説明

立看板標示シート

【課題】従来の立看板は、そのすべてが鉄製であり重く取扱いが容易ではなかった。また、金属製の標示板が損傷してしまうと、まだ十分に使用可能な立看板枠をも廃棄しなければならず、省資源に反するなどの問題があった。
【解決手段】立看板枠に被せて利用する標示シートであって、立看板枠にあてがった状態で立看板正面外枠にて区画される領域の全部または一部を占める標示面と、標示面縁部に備えられ立看板枠に標示面をあてがった状態で立看板の枠で折り返して標示面の裏側にそって張設される複数の折返片とからなる立看板標示シート、および、この立看板標示シートを被せた立看板を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立看板に被せて利用する標示シート、および、この標示シートを被せた立看板に関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場などで用いられる従来の立看板は、金属製の立看板枠に金属製の標示板が取り付けられている。立看板は、屋外で用いられることがほとんどで、また、粗略に取り扱われることが多く、耐用年数は長いものではない。特に標示板は、薄い金属板を用いているため傷みやすく、立看板枠に損傷が生じていなくとも、標示板の損傷により、立看板が使用できなくなってしまう。すなわち、十分に使える立看板枠も損傷した標示板とともに廃棄されてしまうことになり、省資源に反するものとなる。
【0003】
また、立看板の標示内容は多数あり、標示内容ごとに立看板を用意することは、費用や保管場所などの様々な負担を生じさせることになる。これらの負担は、立看板を使用する事業者にとって、また、立看板の販売やレンタルを行う事業者にとっても軽いものではない。
【0004】
さらに、従来の立看板は、そのすべてが金属製であることから重く、取扱いが容易ではない。
【0005】
そこで、金属製の標示板を用いず、枠体に標示用のシートを取外し可能に張り付けてなる看板が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−187077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この従来技術は、弾性部材からなり断面形状C型に形成されたクリップを、枠部材の内周側あるいは前面のいずれか一方に複数取り付けて、これらのクリップで看板枠の外側から回された標示用シートを係止するものである。
【0008】
この従来技術は、標示シートの張替を可能とするものであるが、枠体に設けられる複数のクリップのそれぞれを操作し標示シートを適正位置に張ることは、決して容易な事とはいえない。また、標示シートが張替可能となるのは、この特別なクリップが予め備えられた枠体のみである。つまり、画一された寸法で作られている工事現場用の立看板などには、活用できないものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、上記課題を解決するために本発明において、以下の立看板標示シートなどを提供する。すなわち、第一の発明としては、立看板枠に被せて利用する標示シートであって、立看板枠にあてがった状態で立看板正面外枠にて区画される領域の全部または一部を占める標示面と、標示面縁部に備えられ立看板枠に標示面をあてがった状態で立看板の枠で折り返して標示面の裏側にそって張設される複数の折返片とからなる立看板標示シートを提供する。
【0010】
第二の発明としては、前記折返片は、標示面を中心に互いに対向する位置に配され、前記張設のために互いに対向する折返片を結ぶ連結紐のための連結紐取付部を有する第一の発明に記載の立看板標示シートを提供する。
【0011】
第三の発明としては、前記折返片のうち立看板の最上部に渡された外横枠に対応して折り返される最上折返片は、標示面上部分とともに袋状に構成され、外横枠を含む立看板枠上部にかぶせることができるように構成されている第一の発明または第二の発明に記載の立看板標示シートを提供する。
【0012】
第四の発明としては、前記折返辺は、光透過性材料からなる第一の発明から第三の発明のいずれか一に記載の立看板標示シートを提供する。
【0013】
第五の発明としては、前記標示面は、通気孔を有する第一の発明から第四の発明のいずれか一に記載の立看板標示シートを提供する。
【0014】
第六の発明としては、前記標示面の素材をターポリンとする第一の発明から第五の発明のいずれか一に記載の立看板標示シートを提供する。
【0015】
第七の発明としては、前記標示面の表面を再帰性反射材とする第一の発明から第六の発明のいずれか一に記載の立看板標示シートを提供する。
【0016】
第八の発明としては、第一の発明から第七の発明のいずれか一に記載の立看板標示シートを立看板枠に被せることによってなる立看板を提供する。
