説明

突合わせブランク溶接方法

【課題】 複数対のブランク対を2基の溶接ヘッドによって交互に分担して溶接することで、溶接システム全体としての溶接サイクル時間を短縮化できる突合わせブランク溶接方法を提供すること。
【解決手段】 第1溶接ヘッド4がブランク対Aを、第2溶接ヘッド5がブランク対Cを、第1溶接ヘッド4がブランク対Bを、第2溶接ヘッド5がブランク対Eを、第1溶接ヘッド4がブランク対Dを、第2溶接ヘッド5がブランク対Fを、順番に溶接する。一方、第1溶接ヘッド4によるブランク対A、B又はDの溶接中に、第2溶接ヘッド5がブランク対C、E又はFの溶接開始位置まで移動され、第2溶接ヘッド5によるブランク対C、E又はFの溶接中に、第1溶接ヘッド4がブランク対B、D又はAの溶接開始位置まで移動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブランク対の対向端面同士を突合わせて溶接する突合わせブランク溶接方法に関し、特に、複数対のブランク対を溶接する場合に溶接サイクル時間を短縮化できる突合わせブランク溶接方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ溶接システムには、例えば、特許文献1に記載されているように、対を成すブランク(以下「ブランク対」という。)の対向端面同士を突合わせて固定するブランク治具と、そのブランク治具によって固定されるブランク対の突合わせ溶接線に沿って溶接方向上流側から下流側へと移動しながら溶接線にレーザ光線を照射して溶接する溶接ヘッドとを備えたものがある。
【0003】
また、このようなレーザ溶接システムを用いた溶接工法の一種として、例えば、特許文献2には、材質又は板厚のうち少なくともいずれか一方が相違するブランク対の対向端面同士を突合わせ、その突合わせ溶接線でブランク対同士を溶接して一枚のテーラードブランク材(溶接済みのブランク対)を製造するテーラード工法が記載されている。
【特許文献1】特開2005−66604号公報
【特許文献2】特開平11−33760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したレーザ溶接システムのブランク治具及び溶接ヘッドがそれぞれ1基ずつの場合、2枚以上のテーラードブランク材を製造するためには、ブランク治具にブランク対を固定して溶接ヘッドにより溶接した後、その溶接済みのブランク対をブランク治具から排出し、次の未溶接の新たなブランク対をブランク治具へ供給し、更に、そのブランク対をブランク治具により突合わせてから溶接ヘッドにより溶接しなければならない。このため、ブランク治具においてブランク対の排出、供給及び突合わせをする間は、溶接ヘッドによる溶接動作を実行できず、作業効率が極めて低くなってしまうという問題点がある。
【0005】
そこで、例えば、レーザー溶接システムのブランク治具を2基として溶接ヘッドを1基とすると、一方のブランク治具に固定されているブランク対を溶接する間に、他方のブランク治具に固定されているブランク対の排出、供給及び突合わせが行えるため、その分、作業効率を向上することが可能となる。しかし、かかる溶接方法では、溶接ヘッドが1基しかないため、一方のブランク治具と他方のブランク治具との間を溶接ヘッドが移動する期間中、溶接ヘッドによる溶接動作を中断しなければならず、その移動時間分だけ、自ずと溶接サイクル時間が長くなってしまうという問題点がある。
【0006】
そこで更に、レーザー溶接システムのブランク治具及び溶接ヘッドをいずれも2基ずつ使用した溶接方法によれば、一方の溶接ヘッドにより一方のブランク治具により固定されるブランク対を溶接する間に、他方の溶接ヘッドによる溶接を中断しつつ、他方のブランク治具に固定されるブランク対の排出、供給及び突合わせを実行し、並びに、溶接ヘッドを溶接終了位置から移動させて溶接開始位置へ復帰させることが可能となる。さすれば、一方の溶接ヘッドによる溶接完了と同時に、他方の溶接ヘッドによる他方のブランク治具に固定されるブランク対の溶接が開始可能となる。
【0007】
