説明

立体万華鏡装置と、この立体万華鏡装置を備える遊技機と、この立体万華鏡装置を備える遊具

【課題】 鏡面に映る虚像の3次元的な広がりに加え、虚像が回動されることで、今までにない奥行き感のある躍動的な美観を表現するとともに、癒しの効果で観察者を魅了することができる。
【解決手段】 内面が鏡面からなる多角筒状の角鏡体11aと、角鏡体11aの開口された両端側に鏡面が対向して設けられる2つの端鏡面14,17と、各鏡面に映る虚像を回動させる回動手段と、を備える構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、万華鏡の開口した両端側に対向して鏡面を設けた立体万華鏡装置に関し、特に、鏡面に映る虚像を回動させる立体万華鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、万華鏡は、内側に向けて多角筒状に配置された鏡面を観察者がのぞき孔より観察することで、無数の虚像が内部に広がりを見せる、光の反射の原理を利用した玩具である。
このような無数の虚像の広がりは、多角筒状に配置された鏡面により形成され、実像が各鏡面に連続して反射することで、2次元的な広がりとして観察される。
最近では、多角筒状の開口された両端側に、対向するようにハーフミラーを設け、ハーフミラーから観察することで、3次元的な奥行きの広がりが観察できる立体万華鏡が知られている(特許文献1)。
また、万華鏡を人が入れる大きさに形成し、万華鏡内部から無数の虚像を観察可能とした万華鏡をアミューズメント施設に応用した技術も開示されている(特許文献2)。
このように、万華鏡は、単なる玩具の領域を脱し、観察者を魅了する更なる美観が追求されるとともに、アミューズメント遊具への利用価値をも見出されるようになってきている。
【0003】
【特許文献1】実公昭60−2564号公報
【特許文献2】実開平3−105819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような万華鏡は、単に3次元的な広がりを追加したり、人が万華鏡の中に入れるのみで、万華鏡が本来持つ興趣に欠いていた。
すなわち、万華鏡は、万華鏡自体を回転させたり、実像を回転等させたりすることで、各鏡面に映る虚像を次々と変化させて、初めて万華鏡本来の持つ優美で、幻想的な映像を表現することができる。
ところが、上述のような技術では、このような工夫がなされていないため、万華鏡の特性を十分に活かしきれていなかった。
【0005】
また、最近ではスロットマシンやパチンコ機などを用いた遊技において、遊技者の投資意欲を助長する演出が問題視されており、その結果、遊技者が、我を忘れて遊技に集中するあまり、過剰の投資を招くこともある。
このような遊技中の遊技者の心境を変えるべく、万華鏡の有する美的効果や癒しの効果を利用した演出を行う遊技機は、未だ提案されていない。
【0006】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案されたものであり、鏡面に映る虚像の3次元的な広がりに加え、虚像が回動されることで、今までにない奥行き感のある躍動的な美観を表現するとともに、癒しの効果で観察者を魅了する立体万華鏡装置と、この立体万華鏡装置を備える遊技機と、この立体万華鏡装置を備える遊具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の立体万華鏡装置は、請求項1に記載するように、内面が鏡面からなる多角筒状の角鏡体と、前記角鏡体の開口された両端側に鏡面が対向して設けられた2つの端鏡面と、前記各鏡面に映る虚像を回動させる回動手段と、を備える構成としてある。
【0008】
このような構成からなる本発明の立体万華鏡装置によれば、内面が鏡面からなる多角筒状の角鏡体と、角鏡体の開口された両端側に鏡面が対向して設けられた2つの端鏡面と、が設けられることで、これらの鏡面で囲まれた位置に実像を配置した場合、各鏡面に繰り返し反射される虚像が、角鏡体による通常の万華鏡が有する2次元的な広がりに加え、端鏡面の反射による3次元的な奥行き感をもって観察される。
さらに、回動手段を備えることで、従来の玩具のように、自ら手動で回動させなくとも、各鏡面に映る虚像が回動されるため、自動的に万華鏡の効果を楽しむことができ、虚像が3次元的な空間をもって、走馬燈のように観察される。
これにより、今までにない奥行き感のある躍動的な美観を表現できるとともに、癒しの効果で観察者を魅了することができる。
また、2つの端鏡面を設けることで、この両者の鏡面により角鏡体に映る鏡像も繰り返し反射するため、従来の万華鏡のように角鏡体をその開口に対して長く形成しなくとも、2次元的な広がりを観察することができる。
【0009】
なお、観察者は、2つの端鏡面のいずれか一の端鏡面側から、対向して設けられた他の端鏡面に視点を向けて観察するものとしている。
そして、一の端鏡面側からの観察は、当該一の端鏡面の一部を開口してのぞき窓を設けてもよいし、ハーフミラーとして、一の端鏡面の外部から他の端鏡面に視点を向けて内部を観察するようにしてもよい。
さらには、角鏡体と2つの端鏡面で形成される空間を人が入れる程度の大きさとし、内部の人が、2つの端鏡面両方に視点を向けて観察するようにすることもできる。
なお、角鏡体とは、通常の万華鏡の内部に設けられた複数の鏡面で形成される中空からなる角筒を意味し、端面から観察した場合の形状が、三角形、四角形、五角形などの多角形を形成するものをいう。
そして、端鏡面とは、角鏡体の中空角筒の開口した両端に対向して設けられた鏡面をいう。
また、鏡面とは光を反射する凹凸のない滑らかな平面であって、光を全反射する一般的な鏡や、一部の光を透光させるハーフミラー、凹凸のない透明ガラスなどの容姿や物の像を映し見るものをいう。
【0010】
