説明

窒化ガリウムのバルク結晶とその成長方法

露出した{10−10}m面および露出した(000−1)窒素極性c面を有する多面体形状の窒化ガリウム結晶であって、露出した(000−1)窒素極性c面の表面積は10mmより大きく、露出した{10−10}m面の全表面積は(000−1)窒素極性c面の表面積の半分より大きいことを特徴とする窒化ガリウム結晶を提供する。GaNバルク結晶は、従来用いられているより高い温度と温度差で行う安熱法により、上方領域および下方領域をもつ高圧容器を有する耐圧窯を用いて成長された。高圧容器の下方領域の温度は550℃以上であり、高圧容器の上方領域の温度は500℃以上に設定され、下方領域および上方領域の間の温度差は30℃以上に保持される。c軸に沿って最長寸法を有し、露出した大面積のm面を有するGaN種結晶が用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づいて、本発明の譲受人に譲渡された以下の同時係属の米国特許仮出願の優先権を主張するものである。
橋本 忠朗(Tadao Hashimoto)およびシュウジ ナカムラ(Shuji Nakamura)による、米国特許仮出願第60/973,662号、2007年9月19日出願、発明の名称「窒化ガリウムのバルク結晶とその成長方法(GALLIUM NITRIDE BULK CRYSTALS AND THEIR GROWTH METHOD)」、代理人整理番号30794.244−US−P1(2007−809−1)。この出願は参照として本明細書中に組み込まれているものとする。
【0002】
本出願は、本発明の譲受人に譲渡された以下の同時係属の米国特許出願と関連するものである。
藤戸 健史(Kenji Fujito)、橋本 忠朗、およびシュウジ ナカムラによる、米国実用特許出願第11/921,396、2007年11月30日出願、発明の名称「耐圧釜を用いた超臨界アンモニア中でのIII族窒化物結晶の成長方法(METHOD FOR GROWING GROUP III−NITRIDE CRYSTALS IN SUPERCRITICAL AMMONIA USING AN AUTOCLAVE)」、代理人整理番号30794.129−US−WO(2005−339−2)。該出願は、米国特許法第365条(c)に基づいて、下記の出願の優先権を主張するものである。藤戸 健史、橋本 忠朗、およびシュウジ ナカムラによる、PCT国際特許出願第US2005/024239号、2005年7月8日出願、発明の名称「耐圧釜を用いた超臨界アンモニア中でのIII族窒化物結晶の成長方法(METHOD FOR GROWING GROUP III−NITRIDE CRYSTALS IN SUPERCRITICAL AMMONIA USING AN AUTOCLAVE)」、代理人整理番号30794.129−WO−01(2005−339−1)。
【0003】
橋本 忠朗、斉藤 真(Makoto Saito)、およびシュウジ ナカムラによる、米国実用特許出願第11/784,339号、2007年4月6日出願、発明の名称「超臨界アンモニア中での大表面積窒化ガリウム結晶の成長方法と大表面積窒化ガリウム結晶(METHOD FOR GROWING LARGE SURFACE AREA GALLIUM NITRIDE CRYSTALS IN SUPERCRITICAL AMMONIA AND LARGE SURFACE AREA GALLIUM NITRIDE CRYSTALS)」、代理人整理番号30794.179―US−U1(2006−204)。この出願は米国特許法第119条(e)に基づいて、下記米国特許出願の優先権を主張するものである。橋本 忠朗、斉藤 真、およびシュウジ ナカムラによる、米国特許仮出願第60/790,310号、2006年4月7日出願、発明の名称「超臨界アンモニア中での大表面積窒化ガリウム結晶の成長方法と大表面積窒化ガリウム結晶(A METHOD FOR GROWING LARGE SURFACE AREA GALLIUM NITRIDE CRYSTALS IN SUPERCRITICAL AMMONIA AND LARGE SURFACE AREA GALLIUM NITRIDE CRYSTALS)」、代理人整理番号30794.179―US−P1(2006−204)。
【0004】
橋本 忠朗、佐藤 均、およびシュウジ ナカムラによる、米国実用特許出願第11/765,629号、2007年6月20日出願、発明の名称「安熱法による成長で作製された窒素面またはM面GaN基板を用いた光電子デバイスおよび電子デバイス(OPTO−ELECTRONIC AND ELECTRONIC DEVICES USING N−FACE OR M−PLANE GaN SUBSTRATE PREPARED WITH AMMONOTHERMAL GROWTH)」、代理人整理番号30794.184−US−U1(2006−666)。この出願は米国特許法第119条(e)に基づいて、下記米国特許仮出願の優先権を主張するものである。橋本 忠朗、佐藤 均、およびシュウジ ナカムラによる、米国特許仮出願第60/815,507号、2006年6月21日出願、発明の名称「安熱法による成長で作製された窒素面GaN基板を用いた光電子デバイスおよび電子デバイス(OPTO−ELECTRONIC AND ELECTRONIC DEVICES USING N−FACE GaN SUBSTRATE PREPARED WITH AMMONOTHERMAL GROWTH)」、代理人整理番号30794.184−US−P1(2006−666)、および、橋本 忠朗による、米国実用特許出願第11/977,661号、2007年10月25日出願、発明の名称「超臨界アンモニアと窒素の混合ガス中でのIII族窒化物結晶の成長方法とそれによって成長したIII族窒化物結晶(METHOD FOR GROWING GROUP III−NITRIDE CRYSTALS IN A MIXTURE OF SUPERCRITICAL AMMONIA AND NITROGEN AND GROUP II−NITRIDE CRYSTALS GROWN THEREBY)」、代理人整理番号30794.253−US−U1(2007−774−2)。