説明

立体視画像表示装置および立体視画像表示方法

【課題】立体視画像表示装置において、観察者が立体視画像が表示されたモニタを観察するときに立体視画像を立体視し易いようにする。
【解決手段】所定部分領域13Aのハーフミラー15を反射した表示光の輝度が対応部分領域14Aのハーフミラー15を透過した表示光の輝度と同じ値になるように輝度を調整すると共に、分割部分領域13B1〜13B8,14B1〜14B8のハーフミラー15を透過又は反射した表示光の輝度が、所定部分領域13Aの調整後のハーフミラー15を反射した表示光の輝度と同じになるように分割部分領域13B1〜13B8,14B1〜14B8毎に輝度を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視可能な立体視画像を表示する立体視画像表示装置および立体視画像表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の画像を組み合わせて表示することにより、視差を利用して立体視できることが知られている。このような立体視できる立体視画像は、同一の被写体を異なる方向から撮影して取得された互いに視差のある複数の画像に基づいて生成されており、具体的には、複数の画像の色を例えば赤と青のように異ならせて重ね合わせたり、複数の画像の偏光方向を異ならせて重ね合わせたりすることにより、複数の画像を合成して立体視画像を生成することができる。この場合、立体視画像を表示して、赤青眼鏡や偏光眼鏡等の画像を分離する立体視眼鏡を用いて表示された立体視画像を目の自動焦点機能により融合視することにより、画像を立体視することができる(アナグリフ方式、偏光フィルタ方式)。また立体視眼鏡を使用し、左目用視差画像と右目用視差画像を交互に表示することにより、立体視画像を表示することも可能である(時分割方式)。
【0003】
このような立体視画像の生成は、デジタルカメラやテレビなどの分野だけでなく、放射線画像撮影の分野においても利用されている。すなわち、被検者に対して互いに異なる方向から放射線を照射し、その被検者を透過した放射線を放射線画像検出器によりそれぞれ検出して互いに視差のある複数の放射線画像を取得し、これらの放射線画像に基づいて立体視画像を生成することが行われており、このように立体視画像を生成することによって観察者は奥行感のある放射線画像を観察することができて、より診断に適した放射線画像を観察することができる。
【0004】
上記のような立体視画像を観察することができる立体視画像表示装置においては、特許文献1に、2つのモニタが上下に並んで配設され、この2つのモニタの間に、下側のモニタからの表示光を透過し、上側のモニタからの表示光を反射するビームスプリッターミラーが配設されて、ビームスプリッターによって2つのモニタにそれぞれ表示された画像の表示光を重ねて観察者に到達させることにより画像を立体視する立体視画像表示装置が開示されている。
【0005】
一方、上記立体視画像表示装置においては、品質に関するガイドラインの基準に沿った品質管理(QC;Quality Control)をすべく、様々な調整が行われている。上記立体視画像表示装置においては、立体視画像を立体視する際に、左目用視差画像と右目用視差画像の輝度がアンバランスになってしまうと、快適な立体視を得られない場合があるため、予め左目用視差画像を表示するモニタと右目用視差画像を表示するモニタの輝度特性が同じになるように調整する必要がある。特許文献2には一方のモニタのバックライトを調整することで2つのモニタの輝度特性を調整する方法が記載されているが、この調整は表示される画像毎に行われるものでありモニタ品質管理に関することは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−187916号公報
【特許文献2】特開平7−270750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されたビームスプリッターミラーを備えた立体視画像表示装置においては、ビームスプリッターミラーにおける画像の表示光の反射率と透過率が異なるため、左目用視差画像を表示するモニタと右目用視差画像を表示するモニタの輝度特性を同じにしただけでは、観察者の左右の目にそれぞれ到達する左目用視差画像と右目用視差画像の表示光の輝度すなわち観察者の左目と右目とで明るさを感じる度合いがばらついてしまうことがある。
【0008】
