説明

積層複合製品の製造プロセス及び積層プロセスにより作製される複合製品

本発明は、積層複合材料から製品を作製するためのプロセスに関する。プロセスは、一般に、以下のステップ、すなわち、少なくとも1つの材料層をそれが部品の表面に対応するように予備成形するステップと、予備成形された材料層に対して繊維層を加えるステップと、樹脂によって繊維を接着して積層複合材料を形成するステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前提部分に係る複合材料から形成される部品及びコンポーネントの製造分野にある。
【発明の背景】
【0002】
従来技術によれば、複合材料から作製された製品は広く知られている。比較的少ない量の無配向性繊維を備える射出成形部品と比べると、積層複合材料は、主に高濃度の配向性強化繊維に起因する優れた性能及び品質を与える。射出によって或いは樹脂移送成形技術によって作製される製品と比べると、積層製品は製造が更に大規模である。例えば航空機やレースカー産業では、金属又は他の材料が適用できない領域において、カーボン、ガラス、又は、ケブラー繊維から作製される高品質で軽量且つ硬質な部品が使用される。特に薄壁構造において、積層複材料は、多くの場合、それらの製造が困難であるにもかかわらず、好ましい選択である。通常の機械加工方法は、一般に、積層複合部品の製造においては使用できず或いは使用が制限される。
【0003】
一般に、積層複合部品は、最初に所定のレイアウトプランにしたがってモールドのキャビティ内に有向性カーボン繊維が層毎に置かれる大きな労力を要するプロセスで作製される。その後、繊維同士が樹脂により接着され、それにより、最終製品において、繊維が樹脂によって取り囲まれて互いに結合される。埋め込まれた繊維は、一般に、樹脂が繊維を側方で支持する最終製品の積載能力及び剛性に関与する。樹脂の更なる機能は、外部衝撃から繊維を保護することである。
【0004】
特に大量生産において、現在共通に使用されるプロセスの最も大きな欠点のうちの1つは、積層製品を硬化するために使用される金型/プレスが、繊維のレイアウトを作るために使用される金型に類似しているという点にある。今までのところ、仕上がっていない積層製品を1つの金型から他の金型へ移動させることは不可能であるため、結果として、硬化プロセスが終了し且つ硬化のための装置が次の装填のために利用可能になるまで待たなければならない。更なる遅れは、今日、一般に、次の部品のために繊維をレイアウトすることが可能になるように1つの部品が形成された後にモールドの温度を調整する必要があるという事実に起因して起こる。
【0005】
オートクレーブ及びプリプレグプレス技術に基づく複合材料のための今日の製造プロセスは、空気の封入に関して問題を引き起こす。両方のプロセスにおいて、製造は、キャビティを有する金型に基づいており、これは、製品がキャビティに対して接着されないようにする離型剤で脅かされるに違いない。離型剤は、表面エネルギの減少を引き起こすとともに、樹脂の硬化プロセス中に空気の封入をもたらすモールド表面の十分な湿潤を回避する。封入は、最終部品において、かなり目立ち且つ最終製品の品質に影響を与える気孔として目に見え或いは気泡として目に見える。例えばガラス転移温度(Tg)を高めるためのその後の熱処理では、空気の封入によって、表面が破裂する場合があり、それにより、最終製品が欠陥品となり、あるいは、品質に影響を与える更なる気孔を回避するために製品の更なる処理が必要となる。積載能力に対する想定し得る影響以外に、目に見える気孔は、高品質製品において許容され得ない。
【0006】
高品質製品を得るため、積層製品の表面は、今日、クリアコーティングによってコーティングされなければならず、これは非常に時間と費用がかかる。通常、製品は、最初に、クリアコーティング又は下塗剤によってコーティングされ、その後、乾燥させる必要がある。その後、研磨した後、表面を洗浄する必要がある。その後、外面を停止させて/平らにし、再び乾燥させる必要がある。その後、一般的には、表面の更なる研磨及び洗浄が必要であり、その後、下塗剤及びトップコーティングによりコーティングされる。前述したステップの繰り返しが必要な場合があり、また、その繰り返しは、存在する気孔の量に主に依存している。今日利用できる製造プロセスによれば、気孔の形成を防止できない場合がある。それが明白となると、高品質積層製品の製造には、極めて時間とコストとがかかる。したがって、今日利用できる製造プロセスは、高品質積層製品の大型シリーズの製造において適用できない。
【従来技術の説明】
【0007】
マサチューセッツ大学の米国特許第6770230号(米国特許第2002/0150748号)は圧縮成形品に関するものである。この成形品は、一般に、外側プラスチックフィルム層と、外側プラスチックフィルム層に対して付着された第1のプラスチック層と、第1のプラスチック層に対して付着された第2のプラスチック層とを備える。8〜100mmの長さを有する繊維が第2のプラスチック層と混合される。この特許公報は、強化繊維を含む複合材料を使用して成形品を製造するための方法について記載している。当該方法は、フィルム層を利用して、成形品に対して色を与える。この方法は、第2のプラスチック層に対して付着される第1のプラスチック層上にフィルムを堆積させるステップ、及び、層を圧縮成形して、層状構造を有する成形品を製造するステップを備える。マサチューセッツ大学からの米国特許第6670028号はプラスチック層を含む成形品に関するものである。文献は、強化繊維を含む複合材料を使用して成形プラスチック品を製造するための方法について記載している。当該方法は、フィルム層を利用して、成形品に対して色を与える。着色された装飾層及び外側フィルム層は、プラスチック層に対して付着される複合補強材料から成る層上に堆積される。製品は、層を圧縮成形することにより形成される。