この出願は米国特許法第119条(e)に基づいて、下記米国特許出願の優先権を主張するものである。橋本 忠朗による、米国特許仮出願第60/854,567号、2006年10月25日出願、発明の名称「超臨界アンモニアと窒素の混合ガス中でのIII族窒化物結晶の成長方法とIII族窒化物結晶(METHOD FOR GROWING GROUP III−NITRIDE CRYSTALS IN MIXTURE OF SUPERCRITICAL AMMONIA AND NITROGEN AND GROUP III−NITRIDE CRYSTALS)」、代理人整理番号30794.253−US−P1(2007−774)。
【0005】
これらの出願は参照として本明細書中に組み込まれているものとする。
【0006】
本発明は、窒化ガリウムのバルク結晶およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0007】
(注:本出願は、明細書を通して一つ以上の参照番号を括弧で括って、たとえば[非特許文献x]のように表示して、多くの異なる刊行物を参考文献とする。この参照番号順に並べたこれらの異なる出版物のリストは、以下の参考文献と記したセクションに見出すことができる。これら出版物のそれぞれは、参照として本明細書中に組み込まれているものとする。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
窒化ガリウム(GaN)および、アルミニウムおよびインジウムを含むその3元合金および4元合金(AlGaN、InGaN、AlInGaN)の有用性は、可視光及び紫外光の光電子デバイスおよび高出力電子デバイスの製作において十分に確立されてきた。GaNウェーハは大変高価であるので、これらのデバイスは、通常は、サファイヤおよび炭化珪素のような異種基板上にエピタキシャル法で成長される。III族窒化物をヘテロエピタキシャル成長法により成長すると、大変欠陥の多い、または裂け目のある薄膜ができあがってしまい、これらのデバイスの特性と信頼性を損ねることになる。
【0009】
ヘテロエピタキシャル成長により起こるこれらの問題を取り除くためには、バルクのGaN結晶からスライスしたGaNウェーハを用いなければならない。しかしながら、GaNは融点が高く、高温での窒素の蒸気圧が高いため、GaNのバルク結晶を成長することは非常に困難である。
今日までに、バルクのIII族窒化物結晶を得るために、高圧高温合成法[非特許文献1,2]およびナトリウム・フラックス方法 [非特許文献3,4]のような方法が用いられてきた。しかしながら、これらの方法は、窒素の溶解度が非常に低く拡散係数も小さいGa融液を用いることに基づいているため、これらの方法によって得られる結晶形状は薄い小さな板状体である。
【0010】
新技術は、多結晶GaNまたはGa金属のような原材料に対する溶解度が高く、分解された前駆体を輸送する速度が大きい超臨界アンモニアを用いることに基づくものである。この安熱法[非特許文献5〜8、特許文献1]は、大きなGaN結晶を成長できる可能性をもつ。しかしながら、現存の技術は、成長速度が大きな結晶を得られる程速くはないために、結晶のサイズが制限されている。
【非特許文献1】S.Porowski,MRS Internet Journal of Nitride Semiconductor,Res.4S1,(1999)G1.3.
【非特許文献2】T.Inoue,Y.Seki,O.Oda,S.Kurai,Y.Yamada,and T.Taguchi,Phys.Stat.Sol.(b)223(2001)p.15
【非特許文献3】M.Aoki,H.Yamane,M.Shimada,S.Sarayama,and F.J.DiSalvo,J.Cryst.Growth 242 (2002)p.70
【非特許文献4】T.Iwahashi,F.Kawamura,M.Morishita,Y.Kai,M.Yoshimura,Y.Mori,andT.Sasaki,J.Cryst.Growth 253(2003)p.1
【非特許文献5】D.Peters,J.Cryst.Growth 104 (1990)pp.441−418
【非特許文献6】R.Dwilinski,R.Doradzinski,J.Garczynski,L.Sierzputowski,J.M.Baranowski,M.Kaminska,Diamond and Related Mat.7(1998)pp.1348−1350
【非特許文献7】R.Dwilinski,R.Doradxinski,J.Garczynski,L.Sierzpuntowski,M.Palczewska,Andrzej Wysmolek,M.Kaminska,MRS Internet Journal of Nitride Semiconductor,Res.3 25(1998)
【非特許文献8】Douglas R.Ketchum,Joseph W.Kolis,J.Cryst.Growth 222(2001)pp.431−434