また、請求項2記載の立体万華鏡装置は、前記回動手段が、少なくとも前記角鏡体を、当該角鏡体の開口方向を軸として回動させる構成とすることができる。
このような構成とすることにより、例えば、一の端鏡面を不動とし、これに実像を配置した場合において、回動手段が、角鏡体を、開口方向を軸として回動させることで、虚像のみを回動させることができる。
これにより、実像は、回動しないため、実像を例えば、TV表示器の映像とした場合には、実像を正確に認識しつつ、虚像の躍動的な広がりを観察することができる。
なお、2つの端鏡面及び角鏡体を一体に設けて、全体を角鏡体の開口方向を軸として回動させてもよい。
【0011】
また、請求項3記載の立体万華鏡装置は、前記2つの端鏡面のうち一の端鏡面側に、他の端鏡面に向けて光を発光する発光手段が設けられ、少なくとも他の端鏡面が、前記発光手段が発光する光の一部を内側に反射させるとともに、光の一部を外部に透光させる反射・透光手段を備える構成とすることができる。
このような構成とすることにより、2つの端鏡面のうち一の端鏡面側に、他の端鏡面に向けて光を発光する発光手段が設けられることで、各鏡面に反射する虚像が輝いて見え、華やかで、かつ、幻想的な美観を楽しむことができる。
この場合の発光手段は、例えば、LED発光素子や有機EL、バックライト付液晶表示器などで、自らで発光する部材をいう。
さらに、他の端鏡面が、発光手段が発光する光の一部を内側に反射させるとともに、光の一部を外部に透光させる反射・透光手段を備えることで、他の端鏡面を通して外部から万華鏡の内部を観察することができる。
【0012】
また、請求項4記載の立体万華鏡装置は、前記発光手段が複数の発光部を有するとともに、前記複数の発光部が発光する組合せにより所定の表示パターンを演出表示し、前記回動手段が、前記表示パターンを、所定の軸を中心に回動演出表示することで、前記各鏡面に映る当該表示パターンの虚像を回動させる構成とすることができる。
このような構成とすることにより、回動手段が、複数の発光部が発光する組合せにより表示される表示パターンを、発光手段としての表示器上の軸等を中心に回動演出表示することで、物理的に回動しなくとも、演出上で回動表示することで、各鏡面に映る当該表示パターンの虚像を回動させることができる。
これにより、物理的な回動をさせるためのモータ等の機構を必要とすることがなくなり、コストの低減が図られる。
なお、反対に物理的な回動と併用することもでき、例えば、物理的な回動と演出上で回動表示を反対に回動させることで、今までにない万華鏡の美観を表現することもできる。
また、複数の発光部を有する発光手段としては、バックライト付き液晶TVや有機EL、ドットマトリックスLED表示器などの複数の発光素子等を独立して発光制御可能な表示器をいう。
また、この場合の回動手段は、複数の発光部を制御する表示制御手段であって、あらかじめ用意した回動表示アニメーションを切替え表示制御したり、ある一つの画像を回動表示したりする制御をいう。
また、表示パターンが回動演出表示される所定の軸は、発光手段としての表示器上とは限られず、他の端鏡面側から、発光手段を備えた一の端鏡面側を観察した場合に、角鏡体の内側で、表示パターンの回動演出表示が観察できるような位置に設ければ足りる。
【0013】
また、請求項5記載の立体万華鏡装置は、前記一の端鏡面の一部又は全面を、前記発光手段の発光面とし、前記一の端鏡面が、前記発光手段の消灯時において暗色画面となるとともに、前記発光面を覆う透明な板材を備える構成とすることができる。
このような構成とすることにより、一の端鏡面が、発光手段の消灯時において暗色画面となるとともに、前記発光面を覆う透明な板材を備えることで、発光手段の消灯時において暗色画面と透明な板材が鏡として機能する。
一般に、光を吸収する暗色の上を、凹凸のないガラス板などの透明な板材で覆うと、鏡の効果を奏するようになる(地下鉄の車窓等)。
バックライト付き液晶TVや有機EL、ドットマトリックスLED表示器などは、消灯時には黒画面を有しており、これを暗色画面として利用することができる。
その結果、一の端鏡面の全面を発光手段の発光面としても、消灯時においては、暗色画面と透明な板材とが鏡面として機能するため、発光面を部分的に消灯させることで、発光手段としての機能と鏡面として機能を両立させることができる。
これにより、3次元的な奥行きの広がりを喪失せずに、各鏡面に反射する虚像の輝きも堪能することができる。
また、発光面を全面発光することで、2次元的な広がりに切替えることもでき、3次元的な効果と組合せた趣向を凝らした演出をすることもできる。
【0014】
また、請求項6記載の立体万華鏡装置は、前記反射・透光手段が、ハーフミラーからなる構成とすることができる。
このような構成とすることにより、反射・透光手段が、ハーフミラーとすることで、発光手段が発光する光の一部を内側に反射させ、光の一部を外部に透光させるとともに、発光手段の消灯時と点灯時において、ハーフミラー越しに映る態様表示の二面性を堪能することができる。
すなわち、発光手段の消灯時においては、ハーフミラーの内側の表示態様が目視できず、反対に観察者の顔などがハーフミラーに反射して確認できるが、発光手段が点灯することで、立体万華鏡の2次元的な広がりと3次元的な奥行きの広がりを楽しむことができる。とくに、初めての観察者をこの二面性により驚嘆させることができる。
【0015】
また、請求項7記載の立体万華鏡装置は、前記発光手段が、液晶表示器である構成とすることができる。
このような構成とすることにより、ドットマトリックスLEDと異なり、定められた点灯パターンに捉われない多彩な演出表示をすることができる。
これにより、各鏡面に映る虚像も多彩となり、観察者を飽きさせない演出表示ができる。
【0016】
