空気調和又は水分生成のための装置
装置は、膨張機/圧縮機システム、凝縮器、及び蒸発器を有する冷却装置を、主として空気調和のために具備する。膨張機ハウジングに対して熱を伝達するために、外部熱源が配備される。例えば、この加熱手段は、膨張機ハウジングの外側面に熱接触する電気的熱源である。代わりに、膨張機は、外部的に加熱される液体バッファタンクの内側に配備される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却、典型的には空気調和を行うための装置であって、たとえば太陽熱パネルなどの外部熱源と関連して相互接続された膨張機、圧縮機、凝縮器、及び蒸発器を具備する配置構成を備える装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置の台数は急速に増加しつつある。二酸化炭素の排出削減の世界的な目標に関し、そのような機械のエネルギ消費量の削減は最も重要である。
通常、空気調和のためのエネルギ消費量は、日射しが強い場合に最大である。故に、太陽エネルギを変換して空気を冷却すべく使用することが好適である。特に、作動流体として水を使用する一般的な太陽熱式の加熱システムを使用することが望ましい。
【0003】
本発明と同一の発明者による特許文献1においては、空気調和のための高性能なシステムが開示されている。このシステムは先行技術と比較して多くの利点を有するが、依然として、効率に関する改善のための継続的な研究が行われている。他の開示内容としては、ショーによる特許文献2、及びベンソンによる特許文献3が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/038921号パンフレット
【特許文献2】米国特許第4086072号明細書
【特許文献3】米国特許第6581384号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
故に、本発明の目的は、例えば太陽熱加熱器から熱的エネルギが送給される既存の空気調和システムに対する改良点を提供するに在る。特に、始動状態に関して改良されたシステムを提供することが目的である。本発明の更なる目的は、更に最適化されたエネルギ効率を有するシステムを提供するに在る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、以下において説明される冷却用装置により達成される。前記装置は、流体の移動のための、より正確には加熱サイクル部を通して流体を駆動する手段、例えばポンプと、加熱サイクル部内の流体を加熱するための外部熱源とを具備する。装置は、膨張機ハウジングの内側の好適には第1膨張機タービンである膨張手段に面する内側面及び反対側の外側面を有する膨張機ハウジングを具備する。膨張機は、流体を膨張させることにより該膨張機を駆動するために、外部熱源により加熱された気相の流体を受容する、加熱サイクル部に接続された膨張機入口を有する。更に、前記装置は、圧縮機ハウジングの内側の好適には第1圧縮機タービンである圧縮手段に面する内側面及び反対側の外側面を有する圧縮機ハウジングを備える圧縮機を具備する。圧縮機は、圧縮機入口及び圧縮機出口を有し、作動流体を低圧の圧縮機入口気体から高圧の圧縮機出口気体へ圧縮するために膨張機により駆動される。
【0007】
凝縮器は、膨張機からの作動流体、又は圧縮機からの作動流体、又は両方を熱交換器における低温の第2流体に対するエネルギ伝達により凝縮させる。蒸発器は、凝縮器からの作動流体を更なる熱交換器において第3流体からのエネルギ伝達により蒸発させて、第3流体における所望の冷却効果を生成する。第3流体は、空気調和のために使用され得る。
【0008】
これに加え、膨張機のハウジングの外側面に対する加熱手段の熱接触により膨張機のハウジングに対して熱を伝達すべく、外部熱源が配備される。例えば、この加熱手段は、膨張機ハウジングの外側面に熱接触する電気的熱源である。
【0009】
好適には、この加熱手段は流体である。例えば、外部熱源と熱接続された液体であって、膨張機のハウジングに対して熱を伝達するために膨張機のハウジングの外側面に熱接触する液体を収容する液体バッファタンクの内側に膨張機が配備される。
【0010】
好適には、膨張機ハウジングと熱接触する液体を有する液体バッファタンクである加熱手段を配備することにより、膨張機は、冷えたハウジングに起因する膨張機内の作動流体の急速な温度低下が阻止されるように、作動流体の膨張過程に適切な温度まで加熱される。冷えた膨張機ハウジングに起因するそのような温度低下は特に、始動段階中のリスクであって非常に重大である、と言うのも、温度低下は膨張機内で作動流体の凝縮を引き起こし、これは、膨張機、例えばタービン羽根を損傷し得るからである。
【0011】
言及されたように、好適な膨張機は、例えば半径流タービンもしくは軸流タービンを備えたタービン式膨張機である。同様に、好適な圧縮機は、例えば半径流タービンもしくは軸流タービンを備えたタービン式圧縮機である。前記原理はタービン式膨張機及び/又はタービン式圧縮機に対して特に有用であるが、例えばバッファタンク内の液体などの加熱手段は、他のより従来型のタイプの膨張機及び/又は圧縮機を使用するときでさえも、上述されたシステムにおいて好適に適用され得る。
【0012】
圧縮機の同様の加熱も提供するために、任意選択的には、圧縮機もまた、圧縮機ハウジングの外側面上に例えば電気ヒータなどの同様の加熱手段を備え得る。特に、圧縮機は、液体バッファタンクの内側に配備され、液体は圧縮機のハウジングに対して熱を伝達するために圧縮機のハウジングの外側面に熱接触し得る。
【0013】
更なる実施例において、バッファタンクの内側に配備された第1熱交換器であって、バッファタンク内の液体と、膨張機の入口への流体接続とに対して熱接触して、バッファタンク内の液体から加熱サイクル部内の流体へ熱を供給する第1熱交換器を前記装置は更に有する。この第1熱交換器は、膨張機のハウジングだけでなく、膨張機に進入する流体も、始動前に同一温度まで事前加熱されることを確実にする。したがって、液体バッファタンクは、装置の円滑な作動のための熱的安定化システムを提供する。
【0014】
更なる実施例において、第1熱交換器は、高圧の圧縮機の出口流体からの熱を膨張機入口の上流において加熱サイクル部内の流体へ伝達するために、圧縮機の出口に対する流体接続も有する。好適には、圧縮機出口流体と膨張機入口流体との間の混合は無い。
【0015】
本発明に依れば、膨張機に進入する前の流体に対して熱が伝達される。故に流体は、特に始動状態に関してはバッファタンク内の液体により第1温度まで加熱されて、この第1熱交換器におけるより高い第2の温度まで加熱され得る。これに加え、過剰な熱の一部は、液体バッファタンク内の液体へ伝達され得る。この配置構成は、外部熱源の加熱能力に対するより穏やかな要件を意味する。
【0016】
例えば、第1熱源は、流体サイクル部内の流体を100℃のオーダーの温度及び1バールの圧力へ加熱して蒸発させる太陽熱利用型熱交換器であり得る。外部加熱器の後の流体は少なくとも部分的に依然として液相であり得ると共に、その後に流体は、膨張機に進入する前に気相を達成するために、第1熱交換器において温度が高められる。
【0017】
外部熱源は流体サイクル中の流体に対して約100℃以下もしくは以上の温度、例えば70℃〜120℃又は90℃〜110℃などの温度を与えることができ、このことは、前記システムを太陽熱利用型熱交換器に及びより低温の他の設備に適合させる。例えば、セントラル暖房設備からの、又は工場からの排水が使用され得る。
【0018】
熱交換器はまた、放物形太陽熱収集器に基づく太陽熱パネル、又は500℃までの高い流体温度を生成する他の廃熱であり得る。放物形太陽熱収集器からの高温は、膨張機に対する最適な取入条件に至るように熱交換され得る。
【0019】
これに加え、本発明に係る前記装置は作動流体としての水に適するようにされており、このことは簡素化の要因である。
【0020】
他の熱源に対する更なる代替例として、又はそれに加え、外部熱源は、膨張機の入口の上流において加熱サイクル部内の流体を加熱するために、第1熱交換器に接続された電気ヒータを具備し得る。この場合におけるそのような電気ヒータの価値は、膨張機入口内への作動流体が気体の様態でなければならない始動段階において特に重要である。特に始動段階においては、液体タンク内の液体を加熱するために電気ヒータも使用され得る。
【0021】
更なる実施例において、膨張機タービンは第1膨張機タービンであり且つ圧縮機タービンは第1圧縮機タービンであり、及び第1圧縮機タービンは、該圧縮機タービンを第1膨張機タービンに同期させて駆動するために、例えば共通の回転軸を有することにより、第1圧縮機タービンに対して機械的に接続される。
【0022】
前記システムは、一対より多いそのような膨張機と圧縮機の対により拡張され得る。故に更なる実施例において、前記装置は、第2膨張機タービン及び第2圧縮機タービンを夫々備える少なくとも一つの更なる膨張機及び少なくとも一つの更なる圧縮機を具備する。各第2タービンは、第1膨張機タービン及び第1圧縮機タービンの回転から独立したそれらの互いに同期した回転のために機械的に接続される。
【0023】
故に、直列接続された2つの膨張機(上流膨張機及び下流膨張機)、及び直列接続された2つの圧縮機(上流圧縮機及び下流圧縮機)の場合、上流膨張機及び下流圧縮機からの2つの高圧用タービン同士が接続され、及び下流膨張機及び上流圧縮機からの低圧用タービン同士が接続されるように、夫々のタービン回転軸を介する、対を成す接続が在る。
【0024】
一実施例において、第1膨張機の出口は第2膨張機の入口に対する膨張機流体接続を有し、及び第1圧縮機の出口は第2圧縮機の入口に対する圧縮機流体接続を有する。故に、2つ以上の膨張機が直列接続され、2つ以上の圧縮機もそうである。
【0025】
一実施例において膨張機は第1膨張機段階及び第2膨張機段階、及び任意選択的には更なる段階を有し、及び種々の膨張機段階間における気体状流体への熱伝達のために、加熱手段が配備される。これは、膨張機の効率を高めるために使用されてよい。
【0026】
二段階式の膨張機(又は、更に多い段階を有する膨張機列)は、湿式膨張のリスクを低減するために使用される。二重の圧縮は、猛暑の条件下でさえも、凝縮のための十分な吐出圧力という結果になる。
【0027】
但し、直列接続は必須ではない。複数対の膨張機/圧縮機の配置構成は、バッファタンクの内側において並列でも作動できる。
【0028】
更なる実施例において、膨張機からの流体及び圧縮機からの流体は、バルブにより、好適には減圧バルブにより混合される。好適には混合は、膨張機流体が凝縮器に進入する前で且つ圧縮機流体が凝縮器を通過した後に実施される。故に混合バルブは、凝縮器の上流における膨張機流体に対する接続、及び凝縮器の下流における圧縮機流体に対する接続を備える。
