空調システムのための省エネ容量制御
【課題】空調システムの容量(または、能力)をトラックの寝台区画の冷却要求に対して最適化し、エネルギーの消費が最小化される空調システム及びその動作方法を提供する。
【解決手段】空調システム10はトラックの主エンジンが動作していないときにトラックの寝台区画16を冷却するために備えられる。空調システムは可変速コンプレッサー20、可変速凝縮器ファン22、可変速蒸発器送風機24、及び可変速構成要素20,22,24の速度を選択的に調節することによってシステムの冷却容量を寝台区画の冷却要求に対して最適化するように構成されたコントローラー14を含む。
【解決手段】空調システム10はトラックの主エンジンが動作していないときにトラックの寝台区画16を冷却するために備えられる。空調システムは可変速コンプレッサー20、可変速凝縮器ファン22、可変速蒸発器送風機24、及び可変速構成要素20,22,24の速度を選択的に調節することによってシステムの冷却容量を寝台区画の冷却要求に対して最適化するように構成されたコントローラー14を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車の空調システムに関し、特に、大型トラックの寝台運転室または寝台区画のための空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車の空調システム、特に大型のトラックの寝台運転室の空調システムはエンジンによって駆動される空調システムを介して与えられている。しかしながら、大気及び騒音の両方の公害に対する関心は、場合によっては、トラックがそれの寝台運転室の空調を動作させるためにそれのエンジンをアイドリングさせることを許可しない状況を作り出している。公害に対する関心に加え、夜通しのアイドリングの燃料にかかる費用は毎年2,400ドルであり、また、保守にかかる費用は250ドルであると推定されている。大気汚染に対し、一台のトラックの一年間のアイドリングは113キログラムのCO、279キログラムのNOX、及び17トンのCO2を排出すると推定されている。
【0003】
主エンジンのアイドリングの代わりとなり得る候補は以下のものを含む:ディーゼルエンジンが自動推進型のACコンプレッサー及び交流発電機(オルタネーター)DC/ACを回転させ、既存の運転室空調、及び既存の自動車用暖房、換気、及び冷房(HAVC)システムと接続して機能する補助電力装置;ディーゼルエンジンが自動車で使用されるAC電気を供給する発電機を駆動する発電設備(GENSET);トラックサービスエリアが電気を供給する120VのAC電気陸上電力;及び、寝台運転室のHVACシステムによって使用される付加的なバッテリーが自動車に搭載される補助バッテリー。
【0004】
電気駆動式の気密状蒸気圧縮空調(A/C)システムは一般的であるが、自動車にはほとんど使用されていない。この信頼性のある空調供給手段が利用されていない大きな理由は利用可能な電力の不足である。特許文献1等は可変変移コンプレッサーを制御することによって効率を改善することを試みる蒸気圧縮A/Cシステムを開示している。
【0005】
【特許文献1】米国特許6622500号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は空調システムの容量(または、能力)を寝台区画の冷却要求に対して最適化し、エネルギーの消費が最小化された空調システムの動作方法を提供することである。また、本発明のもう1つの目的は空調システムの容量(または、能力)を寝台区画の冷却要求に対して最適化し、エネルギーの消費を最小化することが可能な空調システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの特徴に従うと、トラックの寝台区画のための蒸気圧縮空調システムを動作させるための方法が提供され、前記空調システムは冷却剤の加圧のための可変速コンプレッサー、蒸発器、及び前記蒸発器を通る空気流を方向付けるための可変速送風機を含む。
本発明の方法は:
a)寝台区画の空気の温度を監視すること;
b)蒸発器からの空気流の温度を監視すること;
c)コンプレッサーの冷却剤排出圧力を監視すること;
d)冷却剤の過熱(状態)を監視すること;
e)ステップa、b、及びcの監視に基づいてコンプレッサーの速度を調節すること;及び、
f)ステップdの監視に基づいて送風機の速度を調節することのステップを含む。
【0008】
本発明の1つの特徴として、ステップeは可変速コンプレッサーへの電圧を調節することを含む。本発明の1つの特徴として、ステップfは可変速送風機への電圧を調節することを含む。本発明の1つの特徴に従うと、ステップeは蒸発器からの空気の温度を露点と比較することを含む。
【0009】
本発明の1つの特徴として、ステップeは寝台区画の温度を設定温度と比較することを含む。本発明のもう1つの特徴として、ステップeは蒸発器からの空気の温度を設定温度と比較することをさらに含む。本発明のもう1つの特徴として、ステップeは蒸発器からの空気の温度を露点と比較することをさらに含む。
【0010】
本発明の1つの特徴として、ステップfは冷却剤の過熱(状態)を照合値と比較することを含む。本発明の1つの特徴に従うと、ステップeは排出圧力を照合値を比較することを含む。
本発明の1つの特徴として、方法はさらに:
g)冷却剤の過冷(状態)を監視すること;及び、
h)ステップgの監視に基づいて凝縮器のファンの速度を調節することのステップを含む。
【0011】
本発明の1つの特徴に従うと、トラックの寝台区画を冷却するために使用するための空調システムが提供される。本発明のシステムは:冷却剤流路;冷却剤流路内の冷却剤を加圧するための可変速コンプレッサー;冷却剤流路のコンプレッサーより下流側に配置された凝縮器;冷却剤流路の凝縮器より下流側に配置された蒸発器;寝台区画を冷却するために蒸発器を通して空気流を方向付けるように構成された可変速送風機;寝台区画の空気の温度、蒸発器からの空気流の温度、コンプレッサーの冷却剤排出圧力;及び冷却剤流路内の冷却剤の過熱(状態)を監視するための複数のセンサー;及び、センサー、コンプレッサー、及び送風機に接続されたコントローラーであって、複数のセンサーから受信された信号に基づいてコンプレッサー及び送風機の速度を選択的に調節するように構成されたコントローラーを含む。
【0012】
本発明の1つの特徴として、コントローラーは寝台区画の空気の温度を示す信号に基づいてコンプレッサーの速度を調節するように構成されている。本発明の1つの特徴として、コントローラーは蒸発器から出る空気流の温度を示す信号に基づいてコンプレッサーの速度を調節するように構成されている。
【0013】