【0017】
第九の発明としては、前記立看板枠の断面開口部に挿入するための挿入部を有するコーナークッションを取り付けた第八の発明に記載の立看板を提供する。
【0018】
第十の発明としては、前記コーナークッションに再帰性反射材を貼付した第九の発明に記載の立看板を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、立看板枠を無駄なく活用することにより省資源に寄与するとともに、軽量かつ費用等の負担の少ない立看板を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態1に係る立看板標示シートを平面上に展開した概念図。
【図2】立看板枠の概念図。
【図3】実施形態1に係る立看板標示シートを被せた立看板の概念図。
【図4】実施形態1に係る折返片の一例図。
【図5】実施形態1に係る折返片の一例図。
【図6】実施形態1に係る折返片の一例図。
【図7】実施形態2に係る立看板標示シートを被せた立看板の概念図。
【図8】実施形態2に係る最上折返片を立看板枠上部に被せる態様の一例図。
【図9】実施形態4に係る立看板標示シートの概念図。
【図10】実施形態4に係る通気孔の一例図。
【図11】実施形態6に係る立看板の概念図。
【図12】実施形態6に係るコーナークッションの一例図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0022】
実施形態1は、主に請求項1、請求項2、請求項6、請求項7などに関する。実施形態2は、主に請求項3などに関する。実施形態3は、主に請求項4などに関する。実施形態4は、主に請求項5などに関する。実施形態5は、主に請求項8などに関する。実施形態6は、主に請求項9、請求項10などに関する。
<実施形態1>
<実施形態1 概要>
【0023】
本実施形態は、立看板枠に被せて利用する標示シートであって、標示面縁部に備えられる複数の折返片を立看板の枠で折り返して標示面の裏側にそって張設することで、立看板として利用することができる標示シートである。
<実施形態1 構成>
【0024】
本実施形態の立看板標示シートは、立看板枠に被せて利用する標示シートであって、立看板枠にあてがった状態で立看板正面外枠にて区画される領域の全部または一部を占める標示面と、標示面縁部に備えられ立看板枠に標示面をあてがった状態で立看板の枠で折り返して標示面の裏側にそって張設される複数の折返片とからなる
【0025】
本実施形態の立看板標示シートについて、図1から図3を用いて、以下に説明する。図1は、立看板標示シートを平面上に展開した概念図である。図2は、立看板枠の概念図である。図3は、立看板標示シートを被せた立看板の正面側および裏側の概念図である。
【0026】
「立看板」とは、伝達すべき情報を文字や絵図として標示した板であって、起立して設置した状態で、その情報が読み取れる板である。電柱や壁などの建造物に立てかけたりくくりつけたりするなどして起立させるものであってもよいし、脚を備えることで自立可能となるものであってもよい。
【0027】
図2に示すように、「立看板枠」は、標示のための板部材を掛け渡すために複数の枠部材を、溶接などにより組み合わせた構造となっている。枠部材は、例えば、断面が四角形の管になっているものがある。図2に示す立看板枠は、使用時に一端が接地され略平行に配置される2本の枠部材(0201、0202)の間に3本の枠部材(0203、0204、0205)を渡した構造を有するものである。ここで、説明の便宜のため、本明細書において、前記使用時に一端が接地され略平行に配置される2本の枠部材を「外縦枠」とし、渡される3本の枠部材のうち最上部と最下部に渡される2本の枠部材(0203、0204)を「外横枠」とする。なお、前記3本の枠部材のうち、外横枠に該当しない枠部材は、補強などのために渡されているものであり、立看板枠において必須のものではないが、これを備える立看板枠が多い。サイズとしては例えば横幅が550ミリメートル、高さが1600ミリメートルのシングルと呼ばれるタイプのものや、横幅が1100ミリメートルで高さが1600ミリメートルのダブルと呼ばれるものがある。
【0028】
「立看板正面外枠」は、立看板枠のうち、外縦枠と外横枠とにより作られる閉じた領域を囲む枠であり、かつ、立看板を利用する際に、これを見る者に対して向ける側の枠をいう。図2においては、点線で示された領域を囲む枠(0206)をいう。
【0029】
「標示面」(0101)は、標示シートのうち、標示シートを立看板枠にあてがった状態で立看板正面外枠にて区画される領域の全部または一部を占める領域である。図1において、標示面は工事中であることの注意喚起の情報が標示されているものである。この標示面は、立看板枠にあてがった状態で立看板正面外枠の略全部を占めるように形成されている。