またモニタの画面全体の輝度特性を調整しただけでは、各モニタの画面内の輝度特性のばらつき、すなわち輝度ムラに対応することが困難であり、各モニタで輝度ムラが発生すると、画像を立体視するときにちらつき等が生じてしまい画像を立体視し難い場合がある。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みなされたものであり、観察者が立体視画像が表示されたモニタを観察するときに立体視画像を立体視し易い立体視画像表示装置及び立体視画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の立体視画像表示装置は、互いに異なる撮影方向から被写体を撮影することにより取得された前記撮影方向毎の視差画像を表示する2次元画像表示部を備えた立体視画像表示装置において、
一方の撮影方向の視差画像を表示する前記2次元画像表示部に予め設定された所定部分領域とそれ以外の領域を分割した複数の分割部分領域が設定されており、
他方の撮影方向の視差画像を表示する前記2次元画像表示部に予め設定された前記所定部分領域に対応する対応部分領域とそれ以外の領域を分割した複数の分割部分領域が設定されており、
前記所定部分領域の表示光の輝度が前記対応部分領域の表示光の輝度と同じ値になるように輝度を調整すると共に、各前記分割部分領域の表示光の輝度が、前記所定部分領域の調整後の表示光の輝度と同じになるように前記分割部分領域毎に輝度を調整する輝度調整部を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
なお本発明の立体視画像表示装置においては、前記2次元画像表示部が、前記撮影方向毎の視差画像をそれぞれ表示する2つの2次元画像表示部と、一方の前記2次元画像表示部からの表示光を透過すると共に他方の前記2次元画像表示部からの表示光を前記透過した表示光と同方向に反射するハーフミラーとを備え、
該ハーフミラーを透過及び反射した前記撮影方向毎の視差画像の表示光によって前記被写体を立体視することが好ましい。
【0012】
本発明の立体視画像表示方法は、互いに異なる撮影方向から被写体を撮影することにより取得された前記撮影方向毎の視差画像をそれぞれ表示する2つの2次元画像表示部と、
一方の前記2次元画像表示部からの表示光を透過すると共に他方の前記2次元画像表示部からの表示光を前記透過した表示光と同方向に反射するハーフミラーとを備え、
該ハーフミラーを透過及び反射した前記撮影方向毎の視差画像の表示光によって前記被写体を立体視する立体視画像表示装置を使用した立体視画像表示方法において、
一方の前記2次元画像表示部に予め設定された所定部分領域とそれ以外の領域を分割した複数の分割部分領域を設定し、
他方の前記2次元画像表示部に予め設定された前記所定部分領域に対応する対応部分領域とそれ以外の領域を分割した複数の分割部分領域を設定して、
前記所定部分領域の前記ハーフミラーを透過又は反射した表示光の輝度が前記対応部分領域の前記ハーフミラーを反射又は透過した表示光の輝度と同じ値になるように輝度を調整すると共に、各前記分割部分領域の前記ハーフミラーを透過又は反射した表示光の輝度が、前記所定部分領域の調整後の前記ハーフミラーを透過又は反射した表示光の輝度と同じになるように前記分割部分領域毎に輝度を調整することを特徴とする。
【0013】
なお本発明の立体視画像表示装置及び立体視画像表示方法において、「輝度」は2次元画像表示部に画像を表示させたときの画面の明るさを意味するものである。
【0014】
本発明の立体視画像表示装置及び立体視画像表示方法においては、前記所定部分領域が前記ハーフミラーの変形が少ない領域であることが好ましい。
【0015】
本発明の立体視画像表示装置及び立体視画像表示方法においては、前記所定部分領域が輝度の最も明るい領域であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の立体視画像表示装置および立体視画像表示方法によれば、一方の撮影方向の視差画像を表示する2次元画像表示部に予め設定された所定部分領域とそれ以外の領域を分割した複数の分割部分領域を設定し、他方の撮影方向の視差画像を表示する2次元画像表示部に予め設定された所定部分領域に対応する対応部分領域とそれ以外の領域を分割した複数の分割部分領域を設定して、所定部分領域の表示光の輝度が対応部分領域の表示光の輝度と同じ値になるように輝度を調整すると共に、各分割部分領域の表示光の輝度が、所定部分領域の調整後の表示光の輝度と同じになるように分割部分領域毎に輝度を調整するようにしたので、一方の撮影方向の視差画像を表示する2次元画像表示部と他方の撮影方向の視差画像を表示する2次元画像表示部の輝度特性を同じにすると共に2次元画像表示部の表示画面内の輝度特性のばらつき(輝度ムラ)を低減することができるので、観察者が立体視画像が表示されたモニタを観察するときにちらつき等がなくなり、立体視画像を立体視し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態にかかる立体視画像表示装置の概略構成図