【特許文献1】R.デュウィリンスキ(R.Dwilinski),R.ドラジンスキ(R.Doradzinski)、J.ガージンスキ(J.Garczynski)、L.シエルプトウスキ(L.Sierzputowski)、およびY.カンバラ(Y.Kanbara)による、米国特許第6,656,615号、2003年12月2日発行、発明の名称「バルク単結晶窒化ガリウム(Bulk monocrystalline gallium nitride)」
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、既存の成長方法では得られなかった多面体形状の窒化ガリウム(GaN)バルク結晶を開示する。この多面体を単にスライスするだけで任意の好ましい方位を有するGaNウェーハを得ることができるので、このGaNバルク結晶の形状は、既存の小さな板状体形状のGaNよりも優れている。GaNバルク結晶は、露出した{10−10}m面および露出した(000−1)窒素極性c面を有し、露出した(000−1)窒素極性c面の表面積が10mmよりも大きく、また、露出した{10−10}m面の全表面積が(000−1)窒素極性c面の表面積の半分よりも大きいことを特徴とする。
【0012】
このGaNバルク結晶は、安熱法を用いて成長された。500℃より高い温度で高圧のアンモニアを含有するために、Ni−Crベースの超合金からなり、鉛直方向に最長寸法をもつ高圧容器が用いられる。高圧容器は仕切り板を備えており、その仕切り板により高圧容器の内室が高圧容器の長手方向に沿って上方領域および下方領域と呼ばれる2つの領域に分割される。多結晶GaNまたはGa金属のようなGaを含む原材料は上方領域に設置され、単結晶GaNのような種結晶は下方領域に設置される。成長速度を速くするために、KNH、NaNH、LiNH、K、Na、Li、Ca(NH、Mg(NH、Ba(NH、Ca、Mg、MgCl、CaCl、MgBr、CaBr、MgI、CaI、Mg、Ca、または同様のアルカリ金属、アルカリ土類金属を含む物質のようなアルカリベースの鉱化剤が添加される。高圧容器はアンモニアで充填され、密閉され、外部から上方領域と下方領域の間の温度差を設定するための多帯ヒータによって加熱される。多面体形状のGaN結晶は、下方領域(結晶化領域)の温度を550℃以上に、上方領域(分解領域)の温度を500℃以上に、上方領域と下方領域との間の温度差を30℃以上に設定することにより成長される。これらの温度は、通常は30日より長い間保持される。次に、通常は、300℃より高い温度で高圧のアンモニアが放出され、300℃より高い温度で容器が開封され、冷却される。
【0013】
小さな板状体形状の結晶を種として用いることもできるが、GaN多面体の多粒構造を避けるためには、棒形状のGaN種結晶を用いるのが好ましい。例えば、種結晶がa面配向の窒化ガリウムウェーハ、m面配向の窒化ガリウムウェーハ、またはc面配向の窒化ガリウムウェーハであることを特徴とする種結晶上に結晶を成長することもできる。a面配向の種結晶は、安熱法によって成長したGaNブールをスライスすることによって得ることができる。c軸に沿って最長寸法をもつ棒形状のGaN結晶上に結晶を成長することもできる。GaNウェーハは、本発明を用いて得られるバルク結晶からスライスして得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下、図面を参照し、対応する部分には一貫して同じ参照番号を付与する。
【図1】本発明の好ましい実施形態による高圧容器の概略図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態による方法を示すフローチャートである。
【図3】図3(a)および図3(b)は多面体形状のGaNバルク結晶の写真、図3(c)は図3(b)のGaNバルク結晶の上面概略図である。ここで図3(a)および図3(b)に示したスケールの最小目盛りは0.5ミリメートルである。
【図4】六角形の棒状の種の上に成長したGaNの写真である。
【図5】図5(a)はスライス前のGaNブールの側面図、図5(b)〜(e)は図5(a)に示したGaNブールからスライスしたc面GaNウェーハの写真である。図5(a)の平行線と長方形は、それぞれワイヤソーを施すおおよその位置と種結晶の位置を表し、図5(b)〜(e)に示したスケールの最小目盛りは0.5ミリメートルである。
【図6】図6(a)はスライス前のGaNブールの上面図、図6(b)〜(h)は図6(a)に示したGaNブールからスライスしたm面GaNウェーハの写真である。図6(a)の平行線と台形は、それぞれワイヤソーを施すおおよその位置と種結晶の位置を表し、図6(b)(h)に示したスケールの最小目盛りは0.5ミリメートルである。
【図7】図7(a)〜(c)は、本発明において用いられる種結晶の例の概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好ましい実施形態に関する以下の記述においては、本明細書の一部を形成し、本発明を実施することができる特定の実施形態が例示目的で示されている添付の図面を参照する。本発明の範囲を逸脱することなしに、他の実施形態が用いられてもよく、また構造の変化がなされてもよいということは明らかである。
技術的な説明
本発明は、多面体形状のGaN結晶を多くの異なる好ましい方位のうち任意の方位に沿ってスライスすることによって得られるGaNウェーハについて記述する。多面体形状のGaNバルク結晶は、露出した{10−10}m面および露出した(000−1)窒素極性c面を有し、露出した(000−1)窒素極性c面の表面積は10mmより大きく、露出した{10−10}m面の全表面積は(000−1)窒素極性c面の表面積の半分より大きいことを特徴とする。
【0016】
