端子付電線の製造方法、端子付電線、および、端子圧着装置
【課題】電線の端部の露出芯線部に端子を圧着する際に端子に形成される突出部分の突出幅を、なるべく小さくする。
【解決手段】電線2の端部の露出芯線部311に端子2の圧着部22が圧着された端子付電線1の製造方法であって、a)圧着部22内に露出芯線部311を配設する工程と、b)芯線用下金型6の下型面61と芯線用上金型7の上型面71との間で圧着部22の一部を挟んで、圧着部22の一部を露出芯線部311に圧着する工程と、c)圧着部22のうち上型面71からはみ出る端部部分を上側から押さえ付ける工程と、を備える。
【解決手段】電線2の端部の露出芯線部311に端子2の圧着部22が圧着された端子付電線1の製造方法であって、a)圧着部22内に露出芯線部311を配設する工程と、b)芯線用下金型6の下型面61と芯線用上金型7の上型面71との間で圧着部22の一部を挟んで、圧着部22の一部を露出芯線部311に圧着する工程と、c)圧着部22のうち上型面71からはみ出る端部部分を上側から押さえ付ける工程と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線端部の露出芯線部に端子を圧着する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子付電線として特許文献2に開示のものがある。特許文献2では、端子に芯線圧着用バレルが設けられ、この芯線圧着用バレルが電線端末から露出する芯線にかしめ圧着されている。
【0003】
特許文献1には、鋼板に塗布される保護被膜の例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−166151号公報
【特許文献2】特開2000−285983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、端子は、相手側の端子と接続される接続部と芯線圧着用バレルとが連ねられた構成を備えている。ここで、芯線圧着用バレルを電線端末から露出する芯線にかしめ圧着する際には、芯線圧着用バレルの全体ではなく、接続部側の端部付近を除いた部分だけに圧縮力を付加するようになっている。接続部側の端部付近を含む芯線圧着用バレルの全体に圧縮力を付加すると、芯線圧着用バレルと接続部との連結部分に負荷がかかり、当該連結部分に、変形、損傷(例えばひび割れ)等が生じるおそれがあるからである。
【0006】
ところが、上記の態様で、芯線にかしめ圧着された芯線圧着用バレルは、接続部側の端部付近がテーパ状に膨らんだ形状(ベルマウス形状)、すなわち、当該端部が上方に突出した形状となる。このように、端子の一部に突出部分が形成されてしまうと、端子と電線との接続部分の表面に被膜形成用の保護剤を塗布した際に、当該突出部分で保護被膜の膜厚が局所的に薄くなってしまい、十分な保護性能が得られないおそれがある。この問題は、突出部分の突出幅が大きいほど顕著になる。
【0007】
そこで、本発明は、電線の端部の露出芯線部に端子を圧着する際に端子に形成される突出部分の突出幅を、なるべく小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様は、電線の端部の露出芯線部に端子の圧着部が圧着された端子付電線の製造方法であって、a)前記圧着部内に前記露出芯線部を配設する工程と、b)下金型の下型面と上金型の上型面との間で前記圧着部の一部を挟んで、前記圧着部の一部を前記露出芯線部に圧着する工程と、c)前記上型面からはみ出る前記圧着部の端部部分を上側から押さえ付ける工程と、を備える。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係る端子付電線の製造方法であって、前記c)工程において、前記下金型に向けて移動される端子押さえ部材の下端面で、前記上型面からはみ出る前記圧着部の端部部分を上側から押さえ付け、前記端子押さえ部材の下端面が、前記端子押さえ部材の移動方向に沿う壁面領域を備えない面である。
【0010】
第3の態様は、第2の態様に係る端子付電線の製造方法であって、前記下端面が、前記端子押さえ部材の移動方向に対して直交する平坦な面である。
【0011】
第4の態様は、第2または第3の態様に係る端子付電線の製造方法であって、前記上型面が、前記上金型の先端部から基端部に向けて切り欠かれた溝状の面であり、前記上金型が前記下金型と最も近接された状態における前記溝の最奥部の位置を基準位置として、前記端子押さえ部材が前記下金型と最も近接された状態において、前記端子押さえ部材の下端面が、前記端子押さえ部材の移動方向について、前記基準位置よりも前記基端部の側の位置に配置される。
【0012】
第5の態様は、第2から第4のいずれかの態様に係る端子付電線の製造方法であって、前記b)工程において、前記上金型が前記下金型に向けて移動されて前記下金型との間で前記圧着部を挟む際に、前記上金型と同期して移動される前記端子押さえ部材が前記上型面からはみ出る前記圧着部の端部部分を押さえ付けることによって、前記c)工程が行われる。
【0013】
第6の態様は、第5の態様に係る端子付電線の製造方法であって、前記上金型と前記端子押さえ部材とが一体に形成される。
【0014】
第7の態様は、第1から第6のいずれかの態様に係る端子付電線の製造方法であって、d)前記露出芯線部のうち前記圧着部からはみ出る部分を、前記端子に向けて押さえ付ける工程、をさらに備える。
【0015】
第8の態様は、第7の態様に係る端子付電線の製造方法であって、前記d)工程において、前記下金型に向けて移動される芯線押さえ部材の下端面で、前記圧着部からはみ出る前記露出芯線部の部分を上側から押さえ付け、前記芯線押さえ部材の下端面が、前記芯線押さえ部材の移動方向に沿う壁面領域を備えない面である。
【0016】
第9の態様は、第8の態様に係る端子付電線の製造方法であって、前記上型面が、前記上金型の先端部から基端部に向けて切り欠かれた溝状の面であり、前記上金型が前記下金型と最も近接された状態における前記溝の最奥部の位置を基準位置として、前記芯線押さえ部材が前記下金型と最も近接された状態において、前記芯線押さえ部材の下端面が、前記芯線押さえ部材の移動方向について、前記基準位置と同じ位置に配置される。
【0017】
第10の態様は、第1から第9のいずれかの態様に係る端子付電線の製造方法であって、前記上型面が、前記上金型の先端部から基端部に向けて切り欠かれた溝状の面であり、前記上型面における、前記圧着部のうち前記上型面からはみ出ない方の端部部分と対向する端部において、前記溝の最奥部が、端に向かうにつれて前記基端部に向かう方向に傾斜している。
【0018】
第11の態様は、被覆された芯線部を備える電線と、圧着部において前記電線の端部の露出芯線部に圧着された端子とを備える端子付電線であって、前記圧着部が、底板部と、前記底板部の両側部より延出する長尺片状の芯線圧着片と、を備え、前記芯線圧着片における対象部分が、前記露出芯線部を抱持するように圧縮変形されて当該露出芯線部に圧着され、前記芯線圧着片における前記対象部分を除く端部部分が、上側から前記底板部に向けて押さえ付けられている。
【0019】
第12の態様は、電線の端部の露出芯線部に端子の圧着部を圧着する端子圧着装置であって、前記露出芯線部が配設された前記圧着部を配設可能な下型面を備える下金型と、前記下型面と対向配置された上型面を備え、前記下金型に向けて移動されることによって、前記下金面と前記上型面との間で前記圧着部の一部を挟んで、前記圧着部の一部を前記露出芯線部に圧着する上金型と、前記下金型に向けて移動されて、前記上型面からはみ出る前記圧着部の端部部分を上側から押さえ付ける端子押さえ部材と、を備える。
【発明の効果】
【0020】
第1〜第10の態様によると、電線の端部の露出芯線部に端子を圧着する際に上型面からはみ出る圧着部の端部部分を、上側から押さえ付ける。したがって、電線の端部の露出芯線部に端子を圧着する際に端子に形成される突出部分の突出幅を、なるべく小さくすることができる。
【0021】
特に、第2の態様によると、簡易な構成で、端子の突出部分の突出幅を確実に小さくすることができる。
【0022】
特に、第3の態様によると、端子押さえ部材の下端面が平坦な面であるので、端子押さえ部材の構成が特に簡易なものとなる。
【0023】
特に、第4の態様によると、上型面からはみ出る圧着部の端部部分の上下方向の圧縮率が、露出芯線部に圧着される圧着部の部分の上下方向の圧縮率よりも小さくなるので、圧着部の当該端部部分の角で露出芯線部が傷つくといった事態が生じにくい。
【0024】
特に、第5の態様によると、b)工程とc)工程とが同時に行われるので、端子付電線を効率的に製造することができる。
【0025】
特に、第6の態様によると、上金型と端子押さえ部材とが一体化されているため、端子押さえ部材の耐久性が向上する。
【0026】
特に、第7の態様によると、露出芯線部のうち圧着部からはみ出る部分を、端子に向けて押さえ付ける。したがって、端子からの露出芯線部の突出をなるべく小さくすることができる。
【0027】
特に、第8の態様によると、簡易な構成で、端子からの露出芯線部の突出幅を確実に小さくすることができる。
【0028】
特に、第9の態様によると、端子からの露出芯線部の突出幅を確実に小さくすることができる。
【0029】
特に、第10の態様によると、上型面の一方の端部において、溝の最奥部が端に向かうにつれて前記基端部に向かう方向に傾斜している。この構成によると、上型面からはみ出ない方の圧着部の端部部分は、テーパ状に膨らんだ形状に変形される。したがって、圧着部の当該端部部分の角で露出芯線部が傷つくといった事態が生じにくい。
【0030】
第11の態様によると、芯線圧着片における、露出芯線部に圧着される対象領域を除く端部部分が、上側から押さえ付けられている。したがって、電線の端部の露出芯線部に端子を圧着する際に端子に形成される突出部分の突出幅が、なるべく小さくされている。
【0031】
第12の態様によると、電線の端部の露出芯線部に端子を圧着する際に上型面からはみ出る圧着部の端部部分を、上側から押さえ付ける。したがって、電線の端部の露出芯線部に端子を圧着する際に端子に形成される突出部分の突出幅を、なるべく小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】圧着前の端子および電線を示す概略側面図である。
【図2】端子付電線を示す概略側面図である。
【図3】端子圧着装置を示す説明図である。
【図4】端子圧着装置が備える芯線用上金型および押さえ部材を示す側面図である。
【図5】端子圧着装置が備える芯線用上金型および押さえ部材を示す正面図である。
【図6】端子付電線の製造工程の説明図である。
【図7】端子付電線の製造工程の説明図である。
【図8】変形例に係る芯線用上金型および押さえ部材を示す正面図である。
【図9】変形例に係る芯線用上金型および押さえ部材を示す正面図である。
【図10】変形例に係る芯線用上金型および押さえ部材を示す側面図である。
【図11】変形例に係る芯線用上金型および押さえ部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施形態に係る端子付電線の製造方法および端子圧着装置について説明する。
【0034】
<1.端子付電線1>
端子付電線1は、端子2が電線3の端部に圧着されることにより形成される。端子付電線1について、図1、図2を参照しながら説明する。図1は、圧着前の端子2、および電線3を示す概略側面図である。図2は、端子付電線1を示す概略側面図である。
【0035】
電線3は、芯線部31の外周に被覆部32が押出被覆等によって被覆された構成とされている。芯線部31は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属線の撚り合せ線又は単線によって構成されている。また、電線3の端部は、被覆部32が皮剥ぎされて、芯線部31が露出している。以下、電線3の端部に露出する芯線部31を「露出芯線部311」と表記する場合がある。