また、請求項8記載の遊技機は、遊技の結果に応じて、遊技媒体が獲得可能な遊技機であって、内面が鏡面からなる多角筒状の角鏡体と、前記角鏡体の開口された両端側に鏡面が対向して設けられる2つの端鏡面と、前記各鏡面に映る虚像を回動させる回動手段と、を備える立体万華鏡装置が設けられ、前記立体万華鏡装置が、請求項1〜7のいずれか一項に記載の立体万華鏡装置であることを特徴とした遊技機とすることができる。
このような構成とすることにより、遊技者に対して、本発明の立体万華鏡装置が有する2次元的な広がりと3次元的な奥行きのある美観を享受せしめることができるとともに、遊技に集中し、興奮状態にある遊技者に癒しの効果をもたらすことができる。
これにより、遊技者をクールダウンするとともに、ストレスを発散させるという遊技機本来の効果を助長させることができる。
また、回動手段や発光手段を遊技状態に連動させて制御することで、大当たりの予告報知演出にも利用することができる。
【0017】
また、請求項9記載の遊具は、人の虚像を映す鏡面を備えるとともに、人を包囲する大きさを有する遊具であって、内面が鏡面からなる多角筒状の角鏡体と、前記角鏡体の開口された両端側に鏡面が対向して設けられる2つの端鏡面と、前記各鏡面に映る虚像を回動させる回動手段と、を備える立体万華鏡装置が設けられ、前記立体万華鏡装置が、請求項2記載の立体万華鏡装置であることを特徴とした遊具とすることができる。
このような構成とすることにより、人を包囲する大きさを有する遊具が本発明の立体万華鏡装置を備えるため、観察者が、各鏡面に映る自らの虚像を、2次元的な広がりと3次元的な奥行き感のある、かつ回動する像として観察することができる。
これにより、今までにない回動する立体万華鏡の効果を有するアミューズメント遊具を提供することができる。
【0018】
また、請求項10記載の遊具は、前記各端鏡面が地面に対して垂直に設けられるとともに、対向して設けられた2つの端鏡面の間に、人が位置する通路を備える構成とすることができる。
このような構成とすることにより、端鏡面が地面に対して垂直に設けられるとともに、対向して設けられた2つの端鏡面の間に、人が位置する通路を備えるため、人が通路に沿って遊具に入室し、左右の端鏡面に顔を向けることで、立体万華鏡の映像を観察することができる。
すなわち、観察者は、無理な姿勢を強いられず、歩いて通過(ウォーク・イン・スルー)するだけで、立体万華鏡の映像を堪能することができ、アミューズメント施設としての適正を有している。
【0019】
また、請求項11記載の遊具は、前記通路には、所定の速度で人を移動させるランニングマシンが設けられ、少なくとも前記角鏡体が、前記ランニングマシンの速度に対応して、回動する構成とすることができる。
このような構成とすることにより、通路に所定の速度で人を移動させるランニングマシンが設けられているため、遊具としてのみならず、運動機器として使用することもできる。
これにより、運動しながら、立体万華鏡の映像を堪能することができる。
また、少なくとも前記角鏡体が、ランニングマシンの速度に対応して、回動するため、観察者の走る速度に応じて、角鏡体の回転速度も変わるため、観察者自らが遊具を運転しているような感覚が体感できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の立体万華鏡装置と、この立体万華鏡装置を備える遊技機と、この立体万華鏡装置を備える遊具によれば、鏡面に映る虚像の3次元的な広がりに加え、虚像が回動されることで、今までにない奥行き感のある躍動的な美観を表現するとともに、癒しの効果で観察者を魅了することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る立体万華鏡装置の好ましい実施形態について、図1〜図11を参照して説明する。
[第一実施形態]
本実施形態では、本発明に係る立体万華鏡装置を遊技機に適用するものとする。
本発明の立体万華鏡装置を適用する遊技機は、メダルを遊技媒体とする公知のスロットマシンであり、図1〜図9を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る立体万華鏡装置付スロットマシンを示す概略正面図であり、図2は、本実施形態に係る立体万華鏡装置付スロットマシンの組立図である。
また、図3は、本実施形態に係る立体万華鏡装置付スロットマシンに装着された立体万華鏡装置を示す図であり、図(a)は、正面図であり、図(b)は、平面断面図である。
また、図4及び図5は、本実施形態に係る立体万華鏡装置付スロットマシンの側面図である。
【0022】
図1〜図5に示すように、本実施形態に係るスロットマシンは、公知のスロットマシンに本発明の立体万華鏡装置が装着されている。
具体的には、図2に示すように、立体万華鏡装置付スロットマシン1は、スロットマシン本体2に穿設された開口部2aに、液晶表示器16が配設された立体万華鏡装置10が装着されるとともに、この立体万華鏡装置10を、透光性を有する透明カバー2bで覆う構成となっている。
【0023】
立体万華鏡装置10は、六角ミラー11と、六角ミラー11に設けたれたギア11cに噛合うとともに、六角ミラー11を片持ち支持する4つのピンチローラ13と、ギア11cに噛合い、六角ミラー11を回動させる変速ギアを内部に備えるモータ12と、内部にバックライト装置を有し、複数の発光部を有する発光手段として機能する液晶表示器16と、ピンチローラ13、モータ12及び液晶表示器16が装着されるとともに、表面に鏡面を備える底端鏡面14と、最も遊技者側に設けられ反射・透光手段として機能するハーフミラーからなる天端鏡面17から構成されている。
さらに詳細には、六角ミラー11には、正六角形に配置され、内側に鏡面を向けた6枚のハーフミラーからなる中空角筒状の角鏡体11aと、底端側に正六角形に開口され、フランジ状に形成されたギア11cが設けられている。
底端鏡面14には、液晶表示器16の発光面16aと同等な大きさを有する開口部14aが設けられている。さらに、液晶表示器16の発光面16aと開口部14aとの間には、発光面16aを覆う透明な樹脂からなる透明板15が備えられている。