【図2】本発明の一実施形態にかかる立体視画像表示装置の内部構成を示すブロック図
【図3】本発明の一実施形態にかかる輝度調整方法を説明する図
【図4】本発明の一実施形態にかかる他の輝度調整方法を説明する図
【図5】本発明の一実施形態にかかる立体視画像表示装置の一連の処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態としての立体視画像表示装置について説明する。まず、立体視画像表示装置全体の概略構成について説明する。図1は立体視画像表示装置10の概略構成を示す図、図2は立体視画像表示装置10の内部構成を示すブロック図である。
【0019】
本実施形態の立体視画像表示装置10は、図1に示すように、コンピュータ11と、2枚の視差画像を表示するモニタ12とを備える。コンピュータ11には、本実施形態のモニタ12を立体視可能な表示装置として機能させるためのプログラムがインストールされている。
【0020】
モニタ12は、左目用視差画像と右目用視差画像を表示することにより、左目用視差画像と右目用視差画像中の被写体を立体視可能にするものである。モニタ12は、図1に示すように、前方に傾斜した上側モニタ13と下側モニタ14とを組み合せて構成されている。そして、この上側モニタ13と下側モニタ14の間にハーフミラー15が配置されている。
【0021】
上側モニタ13は表示画面13aに右目用視差画像、下側モニタ14は表示画面14aに左目用視差画像をそれぞれ表示するものである。2台のモニタ13,14の表示光は互いに直交するように偏光しており、上側モニタ13からの表示光は図中実線で示すようにハーフミラー45で反射し、下側モニタ14からの表示光は図中破線で示すようにハーフミラー15を透過する。ハーフミラー15は、観察の際に左目用視差画像と右目用視差画像とが重なるような角度で配置されている。
【0022】
観察者は、右目用視差画像を観察するように偏光した右目用偏光レンズと左目用視差画像を観察するように偏光した左目用偏光レンズを有する偏光メガネを装着することにより、2枚の視差画像を左右の目でそれぞれ観察することができ、視差画像中の被写体を立体視することができる。なお、視差画像中の被写体を立体視するための構成は、上記の構成に限定されるものではなく、シャッタ機能を備えたメガネを装着することにより、交互に表示された左目用視差画像と右目用視差画像を左右の目でそれぞれ観察するシャッタ方式を採用してもよい。
【0023】
コンピュータ11は、中央処理装置(CPU)および半導体メモリやハードディスクやSSD等のストレージデバイス等を備えており、これらのハードウェアによって、図2に示すような制御部11a、記憶部11b、表示制御部11c、輝度調整部11dおよび領域設定部11eを構成している。また、コンピュータ11は入力部16を備えており、入力部16は、観察者からの表示開始および終了、観察条件などの入力や操作指示の入力などを受け付けると共に外部記録装置や乳房画像撮影装置、放射線画像撮影装置等と接続されて視差画像ファイル等のデータを入力する無線通信又は有線通信のインターフェース、図示しない輝度センサからの入力を受け付けるインターフェースとしても機能する。この入力部16は、たとえば、キーボードやマウスなどの入力デバイス及びUSBポート等のデータ送受信手段によって構成されるものである。
【0024】
制御部11aは、上述した各部11b〜11eに対して所定の制御信号を出力し、システム全体の制御を行うものである。
【0025】
記憶部11bは、入力部16から入力された、異なる視点で撮影された左目用視差画像と右目用視差画像の画像信号や輝度調整用画像の画像信号を記憶するものである。
【0026】
表示制御部11cは、記憶部11bから読み出された左目用視差画像と右目用視差画像又は輝度調整用画像を表示するようモニタ12を制御するものである。
【0027】
輝度調整部11dは、図示しない輝度センサからの入力に基づいてモニタ12の輝度特性を調整するものであり、具体的な調整方法については後で詳細に説明する。なお輝度センサは、可視光領域に感度があるものであり、シリコンフォトダイオード等を使用することができる。