【0029】
しかしながら、膨張機及び圧縮機に対する流体サイクルは別々であることが好適である。これに加え、加熱サイクル部における膨張機用作動流体に対する凝縮器は、圧縮機からの作動流体に対する凝縮器と同一である必要はない。例えば、前記装置は、膨張機出口からの作動流体を凝縮するための第1凝縮器、及び圧縮機出口からの作動流体を凝縮するための第2凝縮器を含む。
【0030】
更なる実施例において、前記装置は、作動流体が圧縮機に進入する前に作動流体を蒸発させる更なる蒸発器を具備する。更なる蒸発器は、更なる蒸発器からの流体を第1圧縮機の出口からの流体に加えるために、圧縮機流体接続に対する流体接続を有する。故に、蒸発された流体は、直列接続された2つの圧縮機間に進入する。
【0031】
任意選択的に、加熱サイクル部は、燃料タンク内の液体に対する第1流体接続を、膨張機の入口の上流において液体タンク内の液体から作動流体を受容するために有する。故に、タンク内の液体は作動液体の一部である。
【0032】
例えば、加熱サイクル部は、膨張機の出口の下流における液体タンクへの第2流体接続であって、作動流体を液体タンク内の液体中へ戻し与える第2流体接続を具備する。更なる改良点として、任意選択的に、加熱サイクル部は、液体タンクの外部に更なる熱交換器を具備し、熱交換器は、一方の側において、第2流体接続を介して燃料タンクに接続され、及び他方の側において、圧縮機の出口からの作動流体から、加熱サイクル部の作動流体が液体タンクに再進入する前に該作動流体に対して熱を伝達するために、圧縮機の出口に至る更なる流体接続を有する。もし、膨張機のための流体サイクルが圧縮機のための流体サイクルから切り離されるなら、更なる熱交換器は、第1凝縮器の下流で且つ第2凝縮器の上流に配備され得る。驚くべきことに、この配置構成によれば、入熱に対して4〜8%だけ大きい冷却能力の利得が得られることが判明した。
【0033】
更なる実施例において、液体タンクに対する流体接続であって、当該太陽熱式加熱パネルからの加熱された液体をタンクに供給するための流体接続を備える太陽熱式加熱パネルを外部熱源が具備する。代わりに、太陽熱パネル流体は、液体バッファタンク内の液体と混合しないが、液体タンクの内側の熱交換器であって、該熱交換器を介してのみ、該太陽熱式加熱パネルの流体から熱を液体タンク内の液体へ伝達する熱交換器に対する液体接続を有する。
【0034】
任意選択的に、外部熱源は燃焼機関を具備し、熱は該機関から直接的に又は機械的及び/又は電気的な中間手段を介して供給される。例えば、機関及び/又は該機関の排気ガスからの余熱が加熱のために使用される。
【0035】
特定の実施例において、燃焼機関は、車両の一部としてのモータであって、車両の推進手段に接続される。
【0036】
例えば、装置はそのような車両と組み合わされる。膨張機は、発電機を駆動して電力を生成するために、発電機に接続されたタービンを具備する。発電機は、電力を生成すると共に、発電機により生成された電力により電気モータを駆動するために前記電気モータに電気的に接続される。一方、前記モータは様々な手段に用いられ、例えば車両の推進を支援するために用いられる。例えば車両において、排気ガスは電気モータに動力を提供するために利用され、電気モータは車輪に対して追加の動力を提供する。それは、船舶においては、スクリュもしくは水力タービンに対する付加的動力のために、及び航空機においてはプロペラに対して付加的動力を提供するために使用され得る。
【0037】
装置は通常は、膨張機及び/又は圧縮機の回転軸が発電機に接続されるなら電気を生成するために使用される。例えば、それから生成された電力は、電気モータを駆動するために使用される。
【0038】
更なる例として、膨張機及び/又は圧縮機の回転軸に接続された発電機内に電力を提供するために、車両の燃焼機関からの熱が利用されて装置を駆動し得る。一方、前記モータは車両の各車輪の駆動を支援するために使用され得る。
【0039】
故に、機関からの熱エネルギ、及び普通は車両の廃棄物である排気ガスからの熱ならびに運動エネルギは、車両の燃料消費量を減少させるために回収され得る。
【0040】
同様に、膨張機及び/又は圧縮機からの回転軸は、その回転軸を駆動するためのモータに接続され得る。
【0041】
本発明に係るシステムにおいて、圧力は最大で、2気圧未満に維持されるか、又は1.5気圧であり得る。
【0042】
好適には、膨張機は、例えば50,000〜250,000rpmの回転速度を有するタービン式膨張機である。モータ、好適には電気モータが、膨張機及び圧縮機の付加的な駆動のために使用されるか、又は内蔵ユニットにおける電気的構成要素に対する動力などの電気を作る発電機として使用される。
【0043】
好適な作動流体は水であるが、例えば、イソブタン、ブタン、アンモニア、オイル、アスペン・テンパー20(Aspen temper-20)、アスペン・テンパー40、アスペン・テンパー50、塩化カルシウム、ダウサームJ(Dowtherm J)、ダウサームQ、エタノール、エチレングリコール、フリージウム(Freezium)、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、メタノール、炭酸カリウム、プロピレングリコール、塩化ナトリウム、シルセルムXLT(Syltherm XLT)、テルモゲンVP1869(Thermogen VP1869)、Tyxofit、窒素、二酸化炭素、HCFC、CFC、もしくはHCを含む冷却剤、R134aもしくはR407、又はそれらの組み合わせなどの他の作動流体が使用され得る。
【0044】
本発明に係る装置の冷却力は大きな範囲に亙り変化することができ、例えば、それは、10、20kW、又は50kWまでも有する。
【0045】
水が冷媒であるとき、本発明に係る装置における蒸発過程は蒸留水を生成する。この蒸留水は、エネルギ伝達をより効率的にしてより高いCOPを与えるために、凝縮器にそれを噴霧するように使用され得る。
【0046】
膨張機及び/又は圧縮機は、軸流型もしくは半径流型のタービン、又は前記2つの原理を組み合わせた形式であり得る。
【0047】
本発明に係る装置は、例えば空気調和などの冷却のためだけでなく、凝縮器に対する空気を加湿するための、又は飲料水としての蒸留水を提供するためにも使用され得る。
【0048】
本発明は、添付図面を参照して更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】特許文献1の先行技術システムを示す図である。
【図2】膨張機サイクル部及び圧縮機サイクル部の夫々のための別個の凝縮器を備えた代替実施例を示す図である。
【図3】図1と類似するが、圧縮機及び膨張機の回りに本発明に係るバッファタンクを備えた図である。
【図4】バッファタンクの内側の二重対式のタービン・システム及び内部熱交換器を示す図である。
【図5】2つの圧縮機の間のパイプに接続された追加的な冷却サイクル部を使用する更なる実施例を示す図である。
【図6】外部熱源に接続された熱交換器により加熱されるバッファタンクを示す図である。
【図7】膨張機サイクル部及び圧縮機サイクル部のための別個の凝縮器であるが共通の冷却ファンを使用する凝縮器を示す図である。
【図8】タービン回転軸上で動作するモータ/発電機MGを示す図である。
【図9】バッファタンクにおける+55℃までの低温エネルギの活用のために各膨張機が並行して作動される実施例を示す図である。
【図10】太陽熱パネルへの熱伝達のための太陽熱収集器の背後に載置された凝縮器を示す図である。
【図11】作動流体としての水(R718)による図4の代替的システムのH/logP図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、特許文献1に開示された先行技術システムを開示している。以下において、前記システム及びサイクルが詳細に説明される、と言うのもそれが本発明の理解を後で容易にするからである。
【0051】
太陽熱加熱器又は暖房設備からの排水のような熱源1は、熱交換器2内の好適には水である作動流体へ伝達される熱的エネルギを供給する。作動流体は、例えば大気圧下で、液体ポンプ4から管体3内に供給される。大気の比較的低い圧力は、前記システムを太陽熱利用型熱交換器に対して好都合にする。熱交換器2において熱的エネルギを受容することにより、加圧された液体は例えば100℃まで加熱される。加熱された液体は管体5により膨張機7内へ導かれ、其処で液体は膨張されて仕事を作動流体から膨張機7内へ伝達する。膨張機7は、160,000rpmの速度で作動するタービン膨張機であり得る。
【0052】
作動流体からエネルギを受容して、膨張機7は、該膨張機に対してシャフト10により接続されたタービン圧縮機9を駆動する。圧縮機9は、典型的な冷凍サイクルの一部として、作動流体を気体状態から中間圧力気体へ圧縮する。圧縮機9からの出力流体は管体21を通り第1熱交換器22へ流入し、其処で熱的エネルギは、圧縮機の吐出流体から、熱交換器2から管体5を通り流れる流体へ伝達される。
【0053】
作動流体としての水により、圧縮機9の出口における温度は典型的に200℃であり、及び太陽熱利用型熱交換器2の温度は約100℃であり、これは、圧縮機9の流体から、太陽熱利用型熱交換器2からの熱流体への顕著なエネルギ伝達を確実にする。この熱伝達が、システムの高い冷却性能の主たる理由である。
【0054】
第1熱交換器22の後における管路23内の圧縮機9からの作動流体、及び管路24内の膨張機7からの作動流体は、生じ得る圧力差を考慮するバルブ25を通る混合の前に、凝縮器13において周囲空気により冷却される。混合された作動流体は、管体16内へ再循環される第1部分、及び蒸発器18における蒸発のために使用される第2部分へ分割される。蒸発器18は、該蒸発器18からタンク15を介して気体を吸引する圧縮機9により駆動される。蒸発器18において蒸発されることで冷却された気体は、例えば、家屋における空気調和のための空気流19を冷却するために使用される。
【0055】
この先行技術のシステムは、100℃以下の低温における外部加熱器によってさえも効率的に作動する利点を有している。更なる利点及び更なる実施例は、特許文献1において説明されている。
【0056】
図2には、図1の先行技術システムに基いて僅かに修正された更なる実施例が示される。図1において、管路24における膨張機7からの作動流体は、ライン23における圧縮機9からの作動流体とバルブ25を介して混合されるが、図2においてはそうでない。図2において、膨張機7及び圧縮機9のための作動流体サイクルは別々である。故に、膨張機のための一つのサイクル部24、16、3、5、及び圧縮機9のための一つのサイクル部21、23、31が存在する。凝縮器13を備える熱交換器に対して単一のファンを使用することは依然として可能であるが、図2に示されたように、個別的なファンを備えた2つの別個の凝縮器13a、13bを使用する可能性も在り、その場合に一方の凝縮器13aは膨張機流体サイクル部24、16、3、5に使用され、及び別の凝縮器13bは圧縮機流体サイクル部21、23、31に使用される。