また、液晶表示器16の発光面16aは、天端鏡面17に対して平行に備えられ、発光面16aからの光が、天端鏡面17に向けて発光されるようになっている。
【0024】
これにより、図3(b)の立体万華鏡装置10の平面断面図に示すように、液晶表示器16の発光面16aに表示された画像(実像)は、光として透明板15を通光し、所定の指向性を持って多方向に照射され、一部が六角ミラー11の開口部11bを通過して、天端鏡面17に到達するとともに、一部は、中空角筒状の角鏡体11aに到達するようになっている。
そして、天端鏡面17及び角鏡体11aは、照射された光の一部を内側に反射させるとともに、光の一部を外部に透光させる反射・透光手段として機能するハーフミラーから構成されているため、照射された光の一部が図3(b)の実線で示すように外部に透光されるとともに、破線で示すように内部に反射される。
内部に反射された光は、底端鏡面14の鏡面や透明な透明板15に反射して、再び天端鏡面17及び角鏡体11aに到達し、反射・透光が繰り返し行われるようになっている。
【0025】
観察者である遊技者は、立体万華鏡装置付スロットマシン1の正面に位置し、透明カバー2bを介して、天端鏡面17から六角ミラー11内部の角鏡体11a及び底端鏡面14を目視可能な状態で遊技するようになっている(図4、図5参照)。
その結果、角鏡体11a及び底端鏡面14に映る各鏡面に反射された虚像を目視できるようになっている。
なお、本実施形態では図4に示すように、立体万華鏡装置10をスロットマシン本体2の正面に対して、垂直に突設するように取付けたが、図5に示す例のように、遊技者が目視し易いように、天端鏡面17を遊技者に向けるよう、立体万華鏡装置10をスロットマシン本体2の正面に対して、斜めに取付けることもできる。
次に、本発明に係る立体万華鏡装置10の原理を、図6及び図7を参照して簡単に説明する。
【0026】
図6は、本実施形態に係る立体万華鏡装置の簡易モデルの斜視図を示し、図(a)は、角鏡体のみからなる簡易モデルを示す図であり、図(b)は、角鏡体と端鏡面からなる簡易モデルを示す図である。
各図とも、実像は◆型の発光体としてある。また、図(b)の上面側の端鏡面のみ光を反射・透光するハーフミラーから構成され、下面側の端鏡面は全反射する鏡面から構成されている。そして、観察者が、上部より覗き込むことで、図(a)では、角鏡体の内側鏡面を観察でき、図(b)では、角鏡体の内側鏡面及び下面側の端鏡面を観察できるようになっている。
図7は、図6に示す各簡易モデルの鏡面に映る虚像(◇)の広がりのイメージを示し、図(a)は、図6(a)の角鏡体のみからなる簡易モデルにおける虚像の広がりのイメージを示す図であり、図(b)は、図6(b)の角鏡体と端鏡面からなる簡易モデルにおける虚像の広がりのイメージを示す図である。
【0027】
図7(a)に示すように、角鏡体のみからなる簡易モデルの場合には、角鏡体の各鏡面に反射が繰り返される虚像(◇)が観察されるため、通常の万華鏡のように2次元的な広がりとして観察できる。
本発明の立体万華鏡装置では、図7(b)に示すように、角鏡体の各鏡面の反射に加え、さらに端鏡面の反射が加わるため、上面側の端鏡面と下面側の端鏡面で反射が繰り返される虚像(◇)が観察される。
その結果、虚像が2次元的な広がりのみならず、奥行きの広がりを加えた3次元的な広がりをもって観察されることとなる。
また、このように2つの端鏡面を設けることで、この両者の鏡面により角鏡体に映る鏡像も繰り返し反射するため、従来の万華鏡のように角鏡体をその開口に対して長く形成しなくとも、2次元的な広がりを観察することができる。
本実施形態の立体万華鏡装置10は、図6(b)及び図7(b)に示した原理を応用したものであり、これにより観察者である遊技者が、液晶表示器16の発光面16aに表示された画像が角鏡体11a及び端鏡面14,17に繰り返し反射された虚像を、天端鏡面17を通して観察することで、虚像の2次元的な広がりに加え、3次元的な奥行きのある広がりとして目視できるようになっている。
【0028】
なお、液晶表示器16の発光面16aは、消灯時においては、暗色の黒画面となっている。また、液晶を制御することで、発光面16aを、部分的に発光させたり、黒画面にさせたりすることもできる。
また、液晶表示器16の発光面16aは、凹凸のない透明な透明板15で覆われている。
その結果、発光面16aの黒画面となった部分は、発光面16aからの発光がないため、天端鏡面17や角鏡体11aから反射された光が、黒画面となった部分に該当する透明板15の表面に目視可能な状態に映り込み、当該透明板15の表面が鏡面として虚像が目視可能な状態になる。
これにより、観察者である遊技者が、発光面16aの黒画面の部分にも、虚像を観察することができ、虚像を広い範囲で観察することができる。
【0029】
また、本実施形態の立体万華鏡装置付スロットマシン1では、底端鏡面14を光が全反射する単なる鏡面とし、角鏡体11a及び天端鏡面17を本発明にかかる反射・透光手段として機能するハーフミラーとしてある。
図8は、図3(b)における本実施形態に係る立体万華鏡装置付スロットマシンの天端鏡面17の断面を示す図であり、図(a)は、ハーフミラーとした場合の図である。
本実施形態の天端鏡面17は、透明なアクリル、ABS、PCなどの樹脂からなる透明板17aの内側に金属薄膜17bを蒸着して形成されている。その結果、液晶表示器16のバックライト装置から照射された光が、金属薄膜17bの表面で一部の光が内部に反射されるとともに、一部の光が外部に透光されるようになっている。
これにより、観察者である当該立体万華鏡装置付スロットマシン1の遊技者が、液晶表示器16の発光面16aに表示された画像の角鏡体11a及び端鏡面14,17に反射された虚像を、天端鏡面17を通して観察することで、虚像の3次元的な広がりとして目視できるようになっている。