ところが、近年のテーラードブランク材はサイズが多様化しており、ブランクごとの溶接長も大小様々となっている。このため、上記したブランク治具及び溶接ヘッドを2基ずつ使用する溶接方法では、一方のブランク治具により溶接長の短いブランク対を固定して溶接する間に、他方のブランク治具におけるブランク対の排出、供給、突合わせ、及び他方の溶接ヘッドの復帰移動を完了できず、結果的に溶接サイクル時間が長くなってしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、少なくとも四対以上の偶数対のブランク対を溶接方向に並べて固定し、その複数対のブランク対を2基の溶接ヘッドによって交互に分担して溶接することで、溶接システム全体としての溶接サイクル時間を短縮化できる突合わせブランク溶接方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために請求項1記載の突合わせブランク溶接方法は、対向端面同士が突合わせられるブランク対を突合わせ溶接線に沿って溶接方向上流側から下流側へと移動して溶接する第1溶接ヘッドと、その第1溶接ヘッドよりも溶接方向下流側に配設されその第1溶接ヘッドとは別のブランク対を突合わせ溶接線に沿って溶接方向上流側から下流側へと移動して溶接する第2溶接ヘッドと、その第2溶接ヘッド及び第1溶接ヘッドにより溶接されるブランク対を溶接方向に少なくとも四対以上の偶数対並べて固定するブランク治具とを備えた溶接システムを使用して溶接する方法であり、ブランク治具における溶接方向最上流側に固定される先頭ブランク対から溶接方向最下流側に固定される末尾ブランク対までを、第1溶接ヘッド及び第2溶接ヘッドによって交互に溶接する溶接工程と、その溶接工程における第1又は第2溶接ヘッドの一方によるブランク対の溶接中に、その次に溶接されるブランク対の溶接開始位置まで第1又は第2溶接ヘッドの他方を予め移動させるヘッド送り工程とを備えており、前記溶接工程は、第1溶接ヘッドによって溶接方向最上流側から数えた番数が1番目に相当する先頭ブランク対を溶接する先頭対溶接工程と、その先頭対溶接工程の後、未溶接のブランク対のうち先頭ブランク対に最も近い奇数番目のブランク対を第2溶接ヘッドによって溶接する動作と、未溶接のブランク対のうち先頭ブランク対に最も近い偶数番目のブランク対を第1溶接ヘッドによって溶接する動作とを交互に繰り返して、末尾ブランク対の1つ手前のブランク対までを溶接する中間対溶接工程と、その中間対溶接工程の後、第2溶接ヘッドにより末尾ブランク対を溶接する末尾対溶接工程とを備えている。
【0010】
この請求項1記載の突合わせブランク溶接方法によれば、ブランク治具により固定されるブランク対に対して溶接方向最上流側のものから順番に番数を付すと、例えば、ブランク治具により固定されるブランク対が四対であるときに溶接工程では、第1溶接ヘッドにより1番目のブランク対(先頭ブランク対(以下同じ。))の溶接が、第2溶接ヘッドにより3番目のブランク対の溶接が、第1溶接ヘッドにより2番目のブランク対の溶接が、第2溶接ヘッドにより4番目のブランク対(末尾ブランク対)の溶接が、順番に行われる。ここで、1番目のブランク対を溶接するのが先頭対溶接工程であり、2番目及び3番目のブランク対を溶接するのが中間対溶接工程であり、4番目のブランク対を溶接するのが末尾対溶接工程である。
【0011】
一方、ヘッド送り工程によれば、第1溶接ヘッドによる1番目又は2番目のブランク対の溶接中に、第2溶接ヘッドが3番目又は4番目のブランク対の溶接開始位置まで、移動される。そして、第2溶接ヘッドによる3番目又は4番目のブランク対の溶接中に、第1溶接ヘッドが2番目又は1番目のブランク対の溶接開始位置まで、移動される。
【0012】
また、ブランク治具により固定されるブランク対が六対であるとき、第1溶接ヘッドによる1番目のブランク対の溶接、第2溶接ヘッドによる3番目のブランク対の溶接、第1溶接ヘッドによる2番目のブランク対の溶接、第2溶接ヘッドによる5番目のブランク対の溶接、第1溶接ヘッドによる4番目のブランク対の溶接、第2溶接ヘッドによる6番目のブランク対(末尾ブランク対)の溶接が、順番に行われる。このときは、2番目から5番目のブランク対を溶接するのが中間対溶接工程であって、6番目のブランク対を溶接するのが末尾対溶接工程となる。
【0013】
一方、ヘッド送り工程によれば、第1溶接ヘッドによる1番目、2番目又は4番目のブランク対の溶接中に、第2溶接ヘッドが3番目、5番目又は6番目のブランク対の溶接開始位置まで、移動される。そして、第2溶接ヘッドによる3番目、5番目又は6番目のブランク対の溶接中に、第1溶接ヘッドが2番目、4番目又は1番目のブランク対の溶接開始位置まで、移動される。
【0014】
更に、ブランク治具により固定されるブランク対が2n(nは4以上の自然数(以下同じ。))対であるとき、第1溶接ヘッドによる1番目のブランク対の溶接、第2溶接ヘッドによる3番目のブランク対の溶接、第1溶接ヘッドによる2番目のブランク対の溶接、・・・、第2溶接ヘッドによる(2n−3)番目のブランク対の溶接、第1溶接ヘッドによる(2n−4)番目のブランク対の溶接、第2溶接ヘッドによる(2n−1)番目のブランク対の溶接、第1溶接ヘッドによる(2n−2)番目のブランク対の溶接、第2溶接ヘッドによる2n番目のブランク対(末尾ブランク対)の溶接が、順番に行われる。このとき、2番目から(2n−1)番目のブランク対を溶接するのが中間対溶接工程であって、2n番目のブランク対を溶接するのが末尾対溶接工程となる。