【0057】
この実施例は、更に一般的な表現においては、
加熱サイクル部5、7、24、16、4、3を通して流体を搬送するための液体ポンプ4と、
加熱サイクル部5、7、24、16、4、3内の流体を加熱するための外部熱源1、2と、
膨張機入口及び膨張機出口を備える膨張機7であって、膨張機入口は、気相流体を受容して該流体を膨張させることで膨張機7を駆動すべく外部熱源1、2に対する流体接続5を有する膨張機7と、
圧縮機入口及び圧縮機出口を備える圧縮機9であって、低圧の圧縮機入口気体から高圧の圧縮機出口気体へ作動流体を圧縮するために膨張機7により駆動される圧縮機9と、
高圧の圧縮機出口気体から加熱サイクル部内の流体へ熱を伝達するために、圧縮機出口への流体接続21を備えると共に膨張機入口に接続された第1熱交換器22と、
低温の第2流体へのエネルギ伝達により、圧縮機9もしくは膨張機又は両方からの作動流体を凝縮するための凝縮器13a、13bと、
凝縮器13a、13bからの作動流体を、第3流体19からのエネルギ伝達により蒸発させて、第3流体19に所望の冷却効果を生成するための蒸発器18と、を具備する冷却用装置であって、
第1熱交換器22が、外部熱源1、2と膨張機7の入口との間において加熱サイクル部に接続される、冷却用装置として定義され得る。
【0058】
これに加えて任意選択的に、示されたように、前記システムは、圧縮機からの流体のための一つの凝縮器13bと、低温の更なる流体へのエネルギ伝達により膨張機7からの作動流体を凝縮する更なる凝縮器13aとを具備し得る。
【0059】
本発明の発明者等により見出されたように、特許文献1の先行技術システム及び図2のシステムは特に始動状態において改良され得る。前記始動状態においては、膨張機が冷えており、このことが最悪の場合には高速のタービンを破損することのある凝縮に導くことがある。改良は、膨張機7の典型的には金属製ハウジングであるタービン・ハウジングの加熱、及び任意選択的には、同様に圧縮機9のハウジングの加熱である。ハウジングの加熱は、タービンに進入する流体の凝縮を妨げる。
【0060】
ハウジングのこの加熱は、大体において、電気的加熱などの種々の方式で実施され得る。この実施例は、更に一般的な表現においては、
加熱サイクル部5、7、24、16、4、3を通して流体を搬送するための液体ポンプ4と、
加熱サイクル部5、7、24、16、4、3内の流体を加熱するための外部熱源1、2と、
膨張機入口及び膨張機出口を備える膨張機7であって、膨張機入口は、気相流体を受容してその流体を膨張させることで該膨張機7を駆動すべく外部熱源1、2に対する流体接続5を有する膨張機7と、
圧縮機入口及び圧縮機出口を備える圧縮機9であって、低圧の圧縮機入口気体から高圧の圧縮機出口気体へ作動流体を圧縮するために、膨張機7により駆動される圧縮機9と、
高圧の圧縮機出口気体から加熱サイクル部内の流体へ熱を伝達するために、圧縮機出口への流体接続21を備えると共に膨張機入口に接続された第1熱交換器22と、
低温の第2流体へのエネルギ伝達により、圧縮機9もしくは膨張機又は両方からの作動流体を凝縮するための凝縮器13a、13bと、
凝縮器13a、13bからの作動流体を、第3流体19からのエネルギ伝達により蒸発させて、該第3流体19に所望の冷却効果を生成するための蒸発器18と、を具備する冷却用装置であって、
第1熱交換器22は、外部熱源1、2と膨張機7の入口との間において加熱サイクル部に接続され、
膨張機及び/又は圧縮機は、好適にはハウジングと熱接触する外部熱源により加熱されるハウジングを有する、冷却用装置として定義され得る。
【0061】
好適な加熱方法は、特許文献1におけるのとほぼ同一の原理を示す図3を参照して説明される。但し、熱源1は、図1の熱交換器2を加熱するのではなく、圧縮機のハウジング及び膨張機7のハウジングを囲繞するバッファタンク20内の液体を加熱する。圧縮機9のハウジングの加熱は、任意選択的であるが、好適である。任意選択的であるが好適であるのは、前記タンク内への第1熱交換器22の収容もである。タンク内の液体は、膨張機7のハウジングと熱接触しており、及び任意選択的には、図示されたように圧縮機9のハウジング及び熱交換器22とも熱接触する。全ての3つの要素と熱接触することにより、これらの要素の等しい温度が確実にされ、このことは始動状態における凝縮の防止に役立つ。
【0062】
熱源として加熱された液体が、熱源1の供給管1a及び放出管1bを通してバッファタンク20に対して供給される。代わりに、熱源からの液体と、バッファタンク20の内部の液体との間の熱伝達のために、(示されないが、その原理は図7において42として示される)熱交換器が配備されてよい。熱源の例は、太陽熱式加熱パネル、及びセントラル暖房設備からの供給排水、又は工場からの供給排水である。さらに又は代わりに、バッファタンク内の液体を加熱するために、電気ヒータ又は他の種類の熱源も使用され得る。例えば、朝方において太陽熱式加熱パネルがまだ冷えていて且つ次第に暖かくなるとき、膨張機における凝縮のリスクなしに容易な始動を支援するために、電気的熱源が、バッファタンク内の液体を加熱すべく使用され得る。
【0063】
膨張機7の回りに、任意選択的には圧縮機9の回りに、及び更に任意選択的には膨張機7及び圧縮機9に接続された熱交換器の一つ以上の回りに液体バッファタンク20を配備する前記原理は、特許文献1の図10に示された蒸留水生成システムを含む、特許文献1に示された他の全ての実施例に対しても適用され得る。そのような蒸留水は、説明された噴霧システム以外の目的に対して使用され得る。それはまた、飲料水生成システムの一部としても使用され得る。
【0064】
これに加え、前記原理は、他の先行技術システム、特に、特許文献1の冒頭部分において論じられた先行技術システムにおいても使用され得る。
【0065】
図4は、2つの別個の凝縮器13a、13bを用いる前記原理が使用される更なる実施例を示しているが、このことは、この実施例又は以下の各実施例におけるバッファタンクの解決法に対して必須ではないので、図1における単一の凝縮器13を用いる原理も使用されてよい。
【0066】
図4におけるシステムは、2つの膨張機7'、7"及び2つの圧縮機9'、9"及び多数の熱交換器22、27、41を備えたシステムの回りにバッファタンク2を有している。膨張機7'及び圧縮機9"の第1の対は、同期駆動のために第1回転軸10'を介して接続され、及び膨張機7"及び圧縮機9'の第2の対は、同期駆動のために第2回転軸10"を介して接続されている。第1膨張機7'は、流体が第1膨張機7'から第2膨張機7"へ流れるように管体26を介して第2膨張機に接続されている。同様に、第1圧縮機9'と第2圧縮機9"との間には、接続管6が配備されている。
【0067】
加熱された液体1は、システムの加熱のためにバッファタンク20を通して流れる。バッファタンク20の内部にて、前記液体は、例えばフィルタ・システムのような取入れシステム8をとおして流れる作動流体として抽出されて、管体11を通してポンプ4へ搬送され、前記ポンプ4は膨張機サイクル部を通して作動流体を駆動する。
【0068】
ポンプ4から、作動流体は第1膨張機7'に供給され、その後に作動流体は、該流体が接続28を介してバッファタンク20に再び進入するために第2膨張機7"、管体24、凝縮器13、管体3及び熱交換器40を通過して流れる前に、管体26及び熱交換器27に進入する。
【0069】
バッファタンク20は液体分離器としても機能し、その場合に作動流体は、熱交換器22及び27における液滴に関する最小限のリスクで、流体取入部8から膨張機7'に進入する。
【0070】
作動流体のための別個の圧縮機サイクル部は、閉サイクルであり、膨張機サイクル部との混合接続はなされていない。圧縮機サイクル部において、流体は第1圧縮機9'から圧縮機流体接続6を通して第2圧縮機9"へ駆動され、その後に流体からの熱は、第1熱交換器22内の膨張機流体へ伝達され、前記流体からの熱はバッファタンク20内の液体に対しても熱を伝達し得る。熱交換器22の目的は、図1における先行技術システムに関しても説明されている。熱交換器22の後、圧縮機サイクル部における作動流体は管体23を通ると共に、該流体は、2つの膨張機7'、7"間の流体と熱的に連通している熱交換器27内へ搬送される。圧縮機流体は接続29を通りバッファタンクから出て、熱交換器40、凝縮器13b、管体31、及び熱交換器41を通り、第1圧縮機に流入する。
【0071】
熱交換器41は、装置の効率を最適化するために、液滴が第1圧縮機9'に進入することを阻止する。これに加え、熱交換器41の効果は第2圧縮機9"からの吐出流体のより高い温度であり、これは熱交換器22及び27の効率を高めるものである。
【0072】
熱交換器40は、バッファタンク20への入口28の前における膨張機サイクル部の管体3内で、熱交換器27の後の圧縮機サイクル部に残された余熱を利用することにより作動流体を再加熱する。これにより、COPは驚くことに8〜12%だけ上昇される。管路31における熱交換器41は、圧縮機9'に進入する前に蒸気を過熱するためにバッファタンク20内の直接加熱を用いることにより、特に始動手順において使用される。但し、熱交換器41はまた、作動流体サイクル部のためにエネルギを回収するために通常運転時においても使用される。
【0073】
図5は、圧縮機流体サイクル部において凝縮器13bの後の分離器15からの凝縮水に対して管体12を介して接続された追加の冷却サイクル部18aは別として、図4とほぼ同一である。管体12、凝縮器18a、及び管体17からの流体は分離器15Aにおいて蒸発して、管体14を通り、2つの圧縮機9'、9"間の圧縮機流体接続6における圧縮機流体と混合するために導かれる。追加の流体が管体26を介して分離器内へ供給される。
【0074】
外部熱源1から到来するエネルギは、膨張機流体サイクル部と、熱源からの流体とを切り離すために、図6に示された熱交換器42を用いてバッファタンク内へ移動されることも可能である。
【0075】
図7は、夫々の膨張機サイクル部及び圧縮機サイクル部のための別個の凝縮器13a及び13bを備える図6の実施例と類似するが、別々の流体を凝縮する共通ファン43を使用している。
【0076】
図8は図4の実施例に類似しているが、膨張機/圧縮機の第1の対及び第2の対の回転軸10'、10"に接続されたモータ/発電機MGを備えている。これにより、モータにより能動的に回転軸を駆動し、及び/又は発電機により電気を生成する可能性が与えられる。モータは、圧縮機タービンの吐出蒸気に更なる高温を生成するために、及びそれによってタービン過程のための膨張機入口流を加熱して活性化するために、始動手順において使用されて各回転軸を回転させてよい。電気を生成する発電機機能は、前記ユニット上に生成される冷却能力が必要量を超えたとき使用され、及び/又は内蔵型ユニットとしての電気的構成要素を駆動するために使用されてよい。