本発明の1つの特徴に従うと、コントローラーはコンプレッサーの排出圧力を示す信号に基づいてコンプレッサーの速度を調節するように構成されている。本発明の1つの特徴に従うと、コントローラーは寝台区画の空気の温度、蒸発器から出る空気流の温度、及びコンプレッサーの排出圧力を示す信号に基づいてコンプレッサーの速度を調節するように構成されている。
【0014】
本発明の1つの特徴として、コントローラーは冷却剤の過熱(状態)を示す信号に基づいて送風機の速度を調節するように構成されている。本発明の1つの特徴として、システムは凝縮器を通して空気流を方向付けるために構成された可変速凝縮器ファンをさらに含み、コントローラーは冷却剤の過冷(状態)を示す信号に基づいてファンの速度を調節するように構成されている。
【0015】
本発明の1つの特徴に従うと、トラックの寝台区画のための蒸気圧縮空調システムを動作させるための方法が提供され、前記空調システムは冷却剤の加圧のための可変速コンプレッサー、蒸発器、及び前記蒸発器を通る空気流を方向付けるための可変速送風機を含む。
本発明の方法は:
a)蒸発器からの空気流の温度及びコンプレッサーからの冷却剤の排出圧力に基づいてコンプレッサーの速度を調節すること;及び、
b)冷却剤の過熱(状態)に基づいて送風機の速度を調節することのステップを含む。
【0016】
本発明の1つの特徴として、ステップaは寝台区画の空気の温度に基づいてコンプレッサーの速度を調節することをさらに含む。本発明の1つの特徴として、方法は冷却剤の過冷(状態)に基づいて可変速凝縮器の速度を調節するステップをさらに含む。
【0017】
本発明の1つの特徴に従うと、トラックの寝台区画を冷却するために使用するための空調システムが提供される。本発明のシステムは:冷却剤流路;冷却剤流路内の冷却剤を加圧するための可変速コンプレッサー;冷却剤流路のコンプレッサーより下流側に配置された凝縮器;冷却剤流路の凝縮器より下流側に配置された蒸発器;寝台区画を冷却するために蒸発器を通して空気流を方向付けるように構成された可変速送風機;蒸発器からの空気流の温度、コンプレッサーからの冷却剤の排出圧力、及び冷却剤の過熱(状態)を示す信号に基づいてコンプレッサー及び送風機の速度を選択的に調節するように構成されているコントローラーを備える。
【0018】
本発明の1つの特徴として、システムは凝縮器を通して空気流を方向付けるために構成された可変速凝縮器ファンをさらに含み、コントローラーは冷却剤の過冷(状態)を示す信号に基づいてファンの速度を調節するように構成されている。
【0019】
本発明の他の目的、特徴、及び長所は以下の詳細な説明、請求の範囲、及び図面から明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1及び2に示されているように、本発明は電気駆動式の気密状蒸気圧縮空調A/Cシステム10を提供する。本発明の気密状蒸気圧縮空調A/Cシステム10は冷却出力を効果的に冷却要求に一致させる電子制御機構またはコントローラー14を利用することによって、主エンジンを動作させずに、自動車12内の快適な温度を維持するだろう。
【0021】
典型的なクラスHの寝台運転室16に対する冷却要求を決定するために寝台運転室16に対して風洞試験及びいくつかの付加的なコンピューター計算を実施した。この結果は図3に示されている。好まれるものとして、本発明に従ったシステム10はA/Cシステム10を最も効率の良い様式で動作させるために冷却出力を冷却要求に正確に一致させる、または一致されることを試みる。
【0022】
システム10は電力消費を最小に抑えながら必要に応じた冷却容量(または、冷却能力)を供給するために制御することができる選択された空調構成要素及びセンサーを備える。好まれるものとして、システム10はコンプレッサー20、コンプレッサーコントローラー21、凝縮器ファン22、及び蒸発器送風機24を含み、それらの全ては連続的な可変速度で動作する。システム10はさらに、好まれるものとして、凝縮器26、拡張弁、温度自動調節拡張弁、オリフィス管、及び好まれるものとして電子制御式拡張弁等の減圧装置28、並びに蒸発器30を含み、それらの全てはコンプレッサー20とともに冷却剤流路32で直列に接続される。図1には制御操作を決定するために使用される複数のセンサーが示されており、それらはコンプレッサーの排出温度T1及びコンプレッサーの排出圧力P1を監視するためのセンサー34及び36、コンプレッサーの吸入温度T2及びコンプレッサーの吸入圧力P2を監視するためのセンサー38及び40、拡張弁入口温度T3を監視するためのセンサー42、拡張弁出口温度T4を監視するためのセンサー44、蒸発器空気出口温度T5を監視するためのセンサー46、及び好まれるものとして自動車の寝台区画の内部温度である自動車内部温度T6を監視するためのセンサー47を含む。
【0023】
図1にはまた、周囲の乾球温度計及び周囲の相対湿度を監視するためのセンサー48及び49が示されている。図1にはまた、オペレータ制御部50が示されており、それは上述のセンサーと同様にコントローラー14に接続されている。コントローラー14は好まれるものとして、後で説明する制御アルゴリズムを有するプリント回路板を含む。好まれるものとして、図2に示されているように、システム10は非アイドリングモードのときにバッテリーパック52によって電力供給され、アイドリングモードのときに自動車交流発電機54、バッテリー56、及び充電器/変換器58によって電力供給される。好まれるものとして、充電器/変換器58はユニット及び補助バッテリーの充電のために120ボルトACを24ボルトDCに変換する。
【0024】
図2に示されているように、システムコントローラー14が好まれるものとして、12ボルトDCで動作するのに対し、可変速コンプレッサー20、凝縮器ファン22、及び蒸発器送風機24は24ボルトDCで動作する。さらに、図示されていないが、電子制御式拡張弁28がコンプレッサー20、凝縮器ファン22、及び蒸発器送風機24と同様な様式で電子制御機構に接続されてもよい。
【0025】
図4は電子コントローラーによって使用されるシステムアルゴリズム図を示している。ここで、示されている多様な照合パラメーターの値が特定のシステムに対する現時点での最適な予想値であり、他の特定の用途に対するシステム及び制御機構を最適化するためにこれらの値が変化されてもよいことは理解されなければならない。したがって、寝台温度及び蒸発器出力温度に対する設定温度への調節のための値、蒸発器出力温度対露点比較に対する露点への調節のための値、コンプレッサー排出圧力(P1)に対する照合圧力値、過冷(SC)に対する照合値、及び過熱(SH)に対する照合値が全て、特定のシステムに関連した特定の構成要素及びパラメーターに依存して特定のシステムを最適化するために調節されてもよいことは理解されなければならない。
【0026】
