説明

立体像投影装置

【課題】任画像変化に意外性がある立体像投影装置を提供することを目的とすること。
【解決手段】基本画像を電子画像表示手段に表示させている間に画像読取り手段によって画像情報担持体の画像情報が読み取られたとき、該基本画像と該画像情報に基づく画像とを合成した形の合成画像を電子画像表示手段に表示させ、該合成画像をフレネルレンズを通して空中に結像させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレネルレンズを通して空中像を形成する立体像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、対象物(例えば、画像等)をフレネルレンズを通して空中に結像させ、それを肉眼によって立体像として視認し得るようにした立体像投影装置が知られている(例えば、特許文献1)。この立体像投影装置は、液晶ディスプレイ等の画像をフレネルレンズを通して空中に結像するようにしたものである。
【特許文献1】特開2005−208308号公報(図1〜図4および図8参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に開示されている立体像投影装置では、例えば、液晶ディスプレイ上に表示された画像が投影の対象物になるだけで、投影の対象物である画像を変更させるにはボタン等の操作で行うしかなく、意外性に乏しいものであった。
【0004】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、画像変化に意外性がある立体像投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、
フレネルレンズと、前記フレネルレンズの一面側に該フレネルレンズに対向して配置された電子画像表示手段と、基本画像データを記憶する記憶手段を有し前記基本画像データに基づく基本画像を前記電子画像表示手段に表示させる制御手段と、前記フレネルレンズの前記一面側で前記電子画像表示手段と重ならない位置に該フレネルレンズに対向して配置された画像情報読取り手段と、を備え、前記電子画像表示手段に表示された基本画像を前記フレネルレンズを通して空中に結像させる立体像投影装置であって、前記立体像投影装置の本体とは別体で前記フレネルレンズの他面側に置かれた際に前記画像読取り手段によって読取り可能な画像情報を担持する画像情報担持体とを有し、前記画像情報担持体が担持する画像情報は前記フレネルレンズを通して前記画像情報読取り手段によって読取り可能に構成され、前記制御手段は、前記基本画像を前記電子画像表示手段に表示させている間に前記画像読取り手段によって前記画像情報が読み取られたとき、該基本画像と該画像情報に基づく画像とを合成した形の合成画像を前記電子画像表示手段に表示させ、該合成画像を前記フレネルレンズを通して空中に結像させるように構成されていることを特徴とする立体像投影装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記記憶手段には、前記画像情報と前記基本画像データとに対応づけられて前記合成画像に対応する合成画像データが記憶され、前記制御手段は、前記基本画像を前記電子画像表示手段に表示させている間に前記画像読取り手段によって前記画像情報が読み取られたとき、該基本画像と該画像情報に基づく画像とを合成した形の合成画像に対応する合成画像データを前記記憶手段から読み出して前記電子画像表示手段に該合成画像データに対応する前記合成画像を表示させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の立体像投影装置である。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記記憶手段には、前記画像情報担持体が担持する画像情報に対応する画像データが記憶され、前記制御手段は、前記基本画像を前記電子画像表示手段に表示させている間に前記画像読取り手段によって前記画像情報が読み取られたとき、前記記憶手段に記憶されている該基本画像に対応する基本画像データと該画像情報に対応する画像データとを読み出して前記合成画像に対応する合成画像データを生成して前記電子画像表示手段に該合成画像データに対応する前記合成画像を表示させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の立体像投影装置である。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記基本画像データに対応した第一のデータと前記合成画像データに対応した第二の音データとを記憶する記憶手段と、前記第一のデータに対応する音と前記第二の音データに対応する音とを出力する音出力手段と、前記電子画像表示手段に表示される画像と対応した音を前記音出力手段に出力させる制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載の立体像投影装置である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1から4に記載の立体像投影装置では、画像情報担持体がフレネルレンズの他面側に置かれる前には基本画像が電子画像表示手段に表示され、画像情報担持体がフレネルレンズの他面側に置かれた後には、該画像情報担持体に担持された画像情報に対応する画像と基本画像との合成画像が電子画像表示手段に表示される。その結果、画像変化に意外性がある立体像投影装置が実現できる。
また、請求項4に記載の立体像投影装置では、電子画像表示手段に表示される画像と対応した音が前記音出力手段から出力されることから、音変化においても意外性がある立体像投影装置が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(全体構成)