【0036】
端子2は、相手側接続部21と圧着部22とが連結部23を介して連ねられた構成を備えている。
【0037】
相手側接続部21は、相手側の端子と接続される部分である。ここでは、相手側接続部21は、略筒状の形状(いわゆるメス端子形状)に形成されており、ピン状又はタブ状の接続部を有する相手側端子(いわゆるオス端子)が挿入接続可能とされている。なお、相手側接続部21は、ピン状又はタブ状の形状(いわゆるオス端子形状)に形成されていてもよく、また、ネジ等によって相手側の部材に接続可能な環状形状等に形成されていてもよい。
【0038】
圧着部22は、電線3に圧着接続可能に構成されている。ここでは、圧着部22は、底板部221と、一対の被覆圧着片222と、一対の芯線圧着片223とを有している。底板部221は、相手側接続部21の基端部側より延出する長尺板状に形成されている。一対の被覆圧着片222は、底板部221の端部の両側部より延出する長尺片状に形成されている。一対の芯線圧着片223は、一対の被覆圧着片222と相手側接続部21との間で、底板部221の両側部より延出する長尺片状に形成されている。圧着部22のうち、一対の被覆圧着片222が形成された部分と一対の芯線圧着片223が形成された部分とは、断面略U字状に形成されている。また、一対の被覆圧着片222と一対の芯線圧着片223との間には、隙間が設けられる。なお、以下において、芯線圧着片223の長手方向に沿う端部のうち、連結部23側の端部を「前端部P1」と、被覆圧着片222側の端部を「後端部P2」と、それぞれ表記する場合がある。
【0039】
連結部23は、相手側接続部21と一対の芯線圧着片223とを連結する部分であり、樋状に形成されている。
【0040】
上述したとおり、端子付電線1は、電線3の端部と端子2とが圧着接続されることにより形成される。すなわち、端子付電線1においては、一対の芯線圧着片223(より正確には、各芯線圧着片223のかしめ対象部分A(図3参照))が露出芯線部311を抱持するように圧縮変形されて当該露出芯線部311に圧着されるとともに、一対の被覆圧着片222が被覆部32の端部を抱持するように圧縮変形されて当該被覆部32に圧着され、これによって、電線3の端部と端子2とが圧着接続される。
【0041】
ここで、後に明らかになるように、一対の芯線圧着片223における各かしめ対象部分Aを除く前端部P1側の端部部分は、上側から底板部221に向けて押さえ付けられており、これによって当該部分の突出幅が小さく抑えられている。また、一対の芯線圧着片223からはみ出る露出芯線部311の端部の部分も、上側から端子2に向けて押さえ付けられており、これによって当該部分の突出幅も小さく抑えられている。
【0042】
露出芯線部311と圧着部22との圧着接続部分の表面には、被膜部4が形成されている。被膜部4は、露出芯線部311と圧着部22との接続部分表面を覆うことで、当該部分への液体の付着等を抑制し、もって劣化を抑制する役割を果す。特に、芯線部31としてアルミニウム又はアルミニウム合金を用い、端子2として銅又は銅合金の表面にスズメッキ層が形成された構成のものを用いた場合、両者間で電位差が大きくなる。このため、圧着部22と露出芯線部311との接続部分に水分が付着すると、水分が電界液として作用し、電食が生じてしまうおそれがある。露出芯線部311と圧着部22との圧着接続部分の表面に被膜部4を形成しておけば、その表面部分での電食を有効に抑制することができる。被膜部4は、各種の方法で形成することができる。例えば、樹脂等の塗布材料を熱で溶融させて塗布した後、当該塗布膜を冷却固化させることによって形成することができる。
【0043】
露出芯線部311と圧着部22との圧着接続部分の表面に塗布材料を塗布する際、塗布対象箇所に部分的に突出した部分があると、その突出した部分で被膜部4の厚みが薄くなってしまうおそれがあるところ、この端子付電線1においては、塗布対象箇所の突出部分の突出幅が小さく抑えられている。したがって、被膜部4の厚みが局所的に薄くなるといった事態が生じにくく、露出芯線部311と圧着部22との圧着接続部分が確実に保護されるようになっている。
【0044】
<2.端子圧着装置5>
端子付電線1の製造に用いられる端子圧着装置5について、図3〜図5を参照しながら説明する。図3は、端子圧着装置5を示す説明図である。図4は、端子圧着装置5が備える芯線用上金型7および押さえ部材8を示す側面図である。図5は、芯線用上金型7および押さえ部材8を示す正面図である。
【0045】
端子圧着装置5は、芯線用下金型6と、芯線用上金型7と、押さえ部材8と、被覆用金型9とを主として備えている。
【0046】
<芯線用下金型6>
芯線用下金型6は、基台50に上方に向けて突出するように固定されている。芯線用下金型6の上面には、圧着部22のうち一対の芯線圧着片223が形成された部分を載置可能な断面弧状溝形状の下型面61が形成されている。下型面61は、圧着部22(具体的には、露出芯線部311を含む電線3の端部を内部に配設した状態の圧着部22)の底板部221を載置して支持できるようになっている。芯線用下金型6は、アンビルとも呼ばれる。
【0047】
<芯線用上金型7>
芯線用上金型7は、芯線用下金型6に対向して配設されている。芯線用上金型7は、細長板状に形成されており、その先端部から基端部に向けて切欠溝状に延びる上型面71が形成されている(図5参照)。上型面71は、芯線用下金型6の下型面61と対向している。上型面71の最奥(上)部は、上向きに凸となる弧状周面を2つ横並びにした形状に形成されており、上型面71の先端側の両側面は、先端側に向けて順次拡開する形状に形成されている。
【0048】
ここで、上型面71の長手方向(溝の延在方向であって、芯線用下金型6と芯線用上金型7との間に配設されることとなる露出芯線部311の長手方向に沿う方向)に沿う長さは、芯線用下金型6と芯線用上金型7との間に配設されることとなる芯線圧着片223の長手方向に沿う長さよりも短く(例えば、芯線圧着片223の長手方向に沿う長さの約3分の2の長さに)形成されている。そして、上型面71は、その長手方向の一方の端部を、芯線用下金型6と芯線用上金型7との間に配設されることとなる芯線圧着片223の後端部P2と対向させ、他方の端部を、当該芯線圧着片223の前端部P1よりも後方(後端部P2側)の位置と対向させる。
【0049】
また、上型面71の長手方向の端部であって、芯線圧着片223の後端部P2と対向することとなる側の端部において、上型面71の溝の最奥部には、上型面71の長手方向の端に向かうにつれて基端部に向かう方向に傾斜する傾斜面領域711が形成されている。上型面71の端部に傾斜面領域711が形成されることによって、芯線圧着片223の後端部P2は緩やかに膨らんだ形状に変形されることとなる。ただし、傾斜面領域711の傾斜角度は十分小さいものとされており、芯線圧着片223の後端部P2に形成されることとなる突出部の突出幅は、被膜部4の保護性能を担保可能な程度に十分小さいものになる。なお、傾斜面領域711を除いた部分において、上型面71は、その長手方向に沿って、略同一断面形状とされている。
【0050】
芯線用上金型7は、エアシリンダや油圧シリンダ等のアクチュエータ10により、芯線用下金型6の上方で、芯線用下金型6に対して接近離隔移動可能に(つまり、接近する方向および遠ざかる方向に往復移動可能に)、配設されている。芯線用下金型6の下型面61上に圧着部22(内部に電線3の露出芯線部311が配設された圧着部22)を配設した状態で、芯線用上金型7を芯線用下金型6に向けて接近移動させることで、芯線用下金型6の下型面61と芯線用上金型7の上型面71との間で圧着部22(具体的には、圧着部22のうち一対の芯線圧着片223の部分)が挟み込まれる(図6参照)。ただし、上述したとおり、上型面71の長手方向に沿う長さは芯線圧着片223の長手方向に沿う長さよりも短いため、上型面71によって挟み込まれるのは一対の芯線圧着片223の一部分Aだけであり、一対の芯線圧着片223の前端部P1およびその付近は上型面71からはみ出ることになる。例えば、上型面71の長手方向に沿う長さが、芯線圧着片223の長手方向に沿う長さの約3分の2である場合、芯線圧着片223の長手方向に沿って前端部P1側の3分の1の領域が上型面71からはみ出ることになる。一対の芯線圧着片223における、上型面71によって挟み込まれた部分A(以下「かしめ対象部分A」とも表記する)は、下型面61と上型面71との間で挟み込まれると、上型面71に摺接しつつ上型面71に沿って内向きに湾曲変形する(図7参照)。すなわち、一対の芯線圧着片223のかしめ対象部分Aが露出芯線部311の上に覆い被さるように変形する。これによって、圧着部22が露出芯線部311に圧着される。芯線用上金型7は、クリンパとも呼ばれる。
【0051】
<押さえ部材8>
押さえ部材8は、芯線用上金型7と同期して芯線用下金型6に対して接近離隔移動可能に(つまり、接近する方向および遠ざかる方向に往復移動可能に)、配設されている。そして、芯線用下金型6に向けて接近移動することで、一対の芯線圧着片223の各前端部P1付近における上型面71からはみ出る部分と、露出芯線部311のうち一対の芯線圧着片223からはみ出る露出芯線部311の先端縁部とを、上側から押さえ付けるようになっている。
【0052】
押さえ部材8は、より具体的には、端子押さえ部材81と、芯線押さえ部材82とを備える。ここでは、芯線押さえ部材82は、端子押さえ部材81(具体的には、端子押さえ部材81の、被覆用上金型92とは反対側の面)に一体に形成されている。すなわち、端子押さえ部材81と芯線押さえ部材82とが一体に形成されることにより押さえ部材8を構成している。また、押さえ部材8は、芯線用上金型7(具体的には、芯線用上金型7の、被覆用上金型92とは反対側の面)に一体に形成されている。具体的には、芯線用上金型7の上部は、その下部よりも肉厚に形成されており、その肉厚部分72の下端部の幅方向中央部より下方に延びるようにして、芯線用上金型7の一主面より突状に突出する押さえ部材8が形成されている。これによって、押さえ部材8が芯線用上金型7と同期しかつ一体となって、端子2に向けて接近離隔移動するようになっている。
【0053】
端子押さえ部材81は、芯線用下金型6上に配設されることになる端子2の一対の芯線圧着片223の各前端部P1の上方位置に配設されている。端子押さえ部材81の先端(下端)面は、端子押さえ部材81の移動方向に沿う壁面領域を備えない面であり、ここでは、端子押さえ部材81の移動方向に対して直交する平坦な面である。この下端面は、端子押さえ部材81が端子2に向けて接近移動された際に、一対の芯線圧着片223の各前端部P1付近における上型面71からはみ出る部分に、上側から当接して、当該部分を上側から押さえ付ける。以下、この下端面を「端子押さえ面811」とも表記する。
【0054】
端子押さえ面811は、端子押さえ部材81の移動方向について、上型面71の最奥部(ただし、傾斜面領域711を除いた部分における最奥部)よりも微少量(例えば、0.1mm程度)だけ上方(芯線用上金型7の基端部側)にずれた位置に形成されている。なお、端子押さえ部材81の幅寸法は、下型面61の幅とほぼ同じ程度の幅に形成されていてもよいし、より大きな幅に形成されていてもよい。
【0055】
芯線押さえ部材82は、芯線用下金型6上に配設されることになる端子2の一対の芯線圧着片223と相手側接続部21との間の隙間の上方位置に配設されている。芯線押さえ部材82の先端(下端)面は、芯線押さえ部材82の移動方向に沿う壁面領域を備えない面であり、ここでは、芯線押さえ部材82の移動方向に対して直交する平坦な面である。この下端面は、芯線押さえ部材82が端子2に向けて接近移動された際に、露出芯線部311のうち一対の芯線圧着片223より突出する先端縁部に、上側から当接して、当該部分を上側から押さえ付ける。以下、この下端面を「芯線押さえ面821」とも表記する。
【0056】
