説明

端末装置、プログラム

【課題】端末装置における情報保全処理の実行を遠隔操作者が正確かつ効率的に把握することができるシステム、を提供する。
【解決手段】通信回線を介してセンタ装置と通信可能な通信部と記憶媒体への書き込み及び読込みを制御する記憶制御部110とを有する端末装置であって、センタ装置から送信された制御コマンドを受信し、受信した制御コマンドが保全コマンドである場合、記憶媒体に対する保全処理の実行に関する情報を示す処理情報を取得し、取得した処理情報をセンタ装置へ送信し、受信した制御コマンドが保全コマンドである場合、記憶媒体に対して保全処理を実行し、受信した制御コマンドが問合せコマンドである場合、保全処理実行部による保全処理の実行状況を取得し、取得した保全処理の実行状況をセンタ装置へ送信し、保全処理実行部による保全処理の実行が完了した場合、記憶媒体に対する保全処理の実行が完了したことをセンタ装置へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信回線を介してセンタ装置と通信可能な通信部と記憶媒体への書き込み及び読込みを制御する記憶制御部とを有する端末装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体を有する端末装置の普及に伴い、端末装置の盗難や紛失による情報漏えいが問題視されている。
【0003】
特許文献1は、遠隔操作情報に応じた所定の情報保全処理を実行可能とする携帯端末装置に対する情報保全要求時に、該携帯端末装置の所有者であるか否かを本人情報により識別する個人認証処理を行う認証装置と、該認証装置による個人認証が該本人情報と一致した場合に、該携帯端末装置を情報保全処理するための該遠隔操作情報を生成し、該遠隔操作情報を該携帯端末装置に送信処理する管理装置を有する携帯端末装置の情報保全システムが記載されている。これにより、携帯端末装置の盗難や紛失に対して、その所有者が遠隔操作情報により遠隔操作することにより、携帯端末装置の所有者が被害を被ることを排除する所定の情報保全処理が実施され、携帯端末装置の所有者の財産である情報に関わるセキュリティをいっそう高めることができる、とされている。
【特許文献1】特開2006−303817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、盗難や紛失の対象とされる端末装置に対して、遠隔操作により所定の情報保全処理を行なうことにより、端末装置が有する記録媒体からの情報漏洩の危険性をある程度低減させることが可能となっている。
【0005】
しかしながら、従来の技術には、遠隔操作者が意図したとおりに、対象となる端末装置において情報保全処理が完遂されたことを、遠隔操作者が確認することが困難である、という改良すべき点が存在する。
【0006】
端末装置が有する記録媒体に格納された情報を記録媒体から全て消去することが情報保全処理として望ましいが、端末装置が有する記録媒体の記録容量に応じて、端末装置における情報保全処理が完遂するまでに要する時間は異なる。例えば、数十GBの記録容量を有するHDDを記録媒体として搭載する端末装置の場合、記録媒体に格納された情報を全て消去するためには数分間が必要となる。端末装置毎に搭載する記録媒体の記録容量は異なるため、遠隔操作の対象となる端末装置毎に情報保全処理の完遂に要する時間も異なり、遠隔操作者が端末装置における情報保全処理の実行を把握することを困難にさせている。
【0007】
また、蓄電池からの電源供給により動作する携帯性を有した端末装置に対して情報保全処理を実行させる場合、蓄電池からの電源供給が途絶することにより、端末装置は情報保全処理を完遂することができない、という問題が生じる。さらに、遠隔操作者は、端末装置が情報保全処理を完遂したか否かを確認することができない、という問題が生じる。