【0008】
東燃コーポレーションの日本国特許第07008594号は、スキーのシャフトの製造に関するものである。別個のコーティングを伴うことなく魅力的な外観を有するスキーのストックを容易に提供することが目的である。複合材料及び強化繊維を使用してスキーのストックのためのシャフトを製造するための方法が開示されている。装飾値を製品に対して与えるための装飾層が使用され、これにより、パターン及び色を有する装飾層に対して透明な繊維強化樹脂層が加えられる。
【0009】
Morris Mikeからの米国特許第6595575号は、既存の車体構造に対して取り付けられるべき保護及び装飾車体パネルを備える車両用アフターマーケットキットについて記載している。パネルが設けられた車両の、他の物体との衝突によるダメージに対する耐性を高めるために、パネルはABSなどの硬質の弾性基板層を含む。パネルは、上側を覆う保護層を通じて見ることができる装飾層を含んでいる。装飾層は、木材又はカーボン繊維などの望ましい材料の外観を与え、また、保護層は、衝突する紫外線からのダメージに対するパネルの耐性を高める。パネルは、場合によって、更なる美的魅力を与え且つ複雑な車両輪郭にうまく適合するために、複雑な3次元凹凸曲線状に形成することができる。
【0010】
HP−Chemie Pelzer Research & Development Ltd.からの米国特許第6019923号は、強化繊維を含む複合材料を使用して成形プラスチック品を製造するための方法について記載している。この方法は、装飾層を利用し、複雑な幾何学的形状を有している成形品を製造するために装飾層、支持フィルム、熱可塑性材料が共押し出し成形されるという点で成形品に対して美的魅力を与える
【0011】
Salomon S.Aからの米国特許第5851331号は、スキー、スノーボード、サーフボード又はスケートボードなどの複合製品を装飾するためのプロセスに関するものである。複合製品を装飾するためのプロセスは、その後のホットプレスサイクル中に加熱されるときに流れることができる樹脂から作製される製品の補強構造を有するアセンブリの形成を含んでいる。第1のサイクルにおいて、装飾は、透明な或いは半透明なプラスチック材料から成る層の第1の表面上にインクを刷り込むことにより形成される。第2のサイクルでは、第1の装飾面上にあるアセンブリが接着フィルムによって組み立てられる。文献は、一般に、装飾フィルム及び着色コントラストシートを使用して複合製品を装飾する方法について記載している。着色コントラストシートは天然繊維又は合成繊維を備えていてもよい。当該方法は、接着フィルム又はホットプレスアセンブリを使用して複合製品上に対して装飾フィルム及び着色コントラストシートを貼り付けるステップを備える。
【0012】
Pioneer Electronic Corporationらからの米国特許第4968551号は、強化繊維を含む複合材料を使用して音響振動部材を製造するための方法に関するものである。製品に対して装飾を与えるために装飾フィルムが使用される。複合繊維強化樹脂を有する連続基板シートは、基板シートと装飾フィルムとの間に接触剤を供給し、基板シート上に装飾フィルムを積層し、前記一体シートを振動部材の所定の形状へと形成することにより形成される。
【0013】
Patent Holding Companyからの米国特許第2005013983A1号は、強化繊維を含む複合材料を使用して成形品を製造するための方法について記載している。この方法は、モールド内ペイントシートを利用することにより、色を与えて、製品を仕上げる。モールド内ペイントシートは、強化繊維を含む複合材料がモールドのキャビティ内に挿入される前に、モールドのキャビティ内に取り付けられる。モールド内ペイントシートを冷却することにより、層状構造を有する成形品が形成される。
【0014】
Schroederらからの米国特許第2004070112A1号は、明るいテクスチャード加工の及び/又は着色された表面が生じるように樹脂移送成形された要素に対してフィルムアップリケを接着するための方法及び装置に関するものである。フィルムは、真空成形されて、モールドの雌キャビティ内に配置される。フィルムは、樹脂成形プロセス及び凝固ステップ中に成形品に結合する。そのような製品の欠点は、積層プロセスによって形成される製品と比べてそれらが比較的少量の繊維を備えるという点である。更なる欠点は、繊維の方向性が積層製品と比べて非常に不正確であるという点である。
【0015】
英国特許第2290045号(日本国特許第7314474A2号)は、プロファイル繊維強化プラスチック(プロファイルCFRP)及びその形成方法を提供する。1つの目的は、良好な機械的特性を有するとともに、埋め込まれたカーボン繊維が肉眼で見えず、外観が良好で且つ表面に凹凸が無いCFRPを提供することである。厚さは1mmに調整される。CFRPは、熱硬化性樹脂から形成される基質中に10mm〜100mmの繊維長を有するカーボン繊維が2次元的に不規則に分布されるように製造される。ダイから転写される不均一なパターンがフラットボード部分の外面側の表面上に設けられ、また、突出された部分の表面層は実質的に樹脂のみから形成されるとともに、フラットボード部分の厚さは1mmである。プロファイルCFRPは、内面上に不均一なパターンを有する成形ダイによって成形され、不均一なパターンが成形ダイからフラットボード部分の表面上に転写される。
【0016】