【0028】
領域設定部11eはモニタ12の後述する上側モニタ13の表示画面(2次元画像表示部)13a及び下側モニタ14の表示画面(2次元画像表示部)14aにおいて複数の部分領域を設定するものである。ここで図3に輝度調整方法を説明する図、図4に他の輝度調整方法を説明する図を示す。
【0029】
領域設定部11eは、図3に示すように、上側モニタ13の表示画面13aを9つに等分割して図中斜線で示す表示画面13aの中央の領域に所定部分領域13Aを予め設定する。また下側モニタ14の表示画面14aも上記上側モニタ13と同様に9つに等分割して、表示画面14aの中央の所定部分領域13Aに対応する領域に対応部分領域14Aを設定する。そして上側モニタ13の表示画面13aの所定部分領域13A以外の領域で8つに分割されている領域を分割部分領域13B1〜13B8に設定すると共に下側モニタ14の表示画面14aの対応部分領域14A以外の領域で8つに分割されている領域を分割部分領域14B1〜14B8に設定する。
【0030】
なお本実施形態においては、所定部分領域を上側モニタ13の表示画面13aに、対応部分領域を下側モニタ14の表示画面14aにそれぞれ設定したが、本発明はこれに限られるものではなく、所定部分領域を下側モニタ14の表示画面14aに、対応部分領域を上側モニタ13の表示画面13aにそれぞれ設定しても良い。
【0031】
また本実施形態においては所定部分領域13Aと所定部分領域13A以外の領域すなわち分割部分領域13B1〜13B8及び対応部分領域14Aと対応部分領域14A以外の分割部分領域14B1〜14B8が表示画面13a,14aを等分割するように設定されているが、本発明はこれに限られるものではなく、所定部分領域13A及び対応部分領域14Aが分割部分領域13B1〜13B8,14B1〜14B8とは異なる大きさの領域で設定されていてもよい。また分割部分領域13B1〜13B8,14B1〜14B8は表示画面13aと表示画面14aとで対応する分割部分領域の大きさが同じであれば必ずしも等分割されている必要はない。
【0032】
また本実施形態においては所定部分領域13Aを表示画面13aの中央付近に設定したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、ハーフミラー15の機構的な変形が少ない領域、具体的には図1に示すように、上下両方のモニタ13,14に支持されているハーフミラー15の上方両端側に最も近い領域である部分領域13B6又は部分領域13B8を所定部分領域としてもよい。この場合、部分領域13B6又は部分領域13B8に対応する下側モニタ14の表示画面14aの対応部分領域は部分領域14B6又は部分領域14B8となり、部分領域14B6又は部分領域14B8は、部分領域13B6又は部分領域13B8と同様にハーフミラー15の機構的な変形がすくない領域であるため、安定した輝度調整を行うことができる。
【0033】
また図4に示すように、上側モニタ13の表示画面13aを複数の領域(本実施形態では16)に分割して、分割部分領域13C1〜13C16毎にハーフミラー15を反射した表示光の輝度を測定しておき、分割部分領域13C1〜13C16の中で最も明るい領域を所定部分領域としてもよい。モニタの輝度が高い方が放射線画像が見やすく、診断しやすいので、このように分割部分領域13C1〜13C16の中で最も明るい領域を所定部分領域とすることで、モニタの輝度が高くなるように輝度調整することができ、診断に適した輝度とすることができる。通常、モニタの輝度は出荷時はモニタの劣化を考慮して8割程度の輝度に抑えられているので、最も明るい領域を所定部分領域とした場合も、抑えられている2割の輝度を使うことで、輝度を高くする調整をすることが可能である。
【0034】
次いで、本実施形態において行われる処理について説明する。図5は本実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。まず制御部11aが、図5に示すように、記憶部11bに記憶された輝度調整用の画像である白の画像を読み出して、表示制御部11cに出力し、表示制御部11cが入力された白の画像を上側モニタ13の表示画面13aと下側モニタ14の表示画面14aにそれぞれ表示させる(S11)。
【0035】