なお、角鏡体11aを形成する六枚の側壁も、天端鏡面17と同様にハーフミラーで構成されている。これにより、当該立体万華鏡装置付スロットマシン1を遊技する遊技者のみならず、隣席の遊技者も、虚像の一部が観察でき、当該立体万華鏡装置付スロットマシン1の遊技演出を周囲の遊技者にアピールすることができる。
【0030】
また、天端鏡面17及び角鏡体11aがハーフミラーで構成されているため、液晶表示器16の発光面16aが発光していないときは、天端鏡面17及び角鏡体11aに囲まれた内部空間が、外部より暗くなり、内部空間が観察できず、遊技者の顔や周囲の景色が、天端鏡面17及び角鏡体11aに映り込むようになる。
一方、液晶表示器16の発光面16aが発光した場合には、各鏡面に反射する虚像が3次元的な広がりとして目視できる。
この結果、液晶表示器16の発光面16aが発光時と消灯時では、立体万華鏡装置10の表示態様が著しく変化することになるため、観察者である遊技者は、立体万華鏡装置10の表示態様の二面性を堪能することができるようになっている。
【0031】
なお、本実施形態の立体万華鏡装置付スロットマシン1では、角鏡体11a及び天端鏡面17をハーフミラーとしたが、反射・透光手段として、図8(b)に示す断面図のように、透明板17aの外側に、透明板17a側が鏡面を形成するようにメッキ処理17dが施され、格子状に開口した黒色の黒メッシュフレーム17cを設けることもできる。
これによっても、メッキ処理17dや透明板17aで一部の光が内部に反射されるとともに、一部の光が透明板17aを通して外部に透光されるようにすることもできる。
【0032】
また、図8(c)に示す断面図のように、透明板17aの内側面に、ベース色として黒色塗装17eの上に鏡面を有するメッキ塗装17fを積層塗装させることもできる。
これによっても、メッキ塗装17fや透明板17aで一部の光が内部に反射されるとともに、一部の光が透明板17aを通して外部に透光されるようにすることもできる。
図8(b)、図8(c)のように構成することで、液晶表示器16の発光面16aが発光しないときでも、透明板17aを通して、六角ミラー11の内部を観察でき、遊技者の顔等が、3次元的な広がりをもって観察できる。
また、遊技者側を黒色とすることにより、液晶表示器16の発光面16aが消灯時と発光時において、表示態様の違いを大きくすることができ、遊技者にインパクトを与えることができる。
なお、上記の2つの例では、天端鏡面17のみならず、角鏡体11aも同様な構成としてもよい。
【0033】
次に、本実施形態の各鏡面に映る虚像を回動させる回動手段について説明する。
本実施形態の回動手段は、2通り備えられており、一つは、六角ミラー11がモータ12に回転駆動される物理的に回動する手法であり、もう一つは、液晶表示器16の発光面16aに表示された画像が、液晶表示器16に内蔵されたVDP(video display processor)等の画像制御装置で制御され回動演出表示する手法である。
【0034】
最初に、六角ミラー11が回動する回動手段は、図3に示す例では、所定の回転トルクを発生させるための減速ギア12bが装着され、ステッピングモータであるモータ12が回転駆動されることで、モータ12の軸に圧入されたモータギア12aが回転し、このモータギア12aに噛合って従動する六角ミラー11のギア11cが回転することで、角鏡体11aが回動するようになっている。
ピンチローラ13は、その軸部が底端鏡面14に固設されている。そして、ピンチローラ13には、ギア11cを挟持して、六角ミラー11の前後方向への揺動を防止するとともに、六角ミラー11の開口方向が回転軸となるようにギア11cのガイド面11dに摺接して従動するフランジ部13aが形成されている。
このような構成とすることで、角鏡体11aとこの角鏡体11aに取付けられた天端鏡面17が六角ミラー11の開口方向を軸として左回転、右回転自在に回動するようになっている。
その結果、観察者である遊技者は、回動する角鏡体11aに映る虚像や、回動する角鏡体11aから端鏡面14,17に反射した底端鏡面14に映る虚像を観察することができる。
また、モータ12は、ステッピングモータであるため、六角ミラー11の回動速度を変化させることができ、回動速度の違いによる虚像の表示態様を堪能することができる。
【0035】
一方、液晶表示器16の発光面16aに表示された画像が回動する回動手段は、図9に示すように、あらかじめ液晶表示器16に内蔵されたROMなどに記憶された画像データを同様に内蔵するVDP(video display processor)で回動表示制御することで、発光面16aに映る実像が回動演出表示されるようになっている。
図9は、本実施形態に係る立体万華鏡装置付スロットマシン1の液晶表示器16の発光面16aに表示される表示パターン16bが90°毎に時系列的に右回転する変化の状態を示した図であり、同図のように表示パターン16bが、発光面16a上のある点を軸として図(a)、図(b)、図(c)、図(d)の順に右方向に回動演出表示されている。
その結果、回動表示される実像が各鏡面に反射し、各鏡面に映る虚像が回動するようになっている。
【0036】
以上のように、2通りの回動手段を備えることで、観察者である遊技者は、立体万華鏡装置10の3次元的な虚像の広がりを、回動して観察できるため、優美で幻想的な映像を楽しむことができる。
なお、各回動手段は、各々単独で作動させることもできるし、同時に作動させることもできる。同時に作動させることで、実像と虚像が同時に回動する不可思議な映像を表示させることができる。また、各回動手段の回転方向を変えることで、より複雑な動きのある映像を表示させることができる。
【0037】