【0077】
図9は、膨張機7'、7"が直列にではなく並列に駆動されるシステムを示している。示されたように、第1膨張機7'は、取入れシステム8から熱交換器22及び管体11を通して作動流体を受容し、及び第2膨張機7"は、取入れシステム8から、同様の管体11'及び同様の熱交換器22'から流体を受容する。これにより、バッファタンクにおける+55℃までの低温エネルギの活用に対する可能性が与えられる。膨張機7'、7"からの吐出物は管体24内で互いに連結されて、更に凝縮器13aにおいて凝縮する。
【0078】
図10は、太陽熱収集器1'上の更に高い効率のために太陽熱収集器1'の背後に載置されて、凝縮器ファンによる電力消費量を最小限にする凝縮器13a'、13b'を示している。対流による自然の空気流が、熱を凝縮器13a'、13b'から収集器1'へ伝達する。
【0079】
図11は、バッファタンク20への入口の前の配管3内の流体に伝達される熱交換器40における圧縮機サイクル部からの余熱を使用したときにおける、膨張機及び圧縮機サイクル部のそれぞれに関する、凝縮器を有する圧縮機及び膨張機過程を示すH/logP図である。熱交換器22及び27の後における圧縮機9'、9"からの蒸気内の残存エネルギを利用することが、熱交換器40における凝縮器13a、13bからの戻り流体の加熱という結果になる。これにより、装置の効率が更に高められると共に、太陽熱パネルからの必要なエネルギ要求量が3〜4%だけ低減される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却、典型的には空気調和を行うための装置であって、たとえば太陽熱パネルなどの外部熱源と関連して相互接続された膨張機、圧縮機、凝縮器、及び蒸発器を具備する配置構成を備える装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置の台数は急速に増加しつつある。二酸化炭素の排出削減の世界的な目標に関し、そのような機械のエネルギ消費量の削減は最も重要である。
通常、空気調和のためのエネルギ消費量は、日射しが強い場合に最大である。故に、太陽エネルギを変換して空気を冷却すべく使用することが好適である。特に、作動流体として水を使用する一般的な太陽熱式の加熱システムを使用することが望ましい。
【0003】
本発明と同一の発明者による特許文献1においては、空気調和のための高性能なシステムが開示されている。このシステムは先行技術と比較して多くの利点を有するが、依然として、効率に関する改善のための継続的な研究が行われている。他の開示内容としては、ショーによる特許文献2、及びベンソンによる特許文献3が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/038921号パンフレット
【特許文献2】米国特許第4086072号明細書
【特許文献3】米国特許第6581384号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
故に、本発明の目的は、例えば太陽熱加熱器から熱的エネルギが送給される既存の空気調和システムに対する改良点を提供するに在る。特に、始動状態に関して改良されたシステムを提供することが目的である。本発明の更なる目的は、更に最適化されたエネルギ効率を有するシステムを提供するに在る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、以下において説明される冷却用装置により達成される。前記装置は、流体の移動のための、より正確には加熱サイクル部を通して流体を駆動する手段、例えばポンプと、加熱サイクル部内の流体を加熱するための外部熱源とを具備する。装置は、膨張機ハウジングの内側の好適には第1膨張機タービンである膨張手段に面する内側面及び反対側の外側面を有する膨張機ハウジングを具備する。膨張機は、流体を膨張させることにより該膨張機を駆動するために、外部熱源により加熱された気相の流体を受容する、加熱サイクル部に接続された膨張機入口を有する。更に、前記装置は、圧縮機ハウジングの内側の好適には第1圧縮機タービンである圧縮手段に面する内側面及び反対側の外側面を有する圧縮機ハウジングを備える圧縮機を具備する。圧縮機は、圧縮機入口及び圧縮機出口を有し、作動流体を低圧の圧縮機入口気体から高圧の圧縮機出口気体へ圧縮するために膨張機により駆動される。
【0007】
凝縮器は、膨張機からの作動流体、又は圧縮機からの作動流体、又は両方を熱交換器における低温の第2流体に対するエネルギ伝達により凝縮させる。蒸発器は、凝縮器からの作動流体を更なる熱交換器において第3流体からのエネルギ伝達により蒸発させて、第3流体における所望の冷却効果を生成する。第3流体は、空気調和のために使用され得る。
【0008】
これに加え、膨張機のハウジングの外側面に対する加熱手段の熱接触により膨張機のハウジングに対して熱を伝達すべく、外部熱源が配備される。例えば、この加熱手段は、膨張機ハウジングの外側面に熱接触する電気的熱源である。
【0009】
好適には、この加熱手段は流体である。例えば、外部熱源と熱接続された液体であって、膨張機のハウジングに対して熱を伝達するために膨張機のハウジングの外側面に熱接触する液体を収容する液体バッファタンクの内側に膨張機が配備される。
【0010】
好適には、膨張機ハウジングと熱接触する液体を有する液体バッファタンクである加熱手段を配備することにより、膨張機は、冷えたハウジングに起因する膨張機内の作動流体の急速な温度低下が阻止されるように、作動流体の膨張過程に適切な温度まで加熱される。冷えた膨張機ハウジングに起因するそのような温度低下は特に、始動段階中のリスクであって非常に重大である、と言うのも、温度低下は膨張機内で作動流体の凝縮を引き起こし、これは、膨張機、例えばタービン羽根を損傷し得るからである。
【0011】
言及されたように、好適な膨張機は、例えば半径流タービンもしくは軸流タービンを備えたタービン式膨張機である。同様に、好適な圧縮機は、例えば半径流タービンもしくは軸流タービンを備えたタービン式圧縮機である。前記原理はタービン式膨張機及び/又はタービン式圧縮機に対して特に有用であるが、例えばバッファタンク内の液体などの加熱手段は、他のより従来型のタイプの膨張機及び/又は圧縮機を使用するときでさえも、上述されたシステムにおいて好適に適用され得る。
【0012】
圧縮機の同様の加熱も提供するために、任意選択的には、圧縮機もまた、圧縮機ハウジングの外側面上に例えば電気ヒータなどの同様の加熱手段を備え得る。特に、圧縮機は、液体バッファタンクの内側に配備され、液体は圧縮機のハウジングに対して熱を伝達するために圧縮機のハウジングの外側面に熱接触し得る。
【0013】
更なる実施例において、バッファタンクの内側に配備された第1熱交換器であって、バッファタンク内の液体と、膨張機の入口への流体接続とに対して熱接触して、バッファタンク内の液体から加熱サイクル部内の流体へ熱を供給する第1熱交換器を前記装置は更に有する。この第1熱交換器は、膨張機のハウジングだけでなく、膨張機に進入する流体も、始動前に同一温度まで事前加熱されることを確実にする。したがって、液体バッファタンクは、装置の円滑な作動のための熱的安定化システムを提供する。
【0014】
更なる実施例において、第1熱交換器は、高圧の圧縮機の出口流体からの熱を膨張機入口の上流において加熱サイクル部内の流体へ伝達するために、圧縮機の出口に対する流体接続も有する。好適には、圧縮機出口流体と膨張機入口流体との間の混合は無い。
【0015】
本発明に依れば、膨張機に進入する前の流体に対して熱が伝達される。故に流体は、特に始動状態に関してはバッファタンク内の液体により第1温度まで加熱されて、この第1熱交換器におけるより高い第2の温度まで加熱され得る。これに加え、過剰な熱の一部は、液体バッファタンク内の液体へ伝達され得る。この配置構成は、外部熱源の加熱能力に対するより穏やかな要件を意味する。
【0016】
例えば、第1熱源は、流体サイクル部内の流体を100℃のオーダーの温度及び1バールの圧力へ加熱して蒸発させる太陽熱利用型熱交換器であり得る。外部加熱器の後の流体は少なくとも部分的に依然として液相であり得ると共に、その後に流体は、膨張機に進入する前に気相を達成するために、第1熱交換器において温度が高められる。
【0017】
外部熱源は流体サイクル中の流体に対して約100℃以下もしくは以上の温度、例えば70℃〜120℃又は90℃〜110℃などの温度を与えることができ、このことは、前記システムを太陽熱利用型熱交換器に及びより低温の他の設備に適合させる。例えば、セントラル暖房設備からの、又は工場からの排水が使用され得る。
【0018】
熱交換器はまた、放物形太陽熱収集器に基づく太陽熱パネル、又は500℃までの高い流体温度を生成する他の廃熱であり得る。放物形太陽熱収集器からの高温は、膨張機に対する最適な取入条件に至るように熱交換され得る。
【0019】
これに加え、本発明に係る前記装置は作動流体としての水に適するようにされており、このことは簡素化の要因である。
【0020】
他の熱源に対する更なる代替例として、又はそれに加え、外部熱源は、膨張機の入口の上流において加熱サイクル部内の流体を加熱するために、第1熱交換器に接続された電気ヒータを具備し得る。この場合におけるそのような電気ヒータの価値は、膨張機入口内への作動流体が気体の様態でなければならない始動段階において特に重要である。特に始動段階においては、液体タンク内の液体を加熱するために電気ヒータも使用され得る。
【0021】
更なる実施例において、膨張機タービンは第1膨張機タービンであり且つ圧縮機タービンは第1圧縮機タービンであり、及び第1圧縮機タービンは、該圧縮機タービンを第1膨張機タービンに同期させて駆動するために、例えば共通の回転軸を有することにより、第1圧縮機タービンに対して機械的に接続される。
【0022】
前記システムは、一対より多いそのような膨張機と圧縮機の対により拡張され得る。故に更なる実施例において、前記装置は、第2膨張機タービン及び第2圧縮機タービンを夫々備える少なくとも一つの更なる膨張機及び少なくとも一つの更なる圧縮機を具備する。各第2タービンは、第1膨張機タービン及び第1圧縮機タービンの回転から独立したそれらの互いに同期した回転のために機械的に接続される。
【0023】
故に、直列接続された2つの膨張機(上流膨張機及び下流膨張機)、及び直列接続された2つの圧縮機(上流圧縮機及び下流圧縮機)の場合、上流膨張機及び下流圧縮機からの2つの高圧用タービン同士が接続され、及び下流膨張機及び上流圧縮機からの低圧用タービン同士が接続されるように、夫々のタービン回転軸を介する、対を成す接続が在る。