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、端末装置における情報保全処理の実行を遠隔操作者が正確かつ効率的に把握することができるシステム、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に開示する端末装置は、通信回線を介してセンタ装置と通信可能な通信部と記憶媒体への書き込み及び読込みを制御する記憶制御部とを有する端末装置であって、前記センタ装置から送信された制御コマンドを前記通信部を介して受信する、受信部と、前記受信した制御コマンドが、前記記憶媒体に格納された情報の削除を行う保全処理の実行を指示する保全コマンドである場合、前記記憶媒体に対する保全処理の実行に関する情報を示す処理情報を取得する、処理情報取得部と、前記取得した処理情報を、前記センタ装置へ前記通信部を介して送信する、処理情報通知部と、前記受信した制御コマンドが、前記記憶媒体に格納された情報の削除を指示する保全コマンドである場合、前記記憶媒体に対して保全処理を実行する、保全処理実行部と、前記受信した制御コマンドが、前記保全処理実行部による保全処理の実行状況を問い合わせる問合せコマンドである場合、前記保全処理実行部による保全処理の実行状況を取得する、処理状況取得部と、前記取得した保全処理の実行状況を、前記センタ装置へ前記通信部を介して送信する、処理状況通知部と、前記保全処理実行部による保全処理の実行が完了した場合、前記記憶媒体に対する保全処理の実行が完了したことを、前記センタ装置へ送信する、処理完了通知部と、を有する。
【0010】
上記構成により、本願に開示する端末装置は、センタ装置から受信した制御コマンドが保全処理の実行を指示する保全コマンドである場合、記憶媒体に対する保全処理の実行に関する情報を示す処理情報を取得し、取得した処理情報をセンタ装置へ送信する。
【0011】
さらに、端末装置は、センタ装置から受信した制御コマンドが保全処理の実行状況を問合せる問合せコマンドである場合、保全処理の実行状況を取得し、取得した実行状況をセンタ装置へ送信する。
【0012】
さらに、端末装置は、保全処理の実行が完了した場合、記憶媒体への保全処理が完了したことをセンタ装置へ送信する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、端末装置における情報保全処理の実行に関する情報を、遠隔操作者が把握することができる、という優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
1.システムの概要
図1は、本実施例に係る保全処理システムの概要を示す図である。図1において、保全処理システムは、端末装置100、センタ装置200、通信網300、を有する。
【0016】
図1に示す通信網300は、いわゆるキャリア網などのネットワークであって、基地局および地局制御装置などからなる無線アクセスネットワーク、移動交換局、関門移動交換局、およびホームロケーションレジスタなどからなるコアネットワーク、公衆電話網、およびインターネットなどが含まれる。
【0017】
端末装置100とセンタ装置200とは、通信網300を介して互いに接続し通信できる
端末装置100は、例えばPHS端末、携帯電話端末、無線LAN端末、無線通信モジュールを搭載したパーソナルコンピュータなどの情報処理端末、などを用いることができる。
2.端末装置の構成(図2)
図2は、本実施例に係る端末装置の構成を示す図である。図2に示す端末装置は、制御部110、記憶部120、通信部140、操作部150、出力部160、電源部170を有しており、各部は通信線130を介して通信可能に接続されている。
【0018】
制御部110は、通信線130を介して端末装置のハードウェア各部と接続されており、記憶部に格納されたプログラムの手順に従って所定の機能を実現する。例えば、制御部110として、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等を用いることができる。
【0019】
記憶部120は、例えば、主記憶部121と補助記憶部122を有しており、通信線130を介して接続されている制御部110の処理により、補助記憶部122に格納されたプログラムを主記憶部121に読み込み、主記憶部121に読み込んだプログラムが有する命令コード及びデータを制御部110に転送する。
【0020】
主記憶部121として、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を用いることができる。補助記憶部122として、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、SSD(Solid State Disk)を用いることができる。
