説明

立体画像表示システム、画像制御装置及び立体画像表示方法

【課題】複数の観察者が、異なる視差を持つ立体画像を見ることができる立体画像表示システム、画像制御装置及び立体画像表示方法を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる立体画像表示システムは、右目画像と左目画像を時分割して表示する表示装置34と、表示装置34の観察者に対して前記右目画像と前記左目画像を選択的に遮光する遮光装置32とを備えている。表示装置34は、第1の視差を実現する第1の立体画像と、前記第1の立体画像とは異なる第2の視差を実現するための第2の立体画像を時分割して表示する。前記第1の立体画像は、第1の右目画像112と、第1の左目画像111から構成される。前記第2の立体画像は、第2の右目画像113と第1の左目画像111から構成される。遮光装置32は、第1の視差を有する画像の組み合わせ又は第2の視差を有する画像の組み合わせが前記観察者に視認されるように複数の表示画像の一部を遮光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像表示システム、画像制御装置及び立体画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
映像産業分野においては、立体映画の公開機会の増加や、立体テレビの普及促進に伴い、立体映像の撮影手段及び表示手段の供給の要求が高まっている。それに応じて、当該分野の技術の発達が進んでいる。
【0003】
例えば、特許文献1では、視聴者に立体映像を見せる技術が開示されている。図7は、特許文献1に開示された立体画像表示システムの全体構成を示すブロック図である。図7に示されるように、このシステムにおいて、記録装置6は、立体映像が記録されたメディアを再生して、右目用の映像1及び左目用の映像2をテレビなどの表示装置3に出力する。表示装置3とシャッター4及びメガネ7Aの間には、制御信号を供給するためのケーブル3A・3Bが設けられている。ユーザは、表示装置3からシャッター4を介して出力された映像5A、5Bを、液晶シャッターもしくは偏光板が備えられたメガネ7Aを用いて見る。それにより、ユーザは、立体画像を見ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−135686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された立体画像表示システムにおいては、複数のユーザが表示装置に出力された画像を見る場合、同一の視差の立体画像しか見られないという問題点があった。問題の起こる具体例として、大人用の視差を持つ立体画像の映画を親子で一緒に視聴する場合に、子供に違和感が生じることが考えられる。子供と大人の両目間の視差量には、大きな差があるためである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる立体画像表示システムは、第1の視差を有する第1の立体画像と、当該第1の視差とは異なる第2の視差を有する第2の立体画像を時分割して連続的に表示する表示装置と、前記第1の立体画像又は第2の立体画像を選択的に遮光する遮光装置を備えたものである。このような構成により、観察者が第1の視差を有する画像の組み合わせ又は第2の視差を有する画像の組み合わせを視認することで、複数の観察者が、異なる視差を持つ立体画像を見ることができる。
【0007】
本発明にかかる画像制御装置は、第1の視差を有する第1の立体画像と、当該第1の視差とは異なる第2の視差を有する第2の立体画像を時分割して連続する時分割データを取得する手段と、前記生成された時分割データを、当該時分割データに含まれる前記第1の立体画像と前記第2の立体画像とを連続して表示可能な表示装置に対して、出力するものである。このような構成により、観察者が第1の視差を有する画像の組み合わせ又は第2の視差を有する画像の組み合わせを視認することで、複数の観察者が、異なる視差を持つ立体画像を見ることができる。
【0008】
本発明にかかる立体画像表示方法は、第1の視差を有する第1の立体画像と、当該第1の視差とは異なる第2の視差を有する第2の立体画像を時分割して連続的に表示し、前記第1の立体画像又は第2の立体画像を選択的に透過させ、観察者に対していずれかの画像を認識させるものである。このような構成により、観察者が第1の視差を有する画像の組み合わせ又は第2の視差を有する画像の組み合わせを視認することで、複数の観察者が、異なる視差を持つ立体画像を見ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、複数の観察者が、異なる視差を持つ立体画像を見ることができる立体画像表示システム、画像制御装置及び立体画像表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1にかかる、立体画像表示システムの構成例である。
【図2】実施の形態1にかかる、時分割画像データの編集のタイムチャートである。
【図3】実施の形態1にかかる、立体画像表示の具体例を示す図である。
【図4】実施の形態1にかかる、画像表示のタイムチャートの図である。
【図5】実施の形態2にかかる、立体画像表示の具体例を示す図である。
【図6】実施の形態3にかかる、立体画像表示の具体例を示す図である。
【図7】関連技術にかかる立体画像表示システムの全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の実施の形態1.