【0015】
一方、ヘッド送り工程によれば、第1溶接ヘッドによる1番目、2番目、・・・、(2n−4)番目又は(2n−2)番目のブランク対の溶接中に、第2溶接ヘッドが3番目、・・・、(2n−3)番目、(2n−1)番目又は2n番目のブランク対の溶接開始位置まで、移動される。そして、第2溶接ヘッドによる3番目、・・・、(2n−3)番目、(2n−1)番目又は2n番目のブランク対の溶接中に、第1溶接ヘッドが2番目、・・・、(2n−4)番目、(2n−2)番目又は1番目のブランク対の溶接開始位置まで、移動される。
【0016】
請求項2記載の突合わせブランク溶接方法は、請求項1記載の突合わせブランク溶接方法において、少なくとも四対以上かつ偶数対あるブランク対のうち、溶接方向上流側にある半数のものを固定する上流部治具と、溶接方向下流側にある残りの半数のものを固定するため前記上流部治具よりも溶接方向下流側に配設される下流部治具とが設けられる前記ブランク治具を備えた前記溶接システムを使用して行うものであり、更に、前記先頭対溶接工程、中間対溶接工程、及び末尾対溶接工程を順番に繰り返し実行するものであって、前記上流部治具により固定される全てのブランク対の溶接が完了した時点からその上流部治具の溶接方向最上流側に固定されるブランク対の溶接が再開される時点までの期間内に、その上流部治具から溶接済みのブランク対を排出し、その上流部治具へ新たな未溶接のブランク対を所定数供給し、その供給された各ブランク対の対向端面同士を突合わせてその上流部治具により固定する上流部準備工程と、その上流部準備工程の後、前記下流部治具により固定される全てのブランク対の溶接が完了した時点からその下流部治具の溶接方向最上流側に固定されるブランク対の溶接が再開される時点までの期間内に、その下流部治具から溶接済みのブランク対を排出し、その下流部治具へ新たな未溶接のブランク対を所定数供給し、その供給された各ブランク対の対向端面同士を突合わせてその下流部治具により固定する下流部準備工程とを備えている。
【0017】
この請求項2記載の突合わせブランク溶接方法によれば、請求項1記載の突合わせブランク溶接方法と同様に作用する上、例えば、ブランク対が四対、六対、又は2n(nは4以上の自然数)対ならば、上流部治具により溶接方向上流側半分にあたる二対、三対、又はn対のブランク対が、下流部治具により溶接方向下流側半分にあたる二対、三対、又はn対のブランク対が、それぞれ固定される。
【0018】
また、溶接工程では、ブランク対が四対の場合には溶接方向上流側から1番目、3番目、2番目、4番目のブランク対の順番に溶接された後、ブランク対が六対の場合には1番目、3番目、2番目、5番目、4番目、6番目のブランク対の順に溶接された後、又は、ブランク対が2n対の場合には1番目、3番目、2番目、・・・、(2n−3)番目、(2n−4)番目、(2n−1)番目、(2n−2)番目、2n番目のブランク対の順に溶接された後、再び1番目のブランク対から先述の各順番に従って溶接が繰り返される。
【0019】
更に、ブランク対が四対の場合、2番目のブランク対の溶接完了時点から次回の1番目のブランク対の溶接開始時点までの期間(即ち4番目のブランク対の溶接期間)内に、1番目及び2番目のブランク対に対して上流部準備工程が実行される一方、4番目のブランク対の溶接完了時点から次回の3番目のブランク対の溶接開始時点までの期間(即ち1番目のブランク対の溶接期間)内に、3番目及び4番目のブランク対に対して下流部準備工程が実行される。
【0020】
また、ブランク対が六対の場合、3番目のブランク対の溶接完了時点から次回の1番目のブランク対の溶接開始時点までの期間(即ち4番目から6番目のブランク対の溶接期間)内に、1番目から3番目までのブランク対に対して上流部準備工程が実行される一方、6番目のブランク対の溶接完了時点から次回の4番目のブランク対の溶接開始時点までの期間(即ち1番目から3番目までのブランク対の溶接期間)内に、4番目から6番目までのブランク対に対して下流部準備工程が実行される。
【0021】
ブランク対が2n対の場合、n番目のブランク対の溶接完了時点から次回の1番目のブランク対の溶接開始時点までの期間(即ち(n+1)番目から2n番目までのブランク対の溶接期間)内に、1番目からn番目までのブランク対に対して上流部準備工程が実行される一方、2n番目のブランク対の溶接完了時点から次回の(n+1)番目のブランク対の溶接開始時点までの期間(即ち1番目からn番目までのブランク対の溶接期間)内に、(n+1)番目から2n番目までのブランク対に対して下流部準備工程が実行される。
【0022】