【0021】
通信部140は、有線又は無線方式により通信網300を介してセンタ装置100と信号を送受信する。
【0022】
操作部150は、利用者の操作を受付ける。操作部150は、利用者の操作に応じた信号を、通信線130を介して制御部110へ出力する。例えば、操作部150として、入力ボタン、タッチパネルを用いることができる。
【0023】
電源部170は、端末装置100の動作に必要な電源の供給を受け、図示しない電力供給先を介して各部へ電源を供給する。また、電源部170は、通信線130を介して接続される制御部110からの指令により、図示しない電力供給先を介した各部への電源の供給量を制御する。なお、本実施例において、電源部170は、外部電源から電源の供給を受ける構成でもよいし、端末装置100が搭載する一次電池又は二次電池から電源の供給を受ける構成でもよい。
3.端末装置のプログラムの構成要素(図17)
図17は、本実施例に係る端末装置において実行するプログラムの構成要素を示す図である。図17に示すプログラムの構成要素は、受信部(PG110)、処理情報取得部(PG120)、処理情報通知部(PG130)、保全処理実行部(PG140)、保全状況取得部(PG150)、保全状況通知部(PG160)、処理完了通知部(PG170)を有する。
【0024】
受信部(PG110)は、センタ装置200から送信された制御コマンドを通信部140を介して受信する構成要素として、制御部110を機能させる。
【0025】
処理情報取得部(PG120)は、受信した制御コマンドが、端末装置100が有する記憶媒体に格納された情報の削除を行う保全処理の実行を指示する保全コマンドである場合、記憶媒体に対する保全処理の実行に関する情報を示す処理情報を取得する構成要素として、制御部110を機能させる。
【0026】
処理情報通知部(PG130)は、取得した処理情報を、センタ装置200へ通信部140を介して送信する構成要素として、制御部110を機能させる。
【0027】
保全処理実行部(PG140)は、受信した制御コマンドが、端末装置100が有する記憶媒体に格納された情報の削除を指示する保全コマンドである場合、記憶媒体に対して保全処理を実行する構成要素として、制御部110を機能させる。
【0028】
保全状況取得部(PG150)は、受信した制御コマンドが、保全処理実行部による保全処理の実行状況を問い合わせる問合せコマンドである場合、保全処理実行部(PG140)による保全処理の実行状況を取得する構成要素として、制御部110を機能させる。
【0029】
保全状況通知部(PG160)は、取得した保全処理の実行状況を、センタ装置200へ通信部140を介して送信する構成要素として、制御部110を機能させる。
【0030】
保全完了通知部(PG17-)は、保全処理実行部(PG140)による保全処理の実行が完了した場合、記憶媒体に対する保全処理の実行が完了したことを、センタ装置200へ送信する構成要素として、制御部110を機能させる。
4.センタ装置の構成(図3)
図3は、本実施例に係るセンタ装置200のハードウェア構成を示す図である。図3に示すセンタ装置200は、制御部210、記憶部220、通信部240、操作部250、出力部260、電源部270を有しており、各部は通信線230を介して通信可能に接続されている。
【0031】
制御部210は、通信線230を介して端末装置のハードウェア各部と接続されており、記憶部220に格納されたプログラムの手順に従って所定の機能を実現する。例えば、制御部210として、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等を用いることができる。
【0032】
センタ装置200のその他の構成は、一般的なパーソナルコンピュータなどと同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
5.センタ装置のプログラムの構成要素(図20)
図20は、本実施例に係るセンタ装置において実行するプログラムの構成要素を示す図である。図20に示すプログラムの構成要素は、保全処理実行指示部(PG210)、処理情報受信部(PG220)、処理情報出力部(PG230)、処理状況問合部(PG240)、処理完了出力部(PG250)を有する。
【0033】