多面体形状のGaNバルク結晶は、超臨界アンモニア中で通常は多結晶GaNまたは金属GaのようなGaを含む原材料を用いて成長される。図5(b)〜(e)は、図5(a)に示したGaNブールからスライスしたc面GaNウェーハの写真である。500℃以上の温度と1.5kbar以上の圧力下で超臨界アンモニアを含有するために、長手方向が鉛直方向である耐圧窯が用いられる。300℃より高い温度で高圧を保持するために、Ni−Crベースの超合金が容器材料として用いられる。
【0017】
図1は、本発明の好ましい実施形態による高圧容器10の概略図である。高圧容器10(内室10b、上方領域10c、下方領域10d、および底10eを含む)は、耐圧窯本体10a、耐圧窯蓋20、耐圧窯ねじ30、ガスケット40、一つ以上の仕切り板50、およびアンモニア用の入口および出口のポート60を備える。仕切り板50(すなわち流れ制限板)により、耐圧窯本体10aの内室10bを、長手方向Hに沿って上方領域10cおよび下方領域10dの2つの領域に分割する。内室10bは底10eを有する。耐圧窯本体10a、耐圧窯蓋20、および耐圧窯ねじ30は、Ni−Crをベースにした合金から出来ていてもよく、最長寸法Dは鉛直方向Vに沿っている。
【0018】
図1には示されていないが、操作の安全性と純粋な結晶の成長を実現するために、内部チャンバーを用いることができる。大きなGaN結晶を成長するために必要な内室10bの全体積は非常に大きいため、100gを超える量の無水液体アンモニアが必要である。内部チャンバーを用いることにより、容易に多量のアンモニアをチャンバー内で液化させることができ、湿気による汚染を防ぎ、成長する結晶に不純物が入り込むのを避けることができる。
【0019】
同様の構造は下記特許文献に開示されている。
橋本 忠朗、斉藤 真、およびシュウジ ナカムラによる、米国実用特許出願第11/784,339号、2007年4月6日出願、発明の名称「超臨界アンモニア中での大表面積窒化ガリウム結晶の成長方法と大表面積窒化ガリウム結晶(METHOD FOR GROWING LARGE SURFACE AREA GALLIUM NITRIDE CRYSTALS IN SUPERCRITICAL AMMONIA AND LARGE SURFACE AREA GALLIUM NITRIDE CRYSTALS)」、代理人整理番号30794.179―US−U1(2006−204)。この出願は米国特許法第119条(e)に基づいて、下記米国特許仮出願の優先権を主張するものである。橋本 忠朗、斉藤 真、およびシュウジ ナカムラによる、米国特許仮出願第60/790,310号、2006年4月7日出願、発明の名称「超臨界アンモニア中での大表面積窒化ガリウム結晶の成長方法と大表面積窒化ガリウム結晶(A METHOD FOR GROWING LARGE SURFACE AREA GALLIUM NITRIDE CRYSTALS IN SUPERCRITICAL AMMONIA AND LARGE SURFACE AREA GALLIUM NITRIDE CRYSTALS)」、代理人整理番号30794.179―US−P1(2006−204)。この出願は参照として本明細書中に組み込まれているものとする。
【0020】
図2は、本発明の好ましい実施形態による方法を示すフローチャートである。
ブロック70は、Gaを含む材料、GaN種単結晶、および鉱化剤を耐圧窯本体10aに設置するステップを表す。ここでGaを含む材料は、通常は、内室10bの上方領域10cに装填され、GaN種結晶は、通常は、内室10bの下方領域10dに設置される。アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む鉱化剤も、10cまたは10dのどちらかの領域に添加される。
【0021】
ブロック80は、高圧容器10を密閉するステップを表す。ここで、耐圧窯本体10a内に全ての固体材料を装填後、耐圧窯本体10aの耐圧窯蓋20が耐圧窯ねじ30をしっかり締めることによって密閉される。
ブロック90は、容器(内室10b)をアンモニアで充填するステップを表す。ここで、アンモニアは、耐圧窯本体10aのアンモニアの入口と出口のポート60を通して供給される。
【0022】
アンモニアの充填後、高圧容器10は、ポート60につながる(図1に図示ない)高圧弁を閉じることによって切り離される。このようにして、すべての固体材料およびアンモニアを酸素や湿気による汚染を受けることなく高圧容器10に装填することができる。
ブロック100は、高圧容器10を加熱するステップを表す。ここで、耐圧窯本体10aは、上方領域10cと下方領域10dとの間の温度差を設定するために多帯ヒータを用いて加熱される。このようにして、原材料は超臨界アンモニア中に溶け、種結晶へ輸送され、GaNが種結晶上に結晶化される。
【0023】
本発明の重要な特徴は、下方領域10dと上方領域10cとの間の温度差を30℃以上に維持しながら、内室10bの下方領域10dの温度を550℃以上に、内室10bの上方領域10cの温度を500℃以上に設定することである。温度差を十分に大きく設定することにより、GaNの高成長速度が達成される。結晶面上の成長速度は成長方法および条件に依存して変化するが、本発明により、以下に示す例における安熱法によりm面ファセットが有する多面体形状のGaNを選択的に生成されることが発見された。
【0024】
ブロック110は、高圧容器10を高温に保持するステップを表す。ここで、高圧容器10は30日間、及びより一般的には、60日〜120日の間、これらの温度に保持されることになる。
ブロック120は、高圧のアンモニアを高温で放出するステップを表す。ここでは、ブロック110の保持ステップの後に、アンモニアがポート60より高圧および高温で放出される。
【0025】