次に領域設定部11eが上述したようにして上側モニタ13の表示画面13aにおいて所定部分領域13A及び分割部分領域13B1〜13B8をそれぞれ設定すると共に下側モニタ14の表示画面14aにおいて所定部分領域13Aに対応する対応部分領域14A及び分割部分領域14B1〜14B8をそれぞれ設定する(S12)。
【0036】
次に図示しない輝度センサを使用して所定部分領域13Aのハーフミラー15を反射した表示光の輝度及び対応部分領域14Aのハーフミラーを透過した表示光の輝度を測定する(S13)。輝度の測定方法としては、輝度計を用いて、例えば、所定部分領域13Aに対応する位置の輝度を測定するようにすればよい。
【0037】
次に輝度調整部11dが、所定部分領域13Aのハーフミラー15を反射した表示光の輝度が対応部分領域14Aのハーフミラー15を透過した表示光の輝度と同じ値になるように輝度を調整する(S14)。輝度の調整は、モニタ13の表示画面13aを照明するバックライトのうち所定部分領域13Aを照明するバックライトの光量を調整することにより行う。なお本実施形態での輝度の調整はバックライトの光量を調整することにより行うものとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば表示画面13a,14aの部分領域毎に光を吸収するフィルタ等を設けるようにしてもよいし、モニタに表示する画像データ値を調整してもよい。
【0038】
次に輝度調整部11dが、モニタ13の表示画面13aの分割部分領域13B1〜13B8及びモニタ14の表示画面14の分割部分領域14B1〜14B8の各々について、各分割部分領域13B1〜13B8,14B1〜14B8のハーフミラー15を透過又は反射した表示光の輝度が、所定部分領域13Aの上記調整後のハーフミラー15を反射した表示光の輝度と同じ値になるように輝度を調整する(S15)。
【0039】
このように分割された領域毎に輝度の調整を行うことにより、各モニタ13,14の表示画面13a,14a全体の輝度を調整するよりも表示画面13a,14aにおける輝度特性のばらつき(輝度ムラ)を低減することができる。
【0040】
そして制御部11aは全ての領域の輝度調整が終了したか否かを判別し(S16)、全ての領域の輝度調整が終了している場合(S16;YES)は、全ての処理を終了させ、全ての領域の輝度調整が終了していない場合(S16;NO)は、処理をステップS15へ移行してステップS15以降の処理を繰り返し行う。このようにして本実施形態の立体視画像表示装置10による一連の処理を行う。
【0041】
以上のように本実施形態の立体視画像表示装置10及び立体視画像表示方法によれば、上側モニタ13の表示画面13aに予め設定された所定部分領域13Aとそれ以外の領域を分割した複数の分割部分領域13B1〜13B8を設定し、下側モニタ14の表示画面14aに所定部分領域13Aに対応する対応部分領域14Aとそれ以外の領域を分割した複数の分割部分領域14B1〜14B8を設定して、所定部分領域13Aのハーフミラー15を反射した表示光の輝度が対応部分領域14Aのハーフミラーを透過した表示光の輝度と同じ値になるように輝度を調整すると共に、各分割部分領域13B1〜13B8,14B1〜14B8のハーフミラー15を透過又は反射した表示光の輝度が、所定部分領域13Aの調整後のハーフミラー15を反射した表示光の輝度と同じになるように分割部分領域13B1〜13B8,14B1〜14B8毎に輝度を調整するようにしたので、上下のモニタ13,14の表示画面13a,14aの輝度特性を同じにすると共に各表示画面13a,14a内の輝度特性のばらつき(輝度ムラ)を低減することができるので、観察者が立体視画像が表示されたモニタを観察するときにちらつき等がなくなり、立体視画像を立体視し易くすることができる。
【0042】
なお上述した実施形態では、輝度調整用の画像を白画像としたが、本発明はこれに限られるものではなく、予め輝度調整用に生成されたパターン画像を使用するようにしてもよい。また上述した実施形態では、ハーフミラーを用いた立体視画像表示装置としたが、本発明はこれに限られるものではなく、レンチキュラーレンズを用いた立体視画像表示装置を採用してもよい。この場合、表示場面において左目用の画像を表示する領域と右目用の画像を表示する領域との輝度を調整する。
【0043】