芯線押さえ面821は、芯線押さえ部材82の移動方向について、上型面71の最奥部(ただし、傾斜面領域711を除いた部分における最奥部)の位置と同じ位置に形成されている。なお、芯線押さえ部材82の幅寸法は、下型面61の幅とほぼ同じ程度の幅に形成されていてもよいし、より大きな幅に形成されていてもよい。
【0057】
<被覆用金型9>
被覆用金型9は、芯線用下金型6および芯線用上金型7に対して、圧着対象となる端子2の基端側であって、当該端子2の一対の被覆圧着片222に対応して配設された、被覆用下金型91と被覆用上金型92とを備える。
【0058】
被覆用下金型91は基台50上に取付けられており、被覆用上金型92は、アクチュエータ10により、芯線用上金型7と同期して、被覆用下金型91に対して接近離隔移動可能に設けられている。芯線用下金型6と芯線用上金型7との間で圧着部22を露出芯線部311に圧着する際、被覆用上金型92も被覆用下金型91に対して接近移動して、一対の被覆圧着片222を内側に変形させて当該圧着部22を電線3の被覆部32に圧着させるようになっている。
【0059】
<3.端子付電線1の製造方法>
端子圧着装置5を用いた端子付電線1の製造方法について、図3に加え、図6、図7を参照しながら説明する。図6、図7は、端子付電線1の製造工程の説明図である。
【0060】
まず、芯線用上金型7および被覆用上金型92を、芯線用下金型6および被覆用下金型91から離間させた状態とする。また、端子2および電線3を準備し、端子2の圧着部22を芯線用下金型6および被覆用下金型91上に載置するとともに、圧着部22内に露出芯線部311が配設された状態とする(図3に示される状態)。ただし、この際、圧着部22の底板部221のうち一対の芯線圧着片223の部分が、芯線用下金型6の下型面61上に配設された状態とするとともに、底板部221のうち一対の被覆圧着片222の部分が被覆用下金型91上に配設された状態とする。また、電線3の露出芯線部311を一対の芯線圧着片223の部分に配設された状態とするとともに、被覆部32の端部を一対の被覆圧着片222の部分に配設された状態とする。このとき、上型面71の長手方向の一方の端部(傾斜面領域711が形成された側の端部)が、底板部221に配設された芯線圧着片223の後端部P2と対向した状態となり、他方の端部が、当該芯線圧着片223の前端部P1よりも後方の位置と対向した状態となる。また、端子押さえ面811が、底板部221に配設された芯線圧着片223の前端部P1側の端部部分と対向した状態となり、芯線押さえ面821が、当該芯線圧着片223より突出する露出芯線部311の先端縁部に対向した状態となる。
【0061】
続いて、芯線用上金型7および被覆用上金型92を、芯線用下金型6および被覆用下金型91に接近移動させる(図6および図7に示される状態)。これによって、芯線用下金型6と芯線用上金型7との間で圧着部22(具体的には、芯線圧着片223のかしめ対象部分A)を挟み込んで、一対の芯線圧着片223のかしめ対象部分Aを内向けに変形させて露出芯線部311に圧着する。また、これとともに、被覆用下金型91と被覆用上金型92との間で圧着部22(具体的には、圧着部22のうち一対の被覆圧着片222が設けられた部分)を挟み込んで、一対の被覆圧着片222を内向けに変形させて被覆部32の端部に圧着する。この圧着態様によると、芯線圧着片223の前端部P1付近に圧縮力が付加されないので、連結部23に負荷がかかりにくく、連結部23に変形、損傷等が生じにくい。
【0062】
一方、芯線用上金型7を芯線用下金型6に接近移動させると、芯線用上金型7と同期して押さえ部材8も芯線用下金型6に接近移動される。これによって、端子押さえ部材81の端子押さえ面811が、圧着部22のうち上型面71からはみ出る端部部分、すなわち、一対の芯線圧着片223の各前端部P1付近における上型面71からはみ出る部分を、上側から底板部221に向けて押さえ付けるとともに、芯線押さえ部材82の芯線押さえ面821が、露出芯線部311の先端縁部、すなわち、露出芯線部311のうち一対の芯線圧着片223からはみ出る露出芯線部311の先端縁部を、上側から端子2に向けて押さえ付ける。一対の芯線圧着片223における上型面71からはみ出る部分には上型面71からの圧縮力が付加されないため、当該はみ出る部分は上方に突出してテーパ状に膨らもうとするところ、当該はみ出る部分が端子押さえ面811に上側から押さえ込まれることによって、当該はみ出る部分の突出幅が小さく抑えられる。ただし、ここでは、当該はみ出る部分の側方には圧縮力が付加されないので、連結部23には負荷がかかりにくく、連結部23に変形、損傷等が生じにくい。また、芯線圧着片223に上型面71からの圧縮力が付加されると、圧縮された露出芯線部311が伸びて連結部23の側にはみ出て、当該はみ出た露出芯線部311の先端部が、上方(底板部221から離れる方向)に突出しようとするところ、当該先端部が芯線押さえ面821に上側から押さえ込まれることによって、当該先端部の突出幅が小さく抑えられる。
【0063】
続いて、露出芯線部311と圧着部22との圧着接続部分の表面に、塗布材料を塗布して、被膜部4(図2参照)を形成する。これによって、端子付電線1が得られる。上述したとおり、露出芯線部311と圧着部22との圧着接続部分の表面においては、突出する部分の突出幅が小さく抑えられている(すなわち、凹凸がなるべく小さくされている)。したがって、塗布材料の膜厚が局所的に薄くなることが抑制されている。したがって、ここで形成される被膜部4には部分的に薄い部分が生じにくく、露出芯線部311と圧着部22との圧着接続部分は確実に保護される。
【0064】
<4.効果>
上記の実施の形態においては、一対の芯線圧着片223における上型面71からはみ出る部分を上側から押さえ付ける。したがって、当該はみ出る部分に形成される突出部分の突出幅を、なるべく小さくすることができる。また、上記の実施の形態においては、露出芯線部311のうち一対の芯線圧着片223からはみ出る部分を、端子2に向けて押さえ付ける。したがって、端子2からの露出芯線部311の突出幅をなるべく小さくすることができる。特に、芯線部31としてアルミニウム線又はアルミニウム合金線を用いた場合、芯線圧着片223はより大きな力で圧縮される傾向にあり、露出芯線部311の先端部が大きく伸び出やすいところ、上記の実施の形態によると、芯線部31としてアルミニウム線あるいはアルミニウム合金線が用いられた場合であっても、端子2からの露出芯線部311の突出幅を小さくすることができる。露出芯線部311と圧着部22との圧着接続部分の表面の凹凸が小さくなると、被膜部4が部分的に薄くなることが抑制される。すなわち、被膜部4の保護性能が担保される。
【0065】
また、上記の実施の形態においては、一対の芯線圧着片223における上型面71からはみ出る部分を、芯線用下金型6に向けて移動される端子押さえ部材81の下端面(端子押さえ面811)で上側から押さえ付ける。この構成によると、簡易な構成で、当該はみ出る部分に形成される突出部分の突出幅を確実に小さくすることができる。また、端子押さえ面811は、端子押さえ部材81の移動方向に沿う壁面領域を備えない面であるので、端子押さえ部材81が端子2に向けて接近移動された際に、一対の芯線圧着片223における上型面71からはみ出る部分は、上側からのみ押さえ付けられ、側方には圧縮力が付加されない(フリーの状態とされる)。したがって、当該はみ出る部分が押さえ付けられる際に、芯線圧着片223以外の部分に力が及びにくく、連結部23に変形、損傷等が生じにくい。
【0066】
また、上記の実施の形態においては、端子押さえ部材81の端子押さえ面811が平坦な面であるので、端子押さえ部材81の構成が特に簡易なものとなる。
【0067】
また、上記の実施の形態においては、芯線圧着片223からはみ出る露出芯線部311の部分を、芯線用下金型6に向けて移動される芯線押さえ部材82の下端面(芯線押さえ面821)で上側から押さえ付ける。この構成によると、簡易な構成で、端子2からの露出芯線部311の突出幅を確実に小さくすることができる。
【0068】
さらに、上記の実施の形態においては、端子押さえ面811は、端子押さえ部材81の移動方向について、上型面71の最奥部よりも微少量だけ上方(芯線用上金型7の基端部側)にずれた位置に形成される。また、芯線押さえ面821は、芯線押さえ部材82の移動方向について、上型面71の最奥部と同位置に形成される。したがって、芯線用上金型7およびこれと同期して移動される押さえ部材8が芯線用下金型6と最も近接された状態(図7に示される状態)において、端子押さえ面811が、端子押さえ部材81の移動方向について、上型面71の最奥部の位置(基準位置H)よりも上方(芯線用上金型7の基端部の側)の位置に配置される。また、芯線押さえ面821が、芯線押さえ部材82の移動方向について、基準位置Hと同じ位置に配置される。この構成によると、一対の芯線圧着片223における上型面71からはみ出る部分の上下方向の圧縮率が、一対の芯線圧着片223におけるかしめ対象部分Aの上下方向の圧縮率よりも小さくなるので、芯線圧着片223の前端部P1の角で露出芯線部311が傷つくといった事態が生じにくい。その一方で、露出芯線部311のうち芯線圧着片223からはみ出る部分の突出高さが芯線圧着片223の前端部P1の突出高さよりも低くなり、端子2からの露出芯線部311の突出幅を確実に小さくすることができる。
【0069】
また、上記の実施の形態によると、芯線用上金型7と押さえ部材8とが同期して移動されるので、一対の芯線圧着片223の各かしめ対象部分Aを露出芯線部311に圧着する工程と、一対の芯線圧着片223における上型面71からはみ出る部分を上側から押さえ付ける工程と、露出芯線部311のうち芯線圧着片223からはみ出る部分を上側から押さえ付ける工程とが同時に行われる。この構成によると、端子付電線1を効率的に製造することができる。
【0070】
また、上記の実施の形態によると、芯線用上金型7と押さえ部材8とが一体化されているため、押さえ部材8の変形が抑制され、押さえ部材8の耐久性が向上する。また、芯線用上金型7と押さえ部材8との間にゴミ等が付着することを抑制でき、メンテナンス性にも優れる。
【0071】
また、上記の実施の形態によると、上型面71の長手方向の端部であって、芯線圧着片223の後端部P2と対向することとなる側の端部に傾斜面領域711が形成されている。この構成によると、上型面71からはみ出ない方の芯線圧着片223の端部(後端部P2)部分は、テーパ状に膨らんだ形状に変形される。したがって、芯線圧着片223の後端部P2の角で露出芯線部311が傷つくといった事態が生じにくい。
【0072】
<5.変形例>
上記の実施の形態において、端子押さえ面811は、端子押さえ部材81の移動方向に沿う壁面領域を備えない面(つまり、端子押さえ部材81が端子2に向けて接近移動された際に、端子2の側方には接触せず当該側方をフリー状態としておける形状の面)であることが好ましいが、このような端子押さえ面811は、必ずしも、上述したような、端子押さえ部材81の移動方向に対して直交する平坦な面に限られるものではない。例えば、図8に示すように、端子押さえ面811aは、端子押さえ部材81の移動方向に対して直交する面が、上向きに凸となるなだらかな弧状周面に加工されたものであってもよい。また、図9に示すように、端子押さえ面811bは、端子押さえ部材81の移動方向に対して直交する面が、上向きに凸となる弧状周面を2つ横並びにした形状に加工されたものであってもよい。
【0073】