日本国特許第06226762は、樹脂成形を伴う内面から繊維強化プラスチック層の外面方向へと繊維強化プラスチックの硬化及び加熱反応を生み出すことにより多層浴槽の界面解放を防止するための方法について記載している。問題は、形状保持特性を有する度合いまで冷却されるべき真空モールドによりアクリル樹脂が樹脂成形品として浴槽形状へと成形されて真空モールドから離型されるという点で解決される。アクリル樹脂は、スタンドからの熱によって加熱されるべき温度制御スタンド上に配置される。その後、スプレイアップ法によってアクリル樹脂の上面上にFRPが噴き付けられる。この構成により、FRPは、アクリル樹脂との界面からの硬化に付随して起こる引けを生成する。したがって、浴槽材料は、当初、優れた接着強度を得るように接着される。製品としての浴槽の耐久性が高められ、変形が無く且つ寸法精度に優れた浴槽が得られる。
【0017】
フランス特許第2716102号は、浴槽を形成するための更なる方法について記載している。浴槽、洗面台、シャワートレイは、目に見える外面を形成するアクリル樹脂から成る外層と、機械的剛性を与える材料から成る少なくとも1つの内層とを伴って作製される。ポリウレタンフォームから成るバッキング層は、10mmを越える厚さを有するとともに、25kg/mを越える密度を有する。外面層は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル樹脂のシートの熱成形によって形成される。補強層は、熱成形されたシートの背面上に直接に加えられる0.8mm〜1.2mmの厚さを有するガラス繊維強化ポリエステル樹脂から形成される。ポリウレタンフォームのバッキング層は、ガラス繊維強化ポリエステル層上にフォームミックスを吹き付けることによって加えられ、そのため、補強層とフォーム層との間に良好な結合を与えるために樹脂が十分に硬化される前を除き、ポリエステル樹脂はゲル状を成す。一般に、ガラス強化ポリエステル層は、フォームを加える前の約1時間にわたって室温を示すことができる。
【0018】
国際公開公報第9212850号は積層体を形成するためのプロセスについて記載しており、この場合、モールド内へ箔を導入し、モールド内へ熱硬化性化合物を導入するとともに、モールドを閉じて加熱することにより、積層体が形成されて、化合物が硬化される。化合物が導入される前、最中、又は、後であって、モールドが完全に閉じられる前に、真空を用いて箔が完全に或いは部分的に深絞りされる。本発明に係る積層体は、例えば航空宇宙コンポーネント、ディッシュエアリアル、滑らかな及び/又は反射する面を有する装飾プレート、又は、静的に帯電されないプラスチック部品で用いるのに適用できる。1つの欠点は、引けを補償できないという点である。方法の更なる欠点は、サイクル時間が匹敵する長い時間であるという点にある。
【0019】
国際公開公報第9403337号は、射出成形による塗膜の形成に関するものである。塗膜は、押し出し成形された透明コート層と、基板に対する塗膜の射出成形を助けるために透明コート層の外面に解放可能に付着されたライナー層と、カラー層と、補強層と、オプションの接着層とを含んでいる。塗膜は、予備成形された挿入体を使用することなく成形中に深絞りされた射出成形部品に対して塗膜を塗布することを含む射出成形方法によって加えられてもよい。塗膜によって覆われる部品上のアンダーカットを克服するためにスライドが使用されてもよい。
【0020】
Plastech LtdのXP000657785は、サイクル時間を減らす樹脂移送成形体(RTM)のための取り外し可能な金型システムについて記載している。RTMは、エラストマー部品又はデュロプラスチック部品を作製するための方法である。RTMは、ファイバパック又は予備成形体(事前織)を含む閉じられたモールド内へ混合された樹脂及び触媒が注入される低圧成形プロセスである。Plastechによって記載された方法の1つの意図は、RTM成形サイクルのゆっくりとしたプロセスステップ(金型に対して表面コートを加え、繊維補強体を配置し、金型を閉じ、離型する)をスピードアップさせることである。したがって、部品を所定の位置に保持した状態で金型をプレスから除去できるようにするマルチインサートツーリング(MIT)が記載されている。この場合、他の成形金型をプレス内に落とし込ませることができる。MITは、金型内に正確に嵌合して所定位置で固定できる低コストなスキンフォームを備える。1つの意図は、金属金型を交換することである。従来の複合金型を製造するには多くの場合に数週間を要するのに対して、金型を数時間で作製できることについて記載されている。金型の複合スキンは、骨材ボルスタ上に装着される従来の金型と同じ方法で製造される。必要に応じてスキンを急速に加熱することができる加熱要素をボルスタ内に装着することができる。従来の方法で製造された2mゲルコート片が一般に最もよくて35分のサイクル時間を有し、そのうちの数10分が注入及び硬化のために必要とされる点について記載されている。この解決策は、かなり複雑であり、ここで説明される発明に係る積層複合材料から形成される部品において適用できないのは明らかである。
【0021】
英国特許第2306402号は、金属箔を成形するためのプレス金型に関するものである。プレス金型は、プレス中にシート材料と接触して成形するようになっているライナーと、ライナーを支持するための支持手段とを備える。ライナーは、簡単に交換できることが好ましく、ポリスチレン等のプラスチック材料から成るシートを備えていてもよい。
【0022】
仏国特許第2555496号は成形プロセスに関するものである。最初に、成形されるべき物品からモデルが形成される。その後、このモデルからモールドが形成される。この場合、硬化性樹脂を成形面と接触させて、樹脂が硬化できるようにし、その後、硬化された樹脂を離型させる。モールドは、熱可塑性材料を使用して熱成形することにより、熱可塑性材料をその軟化点まで加熱することにより、このようにして軟化された熱可塑性材料の薄層をそれがモデルの形状を全体的に或いは部分的にとるようにモデルに対して加えることにより、その後、熱可塑性材料がモデルの形状をとった後に熱可塑性材料をその当初の堅さに戻ることができるようにすることにより、形成される。
【0023】