次に、高圧容器10は、ブロック130に示すように高温で開封され、引き続き、ブロック140に示すように、冷却される。
ブロック150に示すように、この方法の最終結果として一つ以上の多面体形状のGaN結晶が得られる。例えば、最終結果は、露出した{10−10}m面および露出した(000−1)窒素極性c面を有する多面体形状のGaN結晶であってもよい。露出した(000−1)窒素極性c面の表面積は、10mmより大きく、かつ、露出した{10−10}m面の全表面積は(000−1)窒素極性c面の表面積の半分よりは大きくなり得る。
【0026】
本発明の他の重要な特徴は、c軸に沿って最長寸法を有し、露出した大面積のm面、a面、他の無極性面または半極性面を有するGaN種結晶を用いることである。種結晶の形状は、六角形の棒、六角形のピラミッド、m面を有する小さな板状体、a面を有する小さな板状体、他の無極性の小さな板状体、または半極性の小さな板状体であってもよい。
ハイドライド気相エピタキシャル成長(HVPE)法により成長された従来のc面GaNの小さな板状体はもともと曲がった結晶格子を有するため、このような従来のGaNの小さな板状体上への安熱法で成長すると、多粒構造になってしまう。c軸に沿って最長寸法を有する種結晶を用いることにより、多粒構造は避けられる。加えて、+c面よりも−c面の方が不純物および欠陥が多く取り込まれるため、従来行われているように、c面の小さな板状体上で成長すると結果としてc軸に沿って不純物/欠陥の不均一な分布が生じてしまう(すなわち、結晶の片面が他の面よりも不純物/欠陥密度が高くなる)。m面、a面、他の無極性面または半極性面上に成長することによって、不純物/欠陥濃度の均一なGaN結晶を得ることができる。
【0027】
HVPE法または高圧合成、フラックス法、または安熱法のような他の方法を用いて自然に核形成した結晶から、棒形状、ピラミッド形状、または小さな板状体形状のGaNを得ることができる。これらの自然に核形成した結晶は応力を受けずに成長するので、結晶格子は反ることはない。それゆえ、このような種結晶上に安熱法によって成長した結晶は、結晶学的格子の反りを受けることはない。
実験結果
実施例1(成長実験番号THV2008)(内部チャンバーを用いない場合)
この例において、GaNは内径1インチ、内側高さ10インチで、チャンバーの高さの中間に3つの仕切り板を有する耐圧窯を備える高圧容器内で成長された。まず、4.377gのNaNHが耐圧窯の底に装填され、次に、小さな板状体形状のc面GaN種結晶(一つは最長寸法が約4.5mmの長方形状、もう一つは最長寸法が約6mmの三角形状)が耐圧窯の下方領域に装填され、Ni−Crのメッシュ状のバスケット内に含まれる30gの多結晶GaNが耐圧窯の上方領域に装填された。これらの固体材料源は、酸素と湿気の濃度が1ppm未満に制御されたグローブボックス内に装填された。耐圧窯の蓋がしっかり締められた後、45.7gの無水液体アンモニアが耐圧窯内で濃縮され、耐圧窯は、外部ヒータによって加熱された。下方領域は575℃に、上方領域は510℃に維持された。温度差は65℃であり、それによる最大圧力は32,270psi(2.1kbar)であった。耐圧窯は82日間高温で維持され、82日後にアンモニアが放出された。アンモニア圧力が放出されるとすぐに耐圧窯の蓋のねじが緩められ、耐圧窯が冷却された。室温において耐圧窯が開けられた。
【0028】
出来上がった多面体形状のGaN結晶(長方形の種結晶上に成長したもの)160、(三角形の種結晶上に成長したもの)170は、それぞれ図3(a)および図3(b)に示されている。 図3(a)は、結晶160が六角形の底すなわち端面180a(および結晶160の反対側の端に六角形の表面180bも含まれる)を備えていることを示している。表面180aは窒素極性(000−1)c面であり、表面180aの表面積は約47mmである。結晶160はさらに露出したm面である側壁190a、190b、190c、190d、190eおよび190fからなり、その全面積は約54mm(すなわち、表面190a、190b、190c、190d、190eおよび190fの面積の和は約54mm)である。露出したm面のこの全面積は、窒素極性(000−1)表面180aの表面積の半分より大きい。図3(b)は、半六角形の底面200a(および半六角形の上面200bも備えていてもよい)を備える結晶170を示す。表面200aは窒素極性(000−1)c面であり、表面積は約42mmである。結晶170は、さらに露出したm面である側壁210a、210b、210cおよび210dからなり、その全面積は約70mm(すなわち、表面210a、210b、210cおよび210dの面積の和は約70mm)である。露出したm面の全面積は、窒素極性(000−1)面200aの表面積の半分より大きい。これらの多面体形状のGaN結晶160および170をカットし、任意の好ましい方位を有する基板にすることは容易にできる。
実施例2(成長実験番号C119)(内部チャンバーを用いた場合)
この実施例において、GaNは、内部チャンバーを有する耐圧窯を備える高圧容器の中で成長された。内部チャンバーは内径2インチ、内側高さ10インチで、チャンバーの高さの中間に3つの仕切り板を有する。まず、9.021gのNaNHが内部チャンバーの底に装填された。次に、六角形の棒形状のGaN種結晶(露出したm面を有し、底面の点と点の間の長さが約2mm、高さが約3mmである)が内部チャンバーの下方領域に装填され、Ni−Crのメッシュ状のバスケットに含まれる100.7gの多結晶GaNが該内部チャンバーの上方領域に装填された。これらの固体材料源は、酸素と湿気濃度が1ppm未満に制御されたグローブボックスの中に装填された。内部チャンバーの蓋がしっかり締められた後、101.5gの無水液体アンモニアが内部チャンバー内で濃縮され、次に、内部チャンバーは耐圧窯へ移送され、その蓋が密閉された。耐圧窯は、外部ヒータによって加熱された。下方領域は700℃に、上方領域は509℃に維持された。耐圧窯は厚い壁を有するので、内部チャンバー内部での温度差は高くても約30℃であり、それによる最大圧力は27,986psi(2kbar)であった。耐圧窯は83日間高温に維持され、83日後にアンモニアが放出された。アンモニア圧力が放出されるとすぐに耐圧窯の蓋のねじが緩められ、耐圧窯が冷却された。室温において耐圧窯が開けられた。
