説明

空気清浄装置

【課題】 空気の給・排管において、外気より取入れた空気中に含まれる粉塵等を簡単且つ手軽に分離しながら排出・除去できる空気清浄装置を提供する。
【解決手段】 円筒状二重管構造の強制型空気換気システムにおいて、
給気管内にて外気にサイクロン流を発生させて、空気中の粉塵等を遠心分離で分離しながら、外管と内管とを連通するベンチュリー機構部を介して、分離された粉塵等を室内空気と共に外気に排出・除去する空気清浄装置にある。
【効果】 本発明の空気清浄装置は、従来の清浄装置のフィルター、集塵タンクや洗浄液等が不要で、メンテナンスフリーの空気清浄装置として提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気より取入れた空気中に含まれる粉塵等を分離して、室外に排出する空気と一緒に排出・除去する空気清浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外気より取入れた空気中に含まれる粉塵等を分離・除去する装置については、粉塵を含む空気を濾紙、ろ布などの濾材を通して粉塵を分離捕集するいわゆる乾式濾過方式による装置が広く利用されている。また粉塵を含む空気を噴霧させた水と接触させることによって、空気中の粉塵を洗い落として分離する湿式濾過方式もある。更には、粉塵を含む空気にサイクロン流を生じさせて、遠心分離により粉塵を分離して集塵ボックスに集める等の空気清浄方式が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−170143号公報
【特許文献2】特開2000−140547号公報
【特許文献2】特開2002−349918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら従来の空気清浄においては、種々の欠点があった。例えば、フィルター方式の空気清浄は、フィルターへの粉塵の付着状態による捕集性能の変化、目詰まりによる捕集性能低下、定期的な粉塵の払い落としやフィルターの取替え等のメンテナンス費用の増大等に問題があった。さらにフィルター方式は通過空気に微細粉塵が含まれ二次的環境汚染や、ダニや細菌の繁殖、悪臭の発生などをもたらす根本的欠点もあった。
また、液体を用いる湿式濾過方式は、空気清浄機本体の除湿管理が大切で、時には本体内にカビや悪臭が発生したりして、そのメンテナンスが大変であった。特に、湿った空気を室内に送り込まないために、本体装備も複雑で決して安い価格で提供できなかった。
さらに、遠心分離方式はホッパーに粉塵をいったん堆積させて、除去するというもので、ホッパーに粉塵が堆積してくると吹き上げが生じるなど、その処理と管理に著しく効率を低下させる問題もあった。
何れにしろ、これら従来の空気清浄方式といわれるものは、装置の構造が複雑で、その分高価であり、また日常のメンテナンスが煩雑であった。
【0005】
その他、何れの公知文献においても、従来の空気清浄に係る技術分野において、空気中から分離した粉塵等を、分離しながらそのまま直接的に排出・除去する方法の開示は、発明者にとっては不知である。
【発明を解決するための手段】
【0006】
本発明は、かかる事情と背景に鑑み、鋭意研究の結果なされたものであり、その特徴とするところは、発明者が開発している、円筒状二重管構造の強制型空気換気システムに簡単に装着できる空気清浄装置を提供するところにある。
【0007】
円筒状二重管構造の強制型空気換気システムとは、外管と内管との二重管からなり、外管と内管との間に外通風路が、内管の内部に内通風路が形成される二重管を利用して、外気を強制的に給気すると同時に、室内の汚染空気を強制的に排気する空気換気システムにある。このシステムの特徴は、ダクト工事が簡素化され、ダクトや送風ファンの占有容積を低減させるとともに、保守点検が容易なメンテナンスフリーのシステムにある。
【0008】
しかし、設置場所の環境によってではあるが、外気を取入れる際に空気中に含まれる粉塵や虫類が混入するため、これらを簡単且つ手軽に分離して除去できる空気清浄装置が求められていた。即ち、保守点検が容易なメンテナンスフリーの強制型空気換気システムに最適な空気清浄装置が求められていた。本発明は、この上記空気換気システムに簡単に取付けられる、空気清浄装置を提供するにある。
【0009】
即ち、円筒状二重管構造の強制型空気換気システムにおいて、
給気する屋外からの空気に、サイクロン流を発生させて、空気中に含まれる粉塵等を遠心分離で分離しながら、外管と内管とを連通するベンチュリー機構部を介して、屋外に排気する室内空気と共に粉塵等を排出・除去することを特徴とする空気清浄装置にある。
【0010】
本発明は、その一つとして、内管で給気、外管で排気する円筒状二重管構造の強制型空気換気システムにおいて、
内管で給気する屋外からの空気に、内管内でサイクロン流を発生させて、空気中に含まれる粉塵等を遠心分離で分離しながら、外管と内管とを連通するベンチュリー機構部を介して、外管で屋外に排気する室内空気と共に粉塵等を排出・除去することを特徴とする空気清浄装置にある。
