説明

空調装置

【課題】好適な前部気流レベルおよび後部気流レベルとなるように制御する。
【解決手段】空調装置の気流選択機構は、第1の気流モードを提供する第1の位置と第2の気流モードを提供する第2の位置との間で移動する。気流選択機構は、第1の位置にあるとき、第1の気流が第1の気流通路から第2の気流通路へと流れることを制限する。気流選択機構は、第2の位置にあるとき、第1の気流が第1の気流通路から第2の気流通路へと流れることを可能にする。電子制御ユニットは、第1の気流モードにある際、ユーザが設定した前部キャビン気流レベルに基づいて第1の送風機を制御し、ユーザが設定した後部キャビン気流レベルに基づいて第2の送風機を制御する。電子制御ユニットは、第2の気流モードにある際、ユーザが設定した前部キャビン気流レベルおよび後部キャビン気流レベルの双方に基づいて第1の送風機を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、米国仮出願シリアル番号第61/470,276号(出願日:2011年3月31日)の利益および優先権を主張し、その開示のすべては参照によってここに組み込まれる。
【0002】
本開示は、車両用の空調装置に関する。
【背景技術】
【0003】
より大型の車両(例えば、スポーツユーティリティ車両またはミニバン)における空調性能要求においては、後部乗員に対する適切な加熱性能を確保する為に、フロントの(主要)暖房換気空調(HVAC)ユニットの他に、補助HVACユニットがしばしば必要となる。前記補助HVACユニットが必要になる場合、構成要素、車両重量、スペースおよびコストが大幅に増加する結果となる。
【0004】
2つの送風機を有する単一のHVACユニットを空調装置内に設け、車両キャビンの前領域および後領域に調製空気を送る技術が、米国特許出願公開番号第2005/0126774号公報によって公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
米国特許出願公開2005/0126774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この技術の場合、空調ケースの構成に起因して、車両キャビンの前領域へと送られる気流量が、車両キャビンの後領域へと送られる気流量によって影響を受ける。そのため、米国特許出願公開番号第2005/0126774号公報において開示されている空調装置の場合、前部における気流量および後部における気流量は、どちらとも車両ユーザが設定することが可能であるが、前部および後部の気流量を、好適な前部気流レベルおよび好適な後部気流レベルとなるように個別に制御することができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本開示の一般的開示を記載する。以下の開示は、本開示の全体的範囲またはその全特徴を網羅するものではない。
【0008】
本教示は、車両キャビンを規定する車両のための空調装置を提供する。前記空調装置は、空調ケースと、第1の送風機と、第2の送風機と、気流選択機構と、前部送風機レベル設定器と、後部送風機レベル設定器と、電子制御ユニットとを主に含む。前記空調ケースは、前記車両キャビンの前領域に通じる第1の気流経路と、前記車両キャビンの後領域に通じる第2の気流経路とを規定する。前記第1の送風機は、前記第1の気流経路内に気流を生成するように、構成される。前記第2の送風機は、前記第2の気流経路内に気流を生成するように、構成される。前記気流選択機構は、第1の気流モードおよび第2の気流モードのうち1つを選択するように、構成される。前記第1の気流モードにおいて、前記第1の送風機によって生成された気流の前記第2の気流経路内への流入が阻止される。前記第2の気流モードにおいて、前記第1の送風機によって生成された気流の前記第2の気流経路内への流入が可能にされる。前記前部送風機レベル設定器は、前記車両キャビンの前領域内における好適な前部気流レベルを設定するためのものである。前記後部送風機レベル設定器は、前記車両キャビンの後領域内における好適な後部気流レベルを設定するためのものである。前記電子制御ユニットは、前記第1の送風機、前記第2の送風機、前記気流選択機構、前記前部送風機レベル設定器および前記後部送風機レベル設定器へと電気的に接続される。前記気流選択機構が前記第1の気流モードを選択した場合、前記電子制御ユニットは、前記好適な前部気流レベルに基づいて前記第1の送風機を制御し、前記好適な後部気流レベルに基づいて前記第2の送風機を制御する。前記気流選択機構が前記第2の気流モードを選択した場合、前記電子制御ユニットは、前記好適な前部気流レベルおよび前記好適な後部気流レベルに基づいて、前記第1の送風機を制御する。