米国特許第5074770号は、生理用品、浴槽、又は、熱硬化性樹脂バッキング層に対して接着された真空成形された熱可塑性樹脂化粧層を有する自動車の車体パネルなどの成形高分子積層品の一体真空成形及び反応射出成形のための装置を開示している。一実施形態において、真空成形された予備成形体の露出面は、シールされた反応射出成形金型のキャビティ内でプラズマ又は化学反応ガスにより処理され、これにより、樹脂のバルク特性に影響を与えることなく、そのような表面における樹脂の高分子構造が改質され、その結果、その後に形成される熱硬化性樹脂層のための予備成形体の接着特性が向上される。
【0024】
英国特許第2082961号は、自動車の車体内装のための自立要素に関するものである。自立高分子挿入体は、熱変形可能な柔軟表面層と発泡半層とを備える。製造プロセスは、表面層をモールドプラグ上に真空成形するステップと、予備成形された層を対応する雌モールドへ移動させるステップと、分割モールドを閉じるステップと、硬質ポリウレタン2成分材料の注入により自立挿入体を形成するステップとを備える。他の方法では、挿入体が射出成形されて、その表面が粘性にされ、その上に表面層が真空成形される。
【0025】
国際公開公報第2005070641号は、本特許出願の優先日前に出願されたが、その後に公開された。したがって、この従来文献は、本明細書中で説明する発明の特許性に関して限られた関連性しかない。国際公開公報第2005070641号は、複合材料から製品を成形するのに適した、複数の同一のモールドを形成するための方法に関するものである。当該方法は、モールドのために必要な形状に対応する形状を有する開放面一次モールドフォーマー上に材料のシートを形成するステップを備える。シートの第2の面は、その後に成形される製品の形状を決定するために利用される。これは、フォーマーから隔たった面の品質が成形にとって良好であるとして述べられているからである。モールド自体が成形によって形成され、その後、そのモールドを使用することによって製品が成形される。シート材料は、熱成形可能であるとして記載されている。また、シートの厚さに起因するモールドフォーマーと比べたモールドのサイズの違いに対応するためにモールドフォーマーが適切に形成されなければならないことも記載されている。1つの欠点は、記載されているモールドが高品質用途での使用において適用できないという点である。
【解決すべき課題】
【0026】
本明細書中で説明する発明の1つの目的は、複合材料、特に、改善された表面品質を有する、特に長い繊維(例えば、100mmを越える長さ)を有する確固たる/配向性のセットアップを伴う複合材料から形成される製品を製造するためのプロセスを提供することである。また、本発明の更なる目的は、製品の耐久性を向上させる複合材料から形成される製品を製造するためのプロセスを提供することである。また、本発明の更なる目的は、積層複合材料から形成される製品の製造のためのサイクル時間を減少させるプロセスを提供することである。また、本発明の更なる目的は、高価な製造モールドの占有率及び摩耗を減少させるための機会を与えるプロセスを提供することである。
【発明の概要】
【0027】
前述した問題は、添付の請求項に規定される本発明によって解決される。
【0028】
従来技術から知られる問題を克服するため、ここに開示される本発明に係るプロセスは、予備成形によって最終製品の表面に適合される少なくとも1つの別個の更なる材料層の利用を予見している。一般に、更なる材料層は、例えばそれが複合材料に対して接着されるという点で積層複合材料とともに積層プロセスで利用される前に、別個のプロセスにおいて、例えば適切な深絞り金型内での深絞り、射出成形金型内での射出成形、ブロー成形金型内でのブロー成形、加圧成形金型内での加圧成形により、予備成形金型内で予め3次元に予備成形される。
【0029】
一般に、予備成形金型は、更なる層を予備成形するためだけに使用される。異なるプロセスパラメータに起因して、予備成形金型は、一般に、最終部品を作製するための接着プロセスで適用することができず、したがって当該接着プロセスで使用されない。適用分野に応じて、例えば射出成形金型、深絞り金型、ブロー成形金型及び/又は加圧成形金型などの更なる予備成形金型は、更なる外層の引けを補償するために最終製品とは異なる形状を有している。これは、最終部品の硬化プロセスと比べてかなり高い温度(例えば270℃、図3も参照)での熱成形プロセスによって更なる材料層が作製されるときに必要となる場合がある。一般に、更なる金型の形状は、0.9%〜2.5%サイズが大きい及び/又は同様の値だけサイズが小さい。補償は、異なる方向での材料の異なる引けに起因してx軸、y軸及び/又はz軸が異なる補償値を有しているという点で配向性を有していてもよい。これに代えて或いはこれに加えて、引けが局所的にのみ加えられてもよい。
【0030】
均一な厚さを有するシート材料が3D形成される方法との違いにおいて、射出成形プロセスによって作製された更なる材料層は、異なる位置で厚さが変わっていてもよく、又は、これに加えて或いはこれに代えて、特別な特徴を得るために充填材料で満たされてもよい。
【0031】
更なる材料層は、製品の最終的な外観、挙動及び能力に影響を与える最終製品の上面(最上層)に配置されることが好ましい。更なる利点は、更なる層によって非硬化部品を第1の位置から第2の位置へ、例えば第1の金型から第2の金型へと移動させることが可能になり、それにより、製造プロセスが更に効率的となるという点にある。好ましい実施形態において、更なる材料層は、連続な面として複合材料に対して接着される熱可塑性箔から成る。大型の局所的な挿入体との違いにおいて、更なる材料層は、一般に、最終部品の表面の2次元部品を与える。
【0032】