以下、図面を参照して本実施の形態1について説明する。図1は、本実施の形態1にかかる、立体画像表示システムの構成例を示す図である。図1に示す立体画像表示システムは、撮影システム10と、表示システム30を備えている。撮影システム10は、撮影された画像データを作成し、それを時分割で連続的な時分割画像データ20にまとめるシステムである。表示システム30は、時分割画像データ20を画像として再生し、3Dメガネ(遮光装置)のシャッター制御を行う。
【0012】
撮影システム10は、複数の撮影装置11、12、13と、撮影編集装置14を備えている。本例において撮影装置11、撮影装置12、撮影装置13はそれぞれ画像データの作成を行う、別々の撮影装置である。これらの複数の撮影装置は、例えばビデオカメラや映画用カメラなどの、被写体を撮影できる機能を備えている撮影装置である。なお、複数の撮影装置は、完全に独立した複数の撮影装置により構成されてなくても、互いに離間した撮像位置からレンズやミラー等の光路を経て単一の画像素子に画像を入力し、順次その光路を時分割に切り替えて時分割画像を生成する構成であってもよい。
【0013】
ここで、撮影装置11、撮影装置12、撮影装置13のそれぞれは、異なる位置から被写体を撮影するように配置されている。本例では、撮影装置11により撮影された画像と撮影装置12により撮影された画像により設定される視差と、撮影装置11により撮影された画像と撮影装置13により撮影された画像により設定される視差とは異なる。
【0014】
撮影編集装置14は、撮影装置11、撮影装置12、撮影装置13で作成された画像データを編集し、時分割多重のデータである時分割画像データ20を作成する。撮影編集装置14は、例えば、専用の編集ソフトウェアがインストールされたパーソナルコンピュータや、VTR(Video Tape Recorder)である。
【0015】
ここで、撮影編集装置14が実行する画像データの編集処理について、図2のタイムチャートを用いて説明する。図2においては、撮影装置11が撮影した画像データをA、撮影装置12が撮影した画像データをB、撮影装置13が撮影した画像データをCと表わしている。画像データはそれぞれフレーム毎に分けられており、例えば画像データAにおいては、左からA1、A2、A3といったフレーム毎のデータに分けられている。また、図2では、図の左から右になるほど時間が経過している。つまり、データA1よりもデータA2の方が時系列として後であり、データA2よりもデータA3の方が時系列として後である。これは画像データB、画像データCについても同様である。
【0016】
撮影編集装置14は、撮影装置11、撮影装置12、撮影装置13が撮影した画像データA、画像データB、画像データCを、時分割された1つの連続した画像データに変換する。具体的には、時分割画像データ20は、図2に示す通り、A1、B1、C1、A2、B2、C2、A3、B3、C3・・・のように、画像データA、画像データB、画像データCが、時分割されてそれぞれ交互に記録された画像データである。このとき、時分割画像データ20の1つのフレームには、画像データA1、B1、C1が含まれている。時系列においてその次にあたるフレームには、画像データA2、B2、C2が含まれ、更にその次にあたるフレームには、画像データA3、B3、C3が含まれている。以降のフレームでも同様である。以上のようにして、撮影編集装置14は複数の撮影装置11、12、13が撮影した画像データを、時分割で1つの時分割画像データ20を構成するように編集する。
【0017】
図1に示す表示システム30は、時分割画像データ20に基づき、複数のユーザ(観察者)に立体画像を提供する。画像制御装置31は、時分割画像データ20を表示装置34において表示させるための制御信号を生成し、入力した時分割画像データ20とともに、表示装置34に対して出力する。また表示装置34への表示制御と同期して、画像制御装置31は大人用3Dメガネ32及び子供用3Dメガネ33において立体画像をユーザに視認させるための制御信号を生成して、出力する。この3Dメガネ32、33に対する制御信号には、3Dメガネ32、33が表示装置34の画像表示に同期して必要な画像のみを透過してユーザに対して視認させるための同期信号が少なくとも含まれる。さらに、当該同期信号には、3Dメガネ32、33に対して表示装置34が表示する画像が大人用の画像なのか子供用の画像なのか、さらには右目、左目のいずれの画像なのかを示す情報、換言するといずれの撮像装置により撮像された画像なのかを示す情報を含むようにしてもよい。なお、時分割画像データ20、表示装置34に対する制御信号及び3Dメガネ32、33に対する制御信号は、有線・無線のいずれによって、表示装置34及び3Dメガネ32、33に伝送されるよう構成してもよい。
【0018】
画像制御装置31は、例えば、立体画像の再生に対応したDVD(Digital Versatile Disc)プレーヤーやブルーレイプレーヤーである。大人用3Dメガネ32及び子供用3Dメガネ33は、大人と子供それぞれの平均的な頭の大きさや視差に合わせたメガネの形状を有する。
【0019】
大人用3Dメガネ32及び子供用3Dメガネ33は、通常のメガネフレームに加えて、左右両目のレンズ部分に遮光機構(例えば、液晶シャッター)が設けられている。また、大人用3Dメガネ32及び子供用3Dメガネ33は、画像制御装置31から出力された制御信号を受信する受信手段(図示せず)と、当該受信手段により受信された制御信号に基づいて両目の液晶シャッターの開閉を実行する制御手段(図示せず)を備えている。この制御手段により、ユーザの左右の目に対して、光を透過するか遮光を行うかの制御を実行する。大人用3Dメガネ32及び子供用3Dメガネ33は、画像制御装置31が出力する制御信号に同期して、各3Dメガネ32、33の右目及び左目におけるシャッター開閉を制御する。
