説明

窒化物半導体発光素子およびその製造方法

【課題】外部量子効率を維持しつつ、n-コンタクト層とn側電極との間で生じる接触抵抗を有効に低減させた窒化物半導体発光素子およびこのような窒化物半導体発光素子を効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】n型積層体、発光層およびp型積層体を具える半導体積層体、ならびに、n側電極およびp側電極を具える窒化物半導体発光素子において、前記n型積層体が、AlxGa1-xN材料(但し、0.7≦x≦1.0)からなるn-コンタクト層および該n-コンタクト層上に設けられたn-クラッド層を有し、前記発光層側に一部露出した前記n-コンタクト層上に、AlyGa1-yN材料(但し、0≦y≦0.5)からなる中間層を具えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体発光素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子に要求される特性として、例えば、高外部量子効率特性や低抵抗特性が挙げられる。一般に、半導体と金属を接触させると、接合障壁が形成され、例えば半導体と、金属材料からなる電極との間には高い接触抵抗が生じる。発光素子の基本構造の1つとして、例えば、発光層と呼ばれるバンドギャップの小さな層を、クラッド層と呼ばれるバンドギャップの大きなp型およびn型の半導体層で両側から挟んだ、いわゆるダブルヘテロ構造が挙げられるが、この積層体に取り付けられた一対の電極間に電圧を印加すると、半導体層である積層体と電極との間で生じる接触抵抗に起因した電力損失が発生することとなる。
【0003】
そこで、この半導体層と電極との間で生じる接触抵抗を小さくするため、電極と半導体層との間に、バンドギャップの小さい物質からなるコンタクト層を介在させることで障壁差を小さくし、電極と半導体層との間で大きな電力損失が発生するのを防止する技術が広く知られている。
【0004】
特許文献1および2には、コンタクト層として、GaN層や、Al組成が30%以下のAlGaN層を形成する技術が開示されている。このようなAl組成の小さなコンタクト層は、電極との接触抵抗は小さいものの、発光波長が300nm以下の紫外発光素子に用いる場合、発光層で発生した紫外光がコンタクト層で吸収され、外部量子効率が低下してしまうという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するため、特許文献3には、第1発光層とGaNコンタクト層との間に、第1発光層で発光した紫外光を吸収し、より波長の長い光を発する第2発光層を設けることにより、外部量子効率の低下を抑制する技術が開示されているが、形成されるべき層数が多く、製造コストが増大するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−141552号公報
【特許文献2】特開2004−335559号公報
【特許文献3】特開2006−295132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、外部量子効率を維持しつつ、n-コンタクト層とn側電極との間で生じる接触抵抗を有効に低減させた窒化物半導体発光素子およびこのような窒化物半導体発光素子を効率よく製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)n型積層体、発光層およびp型積層体を具える半導体積層体、ならびに、n側電極およびp側電極を具える窒化物半導体発光素子において、前記n型積層体が、AlxGa1-xN材料(但し、0.7≦x≦1.0)からなるn-コンタクト層および該n-コンタクト層上に設けられたn-クラッド層を有し、前記発光層側に一部露出した前記n-コンタクト層上に、AlyGa1-yN材料(但し、0≦y≦0.5)からなる中間層を具えることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
【0009】
(2)前記発光層と前記p型積層体との間に、電子ブロック層をさらに具える上記(1)に記載の窒化物半導体発光素子。
【0010】
(3)前記n-コンタクト層と前記n側電極との間の抵抗が10Ω以下で、かつ外部量子効率が0.70%以上である上記(1)または(2)に記載の窒化物半導体発光素子。
【0011】