保全処理実行指示部(PG210)は、端末装置に対して保全処理の実行を指示する制御SMS(Short Message Service)を、通信部240を介して端末装置100へ送信する構成要素として、制御部210を機能させる。
【0034】
処理情報受信部(PG220)は、端末装置100における保全処理の実行に関する情報を示す処理情報を有する通知SMSを、通信部240を介して端末装置100から受信する構成要素として、制御部210を機能させる。
【0035】
処理情報出力部(PG230)は、受信した処理情報を出力部260に出力させる構成要素として、制御部210を機能させる。
【0036】
処理状況問合部(PG240)は、端末装置100における保全処理の実行状況を示す処理情報を端末装置100に送信させる制御SMSを、通信部240を介して端末装置100へ送信する構成要素として、制御部210を機能させる。
【0037】
処理完了出力部(PG250)は、端末装置100における保全処理の実行が完了した旨の通知を通信部240を介して端末措置100から受信した場合に、保全処理の実行が完了した旨を出力部260に出力させる構成要素として、制御部210を機能させる。
6.システム全体の通信処理の流れ(図4)
図4は、本実施例に係る端末装置100とセンタ装置200との間で、通信網300を介して行なわれる、通信処理の流れを示す図である。
【0038】
まず、センタ装置200は、端末装置100に対して、保全処理の実行を指示する命令コードを有する制御SMSを送信する(S100)。
【0039】
図13は、制御SMSのデータ構造を示す図である。制御SMSは、送信対象の端末装置を識別する情報などを示すSMSヘッダと、コマンドの種別を示すコマンド種別を有する。
【0040】
この制御SMSの送信処理は、例えば、センタ装置200の操作者が、端末装置100を紛失した旨の連絡を端末装置100の利用者から受け、その紛失した端末装置100が有する記録媒体からの情報漏えいを防止すべく保全処理の実行の依頼をその利用者から受けることにより、実行される。
【0041】
端末装置100は、センタ装置200からの制御SMSを、通信網300を介して受信し、制御SMSの受付を完了した旨のコードを有するAck信号を、センタ装置200へ送信する(S101)。
【0042】
図14は、ACK信号のデータ構造を示す図である。ACK信号は、送信元の端末装置100を識別する情報及びACKであることを示す「SMS ACK」コードと、受付が完了したことを示す「受付完了」コードを有する。
【0043】
端末装置100は、さらに、自端末装置が有するハードウェア構成の情報及び動作状態に基づいて、保全処理に関する動作条件を示す情報を取得し、取得した保全処理に関する動作条件を示す情報に基づいて得られる処理情報を有する通知SMSを、センタ装置200へ送信する(S102)。
【0044】
図15は、通知SMSのデータ構造を示す図である。通知SMSは、送信元の端末装置を識別する情報を示すSMSヘッダと、処理情報を有する。
【0045】
例えば、端末装置は、保全処理の対象となる補助記憶部122の記憶容量、補助記憶部122の型番などのハードウェア構成の情報を処理情報として、通知SMSを送信する。以上の処理により、センタ装置200は、端末装置100が有する保全処理の対象となるハードウェアの構成に関する情報を取得し、端末装置100において実行される保全処理の実行状況を把握することが可能となる。
【0046】
すなわち、保全処理の対象となるハードウェア構成に関する情報に基づいて、保全処理の実行開始から実行完了までの理論的な時間を、把握することが可能となる。
【0047】
保全処理の実行完了までの時間が短いほど、端末装置100が有する記録媒体から情報が漏洩する危険性が低くなるため、保全処理の実行完了までの時間の目安を、保全処理の実行を依頼した利用者へ通知するために把握することは、センタ装置200の操作者にとって重要となる。
【0048】
なお、上述の処理S102において、端末装置100は、ハードウェアの構成に関する情報に基づいて、保全処理の実行開始から実行終了までの理論的な時間を示す予想時間を取得し、取得した予想時間を処理情報として、通知SMSをセンタ装置200へ送信してもよい。
【0049】