【0020】
例えば、当該制御信号が大人用3Dメガネ32及び子供用3Dメガネ33に共通の同期信号のみを含む場合には、大人用3Dメガネ32は、同期信号を基準として、大人が視認すべき画像が表示されるタイミングを認識し、このタイミングにおいてシャッターを開く。また、子供用3Dメガネ33は、同期信号を基準として、子供が視認すべき画像が表示されるタイミングを認識し、このタイミングにおいてシャッターを開く。また、当該制御信号が大人用3Dメガネ32及び子供用3Dメガネ33のそれぞれに対して固有の制御信号である場合には、その情報を含む固有同期信号より構成される。大人用3Dメガネ32は、同期信号を基準として、大人が視認すべき画像が表示されるタイミングを認識し、このタイミングにおいてシャッターを開く。また、子供用3Dメガネ33は、同期信号を基準として、子供が視認すべき画像が表示されるタイミングを認識し、このタイミングにおいてシャッターを開く。このようにして、大人や子供といったユーザの右目及び左目に表示装置34の表示する画像のうち、必要な画像のみが届くように制御することができる。
【0021】
図3は、本実施の形態1における立体画像表示処理の具体例を説明したものである。本例において、撮影カメラレンズ左目用102、撮影カメラレンズ右目子供用103、撮影カメラレンズ右目大人用104のそれぞれより、撮影対象物101の画像を受光し、撮影装置により撮影を実行する。撮影カメラレンズ左目用102は図1及び図2の撮影装置11に、撮影カメラレンズ右目子供用103は撮影装置13に、撮影カメラレンズ右目大人用104は撮影装置12にそれぞれ搭載されている。また、撮影においては、撮影カメラレンズ左目用102と撮影カメラレンズ右目大人用104を介して撮影した画像の視差(第1の視差)の量と比べ、撮影カメラレンズ左目用102と撮影カメラレンズ右目子供用103が撮影した画像の視差(第2の視差)の量が少なくなるようにする。そのために、撮影カメラレンズ左目用102と撮影カメラレンズ右目大人用104間の距離は、撮影カメラレンズ左目用102と撮影カメラレンズ右目子供用103間の距離よりも長くなるよう、それぞれのレンズが配置されている。
【0022】
撮影カメラレンズ左目用102、撮影カメラレンズ右目子供用103、撮影カメラレンズ右目大人用104を介して撮影された画像には、3種類の撮影画像が含まれる。すなわち、撮影カメラレンズ左目用102からは撮影画像左目用105を、撮影カメラレンズ右目子供用103からは撮影画像右目子供用106を、撮影カメラレンズ右目大人用104からは撮影画像右目大人用107を得ることができる。撮影画像左目用105は図2の画像データA、撮影画像右目大人用107は画像データB、撮影画像右目子供用106は画像データCに相当する。撮影画像左目用105、撮影画像右目大人用107、撮影画像右目子供用106の3種類の撮影画像は、時分割により、1つの時分割画像データ(図示せず)になるように編集される。この編集の詳細は、前述の通りである。
【0023】
画像表示手段108は、撮影画像左目用105、撮影画像右目大人用107、撮影画像右目子供用106が時分割で1つに編集された画像データを再生する。ここで画像表示手段108は、各撮影画像に対応した3つの表示用画像である、表示画像左目用111、表示画像右目大人用112、表示画像右目子供用113をそれぞれ時分割で循環的に表示する。表示画像左目用111が撮影画像左目用105に対応し、表示画像右目大人用112が撮影画像右目大人用107に対応し、表示画像右目子供用113は撮影画像右目子供用106に対応している。画像表示手段108は、画像表示と同期して、大人用3Dメガネ制御信号109及び子供用3Dメガネ制御信号110を作成し、大人用3Dメガネ32及び子供用3Dメガネ33にそれぞれ送信する。
【0024】
なお、画像表示手段108は、図1の画像制御装置31及び表示装置34を組み合わせたものである。実際に画像表示手段108の内部においては、画像制御装置31は表示装置34に対して、表示画像左目用111、表示画像右目大人用112、表示画像右目子供用113をそれぞれ時分割で交互に表示させるよう、制御信号を出力している。以下、画像表示手段108が表示する画像については、画像表示手段108内部の画像制御装置31による制御信号に基づいて、表示装置34が表示しているものとする。
【0025】
大人用3Dメガネ32は、左目用の液晶シャッターとして3Dメガネシャッター左目用114を、右目用の液晶シャッターとして大人用3Dメガネシャッター右目用115を備えている。また、子供用3Dメガネ33は、左目用の液晶シャッターとして3Dメガネシャッター左目用114を、右目用の液晶シャッターとして子供用3Dメガネシャッター右目用116を備えている。大人用3Dメガネ32は大人のユーザが装着し、子供用3Dメガネ33は子供のユーザが装着する。
【0026】
大人用3Dメガネ制御信号109により、大人用3Dメガネ32は、表示画像左目用111が表示されている時間は、3Dメガネシャッター左目用114だけを開かせ、大人用3Dメガネシャッター右目用115は閉じさせる。表示画像右目大人用112が表示されている時間は、大人用3Dメガネシャッター右目用115だけを開かせ、3Dメガネシャッター左目用114は閉じさせる。表示画像右目子供用113が表示されている時間は、3Dメガネシャッター左目用114及び大人用3Dメガネシャッター右目用115の両方を閉じさせる。なお、表示画像左目用111を第1の左目画像、表示画像右目大人用112を第1の右目画像ともいい、第1の左目画像及び第1の右目画像を組み合わせたものを第1の立体画像ともいう。この第1の立体画像は、前述の第1の視差を実現する立体画像である。
【0027】