(4)基板上に、n-コンタクト層およびn-クラッド層を有するn型積層体と、発光層と、p-クラッド層およびp-コンタクト層を有するp型積層体とを順に成長させて半導体積層体を形成する工程と、前記n-コンタクト層に中間層およびn側電極を形成する工程と、前記p-コンタクト層上にp側電極を形成する工程とを具え、前記n-コンタクト層が、AlxGa1-xN材料(但し、0.7≦x≦1.0)からなり、かつ前記中間層が、AlyGa1-yN材料(但し、0≦y≦0.5)からなることを特徴とする窒化物半導体発光素子の製造方法。
【0012】
(5)前記中間層を形成する工程は、ドライエッチング法を用いて、前記n-コンタクト層の、前記発光層側の一部を露出させた後、MOCVD法を用いて、前記一部露出したn-コンタクト層上に前記AlyGa1-yN材料を成長させることを含む上記(4)に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、AlxGa1-xN材料(但し、0.7≦x≦1.0)からなるn-コンタクト層とn側電極との間に、AlyGa1-yN材料(但し、0≦y≦0.5)からなる中間層を具えることにより、発光層で発生した紫外光がn-コンタクト層で吸収されるのを防いで外部量子効率を維持し、かつn-コンタクト層とn側電極との間で生じる接触抵抗を有効に低減させた窒化物半導体発光素子提供することができる。また、本発明の窒化物半導体発光素子の製造方法は、このような窒化物半導体発光素子を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明に従う窒化物半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図2】図2(a)および図2(b)は、本発明に従う窒化物半導体発光素子の製造工程を示す模式的断面図である
【図3】オーミック性評価用サンプルを示す模式的断面図である。
【図4】図4(a)および図4(b)は、サンプルの電流-電圧特性を示すグラフである。
【図5】図5は、従来の窒化物半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の窒化物半導体発光素子の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、この発明に従う窒化物半導体発光素子の断面構造を模式的に示したものである。
【0016】
図1に示すように、本発明の窒化物半導体発光素子1は、n型積層体2、発光層3およびp型積層体4を具える半導体積層体5、ならびに、n側電極6およびp側電極7を具え、n型積層体2が、AlxGa1-xN材料(但し、0.7≦x≦1.0)からなるn-コンタクト層2aおよびこのn-コンタクト層2a上に設けられたn-クラッド層2bを有し、発光層3側に一部露出したn-コンタクト層2a上に、AlyGa1-yN材料(但し、0≦y≦0.5)からなる中間層8を具え、かかる構成を有することにより、発光層3で発生した紫外光がn-コンタクト層2aで吸収されるのを防いで外部量子効率を維持し、かつn-コンタクト層2aとn側電極6との間で生じる接触抵抗を有効に低減させることができるという顕著な効果を奏するものである。中間層8をAlyGa1-yN材料(但し、0≦y≦0.3)とすれば、接触抵抗低減効果の観点からさらに好ましい。
【0017】
特に、n-コンタクト層2aを、AlxGa1-xN材料(但し、0.7≦x≦1.0)で形成することにより、Al組成比(x)が0.7未満の材料と比較して、発光層3で発生した紫外光の吸収を大幅に低減することができる。しかしながら、このn-コンタクト層2a上にn側電極6を直接設けた場合、n-コンタクト層2aとn側電極6との間の接触抵抗が大きくなり、電力損失が多くなってしまう。
【0018】
そこで、本発明の窒化物半導体発光素子1は、中間層8を、AlyGa1-yN材料(但し、0≦y≦0.5)で形成することにより、n-コンタクト層2aとn側電極6との間の接触抵抗を有効に低減させたものである。
【0019】
n-クラッド層2bは、例えばAlaGa1-aN材料(但し、0≦a≦1)、発光層3は、例えばAlbIncGa1-b-cN材料(但し、0≦b≦1, 0≦c≦1, 0≦b+c≦1)、また、p型積層体は、例えばAldGa1-dN材料(但し、0≦d≦1)で形成することができる。また、p型ドーパントとしてはMg等を、n型ドーパントとしてはSi等を用いることができる。
【0020】
また、半導体積層体5を構成するn-コンタクト層2a、n-クラッド層2b、発光層3、p-クラッド層4aおよびp-コンタクト層4bの層厚は、それぞれ、1000〜5000nm、200〜500nm、20〜150nm、200〜500nmおよび10〜50nmとするのが好ましい。この範囲よりも薄いと半導体層内で十分な電流の拡散が得られなくなり、厚いとコストが高くなるためである。