以下に、本発明に係る立体像投影装置を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る立体像投影装置の一実施形態を示した構成図である。
この立体像投影装置1はケース2を備えている。ケース2の開口にはフレネルレンズ3が取り付けられている。一方、ケース2の内部には、図2に示すように、画像情報読取り手段4と、電子画像表示手段5と、音出力手段6と、記憶手段7と、制御手段7とが設置された構造となっている。
また、この立体画像投影装置2は画像情報担持体9(図2参照)を備えている。
【0011】
(画像情報担持体)
画像情報担持体9は例えば様々な物体形状を2次元的に象った情報カードによって構成されている。その一例が図2に示されている。同図(A)に示す画像情報担持体9はギターの絵柄の情報カード、同図(B)に示す画像情報担持体9はタンバリンの絵柄の情報カードとなっている。そして、両者とも情報カードの外形が2次元的ではあるがギター又はタンバリンの外形を象って形成されている。
なお、画像情報担持体9は平面的なものには限定されない。画像情報担持体9は立体的なものであっても良い。また、画像情報担持体9が情報カードから構成される場合、情報カード自体が物体形状を象ったものとなっていなくても良い。カードの表面の一部に物体の絵柄が表示されているものであっても良い。
【0012】
(ケース及びフレネルレンズ)
ケース2は、特に限定はされないが、軽量化のためプラスチックによって構成されている。このケース2には開口を閉塞するようにフレネルレンズ3が取り付けられている。このフレネルレンズ3は外側からケース2内が視認しにくいように構成されていることが好ましい。
【0013】
(画像情報読取り手段及び電子画像表示手段)
画像情報読取り手段4の一例であるCCDイメージセンサと、電子画像表示手段5の一例である液晶ディスプレイとは、ケース2内において、フレネルレンズ3に対向する壁に並設されている。
なお、画像情報読取り手段4としては、CCDイメージセンサに限定されず、CMOSイメージセンサであっも良い。また、電子画像表示手段5は、液晶ディスプレイに限定されず、ELディスプレイであっても良い。
【0014】
(音出力手段)
音出力手段6はスピーカを含んで構成されている。なお、ケース2の周壁には、図示はしないが、音出力手段6の放音孔が適宜設けられている。
【0015】
(記憶手段及び制御手段)
記憶手段7はROMやRAM等を含んで構成されている。記憶手段6aには、各種画像データと、各種音声データと、表示用制御プログラム等とが格納されている。
制御手段6はCPU等を含んで構成されている。そして、制御手段6aは、記憶手段6aに格納されているプログラムに従って、電子画像表示手段5の一例である液晶ディスプレイに画像を表示させたり、音出力手段6の一例であるスピーカから音を出力させるように構成されている。
【0016】
(画像データ及び音データ)
記憶手段7に記憶されている画像データは、基本画像データ、合成画像データ及び比較画像データである。基本画像データとしては、例えば楽器を持たずに歌う姿態のキャラクタの画像に対応する画像データ(動画画像データを含む)が記憶されている。また、合成画像データとしては、例えばギターやタンバリン(楽器)を演奏しながら歌う姿態のキャラクタの画像に対応する画像データ(動画画像データを含む)が記憶されている。その他、色々な楽器を演奏しながら歌う姿態のキャラクタの画像に対応する合成画像データが記憶手段7に記憶されている。さらに、比較画像データとしては、画像情報担持体9の画像情報に基づく画像データと比較するための画像データが記憶されている。
また、音声データとしては、例えば楽器を持たずに歌う場合のキャラクタの歌声に対応する音声データ(歌唱データ)と、例えばギターやタンバリン(楽器)を演奏しながら歌う場合のギター音やタンバリン音とキャラクタの歌声とに対応する音データとが記憶されている。その他、色々な楽器を演奏しながら歌う場合の楽器音とキャラクタの歌声とに対応する音データが記憶手段7に記憶されている。
【0017】
(操作部及び電源)
図示はしないが、本実施形態の立体像投影装置1は操作部及び電源を備えている。
操作部は、例えばCCDイメージセンサ4で画像情報担持体9の画像情報を読み取る際に操作される。例えば、操作部を操作している間、或いは操作部を操作した後所定時間内だけ、制御手段8による制御によって、画像情報読取り手段4の一例であるCCDイメージセンサが画像情報担持体9の画像情報を読み取るようになっている。なお、画像情報担持体9が随時に画像情報を読み取るようになっていても良い。
また、電源について言えば、電池等の電源をケース2内に内蔵させても良いし、外部電源を使用するものであっても良い。なお、図示はしないがケース2には電源スイッチが設けられている。
【0018】
(動作)
次に、この立体像投影装置1の動作を説明する。
立体像投影装置1では電源を投入すると、例えば、人形のキャラクタの動画像が液晶ディスプレイ5に表示される。そして、この動画像はフレネルレンズ3を通して空中に結像し、空中像10が形成される。同時に、音出力手段6からはキャラクタの歌声が出力される。途中で、フレネルレンズ3の上に例えばギターの画像情報担持体9を載せて、図示しない操作部を操作すると、画像情報担持体9に担持された画像情報が読み取られる。読み取られた画像情報に基づく画像データは制御手段8によって記憶手段7内の比較画像データと比較される。そして、読み取られた画像情報がギターのものであることが判定される。そして、ギターを携えたキャラクタに対応する画像、つまり、図4(B)に示すように、ギターを弾きながら歌う人形のキャラクタの動画像が液電子画像表示手段5に表示される。そして、この動画像はフレネルレンズ3を通して空中に結像し、空中像10が形成される。同時に、音出力手段6からはギターを弾きながら歌っているときの音が出力される。