【0009】
本教示はまた、第1の気流通路と、第2の気流通路と、第1の送風機と、第2の送風機と、気流選択機構と、電子制御ユニットとを含む空調装置を提供する。前記第1の気流通路は、第1の気流を前記車両キャビンの前領域へと方向付けるように、構成される。前記第2の気流通路は、第2の気流を前記車両キャビンの後領域へと方向付けるように、構成される。前記第1の送風機は、前記第1の気流経路内に前記第1の気流を生成するように、構成される。前記第2の送風機は、前記第2の気流経路内に前記第2の気流を生成するように、構成される。前記気流選択機構は、前記装置の第1の気流モードを提供する第1の位置と、前記装置の第2の気流モードを提供する第2の位置との間で移動することが可能である。前記気流選択機構により、前記第1の気流が前記第1の位置にあるときに前記第2の気流通路に流入することが制限される。前記気流選択機構により、前記第1の気流が前記第2の位置にあるときに前記第2の気流通路内に流入することが可能になる。前記電子制御ユニットは、前記第1の気流モードにある際、ユーザが設定した前部キャビン気流レベルに基づいて前記第1の送風機を制御し、ユーザが設定した後部キャビン気流レベルに基づいて前記第2の送風機を制御するように、構成される。前記電子制御ユニットは、前記第2の気流モードにある際、前記ユーザが設定した前部キャビン気流レベルおよび前記ユーザが設定した後部キャビン気流レベル双方に基づいて前記第1の送風機を制御するように、構成される。
【0010】
本教示は、空調装置をさらに提供する。前記空調装置は、第1の気流経路と、第2の気流経路と、第1の送風機と、第2の送風機と、蒸発器と、第1のヒーターと、補助再循環器入口と、気流選択機構とを含む。前記第1の気流経路は、前記空調装置のケースによって規定され、第1の気流を前記車両キャビンの前領域へと方向付けるように構成される。第2の気流経路は、前記ケースによって規定され、前記第1の気流経路に隣接する。前記第2の気流経路は、第2の気流を前記車両キャビンの後領域へと方向付けるように、構成される。前記第1の送風機は、前記第1の気流経路内に設けられ、前記第1の気流経路内に前記第1の気流を生成するように構成される。前記第2の送風機は、前記第2の気流経路内に設けられ、前記第2の気流経路内に前記第2の気流を生成するように構成される。前記蒸発器は、前記第1の気流経路内に設けられる。前記第1のヒーターは、前記第1の気流経路内に設けられる。前記蒸発器は、前記第1の送風機と、前記第1のヒーターとの間に設けられる。前記補助再循環器入口は、前記第1の気流経路または前記第2の気流経路のうちのいずれか1つにある。前記気流選択機構は、前記第1の気流経路と、前記第2の気流経路との間に設けられる。前記気流選択機構は、閉口位置と、開口位置との間で移動することが可能である。前記閉口位置において、前記気流選択機構は、前記第1の気流が前記第2の気流経路に流入するのを制限する。前記開口位置において、前記気流選択機構は、前記第1の気流が前記第2の気流経路に流入するのを可能にする。
【0011】
本明細書中の記載から、さらなる適用可能領域が明らかとなる。本記載および特定の例はひとえに例示的なものであり、本開示の範囲を制限するものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書中に記載の図面は、選択された実施形態をひとえに例示するためのものであり、本開示の範囲を制限するものではない。
【図1】図2は、本教示による車両および空調装置の断面図である。
【図2】図2は、図1の空調装置の断面図である。前記空調装置は、第1の気流モードおよびフットデフモードにおいて構成されている。
【図3】図3は、図1の空調装置の断面図である。前記空調装置は、第2の気流モードおよびフェイスモードにおいて構成されている。
【図4】図4は、図1の空調装置の断面図である。前記空調装置は、第2の気流モードおよびバイレベルモードにおいて構成されている。
【図5】図5は、本教示による別の空調装置の断面図である。この別の空調装置は、第1の気流モードおよびフェイスモードにおいて構成されている。
【図6】図6は、図5の空調装置の断面図である。前記空調装置は、前記第2の気流モードおよびフットモードにおいて構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、例示的実施形態について、図面を参照してより詳細に説明する。
【0014】
図1は、本教示による、車両10と、車両10のための空調装置18とを示す断面図である。図1に示す車両10は、大型の車両(例えば、SUVまたはミニバン)であり、運転席12と、第2の列の席14と、第3の列の席16とを含む。空調装置18は、2つの送風機を含み、空調ケース22中に収容される。