また、上記の実施の形態においては、押さえ部材8が芯線用上金型7と一体に形成されているとしたが、押さえ部材8と芯線用上金型7とは必ずしも一体に形成される必要はない。例えば、図10に示すように、芯線用上金型70と、押さえ部材80とが別体とされていてもよい。ここでは、押さえ部材80は、上記の実施の形態における、肉厚部分72に対応する部分と押さえ部材8に対応する部分とが一体に形成されたものとなっている。そして、押さえ部材80が、芯線用上金型70と密接状態に重ね合わされている。また、ここでは、芯線用上金型70と押さえ部材80とにそれぞれ位置決用孔701,801が形成されており、芯線用上金型70と押さえ部材80とが重ね合わされた状態で、位置決めピン901が位置決用孔701,801に挿通されることで、芯線用上金型70と押さえ部材80とが一体化され、両者が同期して芯線用下金型6上の端子2に対して接近離隔移動するようになっている。このように、押さえ部材80と芯線用上金型70とを別体に形成すれば、芯線用上金型70に対する押さえ部材80の追加設置、押さえ部材80、あるいは、芯線用上金型70単独の交換等を容易に行えるという利点が得られる。
【0074】
また、芯線用上金型70と押さえ部材80とを別体とし、かつ、両者を別々に(同期させずに)移動させてもよい。例えば、芯線用上金型70と押さえ部材80とを一体化せず、それぞれ別個のアクチュエータに連結してもよい。この場合、まず、芯線用上金型70を芯線用下金型6に接近移動させて一対の芯線圧着片223の各かしめ対象部分Aを変形させて露出芯線部311に圧着した後に、押さえ部材80を芯線用下金型6に接近移動させて、一対の芯線圧着片223における上型面71からはみ出る部分を上側から押さえ付けるとともに、露出芯線部311のうち一対の芯線圧着片223からはみ出る部分を端子2に向けて押さえ付ける、という流れで端子付電線1を製造することができる。
【0075】
ただし、芯線用上金型70と押さえ部材80とを別々に移動させる場合、芯線用上金型70が芯線用下金型6と最も近接された状態における上型面710の溝の最奥部の位置を基準位置Hとして、押さえ部材80が芯線用下金型6と最も近接された状態において、押さえ部材80の移動方向について、端子押さえ面8110が基準位置Hよりも上方(芯線用上金型7の基端部の側)の位置に配置されるとともに、芯線押さえ面8210が基準位置Hと同じ位置に配置されることが好ましい。この構成によると、上述したとおり、芯線圧着片223の前端部P1の角で露出芯線部311が傷つくといった事態が生じにくく、その一方で、端子2からの露出芯線部311の突出幅を確実に小さくすることができる。
【0076】
また、芯線用上金型70と押さえ部材80とを別体とした場合、両者が密接していることは必須ではなく、それぞれの先端部間に隙間があってもよい。ただし、芯線用上金型70と押さえ部材80とが密接状態に重ね合されている方が、芯線用上金型70と押さえ部材80とが変形しにくくなり、また、両者間にゴミ等が挟み込まれ難いという点でメリットがある。
【0077】
また、上記の実施の形態においては、端子押さえ部材81と芯線押さえ部材82とが一体に形成されているとしたが、端子押さえ部材81と芯線押さえ部材82とは必ずしも一体に形成される必要はない。例えば、図11に示すように、芯線用上金型70と端子押さえ部材810とが別体とされるとともに、端子押さえ部材810と芯線押さえ部材820とが別体とされていてもよい。ここでは、芯線押さえ部材820が端子押さえ部材810と密接状態に重ね合わされるとともに、端子押さえ部材810が芯線用上金型70と密接状態に重ね合わされている。また、ここでは、芯線用上金型70、端子押さえ部材810、および芯線押さえ部材820のそれぞれに位置決用孔701,8101,8201が形成されており、芯線用上金型70と端子押さえ部材810が重ね合わされるとともに、端子押さえ部材810と芯線押さえ部材820とが重ね合わされた状態で、位置決めピン901が位置決用孔701,8101,8201に挿通されることで、芯線用上金型70、端子押さえ部材810、および芯線押さえ部材820が一体化され、これらが同期して芯線用下金型6上の端子2に対して接近離隔移動するようになっている。このように、端子押さえ部材810と芯線押さえ部材820とを別体に形成すれば、端子押さえ部材810に対する芯線押さえ部材820の追加設置、端子押さえ部材810、あるいは、芯線押さえ部材820単独の交換等を容易に行えるという利点が得られる。
【0078】
また、端子押さえ部材810と芯線押さえ部材820とを別体とし、かつ、両者を別々に(同期させずに)移動させてもよい。例えば、芯線用上金型70、端子押さえ部材810、および、芯線押さえ部材820のそれぞれを一体化せず、それぞれ別個のアクチュエータに連結してもよい。この場合、まず、芯線用上金型70を芯線用下金型6に接近移動させて一対の芯線圧着片223の各かしめ対象部分Aを変形させて露出芯線部311に圧着し、続いて、端子押さえ部材810を芯線用下金型6に接近移動させて、一対の芯線圧着片223における上型面71からはみ出る部分を上側から押さえ付け、続いて、露出芯線部311のうち一対の芯線圧着片223からはみ出る部分を端子2に向けて押さえ付ける、という流れで端子付電線1を製造することができる。
【0079】
ただし、芯線用上金型70、端子押さえ部材810、および、芯線押さえ部材820のそれぞれを別々に移動させる場合、上述したとおり、端子押さえ部材810が芯線用下金型6と最も近接された状態において、端子押さえ部材810の移動方向について、端子押さえ面8101が上述した基準位置Hよりも上方(芯線用上金型7の基端部の側)の位置に配置されることが好ましい。また、芯線押さえ部材820が芯線用下金型6と最も近接された状態において、芯線押さえ部材820の移動方向について、芯線押さえ面821が基準位置Hと同じ位置に配置されることが好ましい。
【0080】
なお、端子押さえ部材810と芯線押さえ部材820とを別体とした場合、両者が密接していることは必須ではなく、それぞれの先端部間に隙間があってもよい。
【0081】
また、上記の実施の形態においては、端子2は、一対の被覆圧着片222を備える構成としたが、端子2は必ずしも一対の被覆圧着片222を備える必要はない。
【0082】
また、上記の実施の形態においては、端子押さえ面811は、端子押さえ部材81の移動方向について、上型面71の最奥部よりも微少量だけ上方にずれた位置に形成されるとしたが、端子押さえ面811は、芯線圧着片223の端部を押さえ付けることが可能な範囲で、上述した位置よりも上方又は下方にずれていてもよい。
【0083】
また、上記の実施の形態においては、芯線押さえ面821は、芯線押さえ部材82の移動方向について、上型面71の最奥部と同じ位置に形成されるとしたが、芯線押さえ面821は、露出芯線部311の先端縁部を押さえ付けることが可能な範囲で、上述した位置よりも上方又は下方にずれていてもよい。
【0084】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0085】
1 端子付電線
2 端子
22 圧着部
223 芯線圧着片
3 電線
31 芯線
311 露出芯線部
4 被膜部
5 端子圧着装置
6 芯線用下金型
7,70 芯線用上金型
71 上型面
8 押さえ部材
81 端子押さえ部材
82 芯線押さえ部材
8、80 押さえ部材
811,811a,811b 端子押さえ面
81,810 端子押さえ部材
82,820 芯線押さえ部材
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線端部の露出芯線部に端子を圧着する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子付電線として特許文献2に開示のものがある。特許文献2では、端子に芯線圧着用バレルが設けられ、この芯線圧着用バレルが電線端末から露出する芯線にかしめ圧着されている。
【0003】
特許文献1には、鋼板に塗布される保護被膜の例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−166151号公報
【特許文献2】特開2000−285983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、端子は、相手側の端子と接続される接続部と芯線圧着用バレルとが連ねられた構成を備えている。ここで、芯線圧着用バレルを電線端末から露出する芯線にかしめ圧着する際には、芯線圧着用バレルの全体ではなく、接続部側の端部付近を除いた部分だけに圧縮力を付加するようになっている。接続部側の端部付近を含む芯線圧着用バレルの全体に圧縮力を付加すると、芯線圧着用バレルと接続部との連結部分に負荷がかかり、当該連結部分に、変形、損傷(例えばひび割れ)等が生じるおそれがあるからである。
【0006】
ところが、上記の態様で、芯線にかしめ圧着された芯線圧着用バレルは、接続部側の端部付近がテーパ状に膨らんだ形状(ベルマウス形状)、すなわち、当該端部が上方に突出した形状となる。このように、端子の一部に突出部分が形成されてしまうと、端子と電線との接続部分の表面に被膜形成用の保護剤を塗布した際に、当該突出部分で保護被膜の膜厚が局所的に薄くなってしまい、十分な保護性能が得られないおそれがある。この問題は、突出部分の突出幅が大きいほど顕著になる。
【0007】
そこで、本発明は、電線の端部の露出芯線部に端子を圧着する際に端子に形成される突出部分の突出幅を、なるべく小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様は、電線の端部の露出芯線部に端子の圧着部が圧着された端子付電線の製造方法であって、a)前記圧着部内に前記露出芯線部を配設する工程と、b)下金型の下型面と上金型の上型面との間で前記圧着部の一部を挟んで、前記圧着部の一部を前記露出芯線部に圧着する工程と、c)前記上型面からはみ出る前記圧着部の端部部分を上側から押さえ付ける工程と、を備える。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係る端子付電線の製造方法であって、前記c)工程において、前記下金型に向けて移動される端子押さえ部材の下端面で、前記上型面からはみ出る前記圧着部の端部部分を上側から押さえ付け、前記端子押さえ部材の下端面が、前記端子押さえ部材の移動方向に沿う壁面領域を備えない面である。
【0010】
第3の態様は、第2の態様に係る端子付電線の製造方法であって、前記下端面が、前記端子押さえ部材の移動方向に対して直交する平坦な面である。
【0011】
第4の態様は、第2または第3の態様に係る端子付電線の製造方法であって、前記上型面が、前記上金型の先端部から基端部に向けて切り欠かれた溝状の面であり、前記上金型が前記下金型と最も近接された状態における前記溝の最奥部の位置を基準位置として、前記端子押さえ部材が前記下金型と最も近接された状態において、前記端子押さえ部材の下端面が、前記端子押さえ部材の移動方向について、前記基準位置よりも前記基端部の側の位置に配置される。
【0012】
第5の態様は、第2から第4のいずれかの態様に係る端子付電線の製造方法であって、前記b)工程において、前記上金型が前記下金型に向けて移動されて前記下金型との間で前記圧着部を挟む際に、前記上金型と同期して移動される前記端子押さえ部材が前記上型面からはみ出る前記圧着部の端部部分を押さえ付けることによって、前記c)工程が行われる。
【0013】
第6の態様は、第5の態様に係る端子付電線の製造方法であって、前記上金型と前記端子押さえ部材とが一体に形成される。
【0014】
第7の態様は、第1から第6のいずれかの態様に係る端子付電線の製造方法であって、d)前記露出芯線部のうち前記圧着部からはみ出る部分を、前記端子に向けて押さえ付ける工程、をさらに備える。
【0015】
第8の態様は、第7の態様に係る端子付電線の製造方法であって、前記d)工程において、前記下金型に向けて移動される芯線押さえ部材の下端面で、前記圧着部からはみ出る前記露出芯線部の部分を上側から押さえ付け、前記芯線押さえ部材の下端面が、前記芯線押さえ部材の移動方向に沿う壁面領域を備えない面である。
【0016】
第9の態様は、第8の態様に係る端子付電線の製造方法であって、前記上型面が、前記上金型の先端部から基端部に向けて切り欠かれた溝状の面であり、前記上金型が前記下金型と最も近接された状態における前記溝の最奥部の位置を基準位置として、前記芯線押さえ部材が前記下金型と最も近接された状態において、前記芯線押さえ部材の下端面が、前記芯線押さえ部材の移動方向について、前記基準位置と同じ位置に配置される。