【0024】
一実施例において、第1膨張機の出口は第2膨張機の入口に対する膨張機流体接続を有し、及び第1圧縮機の出口は第2圧縮機の入口に対する圧縮機流体接続を有する。故に、2つ以上の膨張機が直列接続され、2つ以上の圧縮機もそうである。
【0025】
一実施例において膨張機は第1膨張機段階及び第2膨張機段階、及び任意選択的には更なる段階を有し、及び種々の膨張機段階間における気体状流体への熱伝達のために、加熱手段が配備される。これは、膨張機の効率を高めるために使用されてよい。
【0026】
二段階式の膨張機(又は、更に多い段階を有する膨張機列)は、湿式膨張のリスクを低減するために使用される。二重の圧縮は、猛暑の条件下でさえも、凝縮のための十分な吐出圧力という結果になる。
【0027】
但し、直列接続は必須ではない。複数対の膨張機/圧縮機の配置構成は、バッファタンクの内側において並列でも作動できる。
【0028】
更なる実施例において、膨張機からの流体及び圧縮機からの流体は、バルブにより、好適には減圧バルブにより混合される。好適には混合は、膨張機流体が凝縮器に進入する前で且つ圧縮機流体が凝縮器を通過した後に実施される。故に混合バルブは、凝縮器の上流における膨張機流体に対する接続、及び凝縮器の下流における圧縮機流体に対する接続を備える。
【0029】
しかしながら、膨張機及び圧縮機に対する流体サイクルは別々であることが好適である。これに加え、加熱サイクル部における膨張機用作動流体に対する凝縮器は、圧縮機からの作動流体に対する凝縮器と同一である必要はない。例えば、前記装置は、膨張機出口からの作動流体を凝縮するための第1凝縮器、及び圧縮機出口からの作動流体を凝縮するための第2凝縮器を含む。
【0030】
更なる実施例において、前記装置は、作動流体が圧縮機に進入する前に作動流体を蒸発させる更なる蒸発器を具備する。更なる蒸発器は、更なる蒸発器からの流体を第1圧縮機の出口からの流体に加えるために、圧縮機流体接続に対する流体接続を有する。故に、蒸発された流体は、直列接続された2つの圧縮機間に進入する。
【0031】
任意選択的に、加熱サイクル部は、燃料タンク内の液体に対する第1流体接続を、膨張機の入口の上流において液体タンク内の液体から作動流体を受容するために有する。故に、タンク内の液体は作動液体の一部である。
【0032】
例えば、加熱サイクル部は、膨張機の出口の下流における液体タンクへの第2流体接続であって、作動流体を液体タンク内の液体中へ戻し与える第2流体接続を具備する。更なる改良点として、任意選択的に、加熱サイクル部は、液体タンクの外部に更なる熱交換器を具備し、熱交換器は、一方の側において、第2流体接続を介して燃料タンクに接続され、及び他方の側において、圧縮機の出口からの作動流体から、加熱サイクル部の作動流体が液体タンクに再進入する前に該作動流体に対して熱を伝達するために、圧縮機の出口に至る更なる流体接続を有する。もし、膨張機のための流体サイクルが圧縮機のための流体サイクルから切り離されるなら、更なる熱交換器は、第1凝縮器の下流で且つ第2凝縮器の上流に配備され得る。驚くべきことに、この配置構成によれば、入熱に対して4〜8%だけ大きい冷却能力の利得が得られることが判明した。
【0033】
更なる実施例において、液体タンクに対する流体接続であって、当該太陽熱式加熱パネルからの加熱された液体をタンクに供給するための流体接続を備える太陽熱式加熱パネルを外部熱源が具備する。代わりに、太陽熱パネル流体は、液体バッファタンク内の液体と混合しないが、液体タンクの内側の熱交換器であって、該熱交換器を介してのみ、該太陽熱式加熱パネルの流体から熱を液体タンク内の液体へ伝達する熱交換器に対する液体接続を有する。
【0034】
任意選択的に、外部熱源は燃焼機関を具備し、熱は該機関から直接的に又は機械的及び/又は電気的な中間手段を介して供給される。例えば、機関及び/又は該機関の排気ガスからの余熱が加熱のために使用される。
【0035】
特定の実施例において、燃焼機関は、車両の一部としてのモータであって、車両の推進手段に接続される。
【0036】
例えば、装置はそのような車両と組み合わされる。膨張機は、発電機を駆動して電力を生成するために、発電機に接続されたタービンを具備する。発電機は、電力を生成すると共に、発電機により生成された電力により電気モータを駆動するために前記電気モータに電気的に接続される。一方、前記モータは様々な手段に用いられ、例えば車両の推進を支援するために用いられる。例えば車両において、排気ガスは電気モータに動力を提供するために利用され、電気モータは車輪に対して追加の動力を提供する。それは、船舶においては、スクリュもしくは水力タービンに対する付加的動力のために、及び航空機においてはプロペラに対して付加的動力を提供するために使用され得る。
【0037】
装置は通常は、膨張機及び/又は圧縮機の回転軸が発電機に接続されるなら電気を生成するために使用される。例えば、それから生成された電力は、電気モータを駆動するために使用される。
【0038】
更なる例として、膨張機及び/又は圧縮機の回転軸に接続された発電機内に電力を提供するために、車両の燃焼機関からの熱が利用されて装置を駆動し得る。一方、前記モータは車両の各車輪の駆動を支援するために使用され得る。
【0039】
故に、機関からの熱エネルギ、及び普通は車両の廃棄物である排気ガスからの熱ならびに運動エネルギは、車両の燃料消費量を減少させるために回収され得る。
【0040】
同様に、膨張機及び/又は圧縮機からの回転軸は、その回転軸を駆動するためのモータに接続され得る。
【0041】
本発明に係るシステムにおいて、圧力は最大で、2気圧未満に維持されるか、又は1.5気圧であり得る。
【0042】
好適には、膨張機は、例えば50,000〜250,000rpmの回転速度を有するタービン式膨張機である。モータ、好適には電気モータが、膨張機及び圧縮機の付加的な駆動のために使用されるか、又は内蔵ユニットにおける電気的構成要素に対する動力などの電気を作る発電機として使用される。
【0043】
好適な作動流体は水であるが、例えば、イソブタン、ブタン、アンモニア、オイル、アスペン・テンパー20(Aspen temper-20)、アスペン・テンパー40、アスペン・テンパー50、塩化カルシウム、ダウサームJ(Dowtherm J)、ダウサームQ、エタノール、エチレングリコール、フリージウム(Freezium)、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、メタノール、炭酸カリウム、プロピレングリコール、塩化ナトリウム、シルセルムXLT(Syltherm XLT)、テルモゲンVP1869(Thermogen VP1869)、Tyxofit、窒素、二酸化炭素、HCFC、CFC、もしくはHCを含む冷却剤、R134aもしくはR407、又はそれらの組み合わせなどの他の作動流体が使用され得る。
【0044】
本発明に係る装置の冷却力は大きな範囲に亙り変化することができ、例えば、それは、10、20kW、又は50kWまでも有する。
【0045】
水が冷媒であるとき、本発明に係る装置における蒸発過程は蒸留水を生成する。この蒸留水は、エネルギ伝達をより効率的にしてより高いCOPを与えるために、凝縮器にそれを噴霧するように使用され得る。
【0046】
膨張機及び/又は圧縮機は、軸流型もしくは半径流型のタービン、又は前記2つの原理を組み合わせた形式であり得る。
【0047】
本発明に係る装置は、例えば空気調和などの冷却のためだけでなく、凝縮器に対する空気を加湿するための、又は飲料水としての蒸留水を提供するためにも使用され得る。
【0048】
本発明は、添付図面を参照して更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】特許文献1の先行技術システムを示す図である。
【図2】膨張機サイクル部及び圧縮機サイクル部の夫々のための別個の凝縮器を備えた代替実施例を示す図である。
【図3】図1と類似するが、圧縮機及び膨張機の回りに本発明に係るバッファタンクを備えた図である。
【図4】バッファタンクの内側の二重対式のタービン・システム及び内部熱交換器を示す図である。
【図5】2つの圧縮機の間のパイプに接続された追加的な冷却サイクル部を使用する更なる実施例を示す図である。
【図6】外部熱源に接続された熱交換器により加熱されるバッファタンクを示す図である。
【図7】膨張機サイクル部及び圧縮機サイクル部のための別個の凝縮器であるが共通の冷却ファンを使用する凝縮器を示す図である。
【図8】タービン回転軸上で動作するモータ/発電機MGを示す図である。
【図9】バッファタンクにおける+55℃までの低温エネルギの活用のために各膨張機が並行して作動される実施例を示す図である。
【図10】太陽熱パネルへの熱伝達のための太陽熱収集器の背後に載置された凝縮器を示す図である。
【図11】作動流体としての水(R718)による図4の代替的システムのH/logP図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、特許文献1に開示された先行技術システムを開示している。以下において、前記システム及びサイクルが詳細に説明される、と言うのもそれが本発明の理解を後で容易にするからである。
【0051】
太陽熱加熱器又は暖房設備からの排水のような熱源1は、熱交換器2内の好適には水である作動流体へ伝達される熱的エネルギを供給する。作動流体は、例えば大気圧下で、液体ポンプ4から管体3内に供給される。大気の比較的低い圧力は、前記システムを太陽熱利用型熱交換器に対して好都合にする。熱交換器2において熱的エネルギを受容することにより、加圧された液体は例えば100℃まで加熱される。加熱された液体は管体5により膨張機7内へ導かれ、其処で液体は膨張されて仕事を作動流体から膨張機7内へ伝達する。膨張機7は、160,000rpmの速度で作動するタービン膨張機であり得る。
【0052】
作動流体からエネルギを受容して、膨張機7は、該膨張機に対してシャフト10により接続されたタービン圧縮機9を駆動する。圧縮機9は、典型的な冷凍サイクルの一部として、作動流体を気体状態から中間圧力気体へ圧縮する。圧縮機9からの出力流体は管体21を通り第1熱交換器22へ流入し、其処で熱的エネルギは、圧縮機の吐出流体から、熱交換器2から管体5を通り流れる流体へ伝達される。
【0053】
作動流体としての水により、圧縮機9の出口における温度は典型的に200℃であり、及び太陽熱利用型熱交換器2の温度は約100℃であり、これは、圧縮機9の流体から、太陽熱利用型熱交換器2からの熱流体への顕著なエネルギ伝達を確実にする。この熱伝達が、システムの高い冷却性能の主たる理由である。
【0054】