同様に、子供用3Dメガネ制御信号110により、子供用3Dメガネ33は、表示画像左目用111が表示されている時間は、3Dメガネシャッター左目用114だけを開かせて、子供用3Dメガネシャッター右目用116は閉じさせる。表示画像右目子供用113が表示されている時間は、子供用3Dメガネシャッター右目用116だけを開かせて、3Dメガネシャッター左目用114は閉じさせる。表示画像右目大人用112が表示されている時間は、3Dメガネシャッター左目用114及び子供用3Dメガネシャッター右目用116を閉じさせる。なお、表示画像左目用111を第1の左目画像、表示画像右目子供用113を第2の右目画像ともいい、第1の左目画像及び第2の右目画像を組み合わせたものを第2の立体画像ともいう。この第2の立体画像は、前述の第2の視差を実現する立体画像である。
【0028】
図4は、実施の形態1の立体画像表示に関するタイムチャートである。画像表示手段108は、図2で生成された時分割画像データ20を、画像としてそのまま変換し、表示させる。図3で示した大人用3Dメガネ制御信号109及び子供用3Dメガネ制御信号110の制御に基づき、大人用3Dメガネ32及び子供用3Dメガネ33が、どのような画像を大人及び子供のユーザに見せるかをさらに説明する。なお、以降で「画像A1」と述べる際には、画像データA1を画像表示手段108で画像として表示した画像のことを示すとする。「画像B1」、「画像C1」についても同様である。また、大人用3Dメガネ32は、種類Aの画像が表示されていることを検知したとき左目のシャッターを完全に開き、種類Bの画像が表示されていることを検知したとき右目のシャッターを完全に開く制御を行う。子供用3Dメガネ33は、種類Aの画像が表示されていることを検知したとき左目のシャッターを完全に開き、種類Cの画像が表示されていることを検知したとき右目のシャッターを完全に開く制御を行う。これ以外の場合においては、シャッターは完全に閉じられているものとする。
【0029】
まず、画像表示手段108に画像A1が表示されている時間には、大人用3Dメガネ制御信号109及び子供用3Dメガネ制御信号110は、現在、表示装置34に種類Aの画像が表示されていることを、大人用3Dメガネ32及び子供用3Dメガネ33に伝達する。大人用3Dメガネ32及び子供用3Dメガネ33はその制御信号に基づき、3Dメガネシャッター左目用114のシャッターを開かせる。つまり、大人用3Dメガネ32、子供用3Dメガネ33の両方とも左目のシャッターが開くことになり、大人と子供の両者が左目で画像A1を見ることになる。
【0030】
画像A1の次には、画像B1が画像表示手段108に表示される。この間には、大人用3Dメガネ制御信号109及び子供用3Dメガネ制御信号110は、現在、表示装置34に種類Bの画像が表示されていることを、大人用3Dメガネ32及び子供用3Dメガネ33に伝達する。大人用3Dメガネ32はその制御信号に基づき、大人用3Dメガネシャッター右目用115のシャッターを開かせる。子供用3Dメガネ33は、その制御信号に基づいて、右目及び左目のシャッターを閉じたままにする。つまり、大人のみが右目で画像B1を見ることになる。
【0031】
画像B1の次には、画像C1が画像表示手段108に表示される。この間には、大人用3Dメガネ制御信号109及び子供用3Dメガネ制御信号110は、現在、表示装置34に種類Cの画像が表示されていることを、大人用3Dメガネ32及び子供用3Dメガネ33に伝達する。子供用3Dメガネ33はその制御信号に基づき、子供用3Dメガネシャッター右目用116のシャッターを開かせる。大人用3Dメガネ32は、その制御信号に基づいて、右目及び左目のシャッターを閉じたままにする。つまり、子供のみが右目で画像C1を見ることになる。
【0032】
以上、画像表示手段108が1フレームにおいて画像A1、画像B1、画像C1を表示する際に、大人は左目で画像A1を、右目で画像B1を見て、子供は左目で画像A1を、右目で画像C1を見ることになる。次のフレームでは、画像A2、B2、C2が同様のパターンで画像表示手段108に表示され、大人と子供は前のフレームと同様の種類の画像を見る。次のフレームにおいても同様である。このようにして、大人は画像Aを左目で、画像Bを右目で見るのと並行して、子供は画像Aを左目で、画像Cを右目で見ることになる。大人は、視差のある画像を左目と右目で交互に見ることになり、立体画像を見ることができる。子供は、大人よりも視差量の少ない画像を左目と右目で交互に見るので、大人よりも3D効果が少ない立体画像を見ることができる。
【0033】
以上、本実施の形態1においては、大人用の視差で撮影された第1の立体画像と子供用の視差で撮影された第2の立体画像を時分割で表示させて、大人には第1の立体画像を、子供には第2の立体画像を見せることにより、大人と子供のそれぞれが視差量に違和感のない立体画像を楽しむことが可能となる。また、組み合わせる画像の設定とシャッターの開閉の制御次第で、任意の人に目的の立体画像を選択して見せることも可能になる。
【0034】
なお、本実施の形態1においては、子供と大人が左目で見る画像が同一の画像(第1の左目画像)であるとしたが、子供と大人が右目で見る画像が同一の画像(第1の右目画像)となるようにしてもよい。その場合、大人は左目で表示画像左目用111(第1の左目画像)を、子供は左目で第2の左目画像(第1の右目画像と組み合わせて第2の視差を有する第2の立体画像を実現する左目用の画像)を見る。それにより、大人が第1の立体画像を、子供が第2の立体画像を見ることが可能になる。
【0035】
また、図2及び図4における各フレームの時間は、再生した時に人間の目にとってちらつきを意識させずに動画像と認識させるために、1/60秒以下の時間にすることが好ましい。
【0036】
発明の実施の形態2.