【0015】
空調ケース22は、第1の気流経路24と、第2の気流経路28とを規定する。第1の気流経路24は、運転席12を含む車両キャビンの前領域26へと最終的に通じている。第2の気流経路28は、第2の列の席14および記第3の列の席16を含む車両キャビンの後領域30へと最終的に通じている。第1の送風機32は、空調ケース22の最上流側に配置され、第2の送風機34は、第2の気流経路28内に配置される。空調ケース22は、前部顔部用出口36と、デフロスター出口38と、前部脚部用出口(図示せず)とをさらに規定する。前部顔部用出口36、デフロスター出口38および前部脚部用出口(図示せず)はそれぞれ、第1の気流経路24と連通する。空調ケース22はまた、後部顔部用出口40および後部脚部用出口42を規定する。後部顔部用出口40および後部脚部用出口42はそれぞれ、第2の気流経路28と連通する。
【0016】
図2は、空調装置18の断面図であり、第1の気流モード(フットデフモード)を示す。空調ケース22は、蒸発器44と、第1のヒーターコア46と、第2のヒーターコア48と、気流選択機構50を含む複数のモードドアとをさらに収容する。
【0017】
蒸発器44は、第1の送風機32の下流側の上において、第1の送風機32の近隣に配置される。空調ケース22は、蒸発器44の下側にドレイン部をさらに規定する。空調ケース22は、分離壁部52も規定する。分離壁部52は、蒸発器44の下流側において第1の気流経路24および第2の気流経路28を分離する。第1のヒーターコア46は、第1の気流経路24内に設けられる。第1の気流経路24は、第1のヒーターコア46を迂回するバイパス経路54(例えば、図3)を規定する。第1の気流経路24に流入した気流は、第1のヒーターコア46および/またはバイパス経路54のうちいずれか1つを通過する。第1のヒーターコア46を通過する気流と、バイパス経路54との間の流量比は、空気混合ドア56およびバイパス経路ドア58によって制御される。
【0018】
第2の気流経路28は、補助再循環器入口60を含む。補助再循環器入口60は、再循環ドア62によって開口および閉口される。第2のヒーターコア48は、補助再循環器入口60からの気流と熱を交換するように、構成される。第2のヒーターコア48は、補助再循環器入口60と再循環ドア62との間に設けられる。
【0019】
気流選択機構50は、気流選択ドア64を含む。気流選択ドア64は、第2の気流経路28の上流側に設けられる。この気流選択ドア64が第2の気流経路28の入口を閉鎖した場合、空調ケース22は、第1の気流モードを構成することで、第1の送風機32によって生成された気流が第2の気流経路28に流入しないようにする。気流選択ドア64が第2の気流経路28の入口を開口させた場合、空調ケース22は、第2の気流モードを構成することで、第1の送風機32によって生成された気流が第2の気流経路28に流入することを可能にする。
【0020】
図2を参照して、蒸発器44を通過した気流は、第1の気流経路24に流入する。なぜならば、気流選択ドア64が閉鎖されているため、第1の気流経路24と第2の気流経路28との間において気流が移動を制限する(すなわち、空調ケース22が第1の気流モードにある)からである。気流が第1のヒーターコア46を通過するのは、空気混合ドア56が第1のヒーターコア46を開口させ、バイパス経路ドア58がバイパス経路54を閉鎖しているからである。上記気流は2つの気流に分割され、デフロスター出口38または前部脚部用出口のうちのいずれか1つに分配される。
【0021】
続けて図2を参照して、再循環ドア62は、補助再循環器入口60を開口させる。補助再循環器入口60からの空気は、第2のヒーターコア48を通過し、第2の送風機34によって第2の送風機34内に引き込まれる。第2の送風機34からの気流は、車両キャビンの後領域30の下側へと分配される。換言すれば、気流選択機構50が第1の気流モードを選択した場合、第2の送風機34は、再循環された気流を上記車両キャビンから導入する。
【0022】
図2は、電子制御ユニット(ECU66)をさらに示す。ECU66は、第1の送風機32、第2の送風機34、気流選択機構50、前部送風機レベル設定器68および後部送風機レベル設定器70と電気的に接続される。前部送風機レベル設定器68は、車両10のユーザが車両キャビンの前領域26内における好適な前部気流レベルを設定する際に用いられるように、構成される。後部送風機レベル設定器70は、車両10のユーザが上記車両キャビンの後領域30内における好適な後部気流レベルを設定する際に用いられるように、構成される。
【0023】