図4に示されているように、コントローラー14は寝台区画16内の空気の温度、蒸発器30から出力される空気流の温度、コンプレッサー20の排出圧力P1、冷却剤の過冷(状態)、及び冷却剤の過熱(状態)に依存してコンプレッサー20、ファン22、及び送風機24の速度を変化させるように構成されている。さらに詳細に述べると、コントローラーは好まれるものとして、設定温度と比較したときの寝台の温度、設定温度と比較したときの蒸発器30からの空気流の温度、露点と比較したときの蒸発器30からの空気流の温度、照合圧力と比較したときのコンプレッサー20からの排出圧力P1に基づいて、コンプレッサー20への電圧の増大または減少を介してコンプレッサー20の速度を調節する。コントローラー14はまた、照合値と比較したときの冷却剤の過熱に基づいて、送風機24への電圧の増大または減少を介して送風機24の速度を調節し、照合値と比較したときの冷却剤の過冷に基づいて、ファン22への電圧の増大または減少を介してファン22の速度を調節する。
【0027】
ここで、特定のシステム構成要素の制御が電力消費の最小化の目的のために(他のシステム構成要素よりの制御よりも)重要であることは理解されなければならない。例えば、コンプレッサーの電圧の制御は電力消費に対して最も重要な影響を有し、送風機の電圧の制御はその次に重要であり、さらに、ファンの電圧の制御はその次に重要であるだろう。この点に関して述べると、いくつかのシステムにおいては、例えば、ファンの電圧の制御等の、優先的でない構成要素を制御しないことが望まれてもよい。そのような場合、アルゴリズムは単に、過冷(SC)の照合、及びファンの電圧を増大または減少させるための関連する命令を排除することによって変更されてもよい。
【0028】
本発明に従って構築及び制御されるシステムは試験台自動車に設置され、その特性は風洞内で試験された。図5に示されているように、試験自動車はクラス8の重いトラックであり、壁内に断熱材を有さず、2.0メートルの運転室の幅、2.4メートルの寝台の幅、0.63平方メートルのフロントガラス領域、0.31平方メートルの寝台の窓、及び1.8メートル長×2.0メートル幅×3.0メートル高の寝台車体を有していた。試験ユニットは連続的に可変なコンプレッサー20、凝縮器ファン22、及び蒸発器送風機24を含んでいた。また、電子制御式拡張弁ではなく、手動制御式拡張弁28を使用した。試験システム10は61cm幅×61cm高×41cm深のモジュールとして構築され、寝台ベッドの下側に設置された。システム構成要素の重量は図7に示されている。
【0029】
図3には、少なくとも部分的に、試験自動車の風洞試験によって生成された自動車冷却負荷要求が示されており、エンジンのアイドリングの終了後の夜通しの冷却に対する結果が図6に示されている。冷却要求のピークは非アイドリングの初期の時期中に運転室及び寝台の内部を加熱する(エンジンオイルの温度及びラジエーターのタンク上部の温度によって表されている)エンジンの熱の結果によるものである。この試験の結果はコンピューターモデルシミュレーションに組み込まれ、それによりシミュレーション結果と試験結果の間の正確な比較が生成された。
【0030】
予備的な試験は要求される冷却容量(または、冷却能力)が最小の電気入力によって達成されたことを示した。この試験は外部の周囲の気温が32°C/90°Fの状態で寝台区画を21°C/70°Fの温度でほぼ8時間維持する能力を示し、8時間の期間にわたって2500ワット(電気)を必要とした。中間設定の第1の生成ユニットは12ボルトDC100アンペア時バッテリーを使用し、6時間の電力(2000ワット電気)を生成した。中間設定の第2の生成ユニットは12ボルトDC125アンペア時バッテリーを使用し、ほぼ8時間の運転を生成した。
【0031】
付加的な電圧及び精錬された(または、精密な)制御機構及び冷却剤成分により、延長された寿命を達成することができるだろう。図8は30°C(90°F)の周囲の外気温度及び40%の相対湿度における非アイドリングHVACモジュールの夜通しの動作の試験結果を示しているグラフである。
【0032】
図9及び10はこのシステムに対する最も効果的な動作点の決定のためになされた初期の試験の結果を示している。さらに、図11は容量に対するコンプレッサーの圧縮比の影響を示しており、図12は圧力比とアンペア、過熱、コンプレッサー20の吸入圧力、及びコンプレッサー20の排出圧力とのを関係付けている表であり、より良好なバッテリー寿命を達成するためのシステム10の制御方法に対する指標を与える。
【0033】
上述及び他の試験の結果は無数に可変なコンプレッサー20及び無数に可変なファン22及び送風機のモーター24とともに、システム10が現在の製造構成要素によるものよりも効果的に動作することができることを示している。
【0034】
本発明の長所は制御可能な構成要素の適当な選択、及び電力消費を最小にするためにシステムの出力を要求に効果的に一致させる制御を含む。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】トラックの寝台運転室または寝台区画を冷却するために使用するための、本発明を具現化している空調システムのブロック図である。
【図2】図1のシステムのための電気制御の概略図である。
【図3】図1のシステムを使用することができるトラックの寝台区画の比アイドリング冷却要求を図示しているグラフである。
【図4a】図1のシステムのための制御アルゴリズム(前半)である。
【図4b】図1のシステムのための制御アルゴリズム(後半)である。
【図5】図1のシステムを使用することができるトラックの側面図である。
【図6】特定の非アイドリング状態中の図5のトラックに関連した特定の温度を示しているグラフである。
【図7】本発明に従って構築された試験システムの重量を示している表である。
【図8】本発明を具現化している試験システムの試験結果を示しているグラフである。
【図9】本発明を具現化しているシステムに対する入力ワット数及び冷却ワット数vs凝縮器の周囲の温度のグラフである。
【図10】本発明を具現化しているシステムに対する入力ワット数及び冷却ワット数vs凝縮器の周囲の温度のグラフである。
【図11】本発明を具現化しているシステムに対する冷却能力vs圧縮比のグラフである。
【図12】本発明を具現化しているシステムの特定のシステムパラメーターを比較している表である。
【符号の説明】
【0036】
10 本発明の空調システム
12 自動車
14 システムコントローラー
16 寝台区画
20 可変速コンプレッサー
21 コンプレッサーコントローラー
22 可変速凝縮器ファン
24 可変速蒸発器送風機
26 凝縮器
28 拡張弁
30 蒸発器
32 冷却剤流路
34−49 センサー
50 オペレータ制御部
52 バッテリーパック
54 自動車交流発電機
56 バッテリー
58 充電器/変換器
