説明

立体欠陥検査方法および検査装置

【課題】本発明はカラーフィルタ基板の自動欠陥検査装置で、前記カラーフィルタ基板上の欠陥を平面の面積サイズ判定だけでなく、同時に高さ方向の欠陥判定を行うことで、極めて効率のよい欠陥検査が行える立体欠陥検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】カラーフィルタ基板の平面方向と高さ方向の欠陥を同時に検出する立体欠陥検査装置であって、前記カラーフィルタ基板を載置しXY平面上を搬送させる搬送手段と、前記カラーフィルタ基板上をカメラと光源が同期かつ軸移動可能な撮像手段と、前記撮像手段により得られた撮像データに対して演算処理を行う画像処理手段と、前記画像処理手段で得られた立体欠陥データにより前記カラーフィルタ基板の合否判定を行う手段を具備することを特徴とする立体欠陥検査装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置用カラーフィルタの欠陥検査方法に関わり、特に自動検査機においてその欠陥種別を自動的に判定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に液晶表示装置用カラーフィルタ基板は、例えば図5に示すような、クロムまたは酸化クロム膜をパターンエッチングして形成したブラックマトリクス(BM:遮光部)15、および赤色、緑色、青色の透明着色層からなる赤色画素12、緑色画素13、青色画素14を透明基板(ガラス基板)11上に形成し、その上に透明電極層(ITO層)16を形成し、さらにスペーサー17が設けられた構造からなっている。このような構成のカラーフィルタ基板10の製造過程で生じる欠陥(キズ、異物、突起、白欠陥など)を検査する欠陥検査機は、以下の方式のものが主流となっている。
【0003】
例えば特許文献1では、以下のような提案がされている。図6に示すように、光源2として白色光またはレーザー光を利用し、その光源2からの光をカラーフィルタ基板10上の赤色、緑色、青色の透明着色層からなる各画素パターンに照射する。次いで、画素パターンより反射、透過もしくは散乱した光を電荷結合素子(CCD)を用いたカメラ1で受け、光から変換された電気信号を処理して欠陥検出を行うものである。
【0004】
このような欠陥検査装置において、従来の自動欠陥検査では平面の欠陥サイズのみで判定を行い、別途、面積サイズを基にレビュー機にてレビュー測定して高さ管理を行っている。しかしながら、実際のカラーフィルタ基板は面積サイズも大小様々であり、また、高さ方法の欠陥の有無も様々で一様ではない。このような状況にもかかわらず、実際の検査はあらゆる状況を想定して、全てのカラーフィルタ基板の検査に、別途、レビュー機で高さ測定を行っている為、効率が悪いなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−221041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、自動欠陥検査装置にて平面の面積サイズ判定だけでなく、同時に高さ方向の欠陥判定を行うことで、極めて効率のよい欠陥検査が行える立体欠陥検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためのものであり、本発明の請求項1に係る発明は、カラーフィルタ基板の平面方向と高さ方向の欠陥を同時に検出する立体欠陥検査装置であって、
前記カラーフィルタ基板を載置しXY平面上を搬送させる搬送手段と、
前記カラーフィルタ基板上をカメラと光源が同期かつ軸移動可能な撮像手段と、
前記撮像手段により得られた撮像データに対して演算処理を行う画像処理手段と、
前記画像処理手段で得られた立体欠陥データにより前記カラーフィルタ基板の合否判定を行う手段を具備することを特徴とする立体欠陥検査装置である。
【0008】
本発明の請求項2に係る発明は、前記カメラがエリアセンサカメラまたはラインセンサ
カメラであることを特徴とする請求項1に記載の立体欠陥検査装置である。
【0009】
本発明の請求項3に係る発明は、前記カメラが複数台具備されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の立体欠陥検査装置である。