なお、以上のような液晶表示器16の発光面16aにおける発光や演出表示、及びモータ12の回転制御は、立体万華鏡装置付スロットマシン1の演出を制御する演出制御基板により制御されている。
演出制御基板は、所定のCPUが搭載されており、立体万華鏡装置付スロットマシン1全体を制御する主基板から送信される命令(コマンド)により、制御されるようになっている。
主基板は、スロットマシン遊技のゲームの進行を主動的に制御するため、演出制御基板は、主基板に従動して制御される。
したがって、例えば、主基板における内部抽せんの結果、ビックボーナスなどの大当たり役に当選した場合に、主基板より、内部当せん信号を演出制御基板に送信し、そのコマンドの受信により、内部当せんの報知手段として、上記の液晶表示器16の発光面16aにおける発光や回動演出表示を行い、モータ12を回転制御することもできる。
これにより、立体万華鏡装置10をスロットマシン遊技に対応した演出装置として利用することができ、ゲームの進行に即した適切な演出を行うことができる。
【0038】
以上のように、本実施形態における立体万華鏡装置10とこれを備える立体万華鏡装置付スロットマシン1によれば、内面が鏡面からなる多角筒状の角鏡体11aと、角鏡体11aの開口された両端側に鏡面が対向して設けられた2つの端鏡面14,17と、が設けられることで、これらの鏡面で囲まれた位置に実像を配置した場合、各鏡面に繰り返し反射される虚像が、角鏡体11aによる通常の万華鏡が有する2次元的な広がりに加え、端鏡面14,17の反射による3次元的な奥行き感をもって観察される。
【0039】
さらに、角鏡体11aを回動させる回動手段や、液晶表示器16の発光面16aに表示された表示パターン16bを回動演出表示する回動手段を備えることで、従来の玩具のように、自ら手動で回動させなくとも、各鏡面に映る虚像が回動されるため、自動的に万華鏡が回転する効果を楽しむことができ、各鏡面に映る虚像が3次元的な空間をもって、走馬燈のように観察される。
これにより、今までにない奥行き感のある躍動的な映像を表現できるとともに、癒しの効果で観察者である遊技者を魅了することができる。
また、2つの端鏡面14,17を設けることで、この両者の鏡面により角鏡体11aに映る虚像も繰り返し反射するため、従来の万華鏡のように角鏡体11aをその開口に対して長く形成しなくとも、2次元的な広がりを観察することができる。
【0040】
また、このような立体万華鏡装置10を遊技機であるスロットマシンが備えることで、遊技者に対して、立体万華鏡装置10が有する2次元的な広がりと3次元的な奥行きのある美観を享受せしめることができるとともに、遊技に集中し、興奮状態にある遊技者に癒しの効果をもたらすことができる。
これにより、遊技者をクールダウンさせるとともに、ストレスを発散させるという遊技機本来の効果を助長させることができる。
【0041】
なお、万華鏡の角鏡体の端面の形状は、鏡面に映る虚像が美しく見えるよう、通常、正三角形、正四角形、正六角形が採用されている。
また、万華鏡は、角鏡体の端面形状の頂点を結ぶ外接円と各内側鏡面に接する内接円の径差が少ないほうが、内側に広がる虚像が細分化され、より美しく見える。このようなことから、本実施形態では、角鏡体の端面の形状を正六角形としたが、正三角形や正四角形とすることもできる。また、正五角形、正七角形、正八角形とすることもできる。
さらに、各辺の長さは、同一に限られず、たとえば、正三角形ではなく、二等辺三角形でもよい。
【0042】
また、本実施形態では、複数の発光部を有する発光手段として、液晶表示器16を使用したが、ドットマトリックスLED表示器を使用することもできる。
この場合も、液晶表示器16と同様に、消灯時においては、暗色の発光面となる表示器を採用することで、発光面を、ドット単位で発光させたり、黒画面にさせたりすることもできる。
その結果、発光面の黒画面となった部分は、発光面からの発光がないため、天端鏡面や角鏡体から反射された光の反射のみが、発光面を覆う凹凸のない透明板の表面に目視可能な状態に映り込み、当該透明板の表面を鏡面として虚像が目視可能な状態にすることもできる。
また、各ドット単位で制御することで、液晶表示器16と同様に所定のドット表示パターンを切替えて演出表示することで、回動演出表示をすることもできる。
【0043】
また、本実施形態では、透明カバー2bと天端鏡面17を別体に設けたが、一体に形成することもできる。例えば、本実施形態の天端鏡面17を取り外すとともに、天端鏡面17の機能を透明カバー2bの遊技者側前面が備えるようにすることもできる。これによっても、上述した同様な効果を奏することもできる。
また、本実施形態では、立体万華鏡装置10を適用する遊技機としてスロットマシンを採用したが、パチンコ機とすることもできる。この場合には、特別図柄として機能する液晶表示器などの表示器を囲むように角鏡体を設け、立体万華鏡装置を取付けたり、特別図柄と別体の表示器に組合せて立体万華鏡装置を装着することもできる。
【0044】
[第二実施形態]
次に、本発明に係る立体万華鏡装置の第二実施形態について、図10、図11を参照しつつ説明する。
本実施形態では、本発明に係る立体万華鏡装置をアミューズメント機器である遊具に適用するものとする。
図10は、本実施形態に係る立体万華鏡装置付遊具の組立図であり、図11は、本実施形態に係る立体万華鏡装置付遊具の概略図を示し、図(a)は、正面図であり、図(b)は、平面図である。
各図に示す本実施形態に係る遊具は、上述した第一実施形態の変形実施形態であり、本発明の立体万華鏡装置を遊具に適用したものである。
従って、主な構成部分は、第一実施形態と同様となっており、同様の構成部分については、図中で第一実施形態と同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0045】
各図に示すように、本実施形態に係る立体万華鏡装置付遊具は、人の虚像を映す複数の鏡面を備えるとともに、人を包囲する大きさを有する遊具である。