【0017】
第10の態様は、第1から第9のいずれかの態様に係る端子付電線の製造方法であって、前記上型面が、前記上金型の先端部から基端部に向けて切り欠かれた溝状の面であり、前記上型面における、前記圧着部のうち前記上型面からはみ出ない方の端部部分と対向する端部において、前記溝の最奥部が、端に向かうにつれて前記基端部に向かう方向に傾斜している。
【0018】
第11の態様は、被覆された芯線部を備える電線と、圧着部において前記電線の端部の露出芯線部に圧着された端子とを備える端子付電線であって、前記圧着部が、底板部と、前記底板部の両側部より延出する長尺片状の芯線圧着片と、を備え、前記芯線圧着片における対象部分が、前記露出芯線部を抱持するように圧縮変形されて当該露出芯線部に圧着され、前記芯線圧着片における前記対象部分を除く端部部分が、上側から前記底板部に向けて押さえ付けられている。
【0019】
第12の態様は、電線の端部の露出芯線部に端子の圧着部を圧着する端子圧着装置であって、前記露出芯線部が配設された前記圧着部を配設可能な下型面を備える下金型と、前記下型面と対向配置された上型面を備え、前記下金型に向けて移動されることによって、前記下金面と前記上型面との間で前記圧着部の一部を挟んで、前記圧着部の一部を前記露出芯線部に圧着する上金型と、前記下金型に向けて移動されて、前記上型面からはみ出る前記圧着部の端部部分を上側から押さえ付ける端子押さえ部材と、を備える。
【発明の効果】
【0020】
第1〜第10の態様によると、電線の端部の露出芯線部に端子を圧着する際に上型面からはみ出る圧着部の端部部分を、上側から押さえ付ける。したがって、電線の端部の露出芯線部に端子を圧着する際に端子に形成される突出部分の突出幅を、なるべく小さくすることができる。
【0021】
特に、第2の態様によると、簡易な構成で、端子の突出部分の突出幅を確実に小さくすることができる。
【0022】
特に、第3の態様によると、端子押さえ部材の下端面が平坦な面であるので、端子押さえ部材の構成が特に簡易なものとなる。
【0023】
特に、第4の態様によると、上型面からはみ出る圧着部の端部部分の上下方向の圧縮率が、露出芯線部に圧着される圧着部の部分の上下方向の圧縮率よりも小さくなるので、圧着部の当該端部部分の角で露出芯線部が傷つくといった事態が生じにくい。
【0024】
特に、第5の態様によると、b)工程とc)工程とが同時に行われるので、端子付電線を効率的に製造することができる。
【0025】
特に、第6の態様によると、上金型と端子押さえ部材とが一体化されているため、端子押さえ部材の耐久性が向上する。
【0026】
特に、第7の態様によると、露出芯線部のうち圧着部からはみ出る部分を、端子に向けて押さえ付ける。したがって、端子からの露出芯線部の突出をなるべく小さくすることができる。
【0027】
特に、第8の態様によると、簡易な構成で、端子からの露出芯線部の突出幅を確実に小さくすることができる。
【0028】
特に、第9の態様によると、端子からの露出芯線部の突出幅を確実に小さくすることができる。
【0029】
特に、第10の態様によると、上型面の一方の端部において、溝の最奥部が端に向かうにつれて前記基端部に向かう方向に傾斜している。この構成によると、上型面からはみ出ない方の圧着部の端部部分は、テーパ状に膨らんだ形状に変形される。したがって、圧着部の当該端部部分の角で露出芯線部が傷つくといった事態が生じにくい。
【0030】
第11の態様によると、芯線圧着片における、露出芯線部に圧着される対象領域を除く端部部分が、上側から押さえ付けられている。したがって、電線の端部の露出芯線部に端子を圧着する際に端子に形成される突出部分の突出幅が、なるべく小さくされている。
【0031】
第12の態様によると、電線の端部の露出芯線部に端子を圧着する際に上型面からはみ出る圧着部の端部部分を、上側から押さえ付ける。したがって、電線の端部の露出芯線部に端子を圧着する際に端子に形成される突出部分の突出幅を、なるべく小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】圧着前の端子および電線を示す概略側面図である。
【図2】端子付電線を示す概略側面図である。
【図3】端子圧着装置を示す説明図である。
【図4】端子圧着装置が備える芯線用上金型および押さえ部材を示す側面図である。
【図5】端子圧着装置が備える芯線用上金型および押さえ部材を示す正面図である。
【図6】端子付電線の製造工程の説明図である。
【図7】端子付電線の製造工程の説明図である。
【図8】変形例に係る芯線用上金型および押さえ部材を示す正面図である。
【図9】変形例に係る芯線用上金型および押さえ部材を示す正面図である。
【図10】変形例に係る芯線用上金型および押さえ部材を示す側面図である。
【図11】変形例に係る芯線用上金型および押さえ部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施形態に係る端子付電線の製造方法および端子圧着装置について説明する。
【0034】
<1.端子付電線1>
端子付電線1は、端子2が電線3の端部に圧着されることにより形成される。端子付電線1について、図1、図2を参照しながら説明する。図1は、圧着前の端子2、および電線3を示す概略側面図である。図2は、端子付電線1を示す概略側面図である。
【0035】
電線3は、芯線部31の外周に被覆部32が押出被覆等によって被覆された構成とされている。芯線部31は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属線の撚り合せ線又は単線によって構成されている。また、電線3の端部は、被覆部32が皮剥ぎされて、芯線部31が露出している。以下、電線3の端部に露出する芯線部31を「露出芯線部311」と表記する場合がある。
【0036】
端子2は、相手側接続部21と圧着部22とが連結部23を介して連ねられた構成を備えている。
【0037】
相手側接続部21は、相手側の端子と接続される部分である。ここでは、相手側接続部21は、略筒状の形状(いわゆるメス端子形状)に形成されており、ピン状又はタブ状の接続部を有する相手側端子(いわゆるオス端子)が挿入接続可能とされている。なお、相手側接続部21は、ピン状又はタブ状の形状(いわゆるオス端子形状)に形成されていてもよく、また、ネジ等によって相手側の部材に接続可能な環状形状等に形成されていてもよい。
【0038】
圧着部22は、電線3に圧着接続可能に構成されている。ここでは、圧着部22は、底板部221と、一対の被覆圧着片222と、一対の芯線圧着片223とを有している。底板部221は、相手側接続部21の基端部側より延出する長尺板状に形成されている。一対の被覆圧着片222は、底板部221の端部の両側部より延出する長尺片状に形成されている。一対の芯線圧着片223は、一対の被覆圧着片222と相手側接続部21との間で、底板部221の両側部より延出する長尺片状に形成されている。圧着部22のうち、一対の被覆圧着片222が形成された部分と一対の芯線圧着片223が形成された部分とは、断面略U字状に形成されている。また、一対の被覆圧着片222と一対の芯線圧着片223との間には、隙間が設けられる。なお、以下において、芯線圧着片223の長手方向に沿う端部のうち、連結部23側の端部を「前端部P1」と、被覆圧着片222側の端部を「後端部P2」と、それぞれ表記する場合がある。
【0039】
連結部23は、相手側接続部21と一対の芯線圧着片223とを連結する部分であり、樋状に形成されている。
【0040】
上述したとおり、端子付電線1は、電線3の端部と端子2とが圧着接続されることにより形成される。すなわち、端子付電線1においては、一対の芯線圧着片223(より正確には、各芯線圧着片223のかしめ対象部分A(図3参照))が露出芯線部311を抱持するように圧縮変形されて当該露出芯線部311に圧着されるとともに、一対の被覆圧着片222が被覆部32の端部を抱持するように圧縮変形されて当該被覆部32に圧着され、これによって、電線3の端部と端子2とが圧着接続される。
【0041】
ここで、後に明らかになるように、一対の芯線圧着片223における各かしめ対象部分Aを除く前端部P1側の端部部分は、上側から底板部221に向けて押さえ付けられており、これによって当該部分の突出幅が小さく抑えられている。また、一対の芯線圧着片223からはみ出る露出芯線部311の端部の部分も、上側から端子2に向けて押さえ付けられており、これによって当該部分の突出幅も小さく抑えられている。
【0042】
露出芯線部311と圧着部22との圧着接続部分の表面には、被膜部4が形成されている。被膜部4は、露出芯線部311と圧着部22との接続部分表面を覆うことで、当該部分への液体の付着等を抑制し、もって劣化を抑制する役割を果す。特に、芯線部31としてアルミニウム又はアルミニウム合金を用い、端子2として銅又は銅合金の表面にスズメッキ層が形成された構成のものを用いた場合、両者間で電位差が大きくなる。このため、圧着部22と露出芯線部311との接続部分に水分が付着すると、水分が電界液として作用し、電食が生じてしまうおそれがある。露出芯線部311と圧着部22との圧着接続部分の表面に被膜部4を形成しておけば、その表面部分での電食を有効に抑制することができる。被膜部4は、各種の方法で形成することができる。例えば、樹脂等の塗布材料を熱で溶融させて塗布した後、当該塗布膜を冷却固化させることによって形成することができる。
【0043】
露出芯線部311と圧着部22との圧着接続部分の表面に塗布材料を塗布する際、塗布対象箇所に部分的に突出した部分があると、その突出した部分で被膜部4の厚みが薄くなってしまうおそれがあるところ、この端子付電線1においては、塗布対象箇所の突出部分の突出幅が小さく抑えられている。したがって、被膜部4の厚みが局所的に薄くなるといった事態が生じにくく、露出芯線部311と圧着部22との圧着接続部分が確実に保護されるようになっている。
【0044】
<2.端子圧着装置5>
端子付電線1の製造に用いられる端子圧着装置5について、図3〜図5を参照しながら説明する。図3は、端子圧着装置5を示す説明図である。図4は、端子圧着装置5が備える芯線用上金型7および押さえ部材8を示す側面図である。図5は、芯線用上金型7および押さえ部材8を示す正面図である。
【0045】
端子圧着装置5は、芯線用下金型6と、芯線用上金型7と、押さえ部材8と、被覆用金型9とを主として備えている。
【0046】
<芯線用下金型6>
芯線用下金型6は、基台50に上方に向けて突出するように固定されている。芯線用下金型6の上面には、圧着部22のうち一対の芯線圧着片223が形成された部分を載置可能な断面弧状溝形状の下型面61が形成されている。下型面61は、圧着部22(具体的には、露出芯線部311を含む電線3の端部を内部に配設した状態の圧着部22)の底板部221を載置して支持できるようになっている。芯線用下金型6は、アンビルとも呼ばれる。
【0047】
<芯線用上金型7>
芯線用上金型7は、芯線用下金型6に対向して配設されている。芯線用上金型7は、細長板状に形成されており、その先端部から基端部に向けて切欠溝状に延びる上型面71が形成されている(図5参照)。上型面71は、芯線用下金型6の下型面61と対向している。上型面71の最奥(上)部は、上向きに凸となる弧状周面を2つ横並びにした形状に形成されており、上型面71の先端側の両側面は、先端側に向けて順次拡開する形状に形成されている。
【0048】
ここで、上型面71の長手方向(溝の延在方向であって、芯線用下金型6と芯線用上金型7との間に配設されることとなる露出芯線部311の長手方向に沿う方向)に沿う長さは、芯線用下金型6と芯線用上金型7との間に配設されることとなる芯線圧着片223の長手方向に沿う長さよりも短く(例えば、芯線圧着片223の長手方向に沿う長さの約3分の2の長さに)形成されている。そして、上型面71は、その長手方向の一方の端部を、芯線用下金型6と芯線用上金型7との間に配設されることとなる芯線圧着片223の後端部P2と対向させ、他方の端部を、当該芯線圧着片223の前端部P1よりも後方(後端部P2側)の位置と対向させる。