気流選択機構50が第1の気流モードを選択した場合、ECU66は、上記好適な前部気流レベルに基づいて第1の送風機32を制御し、上記好適な後部気流レベルに基づいて第2の送風機34を制御する。気流選択機構50が第2の気流モードを選択した場合、ECU66は、上記好適な前部気流レベルおよび上記好適な後部気流レベルに基づいて、第1の送風機32を制御する。
【0024】
ECU66は、多様なセンサー72および入力手段74にさらに接続される。ECU66は、前部送風機レベル設定器68、後部送風機レベル設定器70、多様なセンサー72および入力手段74から得られた情報に基づいて、空気出口目標温度(TAO)を計算する。ECU66は、上記TAOならびに多様なセンサー72および入力手段74から得られた情報に基づいて、空調ケース22内に収容された複数のドアを制御する。ECU66は、通電型電磁クラッチまたは上記TAOに基づいた電気モータと、前部および後部送風機レベル設定器70によって設定された送風機レベルとにより、冷媒サイクルのコンプレッサを制御し得る。
【0025】
蒸発器44は、コンプレッサ、コンデンサおよび膨脹弁と共に、冷却サイクルの一部をなす。第1のヒーターコア46および第2のヒーターコア48は、エンジン冷却回路の熱または電力を利用し得る。よって、第2のヒーターコア48は、電気ヒーターであり得る。
【0026】
この第1の気流モードにより、空調装置18は、2つの送風機を別個に制御することが可能になる。その理由は第1の気流経路24内の気流量は、第2の気流経路28内の気流量から独立しているからである。さらに、エンジンの暖機運転時(すなわち、エンジン冷却回路温度が低いとき)に、第2の送風機34および第2のヒーターコア48(電気ヒーター)のみを用いてキャビン温度を上昇させることが可能である。
【0027】
図3は、空調装置18の断面図であり、第2の気流モード(フェイスモード)を示す。第2の気流モードにおいて、気流選択ドア64は、第2の気流経路28の上流側を開口させる。よって、第1の送風機32により生成された気流は、分離壁部52によって2つの気流へと分離される。上記分離された気流は、第2の気流経路28および第1の気流経路24へと方向付けられる。
【0028】
図3に示す第2の気流モード(フェイスモード)において、空気混合ドア56は第1のヒーターコア46を遮断し、バイパス経路ドア58はバイパス経路54を開口させる。よって、気流が第1の気流経路24を通過し、第1のヒーターコア46を迂回し、冷却空気を前部顔部用出口36へと提供する。図3に示すフェイスモードにおいて、再循環ドア62は、補助再循環器入口60を閉鎖する。よって、第1の送風機32によって生成された気流は、第2の気流経路28へと方向付けられ、第2のヒーターコア48を通過すること無く、後部顔部用出口40へと提供される。
【0029】
図4も、第2の気流モードを示す。図4において、上記モードドアは、バイレベルモードを構成する。バイレベルモードにおいて、空気混合ドア56は、第1のヒーターコア46への気流を開き、第1の気流経路24内に流入した気流は、2つの気流へと分離される。上記分離された気流のうち一方は第1のヒーターコア46を通過し、上記分離された気流のうち他方は第1のヒーターコア46を迂回する。これら2つの気流は第1の気流経路24内において混合され、前部顔部用出口36および前部脚部用出口から車両キャビンの前領域26へと分配される。
【0030】
図4において、気流選択ドア64は、第2の気流経路28の入口を開口させる。よって、第1の送風機32によって生成された気流は第2の気流経路28内へと方向付けられ、蒸発器44によって冷却された気流は第2の送風機34内へと方向付けられる。また。図4に示すバイレベルモード時において、再循環ドア62は、補助再循環器入口60を開口させる。その結果、第2のヒーターコア48は、温風を第2の送風機34内へ提供する。第2の送風機34は、上記冷却空気および上記温風を混合し、後部顔部用出口40および後部脚部用出口42から混合空気を車両キャビンの後領域30へと分配する。換言すれば、気流選択機構50が第2の気流モードを選択した場合、第2の送風機34は、第1の送風機32によって生成された気流と、上記車両キャビンからの再循環気流とを混合し得る。
【0031】
さらに図5を参照して、本教示による別の空調装置が、参照符号101によって示される。図5は、第1の気流モード(フェイスモード)にある空調装置101の断面図である。空調ケース115は、蒸発器107の上流側において、補助再循環器入口103を含む。
【0032】
空調ケース115は、第1の送風機105、蒸発器107、ヒーターコア109、複数のドアおよび第2の送風機113を収容する。第1の送風機105は、空調ケース115の最上流側に配置される。
【0033】