なお、フレネルレンズ3の上に例えばタンバリンの画像情報担持体9を載せると、図4(C)に示すように、タンバリンを演奏しながら歌う人形のキャラクタの動画像が液電子画像表示手段5に表示される。そして、この動画像はフレネルレンズ3を通して空中に結像し、空中像10が形成される。同時に、音出力手段6からはタンバリンを演奏しながら歌っているときの音が出力される。
【0019】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることはいうまでもない。
上記実施形態では、画像情報担持体9が楽器の画像情報を担持する場合を説明したが、それ以外の物品の画像情報を担持するものであっても良い。
例えば画像情報担持体9が傘の画像情報を担持するものである場合、傘を差していないキャラクタの画像を基本画像とし、合成画像を傘を差しているキャラクタの画像とすることができる。また、その際の音として雨の音などを効果音として出力することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る立体像投影装置の一実施形態を示した構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る立体像投影装置の制御構成を示す図てある。
【図3】本発明の実施形態に係る立体像投影装置の画像情報担持体の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る立体像投影装置の表示画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1 立体像投影装置
2 ケース
3 フレネルレンズ
4 画像情報読取り手段
5 電子画像表示手段
6 音出力手段
7 記憶手段
8 制御手段
9 画像情報担持体
10 空中像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレネルレンズと、前記フレネルレンズの一面側に該フレネルレンズに対向して配置された電子画像表示手段と、基本画像データを記憶する記憶手段を有し前記基本画像データに基づく基本画像を前記電子画像表示手段に表示させる制御手段と、前記フレネルレンズの前記一面側で前記電子画像表示手段と重ならない位置に該フレネルレンズに対向して配置された画像情報読取り手段と、を備え、前記電子画像表示手段に表示された基本画像を前記フレネルレンズを通して空中に結像させる立体像投影装置であって、前記立体像投影装置の本体とは別体で前記フレネルレンズの他面側に置かれた際に前記画像読取り手段によって読取り可能な画像情報を担持する画像情報担持体とを有し、前記画像情報担持体が担持する画像情報は前記フレネルレンズを通して前記画像情報読取り手段によって読取り可能に構成され、前記制御手段は、前記基本画像を前記電子画像表示手段に表示させている間に前記画像読取り手段によって前記画像情報が読み取られたとき、該基本画像と該画像情報に基づく画像とを合成した形の合成画像を前記電子画像表示手段に表示させ、該合成画像を前記フレネルレンズを通して空中に結像させるように構成されていることを特徴とする立体像投影装置。
【請求項2】
前記記憶手段には、前記画像情報及び前記基本画像データに対応付けられて前記合成画像に対応する合成画像データが記憶され、前記制御手段は、前記基本画像を前記電子画像表示手段に表示させている間に前記画像読取り手段によって前記画像情報が読み取られたとき、該基本画像と該画像情報に基づく画像とを合成した形の合成画像に対応する合成画像データを前記記憶手段から読み出して前記電子画像表示手段に該合成画像データに対応する前記合成画像を表示させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の立体像投影装置。
【請求項3】
前記記憶手段には、前記画像情報担持体が担持する画像情報に対応する画像データが記憶され、前記制御手段は、前記基本画像を前記電子画像表示手段に表示させている間に前記画像読取り手段によって前記画像情報が読み取られたとき、前記記憶手段に記憶されている該基本画像に対応する基本画像データと該画像情報に対応する画像データとを読み出して前記合成画像に対応する合成画像データを生成して前記電子画像表示手段に該合成画像データに対応する前記合成画像を表示させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の立体像投影装置。
【請求項4】
前記基本画像データに対応した第一のデータと前記合成画像データに対応した第二の音データとを記憶する記憶手段と、前記第一のデータに対応する音と前記第二の音データに対応する音とを出力する音出力手段と、前記電子画像表示手段に表示される画像と対応した音を前記音出力手段に出力させる制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載の立体像投影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−244335(P2009−244335A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87775(P2008−87775)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】