これに代えて或いはこれに加えて、少なくとも1つの更なる層は、離型剤の使用を避けることができるように製造補助としてのみ指定されてもよい。この場合、金型(補助金型又は製造金型)の内側又は外側で更なる層(予備成形された層)に対して繊維材料が加えられる。その後、繊維材料は、更なる層とともに製造金型内に配置される。硬化後、複合材料が更なる層とともにモールドから取り出されるとともに、適切なプロセスによって更なる層が複合材料から分離される。これにより、更なるプロセスにおいて例えば塗装により複合材料を容易に処理できるという利点が得られる。これは、更なる層が複合材料の表面を覆っている限り当該表面が外部の汚染物から保護されるからである。
【0033】
この場合、材料は、複合材料から取り外すことができる更なる層のために選択される。更なる材料層を作製するための予備成形金型は、この場合、材料の引け及び/又は更なる材料層の局所的な厚さを補償するように形成される。
【0034】
また、更なる層は、モールドの表面と研磨繊維との直接的な接触を避けることができることにより高価な製造モールドからの摩耗がかなり減少されるという利点を与えることができる。更なる利点は、更なる材料層によって、モールド又はモールド内のイジェクタの分割線の痕跡を避けることができるという点である。更なる材料層は、それがイジェクタの助けとして使用できるように形成されて配置されてもよい。
【0035】
ここに記載された発明は、高品質の仕上がり面を有する製品、すなわち、それがモールドから取り出された後に更なる表面処理を必要としない表面を有する製品を単一の製造プロセスで製造できる可能性を与える。更なる利点は、別個のコスト集約的な表面のニス塗装が不要になるという点にある。また、更なる利点は、穴を伴わない透明な或いは着色された高光沢の仕上がり面を有するコンポーネント部品を提供できるようになるという点にある。
【0036】
3次元予備成形された更なる材料層の使用により、接着金型/プレスの外側で配向繊維の層を加えるステップを行なうことが可能になる。これにより、他の製品のために製造金型/プレスを利用できるようになり、また、製造金型の温度変化を避けることができる。
【0037】
更なる材料層と複合材料との間で十分な接着を達成するためには、更なる材料層を表面処理へと受け渡すことが必要となる場合がある。更なる材料層をプラズマチャンバ内で処理することによって及び/又は少なくとも1つの表面の焼成及び/又はコロナ処理により表面構造及び/又は極性が変えられることによって、良好な結果が得られた。これに代えて或いはこれに加えて、接着は、下塗剤及び/又はホットメタル接着剤を用いた適切なコーティングによって更に改善されてもよい。これに代えて或いはこれに加えて、下塗剤又は接着剤は、噴き付け及び/又は積層及び/又は静電レイダウン及び/又は深絞りによって塗布されてもよい。
【0038】
必要に応じて、幾つかの層間の接着を高めるために、更なる外層と繊維層との間で更なる接着層が予見され得る。接着層は、平坦であってもよく、あるいは、必要に応じて別個のプロセスにより3次元形成されてもよい。ポリエステルフリース又はガラスフリースなどの織フリース材料又は不織フリース材料の層によって良好な結果が得られた。
【0039】
可能な表面処理の前又は後、予備成形金型(補助金型)内で更なる層が最終製品の表面に対して導入される。製造金型と比べて、補助金型は、かなり簡単に形成されてもよく、したがって、かなり安価に作製される。同一の或いは製造金型の外側にある1つ以上の更なる補助金型内で繊維材料のレイアウトが行なわれてもよい。接着のため、繊維材料及び更なる材料層は、補助金型の部品とは別個に或いは当該部品と一緒に、製造金型内へと移送される。
【0040】
コンポーネントの接着及び硬化のため、補助金型の内側又は外側で例えばCNC切削装置(レーザ、ウォータージェット)により更なる処理が行なわれてもよい。更なる材料層を製造金型及び/又は補助金型内で正確に位置決めするために、金型の少なくとも一方が位置決め手段を備えていてもよい。真空によって及び/又は金型内で一時的なアンカーを形成する層の明確な幾何学的形状によって更なる層の少なくとも一部が金型内で保持されて位置決めされるという点で良好な結果が得られた。真空を印加するため、更なる層に対して露出される面は、真空を印加するための少なくとも1つの開口を備えていてもよい。
【0041】
従来技術との違いにおいて、本発明によれば、積層複合材料を備える部品を一定の温度(等温)で作製するために製造金型を作動させることが可能になる。これにより、製造金型の加熱及び冷却を完全に避けることができるため、時間及び/又はエネルギをかなり節約することができる。従来技術との違いにおいて、サイクル時間は、例えば繊維材料を蓄えるために必要な時間又は利用できる製造金型の数にもはや依存しないが、使用される母体材料の反応時間にある程度依存する。
【0042】
更なる材料層においては、以下の材料、すなわち、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT、PBTP)、ポリウレタン(PUR)、アクリル系の膜、多層膜又はこれらの材料の混合物から成る群のうちの少なくとも1つが使用されるのが好ましい。非接着性の除去可能な更なる層は、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン材料から作製されることが好ましい。しかしながら、適用分野に応じて他の材料が適用可能であってもよい。
【0043】
適切な場合、更なる材料層の少なくとも1つの領域は、コーティングされ、ニス塗装され、及び/又は、スクリーン印刷され及び/又は画像及び/又は書き込み情報を備える転写によって装飾され、これにより、処理面が複合材料に対して露出され或いは外部に配置されてもよい。印刷されて装飾された表面が内側に配置される場合、少なくとも1つの外層は、情報が外側から見えるように十分に透明な材料から作製される。この場合、最初に、少なくとも1つの更なる材料層が予備成形金型内で3次元形成され、その後、更なる層の少なくとも一部が前述したように補助金型の内側又は外側でコーティングされ、それから、同一の或いは異なる補助金型の内側又は外側で、コーティングされた更なる層に対して少なくとも1つの繊維層が加えられた後、コーティングされた更なる層は、繊維とともに、最終的な接着が行なわれる製造金型内へと移送される。