第1熱交換器22の後における管路23内の圧縮機9からの作動流体、及び管路24内の膨張機7からの作動流体は、生じ得る圧力差を考慮するバルブ25を通る混合の前に、凝縮器13において周囲空気により冷却される。混合された作動流体は、管体16内へ再循環される第1部分、及び蒸発器18における蒸発のために使用される第2部分へ分割される。蒸発器18は、該蒸発器18からタンク15を介して気体を吸引する圧縮機9により駆動される。蒸発器18において蒸発されることで冷却された気体は、例えば、家屋における空気調和のための空気流19を冷却するために使用される。
【0055】
この先行技術のシステムは、100℃以下の低温における外部加熱器によってさえも効率的に作動する利点を有している。更なる利点及び更なる実施例は、特許文献1において説明されている。
【0056】
図2には、図1の先行技術システムに基いて僅かに修正された更なる実施例が示される。図1において、管路24における膨張機7からの作動流体は、ライン23における圧縮機9からの作動流体とバルブ25を介して混合されるが、図2においてはそうでない。図2において、膨張機7及び圧縮機9のための作動流体サイクルは別々である。故に、膨張機のための一つのサイクル部24、16、3、5、及び圧縮機9のための一つのサイクル部21、23、31が存在する。凝縮器13を備える熱交換器に対して単一のファンを使用することは依然として可能であるが、図2に示されたように、個別的なファンを備えた2つの別個の凝縮器13a、13bを使用する可能性も在り、その場合に一方の凝縮器13aは膨張機流体サイクル部24、16、3、5に使用され、及び別の凝縮器13bは圧縮機流体サイクル部21、23、31に使用される。
【0057】
この実施例は、更に一般的な表現においては、
加熱サイクル部5、7、24、16、4、3を通して流体を搬送するための液体ポンプ4と、
加熱サイクル部5、7、24、16、4、3内の流体を加熱するための外部熱源1、2と、
膨張機入口及び膨張機出口を備える膨張機7であって、膨張機入口は、気相流体を受容して該流体を膨張させることで膨張機7を駆動すべく外部熱源1、2に対する流体接続5を有する膨張機7と、
圧縮機入口及び圧縮機出口を備える圧縮機9であって、低圧の圧縮機入口気体から高圧の圧縮機出口気体へ作動流体を圧縮するために膨張機7により駆動される圧縮機9と、
高圧の圧縮機出口気体から加熱サイクル部内の流体へ熱を伝達するために、圧縮機出口への流体接続21を備えると共に膨張機入口に接続された第1熱交換器22と、
低温の第2流体へのエネルギ伝達により、圧縮機9もしくは膨張機又は両方からの作動流体を凝縮するための凝縮器13a、13bと、
凝縮器13a、13bからの作動流体を、第3流体19からのエネルギ伝達により蒸発させて、第3流体19に所望の冷却効果を生成するための蒸発器18と、を具備する冷却用装置であって、
第1熱交換器22が、外部熱源1、2と膨張機7の入口との間において加熱サイクル部に接続される、冷却用装置として定義され得る。
【0058】
これに加えて任意選択的に、示されたように、前記システムは、圧縮機からの流体のための一つの凝縮器13bと、低温の更なる流体へのエネルギ伝達により膨張機7からの作動流体を凝縮する更なる凝縮器13aとを具備し得る。
【0059】
本発明の発明者等により見出されたように、特許文献1の先行技術システム及び図2のシステムは特に始動状態において改良され得る。前記始動状態においては、膨張機が冷えており、このことが最悪の場合には高速のタービンを破損することのある凝縮に導くことがある。改良は、膨張機7の典型的には金属製ハウジングであるタービン・ハウジングの加熱、及び任意選択的には、同様に圧縮機9のハウジングの加熱である。ハウジングの加熱は、タービンに進入する流体の凝縮を妨げる。
【0060】
ハウジングのこの加熱は、大体において、電気的加熱などの種々の方式で実施され得る。この実施例は、更に一般的な表現においては、
加熱サイクル部5、7、24、16、4、3を通して流体を搬送するための液体ポンプ4と、
加熱サイクル部5、7、24、16、4、3内の流体を加熱するための外部熱源1、2と、
膨張機入口及び膨張機出口を備える膨張機7であって、膨張機入口は、気相流体を受容してその流体を膨張させることで該膨張機7を駆動すべく外部熱源1、2に対する流体接続5を有する膨張機7と、
圧縮機入口及び圧縮機出口を備える圧縮機9であって、低圧の圧縮機入口気体から高圧の圧縮機出口気体へ作動流体を圧縮するために、膨張機7により駆動される圧縮機9と、
高圧の圧縮機出口気体から加熱サイクル部内の流体へ熱を伝達するために、圧縮機出口への流体接続21を備えると共に膨張機入口に接続された第1熱交換器22と、
低温の第2流体へのエネルギ伝達により、圧縮機9もしくは膨張機又は両方からの作動流体を凝縮するための凝縮器13a、13bと、
凝縮器13a、13bからの作動流体を、第3流体19からのエネルギ伝達により蒸発させて、該第3流体19に所望の冷却効果を生成するための蒸発器18と、を具備する冷却用装置であって、
第1熱交換器22は、外部熱源1、2と膨張機7の入口との間において加熱サイクル部に接続され、
膨張機及び/又は圧縮機は、好適にはハウジングと熱接触する外部熱源により加熱されるハウジングを有する、冷却用装置として定義され得る。
【0061】
好適な加熱方法は、特許文献1におけるのとほぼ同一の原理を示す図3を参照して説明される。但し、熱源1は、図1の熱交換器2を加熱するのではなく、圧縮機のハウジング及び膨張機7のハウジングを囲繞するバッファタンク20内の液体を加熱する。圧縮機9のハウジングの加熱は、任意選択的であるが、好適である。任意選択的であるが好適であるのは、前記タンク内への第1熱交換器22の収容もである。タンク内の液体は、膨張機7のハウジングと熱接触しており、及び任意選択的には、図示されたように圧縮機9のハウジング及び熱交換器22とも熱接触する。全ての3つの要素と熱接触することにより、これらの要素の等しい温度が確実にされ、このことは始動状態における凝縮の防止に役立つ。
【0062】
熱源として加熱された液体が、熱源1の供給管1a及び放出管1bを通してバッファタンク20に対して供給される。代わりに、熱源からの液体と、バッファタンク20の内部の液体との間の熱伝達のために、(示されないが、その原理は図7において42として示される)熱交換器が配備されてよい。熱源の例は、太陽熱式加熱パネル、及びセントラル暖房設備からの供給排水、又は工場からの供給排水である。さらに又は代わりに、バッファタンク内の液体を加熱するために、電気ヒータ又は他の種類の熱源も使用され得る。例えば、朝方において太陽熱式加熱パネルがまだ冷えていて且つ次第に暖かくなるとき、膨張機における凝縮のリスクなしに容易な始動を支援するために、電気的熱源が、バッファタンク内の液体を加熱すべく使用され得る。
【0063】
膨張機7の回りに、任意選択的には圧縮機9の回りに、及び更に任意選択的には膨張機7及び圧縮機9に接続された熱交換器の一つ以上の回りに液体バッファタンク20を配備する前記原理は、特許文献1の図10に示された蒸留水生成システムを含む、特許文献1に示された他の全ての実施例に対しても適用され得る。そのような蒸留水は、説明された噴霧システム以外の目的に対して使用され得る。それはまた、飲料水生成システムの一部としても使用され得る。
【0064】
これに加え、前記原理は、他の先行技術システム、特に、特許文献1の冒頭部分において論じられた先行技術システムにおいても使用され得る。
【0065】
図4は、2つの別個の凝縮器13a、13bを用いる前記原理が使用される更なる実施例を示しているが、このことは、この実施例又は以下の各実施例におけるバッファタンクの解決法に対して必須ではないので、図1における単一の凝縮器13を用いる原理も使用されてよい。
【0066】
図4におけるシステムは、2つの膨張機7'、7"及び2つの圧縮機9'、9"及び多数の熱交換器22、27、41を備えたシステムの回りにバッファタンク2を有している。膨張機7'及び圧縮機9"の第1の対は、同期駆動のために第1回転軸10'を介して接続され、及び膨張機7"及び圧縮機9'の第2の対は、同期駆動のために第2回転軸10"を介して接続されている。第1膨張機7'は、流体が第1膨張機7'から第2膨張機7"へ流れるように管体26を介して第2膨張機に接続されている。同様に、第1圧縮機9'と第2圧縮機9"との間には、接続管6が配備されている。
【0067】
加熱された液体1は、システムの加熱のためにバッファタンク20を通して流れる。バッファタンク20の内部にて、前記液体は、例えばフィルタ・システムのような取入れシステム8をとおして流れる作動流体として抽出されて、管体11を通してポンプ4へ搬送され、前記ポンプ4は膨張機サイクル部を通して作動流体を駆動する。
【0068】
ポンプ4から、作動流体は第1膨張機7'に供給され、その後に作動流体は、該流体が接続28を介してバッファタンク20に再び進入するために第2膨張機7"、管体24、凝縮器13、管体3及び熱交換器40を通過して流れる前に、管体26及び熱交換器27に進入する。
【0069】
バッファタンク20は液体分離器としても機能し、その場合に作動流体は、熱交換器22及び27における液滴に関する最小限のリスクで、流体取入部8から膨張機7'に進入する。
【0070】
作動流体のための別個の圧縮機サイクル部は、閉サイクルであり、膨張機サイクル部との混合接続はなされていない。圧縮機サイクル部において、流体は第1圧縮機9'から圧縮機流体接続6を通して第2圧縮機9"へ駆動され、その後に流体からの熱は、第1熱交換器22内の膨張機流体へ伝達され、前記流体からの熱はバッファタンク20内の液体に対しても熱を伝達し得る。熱交換器22の目的は、図1における先行技術システムに関しても説明されている。熱交換器22の後、圧縮機サイクル部における作動流体は管体23を通ると共に、該流体は、2つの膨張機7'、7"間の流体と熱的に連通している熱交換器27内へ搬送される。圧縮機流体は接続29を通りバッファタンクから出て、熱交換器40、凝縮器13b、管体31、及び熱交換器41を通り、第1圧縮機に流入する。
【0071】
熱交換器41は、装置の効率を最適化するために、液滴が第1圧縮機9'に進入することを阻止する。これに加え、熱交換器41の効果は第2圧縮機9"からの吐出流体のより高い温度であり、これは熱交換器22及び27の効率を高めるものである。
【0072】
熱交換器40は、バッファタンク20への入口28の前における膨張機サイクル部の管体3内で、熱交換器27の後の圧縮機サイクル部に残された余熱を利用することにより作動流体を再加熱する。これにより、COPは驚くことに8〜12%だけ上昇される。管路31における熱交換器41は、圧縮機9'に進入する前に蒸気を過熱するためにバッファタンク20内の直接加熱を用いることにより、特に始動手順において使用される。但し、熱交換器41はまた、作動流体サイクル部のためにエネルギを回収するために通常運転時においても使用される。