蒸発器107は、第1の送風機105および補助再循環器入口103の下流側に配置される。蒸発器107と空調ケース115の内壁との間には、蒸発器107の下側に空隙部117が規定される。蒸発器107は、2つの温度センサー(Th)を備える。
【0034】
ヒーターコア109は、蒸発器107の下流側に配置される。ヒーターコア109は、蒸発器107とヒーターコア109との間に上流クリアランス119を規定する。ヒーターコア109は、ヒーターコア109と垂直内壁123との間に下流クリアランス121をさらに規定する。下流クリアランス121は、空調ケース115内のヒーターコア109の下流側に配置される。空調ケース115は、ヒーターコア109の上側において上側バイパス経路125を規定し、ヒーターコア109の下側において下側バイパス経路127をさらに規定する。よって、ヒーターコア109は、上側バイパス経路125と、下側バイパス経路127との間に設けられる。
【0035】
前部空気混合ドア129は、蒸発器107と、ヒーターコア109との間に設けられる。前部空気混合ドア129は、スライド式ドアであり得る。前部空気混合ドア129は、上側バイパス経路125または上流クリアランス119のうち1つの内部に配置される。後部空気混合ドア131は、上流クリアランス119内に配置される。後部空気混合ドア131の回転軸は、ヒーターコア109の下側に配置される。
【0036】
上流側気流制御ドア133は、上流クリアランス119内に配置される。下流側気流制御ドア135は、下流クリアランス121内に配置される。図5に示すように、空調ケース115は、再循環ドア137によって分離された第1の気流経路140および第2の気流経路142と、上流側気流制御ドア133と、下流側気流制御ドア135とを規定する。よって、再循環ドア137、上流側気流制御ドア133および下流側気流制御ドア135は、第1の気流経路140と第2の気流経路142との間の分離壁部を構成する。
【0037】
再循環ドア137、上流側気流制御ドア133および下流側気流制御ドア135が閉鎖されて分離壁部を構成した場合、第1の送風機105によって生成された気流は、第2の気流経路142内に流入できなくなる。このようにして、空調ケース115は、第1の気流モードを規定する。よって、気流選択機構は、再循環ドア137、上流側気流制御ドア133および下流側気流制御ドア135である。また、上流側気流制御ドア133は、第2の気流経路内に引き込まれる気流量を制御するように、構成される。
【0038】
図5に示すように、第1の送風機105によって生成された気流は、蒸発器107およびヒーターコア109の上半分を通過する。補助再循環器入口103から方向付けられた気流は、蒸発器107およびヒーターコア109の下半分を通過する。
【0039】
図5は、顔部最大冷却モードを示す。この場合、前部空気混合ドア129が上側バイパス経路125を開口させて、気流がヒーターコア109を通過できないようにする。後部空気混合ドア131は、下側バイパス経路127を開き、気流がヒーターコア109を通過できないようにする。モードドアは、前部顔部用出口36および後部顔部用出口40を開口させ、デフロスタ出口38、前部脚部用出口および後部脚部用出口42を閉鎖する。その結果、蒸発器107を通過した気流が、ヒーターコア109を通過すること無く、前部顔部用出口36および後部顔部用出口40へと提供される。
【0040】
この第1の気流モードにより、空調装置101は、車両10のユーザが設定した好適な送風機レベルに基づいて、第1の送風機105および第2の送風機113を別個に制御することが可能になる。第1の気流経路140および第2の気流経路142は、各空気入口および送風機を備える。そのため、第1の送風機105は、第1の気流経路140内の気流量を第2の気流経路142内の気流量から独立して制御することができる。
【0041】
図6は、第2の気流モード(フットモード)にある空調装置101の断面図である。図6において、前部空気混合ドア129は上側バイパス経路125を閉鎖し、後部空気混合ドア131は下側バイパス経路127を閉鎖する。デフロスター出口38、前部顔部用出口36および後部顔部用出口40は、複数のモードドアによって閉鎖される。その結果、蒸発器107およびヒーターコア109を通過した気流が、前部脚部用出口および後部脚部用出口42へと提供される。
【0042】
第1の送風機105は、車両キャビンの外部または内部から空気を取り込み得る。よって、蒸発器107の下側に配置された温度センサーThが所定の温度を検出した場合、ECU66は、気流選択機構を制御して第2の気流モードを選択させ、外部空気を取り入れて、蒸発器107が凍結するのを防ぐ。よって、本教示は、機能性を向上させることができる。さらに、本教示は、既存の二重ユニットアセンブリから構成要素および車両の複雑性を低減することができる。なぜならば、本開示は、二重空調配管、二重ヒーター管アセンブリ、および二重ワイヤハーネスを低減できるからである。