請求項3記載の突合わせブランク溶接方法は、請求項1記載の突合わせブランク溶接方法において、前記溶接工程は、請求項1記載の前記先頭対溶接工程、中間対溶接工程および末尾対溶接工程に代えて、第1溶接ヘッド及び第2ヘッドによって、ブランク治具に固定される全てのブランク対のうち溶接方向上流側にある半数を溶接する上流対溶接工程と、その上流対溶接工程の後、第1溶接ヘッド及び第2ヘッドによって、ブランク治具に固定される全てのブランク対のうち溶接方向下流側にある残り半数を溶接する下流対溶接工程とを備えている。
【0023】
この請求項3記載の突合わせブランク溶接方法によれば、ブランク治具により固定されるブランク対に対して溶接方向最上流側のものから順番に番数を付すと、例えば、ブランク治具により固定されるブランク対が六対であるとき、第1溶接ヘッドによる1番目のブランク対の溶接、第2溶接ヘッドによる3番目のブランク対の溶接、第1溶接ヘッドによる2番目のブランク対の溶接、第2溶接ヘッドによる5番目のブランク対の溶接、第1溶接ヘッドによる4番目のブランク対の溶接、第2溶接ヘッドによる6番目のブランク対の溶接が、順番に行われる。このときは、1番目から3番目のブランク対を溶接するのが上流対溶接工程であって、4番目から6番目のブランク対を溶接するのが下流対溶接工程となる。
【0024】
一方、ヘッド送り工程によれば、第1溶接ヘッドによる1番目、2番目又は4番目のブランク対の溶接中に、第2溶接ヘッドが3番目、5番目又は6番目のブランク対の溶接開始位置まで、移動される。そして、第2溶接ヘッドによる3番目、5番目又は6番目のブランク対の溶接中に、第1溶接ヘッドが2番目、4番目又は1番目のブランク対の溶接開始位置まで、移動される。
【0025】
請求項4記載の突合わせブランク溶接方法は、請求項3記載の突合わせブランク溶接方法において、前記上流対溶接工程によって溶接されるブランク対を固定する上流部治具と、前記下流対溶接工程によって溶接されるブランク対を固定するため前記上流部治具よりも溶接方向下流側に配設される下流部治具とが設けられる前記ブランク治具を備えた前記溶接システムを使用して行うものであり、更に、前記上流対溶接工程および下流対溶接工程を交互に繰り返し実行するものであって、前記下流対溶接工程の実行期間中に、前記上流部治具から溶接済みのブランク対を排出し、その上流部治具へ新たな未溶接のブランク対を所定数供給し、その供給された各ブランク対の対向端面同士を突合わせてその上流部治具により固定する上流部準備工程と、前記上流対溶接工程の実行期間中に、前記下流部治具から溶接済みのブランク対を排出し、その下流部治具へ新たな未溶接のブランク対を所定数供給し、その供給された各ブランク対の対向端面同士を突合わせてその下流部治具により固定する下流部準備工程とを備えている。
【0026】
この請求項4記載の突合わせブランク溶接方法によれば、請求項3記載の突合わせブランク溶接方法と同様に作用する上、例えば、ブランク対が六対ならば、上流部治具により溶接方向上流側半分にあたる三対のブランク対が、下流部治具により溶接方向下流側半分にあたる三対のブランク対が、それぞれ固定される。また、溶接工程では、例えば、ブランク対が六対の場合には、上流対溶接工程によって1番目、3番目および2番目のブランク対が、下流対溶接工程によって5番目、4番目および6番目のブランク対が、この順に溶接された後、再び1番目のブランク対から先述の各順番に従って溶接が繰り返される。
【0027】
そして、下流対溶接工程による4番目から6番目までのブランク対の溶接実行中に、1番目から3番目までのブランク対に対して上流部準備工程が実行される一方、上流対溶接工程による1番目から3番目までのブランク対の溶接実行中に、4番目から6番目までのブランク対に対して下流部準備工程が実行される。
【発明の効果】
【0028】
請求項1記載の突合わせブランク溶接方法によれば、ブランク治具により固定される偶数対(但し四対以上)のブランク対を溶接方向上流側配設の第1溶接ヘッド及び溶接方向下流側配設の第2溶接ヘッドによって溶接する場合に、その第1及び第2溶接ヘッドによって異なるブランク対を交互に溶接できる。しかも、一方の溶接ヘッドによる溶接中に他方の溶接ヘッドを次に溶接されるブランク対の溶接開始位置まで移動させておけるので、一方の溶接ヘッドによる溶接終了時点から他方の溶接ヘッドによる溶接開始時点までのタイムラグを限りなく短くできる。よって、その分、複数対のブランク対全体を溶接するための溶接サイクル時間の短縮化が図られ、かかる溶接サイクル時間を実質的な溶接時間に近づけることができるという効果がある。
【0029】