【0030】
「折返片」(0102、0103、0104、0105、0106、0107)は、標示面縁部に備えられる。「標示面縁部」とは、標示面の外縁の部分をいう。各折返片には、張設するためのハト目(0108、0109、0110、0111、0112、0113)が備えられている。
【0031】
立看板標示シートを立看板枠に被せた状態について、図3を用いて説明する。標示面(0301)は、立看板正面外枠にて区画される領域の略全部を占めるものであるので、正面側を見ると、立看板枠(0302)のうち外縦枠の一部のみが露出した状態となる。
【0032】
立看板枠のうち、外横枠で折り返される二の折返片(0303、0304)は、標示面の裏側にそって、両端にフックを備えたゴム紐(0307)で結び張設される。外縦枠で折り返される折返片(0305、0306、0308、0309)についても同様に、対向する折返片を結んで張設される。このように、標示シートを立看板枠にあてがって、立看板枠で折り返して標示面の裏側にそって折返片を張設することで、標示シートは立看板枠に保持される。
【0033】
折返片の張設は、折返片を互いに結んで張設することに限られない。例えば、一の折返片と対向する立看板枠とで張設してもよい。図3を例にすれば、最上部の外横枠で折り返される折返片に付けられたゴム紐の一端を、最下部の外横枠に引っかけることによっても張設される。外縦枠で折り返される折返片についても同様である。
【0034】
図3において、折返片が被さらない領域(0310)があるが、自立可能な立看板においては、自立のための脚を取り付けるための領域を空けておくためである。また、下部の外横枠で折り返される折返片(0304)は、図示したように外横枠の中央部で折り返されるようにしてもよい。折返片の左右の外横枠が露出することで、自立可能な立看板において、転倒防止のための重しを外横枠に載せることができる。
【0035】
折返片の形状は、図のような略台形や略矩形に限定するものではない。折返片が立看板枠に接する領域が大きい方が、標示シートがずれにくくなったり、標示シートにしわなどが生じにくくなったりする。また、折返片にプラスチックなどの薄い板を貼付するなどして板状にしても同様の効果が得られる。
【0036】
また、折返片をゴムなどの弾性材料としてもよく、張設される一の折返片にフックなどを取り付けて、対向する折返片に設けたハト目などの貫通穴に引っかけることにより、紐やベルトなどの他の部材を用いることなく張設することもできる。
【0037】
折返片の張設は、種々なる態様で実現することが可能である。その例を以下に示す。図4は、樹脂バックルを用いる場合を示したものである。外縦枠(0405)で折り返される折返片(0401)の双方には、ベルト(0402、0403)が縫い付けられ、樹脂バックル(0404)を介して張設される。樹脂バックルは、ベルトの調節を片側にて行うタイプを用いてもよいし、両側にて行うタイプを用いてもよい。片側で調節する場合には、一方のベルトを調節するだけで適度に締め付けることが可能になるという利点がある。また、両側で調節する場合には、バックルをベルトに縫い付けるなどして固定する手間が省けるという利点がある。
【0038】
図5は、面ファスナーを用いる場合を示すものである。外縦枠(0505)で折り返される折返片のうち一方(0501)に面ファスナーよりなるベルト(0503)を縫い付け、他方の折返片(0502)には、当該ベルトを通すためのハト目(0504)を設ける。そして、ベルトをハト目などの貫通穴に通して折返し、面ファスナーを接着することで張設することができる。
【0039】
図6は、折返片を結んで張設するための紐などを用いる場合を示すものである。外縦枠(0605)で折り返される折返片(0601)のそれぞれには、紐などを通すため、あるいは、引っかけるためのハト目などの貫通穴(0602)を設ける。そして、例えば、両端にフックのついたゴム紐(0603)を貫通穴に引っかけて張設したり、あるいは、それぞれの貫通穴に紐(0604)を通したうえで、紐を結ぶことにより張設したりすることができる。
【0040】
以上、図4から図6を用いて説明した折返片の張設については、外横枠で折り返す場合
も同様である。
【0041】
折返片を、標示面縁部のどこに配するかについて、特段の限定を加えるものではない。しかしながら、矩形に形成される立看板が多いことを考慮すると、折返片は、標示面を中心に互いに対向する位置に配されることが好ましい。このように配することにより、折り返される立看板枠の向きと、略直交する方向に引っ張りあう力が生じ、標示シートが立看板枠に安定的に保持され得る。
【0042】