【0021】
n側電極6は、例えばTi含有膜およびこのTi含有膜上に形成されたAl含有膜を有する金属複合膜とすることができ、その厚さ、形状およびサイズは、発光素子の形状およびサイズに応じて適宜選択することができる。また、p側電極7についても、例えばNi含有膜およびこのNi含有膜上に形成されたAu含有膜を有する金属複合膜とすることができ、その厚さ、形状およびサイズは、発光素子の形状およびサイズに応じて適宜選択することができる。
【0022】
また、図には示されないが、中間層8とn-コンタクト層2aとの間に、AlzGa1-zN材料(但し、0.5<z<0.7)からなる下側中間層を配設するのが好ましい。この層を配設することにより、中間層8とn-コンタクト層2aとの間の抵抗を減少させることができるためである。中間層8をAlyGa1-yN材料(但し、0≦y≦0.3)として、前記下側中間層をAlzGa1-zN材料(但し、0.3<z<0.7)とすることにより、さらに接触抵抗を低減する効果が期待でき、さらに好ましい構成となる。
【0023】
中間層8の層厚は、20〜200nmとするのが好ましく、50〜100nmとするのがより好ましい。下側中間層の層厚は、10〜100nmとするのが好ましく、20〜50nmとするのがより好ましい。これら層を薄くしすぎると、コンタクトアニールを行ったときにn-コンタクト層2aと拡散して混ざってしまい、中間層として機能しなくなるおそれがあるためであり、また、厚くしすぎると、その分だけ成長時間がかかるためにコストが高くなるためである。
【0024】
また、図1に示されるように、本発明の窒化物半導体発光素子1は、サファイア基板10に、AlN材料からなるバッファ層11(厚さ:1000〜1500nm)を介してn-コンタクト層2aを配設した構成とすることができる。
【0025】
さらに、発光層3とp型積層体4との間に、電子ブロック層12(厚さ:5〜50nm)を具えてもよい。発光層3の量子井戸層に対して障壁となり、電子が過剰に流れていくのを防ぐことによるキャリアの注入効率向上のためである。なお、この電子ブロック層12は、p型のAleGa1-eN材料(但し、0≦e≦1)で形成することができる。
【0026】
上述したような窒化物半導体発光素子1は、発光層3で発生した紫外光がn-コンタクト層2aで吸収されるのを防いで外部量子効率を維持し、かつn-コンタクト層2aとn側電極6との間で生じる接触抵抗を有効に低減させることができるものであり、前記n-コンタクト層2aと前記n側電極6との間の抵抗は10Ω以下で、かつ外部量子効率は0.7%以上とするのが好ましい。
【0027】
次に、本発明の窒化物半導体発光素子1の製造方法の実施形態について図面を参照しながら説明する。図2(a)および図2(b)は、本発明に従う窒化物半導体発光素子1の製造工程を示す模式的断面図である。
【0028】
図2(a)に示すように、本発明に従う窒化物半導体発光素子1の製造方法は、成長基板10上に、n-コンタクト層2aおよびn-クラッド層2bを有するn型積層体2と、発光層3と、p-クラッド層4aおよびp-コンタクト層4bを有するp型積層体4とを順に成長させて半導体積層体5を形成する工程と、図2(b)に示すように、n-コンタクト層2aに中間層8およびn側電極6を形成する工程と、p-コンタクト層上4bにp側電極7を形成する工程とを具え、n-コンタクト層2aが、AlxGa1-xN材料(但し、0.7≦x≦1.0)からなり、かつ中間層8が、AlyGa1-yN材料(但し、0≦y≦0.5)からなり、かかる構成を有することにより、発光層3で発生した紫外光がn-コンタクト層2aで吸収されるのを防いで外部量子効率を維持し、かつn-コンタクト層2aとn側電極6との間で生じる接触抵抗を有効に低減させることができる窒化物半導体発光素子1を、効率よく製造できるという顕著な効果を奏するものである。
【0029】
半導体積層体5は、例えばサファイア基板10に、MOCVD法を用いてエピタキシャル成長させるのが好ましい。MOCVD法を用いることにより、均一な膜厚を高速に成長させることができる。
【0030】
中間層8は、図2(b)に示すように、ドライエッチング法を用いて、n-コンタクト層2aの、発光層3側の一部を露出させた後、MOCVD法を用いて、一部露出したn-コンタクト層2a上にAlyGa1-yN材料(但し、0≦y≦0.5)を成長させて形成するのが好ましい。なお、n側電極6が形成される部分以外に堆積したAlyGa1-yN材料は除去される
【0031】
n側電極6は、例えば真空蒸着法により、Ti含有膜およびAl含有膜を順次蒸着させることにより形成することができる。この工程後、n側電極6には、窒素雰囲気中で所定の熱処理を施すのが好ましい。n側電極6、中間層8およびn-コンタクト層2aをオーミック接触させるためである。