各端鏡面14,17は、地面に対して垂直に設けられるとともに、対向して設けられた2つの端鏡面14,17の間に、人が位置する通路20を備えている。
各端鏡面14,17及び六角ミラー11の角鏡体11aは、第一実施形態と異なり、すべて全反射する鏡面で構成されている。
六角ミラー11は、開口部11bの両端側には、同一ピッチ円径を有する2つのギア11cが設けられている。
そして、六角ミラー11の前後方向への揺動を抑えるとともに、2つのギア11cに噛合うようにモータギア12aとピンチローラ13が、六角ミラー11の下側に設けられている。
また、六角ミラー11は、モータギア12aとピンチローラ13に載架され、モータギア12aが回転駆動するモータ12の軸に直結されることで、六角ミラー11の開口方向を軸として、各端鏡面14,17に対して垂直に回動するようになっている。
【0046】
六角ミラー11の図10中手前側には、観察者である人40が回動する六角ミラー11に巻き込まれないように、透明ガラス22が設けられている。
人40が位置する通路20は、この透明ガラス22と天端鏡面17の間に設けられている(図11(b)参照)。通路20には、六角ミラー11が回動する中心下側に位置する、人40を図10中奥側(人の向きと逆方向に)に平行移動させるランニングマシン21が設けられている。
人40が、このランニングマシン21に乗り、透明ガラス22を通じて、底端鏡面14及び角鏡体11aに目を向けた位置は、図11(a)に示すように、六角ミラー11の回動するほぼ中心位置と合致するようになっている。
通路20の天井には、複数の照明ランプ18が設けられており、観察者である人40が照らされるようになっている。
そして、観察者である人40が、透明ガラス22を通じて、底端鏡面14及び角鏡体11aを観察することで、照明ランプ18に照らされた各鏡面に映る自らの回動する虚像が、3次元的な広がりをもって観察することができるようになっている。
また、人40がランニングマシンに乗り、歩いたり、走りながら、万華鏡の映像を観察できるため、単にビジュアル重視の遊具のみならず、運動機器として使用することもできる。
【0047】
また、ランニングマシン21には、回転速度を変化させる可変速モータ21aが設けられており、手元のスイッチを調整することで、人40が平行移動する速度を変化させることができるようになっている。
また、このスイッチの調整により、六角ミラー11を回動させるモータ12をも同時に連動して制御することができるようになっており、その結果、ランニングマシン21の人40が平行移動する速度と六角ミラー11の回動速度が同期して変化するようになっている。これにより、観察者である人40が、ランニングマシン21上で、歩いたり、走ったりする速度に応じて、角鏡体の回転速度も変わるため、観察者自らが遊具を運転しているような体感ゲームの感覚を味わうことができる。
【0048】
以上のように、本実施形態の立体万華鏡装置付遊具30によれば、人を包囲する大きさを有する遊具が本発明の立体万華鏡装置を備えるため、観察者が、各鏡面に映る自らの虚像を、2次元的な広がりと3次元的な奥行き感のある、かつ回動する映像として観察することができる。
これにより、今までにない回動する立体万華鏡の効果を有するアミューズメント遊具を提供することができる。
【0049】
また、端鏡面14,17が地面に対して垂直に設けられるとともに、対向して設けられた2つの端鏡面の間に、人が位置する通路を備えるため、人が通路に沿って立体万華鏡装置付遊具30に入室し、底端鏡面14に目を向けることで、立体万華鏡の映像を観察することができる。
すなわち、観察者は、無理な姿勢を強いられず、歩いて通過(ウォーク・イン・スルー)するだけで、立体万華鏡の効果を堪能することができ、アミューズメント施設としての適正を有している。
なお、本実施形態の立体万華鏡装置付遊具30は、人の立ち方向に対して、六角ミラー11が垂直に回動したが、端鏡面14,17を地面に対して水平に設けるとともに、六角ミラー11を人の立ち方向に対して、同軸方向に回動させ、人が上方又は下方に目を向けることで、万華鏡の映像を観察できるようにすることもできる。
【0050】
以上、本発明の立体万華鏡装置、立体万華鏡装置を備える遊技機、及び立体万華鏡装置を備える遊具について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る立体万華鏡装置は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態では、角鏡体は、側壁を形成する鏡面を垂直に張り合わせて構成したが、斜めに張り合わせて、頂点部と底面が開口する略多角錐状に形成することもできる。
また、本発明が適用される遊技機は、上述した実施形態で示したスロットマシンや前述したパチンコ機に限らず、どのような遊技機であっても適用が可能である。この種の遊技機としては、例えば、アレンジボール機,雀球機等、各種の遊技機があり、いずれも本発明の適用対象とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、観察者に優美、かつ、幻想的な美観を享受せしめる立体万華鏡装置として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第一実施形態に係る立体万華鏡装置付スロットマシンを示す概略正面図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る立体万華鏡装置付スロットマシンの組立図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る立体万華鏡装置付スロットマシンに装着された立体万華鏡装置を示す図であり、図(a)は、正面図であり、図(b)は、平面断面図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る立体万華鏡装置付スロットマシンに立体万華鏡装置を垂直に取付けた側面図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る立体万華鏡装置付スロットマシンに立体万華鏡装置を斜めに取付けた側面図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係る立体万華鏡装置付スロットマシンに備える立体万華鏡装置の簡易モデルの斜視図を示し、図(a)は、角鏡体のみからなる簡易モデルを示す図であり、図(b)は、角鏡体と端鏡面からなる簡易モデルを示す図である。
