28によって降下されるように、制御装置によって制御される。その際、このピンの降下は、徐々に高くなる積層体30の上面がほぼ同じ水平平面内にほとんど定置されてとどまり、好ましくはコンベヤベルト4の張り側4aによって形成された平面の幾分下方に位置するように行われる。積層体30の形成が終了し、それによってピン22がその下端位置に完全に引っ込んだ後で、挟み具26によって積層体30を引き出す間に、制御装置は昇降装置を次のように制御する。すなわち、積層体30の背後に生じる隙間が下端位置から上端位置へのピン22のできるだけ迅速な運動によって直ちにピンで埋められるように制御する。この最後の手段は、次の積層体のための新しいカットシート28がピン22によって直ちに支持され、その際先ず最初は分離フィンガ24との協働作用によって十分に平行に位置するようになるので、きわめて有利である。上述の制御装置が同様にケーシング20内に収納されていると有利である。
【0033】
昇降装置と制御装置は好ましくは、ピン22を個々にあるいは少なくとも列毎に個別的に調節できるように形成されている。
【0034】
特に制御可能な電動機、作動部材またはその他のアクチュエータによってピン22の調節を積極的に行う上述の昇降装置による、ピン22の積極的な可撓支承の代わりにあるいはこの支承に加えて、ピン22のために可撓支承部を設けることができる。このような受動的な可撓支承は、ピン22がその上端位置の方へ弾性的に付勢され、しかも好ましくは空気圧装置によっておよび/または機械的ばね装置によって弾性的に付勢されるように、有利に実現可能である。さらに、昇降装置の上記制御に類似して、積層体30の形成中に積層体の上面がほぼ定置されたままであるように、弾性付勢を決定または調節することができる。
【0035】
可撓支承を上記の昇降装置によって積極的に行うかあるいは弾性付勢によって受動的に行うかに関係なく、昇降装置または弾性付勢を作用しないようにすることにより、ピン22は少なくとも運転を終了するためにその自重に基づいて下端位置に移動可能である。
【0036】
進行中の運転の間、すなわち積層体30がピン22上で形成されるときに、積層体の増大する重量を利用して、ピン22をその下端位置に降下させることができる。しかしながら、積層体30の形成中、積層体の上面がほぼ定置されたままになるように、降下速度を選定すべきである。それによって、連続供給されるカットシート28によって摩擦のない積層が保証される。これは、降下速度が所望な速度よりも速い場合には、言わば上記昇降装置の適当な制御によってあるいは弾性付勢の適当な決定によって、制動作用する反力を発生しなければならないことを意味する。
【0037】
図3には、上述の装置の機能を示すための9つのいろいろな運転状態(a)〜(i)が、図1と同じ概略側面図で示してある。
【0038】
図3aは積層体30が既に完成した運転状態を示している。この積層体は集積ステーション10の積層体形成領域内にあり、その前方エッジは挟み具26によって既に掴まれている。挟み具26が集積ステーション10の積層体形成領域から積層体30を引き出すことができるようにするために、前方ストッパ14は、同様に図3aから分かるように、下側位置に移動している。分離フィンガ24は、コンベヤベルト4から既に供給された次のカットシート28が集積ステーション10の積層体形成領域に到達した後で、図3bに示すように、このカットシートに下から係合するために、積層体30のすぐ上の下側位置に移動する。図3bにさらに示すように、集積ステーション10の積層体形成領域内で分離フィンガ24によって保持されたカットシート28の下方で、その下にある完成した積層体30は、挟み具26によって、矢印Aで示す搬送方向と同じ方向に、集積ステーション10の積層体形成領域からゆっくりと引き出される。
【0039】
図3aに示すように、完成した積層体30が集積ステーション10の積層体形成領域12の底18に載っている限りは、ピンが完全に引っ込んで、その下端位置にあるが、挟み具26を用いて積層体30を引き出す間は、積層体30の後方に生じる隙間はピン22の上端位置へのできるだけ迅速な繰り出しによって直ちに埋められ、それによって新しい1枚または複数枚のカットシート28が図3b〜図3fから次々に明らかになるように分離フィンガ24と共に支持される。その際、図3eの図示は図1の図示に一致している。
【0040】
積層体30が挟み具26によって集積ステーション10の積層体形成領域から完全に引き出されて取り出され、それによってすべてのピン22がその上端位置に繰り出した後で、新しい積層体を形成するためにそのうちに搬送される新しいカットシート28の支持は完全にピン22によって行われる。その結果、分離フィンガ24は最も下側の新しいカットシート28との係合が解除され、上側静止位置に移動させられる。それまでは分離フィンガ24が新しい積層体の真っ直ぐな前面を形成するための前部整向機能を発揮してきたが、この機能を維持するために、前方のストッパ14が図1と図3a〜図3fに示したその下端位置から上側位置に移動して、この前部整向機能を引き受ける。この運転状態は図3gに概略的に示してある。
【0041】
新しいカットシートが連続して供給されるにつれて、積層体30がゆっくりと成長し、ピン22が徐々に下降する。これは、図3g〜図3iの連続図から分かるように、積層体30の完成時に、この積層体が集積ステーション10の積層体形成領域12の底18に載り、ピン22が完全に入り込み、そしてケーシング20内に消えるまで行われる。