また、この場合において、図6に示したように、張設のために互いに対向する折返片を結ぶ連結紐のための連結紐取付部を有する標示シートとしてもよい。「連結紐」とは、折返片を結ぶためのものであり、例えば、ベルトやゴム紐や紐などである。また、「連結紐取付部」は、連結紐を取り付けるためのものであり、例えば、連結紐を通したり、引っかけたりするための穴などである。より具体的には、ハト目などが挙げられる。さらに、連結紐取付部の周辺などを上述したように板状に補強してもよい。
【0043】
標示シートの材質は、屋外で使用することを考慮して、防水性、耐水性、耐腐食性、耐久性などに富んだものが好ましい。例えば、「ターポリン」と称呼される布が好ましい。ターポリンは、その語義は「防水布」であり、テントや幌など屋外で使用される布材料として多く用いられている。具体的には、例えばポリエステル素材の織物に、合成樹脂フィルム(軟性ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニルなど)を貼り合わせたものなどが挙げられる。なお、使用条件によっては、標示面の裏側に樹脂製や木製の薄い板状部材を接着するなどして補強してもよい。その際に標示面の裏側全部を補強してもよいし、特に標示面の外縁部分を補強してもよい。補強のための部材は軽量かつ丈夫なものが好ましい。
【0044】
標示面については表面を再帰性反射材としてもよい。再帰性反射材は、入射角にかかわらず、入射光が入射した方向(光源)に向かってそのまま反射する反射材である。具体的には、ガラスビーズやプリズムをシートに敷き詰めたものなどがある。標示面を再帰性反射材とすることにより、視認性がより高まる。
<実施形態1 効果>
【0045】
本実施形態の立看板標示シートにより、立看板枠を無駄なく活用することができるとともに、軽量かつ費用等の負担の少ない立看板を実現することが可能である。
<実施形態2>
<実施形態2 概要>
【0046】
本実施形態は、標示シートの上部を袋状に構成し、この袋状の部分を立看板枠の上部から被せることにより、標示シートの位置決めが容易に行える立看板標示シートである。
<実施形態2 構成>
【0047】
本実施形態の立看板標示シートは、実施形態1の立看板標示シートを基本とし、折返片のうち立看板の最上部に渡された外横枠に対応して折り返される最上折返片は、標示面上部分とともに袋状に構成され、外横枠を含む立看板枠上部にかぶせることができるように構成されている。最上折返片以外の構成については実施形態におけるものと同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0048】
図7は、本実施形態の立看板標示シートを立看板枠に被せた状態の概念図である。折返片のうち立看板枠(0701)の最上部に渡された外横枠(0703)に対応して折り返される最上折返片(0702)は、標示面上部分(0704)とともに袋状に構成される。標示面上部分とは、立看板標示シートを立看板枠に被せて利用する状態にて、標示面のうちで上方に位置する部分である。最上折返片とともに袋状を構成するため、標示面のうち上端部分をも含むものである。
【0049】
最上折返片は連結紐取付部(0705)を有し、最上折返片と対向する折返片(0706)と連結紐により張設される。図示した立看板標示シートは、加えて、外縦枠で折り返される折返片(0707、0708)を備えるものである。なお、本実施形態の立看板標示シートは、連結紐取付部を備えるものに限られるものではなく、実施形態1において説明したように樹脂バックルや面ファスナーなどにより張設するものであってもよい。
【0050】
「最上折返片」は、標示面上部分とともに袋状に構成され、外横枠を含む立看板枠に被せることができるように構成される。袋状とは、何らかのものを収めるための開口部分と、収めたものが落ちないように底の部分とを備えるものである。すなわち、袋状の最上折返片の底の部分まで被せることにより、それ以上標示シートを被せることができなくなり、少なくとも上下方向の位置決めが容易になる。
【0051】
最上折返片は、縫製や接着により袋状に構成してもよいし、面ファスナーや線ファスナー、ボタンなどの点ファスナーを用いて袋状に構成してもよい。
【0052】
なお、最上折返片のうち立看板枠上部の角の部分と対応する部分については、開口させておいてもよい。これは、角の部分との接触による損傷を防止したり、角の部分にクッションなどを設けたりするためである。
【0053】
図8は、最上折返片を立看板枠上部に被せる態様の一例を示すものである。最上折返片(0801)は、直方体の一面を開口させたような袋状に構成される。これは、立看板枠上部(0802)の立体的形状に対応させたものである。そして、開口した部分から袋の底までの距離をある程度とることにより、左右方向にずれにくくなり位置決めが容易になる。
【0054】
このように、立看板枠上部が最上折返片にちょうど良く収まるようにすることにより、標示面が適正な位置になるように標示シートを被せることが容易になる。