請求項2記載の突合わせブランク溶接方法によれば、請求項1記載の突合わせブランク溶接方法の奏する効果に加え、上流部準備工程および下流部準備工程は、上流部治具および下流部治具ごとに、ブランク対の排出、供給、突合わせ及び固定を別々に実行する。よって、上流部治具又は下流部治具のうち一方の治具が固定する全てのブランク対の溶接完了後は、他方の治具により固定されるブランク対の溶接中に、一方の治具について溶接済みの全てのブランク対の排出ならびに未溶接ブランク対の供給、突合わせ及び固定を実行できる。従って、溶接システム全体として溶接動作を中断することなく、ブランク対の交換動作ができ、その分、複数対のブランク対全体を溶接するための溶接サイクル時間の短縮化が更に図られるという効果がある。
【0030】
請求項3記載の突合わせブランク溶接方法によれば、ブランク治具により溶接方向上流側に固定される半数のブランク対を第1及び第2溶接ヘッドにより交互に溶接した後、ブランク治具により溶接方向下流側に固定される残り半数のブランク対を第1及び第2溶接ヘッドにより交互に溶接することができる。このため、溶接方向下流側に固定される残り半数のブランク対を溶接する間に、溶接方向上流側におけるブランク対の交換動作を行って、次の溶接方向上流側における溶接動作に備えることができる。従って、その分、複数対のブランク対に要する溶接サイクル時間を短縮化できるという効果がある。
【0031】
しかも、一方の溶接ヘッドによる溶接中に他方の溶接ヘッドを次に溶接されるブランク対の溶接開始位置まで移動させておけるので、一方の溶接ヘッドによる溶接終了時点から他方の溶接ヘッドによる溶接開始時点までのタイムラグを限りなく短くできる。よって、その分、複数対のブランク対の溶接に要する溶接サイクル時間を更に短縮化できるいう効果がある。
【0032】
請求項4記載の突合わせブランク溶接方法によれば、請求項3記載の突合わせブランク溶接方法の奏する効果に加え、上流部準備工程および下流部準備工程は、上流部治具および下流部治具ごとに、ブランク対の排出、供給、突合わせ及び固定を別々に実行できるので、上流部治具又は下流部治具のうち一方の治具におけるブランク対の溶接中に、他方の治具におけるブランク対の交換動作を実行することができる。従って、ブランク対の交換動作で中断されることなく上流対溶接工程と下流対溶接工程とを交互に繰り返し実行できるので、溶接サイクル時間の短縮化を更に図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1及び図2は、本発明の一実施例である突合わせ溶接方法に使用される溶接システム1の概略図であって、特に、図1は、溶接システム1の平面図であり、図2は、その溶接システム1の正面図である。本実施例の突き合わせ溶接方法について説明するにあたって、まずは本実施例で使用される溶接システム1について説明する。
【0034】
溶接システム1は、いわゆるレーザ溶接機であり、図1に示すように、鋼板等の薄板状体(以下「ブランク」という。)の対(以下「ブランク対」という。)A〜Fを対向端面同士で突き合わせた状態で固定する上流部ブランク治具2及び下流部ブランク治具3と、その固定されたブランク対A〜Fをレーザ光線により溶接する第1溶接ヘッド4及び第2溶接ヘッド5とを備えている。なお、本実施例では、2基のブランク治具4,5により六対のブランク対A〜Fを固定して溶接する場合について説明するが、四対以上かつ偶数対ならば六対以外のブランク対についても当然に適用可能である。
【0035】
上流部ブランク治具2には、六対のブランク対A〜Fのうち半数の三対のブランク対A〜Cが固定され、下流部ブランク治具3には、残る三対のブランク対D〜Fが固定される。ここで、ブランク対AはブランクA1,A2を、ブランク対BはブランクB1,B2を、ブランク対CはブランクC1,C2を、ブランク対DはブランクD1,D2を、ブランク対EはブランクE1,E2を、ブランク対FはブランクF1,F2を、それぞれ突き合わせたものである。
【0036】
この上流部ブランク治具2及び下流部ブランク治具3によって固定されるブランク対A〜Fは、その各突き合わせ溶接線(「突き合わせ部」又は「シーム部」ともいう。)がいずれも略同一直線上に存在しており、溶接ヘッド4,5が溶接方向(図中矢印x方向)上流側(図1右側)から下流側(図1左側)へ突き合わせ溶接線に沿って略直線状に移動することで溶接される。また、ブランク対A〜Fは、隣接するもの同士の間に所定の間隔が設けられた状態で、各ブランク治具2,3に固定される。
【0037】
また、上流部ブランク治具2は、ブランク対A〜Cの下面(図2参照)に当接する支持ブロック6,7と、その支持ブロック6,7の上方に配設されブランク対A〜Cの上面(図2参照)に当接する押止クランプ8,9(図中の2点鎖線)とを備えている。上流部ブランク治具2によれば、これらの支持ブロック6,7及び押止クランプ8,9間にブランク対A〜Cが狭持されることで、これらのブランク対A〜Cが所定位置に固定される。これに対して、下流部ブランク治具3は、ブランク対D〜Fを上下(図2参照)から狭持して所定位置に固定する支持ブロック10,11及び押止クランプ12,13(図中の2点鎖線)を備えている。