【0044】
少なくとも1つの材料層は、特定量の繊維材料自体を備えていてもよい。適切な場合、少なくとも1つの更なる材料層は、最終製品の一部だけ、例えば特定の保護を必要とし或いは特定の表面特性を有する必要がある領域だけを覆う。
【0045】
一般に、積層プロセスは、製造金型に対して接着しない更なる層に対して直接に行なわれる。これにより、繊維材料を製造金型から分離するために離型剤が不要になる。特に、これにより、以下の欠点を避けることができる。すなわち、離型剤が残存せず、離型剤を除去するために必要な金型の洗浄が不要となり、表面光沢の散乱が無くなり、離型剤を用いたモールドの処理が無くなり、離型剤に起因する汚染が無くなり、モールドの摩耗が無くなる。
【0046】
半製品を扱うため、更なる材料層は、手動によって或いは適当なハンドリング装置によってつかみ取ることができるように配置された金型リンクを備えていてもよい。
【0047】
本発明は、利用できる従来技術を超える以下の利点を与える。
・上端の更なる材料層により、及び、更なる材料層において傷付きにくい材料を使用することにより、複合材料が保護されるとともに、最終製品が傷付きにくい表面となる。
・更なる材料層は、改善されたUV耐性及び光耐性を最終製品に対して与えることができ、それにより、劣化に対する耐性が向上する。
・他の材料に対する接着強度が高くなる。
・更なる材料層がバリア層としての役目を果たすという点で(例えば溶剤の)放出が少なくなる。
・過負荷により複合材料が破損した場合に例えば乗員又は物品が保護される。すなわち、更なる材料層が延性材料から作製されているという点で、複合材料の断片が乗員室内に入り込むことが防止される。
・火災の場合に乗員が保護される。すなわち、更なる材料層のための材料の適切な選択により、火災時に乗員又は物品を保護することが可能になる。
【0048】
好ましい実施形態において、本発明に係るプロセスは、一般に、以下の製造ステップ、すなわち、
a)例えば、少なくとも1つの更なる層を加熱し及び/又は深絞りし及び/又は適切な金型内へ押し出し及び/又は射出することによって、少なくとも1つの更なる材料層を予備成形するステップと、
b)必要に応じて、少なくとも1つの更なる層の表面を処理し或いは改質するステップであって、例えば表面がプラズマチャンバ内、好ましくは低圧プラズマチャンバ内でコーティング/改質され、焼成し、又は、コーティングするステップと、
c)金型のキャビティの内側又は外側でレイアウトプランにしたがって配向繊維層を乾燥した少なくとも1つの更なる層に対して直接的に或いは間接的に又はプリプレグ(樹脂が予め含浸された繊維、織布又は不織布)の形態で加えるステップと、
d)積層体と少なくとも1つの最上層とを接着するステップと、
を備える。
【0049】
少なくとも1つの更なる材料層は、それ自体、複数の層を備えていてもよい。また、ラベル、ロゴ又は書き込み形式の情報を少なくとも1つの層に対して加え或いは幾つかの層同士の間に加えることが可能になる。適切な場合、更なる層には、製品が特定の感触属性を得るように特別な質感又は外観が表面に与えられてもよく、あるいは、更なる層が他の部品/材料に対して更に容易に接着されてもよい。また、予備成形された更なる層が積層プロセスにおいて複合材料に接着される前に当該更なる層に対して色を加えることも可能になる。
【0050】
更なる好ましい実施形態では、更なる層と複合材料との間の接着能力を高める更なる箔層が更なる層と複合材料との間に配置される。熱によって活性化され得る溶解可能な箔によって良好な結果が得られた。
【0051】
更なる層が十分な安定性を与えさえすれば、更なる層の深絞りの代わりに、例えば射出成形又は他の適したプロセスによって更なる層を作製することができる。
【0052】
本発明の実施形態は、積層複合材料を備える部品の製造のためのプロセスであって、
a)少なくとも1つの材料層を、それが前記部品の表面に少なくとも部分的に対応するように、第1の補助金型内で予備成形するステップと、
b)予備成形された前記材料層に対して繊維層を加えるステップと、
c)製造金型内で樹脂によって繊維を接着して複合材料を形成するステップと
を備えるプロセスに関する。繊維層は、接着剤及び乾燥材料を既に備えるプリプレグに存している。材料層は、加熱及び/又は深絞り金型内での深絞り及び/又は押し出し成形金型内での押し出し成形及び/又は射出成形金型内での射出成形及び/又はブロー成形金型内でのブロー成形によって予備成形されてもよい。更なる材料層は一般に予備成形金型内で予備成形され、また、繊維層は、繊維を加えるために特別に設けられた補助金型内で、予備成形された材料層に対して加えられる。予備成形された材料層は、ホットメルト接着剤によって複合材料に対して接着されてもよい。これに代えて或いはこれに加えて、材料層は、繊維の接着後に複合材料から分離されてもよい。材料層の表面は、繊維材料層を受ける前に、表面極性及び/又は接着特性を高め及び/又は低下させるための処理に受け渡されてもよい。適用分野に応じて、少なくとも1つの更なる材料層が予備成形金型内で作製され、この予備成形金型は、その後の接着プロセスにおいて少なくとも1つの更なる材料層の材料の寸法及び/又は引けを積極的に補償する。補償の一般的な値は、最終製品と比べて0.9%〜2.5%の範囲にある。
【0053】