P1 コンプレッサー排出圧力
P2 コンプレッサー吸入圧力
T1 コンプレッサー排出温度
T2 コンプレッサー吸入温度
T3 拡張弁入口温度
T4 拡張弁出口温度
T5 蒸発器空気出口温度
T6 自動車内部温度
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車の空調システムに関し、特に、大型トラックの寝台運転室または寝台区画のための空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車の空調システム、特に大型のトラックの寝台運転室の空調システムはエンジンによって駆動される空調システムを介して与えられている。しかしながら、大気及び騒音の両方の公害に対する関心は、場合によっては、トラックがそれの寝台運転室の空調を動作させるためにそれのエンジンをアイドリングさせることを許可しない状況を作り出している。公害に対する関心に加え、夜通しのアイドリングの燃料にかかる費用は毎年2,400ドルであり、また、保守にかかる費用は250ドルであると推定されている。大気汚染に対し、一台のトラックの一年間のアイドリングは113キログラムのCO、279キログラムのNOX、及び17トンのCO2を排出すると推定されている。
【0003】
主エンジンのアイドリングの代わりとなり得る候補は以下のものを含む:ディーゼルエンジンが自動推進型のACコンプレッサー及び交流発電機(オルタネーター)DC/ACを回転させ、既存の運転室空調、及び既存の自動車用暖房、換気、及び冷房(HAVC)システムと接続して機能する補助電力装置;ディーゼルエンジンが自動車で使用されるAC電気を供給する発電機を駆動する発電設備(GENSET);トラックサービスエリアが電気を供給する120VのAC電気陸上電力;及び、寝台運転室のHVACシステムによって使用される付加的なバッテリーが自動車に搭載される補助バッテリー。
【0004】
電気駆動式の気密状蒸気圧縮空調(A/C)システムは一般的であるが、自動車にはほとんど使用されていない。この信頼性のある空調供給手段が利用されていない大きな理由は利用可能な電力の不足である。特許文献1等は可変変移コンプレッサーを制御することによって効率を改善することを試みる蒸気圧縮A/Cシステムを開示している。
【0005】
【特許文献1】米国特許6622500号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は空調システムの容量(または、能力)を寝台区画の冷却要求に対して最適化し、エネルギーの消費が最小化された空調システムの動作方法を提供することである。また、本発明のもう1つの目的は空調システムの容量(または、能力)を寝台区画の冷却要求に対して最適化し、エネルギーの消費を最小化することが可能な空調システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの特徴に従うと、トラックの寝台区画のための蒸気圧縮空調システムを動作させるための方法が提供され、前記空調システムは冷却剤の加圧のための可変速コンプレッサー、蒸発器、及び前記蒸発器を通る空気流を方向付けるための可変速送風機を含む。
本発明の方法は:
a)寝台区画の空気の温度を監視すること;
b)蒸発器からの空気流の温度を監視すること;
c)コンプレッサーの冷却剤排出圧力を監視すること;
d)冷却剤の過熱(状態)を監視すること;
e)ステップa、b、及びcの監視に基づいてコンプレッサーの速度を調節すること;及び、
f)ステップdの監視に基づいて送風機の速度を調節することのステップを含む。
【0008】
本発明の1つの特徴として、ステップeは可変速コンプレッサーへの電圧を調節することを含む。本発明の1つの特徴として、ステップfは可変速送風機への電圧を調節することを含む。本発明の1つの特徴に従うと、ステップeは蒸発器からの空気の温度を露点と比較することを含む。
【0009】
本発明の1つの特徴として、ステップeは寝台区画の温度を設定温度と比較することを含む。本発明のもう1つの特徴として、ステップeは蒸発器からの空気の温度を設定温度と比較することをさらに含む。本発明のもう1つの特徴として、ステップeは蒸発器からの空気の温度を露点と比較することをさらに含む。
【0010】
本発明の1つの特徴として、ステップfは冷却剤の過熱(状態)を照合値と比較することを含む。本発明の1つの特徴に従うと、ステップeは排出圧力を照合値を比較することを含む。
本発明の1つの特徴として、方法はさらに:
g)冷却剤の過冷(状態)を監視すること;及び、
h)ステップgの監視に基づいて凝縮器のファンの速度を調節することのステップを含む。
【0011】
本発明の1つの特徴に従うと、トラックの寝台区画を冷却するために使用するための空調システムが提供される。本発明のシステムは:冷却剤流路;冷却剤流路内の冷却剤を加圧するための可変速コンプレッサー;冷却剤流路のコンプレッサーより下流側に配置された凝縮器;冷却剤流路の凝縮器より下流側に配置された蒸発器;寝台区画を冷却するために蒸発器を通して空気流を方向付けるように構成された可変速送風機;寝台区画の空気の温度、蒸発器からの空気流の温度、コンプレッサーの冷却剤排出圧力;及び冷却剤流路内の冷却剤の過熱(状態)を監視するための複数のセンサー;及び、センサー、コンプレッサー、及び送風機に接続されたコントローラーであって、複数のセンサーから受信された信号に基づいてコンプレッサー及び送風機の速度を選択的に調節するように構成されたコントローラーを含む。
【0012】
本発明の1つの特徴として、コントローラーは寝台区画の空気の温度を示す信号に基づいてコンプレッサーの速度を調節するように構成されている。本発明の1つの特徴として、コントローラーは蒸発器から出る空気流の温度を示す信号に基づいてコンプレッサーの速度を調節するように構成されている。
【0013】
本発明の1つの特徴に従うと、コントローラーはコンプレッサーの排出圧力を示す信号に基づいてコンプレッサーの速度を調節するように構成されている。本発明の1つの特徴に従うと、コントローラーは寝台区画の空気の温度、蒸発器から出る空気流の温度、及びコンプレッサーの排出圧力を示す信号に基づいてコンプレッサーの速度を調節するように構成されている。
【0014】
本発明の1つの特徴として、コントローラーは冷却剤の過熱(状態)を示す信号に基づいて送風機の速度を調節するように構成されている。本発明の1つの特徴として、システムは凝縮器を通して空気流を方向付けるために構成された可変速凝縮器ファンをさらに含み、コントローラーは冷却剤の過冷(状態)を示す信号に基づいてファンの速度を調節するように構成されている。
【0015】
本発明の1つの特徴に従うと、トラックの寝台区画のための蒸気圧縮空調システムを動作させるための方法が提供され、前記空調システムは冷却剤の加圧のための可変速コンプレッサー、蒸発器、及び前記蒸発器を通る空気流を方向付けるための可変速送風機を含む。