【0038】
第1溶接ヘッド4及び第2溶接ヘッド5は、溶接方向上流側(図1及び図2の右側)から下流側(図1及び図2の左側)へ向けて移動しながらブランク対A〜Fの突き合わせ部に対してレーザ光線を照射してブランク対A〜Fの溶接を行うものである。このため、各ブランク対A〜Fにおける溶接開始位置は溶接方向上流側の端部(図1及び図2の右端部)となり、溶接終了位置は溶接方向下流側の端部(図1及び図2の左端部)となる。
【0039】
また、この第1溶接ヘッド4及び第2溶接ヘッド5は、いずれも三次元のxyz空間内をx軸方向(図1の矢印x方向または反矢印x方向)、y軸方向(図1の矢印y方向または反矢印y方向)、及び、z軸方向(図2の矢印z方向または反矢印z方向)へ移動可能に形成されている。もっとも、第1溶接ヘッド4は、第2溶接ヘッド5に対して常に溶接方向上流側に位置するように構成されており、第1溶接ヘッド4が第2溶接ヘッド5よりも溶接方向下流側(図1左側)へ移動したり、或いは、第2溶接ヘッド5が第1溶接ヘッド4よりも溶接方向上流側(図1右側)へ移動することがないように構成されている。
【0040】
次に、図3を参照して、上記のように構成された溶接システム1を使用した突き合わせ溶接方法について説明する。図3(a)は、第1溶接ヘッド4の動作状態を示したタイムチャートであり、図3(b)は、第2溶接ヘッド5の動作状態を示したタイムチャートであり、図3(c)は、上流部ブランク治具2の動作状態を示したタイムチャートであり、図3(d)は、下流部ブランク治具3の動作状態を示したタイムチャートである。
【0041】
まず、図3(a)及び図3(b)に示すように、第1溶接ヘッド4によってブランク対Aが溶接され(S1)、そのS1の溶接動作中に、第2溶接ヘッド5がブランク対Fの溶接終了位置からブランク対Cの溶接開始位置まで移送(移動)される(S11)。そして、S1の溶接終了と同時に、第2溶接ヘッド5によるブランク対Cの溶接が開始され(S2)、このS2の溶接動作中に、第1溶接ヘッド4がブランク対Aの溶接終了位置からブランク対Bの溶接開始位置まで移送される(S12)。
【0042】
S2の溶接終了後は、その終了と同時に、第1溶接ヘッド4によるブランク対Bの溶接が開始され(S3)、このS3の溶接動作中に、第2溶接ヘッド5がブランク対Cの溶接終了位置からブランク対Eの溶接開始位置まで移送される(S13)。そして、S3の溶接終了と同時に、第2溶接ヘッド5によるブランク対Eの溶接が開始され(S4)、このS4の溶接動作中に、第1溶接ヘッド4がブランク対Bの溶接終了位置からブランク対Dの溶接開始位置まで移送される(S14)。
【0043】
S4の溶接終了後は、その終了と同時に、第1溶接ヘッド4によるブランク対Dの溶接が開始され(S5)、このS5の溶接動作中に、第2溶接ヘッド5がブランク対Eの溶接終了位置からブランク対Fの溶接開始位置まで移送される(S15)。そして、S5の溶接終了と同時に、第2溶接ヘッド5によるブランク対Fの溶接が開始され(S6)、このS6の溶接動作中に、第1溶接ヘッド4がブランク対Dの溶接終了位置からブランク対Aの溶接開始位置まで移送される(S16)。
【0044】
そして、S6の溶接終了後は、上記したS1からS6までの溶接動作及びS11からS16までの溶接ヘッド4,5の移送動作が上記の順番の通りに繰り返される。なお、溶接ヘッド4,5の移送動作中は各溶接ヘッド4,5からのレーザ光線の照射は停止されている。
【0045】
一方、図3(a)及び図3(b)に示した第1溶接ヘッド4及び第2溶接ヘッド5の動作中(S1〜S6,S11〜S16)、これらの動作と並行して、図3(c)及び図3(d)に示す上流部ブランク治具2及び下流部ブランク治具3の動作が実行される。具体的には、まず、図3(c)に示すように、ブランク対A,C,Bが溶接ヘッド4,5により交互に溶接されている期間中(図3(a)及び図3(b)に示すS1の開始時点からS3の終了時点までの期間中)、三対のブランク対A〜Cが支持ブロック6,7及び押止クランプ8,9を介して上流部ブランク治具2に固定される(S31)。
【0046】
その後、ブランク対Bの溶接(S3)が完了すると、押止クランプ8,9がブランク対A〜Cの上面から離間されることによって、上流部ブランク治具2による三対の溶接済みブランク対A〜Cの固定が解除される。この解除後は、下流部ブランク治具3に載置されるブランク対E,D,Fが溶接ヘッド5,4により交互に溶接されている期間中(図3(a)及び図3(b)に示すS4の開始時点からS6の終了時点までの期間中)に、三対の溶接済みブランク対A〜Cが上流部ブランク治具2から排出され(S32)、上流部ブランク治具2へ次の新たな三対の未溶接のブランク対A〜Cが供給され(S33)、それらのブランク対A〜Cがそれぞれ突き合わせられる(S34)。