センタ装置200は、端末装置からの通知SMSを受信し(S102)、通知SMSが有する処理情報に基づいて端末装置100における保全処理の動作に関する情報を出力する。
【0050】
センタ装置200は、端末装置100における保全処理の実行状況の問合せを示すコードを有する制御SMSを、端末装置100へ送信する(S103)。
【0051】
端末装置100は、センタ装置200からの制御SMSを受信し、保全処理の実行経過を示す処理情報を取得する。例えば、端末装置100は、保全処理の対象となる補助記憶部に対する物理フォーマットの処理を開始してから現在までの経過時間を計測しておき、その計測された経過時間を処理情報として取得する。また、端末装置100は、保全処理の対象となる補助記憶部に対する物理フォーマットの処理が実行された領域の記憶容量を計測し、計測して得た記憶容量を処理情報として取得することもできる。
【0052】
端末装置100は、取得した処理情報を有する通知SMSを、センタ装置200へ送信する(S104)。
【0053】
センタ装置200は、端末装置100からの通知SMSを受信し(S104)、通知SMSが有する処理情報に基づいて、端末装置100における保全処理の実行状況を出力する。
【0054】
センタ装置200は、さらに、端末装置100から受信した通知SMSが有する処理情報が保全処理の完了を示すか否かを判定し、保全処理の完了を示すものでない場合、適当な時間が経過した後、上述の処理S103を実行する。
【0055】
端末装置100は、保全処理の実行が完了した場合、保全処理の実行完了を示すコードを有する通知SMSを、センタ装置200へ送信する(S105)。
【0056】
センタ装置200は、端末装置100からの保全処理の実行完了を示すコードを有する通知SMSを受信することにより、端末装置100における保全処理の実行が完了した旨を出力する。
【0057】
図16は、保全処理の実行が完了した旨の通知SMSのデータ構造を示す図である。保全処理の実行が完了した旨の通知SMSは、送信元の端末装置100を識別する情報を示すSMSヘッダと、保全処理の実行が完了した旨を示す「実行完了」コードを有する。
【0058】
以上の処理により、センタ装置200の操作者は、端末装置100における保全処理の実行が完了したことを把握することが可能となる。
【0059】
保全処理の実行が完了した後は、端末装置100が有する記録媒体には保全処理の対象となる情報が格納されていない状態となるため、端末装置100が有する記録媒体から情報が漏洩することを防止できる。
【0060】
そのため、保全処理の実行が完了したことを、保全処理の実行を依頼した利用者へ通知するために把握することは、センタ装置100の操作者にとって重要となる。以上が、本実施例に係るシステムにおける通信処理の流れである。
7.センタ装置における保全処理の流れ(図11)
図11は、本実施例に係るセンタ装置200における保全処理の流れを示す図である。
【0061】
まず、センタ装置200の制御部210は、保全処理の実行指示を示す保全コマンドを有する制御SMSを、保全処理の対象となる端末装置100へ通信部240を介して送信する(S301)。その後、制御部210は、制御SMSを受信した旨を示すACK信号を、端末装置100から受信する。なお、制御SMSには、端末装置において保全コマンドの正当性を確認させるための認証情報を含ませることができる。
【0062】
制御部210は、制御SMSを送信する際には、保全処理の対象となる端末装置100を識別する情報を、操作部250を介して取得しておくことができる。例えば、制御部210は、図21に示す出力例を構成要素にもつ入力画面を出力部260を介して表示させ、操作部250を介して入力を取得することができる。
【0063】
図21に示す入力画面は、端末番号の入力欄2101、認証情報の入力欄2102、送信実行ボタン2103を有する。
【0064】
端末番号の入力欄2101は、送信対象となる端末装置100を識別する情報として端末番号の入力を受付ける。図21に示す例では、端末番号として「000−0000−0000」が入力されている。
【0065】
認証情報の入力欄2102は、送信対象となる端末装置100において保全コマンドの正当性を確認する際に用いられる情報を示す認証情報の入力を受付ける。図21に示す例では、認証情報として「AAA−AAA−AAA」が入力されている。