【0032】
本発明に従う窒化物半導体発光素子1は、前記本発明に従う窒化物半導体発光素子1の製造方法を用いて効率よく製造することができる。特に、本発明は、発光波長が300nm以下の紫外発光素子として用いた場合に、発光層で発生した紫外光がn-コンタクト層で吸収されにくくなり、高い発光出力を得ることができる。
【0033】
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【実施例】
【0034】
(抵抗特性・オーミック性評価)
図3に示すように、サファイア基板110上に、MOCVD法により、バッファ層111(AlN材料:1μm)、n-コンタクト層102a(SiドープAl0.7Ga0.3N材料:2μm)、所定の中間層108(AlyGa1-yN材料(但し、y=0, 0.3, 0.7の3種類))をエピタキシャル成長させた後、真空蒸着法によりn側電極106(Ti/Al=20nm/200nm)を形成した。なお、中間層108は300μm×300μmの四角形とし、n側電極106は、200μm×200μmの四角形とする。また、隣接する中間層108間の間隔は、100μmとした。このようにして形成されたサンプル1〜3の中間層108のAl組成(%)および抵抗値(Ω)を表1に示す。なお、この抵抗値は、電流1mAのときの電圧から求めたものである。
【0035】
【表1】

【0036】
表1に示されるとおり、中間層108を構成するAlyGa1-yN材料中に占めるAl組成比の小さい(y≦0.3)サンプル1およびサンプル2は、Al組成比の大きいサンプル3と比較して、抵抗値が100分の1以下であり、接触抵抗が著しく小さいことがわかる。
【0037】
また、これらサンプルに対し、カブトレーサを用いて電流−電圧特性を測定した。図4(a)および図4(b)は、上記サンプル2およびサンプル3の測定結果をそれぞれ示したグラフである。横軸は電圧、縦軸は電流を示す。図4(a)に示すとおり、Al組成が30%のサンプル2は、電流−電圧特性が直線を示し、オーミック接触が得られていることがわかる。一方、図4(b)からは、Al組成が70%のサンプル3の電流−電圧特性が曲線を示し、ショットキー接触となっていることがわかる。
【0038】
一般に、発光素子の抵抗値特性は、1kΩ以下で、かつ電流-電圧特性が直線であることが望まれる。表1ならびに図4(a)および図4(b)の結果から、中間層のAl組成は、本発明の範囲である0〜50%の範囲において、良好なオーミック接触が得られ、抵抗を大幅に低減できていることがわかる。
【0039】
(外部量子効率特性)
実施例1
図1に示すように、サファイア基板上10に、MOCVD法により、バッファ層11(AlN材料:1μm)、n-コンタクト層2a(SiドープAl0.7Ga0.3N材料:2μm)、n-クラッド層2b(SiドープAl0.65Ga0.35N材料:500nm)、発光層3(Al0.55In0.01Ga0.44N材料(10nm)/Al0.6In0.01Ga0.39N材料(15nm):3層の多重量子井戸構造、総厚90nm)、電子ブロック層12(MgドープAl0.9Ga0.1N材料:20nm)、p-クラッド層4a(MgドープAl0.7Ga0.3N材料:200nm)およびp-コンタクト層4b(MgドープGaN材料:20nm)を順次エピタキシャル成長させた後、ドライエッチング法によりn-コンタクト層2aを一部露出させ、再度MOCVD法を用いて中間層8(Al0.3Ga0.7N材料:50nm)をエピタキシャル成長させ、その後n側電極6が形成される部分以外を除去した後、この中間層8上にn側電極6(Ti/Al)を、p-コンタクト層4b上にp側電極7(Ni/Au)を形成した。その後、窒素雰囲気中で熱処理を行い、n側電極6とn-コンタクト層2aとをオーミック接触させて、本発明に従う窒化物半導体発光素子1を形成した。
【0040】
実施例2
n-コンタクト層2aと中間層8との間に、下側中間層(Al0.7Ga0.3N材料:500nm)を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法により本発明に従う窒化物半導体発光素子1を形成した。
【0041】
比較例1
図5に示すように、中間層8を形成しないこと以外は、実施例1と同様の方法により窒化物半導体発光素子200を形成した。
【0042】
比較例2
n-コンタクト層202aをSiドープAl0.3Ga0.7N材料で形成したこと以外は、比較例1と同様の方法により窒化物半導体発光素子200を形成した。