以下、本実施の形態2にかかる立体画像表示システムについて説明する。なお、実施の形態1と同様の構成要素や方法に関する説明は適宜省略する。実施の形態1においては、大人と子供で共通した左目用の画像を用いて、大人と子供に対し、異なる視差の立体画像を提供していた。しかし本実施の形態2では、大人と子供で別の左目用の画像を用意して、大人と子供に対し、異なる視差の立体画像を提供することを行う。大人と子供で視差量の中心が厳密には異なるため、よりユーザの快適性を高める必要がある場合には、この実施の形態2にかかる立体表示システムが適している。そのため、左目用の画像を大人と子供で共通に用いている実施の形態1の発明の態様よりも、左目用の画像を大人と子供で異なるものを用いている実施の形態2の発明の態様の方が、より厳密な子供用の立体画像を提供することができる。
【0037】
図5は、実施の形態2にかかる、立体画像表示の具体例を示す図である。図5における別個の4種類の撮影装置は、図3の3種類の撮影装置に、子供の左目用のカメラとして撮影カメラレンズ左目子供用201を追加したものである。それに伴い、子供の左目用の画像として、撮影画像左目子供用202と、表示画像左目子供用203が新たに生成される。また、子供用3Dメガネ33の左目には、大人と同じ3Dメガネシャッター左目用114ではなく、子供用3Dメガネシャッター左目用204が液晶シャッターとして備えられている。
【0038】
本実施の形態2においては、撮影カメラレンズ左目用102、撮影カメラレンズ右目子供用103、撮影カメラレンズ右目大人用104及び撮影カメラレンズ左目子供用201のそれぞれを含む4種類の撮影装置が、撮影対象物101の撮影を行う。この際、撮影カメラレンズ左目用102と撮影カメラレンズ右目大人用104を介して撮影した画像の視差(第1の視差)の量と比べ、撮影カメラレンズ左目子供用201と撮影カメラレンズ右目子供用103を介して撮影した画像の視差(第2の視差)の量が少なくなるように、撮影を行う。また、撮影においては、撮影カメラレンズ左目子供用201と撮影カメラレンズ右目子供用103を介して撮影した画像の中央点と、撮影カメラレンズ左目用102と撮影カメラレンズ右目大人用104を介して撮影した画像の中央点は同一になるようにする。
【0039】
撮影カメラレンズ左目用102、撮影カメラレンズ右目子供用103、撮影カメラレンズ右目大人用104及び撮影カメラレンズ左目子供用201の撮影からは、4種類の撮影画像が得られる。すなわち、撮影画像左目用105、撮影画像右目大人用107、撮影画像右目子供用106及び撮影画像左目子供用202である。撮影画像左目用105、撮影画像右目大人用107、撮影画像右目子供用106及び撮影画像左目子供用202は、時分割で1つの時分割画像データ(図示略)になるように編集される。この編集の詳細は、前述の通りである。なお、実施の形態2では、表示する画像は4種類あるので、時分割画像データの1フレームは4つに分割されている。
【0040】
画像表示手段108は、撮影画像左目用105、撮影画像右目大人用107、撮影画像右目子供用106及び撮影画像左目子供用202が時分割されて1つに編集された画像データを再生し、各画像データに対応した4種類の表示用画像である、表示画像左目大人用111、表示画像右目大人用112、表示画像左目子供用203、表示画像右目子供用113を、時分割で表示する。表示の仕方は、実施の形態1の図2と同様である。
【0041】
画像表示手段108は、画像表示と同期して、大人用3Dメガネ制御信号109及び子供用3Dメガネ制御信号110を作成し、大人用3Dメガネ32及び子供用3Dメガネ33にそれぞれ出力する。なお、大人用3Dメガネ32の構成は実施の形態1と同様だが、子供用3Dメガネ33は、左目用のシャッターとして子供用3Dメガネシャッター左目用204を、右目用のシャッターとして子供用3Dメガネシャッター右目用116を備えている。
【0042】
大人用3Dメガネ制御信号109により、大人用3Dメガネ32は、表示画像左目大人用111が表示されている時間は、3Dメガネシャッター左目用114だけを開かせ、大人用3Dメガネシャッター右目用115は閉じさせる。表示画像右目大人用112が表示されている時間は、大人用3Dメガネシャッター右目用115だけを開かせ、3Dメガネシャッター左目用114は閉じさせる。表示画像左目子供用203及び表示画像右目子供用113が表示されている時間は、3Dメガネシャッター左目用114及び大人用3Dメガネシャッター右目用115の両方を閉じさせる。なお、表示画像左目大人用111を第1の左目画像、表示画像右目大人用112を第1の右目画像ともいい、第1の左目画像及び第1の右目画像を組み合わせたものを第1の立体画像ともいう。この第1の立体画像は、前述の第1の視差を実現する立体画像である。
【0043】
同様に、子供用3Dメガネ制御信号110は、子供用3Dメガネ33に対して、表示画像左目子供用203が表示されている時間は、子供用3Dメガネシャッター左目用204だけを開かせ、子供用3Dメガネシャッター右目用116は閉じさせる。表示画像右目子供用113が表示されている時間は、子供用3Dメガネシャッター右目用116だけを開かせ、子供用3Dメガネシャッター左目用204は閉じさせる。表示画像左目大人用111及び表示画像右目大人用112が表示されている時間は、子供用3Dメガネシャッター左目用204及び子供用3Dメガネシャッター右目用116を閉じさせる。なお、表示画像左目子供用203を第2の左目画像、表示画像右目子供用113を第2の右目画像ともいい、第2の左目画像及び第2の右目画像を組み合わせたものを第2の立体画像ともいう。この第2の立体画像は、前述の第2の視差を実現する立体画像である。
【0044】
実施の形態2の立体画像表示に関するタイムチャートについては、実施の形態1とほぼ同様なので、説明を省略する。以上の構成により、実施の形態2にかかる本発明の態様でも、大人用の視差で撮影された立体画像(第1の立体画像)と子供用の視差で撮影された立体画像(第2の立体画像)を時分割で表示させて、大人には大人用立体画像を、子供には子供用立体画像を見せることにより、大人と子供のそれぞれが視差に違和感のない立体画像を楽しむことが可能となる。また、時分割で組み合わせる画像とシャッターの設定次第で、任意の人に目的の画像だけを選択して見せることも可能になる。更に、実施の形態2にかかる本発明の態様では、視差が異なり、かつ両目の中央点が共通となるような大人用の立体画像と子供用の立体画像を、大人と子供に提供することができる。
【0045】
発明の実施の形態3.