本発明の方法は:
a)蒸発器からの空気流の温度及びコンプレッサーからの冷却剤の排出圧力に基づいてコンプレッサーの速度を調節すること;及び、
b)冷却剤の過熱(状態)に基づいて送風機の速度を調節することのステップを含む。
【0016】
本発明の1つの特徴として、ステップaは寝台区画の空気の温度に基づいてコンプレッサーの速度を調節することをさらに含む。本発明の1つの特徴として、方法は冷却剤の過冷(状態)に基づいて可変速凝縮器の速度を調節するステップをさらに含む。
【0017】
本発明の1つの特徴に従うと、トラックの寝台区画を冷却するために使用するための空調システムが提供される。本発明のシステムは:冷却剤流路;冷却剤流路内の冷却剤を加圧するための可変速コンプレッサー;冷却剤流路のコンプレッサーより下流側に配置された凝縮器;冷却剤流路の凝縮器より下流側に配置された蒸発器;寝台区画を冷却するために蒸発器を通して空気流を方向付けるように構成された可変速送風機;蒸発器からの空気流の温度、コンプレッサーからの冷却剤の排出圧力、及び冷却剤の過熱(状態)を示す信号に基づいてコンプレッサー及び送風機の速度を選択的に調節するように構成されているコントローラーを備える。
【0018】
本発明の1つの特徴として、システムは凝縮器を通して空気流を方向付けるために構成された可変速凝縮器ファンをさらに含み、コントローラーは冷却剤の過冷(状態)を示す信号に基づいてファンの速度を調節するように構成されている。
【0019】
本発明の他の目的、特徴、及び長所は以下の詳細な説明、請求の範囲、及び図面から明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1及び2に示されているように、本発明は電気駆動式の気密状蒸気圧縮空調A/Cシステム10を提供する。本発明の気密状蒸気圧縮空調A/Cシステム10は冷却出力を効果的に冷却要求に一致させる電子制御機構またはコントローラー14を利用することによって、主エンジンを動作させずに、自動車12内の快適な温度を維持するだろう。
【0021】
典型的なクラスHの寝台運転室16に対する冷却要求を決定するために寝台運転室16に対して風洞試験及びいくつかの付加的なコンピューター計算を実施した。この結果は図3に示されている。好まれるものとして、本発明に従ったシステム10はA/Cシステム10を最も効率の良い様式で動作させるために冷却出力を冷却要求に正確に一致させる、または一致されることを試みる。
【0022】
システム10は電力消費を最小に抑えながら必要に応じた冷却容量(または、冷却能力)を供給するために制御することができる選択された空調構成要素及びセンサーを備える。好まれるものとして、システム10はコンプレッサー20、コンプレッサーコントローラー21、凝縮器ファン22、及び蒸発器送風機24を含み、それらの全ては連続的な可変速度で動作する。システム10はさらに、好まれるものとして、凝縮器26、拡張弁、温度自動調節拡張弁、オリフィス管、及び好まれるものとして電子制御式拡張弁等の減圧装置28、並びに蒸発器30を含み、それらの全てはコンプレッサー20とともに冷却剤流路32で直列に接続される。図1には制御操作を決定するために使用される複数のセンサーが示されており、それらはコンプレッサーの排出温度T1及びコンプレッサーの排出圧力P1を監視するためのセンサー34及び36、コンプレッサーの吸入温度T2及びコンプレッサーの吸入圧力P2を監視するためのセンサー38及び40、拡張弁入口温度T3を監視するためのセンサー42、拡張弁出口温度T4を監視するためのセンサー44、蒸発器空気出口温度T5を監視するためのセンサー46、及び好まれるものとして自動車の寝台区画の内部温度である自動車内部温度T6を監視するためのセンサー47を含む。
【0023】
図1にはまた、周囲の乾球温度計及び周囲の相対湿度を監視するためのセンサー48及び49が示されている。図1にはまた、オペレータ制御部50が示されており、それは上述のセンサーと同様にコントローラー14に接続されている。コントローラー14は好まれるものとして、後で説明する制御アルゴリズムを有するプリント回路板を含む。好まれるものとして、図2に示されているように、システム10は非アイドリングモードのときにバッテリーパック52によって電力供給され、アイドリングモードのときに自動車交流発電機54、バッテリー56、及び充電器/変換器58によって電力供給される。好まれるものとして、充電器/変換器58はユニット及び補助バッテリーの充電のために120ボルトACを24ボルトDCに変換する。
【0024】
図2に示されているように、システムコントローラー14が好まれるものとして、12ボルトDCで動作するのに対し、可変速コンプレッサー20、凝縮器ファン22、及び蒸発器送風機24は24ボルトDCで動作する。さらに、図示されていないが、電子制御式拡張弁28がコンプレッサー20、凝縮器ファン22、及び蒸発器送風機24と同様な様式で電子制御機構に接続されてもよい。
【0025】
図4は電子コントローラーによって使用されるシステムアルゴリズム図を示している。ここで、示されている多様な照合パラメーターの値が特定のシステムに対する現時点での最適な予想値であり、他の特定の用途に対するシステム及び制御機構を最適化するためにこれらの値が変化されてもよいことは理解されなければならない。したがって、寝台温度及び蒸発器出力温度に対する設定温度への調節のための値、蒸発器出力温度対露点比較に対する露点への調節のための値、コンプレッサー排出圧力(P1)に対する照合圧力値、過冷(SC)に対する照合値、及び過熱(SH)に対する照合値が全て、特定のシステムに関連した特定の構成要素及びパラメーターに依存して特定のシステムを最適化するために調節されてもよいことは理解されなければならない。
【0026】
図4に示されているように、コントローラー14は寝台区画16内の空気の温度、蒸発器30から出力される空気流の温度、コンプレッサー20の排出圧力P1、冷却剤の過冷(状態)、及び冷却剤の過熱(状態)に依存してコンプレッサー20、ファン22、及び送風機24の速度を変化させるように構成されている。さらに詳細に述べると、コントローラーは好まれるものとして、設定温度と比較したときの寝台の温度、設定温度と比較したときの蒸発器30からの空気流の温度、露点と比較したときの蒸発器30からの空気流の温度、照合圧力と比較したときのコンプレッサー20からの排出圧力P1に基づいて、コンプレッサー20への電圧の増大または減少を介してコンプレッサー20の速度を調節する。コントローラー14はまた、照合値と比較したときの冷却剤の過熱に基づいて、送風機24への電圧の増大または減少を介して送風機24の速度を調節し、照合値と比較したときの冷却剤の過冷に基づいて、ファン22への電圧の増大または減少を介してファン22の速度を調節する。