【0047】
そして、S34の突き合わせ動作後、次回のブランク対Aの溶接動作(S1)が開始される以前に、上流部ブランク治具2上で突き合わせられている未溶接ブランク対A〜Cが支持ブロック6,7及び押止クランプ8,9を介して上流部ブランク治具2に再び固定される(S31)。そして以降は、上記したS31からS34までの動作が上流部ブランク治具2において繰り返し実行される。
【0048】
また、図3(d)に示すように、ブランク対E,D,Fが溶接ヘッド5,4により交互に溶接されている期間中(図3(a)及び図3(b)に示すS4の開始時点からS6の終了時点までの期間中)、他方の三対のブランク対D〜Fが支持ブロック10,11及び押止クランプ12,13を介して下流部ブランク治具3に固定される(S41)。そして、ブランク対Fの溶接(S6)が完了すると、押止クランプ10,11がブランク対D〜Fの上面から離間されることによって、下流部ブランク治具3による三対の溶接済みブランク対D〜Fの固定が解除される。
【0049】
この解除後は、上流部ブランク治具2に載置されるブランク対A,C,Bが溶接ヘッド4,5により交互に溶接されている期間中(図3(a)及び図3(b)に示すS1の開始時点からS3の終了時点までの期間中)に、三対の溶接済みブランク対D〜Fが下流部ブランク治具3から排出され(S42)、下流部ブランク治具3へ次の新たな三対の未溶接のブランク対D〜Fが供給され(S43)、それらのブランク対D〜Fがそれぞれ突き合わせられる(S44)。
【0050】
そして、S44の突き合わせ動作後、次回のブランク対Eの溶接動作(S4)が開始される以前に、下流部ブランク治具3上で突き合わせられている未溶接のブランク対D〜Fが支持ブロック10,11及び押止クランプ12,13を介して下流部ブランク治具3に再び固定される(S41)。そして以降は、上記したS41からS44までの動作が下流部ブランク治具3において繰り返し実行される。
【0051】
なお、上記実施例において、請求項1記載の溶接工程としてはS1からS6の動作(処理)が、ヘッド送り工程としてはS11からS16の動作が、先頭対溶接工程としてはS1の動作が、中間対溶接工程としてはS2からS5の動作が、末尾対溶接工程としてはS6の動作が、それぞれ該当する。また、請求項2又は4に記載の上流部準備工程としてはS32からS34の動作およびS1開始以前のS31の動作が、下流部準備工程としてはS42からS44の動作およびS4開始以前のS41の動作が、それぞれ該当する。また、請求項3記載の上流対溶接工程としてはS1からS3の動作が、下流対溶接工程としてはS4からS6の動作が、それぞれ該当する。
【0052】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。本実施例では、レーザ溶接装置としての溶接システム1を用いて本発明を説明したが、かかる本発明の適用可能な溶接システムは必ずしもこれに限定されるものではなく、他の溶接システム、例えば、アーク溶接システムなどでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施例である突合わせ溶接方法に使用される溶接システムの平面図である。
【図2】突合わせ溶接方法に使用される溶接システムの正面図である。
【図3】(a)は、第1溶接ヘッドの動作状態を示したタイムチャートであり、(b)は、第2溶接ヘッドの動作状態を示したタイムチャートであり、(c)は、上流部ブランク治具の動作状態を示したタイムチャートであり、(d)は、下流部ブランク治具の動作状態を示したタイムチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1 溶接システム
2 上流部ブランク治具(上流部治具、ブランク治具の一部)
3 下流部ブランク治具(下流部治具、ブランク治具の一部)
4 第1溶接ヘッド
5 第2溶接ヘッド
A ブランク対(1番目のブランク対、先頭ブランク対)
E ブランク対(5番目のブランク対、末尾ブランク対の1つ手前のブランク対)
F ブランク対(6番目のブランク対、末尾ブランク対)
A〜C ブランク対(ブランク治具の溶接方向上流側に固定される半数のブランク対)
D〜F ブランク対(ブランク治具の溶接方向下流側に固定される半数のブランク対)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向端面同士が突合わせられるブランク対を突合わせ溶接線に沿って溶接方向上流側から下流側へと移動して溶接する第1溶接ヘッドと、