【0043】
このようにして形成された窒化物半導体発光素子を、フリップチップ型に実装し、積分球により電流20mAのときの電圧Vf(V)および発光出力Po(mW)を測定した結果ならびに以下の式から求めた外部量子効率の値を表2に示す。
外部量子効率η={Po×λ(nm)}/{If(mA)×1239.8}
(但し、λ=265nm、If=20mAとする)
【0044】
【表2】

【0045】
表2に示すとおり、中間層を設けず、n-コンタクト層のAl組成が大きい比較例1は、n側電極との接触抵抗が大きいため、実施例1および2ならびに比較例2と比較して電圧が大きくなっていることがわかる。また、中間層を設けず、n-コンタクト層のAl組成が小さい比較例2は、n側電極との接触抵抗が小さいため、電圧は小さくなっているものの、紫外光の吸収量が多いため、外部量子効率が小さくなっていることがわかる。これに対し、本発明に従う実施例1および実施例2は、接触抵抗の低減および外部量子効率の向上を両立できていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、AlxGa1-xN材料(但し、0.7≦x≦1.0)からなるn-コンタクト層とn側電極との間に、AlyGa1-yN材料(但し、0≦y≦0.5)からなる中間層を具えることにより、発光層で発生した紫外光がn-コンタクト層で吸収されるのを防いで外部量子効率を維持し、かつn-コンタクト層とn側電極との間で生じる接触抵抗を有効に低減させた窒化物半導体発光素子提供することができる。また、本発明の窒化物半導体発光素子の製造方法によれば、このような窒化物半導体発光素子を効率よく製造することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 窒化物半導体発光素子
2 n型積層体
2a n-コンタクト層
2b n-クラッド層
3 発光層
4 p型積層体
4a p-クラッド層
4b p-コンタクト層
5 半導体積層体
6 n側電極
7 p側電極
8 中間層
9 支持基板
10 基板
11 バッファ層
12 電子ブロック層
101 窒化物半導体発光素子
102 n型積層体
102a n-コンタクト層
106 n側電極
108 中間層
110 サファイア基板
111 バッファ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型積層体、発光層およびp型積層体を具える半導体積層体、ならびに、n側電極およびp側電極を具える窒化物半導体発光素子において、
前記n型積層体が、AlxGa1-xN材料(但し、0.7≦x≦1.0)からなるn-コンタクト層および該n-コンタクト層上に設けられたn-クラッド層を有し、
前記発光層側に一部露出した前記n-コンタクト層上に、AlyGa1-yN材料(但し、0≦y≦0.5)からなる中間層を具えることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
【請求項2】
前記発光層と前記p型積層体との間に、電子ブロック層をさらに具える請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項3】
前記n-コンタクト層と前記n側電極との間の抵抗が10Ω以下で、かつ外部量子効率が0.70%以上である請求項1または2に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項4】
基板上に、n-コンタクト層およびn-クラッド層を有するn型積層体と、発光層と、p-クラッド層およびp-コンタクト層を有するp型積層体とを順に成長させて半導体積層体を形成する工程と、前記n-コンタクト層に中間層およびn側電極を形成する工程と、前記p-コンタクト層上にp側電極を形成する工程とを具え、
前記n-コンタクト層が、AlxGa1-xN材料(但し、0.7≦x≦1.0)からなり、かつ前記中間層が、AlyGa1-yN材料(但し、0≦y≦0.5)からなることを特徴とする窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項5】
前記中間層を形成する工程は、ドライエッチング法を用いて、前記n-コンタクト層の、前記発光層側の一部を露出させた後、MOCVD法を用いて、前記一部露出したn-コンタクト層上に前記AlyGa1-yN材料を成長させることを含む請求項4に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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