【0027】
ここで、特定のシステム構成要素の制御が電力消費の最小化の目的のために(他のシステム構成要素よりの制御よりも)重要であることは理解されなければならない。例えば、コンプレッサーの電圧の制御は電力消費に対して最も重要な影響を有し、送風機の電圧の制御はその次に重要であり、さらに、ファンの電圧の制御はその次に重要であるだろう。この点に関して述べると、いくつかのシステムにおいては、例えば、ファンの電圧の制御等の、優先的でない構成要素を制御しないことが望まれてもよい。そのような場合、アルゴリズムは単に、過冷(SC)の照合、及びファンの電圧を増大または減少させるための関連する命令を排除することによって変更されてもよい。
【0028】
本発明に従って構築及び制御されるシステムは試験台自動車に設置され、その特性は風洞内で試験された。図5に示されているように、試験自動車はクラス8の重いトラックであり、壁内に断熱材を有さず、2.0メートルの運転室の幅、2.4メートルの寝台の幅、0.63平方メートルのフロントガラス領域、0.31平方メートルの寝台の窓、及び1.8メートル長×2.0メートル幅×3.0メートル高の寝台車体を有していた。試験ユニットは連続的に可変なコンプレッサー20、凝縮器ファン22、及び蒸発器送風機24を含んでいた。また、電子制御式拡張弁ではなく、手動制御式拡張弁28を使用した。試験システム10は61cm幅×61cm高×41cm深のモジュールとして構築され、寝台ベッドの下側に設置された。システム構成要素の重量は図7に示されている。
【0029】
図3には、少なくとも部分的に、試験自動車の風洞試験によって生成された自動車冷却負荷要求が示されており、エンジンのアイドリングの終了後の夜通しの冷却に対する結果が図6に示されている。冷却要求のピークは非アイドリングの初期の時期中に運転室及び寝台の内部を加熱する(エンジンオイルの温度及びラジエーターのタンク上部の温度によって表されている)エンジンの熱の結果によるものである。この試験の結果はコンピューターモデルシミュレーションに組み込まれ、それによりシミュレーション結果と試験結果の間の正確な比較が生成された。
【0030】
予備的な試験は要求される冷却容量(または、冷却能力)が最小の電気入力によって達成されたことを示した。この試験は外部の周囲の気温が32°C/90°Fの状態で寝台区画を21°C/70°Fの温度でほぼ8時間維持する能力を示し、8時間の期間にわたって2500ワット(電気)を必要とした。中間設定の第1の生成ユニットは12ボルトDC100アンペア時バッテリーを使用し、6時間の電力(2000ワット電気)を生成した。中間設定の第2の生成ユニットは12ボルトDC125アンペア時バッテリーを使用し、ほぼ8時間の運転を生成した。
【0031】
付加的な電圧及び精錬された(または、精密な)制御機構及び冷却剤成分により、延長された寿命を達成することができるだろう。図8は30°C(90°F)の周囲の外気温度及び40%の相対湿度における非アイドリングHVACモジュールの夜通しの動作の試験結果を示しているグラフである。
【0032】
図9及び10はこのシステムに対する最も効果的な動作点の決定のためになされた初期の試験の結果を示している。さらに、図11は容量に対するコンプレッサーの圧縮比の影響を示しており、図12は圧力比とアンペア、過熱、コンプレッサー20の吸入圧力、及びコンプレッサー20の排出圧力とのを関係付けている表であり、より良好なバッテリー寿命を達成するためのシステム10の制御方法に対する指標を与える。
【0033】
上述及び他の試験の結果は無数に可変なコンプレッサー20及び無数に可変なファン22及び送風機のモーター24とともに、システム10が現在の製造構成要素によるものよりも効果的に動作することができることを示している。
【0034】
本発明の長所は制御可能な構成要素の適当な選択、及び電力消費を最小にするためにシステムの出力を要求に効果的に一致させる制御を含む。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】トラックの寝台運転室または寝台区画を冷却するために使用するための、本発明を具現化している空調システムのブロック図である。
【図2】図1のシステムのための電気制御の概略図である。
【図3】図1のシステムを使用することができるトラックの寝台区画の比アイドリング冷却要求を図示しているグラフである。
【図4a】図1のシステムのための制御アルゴリズム(前半)である。
【図4b】図1のシステムのための制御アルゴリズム(後半)である。
【図5】図1のシステムを使用することができるトラックの側面図である。
【図6】特定の非アイドリング状態中の図5のトラックに関連した特定の温度を示しているグラフである。
【図7】本発明に従って構築された試験システムの重量を示している表である。
【図8】本発明を具現化している試験システムの試験結果を示しているグラフである。
【図9】本発明を具現化しているシステムに対する入力ワット数及び冷却ワット数vs凝縮器の周囲の温度のグラフである。
【図10】本発明を具現化しているシステムに対する入力ワット数及び冷却ワット数vs凝縮器の周囲の温度のグラフである。
【図11】本発明を具現化しているシステムに対する冷却能力vs圧縮比のグラフである。
【図12】本発明を具現化しているシステムの特定のシステムパラメーターを比較している表である。
【符号の説明】
【0036】
10 本発明の空調システム
12 自動車
14 システムコントローラー
16 寝台区画
20 可変速コンプレッサー
21 コンプレッサーコントローラー
22 可変速凝縮器ファン
24 可変速蒸発器送風機
26 凝縮器
28 拡張弁
30 蒸発器
32 冷却剤流路
34−49 センサー
50 オペレータ制御部
52 バッテリーパック
54 自動車交流発電機
56 バッテリー
58 充電器/変換器
P1 コンプレッサー排出圧力
P2 コンプレッサー吸入圧力
T1 コンプレッサー排出温度
T2 コンプレッサー吸入温度
T3 拡張弁入口温度
T4 拡張弁出口温度
T5 蒸発器空気出口温度
T6 自動車内部温度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックの寝台区画のための蒸気圧縮空調システムを動作させるための方法であって、前記空調システムは冷却剤の加圧のための可変速コンプレッサー、蒸発器、及び前記蒸発器を通る空気流を方向付けるための可変速送風機を含み:
a)前記寝台区画の空気の温度を監視すること;
b)前記蒸発器からの空気流の温度を監視すること;
c)前記コンプレッサーの冷却剤排出圧力を監視すること;
d)冷却剤の過熱を監視すること;