【0073】
図5は、圧縮機流体サイクル部において凝縮器13bの後の分離器15からの凝縮水に対して管体12を介して接続された追加の冷却サイクル部18aは別として、図4とほぼ同一である。管体12、凝縮器18a、及び管体17からの流体は分離器15Aにおいて蒸発して、管体14を通り、2つの圧縮機9'、9"間の圧縮機流体接続6における圧縮機流体と混合するために導かれる。追加の流体が管体26を介して分離器内へ供給される。
【0074】
外部熱源1から到来するエネルギは、膨張機流体サイクル部と、熱源からの流体とを切り離すために、図6に示された熱交換器42を用いてバッファタンク内へ移動されることも可能である。
【0075】
図7は、夫々の膨張機サイクル部及び圧縮機サイクル部のための別個の凝縮器13a及び13bを備える図6の実施例と類似するが、別々の流体を凝縮する共通ファン43を使用している。
【0076】
図8は図4の実施例に類似しているが、膨張機/圧縮機の第1の対及び第2の対の回転軸10'、10"に接続されたモータ/発電機MGを備えている。これにより、モータにより能動的に回転軸を駆動し、及び/又は発電機により電気を生成する可能性が与えられる。モータは、圧縮機タービンの吐出蒸気に更なる高温を生成するために、及びそれによってタービン過程のための膨張機入口流を加熱して活性化するために、始動手順において使用されて各回転軸を回転させてよい。電気を生成する発電機機能は、前記ユニット上に生成される冷却能力が必要量を超えたとき使用され、及び/又は内蔵型ユニットとしての電気的構成要素を駆動するために使用されてよい。
【0077】
図9は、膨張機7'、7"が直列にではなく並列に駆動されるシステムを示している。示されたように、第1膨張機7'は、取入れシステム8から熱交換器22及び管体11を通して作動流体を受容し、及び第2膨張機7"は、取入れシステム8から、同様の管体11'及び同様の熱交換器22'から流体を受容する。これにより、バッファタンクにおける+55℃までの低温エネルギの活用に対する可能性が与えられる。膨張機7'、7"からの吐出物は管体24内で互いに連結されて、更に凝縮器13aにおいて凝縮する。
【0078】
図10は、太陽熱収集器1'上の更に高い効率のために太陽熱収集器1'の背後に載置されて、凝縮器ファンによる電力消費量を最小限にする凝縮器13a'、13b'を示している。対流による自然の空気流が、熱を凝縮器13a'、13b'から収集器1'へ伝達する。
【0079】
図11は、バッファタンク20への入口の前の配管3内の流体に伝達される熱交換器40における圧縮機サイクル部からの余熱を使用したときにおける、膨張機及び圧縮機サイクル部のそれぞれに関する、凝縮器を有する圧縮機及び膨張機過程を示すH/logP図である。熱交換器22及び27の後における圧縮機9'、9"からの蒸気内の残存エネルギを利用することが、熱交換器40における凝縮器13a、13bからの戻り流体の加熱という結果になる。これにより、装置の効率が更に高められると共に、太陽熱パネルからの必要なエネルギ要求量が3〜4%だけ低減される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱サイクル部(5、7、24、16、4、3)を通して流体を移動させる手段(4)と、
前記加熱サイクル部(5、7、24、16、4、3)における前記流体を加熱するための外部熱源(1、2)と、
膨張機ハウジングの内側の第1膨張手段に面する内側面及び反対側の外側面を有する膨張機ハウジングを備える膨張機(7)であって、流体を膨張させることにより該膨張機(7')を駆動するために、前記外部熱源(1)により加熱された気相の流体を受容する、前記加熱サイクル部(5、7、24、16、4、3)に接続された膨張機入口を有する膨張機(7)と、
圧縮機ハウジングの内側の第1圧縮手段に面する内側面及び反対側の外側面を有する圧縮機ハウジングを備える圧縮機(9)であって、圧縮機入口及び圧縮機出口を有し、作動流体を低圧の圧縮機入口気体から高圧の圧縮機出口気体へ圧縮するために前記膨張機(7)により駆動される圧縮機(9)と、
前記膨張機(7)からの作動流体、又は前記圧縮機(9)からの作動流体、又は両方を、熱交換器における低温の第2流体に対するエネルギ伝達により凝縮させる凝縮器(13、13a、13b)と、
前記凝縮器(13、13a、13b)からの作動流体を更なる熱交換器において第3流体(19)からのエネルギ伝達により蒸発させて、前記第3流体(19)における所望の冷却効果を生成するための蒸発器(18)と、を具備する冷却用装置において、
外部熱源(1、2)は、前記膨張機(7)のハウジングの外側面に対する加熱手段の熱接触により該膨張機(7)のハウジングに対して熱を伝達すべく配備されることを特徴とする、冷却用装置。
【請求項2】
前記外部熱源(1、2)と熱接続された液体であって、前記膨張機(7)のハウジングに対して熱を伝達するために前記膨張機(7)のハウジングの前記外側面に熱接触する液体を収容する液体バッファタンク(20)の内側に前記膨張機(7)が配備される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記圧縮機(9)もまた前記液体バッファタンク(20)の内側に配備され、前記液体は前記圧縮機(9)のハウジングに対して熱を伝達するために前記圧縮機(9)のハウジングの前記外側面に熱接触する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記膨張手段は膨張機タービンであり且つ前記圧縮機手段は圧縮機タービンである、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記バッファタンク内の前記液体から前記加熱サイクル部(5、7、24、16、4、3)内の流体へ熱を供給するために、前記バッファタンク(20)の内側に配備された第1熱交換器(22)であって、前記バッファタンク(20)内の前記液体と、前記膨張機(7)の入口への流体接続(21)とに対して熱接触する第1熱交換器(22)を更に有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1熱交換器(22)は、前記高圧の圧縮機(9)の出口気体からの熱を前記加熱サイクル部内の流体へ伝達するために、前記圧縮機(9)の出口に対する流体接続(21)も有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記外部熱源(1)は、前記膨張機(7)の入口の上流において前記加熱サイクル部(5、7、24、16、4、3)内の流体を加熱するために、前記第1熱交換器(22)に接続された電気ヒータを具備する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記膨張機(7、7')タービンは第1膨張機タービンであり且つ前記圧縮機タービンは第1圧縮機タービンであり、及び
前記第1圧縮機タービンは、該圧縮機タービンを前記第1膨張機(7、7')タービンに同期させて駆動するために、前記第1圧縮機(9、9")タービンに対して機械的に接続される、請求項4乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
該装置は、第2膨張機(7")タービン及び第2圧縮機(9')タービンを夫々備える更なる膨張機(7")及び更なる圧縮機(9')を具備し、前記各第2タービンは、前記第1膨張機(7')タービン及び前記第1圧縮機(9")タービンの回転から独立したそれらの互いに同期した回転のために機械的に接続され、
前記第1膨張機(7')の出口は前記第2膨張機(7")の入口に対する膨張機流体接続(26、27)を有し、及び前記第1圧縮機(9')の出口は前記第2圧縮機(9")の入口に対する圧縮機流体接続(6)を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
作動流体が圧縮機(9")に進入する前に該作動流体を蒸発させる更なる蒸発器(18a)を具備する、請求項9に記載の装置であって、
前記更なる蒸発器(18a)は、前記更なる蒸発器(18a)からの流体を前記第1圧縮機(9')の出口からの流体に加えるために、前記圧縮機流体接続(6)に対する流体接続(14)を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記加熱サイクル部(8、4、22、26、24、13、3、40)は、前記燃料タンク(20)内の液体に対する第1流体接続(8)を、前記膨張機(7')の入口の上流において前記液体タンク(20)内の液体から作動流体を受容するために有する、請求項2乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記加熱サイクル部(8、4、22、26、24、13、3、40)は、前記膨張機(7")の出口の下流における前記液体タンク(20)への第2流体接続(28)であって、作動流体を前記液体タンク(20)内の液体中へ戻し与える第2流体接続(28)を具備し、
前記加熱サイクル部(8、4、22、26、24、13、3、40)は、前記液体タンク(20)の外部に更なる熱交換器(40)を具備し、
前記熱交換器(40)は、一方の側において、前記第2流体接続(28)を介して前記燃料タンク(20)に接続され、及び他方の側において、前記圧縮機(9")の出口からの作動流体から、前記加熱サイクル部(8、4、22、26、24、13、3、40)の作動流体が前記液体タンク(20)に再進入する前に該作動流体に対して熱を伝達するために、前記圧縮機(9")の出口に至る更なる流体接続(29)を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
該装置は、前記膨張機(7")の出口からの作動流体を凝縮するための第1凝縮器(13a)と、前記圧縮機(9")の出口からの作動流体を凝縮するための第2凝縮器(13b)とを含み、
前記更なる熱交換器(40)は、前記第1凝縮器(13a)の下流で且つ前記第2凝縮器(13b)の上流に配備される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記液体タンク(20)に対する流体接続(1a、1b)であって、太陽熱式加熱パネルからの加熱された液体を前記タンク(29)に供給するための流体接続(1a、1b)を備える太陽熱式加熱パネルを前記外部熱源(1)が具備するか、又は