また上述した実施形態では、互いに異なる撮影方向から被写体を撮影することにより取得した視差画像に基づく立体視画像を表示する立体視画像表示装置10について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば乳房や胸部、頭部等の被写体へ互いに異なる撮影方向から放射線を照射することにより取得した放射線画像に基づく立体視画像を表示する放射線画像表示装置にも本発明を適用することができる。なお放射線画像表示装置に本発明を適用することにより、観察者が立体視画像が表示されたモニタを観察するときにちらつき等がなくなり、立体視画像を立体視し易くすることができるので、観察者の診断効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0044】
10 立体視画像表示装置
11 コンピュータ
11d 輝度調整部
11e 領域設定部
12 モニタ
13 上側モニタ
13a 表示画面(2次元画像表示部)
14 下側モニタ
14a 表示画面(2次元画像表示部)
15 ハーフミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる撮影方向から被写体を撮影することにより取得された前記撮影方向毎の視差画像を表示する2次元画像表示部を備えた立体視画像表示装置において、
一方の撮影方向の視差画像を表示する前記2次元画像表示部に予め設定された所定部分領域とそれ以外の領域を分割した複数の分割部分領域が設定されており、
他方の撮影方向の視差画像を表示する前記2次元画像表示部に予め設定された前記所定部分領域に対応する対応部分領域とそれ以外の領域を分割した複数の分割部分領域が設定されており、
前記所定部分領域の表示光の輝度が前記対応部分領域の表示光の輝度と同じ値になるように輝度を調整すると共に、各前記分割部分領域の表示光の輝度が、前記所定部分領域の調整後の表示光の輝度と同じになるように前記分割部分領域毎に輝度を調整する輝度調整部を備えていることを特徴とする立体視画像表示装置。
【請求項2】
前記2次元画像表示部が、前記撮影方向毎の視差画像をそれぞれ表示する2つの2次元画像表示部と、一方の前記2次元画像表示部からの表示光を透過すると共に他方の前記2次元画像表示部からの表示光を前記透過した表示光と同方向に反射するハーフミラーとを備え、
該ハーフミラーを透過及び反射した前記撮影方向毎の視差画像の表示光によって前記被写体を立体視することを特徴とする請求項1に記載の立体視画像表示装置。
【請求項3】
前記所定部分領域が前記ハーフミラーの変形が少ない領域であることを特徴とする請求項2に記載の立体視画像表示装置。
【請求項4】
前記所定部分領域が輝度の最も明るい領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の立体視画像表示装置。
【請求項5】
互いに異なる撮影方向から被写体を撮影することにより取得された前記撮影方向毎の視差画像をそれぞれ表示する2つの2次元画像表示部と、
一方の前記2次元画像表示部からの表示光を透過すると共に他方の前記2次元画像表示部からの表示光を前記透過した表示光と同方向に反射するハーフミラーとを備え、
該ハーフミラーを透過及び反射した前記撮影方向毎の視差画像の表示光によって前記被写体を立体視する立体視画像表示装置を使用した立体視画像表示方法において、
一方の前記2次元画像表示部に予め設定された所定部分領域とそれ以外の領域を分割した複数の分割部分領域を設定し、
他方の前記2次元画像表示部に予め設定された前記所定部分領域に対応する対応部分領域とそれ以外の領域を分割した複数の分割部分領域を設定して、
前記所定部分領域の前記ハーフミラーを透過又は反射した表示光の輝度が前記対応部分領域の前記ハーフミラーを反射又は透過した表示光の輝度と同じ値になるように輝度を調整すると共に、各前記分割部分領域の前記ハーフミラーを透過又は反射した表示光の輝度が、前記所定部分領域の調整後の前記ハーフミラーを透過又は反射した表示光の輝度と同じになるように前記分割部分領域毎に輝度を調整することを特徴とする立体視画像表示方法。
【請求項6】
前記所定部分領域が前記ハーフミラーの変形が少ない領域であることを特徴とする請求項5に記載の立体視画像表示方法。
【請求項7】
前記所定部分領域が輝度の最も明るい領域であることを特徴とする請求項5に記載の立体視画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−137612(P2012−137612A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289836(P2010−289836)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】