【0011】
本発明には、サイクロン流を発生する機構として、内管内の周壁にサイクロン流を発生させる翼と、遠心分離で分離された粉塵を集める粉塵集溜部を設けてなることを特徴とする空気消浄装置にある。
【0012】
そして、遠心分離で分離された粉塵等は、外管と内管とを連通するベンチュリー機構部を介して、外管より排気する室内空気と共に排出・除去することを特徴とする空気清浄装置にある。この外管と内管とを連通するベンチュリー機構部が、内管に別の内管を間隙を保持しながら挿入した重管構造でもって構成することを特徴とする。
【0013】
そして、円筒状二重管構造の強制型空気換気システムの系において、本発明の空気清浄装置本体を、空気給・排口(ベントキャップ)近傍の室内側の二重管ダクトに装着することを特徴とする粉塵分離・除去機能付き空気換気システムにある。
【0014】
本発明でいう「円筒状二重管構造」とは、前述したように外管と内管との二重管からなり、外管と内管との間に外通風路が、内管の内部に内通風路が形成されてなる二重管を利用した構造をいう。そして内管で外気を強制的に給気すると同時に、室内の汚染空気を外管で強制的に排気・除去する空気換気システムにある。
【0015】
本発明でいう「粉塵等」とは、内管で給気する空気の大気中に混入する細かな塵、埃、虫、花粉などを総称して粉塵等という。
【0016】
本発明でいう「翼」とは、内管で給気した空気にサイクロン流を発生させるために、内管の通風路壁に設けてなる固定の翼をいう。
【0017】
本発明でいう「粉塵集溜部」とは、内管で給気する外気の空気に、内管内でサイクロン流を発生させて、その遠心分離で分離された粉塵等を集める部分をいう。
【0018】
本発明でいう「ベンチュリー機構部」とは、内管の給気通風路と外管の排気通風路に流れる空気の流れに対し、流速の変化で生ずる負圧を利用するもので、外管と内管とを連通させると供に、空気の流れに変化を起こさせる機構部である。
本発明は、サイクロン流を発生させる内管に、別の内管を間隙を保持しながら挿入した重管構造でもって構成することによって、ベンチュリー環部を構成してなる。このことにより内管に流れる空気の流速と、外管に流れる空気の流速の差で生じる負圧で、粉塵集溜部の粉塵等を外管内に吸い上げる機能を構成する。
【0019】
本発明でいう「メンテナンスフリー」とは、保守点検が容易で定期的なメンテナンス等がほとんど必要としない仕様のことをいう。
【0020】
以上のように構成される本発明の空気清浄装置は、円筒状二重管構造の強制型空気換気システムに装着することにより、空気清浄機能を発揮するものである。したがって、本発明の二重管接続部分には空気換気システムとしっかり勘合するように勘合溝や空気漏れ防止のシール材を取付けることにより、該空気清浄装置が空気換気システム本体にしっかり固定することができる。
【効果】
【0021】
以上のように、本発明は、給気する屋外からの空気に、その管内でサイクロン流を発生させて空気中に含まれる粉塵等を遠心分離で分離させ、粉塵集溜部に集めること。また、粉塵集溜部に集め粉塵等を、外管と内管とを連通するベンチュリー機構部を介して、屋外に排気する室内空気と共に、粉塵等を排出・除去させることで、従来のようなフィルターの集塵装置や集塵タンク等が不要なものとなる。
即ち、本発明の装置は、給気する空気中に含まれる粉塵等を、従来のようなフィルターによる分離とか、霧等の液滴に付着させる液接分離方式ではないこと。さらには分離した粉塵等を集積しないため粉塵ホッパーは不要であること。粉塵等を分離しながら排出・除去するため、大掛かりな装備や複雑な仕組みが不要のため、定期的な保守点検も省け、メンテナンス等をほとんど必要としないメンテナンスフリーの空気清浄装置として提供することができる。
【発明の実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る空気清浄装置の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
先ず、図1は、本発明に従う構造を有する空気清浄装置の外観の一例を示す。また、図2は、本発明に従う構造を有する空気清浄装置の断面で、構造説明の一例を示す。図3は、上記の空気清浄装置が装着された粉塵分離・除去機能付き強制型空気換気システムの概念図である。
【0023】
係る図1及び図2から明らかなように、Aは本発明の空気清浄装置にある。空気清浄装置Aは、円筒状の二重管構造から構成されており、1はその外管で、2は内管である。外管1と内管2との間に、室内の汚染空気を排気する排気通風路11が構成され、内管2の内部に外気を給気する給気通風路22が構成されてなる。そして、3は内管2の給気通風路22で給気する屋外からの空気に、サイクロン流を発生させるための翼である。
【0024】