以下、本発明の実施の形態3について説明する。なお、実施の形態1及び実施の形態2と同様の構成要素や方法に関する説明は、適宜省略する。実施の形態1及び実施の形態2では、大人用と子供用の画像データを撮影し、表示を行っていたが、大人用、子供用にとどまらず、更に大きな視差量といった、その他の視差を持つ画像データを追加して表示させることも可能である。例えば、巨大なモンスターが出演する映像作品において、巨大モンスター側から見た立体画像を、実施の形態1や実施の形態2と同様に、表示装置に時分割で表示することが考えられる。仮想の視差が人間に比べて非常に大きい巨大なモンスターの視点から見ると、実際のセットがミニチュアのように見える。そのため、巨大なモンスターからの視点を含む画像を表示することで、新たな演出効果を狙うことができる。
【0046】
図6は、実施の形態3における、立体画像表示の具体例を示す図である。図6における別個の4種類の撮影装置は、図3の3種類の撮影装置に、モンスターなどのその他用のカメラとして、撮影カメラレンズ右目その他用301を追加したものである。それに伴い、その他用の左目用の画像として、撮影画像右目その他用302と、表示画像右目その他用303が新たに生成される。また、立体画像表示システムには3Dメガネとして、大人用3Dメガネ32、子供用3Dメガネ33の他に、その他用3Dメガネ306が備えられている。その他用3Dメガネ306の左目には、3Dメガネシャッター左目用114が、右目には、その他用3Dメガネシャッター右目用305が、液晶シャッターとして備えられている。
【0047】
実施の形態3においては、撮影カメラレンズ左目用102、撮影カメラレンズ右目子供用103、撮影カメラレンズ右目大人用104及び撮影カメラレンズ右目その他用301の4つの撮影装置が、撮影対象物101の撮影を行う。この際、撮影カメラレンズ左目用102と撮影カメラレンズ右目子供用103が撮影した画像の視差は、撮影カメラレンズ左目用102と撮影カメラレンズ右目大人用104が撮影した画像の視差と比べて少なくなるように、また撮影カメラレンズ左目用102と撮影カメラレンズ右目その他用301が撮影した画像の視差は、撮影カメラレンズ左目用102と撮影カメラレンズ右目大人用104が撮影した画像の視差と比べてはるかに大きくなるように、撮影を行う。
【0048】
撮影カメラレンズ左目用102、撮影カメラレンズ右目子供用103、撮影カメラレンズ右目大人用104及び撮影カメラレンズ右目その他用301の撮影からは、4種類の撮影画像が得られる。すなわち、撮影画像左目用105、撮影画像右目子供用106、撮影画像右目大人用107及び撮影画像右目その他用302である。この4種類の画像は、時分割で1つの時分割画像データ(図示略)になるように編集される。画像表示手段108は、撮影画像左目用105、撮影画像右目大人用106、撮影画像右目大人用107及び撮影画像右目その他用302が時分割で組み合された画像データを再生し、各画像データに対応した4種類の表示用画像である、表示画像左目用111、表示画像右目大人用112、表示画像右目子供用113及び表示画像右目その他用303を、時分割で表示する。表示の仕方は、実施の形態1、実施の形態2と同様である。
【0049】
画像表示手段108が大人用3Dメガネ32及び子供用3Dメガネ33に大人用3Dメガネ制御信号109及び子供用3Dメガネ制御信号110を送る詳細については、実施の形態1と同様なので説明を省略する。ここでは、その他用3Dメガネ306が、画像表示手段108が出力するその他用3Dメガネ制御信号304に基づいて行う、両目のシャッターの開閉に関わる制御を説明する。
【0050】
その他用3Dメガネ制御信号304に基づいて、その他用3Dメガネ306は、表示画像左目用111が表示されている時間は、3Dメガネシャッター左目用114だけを開かせ、その他用3Dメガネシャッター右目用305は閉じさせる。表示画像右目その他用303が表示されている時間は、その他用3Dメガネシャッター右目用305だけを開かせ、3Dメガネシャッター左目用114は閉じさせる。表示画像右目大人用112及び表示画像右目子供用113が表示されている時間は、3Dメガネシャッター左目用114及びその他用3Dメガネシャッター右目用305の両方を閉じさせる。
【0051】
実施の形態3の立体画像表示に関するタイムチャートについては、実施の形態1とほぼ同様なので、説明を省略する。以上の構成により、実施の形態3にかかる本発明の態様では、大人用の視差で撮影された立体画像、子供用の視差で撮影された立体画像及びその他用の視差で撮影された立体画像を時分割で表示させている。具体的には、左目に見せる画像を共通として、右目画像を、大人用、子供用、その他用と3種類用意して、それぞれの画像を時分割で表示装置に表示させている。これにより、メガネのシャッター制御により、任意のユーザに3種類の立体画像を選択して見せることも可能になる。また、撮影装置を増やすことで、4種類以上の立体画像を選択して見せることも可能になる。
【0052】
なお、これまでの説明では、その他用の視差は人間の大人の視差よりも大きいとしたが、人間の子供の視差よりも小さな視差としてもよい。その場合には、撮影カメラレンズ左目用102と撮影カメラレンズ右目その他用301が撮影した画像の視差は、撮影カメラレンズ左目用102と撮影カメラレンズ右目子供用103が撮影した画像の視差と比べて小さくなるように、撮影を行う。いずれにせよ、人間の視差とは異なる視差として、その他用の視差を設定し、撮影を行うようにすれば十分である。あるいは、その他用の視差を、大人の視差よりも小さく、子供の視差よりも大きいと設定して、撮影を行ってもよい。
【0053】