【図7】本発明の第一実施形態に係る立体万華鏡装置付スロットマシンに備える立体万華鏡装置の図6に示す各簡易モデルの鏡面に映る虚像の広がりのイメージを示し、図(a)は、図6(a)の角鏡体のみからなる簡易モデルにおける虚像の広がりのイメージを示す図であり、図(b)は、図6(b)の角鏡体と端鏡面からなる簡易モデルにおける虚像の広がりのイメージを示す図である。
【図8】本発明の第一実施形態に係る立体万華鏡装置付スロットマシンの天端鏡面の断面を示す図であり、図(a)は、ハーフミラーとした場合の図であり、図(b)は、メッキ処理が施された黒メッシュフレームとした場合の図であり、図(c)は、黒色塗装の上にメッキ塗装を積層塗装した場合の図である。
【図9】本発明の第一実施形態に係る立体万華鏡装置付スロットマシンの液晶表示器に表示された表示パターンが右方向に回動演出表示された状態を示し、図(a)は、表示パターンが回動していない状態を示した図であり、図(b)は、表示パターンが90°回動した状態を示した図であり、図(c)は、表示パターンが180°回動した状態を示した図であり、図(d)は、表示パターンが270°回動した状態を示した図である。
【図10】本発明の第二実施形態に係る立体万華鏡装置付遊具の組立図である。
【図11】本発明の第二実施形態に係る立体万華鏡装置付遊具の概略図を示し、図(a)は、正面図であり、図(b)は、平面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 立体万華鏡装置付スロットマシン
2 スロットマシン本体
10 立体万華鏡装置
11 六角ミラー
12 モータ
13 ピンチローラ
14 底端鏡面
15 透明板
16 液晶表示器
17 天端鏡面
18 照明ランプ
20 通路
21 ランニングマシン
22 透明ガラス
30 立体万華鏡装置付遊具
40 人

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面が鏡面からなる多角筒状の角鏡体と、
前記角鏡体の開口された両端側に鏡面が対向して設けられる2つの端鏡面と、
前記各鏡面に映る虚像を回動させる回動手段と、を備えることを特徴とする立体万華鏡装置。
【請求項2】
前記回動手段が、少なくとも前記角鏡体を、当該角鏡体の開口方向を軸として回動させる請求項1記載の立体万華鏡装置。
【請求項3】
前記2つの端鏡面のうち一の端鏡面側に、他の端鏡面に向けて光を発光する発光手段が設けられ、
少なくとも他の端鏡面が、前記発光手段が発光する光の一部を内側に反射させるとともに、光の一部を外部に透光させる反射・透光手段を備える請求項1又は2記載の立体万華鏡装置。
【請求項4】
前記発光手段が複数の発光部を有するとともに、前記複数の発光部が発光する組合せにより所定の表示パターンを演出表示し、
前記回動手段が、前記表示パターンを、所定の軸を中心に回動演出表示することで、前記各鏡面に映る当該表示パターンの虚像を回動させる請求項3記載の立体万華鏡装置。
【請求項5】
前記一の端鏡面の一部又は全面を、前記発光手段の発光面とし、
前記一の端鏡面が、前記発光手段の消灯時において暗色画面となるとともに、前記発光面を覆う透明な板材を備える請求項3又は4記載の立体万華鏡装置。
【請求項6】
前記反射・透光手段が、ハーフミラーからなる請求項3〜5のいずれか一項に記載の立体万華鏡装置。
【請求項7】
前記発光手段が、液晶表示器である請求項3〜6のいずれか一項に記載の立体万華鏡装置。
【請求項8】
遊技の結果に応じて、遊技媒体が獲得可能な遊技機であって、
内面が鏡面からなる多角筒状の角鏡体と、
前記角鏡体の開口された両端側に鏡面が対向して設けられる2つの端鏡面と、
前記各鏡面に映る虚像を回動させる回動手段と、を備える立体万華鏡装置が設けられ、
前記立体万華鏡装置が、請求項1〜7のいずれか一項に記載の立体万華鏡装置であることを特徴とした遊技機。
【請求項9】
人の虚像を映す鏡面を備えるとともに、人を包囲する大きさを有する遊具であって、
内面が鏡面からなる多角筒状の角鏡体と、
前記角鏡体の開口された両端側に鏡面が対向して設けられる2つの端鏡面と、
前記各鏡面に映る虚像を回動させる回動手段と、を備える立体万華鏡装置が設けられ、前記立体万華鏡装置が、請求項1又は2記載の立体万華鏡装置であることを特徴とした遊具。
【請求項10】
前記各端鏡面が地面に対して垂直に設けられるとともに、対向して設けられた2つの端鏡面の間に、人が位置する通路を備える請求項9記載の遊具。
【請求項11】
前記通路には、所定の速度で人を移動させるランニングマシンが設けられ、
少なくとも前記角鏡体が、前記ランニングマシンの速度に対応して、回動する請求項10記載の遊具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−9009(P2009−9009A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171986(P2007−171986)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】