前記液体タンク(20)の内側の熱交換器(32)であって、前記太陽熱式加熱パネルの流体から熱を前記液体タンク(20)内の液体へ伝達するための熱交換器(32)に対する液体接続を前記太陽熱パネルが有する、請求項2乃至13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記外部熱源は、燃焼機関からの余熱、又は燃焼機関からの排気ガスの熱、又は両方を含む、請求項2乃至14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記燃焼機関は、車両の一部としてのモータであると共に、該車両の推進手段に接続されるモータである、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
車両と組み合わされた請求項16に記載の装置であって、
前記膨張機は、発電機を駆動して電力を生成するために前記発電機に接続されたタービンを具備し、
前記発電機は電気モータに対して電気的に接続され、
前記電気モータは、前記発電機により生成された電力により前記推進手段を駆動するために前記推進手段に接続される、装置。
【請求項18】
蒸留水を生成する、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の装置の使用方法。
【請求項1】
加熱サイクル部(5、7、24、16、4、3)を通して流体を移動させる手段(4)と、
前記加熱サイクル部(5、7、24、16、4、3)における前記流体を加熱するための外部熱源(1、2)と、
膨張機ハウジングの内側の第1膨張手段に面する内側面及び反対側の外側面を有する膨張機ハウジングを備える膨張機(7)であって、流体を膨張させることにより該膨張機(7')を駆動するために、前記外部熱源(1)により加熱された気相の流体を受容する、前記加熱サイクル部(5、7、24、16、4、3)に接続された膨張機入口を有する膨張機(7)と、
圧縮機ハウジングの内側の第1圧縮手段に面する内側面及び反対側の外側面を有する圧縮機ハウジングを備える圧縮機(9)であって、圧縮機入口及び圧縮機出口を有し、作動流体を低圧の圧縮機入口気体から高圧の圧縮機出口気体へ圧縮するために前記膨張機(7)により駆動される圧縮機(9)と、
前記膨張機(7)からの作動流体、又は前記圧縮機(9)からの作動流体、又は両方を、熱交換器における低温の第2流体に対するエネルギ伝達により凝縮させる凝縮器(13、13a、13b)と、
前記凝縮器(13、13a、13b)からの作動流体を更なる熱交換器において第3流体(19)からのエネルギ伝達により蒸発させて、前記第3流体(19)における所望の冷却効果を生成するための蒸発器(18)と、を具備する冷却用装置において、
外部熱源(1、2)は、前記膨張機(7)のハウジングの外側面に対する加熱手段の熱接触により該膨張機(7)のハウジングに対して熱を伝達すべく配備されることを特徴とする、冷却用装置。
【請求項2】
前記外部熱源(1、2)と熱接続された液体であって、前記膨張機(7)のハウジングに対して熱を伝達するために前記膨張機(7)のハウジングの前記外側面に熱接触する液体を収容する液体バッファタンク(20)の内側に前記膨張機(7)が配備される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記圧縮機(9)もまた前記液体バッファタンク(20)の内側に配備され、前記液体は前記圧縮機(9)のハウジングに対して熱を伝達するために前記圧縮機(9)のハウジングの前記外側面に熱接触する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記膨張手段は膨張機タービンであり且つ前記圧縮機手段は圧縮機タービンである、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記バッファタンク内の前記液体から前記加熱サイクル部(5、7、24、16、4、3)内の流体へ熱を供給するために、前記バッファタンク(20)の内側に配備された第1熱交換器(22)であって、前記バッファタンク(20)内の前記液体と、前記膨張機(7)の入口への流体接続(21)とに対して熱接触する第1熱交換器(22)を更に有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1熱交換器(22)は、前記高圧の圧縮機(9)の出口気体からの熱を前記加熱サイクル部内の流体へ伝達するために、前記圧縮機(9)の出口に対する流体接続(21)も有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記外部熱源(1)は、前記膨張機(7)の入口の上流において前記加熱サイクル部(5、7、24、16、4、3)内の流体を加熱するために、前記第1熱交換器(22)に接続された電気ヒータを具備する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記膨張機(7、7')タービンは第1膨張機タービンであり且つ前記圧縮機タービンは第1圧縮機タービンであり、及び
前記第1圧縮機タービンは、該圧縮機タービンを前記第1膨張機(7、7')タービンに同期させて駆動するために、前記第1圧縮機(9、9")タービンに対して機械的に接続される、請求項4乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
該装置は、第2膨張機(7")タービン及び第2圧縮機(9')タービンを夫々備える更なる膨張機(7")及び更なる圧縮機(9')を具備し、前記各第2タービンは、前記第1膨張機(7')タービン及び前記第1圧縮機(9")タービンの回転から独立したそれらの互いに同期した回転のために機械的に接続され、
前記第1膨張機(7')の出口は前記第2膨張機(7")の入口に対する膨張機流体接続(26、27)を有し、及び前記第1圧縮機(9')の出口は前記第2圧縮機(9")の入口に対する圧縮機流体接続(6)を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
作動流体が圧縮機(9")に進入する前に該作動流体を蒸発させる更なる蒸発器(18a)を具備する、請求項9に記載の装置であって、
前記更なる蒸発器(18a)は、前記更なる蒸発器(18a)からの流体を前記第1圧縮機(9')の出口からの流体に加えるために、前記圧縮機流体接続(6)に対する流体接続(14)を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記加熱サイクル部(8、4、22、26、24、13、3、40)は、前記燃料タンク(20)内の液体に対する第1流体接続(8)を、前記膨張機(7')の入口の上流において前記液体タンク(20)内の液体から作動流体を受容するために有する、請求項2乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記加熱サイクル部(8、4、22、26、24、13、3、40)は、前記膨張機(7")の出口の下流における前記液体タンク(20)への第2流体接続(28)であって、作動流体を前記液体タンク(20)内の液体中へ戻し与える第2流体接続(28)を具備し、
前記加熱サイクル部(8、4、22、26、24、13、3、40)は、前記液体タンク(20)の外部に更なる熱交換器(40)を具備し、
前記熱交換器(40)は、一方の側において、前記第2流体接続(28)を介して前記燃料タンク(20)に接続され、及び他方の側において、前記圧縮機(9")の出口からの作動流体から、前記加熱サイクル部(8、4、22、26、24、13、3、40)の作動流体が前記液体タンク(20)に再進入する前に該作動流体に対して熱を伝達するために、前記圧縮機(9")の出口に至る更なる流体接続(29)を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
該装置は、前記膨張機(7")の出口からの作動流体を凝縮するための第1凝縮器(13a)と、前記圧縮機(9")の出口からの作動流体を凝縮するための第2凝縮器(13b)とを含み、
前記更なる熱交換器(40)は、前記第1凝縮器(13a)の下流で且つ前記第2凝縮器(13b)の上流に配備される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記液体タンク(20)に対する流体接続(1a、1b)であって、太陽熱式加熱パネルからの加熱された液体を前記タンク(29)に供給するための流体接続(1a、1b)を備える太陽熱式加熱パネルを前記外部熱源(1)が具備するか、又は
前記液体タンク(20)の内側の熱交換器(32)であって、前記太陽熱式加熱パネルの流体から熱を前記液体タンク(20)内の液体へ伝達するための熱交換器(32)に対する液体接続を前記太陽熱パネルが有する、請求項2乃至13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記外部熱源は、燃焼機関からの余熱、又は燃焼機関からの排気ガスの熱、又は両方を含む、請求項2乃至14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記燃焼機関は、車両の一部としてのモータであると共に、該車両の推進手段に接続されるモータである、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
車両と組み合わされた請求項16に記載の装置であって、
前記膨張機は、発電機を駆動して電力を生成するために前記発電機に接続されたタービンを具備し、
前記発電機は電気モータに対して電気的に接続され、
前記電気モータは、前記発電機により生成された電力により前記推進手段を駆動するために前記推進手段に接続される、装置。
【請求項18】
蒸留水を生成する、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の装置の使用方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−519827(P2013−519827A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553180(P2012−553180)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際出願番号】PCT/DK2011/050045
【国際公開番号】WO2011/100974
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(512213561)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際出願番号】PCT/DK2011/050045
【国際公開番号】WO2011/100974
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(512213561)
【Fターム(参考)】
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