【0049】
また、上型面71の長手方向の端部であって、芯線圧着片223の後端部P2と対向することとなる側の端部において、上型面71の溝の最奥部には、上型面71の長手方向の端に向かうにつれて基端部に向かう方向に傾斜する傾斜面領域711が形成されている。上型面71の端部に傾斜面領域711が形成されることによって、芯線圧着片223の後端部P2は緩やかに膨らんだ形状に変形されることとなる。ただし、傾斜面領域711の傾斜角度は十分小さいものとされており、芯線圧着片223の後端部P2に形成されることとなる突出部の突出幅は、被膜部4の保護性能を担保可能な程度に十分小さいものになる。なお、傾斜面領域711を除いた部分において、上型面71は、その長手方向に沿って、略同一断面形状とされている。
【0050】
芯線用上金型7は、エアシリンダや油圧シリンダ等のアクチュエータ10により、芯線用下金型6の上方で、芯線用下金型6に対して接近離隔移動可能に(つまり、接近する方向および遠ざかる方向に往復移動可能に)、配設されている。芯線用下金型6の下型面61上に圧着部22(内部に電線3の露出芯線部311が配設された圧着部22)を配設した状態で、芯線用上金型7を芯線用下金型6に向けて接近移動させることで、芯線用下金型6の下型面61と芯線用上金型7の上型面71との間で圧着部22(具体的には、圧着部22のうち一対の芯線圧着片223の部分)が挟み込まれる(図6参照)。ただし、上述したとおり、上型面71の長手方向に沿う長さは芯線圧着片223の長手方向に沿う長さよりも短いため、上型面71によって挟み込まれるのは一対の芯線圧着片223の一部分Aだけであり、一対の芯線圧着片223の前端部P1およびその付近は上型面71からはみ出ることになる。例えば、上型面71の長手方向に沿う長さが、芯線圧着片223の長手方向に沿う長さの約3分の2である場合、芯線圧着片223の長手方向に沿って前端部P1側の3分の1の領域が上型面71からはみ出ることになる。一対の芯線圧着片223における、上型面71によって挟み込まれた部分A(以下「かしめ対象部分A」とも表記する)は、下型面61と上型面71との間で挟み込まれると、上型面71に摺接しつつ上型面71に沿って内向きに湾曲変形する(図7参照)。すなわち、一対の芯線圧着片223のかしめ対象部分Aが露出芯線部311の上に覆い被さるように変形する。これによって、圧着部22が露出芯線部311に圧着される。芯線用上金型7は、クリンパとも呼ばれる。
【0051】
<押さえ部材8>
押さえ部材8は、芯線用上金型7と同期して芯線用下金型6に対して接近離隔移動可能に(つまり、接近する方向および遠ざかる方向に往復移動可能に)、配設されている。そして、芯線用下金型6に向けて接近移動することで、一対の芯線圧着片223の各前端部P1付近における上型面71からはみ出る部分と、露出芯線部311のうち一対の芯線圧着片223からはみ出る露出芯線部311の先端縁部とを、上側から押さえ付けるようになっている。
【0052】
押さえ部材8は、より具体的には、端子押さえ部材81と、芯線押さえ部材82とを備える。ここでは、芯線押さえ部材82は、端子押さえ部材81(具体的には、端子押さえ部材81の、被覆用上金型92とは反対側の面)に一体に形成されている。すなわち、端子押さえ部材81と芯線押さえ部材82とが一体に形成されることにより押さえ部材8を構成している。また、押さえ部材8は、芯線用上金型7(具体的には、芯線用上金型7の、被覆用上金型92とは反対側の面)に一体に形成されている。具体的には、芯線用上金型7の上部は、その下部よりも肉厚に形成されており、その肉厚部分72の下端部の幅方向中央部より下方に延びるようにして、芯線用上金型7の一主面より突状に突出する押さえ部材8が形成されている。これによって、押さえ部材8が芯線用上金型7と同期しかつ一体となって、端子2に向けて接近離隔移動するようになっている。
【0053】
端子押さえ部材81は、芯線用下金型6上に配設されることになる端子2の一対の芯線圧着片223の各前端部P1の上方位置に配設されている。端子押さえ部材81の先端(下端)面は、端子押さえ部材81の移動方向に沿う壁面領域を備えない面であり、ここでは、端子押さえ部材81の移動方向に対して直交する平坦な面である。この下端面は、端子押さえ部材81が端子2に向けて接近移動された際に、一対の芯線圧着片223の各前端部P1付近における上型面71からはみ出る部分に、上側から当接して、当該部分を上側から押さえ付ける。以下、この下端面を「端子押さえ面811」とも表記する。
【0054】
端子押さえ面811は、端子押さえ部材81の移動方向について、上型面71の最奥部(ただし、傾斜面領域711を除いた部分における最奥部)よりも微少量(例えば、0.1mm程度)だけ上方(芯線用上金型7の基端部側)にずれた位置に形成されている。なお、端子押さえ部材81の幅寸法は、下型面61の幅とほぼ同じ程度の幅に形成されていてもよいし、より大きな幅に形成されていてもよい。
【0055】
芯線押さえ部材82は、芯線用下金型6上に配設されることになる端子2の一対の芯線圧着片223と相手側接続部21との間の隙間の上方位置に配設されている。芯線押さえ部材82の先端(下端)面は、芯線押さえ部材82の移動方向に沿う壁面領域を備えない面であり、ここでは、芯線押さえ部材82の移動方向に対して直交する平坦な面である。この下端面は、芯線押さえ部材82が端子2に向けて接近移動された際に、露出芯線部311のうち一対の芯線圧着片223より突出する先端縁部に、上側から当接して、当該部分を上側から押さえ付ける。以下、この下端面を「芯線押さえ面821」とも表記する。
【0056】
芯線押さえ面821は、芯線押さえ部材82の移動方向について、上型面71の最奥部(ただし、傾斜面領域711を除いた部分における最奥部)の位置と同じ位置に形成されている。なお、芯線押さえ部材82の幅寸法は、下型面61の幅とほぼ同じ程度の幅に形成されていてもよいし、より大きな幅に形成されていてもよい。
【0057】
<被覆用金型9>
被覆用金型9は、芯線用下金型6および芯線用上金型7に対して、圧着対象となる端子2の基端側であって、当該端子2の一対の被覆圧着片222に対応して配設された、被覆用下金型91と被覆用上金型92とを備える。
【0058】
被覆用下金型91は基台50上に取付けられており、被覆用上金型92は、アクチュエータ10により、芯線用上金型7と同期して、被覆用下金型91に対して接近離隔移動可能に設けられている。芯線用下金型6と芯線用上金型7との間で圧着部22を露出芯線部311に圧着する際、被覆用上金型92も被覆用下金型91に対して接近移動して、一対の被覆圧着片222を内側に変形させて当該圧着部22を電線3の被覆部32に圧着させるようになっている。
【0059】
<3.端子付電線1の製造方法>
端子圧着装置5を用いた端子付電線1の製造方法について、図3に加え、図6、図7を参照しながら説明する。図6、図7は、端子付電線1の製造工程の説明図である。
【0060】
まず、芯線用上金型7および被覆用上金型92を、芯線用下金型6および被覆用下金型91から離間させた状態とする。また、端子2および電線3を準備し、端子2の圧着部22を芯線用下金型6および被覆用下金型91上に載置するとともに、圧着部22内に露出芯線部311が配設された状態とする(図3に示される状態)。ただし、この際、圧着部22の底板部221のうち一対の芯線圧着片223の部分が、芯線用下金型6の下型面61上に配設された状態とするとともに、底板部221のうち一対の被覆圧着片222の部分が被覆用下金型91上に配設された状態とする。また、電線3の露出芯線部311を一対の芯線圧着片223の部分に配設された状態とするとともに、被覆部32の端部を一対の被覆圧着片222の部分に配設された状態とする。このとき、上型面71の長手方向の一方の端部(傾斜面領域711が形成された側の端部)が、底板部221に配設された芯線圧着片223の後端部P2と対向した状態となり、他方の端部が、当該芯線圧着片223の前端部P1よりも後方の位置と対向した状態となる。また、端子押さえ面811が、底板部221に配設された芯線圧着片223の前端部P1側の端部部分と対向した状態となり、芯線押さえ面821が、当該芯線圧着片223より突出する露出芯線部311の先端縁部に対向した状態となる。
【0061】
続いて、芯線用上金型7および被覆用上金型92を、芯線用下金型6および被覆用下金型91に接近移動させる(図6および図7に示される状態)。これによって、芯線用下金型6と芯線用上金型7との間で圧着部22(具体的には、芯線圧着片223のかしめ対象部分A)を挟み込んで、一対の芯線圧着片223のかしめ対象部分Aを内向けに変形させて露出芯線部311に圧着する。また、これとともに、被覆用下金型91と被覆用上金型92との間で圧着部22(具体的には、圧着部22のうち一対の被覆圧着片222が設けられた部分)を挟み込んで、一対の被覆圧着片222を内向けに変形させて被覆部32の端部に圧着する。この圧着態様によると、芯線圧着片223の前端部P1付近に圧縮力が付加されないので、連結部23に負荷がかかりにくく、連結部23に変形、損傷等が生じにくい。
【0062】
一方、芯線用上金型7を芯線用下金型6に接近移動させると、芯線用上金型7と同期して押さえ部材8も芯線用下金型6に接近移動される。これによって、端子押さえ部材81の端子押さえ面811が、圧着部22のうち上型面71からはみ出る端部部分、すなわち、一対の芯線圧着片223の各前端部P1付近における上型面71からはみ出る部分を、上側から底板部221に向けて押さえ付けるとともに、芯線押さえ部材82の芯線押さえ面821が、露出芯線部311の先端縁部、すなわち、露出芯線部311のうち一対の芯線圧着片223からはみ出る露出芯線部311の先端縁部を、上側から端子2に向けて押さえ付ける。一対の芯線圧着片223における上型面71からはみ出る部分には上型面71からの圧縮力が付加されないため、当該はみ出る部分は上方に突出してテーパ状に膨らもうとするところ、当該はみ出る部分が端子押さえ面811に上側から押さえ込まれることによって、当該はみ出る部分の突出幅が小さく抑えられる。ただし、ここでは、当該はみ出る部分の側方には圧縮力が付加されないので、連結部23には負荷がかかりにくく、連結部23に変形、損傷等が生じにくい。また、芯線圧着片223に上型面71からの圧縮力が付加されると、圧縮された露出芯線部311が伸びて連結部23の側にはみ出て、当該はみ出た露出芯線部311の先端部が、上方(底板部221から離れる方向)に突出しようとするところ、当該先端部が芯線押さえ面821に上側から押さえ込まれることによって、当該先端部の突出幅が小さく抑えられる。
【0063】
続いて、露出芯線部311と圧着部22との圧着接続部分の表面に、塗布材料を塗布して、被膜部4(図2参照)を形成する。これによって、端子付電線1が得られる。上述したとおり、露出芯線部311と圧着部22との圧着接続部分の表面においては、突出する部分の突出幅が小さく抑えられている(すなわち、凹凸がなるべく小さくされている)。したがって、塗布材料の膜厚が局所的に薄くなることが抑制されている。したがって、ここで形成される被膜部4には部分的に薄い部分が生じにくく、露出芯線部311と圧着部22との圧着接続部分は確実に保護される。
【0064】
<4.効果>