その第1溶接ヘッドよりも溶接方向下流側に配設されその第1溶接ヘッドとは別のブランク対を突合わせ溶接線に沿って溶接方向上流側から下流側へと移動して溶接する第2溶接ヘッドと、
その第2溶接ヘッド及び第1溶接ヘッドにより溶接されるブランク対を溶接方向に少なくとも四対以上の偶数対並べて固定するブランク治具とを備えた溶接システムを使用して溶接する突合わせブランク溶接方法において、
ブランク治具における溶接方向最上流側に固定される先頭ブランク対から溶接方向最下流側に固定される末尾ブランク対までを、第1溶接ヘッド及び第2溶接ヘッドによって交互に溶接する溶接工程と、
その溶接工程における第1又は第2溶接ヘッドの一方によるブランク対の溶接中に、その次に溶接されるブランク対の溶接開始位置まで第1又は第2溶接ヘッドの他方を予め移動させるヘッド送り工程とを備えており、
前記溶接工程は、
第1溶接ヘッドによって溶接方向最上流側から数えた番数が1番目に相当する先頭ブランク対を溶接する先頭対溶接工程と、
その先頭対溶接工程の後、未溶接のブランク対のうち先頭ブランク対に最も近い奇数番目のブランク対を第2溶接ヘッドによって溶接する動作と、未溶接のブランク対のうち先頭ブランク対に最も近い偶数番目のブランク対を第1溶接ヘッドによって溶接する動作とを交互に繰り返して、末尾ブランク対の1つ手前のブランク対までを溶接する中間対溶接工程と、
その中間対溶接工程の後、第2溶接ヘッドにより末尾ブランク対を溶接する末尾対溶接工程とを備えていることを特徴とする突合わせブランク溶接方法。
【請求項2】
少なくとも四対以上かつ偶数対あるブランク対のうち、溶接方向上流側にある半数のものを固定する上流部治具と、溶接方向下流側にある残りの半数のものを固定するため前記上流部治具よりも溶接方向下流側に配設される下流部治具とが設けられる前記ブランク治具を備えた前記溶接システムを使用して行うものであり、
更に、前記先頭対溶接工程、中間対溶接工程、及び末尾対溶接工程を順番に繰り返し実行するものであって、
前記上流部治具により固定される全てのブランク対の溶接が完了した時点からその上流部治具の溶接方向最上流側に固定されるブランク対の溶接が再開される時点までの期間内に、その上流部治具から溶接済みのブランク対を排出し、その上流部治具へ新たな未溶接のブランク対を所定数供給し、その供給された各ブランク対の対向端面同士を突合わせてその上流部治具により固定する上流部準備工程と、
その上流部準備工程の後、前記下流部治具により固定される全てのブランク対の溶接が完了した時点からその下流部治具の溶接方向最上流側に固定されるブランク対の溶接が再開される時点までの期間内に、その下流部治具から溶接済みのブランク対を排出し、その下流部治具へ新たな未溶接のブランク対を所定数供給し、その供給された各ブランク対の対向端面同士を突合わせてその下流部治具により固定する下流部準備工程とを備えていることを特徴とする請求項1記載の突合わせブランク溶接方法。
【請求項3】
前記溶接工程は、請求項1記載の前記先頭対溶接工程、中間対溶接工程および末尾対溶接工程に代えて、
第1溶接ヘッド及び第2ヘッドによって、ブランク治具に固定される全てのブランク対のうち溶接方向上流側にある半数を溶接する上流対溶接工程と、
その上流対溶接工程の後、第1溶接ヘッド及び第2ヘッドによって、ブランク治具に固定される全てのブランク対のうち溶接方向下流側にある残り半数を溶接する下流対溶接工程とを備えていることを特徴とする請求項1記載の突合わせブランク溶接方法。
【請求項4】
前記上流対溶接工程によって溶接されるブランク対を固定する上流部治具と、前記下流対溶接工程によって溶接されるブランク対を固定するため前記上流部治具よりも溶接方向下流側に配設される下流部治具とが設けられる前記ブランク治具を備えた前記溶接システムを使用して行うものであり、
更に、前記上流対溶接工程および下流対溶接工程を交互に繰り返し実行するものであって、
前記下流対溶接工程の実行期間中に、前記上流部治具から溶接済みのブランク対を排出し、その上流部治具へ新たな未溶接のブランク対を所定数供給し、その供給された各ブランク対の対向端面同士を突合わせてその上流部治具により固定する上流部準備工程と、
前記上流対溶接工程の実行期間中に、前記下流部治具から溶接済みのブランク対を排出し、その下流部治具へ新たな未溶接のブランク対を所定数供給し、その供給された各ブランク対の対向端面同士を突合わせてその下流部治具により固定する下流部準備工程とを備えていることを特徴とする請求項3記載の突合わせブランク溶接方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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