なお、時分割で画像を表示させるにあたっては、実施の形態2や実施の形態3のように分割数が増える程、1フレーム辺りに実際に3Dメガネを透過して表示される画像の表示時間が短くなってしまう。これに対しては、表示装置34の輝度を上げることや、周波数を上げて1フレームの時間を短くさせ、ちらつきを少なくすることなどを行って対処する。実際には、蛍光灯が毎秒50回もしくは60回点滅を繰り返していることや、長い間、テレビの周波数が60フィールドのインタレース表示だったことを考慮すれば、人間の目は60Hz以上のちらつきには鈍感であり、1フレームの時間がおよそ1/60秒以下であれば、違和感は起きにくいと考えられる。また、1フレームの表示時間を短くすることについても、技術の進化によりテレビの倍速表示や3倍速表示が当たり前となっている昨今では容易に行える。
【0054】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本発明は立体表示にとどまらず、通常の非立体画像(左右で視差のない画像)に応用することも可能である。本発明の上記実施の形態においては、複数種類の画像を時分割で表示し、シャッターの制御によってユーザの右目と左目に異なる画像を表示させることで、ユーザに立体画像を提供することができた。つまり、シャッターの制御によって、ユーザの両目に同一の画像を出力するように3Dメガネを制御させれば、ユーザに非立体画像を提供することもできる。表示装置が複数種類の非立体画像を時分割で表示して、ユーザに対して複数種類の非立体画像を提供してもよい。また、画像制御装置の制御によって、あるユーザに対しては立体画像を表示させ、別のユーザには非立体画像を表示させるようにしてもよい。例として、家族全員で立体映画を見に行った場合、1人は3D酔いするためにあえて非立体の通常の画像を視聴する、といった使い方が考えられる。
【0055】
また、非立体画像以外にも、画像を白黒、セピア色にしたり、画像にフィルムノイズを混ぜたりといったように、効果を変えた画像を複数種類作成して、それらを表示装置によって時分割で表示させるようにしてもよい。
【0056】
表示装置で表示できる立体画像は複数種類あるが、常に異なる画像を複数のユーザに提供する必要はない。通常は複数のユーザ全員に同じ画像を表示させて、特定の時間にユーザ毎に表示させる画像を変えるといったことも考えられる。
【0057】
また、3Dメガネのユーザが、任意の画像を選択して見られるようにしてもよい。例えば、実施の形態1において、大人用3Dメガネ制御信号109及び子供用3Dメガネ制御信号110を、大人用3Dメガネ32と子供用3Dメガネ33の両方ともに送信できるようにして、ユーザ側では受信した制御信号のうち、大人用か、子供用かを選択できるようにすることが考えられる。3Dメガネは、選んだ制御信号に基づいて、上記実施の形態と同様に、右目と左目のシャッターの開閉を制御する。また、3Dメガネ側でなく画像制御装置側の設定を変更して、ユーザが画像の選択を行えるようにしてもよい。
【0058】
上記実施の形態においては、撮影された複数の画像データは、時分割され、時分割画像データとして記録されるとした。しかし、記録される段階では複数の画像データは時分割されている必要はなく、表示装置で表示される際に、実施の形態の通りに、時分割で表示されるようにしてもよい。また、上記実施の形態における時分割の表示では、各フレームにおいて、交互に異なる種類の画像が表示されるとした。しかし、これは完全に交互になっていなくともよい。異なる種類の画像が時分割で表示され、その中の2種類の画像をそれぞれ右目と左目に表示させることによって、人間の目に立体画像の動画と認識されることができれば、それで十分である。
【0059】
上記実施の形態においては、複数の視差を持つ画像データが予め撮影されるものとした。しかし、複数の視差の相違を持つ画像データは、予め撮影されなくとも、撮影編集装置や画像制御装置で作成され、表示装置において、実施の形態と同様に、異なる視差を持つ立体画像が時分割で表示されるようにしてもよい。また、撮影対象物は実際に存在しない、架空のものであってもよい。つまり、実施の形態に示されたような撮影システムでなく、CGやアニメの作成などにおいて、視差が生じるように撮影対象物の複数のコマを作成し、それらを複数の画像データとして、時分割で1つの画像データとして記録するようにしてもよい。もちろん、撮影対象物は任意のものでよい。
【0060】
上記実施の形態において、表示装置から、異なる音声データを異なる3Dメガネのユーザに提供するようにしてもよい。これにより、複数のユーザは異なる立体画像と、それに対応した異なる音声を視聴することが可能になる。
【0061】
上記実施の形態において、3Dメガネは、シャッターの開閉に応じて完全に光を透過もしくは遮断するとした。しかし、ユーザに本来見せる画像以外の画像が表示装置に表示された場合でも、画像からの光の一部を透過させるとしてもよい。あるいは、ユーザに本来見せる画像においても、当該画像の全ての光を透過させずに、一部を遮光する構成にしてもよい。
【0062】
上記実施の形態においては、制御装置は表示装置の表示する画像の変化に同期して、3Dメガネにタイミングを同期させる制御信号を出力し、3Dメガネはその制御信号に応じて、右目と左目にあるシャッターの開閉を制御するとした。しかし、制御装置は表示装置の表示する画像に同期して、3Dメガネに対し、右目と左目の開閉を直に制御させるような信号を、制御信号として出力するようにしてもよい。その場合、例えば、実施の形態1において制御装置が3Dメガネに出力する制御信号は、3Dメガネが大人用か子供用かという識別情報と、3Dメガネが大人用の場合の右目及び左目のシャッターの開閉の制御情報と、子供用の場合の右目及び左目のシャッターの開閉の制御情報に関する情報を含んでいる構成であってもよい。例えば、大人用か子供用かという識別情報は、大人用である場合には「1」、子供用である場合には「0」と表され、識別信号の一部に含まれているとしてもよい。シャッターの開閉等に関しても、同様に表されるとしてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態において、3Dメガネの制御は画像制御手段(画像表示兼制御手段)が行った。しかし、画像制御手段は存在せず、3Dメガネのみが画像データの表示に同期して、本実施の形態と同様の処理を行うことで、ユーザに立体画像を提供するようにしてもよい。つまり、3Dメガネが、表示装置に表示されている画像の種類を検知し、それに応じて、右目と左目の液晶シャッターの開閉を制御するといった構成でもよい。