【0042】
積層体30が一杯になると、前方ストッパ14がその下端位置に移動し、分離フィンガ24が積層体30のすぐ上のその下側運転位置まで移動し、挟み具26が積層体30に係合するので、図3aの運転状態が再び達成される。
【0043】
図3に基づいて前述した運転経過のために、ピン22が矢印Aで示す搬送方向に対して横方向に列毎にまとめることが有利であり、それによって各列のピンは同じ繰り出し運動または降下運動を行う。
【0044】
図4は図1と図2に示した実施形態に対して、いわゆる押え具32だけ拡張した変形実施形態を示している。この押え具32は矢印Aで示す搬送方向において上流側にある、集積ステーション10の積層体形成領域12の区間内に配置され、図示した実施形態ではほぼ水平に設けられた板状要素からなっている。矢印Aで示す搬送方向において下流側にあるこの板状要素の端部32aは上方へ傾斜し、それによってピン22の上側位置に向いている。押え具32は積層体形成領域12の上流側から積層体形成領域12内に入ることができるように支持および形成されている。そこにあるピン22は、図4からさらに分かるように、下降位置に保持される。このような押え具32の使用は、搬送装置2がフレキシブルなフォーマット調節装置を備えているときに有利であり、それによって少なくとも、コンベヤベルト4、方向変換プーリ6および叩き具8からなる構造体が、矢印Aで示すカットシート28の搬送方向に対して平行な両方向矢印Bで示すほぼ水平方向に往復調節可能である。図4には、コンベヤベルト4、方向変換プーリ6および叩き具8からなる構造体が、集積ステーション2の積層体形成領域10の、搬送方向Aの上流側にある隣接する区間に入り込んでいる状態が示してある。この区間でピン22が邪魔にならないようにするために、ピンは下降した位置に保持される。これは押え具32によって行われ、それによって搬送装置2のフレキシブルなフォーマット調節のためのスペースを作ることができる。その際、押え具32の上方へ傾斜した端区間32aは、矢印Aで示す搬送方向と同じ方向に押え具32を調節する間、ピン22に接触し、このピンを下方に押圧するように形成可能である。
【0045】
搬送装置2のフォーマット調節のために押え具32を両方向矢印Bの方へ適当に調節する必要があるので、コンベヤベルト4、方向変換プーリ6および叩き具8からなる構造体に対して定置して押え具32を設けることが考えられる。それによって、コンベヤベルト4、方向変換プーリ6、叩き具8および押え具32から共通の構造ユニットを形成することが考えられる。両方向矢印Aの方向へのこのユニットの調節は、コンベヤベルト4、方向変換プーリ6および叩き具8からなる構造体の調節だけでなく、これと同期した押え具32の調節も生じることになる。これにより、きわめて簡単で効果的な調節が可能となる。
【0046】
図5は、図2と同じ平面図である。この場合、側方のフォーマット調節または幅調節のために2個の側方ストッパ34が付加的に設けられている。この側方ストッパ34は側方整向装置を形成し、図示した実施形態では直立する壁または薄板からなっている。フォーマット調節のために、側方ストッパ34は積層体領域12の底18上で、矢印Aで示す搬送方向に対して横向きの両方向矢印の方向に往復摺動可能に配置されている。その際、側方ストッパ34の下面は、その各々の位置の領域内にあるピン22がその下側位置に保持されるように形成されている。これは図5において各ピン22の、破線で示した概略的な図示によって明らかである。それによって、積層体形成領域12の底18はフォーマットがフレキシブルになる。というのは、側方ストッパ34が不要なピンを単に覆っているだけであるからである。これに関連して、ピン22を矢印Aで示す搬送方向に延在する列にまとめることが重要である。それによって、一列のピン22は一緒に繰り出し運動または下降運動を行うことができ、特に側方ストッパ34がこのような列のピン22の領域に入れられるときに、一緒に下降可能である。
【0047】
側方ストッパ34が図示していない駆動装置によって振動させられると有利である。これは、積層体30の真っ直ぐなエッジを形成するために有利である。これに関連して、少なくとも、積層体30を支持するピン22を、同様に振動させることが付加的に考えられる。
【符号の説明】
【0048】
12 積層体形成領域
22 支持要素
28 偏平部材
30 積層体
A 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体形成領域(12)と、偏平部材(28)によって形成される積層体(30)を前記積層体形成領域(12)内で支持するための支持装置とを備えた、搬送方向(A)に運ばれて来る多数の前記偏平部材(28)、特にフィルムカットシートまたは紙カットシートによって前記積層体(30)を形成するための積層体形成装置、特に紙を加工する産業の設備内の積層体形成装置において、
前記支持装置が独立した多数の支持要素(22)を備え、この支持要素が前記偏平部材(28)の搬送方向(A)において少なくとも相前後して配置され、かつ前記偏平部材(28)の搬送方向(A)に対して角度をなして、特に前記偏平部材(28)の搬送方向(A)に対してほぼ直角に配置され、および/または下側位置と上側位置との間でほぼ垂直方向に移動可能に支承されていることを特徴とする積層体形成装置。
【請求項2】