また、本発明は、少なくとも1つの予備成形された材料層に対して接着される複合材料を備える前述した方法に係るプロセスによって作製される製品にも及ぶ。製品の予備成形された材料層は、加熱及び/又は深絞り及び/又は押し出し成形及び/又は射出成形及び/又はブロー成形によって予備成形される熱成形可能な材料から成る。予備成形された層は製品の外面に配置される。製品の予備成形された材料層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT、PBTP)、ポリウレタン(PUR)、アクリル系の膜、繊維材料から成る群のうちの少なくとも1つの材料を備えていてもよい。必要に応じて、複合材料と予備成形された材料層との間に更なる層が配置されてもよい。更なる層は、塗料層及び/又はホットメルト接着剤層及び/又は可視情報を備える層である。
【0054】
使用された用語及び表現は、記述用語として使用されており、限定するものではなく、また、そのような用語及び表現の使用では、図示されて説明された特徴又はその一部の任意の等価物を排除する意図はないが、請求項に記載された本発明の範囲内で様々な変更が可能であることは言うまでもない。
【0055】
その特徴及び利点を含む本発明を更に完全に理解するため、ここで、添付図面と併せて解釈される本発明の詳細な説明を参照する。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0056】
ここで、本発明の実施形態について詳しく言及するが、その実施例が添付図面に示されている。
【0057】
図1は、本発明に係るプロセスで製品を作製するステップを簡略化された態様で示している。
【0058】
図1a)に示されるように、箔層1が第1の金型3(予備成形補助金型)のキャビティ2内に置かれ、このキャビティ2内では、箔がキャビティ2の表面に適合するまで、ここでは深絞りプロセス(図1b)参照)でスタンプ4により箔1が3次元に形成され、それにより、外側材料層が形成される。
【0059】
これに代えて或いはこれに加え、加圧成形金型内での加圧成形、射出成形金型内での射出成形、ブロー成形金型内でのブロー成形、又は、押し出し成形金型内での押し出し成形などの適用分野に応じて、他の成形プロセスが可能である。適切な場合には、このステップにおいて、特殊な質感又は表面構造が箔1に設けられてもよい。適用分野に応じて、成形金型3のキャビティ2は、更なる層1の材料の引けを積極的に補償するように設計されてそれぞれ形作られる。第1の予備成形金型3は、一般に、製造金型とは異なる温度で作動される。
【0060】
深絞りプロセスの前又は後に、前述したように箔1が表面処理に晒されてもよい。ここには、その後のプロセスにおける層1の接着能力の増大又は低下を示すために、プラズマチャンバ5(図1c)参照)が概略的に示されている。箔1のコーティング及び/又は塗装及び/又はニス塗装及び/又はラベリング及び/又は印刷及び/又はテクスチャリングなどの代わりの表面処理又は更なる表面処理が可能である。
【0061】
図1d)に示されるように、その後、同じ或いは更なる第2の金型8の内側又は外側で、予備成形された層1に対して繊維材料6が加えられる。図示のように、箔層1は、ここでは、依然として第1の金型3のキャビティ2内にある。1つの利点は、層1が例えばプロセスステップ1により得られたその3次元形状に起因して十分に安定している場合には、繊維材料6を外側で加えることができるとともに、第1の金型3が次の装填のために利用可能になるように第1の金型3から分離できるという点にある。
【0062】
繊維材料6が層1に対して加えられた後、層1及び層1によって支持される繊維材料6は、第1の金型3から分離され(図1e)参照)、その後、繊維材料6及び層1の接着のために第2の金型7(製造金型)内へ挿入される(図1f)参照)。従来技術との違いにおいて、製造金型7は等温状態で作動させることができる。このことは、次の要素を受けるために金型を冷却して再び加熱する必要がないことを意味している。図示の実施形態において、層1は、パッケージが崩れないように繊維材料6に対して安定性を与える。製造金型7内において、複合材料の繊維及び樹脂が互いに接着される。適用分野に応じて、複合材料が同時に層1に対して接着される。本発明に係るプロセスの他の実施形態において、層1は、その後に複合材料から分離される搬送・製造手段としての機能を果たす(図1i)参照)。
【0063】
図1f)の積層プロセスが終了した後、繊維材料6と層1とを備える製品10は、第2の金型7から分離されるとともに、必要に応じて、CNCフライス加工システムによる機械加工などのその後のプロセスステップに受け渡される(図1g)参照)。最後に、最終製品11が生じ(図1h)参照)、あるいは、中間製品12が、例えば塗装機械14により塗装するなどの更なるプロセスステップに受け渡される(図1i)参照)。図1i)に示されるように、この実施形態では、層1が最終製品の一体部品を形成するとは予測されない。したがって、層1は、適切な段階で製品12から分離される。第1の予備成形金型3は、引けを積極的に補償するために製造金型とは異なる形状/サイズを有していてもよい。
【0064】
図2は、製品を示しており、ここでは本発明に係るプロセスによって作製された例えば自動車用又は航空機用のシートシェル20を示している。詳細部Dに示されるように、シェル20は、一般に、2つの層、すなわち、外層1と内層6とを伴うセットアップを備える。外層1は、深絞りプロセスによって3次元的に予備成形される箔に存する。内層6は、積層プロセスにおいて接着される複合材料に存する。箔1は、積層プロセス前に3次元形状にされ、ここでは例えば取り扱い中に潰れることなく複合材料を受けることができる十分な安定性を与える。最終製品において、外層1は内層20の複合材料を保護する。外層1は、透明又は不透明であってもよく、あるいは、内側及び/又は外側での適切なコーティング又は塗装により多層状にされ或いは着色されてコーティングされてもよい。ここに示される実施形態との違いにおいて、製品20は3つ以上の層を備えていてもよく、例えば、複合材料6の両側(内側及び外側)が予備成形層1によって覆われることも可能である。