【0064】
上記実施の形態において、3Dメガネは液晶シャッターを備えるとした。しかし、開閉が制御できるシャッター機能を有するならば、他のものでもよい。あるいは、偏光や分光といった技術を用いた3Dメガネでもよい。例えば偏光の技術を用いた場合、表示される画像は、異なる種類の画像であり、異なる偏光を有する構成が考えられる。また、3Dメガネの右目と左目は、異なる種類の偏光板若しくは偏光方向を変化できる液晶フィルタなど、偏光機能を有する部材から構成される。これにより、3Dメガネの各目の部材と同一の偏光方向を持った画像の光はユーザに視認され、目の部材と異なる偏光方向を持った画像の光はユーザに視認されなくなるため、画像の偏光方向と3Dメガネの各目の部材の偏光方向を調節することで、複数のユーザに異なる視差を持つ立体画像を提供することができる。また、表示装置で時分割により表示される画像の一部を遮光する機能があるならば、メガネという形態でなくてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 撮影システム
11、12、13 撮影装置
14 撮影編集装置
20 時分割画像データ
30 表示システム
31 画像制御装置
32 大人用3Dメガネ
33 子供用3Dメガネ
34 表示装置
101 撮影対象物
102 撮影カメラレンズ左目用
103 撮影カメラレンズ右目子供用
104 撮影カメラレンズ右目大人用
105 撮影画像左目用
106 撮影画像右目子供用
107 撮影画像右目大人用
108 画像表示兼制御手段
109 大人用3Dメガネ制御信号
110 子供用3Dメガネ制御信号
111 表示画像左目用
112 表示画像右目大人用
113 表示画像右目子供用
114 3Dメガネシャッター左目用
115 大人用3Dメガネシャッター右目用
116 子供用3Dメガネシャッター右目用
201 撮影カメラレンズ左目子供用
202 撮影画像左目子供用
203 表示画像左目子供用
204 子供用3Dメガネシャッター左目用
301 撮影カメラレンズ右目その他用
302 撮影画像右目その他用
303 表示画像右目その他用
304 その他用3Dメガネ制御信号
305 その他用3Dメガネシャッター左目用
306 その他用3Dメガネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の視差を有する第1の立体画像と、当該第1の視差とは異なる第2の視差を有する第2の立体画像を時分割して連続的に表示する表示装置と、
前記第1の立体画像又は第2の立体画像を選択的に遮光する遮光装置を備えた立体画像表示システム。
【請求項2】
前記表示装置は、さらに、前記第1の視差及び前記第2の視差のそれぞれとは異なる第3の視差を有する第3の立体画像を第1の立体画像及び第2の立体画像と時分割して循環的に表示し、
前記遮光装置は、前記第1の立体画像、前記第2の立体画像及び前記第3の立体画像のいずれかを選択的に透過させることを特徴とする請求項1記載の立体画像表示システム。
【請求項3】
前記第1の立体画像は、第1の右目画像と、当該第1の右目画像と組み合わせて第1の視差を実現する第1の左目画像からなり、
前記第2の立体画像は、前記第1の右目画像と前記第1の左目画像のいずれか一方と組み合わせて前記第2の視差を実現する右目画像又は左目画像、若しくは、前記第1の右目画像及び第1の左目画像とは独立して当該第2の視差を有する第2の右目画像及び第2の左目画像からなり、
前記遮光装置は、第1の視差を有する画像の組み合わせ又は第2の視差を有する画像の組み合わせが前記観察者に視認されるように複数の表示画像の一部を遮光する、
請求項1記載の立体画像表示システム。
【請求項4】
前記表示装置は、
表示する複数のフレームのそれぞれにおいて、前記第1の立体画像と前記第2の立体画像とを、時分割して表示する、
請求項1〜3いずれかに記載の立体画像表示システム。
【請求項5】
前記第1の視差は大人用に設定された視差であり、前記第2の視差は子供用に設定された視差であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の立体画像表示システム。
【請求項6】
前記第3の視差は人間とは異なる視差に設定された視差であることを特徴とする請求項2に記載の立体画像表示システム。
【請求項7】
第1の視差を有する第1の立体画像と、当該第1の視差とは異なる第2の視差を有する第2の立体画像を時分割して連続する時分割データを取得する手段と、
前記生成された時分割データを、当該時分割データに含まれる前記第1の立体画像と前記第2の立体画像とを連続して表示可能な表示装置に対して、出力する画像制御装置。
【請求項8】
前記表示装置の観察者に対して画像を選択的に遮光可能な遮光装置に対して、前記第1の視差を有する画像の組み合わせ又は前記第2の視差を有する画像の組み合わせが前記観察者に視認されるように複数の表示画像の一部を遮光するための制御信号を出力する、
請求項7に記載の画像制御装置。
【請求項9】
第1の視差を有する第1の立体画像と、当該第1の視差とは異なる第2の視差を有する第2の立体画像を時分割して連続的に表示し、
前記第1の立体画像又は第2の立体画像を選択的に透過させ、観察者に対していずれかの画像を認識させる立体画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−78749(P2012−78749A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226559(P2010−226559)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】