【0066】
送信実行ボタン2103は、制御SMSの送信処理を制御部210に実行させる指示の入力を受付ける。
【0067】
つぎに、制御部210は、端末装置100から通知SMSを受信したか否かを判定し(S302)、通信部240を介して通知SMSを端末装置100から受信した場合(S302でYES)、受信した通知SMSが有する処理情報を出力部260を介して表示させる(S303)。
【0068】
図12は、上述の処理S303により表示される画面の内容例を示す図である。図12に示す画面例は、端末番号の表示欄1201、認証情報の表示欄1202、処理情報の表示欄1203を有する。さらに、処理情報の表示欄1203は、動作条件の表示欄1204、進捗状況の表示欄1205を有する。
【0069】
端末番号の表示欄1201には、上述の処理S301において制御SMSを送信した端末装置100を識別する情報としての端末番号が表示される。例えば、表示欄1201には、図21に示す入力画面において入力を受付けた端末番号が表示される。図12に示す例では、端末番号として「000−0000−0000」が表示欄1201に表示されている。
【0070】
認証情報の表示欄1202には、上述の処理S301において制御SMSに含ませた認証情報が表示される。例えば、表示欄1202には、図21に示す入力画面において入力を受付けた認証情報が表示される。図12に示す例では、認証情報として「AAA−AAA−AAA」が表示欄1202に表示されている。
【0071】
処理情報の表示欄1203には、端末装置100から通信部204を介して受信した通知SMSが有する処理情報に基づいて生成された出力内容が表示される。
【0072】
図12に示す例では、処理情報のうち動作条件として「記憶容量:320GB」「型名:BBB−BBB−BBB」「予想時間:300分」「予想完了時刻:20008年9月8日12:35」「電源残量:80%」「動作可能時間:480分」「遂行可能度合:160%(480分/300分)」が表示欄1204に表示されている。
【0073】
表示欄1204に示す記憶容量は、端末装置100において保全処理の対象とされる記憶媒体の記憶容量を示す。図12に示す例では、保全処理の対象とされる記憶媒体の記憶容量が320GB(Giga Byte)であることを示す。
【0074】
表示欄1204に示す型名は、端末装置100において保全処理の対象とされる記憶媒体の型名を示す。図12に示す例では、保全処理の対象とされる記憶媒体の型名が「BBB−BBB−BBB」であることを示す。
【0075】
表示欄1204に示す予想時間は、端末装置100において保全処理の実行に要する理論的な所要時間を示す。図12に示す例では、予想時間が「300分」であることを示す。
【0076】
表示欄1204に示す予想完了時刻は、端末装置100における保全処理の実行が完了する時刻として予想される時刻を示す。例えば、上述の予想時間に示される数値を、通知SMSが有するSMSヘッダに示される送信時刻と加算することにより、予想完了時刻に表示する時刻情報を得ることができる。図12に示す例では、予想完了時刻が「2008年9月8日12:35」であることを示す。
【0077】
表示欄1204に示す電源残量は、保全処理を実行する際の端末装置100において検出された電源残量の値を示す。図12に示す例では、電源残量として「80%」であることを示す。すなわち、図12に示す例では、端末装置100に接続される電源の最大容量の20%は既に消費されており、電源の最大容量の80%が利用可能であることを示している。
【0078】
表示欄1204に示す動作可能時間は、上述の電源残量に基づいて端末装置100において保全処理の実行が可能な動作時間を示す。例えば、上述の電源残量に対して、端末装置100において保全処理を実行する際に消費される単位時間当たりの消費電力を除算等することにより、動作可能時間に表示する時間情報を取得することができる。図12に示す例では、動作可能時間が「480分」であることを示す。
【0079】
表示欄1204に示す遂行可能度合は、上述の動作可能時間に対する上述の予想時間が占める割合を示す。すなわち、端末装置100において検出された電源残量に基づいて、端末装置100において保全処理がどの程度実行されるかについての度合を示す。図12に示す例では、遂行可能度合が「160%」である旨、その根拠として動作可能時間に対して予想時間を除算する式「480分/300分」が示されている。なお、処理情報のうち進捗状況の表示欄1205については、後述する。