【0010】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の立体欠陥検査装置を用いて、前記前記カラーフィルタ基板の欠陥検査の対象領域を、2箇所の異なるカメラ位置から撮像し、得られた画像データから高さ方向の立体欠陥データを演算することを特徴とする立体欠陥検査方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の立体欠陥検査装置を用いた検査の自動化により、平面の面積サイズ判定だけでなく、同時に高さ方向の欠陥判定を行うことができ、カラーフィルタ基板の検査処理速度が向上する。また、不良の傾向解析が自動化・高速化されるため、不良原因の早期解析により製造工程へのフィードバックが迅速に行えるようになる
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の検査装置の一実施例の概略図(平面図、側面図)。
【図2】本発明の立体欠陥検出判定フロー。
【図3】本発明の高さ方向の情報取得方法の概略図。
【図4】本発明のステレオ視による高さ方向の情報算出の模式図。
【図5】カラーフィルタ基板の構造を示す一実施例の概略断面図。
【図6】従来の検査装置の一実施例の側面概略図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の欠陥検査方法の判定の形態を、以下に図面を用いて説明する。
【0014】
図1は本発明の検査装置の一実施例の概略図を示す。図1(a)は平面図であり、図1(b)は側面図を示す。図2は本発明の立体欠陥検出判定フローを示す。図3は本発明の高さ方向の情報取得方法の概略図を示す。図3(a)は検査対象となるPに対して、カメラがA点及びB点の異なる2箇所に位置する時の、それぞれの撮像A´及びB´をX軸、Y軸、Z軸の3次元に示した図である。図3(b)はX軸、Z軸の2次元に示した図である。図4は本発明のステレオ視による高さ方向の情報を算出するための模式図である。図5はカラーフィルタ基板の構造を示す一実施例の概略断面図である。図6は従来の検査装置の一実施例の側面概略図を示す。
【0015】
一般に従来のカラーフィルタ基板(CF基板)10の構造は、図5に示すように、ガラス基板11上に赤色画素12、緑色画素13、青色画素14およびブラックマトリクス(BM)15が形成され、その上に透明電極層(ITO層)16が積層され、さらにスペーサー17が設けられた構造からなっている。
【0016】
本発明の立体欠陥検査装置20は、図1(b)の側面図に示すように、CF基板10が搬送ステージ3に載置され、その上部に設置された同期かつ軸移動可能な光源2とカメラ1により、前記CF基板10の検査対象領域の立体欠陥を検出する装置である。図1(a)の平面図で示すように、上記の同期かつ軸移動可能な光源2とカメラ1は、画素の横列30(第一列R)、画素の縦列40(第一列L)の位置からスタートして、画素(L,R)から順次画素(L,R)へとT方向に移動して、画素の横列Rの検査対象領域を検査する。検査が終了すると、次に、S方向に移動して画素の横列Rの検査を前記横列Rの検査と同様に行う。この動作を繰り返すことで前記CF基板10の全面を検査する。なお、上記の光源2とカメラ1は1台に限定するものではないが、検査処理時間をより短縮するに複数台具備されることがより好ましい。また、さらに検査処理時間をより短縮するに、カメラ1はエリアセンサカメラまたはラインセンサカメラが好ましい。
【0017】
図2に示す発明の立体欠陥検出判定フローにより、本発明の検査方法のより具体的な説明とする。
【0018】
本発明の立体欠陥検査方法は、前記CF基板10の検査対象領域Pを異なる2つのポジション(図3の位置A、位置B)から、一台の同じカメラ1または別々のカメラ1にて撮像するステレオ視法を用いることを特徴としている。この場合、例えば位置A(1ポジション目)の撮像データから得られ画像を基本画像としてメインに使用し、画素の横列Rの撮像データを基準にしてRとの周期的なパターンの比較を行い、その双方が異なる場合に欠陥と判定し、一定領域内の欠陥をまとめて面積サイスの欠陥の判定とする。
【0019】
一方、高さ方向の欠陥については、上記の面積サイズの欠陥判定で、欠陥と判定された画素に対して、位置B(2ポジション目)の撮像データから得られる画像を参照画像として、位置Aと位置Bの撮像データから視差を求めて高さ情報を算出して高さの欠陥とし、最後に前記面積ザイスの欠陥と高さの欠陥とを結合させて欠陥の検出を終了する。