【0065】
図3は、ここで説明した本発明にしたがって作製されるサンプルのセットアップを示している。そのような部品の適用例は、例えば自動車における構造部品及び装飾部品、塗装及び/又は仕上げの代用品である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係るプロセスのステップを示している。
【図2】本発明に係るプロセスにしたがって作製された製品を示している。
【図3】本発明の実施形態に関する詳細を伴う表を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層複合材料を備える部品(11)を製造するためのプロセスであって、
a)少なくとも1つの材料層(1)を、前記部品(11)の表面(2)に少なくとも部分的に対応するように、第1の補助金型(3)内で予備成形するステップと、
b)予備成形された前記材料層(1)に対して繊維層(6)を加えるステップと、
c)製造金型(7)内で樹脂によって繊維を接着して複合材料を形成するステップと、
を備えるプロセス。
【請求項2】
前記繊維層(6)がプリプレグに存する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記材料層(1)が、加熱及び/又は深絞り金型内での深絞り及び/又は押し出し成形金型内での押し出し成形及び/又は射出成形金型内での射出成形及び/又はブロー成形金型内でのブロー成形によって予備成形される、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記材料層(1)が予備成形金型(3)内で予備成形される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記繊維層(6)が、補助金型(3、8)内で前記材料層(1)に対して加えられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
予備成形された前記材料層(1)が複合材料(6)に対して接着される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記材料層(1)がホットメルト接着剤によって前記複合材料に対して接着される、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記材料層(1)が、前記繊維(6)の接着後、複合材料(11)から分離される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記材料層(1)の表面が、前記繊維材料層(6)を受ける前に、表面極性及び/又は接着特性を高め及び/又は低下させるための処理に受け渡される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
少なくとも1つの更なる材料層(1)が予備成形金型(3)内で形成され、この予備成形金型(3)が、前記少なくとも1つの更なる材料層(1)の材料の寸法及び/又は引けを積極的に補償する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの更なる材料層が、最終製品と比べて0.9%〜2.5%サイズが大きい或いはサイズが小さい補助金型(3)内で形成される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
少なくとも1つの予備成形された前記材料層(1)に対して接着される複合材料(6)によって特徴付けられる、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセスによって形成される製品。
【請求項13】
予備成形された前記材料層が、加熱及び/又は深絞り及び/又は押し出し成形及び/又は射出成形及び/又はブロー成形によって予備成形される熱成形可能な材料から成ることを特徴とする、請求項12に記載の製品。
【請求項14】
前記予備成形された層(1)が製品の外面に配置されることを特徴とする、請求項12又は13に記載の製品。
【請求項15】
予備成形された前記材料層(1)が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT、PBTP)、ポリウレタン(PUR)、アクリル系の膜、繊維材料から成る群のうちの少なくとも1つの材料を備えることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一項に記載の製品。
【請求項16】
前記複合材料(6)と予備成形された前記材料層(1)との間に更なる層が配置されていることを特徴とする、請求項14又は15に記載の製品。
【請求項17】
前記更なる層が、塗料層及び/又はホットメルト接着剤層及び/又は可視情報を備える層であることを特徴とする、請求項16に記載の製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−540196(P2008−540196A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511733(P2008−511733)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062510
【国際公開番号】WO2006/122987
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(507383965)カーボテック コンポジッツ ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】