【0080】
次に、制御部210は、上述の処理S302において通信部240を介して受信した通知SMSが実行完了を示すか否かを判定し(S304)、実行完了を示す通知SMSである場合(S304)、その旨を出力部260を介して表示させ(S305)、本実施例に係る保全処理を終了する。
【0081】
一方、上述の処理S304において通知SMSが通知完了を示すものでないと判定した場合(S304でNO)、所定時間が経過した後(S306でYES)、制御部210は、保全処理の実行状況を示す通知SMSを端末装置100に送信させるコマンドを有する制御SMSを、端末装置100へ通信部240を介して送信する(S307)。その後、制御部210は、上述の処理S302からの処理手順を実行する。
【0082】
すなわち、制御部210は、上述の処理S307において制御SMSを送信した後、端末装置から通信部240を介して受信した通知SMSが有する処理情報に基づいて生成された出力内容を、出力部260を介して表示させる。
【0083】
図12に示す例では、処理情報のうち進捗状況として「消去済み容量:50%(160GB/320GB)」「経過時間:150分」「電源残量:40分」「動作可能時間:240分」「遂行可能度合:160%(240分/150分)」「最終通知時刻:2008年9月8日10:05」が表示欄1205に表示されている。
【0084】
表示欄1205に示す消去済み容量は、端末装置100における保全処理により消去された記憶媒体の記憶容量を示す。図12に示す例では、消去済み容量として「160GB」が示され、記憶媒体が有する全体の記憶容量として「320GB」が示され、全体の記憶容量に対する消去済みの記憶容量の割合として「50%」が示されている。
【0085】
表示欄1205に示す経過時間は、端末装置100において保全処理の実行が開始された時刻からの経過時間を示す。図12に示す例では、経過時間として「150分」が示されている。
【0086】
表示欄1205に示す電源残量は、通知SMSを送信する際に端末装置100において検出された電源残量を示す。図12に示す例では、電源残量として「40%」であることが示されている。すなわち、図12に示す例では、端末装置100に接続される電源の最大容量の60%は既に消費されており、電源の最大容量の40%が利用可能であることを示している。
【0087】
表示欄1205に示す動作可能時間は、上述の表示欄1205に示す電源残量に基づいて端末装置100において保全処理の実行が可能な動作時間を示す。例えば、上述の表示欄1205に示す電源残量に対して、端末装置100において保全処理を実行する際に消費される単位時間当たりの消費電力を除算等することにより、動作可能時間に表示する時間情報を取得することができる。図12に示す例では、動作可能時間として「480分」が表示欄1205に示されている。
【0088】
表示欄1205に示す遂行可能度合は、上述の表示欄1205に示す動作可能時間に対する予想時間の残り時間が占める割合を示す。すなわち、端末装置100において検出された電源残量に基づいて、端末装置100において保全処理がどの程度実行されるかについての度合を示す。図12に示す例では、遂行可能度合が「160%」である旨、その根拠として動作可能時間に対して予想時間の残り時間を除算する式「240分/150分」が、表示欄1205に示されている。なお、予想時間の残り時間は、上述の表示欄1204に示される予想時間から上述の表示欄1205に示される経過時間を減算することにより取得できる。
【0089】
表示欄1205に示す最終通知時刻は、通信部240を介して端末装置100から受信した通知SMSが有するSMSヘッダに示される送信時刻を示す。図12に示す例では、最終通知時刻として「2008年9月8日10:05」が示されている。以上が、センタ装置200における保全処理の流れである。
8.端末装置における保全処理の流れ(図5)
図5は、本実施例に係る端末装置100における保全処理の流れを示す図である。
【0090】