上記の実施の形態においては、一対の芯線圧着片223における上型面71からはみ出る部分を上側から押さえ付ける。したがって、当該はみ出る部分に形成される突出部分の突出幅を、なるべく小さくすることができる。また、上記の実施の形態においては、露出芯線部311のうち一対の芯線圧着片223からはみ出る部分を、端子2に向けて押さえ付ける。したがって、端子2からの露出芯線部311の突出幅をなるべく小さくすることができる。特に、芯線部31としてアルミニウム線又はアルミニウム合金線を用いた場合、芯線圧着片223はより大きな力で圧縮される傾向にあり、露出芯線部311の先端部が大きく伸び出やすいところ、上記の実施の形態によると、芯線部31としてアルミニウム線あるいはアルミニウム合金線が用いられた場合であっても、端子2からの露出芯線部311の突出幅を小さくすることができる。露出芯線部311と圧着部22との圧着接続部分の表面の凹凸が小さくなると、被膜部4が部分的に薄くなることが抑制される。すなわち、被膜部4の保護性能が担保される。
【0065】
また、上記の実施の形態においては、一対の芯線圧着片223における上型面71からはみ出る部分を、芯線用下金型6に向けて移動される端子押さえ部材81の下端面(端子押さえ面811)で上側から押さえ付ける。この構成によると、簡易な構成で、当該はみ出る部分に形成される突出部分の突出幅を確実に小さくすることができる。また、端子押さえ面811は、端子押さえ部材81の移動方向に沿う壁面領域を備えない面であるので、端子押さえ部材81が端子2に向けて接近移動された際に、一対の芯線圧着片223における上型面71からはみ出る部分は、上側からのみ押さえ付けられ、側方には圧縮力が付加されない(フリーの状態とされる)。したがって、当該はみ出る部分が押さえ付けられる際に、芯線圧着片223以外の部分に力が及びにくく、連結部23に変形、損傷等が生じにくい。
【0066】
また、上記の実施の形態においては、端子押さえ部材81の端子押さえ面811が平坦な面であるので、端子押さえ部材81の構成が特に簡易なものとなる。
【0067】
また、上記の実施の形態においては、芯線圧着片223からはみ出る露出芯線部311の部分を、芯線用下金型6に向けて移動される芯線押さえ部材82の下端面(芯線押さえ面821)で上側から押さえ付ける。この構成によると、簡易な構成で、端子2からの露出芯線部311の突出幅を確実に小さくすることができる。
【0068】
さらに、上記の実施の形態においては、端子押さえ面811は、端子押さえ部材81の移動方向について、上型面71の最奥部よりも微少量だけ上方(芯線用上金型7の基端部側)にずれた位置に形成される。また、芯線押さえ面821は、芯線押さえ部材82の移動方向について、上型面71の最奥部と同位置に形成される。したがって、芯線用上金型7およびこれと同期して移動される押さえ部材8が芯線用下金型6と最も近接された状態(図7に示される状態)において、端子押さえ面811が、端子押さえ部材81の移動方向について、上型面71の最奥部の位置(基準位置H)よりも上方(芯線用上金型7の基端部の側)の位置に配置される。また、芯線押さえ面821が、芯線押さえ部材82の移動方向について、基準位置Hと同じ位置に配置される。この構成によると、一対の芯線圧着片223における上型面71からはみ出る部分の上下方向の圧縮率が、一対の芯線圧着片223におけるかしめ対象部分Aの上下方向の圧縮率よりも小さくなるので、芯線圧着片223の前端部P1の角で露出芯線部311が傷つくといった事態が生じにくい。その一方で、露出芯線部311のうち芯線圧着片223からはみ出る部分の突出高さが芯線圧着片223の前端部P1の突出高さよりも低くなり、端子2からの露出芯線部311の突出幅を確実に小さくすることができる。
【0069】
また、上記の実施の形態によると、芯線用上金型7と押さえ部材8とが同期して移動されるので、一対の芯線圧着片223の各かしめ対象部分Aを露出芯線部311に圧着する工程と、一対の芯線圧着片223における上型面71からはみ出る部分を上側から押さえ付ける工程と、露出芯線部311のうち芯線圧着片223からはみ出る部分を上側から押さえ付ける工程とが同時に行われる。この構成によると、端子付電線1を効率的に製造することができる。
【0070】
また、上記の実施の形態によると、芯線用上金型7と押さえ部材8とが一体化されているため、押さえ部材8の変形が抑制され、押さえ部材8の耐久性が向上する。また、芯線用上金型7と押さえ部材8との間にゴミ等が付着することを抑制でき、メンテナンス性にも優れる。
【0071】
また、上記の実施の形態によると、上型面71の長手方向の端部であって、芯線圧着片223の後端部P2と対向することとなる側の端部に傾斜面領域711が形成されている。この構成によると、上型面71からはみ出ない方の芯線圧着片223の端部(後端部P2)部分は、テーパ状に膨らんだ形状に変形される。したがって、芯線圧着片223の後端部P2の角で露出芯線部311が傷つくといった事態が生じにくい。
【0072】
<5.変形例>
上記の実施の形態において、端子押さえ面811は、端子押さえ部材81の移動方向に沿う壁面領域を備えない面(つまり、端子押さえ部材81が端子2に向けて接近移動された際に、端子2の側方には接触せず当該側方をフリー状態としておける形状の面)であることが好ましいが、このような端子押さえ面811は、必ずしも、上述したような、端子押さえ部材81の移動方向に対して直交する平坦な面に限られるものではない。例えば、図8に示すように、端子押さえ面811aは、端子押さえ部材81の移動方向に対して直交する面が、上向きに凸となるなだらかな弧状周面に加工されたものであってもよい。また、図9に示すように、端子押さえ面811bは、端子押さえ部材81の移動方向に対して直交する面が、上向きに凸となる弧状周面を2つ横並びにした形状に加工されたものであってもよい。
【0073】
また、上記の実施の形態においては、押さえ部材8が芯線用上金型7と一体に形成されているとしたが、押さえ部材8と芯線用上金型7とは必ずしも一体に形成される必要はない。例えば、図10に示すように、芯線用上金型70と、押さえ部材80とが別体とされていてもよい。ここでは、押さえ部材80は、上記の実施の形態における、肉厚部分72に対応する部分と押さえ部材8に対応する部分とが一体に形成されたものとなっている。そして、押さえ部材80が、芯線用上金型70と密接状態に重ね合わされている。また、ここでは、芯線用上金型70と押さえ部材80とにそれぞれ位置決用孔701,801が形成されており、芯線用上金型70と押さえ部材80とが重ね合わされた状態で、位置決めピン901が位置決用孔701,801に挿通されることで、芯線用上金型70と押さえ部材80とが一体化され、両者が同期して芯線用下金型6上の端子2に対して接近離隔移動するようになっている。このように、押さえ部材80と芯線用上金型70とを別体に形成すれば、芯線用上金型70に対する押さえ部材80の追加設置、押さえ部材80、あるいは、芯線用上金型70単独の交換等を容易に行えるという利点が得られる。
【0074】
また、芯線用上金型70と押さえ部材80とを別体とし、かつ、両者を別々に(同期させずに)移動させてもよい。例えば、芯線用上金型70と押さえ部材80とを一体化せず、それぞれ別個のアクチュエータに連結してもよい。この場合、まず、芯線用上金型70を芯線用下金型6に接近移動させて一対の芯線圧着片223の各かしめ対象部分Aを変形させて露出芯線部311に圧着した後に、押さえ部材80を芯線用下金型6に接近移動させて、一対の芯線圧着片223における上型面71からはみ出る部分を上側から押さえ付けるとともに、露出芯線部311のうち一対の芯線圧着片223からはみ出る部分を端子2に向けて押さえ付ける、という流れで端子付電線1を製造することができる。
【0075】
ただし、芯線用上金型70と押さえ部材80とを別々に移動させる場合、芯線用上金型70が芯線用下金型6と最も近接された状態における上型面710の溝の最奥部の位置を基準位置Hとして、押さえ部材80が芯線用下金型6と最も近接された状態において、押さえ部材80の移動方向について、端子押さえ面8110が基準位置Hよりも上方(芯線用上金型7の基端部の側)の位置に配置されるとともに、芯線押さえ面8210が基準位置Hと同じ位置に配置されることが好ましい。この構成によると、上述したとおり、芯線圧着片223の前端部P1の角で露出芯線部311が傷つくといった事態が生じにくく、その一方で、端子2からの露出芯線部311の突出幅を確実に小さくすることができる。
【0076】
また、芯線用上金型70と押さえ部材80とを別体とした場合、両者が密接していることは必須ではなく、それぞれの先端部間に隙間があってもよい。ただし、芯線用上金型70と押さえ部材80とが密接状態に重ね合されている方が、芯線用上金型70と押さえ部材80とが変形しにくくなり、また、両者間にゴミ等が挟み込まれ難いという点でメリットがある。
【0077】
また、上記の実施の形態においては、端子押さえ部材81と芯線押さえ部材82とが一体に形成されているとしたが、端子押さえ部材81と芯線押さえ部材82とは必ずしも一体に形成される必要はない。例えば、図11に示すように、芯線用上金型70と端子押さえ部材810とが別体とされるとともに、端子押さえ部材810と芯線押さえ部材820とが別体とされていてもよい。ここでは、芯線押さえ部材820が端子押さえ部材810と密接状態に重ね合わされるとともに、端子押さえ部材810が芯線用上金型70と密接状態に重ね合わされている。また、ここでは、芯線用上金型70、端子押さえ部材810、および芯線押さえ部材820のそれぞれに位置決用孔701,8101,8201が形成されており、芯線用上金型70と端子押さえ部材810が重ね合わされるとともに、端子押さえ部材810と芯線押さえ部材820とが重ね合わされた状態で、位置決めピン901が位置決用孔701,8101,8201に挿通されることで、芯線用上金型70、端子押さえ部材810、および芯線押さえ部材820が一体化され、これらが同期して芯線用下金型6上の端子2に対して接近離隔移動するようになっている。このように、端子押さえ部材810と芯線押さえ部材820とを別体に形成すれば、端子押さえ部材810に対する芯線押さえ部材820の追加設置、端子押さえ部材810、あるいは、芯線押さえ部材820単独の交換等を容易に行えるという利点が得られる。
【0078】
また、端子押さえ部材810と芯線押さえ部材820とを別体とし、かつ、両者を別々に(同期させずに)移動させてもよい。例えば、芯線用上金型70、端子押さえ部材810、および、芯線押さえ部材820のそれぞれを一体化せず、それぞれ別個のアクチュエータに連結してもよい。この場合、まず、芯線用上金型70を芯線用下金型6に接近移動させて一対の芯線圧着片223の各かしめ対象部分Aを変形させて露出芯線部311に圧着し、続いて、端子押さえ部材810を芯線用下金型6に接近移動させて、一対の芯線圧着片223における上型面71からはみ出る部分を上側から押さえ付け、続いて、露出芯線部311のうち一対の芯線圧着片223からはみ出る部分を端子2に向けて押さえ付ける、という流れで端子付電線1を製造することができる。
【0079】
ただし、芯線用上金型70、端子押さえ部材810、および、芯線押さえ部材820のそれぞれを別々に移動させる場合、上述したとおり、端子押さえ部材810が芯線用下金型6と最も近接された状態において、端子押さえ部材810の移動方向について、端子押さえ面8101が上述した基準位置Hよりも上方(芯線用上金型7の基端部の側)の位置に配置されることが好ましい。また、芯線押さえ部材820が芯線用下金型6と最も近接された状態において、芯線押さえ部材820の移動方向について、芯線押さえ面821が基準位置Hと同じ位置に配置されることが好ましい。
【0080】
なお、端子押さえ部材810と芯線押さえ部材820とを別体とした場合、両者が密接していることは必須ではなく、それぞれの先端部間に隙間があってもよい。
【0081】
また、上記の実施の形態においては、端子2は、一対の被覆圧着片222を備える構成としたが、端子2は必ずしも一対の被覆圧着片222を備える必要はない。
【0082】
また、上記の実施の形態においては、端子押さえ面811は、端子押さえ部材81の移動方向について、上型面71の最奥部よりも微少量だけ上方にずれた位置に形成されるとしたが、端子押さえ面811は、芯線圧着片223の端部を押さえ付けることが可能な範囲で、上述した位置よりも上方又は下方にずれていてもよい。
【0083】