【0055】
最上折返片において、立看板の裏側に位置する領域に、標示面の写しを視認可能に収めることのできるポケットを設けてもよい。標示面を見て確認せずに標示シートを立看板枠に取り付けることが可能となる。
<実施形態2 効果>
【0056】
本実施形態の立看板標示シートにより、立看板標示シートを適正位置に被せることが容易にできる。
<実施形態3>
<実施形態3 概要>
【0057】
本実施形態は、標示面の裏側にそって張設される折返片を光透過性材料とすることにより、標示面の裏側から光を当てることで、内照式看板のように利用することができる立看板標示シートである。
<実施形態3 構成>
【0058】
本実施形態の立看板標示シートは、実施形態1または2を基本とし、折返片が光透過性材料からなる。光透過性材料とは、光を透過する性質を有する材料である。例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、塩化ビニル、ポリフッ化ビニルなどの合成樹脂を用いた光透過性材料がある。また、補強のために樹脂製の糸を格子状に編織したネットを光透過性の合成樹脂フィルムでサンドしたシートなども好ましい。
【0059】
光透過性材料からなる折返片を備える立看板標示シートを立看板枠に被せて利用する場合に、標示面の裏側に照明器具を設置することにより、照射される光が折返片を透過し、さらに、多からずとも光透過性を有する標示シートの裏側に当たり夜間の視認性が向上する。自ら光源を持たない歩行者などに対して注意喚起をすることができ有用である。照明器具としては、例えば、太陽電池により点灯あるいは点滅する保安灯などを用いてもよい。また、複数のLEDなどを標示面の裏側に設置してもよい。
<実施形態3 効果>
【0060】
本実施形態の立看板標示シートにより、自ら光源を持たない歩行者などに対しても十分に注意喚起をすることのできる立看板を実現することが可能である。
<実施形態4>
<実施形態4 概要>
【0061】
本実施形態は、標示面が通気孔を有することにより、風を受けた場合にも倒れにくい立看板を実現することができる立看板標示シートである。
<実施形態4 構成>
【0062】
本実施形態の立看板標示シートは、実施形態1から3のいずれかを基本とし、標示面が通気孔を有するものである。図9は、本実施形態の立看板標示シートの概念図である。立看板枠に被せられた標示シートの標示面(0901)には、通気孔としての切込(0902)が施されている。
【0063】
「通気孔」とは、空気を通すための孔である。通気孔は、標示面に孔を開けてもよいし、切込を入れて孔としてもよい。通気孔として切込を入れる場合の方が、標示面に標示される情報等の視認性が低下しにくく、また、標示面の強度の低下も抑えられる。図9のように縦方向に断続的な切込を入れるとともに、横方向に隣り合う切込の位置を上下にずらしことにより、標示面の強度の低下を抑えることができる。
【0064】
通気孔は、何らかの文字や図柄などを抜き加工することにより設けてもよい。このようにすることにより、通気孔自体が何らかの情報を標示することになり、特に立看板の裏側から照明を当てた場合には、夜間の視認性を高める効果も期待できる。
【0065】
通気孔の別の例を図10に示す。図10aは、標示面(1001a)の横方向に切込(1002a)を入れたものである。図10bは、標示面(1001b)の斜め方向に切込(1001b)を入れたものである。図10cは、標示面(1001c)にL字状の切込(1002b)を入れたものである。図10dは、標示面(1001d)にU字状の切込(1002d)を入れたものである。
【0066】
なお、標示面だけでなく折返片にも通気孔を設けてもよい。これにより、より効果的に空気を通すことが可能となる。
<実施形態4 効果>
【0067】
本実施形態の立看板標示シートにより、風を受けた場合であっても倒れにくい立看板を実現することが可能である。
<実施形態5>
<実施形態5 概要>
【0068】
本実施形態は、実施形態1から4のいずれか一に記載の立看板標示シートを被せた立看板である。
<実施形態5 構成>
【0069】
本実施形態の立看板は、実施形態1から4のいずれか一に記載の立看板標示シートを立看板枠に被せたことによってなる立看板である。
【0070】
立看板標示シートおよび立看板枠については、既に実施形態1から4において説明したので説明を省略する。
<実施形態5 効果>
【0071】
本実施形態の立看板により、立看板枠を無駄なく活用することができるとともに、軽量かつ費用等の負担の少ない立看板を提供することが可能である。
<実施形態6>
<実施形態6 概要>
【0072】
本実施形態は、立看板標示シートを被せた立看板枠上部に弾性部材からなるコーナークッションを取り付けることにより、歩行者や車両などが接触した場合であっても、与える損傷を低減させる立看板である。