少なくとも若干の前記支持要素(22)が棒状またはピン状の物体を有し、その棒状またはピン状の物体のほぼ長手方向に移動可能に支承されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも若干の前記支持要素が残りの部分よりも幅広の頭部、特に偏平な頭部を有し、この頭部によってこの支持要素が前記積層体の最も下側の前記偏平部材の下面に支持接触可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記支持要素(22)が上側位置と下側位置との間で移動可能であり、この上側位置と下側位置の間隔が、前記偏平部材(28)によって形成される積層体(30)の所定の最大高さに依存して決定されるかまたは調節可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
完成した積層体(30)を積層体形成領域(12)からほぼ前記偏平部材(28)の延在平面の方向に移動させることによって、前記積層体を取り出すための搬出装置(26)を備えた、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置において、
前記支持要素(22)が、前記積層体(30)を取り出す間に前記積層体(30)の後ろに生じる隙間をその上側位置への移動によって埋めるように、移動可能に支承されていることを特徴とする装置。
【請求項6】
前記支持要素(22)が前記偏平部材(28)の搬送方向(A)に並べて配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記積層体形成領域(12)がフォーマット調節のために適当に調節可能に配置された少なくとも1個の側方ストッパ(34)によって画成されている、請求項6に記載の装置において、少なくとも1個の前記側方ストッパ(34)が、その都度のその位置の領域内にある支持要素(22)を下側位置に保持するように形成されていることを特徴とする装置。
【請求項8】
少なくとも若干の前記支持要素(22)が好ましくは電動式、電磁式、空気圧式または油圧式に運転される昇降装置によって移動可能であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記積層体(30)の上面がほぼ定置されたままになるよう、前記積層体(30)の形成中に前記支持要素(22)を下降させるように、前記昇降装置が形成されおよび/または制御可能であることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
少なくとも若干の前記支持要素(22)が可撓的に支承されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
搬送平面がその中を前記偏平部材(28)が搬送されて来ることができるように形成されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置において、前記支持要素(22)が好ましくは空気圧式装置および/または機械式ばね装置によって前記搬送平面の方へ弾性的に付勢されていることを特徴とする装置。
【請求項12】
前記積層体(30)の形成中にこの積層体の上面がほぼ定置されたままになるように、前記弾性付勢が決定されているかまたは調節可能であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記積層体形成領域(12)内に設けられた底(18)を備えている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置において、前記支持要素(22)が前記底(18)から外におよび前記底(18)内に移動可能に支承されていることを特等とする装置。
【請求項14】
押え具(32)を備え、この押え具が前記偏平部材(28)の前記搬送方向(A)において上流側から、前記積層体形成領域(12)内に挿入可能に配置および形成され、そこにある支持要素(22)が下側位置に保持され、かつそれによって前記偏平部材(28)の前記搬送方向(A)の上流側にある搬送装置(2)のフレキシブルなフォーマット調節のためのスペースが形成されるように、押え具が配置および形成されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記押え具(32)が少なくとも1個の板状要素を備え、この板状要素が前記支持要素(22)の運動方向に対して角度をなして、好ましくは前記支持要素(22)の移動方向に対してほぼ直角におよび/またはほぼ水平に延在し、前記偏平部材(28)の前記搬送方向(A)の下流側にある板状要素の端部(32a)が前記支持要素(22)の上側位置の方へ上方に傾斜していることを特徴とする請求項14に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−214297(P2012−214297A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−79297(P2012−79297)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【出願人】(503276388)クグラー−ウオマコ・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング (8)
【Fターム(参考)】