e)ステップa、b、及びcの監視に基づいて前記コンプレッサーの速度を調節すること;及び、
f)ステップdの監視に基づいて前記送風機の速度を調節することのステップを含む方法。
【請求項2】
ステップeが可変速コンプレッサーへの電圧を調節することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップfが可変速送風機への電圧を調節することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップeが前記蒸発器からの空気の温度を露点と比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップeが前記寝台区画の温度を設定温度と比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップeが前記蒸発器からの空気の温度を設定温度と比較することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップeが前記蒸発器からの空気の温度を露点と比較することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップfが冷却剤の過冷を照合値と比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステップeが排出圧力を照合値と比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
g)冷却剤の過冷を監視すること;及び、
h)ステップgの監視に基づいて凝縮器ファンの速度を調節することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
トラックの寝台区画を冷却するために使用するための空調システムであって:
冷却剤流路;
前記冷却剤流路内の冷却剤を加圧するための可変速コンプレッサー;
前記冷却剤流路の前記コンプレッサーより下流側に配置された凝縮器;
前記冷却剤流路の前記凝縮器より下流側に配置された蒸発器;
前記寝台区画を冷却するために前記蒸発器を通して空気流を方向付けるように構成された可変速送風機;
前記寝台区画の空気の温度、前記蒸発器からの空気流の温度、前記コンプレッサーの冷却剤排出圧力;及び前記冷却剤流路内の冷却剤の過熱を監視するための複数のセンサー;及び、
前記センサー、前記コンプレッサー、及び前記送風機に接続されたコントローラーであって、複数の前記センサーから受信された信号に基づいて前記コンプレッサー及び前記送風機の速度を選択的に調節するように構成されたコントローラーを備えるシステム。
【請求項12】
前記コントローラーが前記寝台区画の空気の温度を示す信号に基づいて前記コンプレッサーの速度を調節するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラーが前記蒸発器から出る空気流の温度を示す信号に基づいて前記コンプレッサーの速度を調節するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラーが前記コンプレッサーの排出圧力を示す信号に基づいて前記コンプレッサーの速度を調節するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラーが前記寝台区画の空気の温度、前記蒸発器から出る空気流の温度、及び前記コンプレッサーの排出圧力を示す信号に基づいて前記コンプレッサーの速度を調節するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラーが冷却剤の過熱を示す信号に基づいて前記送風機の速度を調節するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記凝縮器を通して空気流を方向付けるために構成された可変速凝縮器ファンをさらに備え、前記コントローラーが冷却剤の過冷を示す信号に基づいて前記ファンの速度を調節するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
トラックの寝台区画のための蒸気圧縮空調システムを動作させるための方法であって、前記空調システムは冷却剤の加圧のための可変速コンプレッサー、蒸発器、及び前記蒸発器を通る空気流を方向付けるための可変速送風機を備え:
a)前記蒸発器からの空気流の温度及び前記コンプレッサーからの冷却剤の排出圧力に基づいて前記コンプレッサーの速度を調節すること;及び、
b)冷却剤の過熱に基づいて前記送風機の速度を調節することのステップを含む方法。
【請求項19】
ステップfが前記寝台区画の空気の温度に基づいて前記コンプレッサーの速度を調節することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
冷却剤の過冷に基づいて前記可変速凝縮器の速度を調節するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
トラックの寝台区画を冷却するために使用するための空調システムであって:
冷却剤流路;
前記冷却剤流路内の冷却剤を加圧するための可変速コンプレッサー;
前記冷却剤流路の前記コンプレッサーより下流側に配置された凝縮器;
前記冷却剤流路の前記凝縮器より下流側に配置された蒸発器;
前記寝台区画を冷却するために前記蒸発器を通して空気流を方向付けるように構成された可変速送風機;及び、
前記蒸発器からの空気流の温度、前記コンプレッサーからの冷却剤の排出圧力、及び冷却剤の過熱を示す信号に基づいて前記コンプレッサー及び前記送風機の速度を選択的に調節するように構成されているコントローラーを備えるシステム。
【請求項22】
前記凝縮器を通して空気流を方向付けるために構成された可変速ファンをさらに備え、前記コントローラーが冷却剤の過冷を示す信号に基づいて前記ファンの速度を調節するように構成されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項1】
トラックの寝台区画のための蒸気圧縮空調システムを動作させるための方法であって、前記空調システムは冷却剤の加圧のための可変速コンプレッサー、蒸発器、及び前記蒸発器を通る空気流を方向付けるための可変速送風機を含み:
a)前記寝台区画の空気の温度を監視すること;
b)前記蒸発器からの空気流の温度を監視すること;
c)前記コンプレッサーの冷却剤排出圧力を監視すること;
d)冷却剤の過熱を監視すること;
e)ステップa、b、及びcの監視に基づいて前記コンプレッサーの速度を調節すること;及び、
f)ステップdの監視に基づいて前記送風機の速度を調節することのステップを含む方法。
【請求項2】