<実施形態6 構成>
【0073】
本実施形態の立看板は、実施形態5を基本とし、立看板枠の断面開口部に挿入するための挿入部を有するコーナークッションを取り付けた立看板である。
【0074】
図11は、本実施形態の立看板を説明するための概念図である。立看板枠は、断面が四角形の管となっている場合がある。そして、この管を複数用いて溶接などを行い、立看板枠を形作る。その際、立看板の上部は、外縦枠(1103a)の一端に外横枠(1104a)を渡して溶接などが施されている。管の端部に閉口処理を施さない場合には、外縦枠の端部は、管の断面形状にて開口している。この断面開口部(1105a)にコーナークッション(1101a)の挿入部(1102a)を挿入することにより、立看板枠の角の部分にコーナークッションを取り付けるのである。図11(b)は、コーナークッションが取り付けられた状態の立看板枠を示すものである。なお、コーナークッションを取り付ける場合には、立看板標示シートが断面開口部をふさがないようにしておけばよい。
【0075】
コーナークッションは、接触時の衝撃を緩和させるためのものであるので、ゴム、ウレタンフォームやポリエチレンフォームなどのスポンジなどの弾性部材を材料とすることが好ましい。なお、挿入部は、断面開口部の形状に応じて作ることができる。
【0076】
コーナークッションに再帰性反射材を貼付してもよい。再帰性反射材により、見る者に対して、立看板の角の部分について注意喚起を促すことができる。再帰性反射材を貼付したコーナークッションの例を図12に示す。
【0077】
図12aは、立看板の角の部分にそって取り付けられるコーナークッション(1201a)であり、略L字状の再帰性反射材が貼付されている。図12bは、扇形の再帰性反射材(1202b)が貼付されるコーナークッション(1201b)である。図12cは、円形の再帰反射材(1202c)が貼付されるコーナークッション(1201c)である。
<実施形態6 効果>
【0078】
本実施形態の立看板により、歩行者や車両などが立看板に接触した際に与える損傷を低減することができる。
【符号の説明】
【0079】
0101 標示面
0102 折返片
0103 折返片
0104 折返片
0105 折返片
0106 折返片
0107 折返片
0108 ハト目
0109 ハト目
0110 ハト目
0111 ハト目
0112 ハト目
0113 ハト目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立看板枠に被せて利用する標示シートであって、
立看板枠にあてがった状態で立看板正面外枠にて区画される領域の全部または一部を占める標示面と、
標示面縁部に備えられ立看板枠に標示面をあてがった状態で立看板の枠で折り返して標示面の裏側にそって張設される複数の折返片と、
からなる立看板標示シート。
【請求項2】
前記折返片は、
標示面を中心に互いに対向する位置に配され、
前記張設のために互いに対向する折返片を結ぶ連結紐のための連結紐取付部を有する請求項1に記載の立看板標示シート。
【請求項3】
前記折返片のうち立看板の最上部に渡された外横枠に対応して折り返される最上折返片は、標示面上部分とともに袋状に構成され、外横枠を含む立看板枠上部にかぶせることができるように構成されている請求項1または2に記載の立看板標示シート。
【請求項4】
前記折返辺は、光透過性材料からなる請求項1から3のいずれか一に記載の立看板標示シート。
【請求項5】
前記標示面は、通気孔を有する請求項1から4のいずれか一に記載の立看板標示シート。
【請求項6】
前記標示面の素材をターポリンとする請求項1から5のいずれか一に記載の立看板標示シート。
【請求項7】
前記標示面の表面を再帰性反射材とする請求項1から6のいずれか一に記載の立看板標示シート。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一に記載の立看板標示シートを立看板枠に被せることによってなる立看板。
【請求項9】
前記立看板枠の断面開口部に挿入するための挿入部を有するコーナークッションを取り付けた請求項8に記載の立看板。
【請求項10】
前記コーナークッションに再帰性反射材を貼付した請求項9に記載の立看板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−137950(P2011−137950A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297332(P2009−297332)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(593065590)株式会社エスエスシー (51)
【Fターム(参考)】