【0029】
出来上がった多面体形状のGaN結晶220は、図4に示される。図4に示すように、底の窒素極性(000−1)c面である表面230は、m面である側壁240a、240b、240c、240d、240e、および240fよりも暗い色をしている。色は不純物および欠陥により発生すると考えられるので、この結果は、m面である側壁240a、240b、240c、240d、240e、または240f上で成長すると、取り込まれる不純物および/または欠陥が少ないことを実証している。また、この結晶220が大きなサイズで成長できれば、従来のc面の小さな板状体に成長される結晶よりも粒構造のはるかに少ないものが実現できる。
実施例3(THV2008からスライスしたウェーハ)
この実施例において、図5(a)および図6(a)に示された成長したGaNブール250および260がワイヤソーでスライスされた。図5(a)および図6(a)のメッシュ格子の寸法は1mmである。図5(b)、図5(c)、図5(d)、および図5(e)はc面のウェーハを示し、図6(b)、図6(c)、図6(d)、図6(e)、図6(f)、図6(g)、および図6(h)はm面のウェーハを示している。 この実施例は、任意の望ましい方位をもつウェーハが容易に作製できることを実証するものである。
【0030】
図5(a)において、平行線270は、図5(b)、図5(c)、図5(d)、および図5(e)に示した薄片を切断するためのワイヤソーが施されるおおよその位置を表す。ここで、図5(b)、図5(c)、図5(d)、および図5(e)の薄片は、上面と底を結ぶ平行線270の順番に対応している。図5(a)内の長方形280は、ブール250の成長のための種結晶の位置を示す。
【0031】
図6(a)では、平行線290は、図6(b)、図6(c)、図6(d)、図6(e)、図6(f)、図6(g)、および図6(h)に示した薄片にカットするためのワイヤソーが施されるおおよその位置を表す。ここで図6(b)、図6(c)、図6(d)、図6(e)、図6(f)、図6(g)、および図6(h)の薄片は、上面と底を結ぶ平行線290の順番に対応している。図6(a)における台形300は、ブール260の成長のための種結晶の位置(すなわち輪郭)を示す。図6(b)〜図6(h)における先端が一つの白い矢印は、種結晶と安熱法で成長した結晶260との間の横方向の境界線を表す。
【0032】
さらに、図5(b)の薄片の解析の結果により、a方向に沿った成長はm方向に沿った成長よりもはるかに速く、a方向に沿って成長する領域は+c方向または−c方向に沿って成長する領域よりもはるかに透明であることが示された。それゆえに、多面体GaNを成長するためにはa面の種結晶を用いることが有利である。
種結晶
図7(a)、図7(b)および図7(c)は、種結晶の様々な形状を示す。図7(a)は、図3(a)の結晶160を成長するために用いられるような、長方形状320の表面330、長方形状の表面340、長方形状350の表面360、および最長寸法370からなる長方形の種結晶ウェーハ310を示す。実施例1において、最長寸法370は約4.5mmである。図5(b)〜図5(e)に示した薄片は、種結晶310の表面330に平行であり、長方形の形状320および最長寸法370を示している。図5(a)における長方形350は表面360の周囲を示している。表面330がc面であれば、表面360はm面、表面340はa面である。
【0033】
図7(b)は、図3(b)の結晶170を成長するために用いられるような、三角形状390の表面400、表面410、および最長寸法420をもつ種結晶ウェーハ380を示す。例1においては、最長寸法420は6mmである。三角形状390および最長寸法420は、図6(a)にも示されている。例1においては、表面410はm面であり、図6(a)の台形300はa面に平行な表面、表面410(m面)及び他のm面の輪郭である(すなわち、図6(a)における紙面がc面である)。
【0034】
図7(c)は、露出したm面440a、440b、440cの表面、多面体形状(たとえば六角形)の底面470の点450aから点450bまでの寸法460、および高さ480をもつ、六角形の棒状の種結晶430を示す。図4の結晶220は、寸法460が2mmで高さ480が3mmの種430上に成長される。
このように、GaN結晶160、170、220は、例えば種結晶上に成長することができ、この種結晶は、ウェーハ310または380、またはc軸に沿って最長寸法480を有する棒形状の窒化ガリウム結晶430であってもよい。ウェーハ310、380は、(例えば、ウェーハ310、380の最大の表面330、400がa面であることを特徴とする)a面配向のGaNウェーハ、(例えば、ウェーハ310、380の最大の表面330、400がm面であることを特徴とする)m面配向のGaNウェーハ、(例えば、ウェーハ310、380の最大の表面330、400がc面であることを特徴とする)c面配向のGaNウェーハであってもよい。a面配向の種結晶310、380は、例えば、安熱法によって成長したGaNブール(例えば、160、170)をスライスすることによって得ることもできる。
【0035】