翼3は、給気通風路22を通過する外気に回転流を付けて遠心力を付与するためのものであり、該翼3自体は回転することはなく、給気通風路22の壁に固定される。給気通風路22を通過する空気が、翼3に当たってサイクロン流が発生する。翼3は、少ない抵抗で確実に空気にサイクロン流を発生させるものであれば、その形状、枚数、寸法や角度等は任意に選択できる。
【0025】
4は遠心分離で分離された粉塵等がサイクロンの流れで集められる粉塵集溜部である。即ち、給気の空気が翼3に当たることによって、空気に遠心運動の回転流が発生して、空気中に含まれる粉塵等が遠心力で分離されながら給気通風路22の壁に沿って進行して粉塵集溜部4に集められる。
【0026】
次に、本発明のベンチュリー機構部は、サイクロン流を発生させる内管2に、別の内管2’を間隙を保持しながら挿入した重管構造でもって構成するものである。即ち、内管2の先端縁部5と内管2’の肩端縁部6との間で、ベンチュリー管に相応するベンチュリー環部が構成される。
そして、内管2の粉塵集溜部4に集まった粉塵等は、ベンチュリー環部で外管1と粉塵集溜部4とを連通されてなる。このベンチュリー環部によって、給気通風路22を通過する空気の流れと、排気通風路11を通過する空気の流れの流速の差で生じる負圧で、粉塵集溜部4に集められた粉塵等が、外管1の排気通風路11側に吸い上げられて室内の汚染空気と共に屋外に排出・除去される。空気の流れの流速の差で生じる負圧は、必要に応じて内管2’の肩端縁部6の近傍に負圧調整鍔aを介在させることで、任意の負圧を発生させることもできる。
【0027】
この空気清浄装置Aは、図3で示す通り、円筒状二重管構造の強制型空気換気システムの系に装着することで粉塵分離・除去機能付き空気換気システムとなる。上述の説明では、内管2を給気、外管1を排気する構成で述べてあるが、外管1で給気、内管2で排気するダクト配管によって、排気の熱エネルギーの一部を回収し、給気を暖めることが出来るため、省エネ効果が高く好ましいダクト配管と言える。その場合は、本発明の空気清浄装置Aの前及び/或は後に、通風路変換ユニットを介在させることにより、通風路の変更を任意に選択することができる。更には、給・排気が独立する2本管においても、通風路変換ユニットを介在させることにより、本発明の空気清浄装置Aが有効に装着できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に従う構造を有する空気清浄装置の外観図である。
【図2】本発明に従う構造を有する空気清浄装置の断面の構造説明図である。
【図3】円筒状二重管構造の強制型空気換気システムに、本発明の空気清浄装置が装着された粉塵分離・除去機能付き空気換気システムの概念図である。
【符号の説明】
【0029】
A・・・空気清浄装置
1・・・外管
11・・排気通風路
2・・・内管
2’・・内管
22・・給気通風路
22’・・給気通風路
3・・・翼
4・・・粉塵集溜部
5・・・先端縁部
6・・・肩端縁部
a・・・負圧調整鍔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状二重管構造の強制型空気換気システムにおいて、
給気する空気に、サイクロン流を発生させて、該空気中に含まれる粉塵等を遠心分離で分離しながら、外管と内管とを連通するベンチュリー機構部を介して、排気する室内の汚染空気と共に粉塵等を排出・除去することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
内管で給気する屋外からの空気に、内管内でサイクロン流を発生させて、該空気中に含まれる粉塵等を遠心分離で分離しながら、外管と内管とを連通するベンチュリー機構部を介して、外管で屋外に排気する室内の汚染空気と共に粉塵等を排出・除去することを特徴とする請求項1記載の空気清浄装置。
【請求項3】
内管内の周壁に、サイクロン流を発生させる翼と、遠心分離で分離された粉塵等を集める粉塵集溜部を設けてなることを特徴とする請求項1記載の空気清浄装置。
【請求項4】
外管と内管とを連通するベンチュリー機構部として、内管に別の内管を間隙を保持しながら挿入した重管構造でもって構成することを特徴とする請求項1記載の空気清浄装置。
【請求項5】
円筒状二重管構造の強制型空気換気システムにおいて、
空気給・排口(ベントキャップ)の近傍の屋内側に請求項1記載の空気清浄装着が装着されることを特徴とする粉塵分離・除去機能付き空気換気システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−21759(P2012−21759A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174863(P2010−174863)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(594077367)一文機工株式会社 (17)
【Fターム(参考)】