また、上記の実施の形態においては、芯線押さえ面821は、芯線押さえ部材82の移動方向について、上型面71の最奥部と同じ位置に形成されるとしたが、芯線押さえ面821は、露出芯線部311の先端縁部を押さえ付けることが可能な範囲で、上述した位置よりも上方又は下方にずれていてもよい。
【0084】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0085】
1 端子付電線
2 端子
22 圧着部
223 芯線圧着片
3 電線
31 芯線
311 露出芯線部
4 被膜部
5 端子圧着装置
6 芯線用下金型
7,70 芯線用上金型
71 上型面
8 押さえ部材
81 端子押さえ部材
82 芯線押さえ部材
8、80 押さえ部材
811,811a,811b 端子押さえ面
81,810 端子押さえ部材
82,820 芯線押さえ部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端部の露出芯線部に端子の圧着部が圧着された端子付電線の製造方法であって、
a)前記圧着部内に前記露出芯線部を配設する工程と、
b)下金型の下型面と上金型の上型面との間で前記圧着部の一部を挟んで、前記圧着部の一部を前記露出芯線部に圧着する工程と、
c)前記上型面からはみ出る前記圧着部の端部部分を上側から押さえ付ける工程と、
を備える、端子付電線の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の端子付電線の製造方法であって、
前記c)工程において、前記下金型に向けて移動される端子押さえ部材の下端面で、前記上型面からはみ出る前記圧着部の端部部分を上側から押さえ付け、
前記端子押さえ部材の下端面が、前記端子押さえ部材の移動方向に沿う壁面領域を備えない面である、
端子付電線の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の端子付電線の製造方法であって、
前記下端面が、前記端子押さえ部材の移動方向に対して直交する平坦な面である、
端子付電線の製造方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の端子付電線の製造方法であって、
前記上型面が、前記上金型の先端部から基端部に向けて切り欠かれた溝状の面であり、
前記上金型が前記下金型と最も近接された状態における前記溝の最奥部の位置を基準位置として、
前記端子押さえ部材が前記下金型と最も近接された状態において、前記端子押さえ部材の下端面が、前記端子押さえ部材の移動方向について、前記基準位置よりも前記基端部の側の位置に配置される、
端子付電線の製造方法。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載の端子付電線の製造方法であって、
前記b)工程において、前記上金型が前記下金型に向けて移動されて前記下金型との間で前記圧着部を挟む際に、前記上金型と同期して移動される前記端子押さえ部材が前記上型面からはみ出る前記圧着部の端部部分を押さえ付けることによって、前記c)工程が行われる、
端子付電線の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の端子付電線の製造方法であって、
前記上金型と前記端子押さえ部材とが一体に形成される、
端子付電線の製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の端子付電線の製造方法であって、
d)前記露出芯線部のうち前記圧着部からはみ出る部分を、前記端子に向けて押さえ付ける工程、
をさらに備える、端子付電線の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の端子付電線の製造方法であって、
前記d)工程において、前記下金型に向けて移動される芯線押さえ部材の下端面で、前記圧着部からはみ出る前記露出芯線部の部分を上側から押さえ付け、
前記芯線押さえ部材の下端面が、前記芯線押さえ部材の移動方向に沿う壁面領域を備えない面である、
端子付電線の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の端子付電線の製造方法であって、
前記上型面が、前記上金型の先端部から基端部に向けて切り欠かれた溝状の面であり、
前記上金型が前記下金型と最も近接された状態における前記溝の最奥部の位置を基準位置として、
前記芯線押さえ部材が前記下金型と最も近接された状態において、前記芯線押さえ部材の下端面が、前記芯線押さえ部材の移動方向について、前記基準位置と同じ位置に配置される、
端子付電線の製造方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の端子付電線の製造方法であって、
前記上型面が、前記上金型の先端部から基端部に向けて切り欠かれた溝状の面であり、
前記上型面における、前記圧着部のうち前記上型面からはみ出ない方の端部部分と対向する端部において、前記溝の最奥部が、端に向かうにつれて前記基端部に向かう方向に傾斜している、
端子付電線の製造方法。
【請求項11】
被覆された芯線部を備える電線と、圧着部において前記電線の端部の露出芯線部に圧着された端子とを備える端子付電線であって、
前記圧着部が、
底板部と、
前記底板部の両側部より延出する長尺片状の芯線圧着片と、
を備え、
前記芯線圧着片における対象部分が、前記露出芯線部を抱持するように圧縮変形されて当該露出芯線部に圧着され、
前記芯線圧着片における前記対象部分を除く端部部分が、上側から前記底板部に向けて押さえ付けられている、
端子付電線。
【請求項12】
電線の端部の露出芯線部に端子の圧着部を圧着する端子圧着装置であって、
前記露出芯線部が配設された前記圧着部を配設可能な下型面を備える下金型と、
前記下型面と対向配置された上型面を備え、前記下金型に向けて移動されることによって、前記下金面と前記上型面との間で前記圧着部の一部を挟んで、前記圧着部の一部を前記露出芯線部に圧着する上金型と、
前記下金型に向けて移動されて、前記上型面からはみ出る前記圧着部の端部部分を上側から押さえ付ける端子押さえ部材と、
を備える端子圧着装置。
【請求項1】
電線の端部の露出芯線部に端子の圧着部が圧着された端子付電線の製造方法であって、
a)前記圧着部内に前記露出芯線部を配設する工程と、
b)下金型の下型面と上金型の上型面との間で前記圧着部の一部を挟んで、前記圧着部の一部を前記露出芯線部に圧着する工程と、
c)前記上型面からはみ出る前記圧着部の端部部分を上側から押さえ付ける工程と、
を備える、端子付電線の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の端子付電線の製造方法であって、
前記c)工程において、前記下金型に向けて移動される端子押さえ部材の下端面で、前記上型面からはみ出る前記圧着部の端部部分を上側から押さえ付け、
前記端子押さえ部材の下端面が、前記端子押さえ部材の移動方向に沿う壁面領域を備えない面である、
端子付電線の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の端子付電線の製造方法であって、
前記下端面が、前記端子押さえ部材の移動方向に対して直交する平坦な面である、
端子付電線の製造方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の端子付電線の製造方法であって、
前記上型面が、前記上金型の先端部から基端部に向けて切り欠かれた溝状の面であり、
前記上金型が前記下金型と最も近接された状態における前記溝の最奥部の位置を基準位置として、
前記端子押さえ部材が前記下金型と最も近接された状態において、前記端子押さえ部材の下端面が、前記端子押さえ部材の移動方向について、前記基準位置よりも前記基端部の側の位置に配置される、
端子付電線の製造方法。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載の端子付電線の製造方法であって、
前記b)工程において、前記上金型が前記下金型に向けて移動されて前記下金型との間で前記圧着部を挟む際に、前記上金型と同期して移動される前記端子押さえ部材が前記上型面からはみ出る前記圧着部の端部部分を押さえ付けることによって、前記c)工程が行われる、
端子付電線の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の端子付電線の製造方法であって、
前記上金型と前記端子押さえ部材とが一体に形成される、
端子付電線の製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の端子付電線の製造方法であって、
d)前記露出芯線部のうち前記圧着部からはみ出る部分を、前記端子に向けて押さえ付ける工程、
をさらに備える、端子付電線の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の端子付電線の製造方法であって、
前記d)工程において、前記下金型に向けて移動される芯線押さえ部材の下端面で、前記圧着部からはみ出る前記露出芯線部の部分を上側から押さえ付け、
前記芯線押さえ部材の下端面が、前記芯線押さえ部材の移動方向に沿う壁面領域を備えない面である、
端子付電線の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の端子付電線の製造方法であって、
前記上型面が、前記上金型の先端部から基端部に向けて切り欠かれた溝状の面であり、
前記上金型が前記下金型と最も近接された状態における前記溝の最奥部の位置を基準位置として、
前記芯線押さえ部材が前記下金型と最も近接された状態において、前記芯線押さえ部材の下端面が、前記芯線押さえ部材の移動方向について、前記基準位置と同じ位置に配置される、
端子付電線の製造方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の端子付電線の製造方法であって、
前記上型面が、前記上金型の先端部から基端部に向けて切り欠かれた溝状の面であり、
前記上型面における、前記圧着部のうち前記上型面からはみ出ない方の端部部分と対向する端部において、前記溝の最奥部が、端に向かうにつれて前記基端部に向かう方向に傾斜している、
端子付電線の製造方法。
【請求項11】
被覆された芯線部を備える電線と、圧着部において前記電線の端部の露出芯線部に圧着された端子とを備える端子付電線であって、
前記圧着部が、
底板部と、
前記底板部の両側部より延出する長尺片状の芯線圧着片と、
を備え、
前記芯線圧着片における対象部分が、前記露出芯線部を抱持するように圧縮変形されて当該露出芯線部に圧着され、
前記芯線圧着片における前記対象部分を除く端部部分が、上側から前記底板部に向けて押さえ付けられている、
端子付電線。
【請求項12】
電線の端部の露出芯線部に端子の圧着部を圧着する端子圧着装置であって、
前記露出芯線部が配設された前記圧着部を配設可能な下型面を備える下金型と、
前記下型面と対向配置された上型面を備え、前記下金型に向けて移動されることによって、前記下金面と前記上型面との間で前記圧着部の一部を挟んで、前記圧着部の一部を前記露出芯線部に圧着する上金型と、
前記下金型に向けて移動されて、前記上型面からはみ出る前記圧着部の端部部分を上側から押さえ付ける端子押さえ部材と、
を備える端子圧着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−89412(P2013−89412A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227954(P2011−227954)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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