結晶160、170、220は、種結晶310、380、430を包み込むように、または包囲するように、種結晶310、380、430の全ての表面上に成長できる。例えば、種結晶のa面の表面上、種結晶のm面の表面上、および種結晶のc面の表面上に結晶を成長することができる。しかしながら、a面はm面よりも早く成長するので、通常は、種結晶のm面の表面上よりも種結晶のa面の表面上により多くの結晶が成長する。
可能な変更と変形
実施例においては多結晶GaNが原材料として用いられたが、原材料としてGa金属、非晶質GaN、または他のGaを含む材料を用いても同じ効果を得ることができる。
【0036】
NaNHが例に示されたが、同様の効果は、KNH、NaNH、LiNH、K、Na、Li、Ca(NH、Mg(NH、Ba(NH、Ca、Mg、MgCl、CaCl、MgBr、CaBr、MgI、CaI、Mg、Ca、または同様のアルカリ金属、またはアルカリ土類金属を含む物質のようなアルカリベースの鉱化剤を用いて達成することができる。
【0037】
この方法はAlNおよびInNのような他のIII族窒化物を成長するために用いることもできる。
従来の実施形態に対する利点および改良点
従来の方法では、GaN結晶の形状が小さな板状体に限定されている。本発明は、露出した{10−10}m面190a〜190cおよび露出した(000−1)窒素極性c面180aをもつ多面体形状のGaNバルク結晶160を開示するものである。ここで、露出した(000−1)窒素極性c面180aの表面積が10mmより大きく、全ての露出した{10−10}m面190a、190b、190c、190d、190eおよび190fの全表面積が(000−1)窒素極性c面180aの表面積の半分より大きい。この形状は、多面体をスライスすることによって任意の好ましい方位を有するGaNウェーハを簡単に得ることができるので、GaN 結晶のこの形状は、従来の小さな板状体形状のGaNに比べて有益である。該GaNバルク結晶は、従来用いられているよりも高い温度と温度差をもつ安熱法によって成長された。
参考文献
以下の参考文献は参照として本明細書中に組み込まれているものとする。
1.S.Porowski,MRS Internet Journal of Nitride Semiconductor,Res.4S1,(1999)G1.3.
2.T.Inoue,Y.Seki,O.Oda,S.Kurai,Y.Yamada,and T.Taguchi,Phys.Stat.Sol.(b)223(2001)p.15
3.M.Aoki,H.Yamane,M.Shimada,S.Sarayama,and F.J.DiSalvo,J.Cryst.Growth 242 (2002)p.70
4.T.Iwahashi,F.Kawamura,M.Morishita,Y.Kai,M.Yoshimura,Y.Mori,andT.Sasaki,J.Cryst.Growth 253(2003)p.1
5.D.Peters,J.Cryst.Growth 104 (1990)pp.441−418
6.R.Dwilinski,R.Doradzinski,J.Garczynski,L.Sierzputowski,J.M.Baranowski,M.Kaminska,Diamond and Related Mat.7(1998)pp.1348−1350
7.R.Dwilinski,R.Doradxinski,J.Garczynski,L.Sierzpuntowski,M.Palczewska,Andrzej Wysmolek,M.Kaminska,MRS Internet Journal of Nitride Semiconductor,Res.3 25(1998)
8.Douglas R.Ketchum,Joseph W.Kolis,J.Cryst.Growth 222(2001)pp.431−434
9.R.デュウィリンスキ(R.Dwilinski),R.ドラジンスキ(R.Doradzinski)、J.ガージンスキ(J.Garczynski)、L.シエルプトウスキ(L.Sierzputowski)、およびY.カンバラ(Y.Kanbara)による、米国特許第6,656,615号、2003年12月2日発行、発明の名称「バルク単結晶窒化ガリウム(Bulk monocrystalline gallium nitride)」
結論
これで本発明の好ましい実施形態の記述を終了する。本発明の一つ以上の実施形態に関する上記の記述は、例示および記述を目的として提供された。この記述は本発明を包括、または開示された正確な形態に限定しようとするものではない。上記の教示に照らして多くの改良と変形が可能である。本発明の技術範囲は、この詳細な記述によってではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露出した{10−10}m面および露出した(000−1)窒素極性c面を有する多面体形状の窒化ガリウム結晶。
【請求項2】
前記露出した(000−1)窒素極性c面の表面積が、10mmより大きく、前記露出した{10−10}m面の全表面積が、前記(000−1)窒素極性c面の表面積の半分より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項3】
前記結晶は超臨界アンモニア中で成長されることを特徴とする、請求項1に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項4】
前記結晶は種結晶上に成長し、該種結晶はa面配向の窒化ガリウムウェーハであることを特徴とする、請求項3に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項5】