【0020】
上記の位置Aと位置Bの撮像データから視差を求めて高さ情報を算出する方法につい低下に説明する。図4の模式図から、△PA´B´と△PABは相似関係であることから、以下の式(1)が成り立つ。
d:(d−Xa+Xb)=Zp:(Zp−f) 式(1)
従って、点Pでの高さ情報であるZ座標値Zpは以下の式(2)より得られる。
Zp=df/(Xa−Xb) 式(2)
なお、式(1)および式(2)中で、dはカメラ間距離(位置Aと位置Bとの間隔)、fはカメラの焦点距離、Xaは位置AのX座標値、Xbは位置BのX座標値、Zpは位置PのZ座標値を表す。
【0021】
上記のように本発明は、検査対象領域の同位置を異なる2つのカメラ位置(位置A、位置B)から撮像することを特徴とする。この方法により一方の位置(位置A)から得られた基本画像と、他方の位置(位置B)から得られた参照画像を結合することで、面積サイズの欠陥のみならず高さ方法の欠陥を同時に検出することができる。すなわち、位置Aによる基本画像を用いて、画素の横列Rの撮像データを基準にしてRとの周期的なパターンの比較を行うことで欠陥を判定し、同様にしてR、R、・・・Rと一定領域内の欠陥をまとめて面積ザイスの欠陥の検出を行い、また、同時に、位置Bの画像を参照画像として、位置Aと位置Bの撮像データから視差を求めて高さ情報を算出して高さの欠陥を検出し、一台の自動欠陥検査装置によりCF基板全体の欠陥を立体的に検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
CF基板の検査において、本発明の立体欠陥検査装置を用いることにより、平面の面積サイズ判定だけでなく、同時に高さ方向の欠陥判定を行うことができ、CF基板の検査処理速度が向上する。また、不良の傾向解析が自動化・高速化されるため、不良原因の早期解析により製造工程へのフィードバックが迅速に行えるようになる
【符号の説明】
【0023】
1 カメラ
2 光源
3 搬送ステージ
10 CF基板
11 ガラス基板
12 赤色画素
13 緑色画素
14 青色画素
15 ブラックマトリクス(BM)
16 ITO層
17 スペーサー
20 欠陥検査装置
21 位置Aのカメラ光軸
22 位置Bのカメラ光軸
23 視差
30 画素の横列(R,R・・・R
40 画素の縦列(L,L・・・L
A カメラの1ポジション(位置A)
B カメラの2ポジション(位置B)
A´ カメラ位置Aでの撮像位置
B´ カメラ位置Bでの撮像位置
P CF基板の検査対象領域
S スキャン方向
T カメラ・光源の可動方向
M CF基板の移動方向
d カメラ間距離(位置Aと位置Bとの間隔)
f カメラの焦点距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルタ基板の平面方向と高さ方向の欠陥を同時に検出する立体欠陥検査装置であって、
前記カラーフィルタ基板を載置しXY平面上を搬送させる搬送手段と、
前記カラーフィルタ基板上をカメラと光源が同期かつ軸移動可能な撮像手段と、
前記撮像手段により得られた撮像データに対して演算処理を行う画像処理手段と、
前記画像処理手段で得られた立体欠陥データにより前記カラーフィルタ基板の合否判定を行う手段を具備することを特徴とする立体欠陥検査装置。
【請求項2】
前記カメラがエリアセンサカメラまたはラインセンサカメラであることを特徴とする請求項1に記載の立体欠陥検査装置。
【請求項3】
前記カメラが複数台具備されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の立体欠陥検査装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の立体欠陥検査装置を用いて、前記前記カラーフィルタ基板の欠陥検査の対象領域を、2箇所の異なるカメラ位置から撮像し、得られた画像データから高さ方向の立体欠陥データを演算することを特徴とする立体欠陥検査方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−225824(P2012−225824A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95023(P2011−95023)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】