【0043】
上記の実施形態は、例示および説明の目的のために記載したものであり、網羅的なものまたは本開示を制限するものを意図していない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、一般的に当該特定の実施形態に限定されず、具体的に図示または記載なき場合でも、適用可能な場合、相互交換可能であり、選択された実施形態において利用することが可能であり、また、多くの様態において変更が可能である。このような変更は、本開示からの逸脱としてみなされるべきではなく、本開示の範囲内に含まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両キャビンを規定する車両のための空調装置であって、
前記車両キャビンの前領域に通じる第1の気流経路と、前記車両キャビンの後領域に通じる第2の気流経路とを規定する、空調ケースと、
前記第1の気流経路内に気流を生成するように構成された第1の送風機と、
前記第2の気流経路内に気流を生成するように構成された第2の送風機と、
第1の気流モードおよび第2の気流モードのうち1つを選択するように構成された気流選択機構であって、前記第1の気流モードにおいて、前記第1の送風機によって生成された気流は、前記第2の気流経路に流入することができず、前記第2の気流モードにおいて、前記第1の送風機によって生成された気流は、前記第2の気流経路に流入することができる、気流選択機構と、
前記車両キャビンの前領域における好適な前部気流レベルを設定する前部送風機レベル設定器と、
前記車両キャビンの後領域における好適な後部気流レベルを設定する後部送風機レベル設定器と、
前記第1の送風機、前記第2の送風機、前記気流選択機構、前記前部送風機レベル設定器および前記後部送風機レベル設定器に電気的に接続された電子制御ユニットと、
を含み、
前記気流選択機構が前記第1の気流モードを選択した場合、前記電子制御ユニットは、前記好適な前部気流レベルに基づいて前記第1の送風機を制御し、前記好適な後部気流レベルに基づいて前記第2の送風機を制御し、
前記気流選択機構が前記第2の気流モードを選択した場合、前記電子制御ユニットは、前記好適な前部気流レベルおよび前記好適な後部気流レベルに基づいて前記第1の送風機を制御する、
空調装置。
【請求項2】
前記気流選択機構が前記第1の気流モードを選択した場合、前記第2の送風機は、再循環された気流を前記車両キャビンから前記第2の気流経路内へと導入する、請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記気流選択機構が前記第2の気流モードを選択した場合、前記第2の送風機は、前記第1の送風機によって生成された気流と前記車両キャビンからの再循環された気流とを混合し、前記再循環された気流は、前記第1の送風機によって生成された気流と異なる、請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記第1の気流経路内に配置された第1のヒーターと、
前記第2の気流経路内に配置された第2のヒーターと
をさらに含む、請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
車両キャビンを規定する車両のための空調装置であって、
第1の気流を前記車両キャビンの前領域へと方向付けるように構成された第1の気流通路と、
第2の気流を前記車両キャビンの後領域へと方向付けるように構成された第2の気流通路と、
前記第1の気流を前記第1の気流経路内に生成するように構成された第1の送風機と、
前記第2の気流を前記第2の気流経路内に生成するように構成された第2の送風機と、
前記装置の第1の気流モードを提供する第1の位置と、前記装置の第2の気流モードを提供する第2の位置との間において移動することが可能であって、前記第1の位置にあるときに前記第1の気流が前記第2の気流通路に流入するのを制限し、前記第2の位置にあるときに前記第1の気流が前記第2の気流通路に流入することを可能にする、気流選択機構と、
前記第1の気流モードにあるときに、ユーザが設定した前部キャビン気流レベルに基づいて前記第1の送風機を制御するとともに、ユーザが設定した後部キャビン気流レベルに基づいて前記第2の送風機を制御し、また前記第2の気流モードにあるときに、前記ユーザが設定した前部キャビン気流レベルおよび前記ユーザが設定した後部キャビン気流レベル双方に基づいて、前記第1の送風機を制御する、電子制御ユニットとを備える。