ステップeが可変速コンプレッサーへの電圧を調節することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップfが可変速送風機への電圧を調節することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップeが前記蒸発器からの空気の温度を露点と比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップeが前記寝台区画の温度を設定温度と比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップeが前記蒸発器からの空気の温度を設定温度と比較することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップeが前記蒸発器からの空気の温度を露点と比較することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップfが冷却剤の過冷を照合値と比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステップeが排出圧力を照合値と比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
g)冷却剤の過冷を監視すること;及び、
h)ステップgの監視に基づいて凝縮器ファンの速度を調節することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
トラックの寝台区画を冷却するために使用するための空調システムであって:
冷却剤流路;
前記冷却剤流路内の冷却剤を加圧するための可変速コンプレッサー;
前記冷却剤流路の前記コンプレッサーより下流側に配置された凝縮器;
前記冷却剤流路の前記凝縮器より下流側に配置された蒸発器;
前記寝台区画を冷却するために前記蒸発器を通して空気流を方向付けるように構成された可変速送風機;
前記寝台区画の空気の温度、前記蒸発器からの空気流の温度、前記コンプレッサーの冷却剤排出圧力;及び前記冷却剤流路内の冷却剤の過熱を監視するための複数のセンサー;及び、
前記センサー、前記コンプレッサー、及び前記送風機に接続されたコントローラーであって、複数の前記センサーから受信された信号に基づいて前記コンプレッサー及び前記送風機の速度を選択的に調節するように構成されたコントローラーを備えるシステム。
【請求項12】
前記コントローラーが前記寝台区画の空気の温度を示す信号に基づいて前記コンプレッサーの速度を調節するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラーが前記蒸発器から出る空気流の温度を示す信号に基づいて前記コンプレッサーの速度を調節するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラーが前記コンプレッサーの排出圧力を示す信号に基づいて前記コンプレッサーの速度を調節するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラーが前記寝台区画の空気の温度、前記蒸発器から出る空気流の温度、及び前記コンプレッサーの排出圧力を示す信号に基づいて前記コンプレッサーの速度を調節するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラーが冷却剤の過熱を示す信号に基づいて前記送風機の速度を調節するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記凝縮器を通して空気流を方向付けるために構成された可変速凝縮器ファンをさらに備え、前記コントローラーが冷却剤の過冷を示す信号に基づいて前記ファンの速度を調節するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
トラックの寝台区画のための蒸気圧縮空調システムを動作させるための方法であって、前記空調システムは冷却剤の加圧のための可変速コンプレッサー、蒸発器、及び前記蒸発器を通る空気流を方向付けるための可変速送風機を備え:
a)前記蒸発器からの空気流の温度及び前記コンプレッサーからの冷却剤の排出圧力に基づいて前記コンプレッサーの速度を調節すること;及び、
b)冷却剤の過熱に基づいて前記送風機の速度を調節することのステップを含む方法。
【請求項19】
ステップfが前記寝台区画の空気の温度に基づいて前記コンプレッサーの速度を調節することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
冷却剤の過冷に基づいて前記可変速凝縮器の速度を調節するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
トラックの寝台区画を冷却するために使用するための空調システムであって:
冷却剤流路;
前記冷却剤流路内の冷却剤を加圧するための可変速コンプレッサー;
前記冷却剤流路の前記コンプレッサーより下流側に配置された凝縮器;
前記冷却剤流路の前記凝縮器より下流側に配置された蒸発器;
前記寝台区画を冷却するために前記蒸発器を通して空気流を方向付けるように構成された可変速送風機;及び、
前記蒸発器からの空気流の温度、前記コンプレッサーからの冷却剤の排出圧力、及び冷却剤の過熱を示す信号に基づいて前記コンプレッサー及び前記送風機の速度を選択的に調節するように構成されているコントローラーを備えるシステム。
【請求項22】
前記凝縮器を通して空気流を方向付けるために構成された可変速ファンをさらに備え、前記コントローラーが冷却剤の過冷を示す信号に基づいて前記ファンの速度を調節するように構成されている、請求項21に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−168775(P2007−168775A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340053(P2006−340053)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(592079675)モーディーン・マニュファクチャリング・カンパニー (60)
【氏名又は名称原語表記】MODINE MANUFACTURING COMPANY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(592079675)モーディーン・マニュファクチャリング・カンパニー (60)
【氏名又は名称原語表記】MODINE MANUFACTURING COMPANY
【Fターム(参考)】
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