前記a面配向の種結晶は、安熱法によって成長されたGaNブールをスライスすることによって得られることを特徴とする、請求項4に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項6】
前記結晶は種結晶上に成長され、該種結晶はm面配向の窒化ガリウムウェーハであることを特徴とする、請求項3に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項7】
前記結晶は種結晶上に成長され、該種結晶はc面配向の窒化ガリウムウェーハであることを特徴とする、請求項3に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項8】
前記結晶はc軸に沿って最長寸法を有する棒状の窒化ガリウム結晶上に成長されることを特徴とする、請求項3に記載の窒化ガリウム結晶。
【請求項9】
請求項1に記載の結晶からスライスされた窒化ガリウムウェーハ。
【請求項10】
高圧容器内で窒化ガリウム(GaN)結晶を成長する方法であって、該高圧容器内の内室の下方領域を550℃以上に加熱するステップと、該下方領域と上方領域の間の温度差を30℃以上に維持しながら該内室の上方領域を500℃以上に加熱するステップとを備えた方法。
【請求項11】
(a)アルカリベースの鉱化剤を高圧容器の底に、GaN種単結晶を該高圧容器の下方領域に、および、Gaを含む材料を該高圧容器の上方領域に装填するステップと、
(b)前記高圧容器をアンモニアで充填するステップと、
(c)前記高圧容器を密閉するステップと、
(d)前記高圧容器の前記下方領域を外部ヒータを用いて550℃以上に加熱するステップと、前記下方領域と上方領域の間の温度差を30℃以上に保持しながら、前記高圧容器の前記上方領域を外部ヒータで500℃以上に加熱するステップと、
(e)30日以上前記下方領域を550℃以上に、前記上方領域を500℃以上に維持し、前記温度差を維持するステップと、
(f)300℃より高い温度で高圧のアンモニアを放出するステップと、
(g)300℃より高い温度で前記高圧容器を開封するステップと、
(h)前記高圧容器を冷却するステップとを更に備え、
(i)前記高圧容器は、Ni−Crベースの合金からなり、鉛直方向に沿って最長寸法を有し、かつ、前記高圧容器の内室を前記上方領域と前記下方領域とに分割するための流れ制限板を有することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
製造される前記窒化ガリウム結晶は、露出した{10−10}m面および(000−1)窒素極性c面を有し、前記露出した(000−1)窒素極性c面の表面積は10mmより大きく、かつ、前記露出した{10−10}m面の全表面積は前記(000−1)窒素極性c面の表面積より大きいことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記GaN種単結晶はa面配向を有し、安熱法によって成長されたGaN結晶からスライスされることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
露出した{10−10}m面および露出した(000−1)窒素極性c面を有する多面体形状の窒化ガリウム(GaN)結晶であって、
(a)アルカリベースの鉱化剤を高圧容器の底に、GaN種単結晶を前記高圧容器の下方領域に、および、Gaを含む材料を該高圧容器の上方領域に装填するステップと、
(b)前記高圧容器をアンモニアで充填するステップと、
(c)前記高圧容器を密閉するステップと、
(d)前記高圧容器の前記下方領域を外部ヒータを用いて550℃以上に加熱するステップと、前記下方領域と前記上方領域の間の温度差を30℃以上に維持しながら、前記高圧容器の前記上方領域を外部ヒータで500℃以上に加熱するステップと、
(e)30日以上に亘って、前記下方領域を550℃以上に、前記上方領域を500℃以上に保持し、前記温度差を維持するステップと、
(f)300℃より高い温度で高圧のアンモニアを放出するステップと、
(g)300℃より高い温度で前記高圧容器を開封するステップと、
(h)前記高圧容器を冷却するステップとを更に備え、
(i)前記高圧容器は、Ni−Crをベースにした合金からなり、鉛直方向に沿って最長寸法を有し、前記高圧容器の内室を前記上方領域と前記下方領域とに分割するための流れ制限板を有することを特徴とする方法により成長した窒化ガリウム(GaN)結晶。
【請求項15】
前記露出した(000−1)窒素極性c面の表面積は10mmより大きく、前記露出した{10−10}m面の全表面積は前記(000−1)窒素極性c面の表面積の半分より大きいことを特徴とする、請求項14に記載のGaN結晶。
【請求項16】
前記GaN種単結晶はa面配向を有し、安熱法によって成長されたGaN結晶からスライスされたものであることを特徴とする、請求項14に記載のGaN結晶。

【図1】
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【図2】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−538966(P2010−538966A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526004(P2010−526004)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/077056
【国際公開番号】WO2009/039398
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】