【請求項6】
前記第1の気流通路および前記第2の気流通路双方の少なくとも一部が、前記空調装置のケースによって少なくとも部分的に規定される、請求項5に記載の空調装置。
【請求項7】
前記第1の気流通路は、前記第2の気流通路に直接接続される、請求項5に記載の空調装置。
【請求項8】
前記気流選択機構は、前記第1の気流通路と、前記第2の気流通路との間に設けられる、請求項5に記載の空調装置。
【請求項9】
前記空調装置は、単一の蒸発器のみを含む、請求項5に記載の空調装置。
【請求項10】
前記第1の送風機は、前記第1の通路内に設けられる、請求項5に記載の空調装置。
【請求項11】
前記第2の送風機は、前記第2の通路内に設けられる、請求項10に記載の空調装置。
【請求項12】
補助再循環器入口をさらに含み、前記補助再循環器入口は、前記第1の気流モードにある際に開口される、請求項5に記載の空調装置。
【請求項13】
車両キャビンを規定する車両のための空調装置であって、
第1の気流を前記車両キャビンの前領域へと方向付けるように構成される、前記空調装置のケースによって規定される第1の気流経路と、
第2の気流を前記車両キャビンの後領域へと方向付けるように構成される、前記ケースによって規定されかつ前記第1の気流経路に隣接する第2の気流経路と、
前記第1の気流を前記第1の気流経路内において生成するように構成される、前記第1の気流経路内の第1の送風機と、
前記第2の気流を前記第2の気流経路内において生成するように構成される、前記第2の気流経路内の第2の送風機と、
前記第1の気流経路内の蒸発器と、
前記第1の送風機と、前記第1のヒーターとの間に設けられる、前記第1の気流経路内の第1のヒーターと、
前記第1の気流経路または前記第2の気流経路のうちの1つに設けられる補助再循環器入口と、
前記第1の気流経路と前記第2の気流経路との間の気流選択機構であって、前記気流選択機構は、閉口位置と開口位置との間において移動することが可能であり、前記閉口位置において、前記気流選択機構は、前記第1の気流が前記第2の気流経路に流入することを制限し、前記開口位置において、前記気流選択機構は、前記第1の気流が前記第2の気流経路に流入することを可能にする、気流選択機構と、
を含む、空調装置。
【請求項14】
前記第2の気流経路内の第2のヒーターをさらに含み、前記第2のヒーターは電気ヒーターである、請求項13に記載の空調装置。
【請求項15】
第1の気流モードにおいて、前記気流選択機構は前記閉口位置にありかつ補助再循環器入口は開口しており、これにより、前記第1の気流が前記第1の送風機によって制御され、前記第2の気流が前記第2の送風機によって制御される、請求項13に記載の空調装置。
【請求項16】
前記補助再循環器入口は、開口時において、前記車両キャビンからの再循環された気流を前記第2の気流経路内に導入するように構成される、請求項15に記載の空調装置。
【請求項17】
第2の気流モードにおいて、前記気流選択機構は前記開口位置にありかつ前記補助再循環器入口は閉口しており、これにより、前記第2の気流は、前記第1の送風機によって制御される、請求項13に記載の空調装置。
【請求項18】
第2の気流モードにおいて、前記気流選択機構は前記開口位置にありかつ前記補助再循環器入口は閉口しており、これにより、前記第2の気流は前記第1の送風機によって制御される、請求項13に記載の空調装置。
【請求項19】
電子制御機構をさらに含み、前記電子制御機構は、前記第1の気流モードにあるとき、好適な前部キャビン気流レベルに基づいて前記第1の送風機を制御し、好適な後部キャビン気流レベルに基づいて前記第2の送風機を制御するように構成される、請求項15に記載の空調装置。
【請求項20】
前記第1の送風機および前記第2の送風機を制御するように構成された電子制御機構をさらに含み、
前記気流選択機構が前記開口位置にある場合、前記第2の気流は、前記第1の送風機によって制御され、
好適な前部キャビン気流レベルおよび好適な後部キャビン気流レベル双方に基づいて、前記電子制御機構は、前記第1の送風機を制御する、
請求項13に記載の空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−214219(P2012−214219A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−77239(P2012−77239)
【出願日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【出願人】(500164385)デンソー インターナショナル アメリカ インコーポレーテッド (49)
【Fターム(参考)】