まず、端末装置100の制御部110は、保全処理の実行指示などを示すコマンドの受信を待つ(S200)。すなわち、制御部110は、センタ装置200から制御SMSを受信したか否かを判定する(S200)。
【0091】
制御部110は、センタ装置200から制御SMSを受信したと判定した場合(S200でYES)、制御SMSを受信した旨のACK信号を、通信部140を介して、センタ装置200へ送信する(S201)。
【0092】
一方、制御部110は、センタ装置200から制御SMSを受信していないと判定した場合(S200でNO)、端末装置100が保全状態であるか否かを判定する(S212)。
【0093】
制御部110は、端末装置100の動作状態が保全状態ではないと判定した場合(S212でNO)、上述の処理S220からの処理手順を再度実行する。すなわち、端末装置100において保全処置が実行されていない動作状態の場合、制御部110は、上述の処理200と処理S212を適当なタイミングで繰り返し実行することになる。
【0094】
制御部110は、上述の処理S201においてAck信号をセンタ装置200へ送信した後、さらに、受信した制御SMSが有するコマンドが有効な保全コマンドであるか否かを判定する(S202)。
【0095】
例えば、センタ装置200から受信したSMSが有する識別情報を、端末装置100が予め格納している識別情報と比較して、一致するか否かを判定した結果に基づいて、有効性を判定することが可能である。
【0096】
制御部110は、有効な保全コマンドであると判定した場合(S202でYES)、端末装置100の動作状態を取得し、既に保全処理を実行している保全状態であるか否かを判定する(S203)。
【0097】
制御部110は、端末装置100の動作状態が保全状態ではないと判定した場合(S203でYES)、端末装置100の処理情報を取得し(S204)、取得した処理情報を有する通知SMSをセンタ装置200へ送信する(S205)。
【0098】
例えば、端末装置100が有する補助記憶部122の記憶容量、型番などのハードウェア情報を保全処理の動作条件として取得し、取得したハードウェア情報を処理情報とすることができる。なお、補助記憶部122の記憶容量、型番などのハードウェア情報は、補助記憶部122の内部に有するレジストリに格納させておき、制御部110が通信線130を介して補助記憶部122の内部に有するレジストリを参照することにより、ハードウェア情報を取得する構成としても良い。
【0099】
あるいは、制御部110は、取得したハードウェア情報に基づいて、保全処理の動作に必要な処理時間の理論値を示す予想時間を、処理情報として取得してもよい。
【0100】
例えば、補助記憶部の応答速度と補助記憶部の記憶容量とに基づいて、補助記憶部に対する物理フォーマットの実行開始から実行完了までの動作に必要な処理時間の理論値を取得することができる。なお、補助記憶部122の応答速度は、上述の補助記憶部122の内部に有するレジストリに格納させたハードウェア情報として取得しても良いし、補助記憶部122への書込み処理等を実行した際の単位時間当たりの書込み速度等を計測して取得しても良い。
【0101】
つぎに、制御部110は、保全処理を開始する(S206)。例えば、制御部110は、補助記憶部122に対して物理フォーマットの処理を開始し、端末装置100の動作状態を保全状態に遷移させる。保全状態とは、例えば、端末装置100の操作部150からの信号の入力を無効化する状態をいう。
【0102】
一方、上述の処理S202において、受信した制御SMSが有するコマンドが有効な保全コマンドでないと判定した場合(S202でNO)、制御部110は、受信したコマンドが経過問い合わせコマンドであるか否かを判定する(S209)。
【0103】
経過問い合わせコマンドであると判定された場合(S209でYES)、制御部110は、保全処理の実行状況を取得し(S210)、取得した処理状況を処理情報として、通知SMSをセンタ装置200へ送信する(S211)。
【0104】
なお、上述の処理S203において端末装置100の動作状態が保全状態であると判定された場合(S203でNO)、制御部110は、上述の処理S210及び処理S211を実行する。
【0105】
これは、保全処理の実行指示を示すコマンドを有する制御SMSが重複して受信された場合に、既に保全処理が実行中であることを通知するだけでなく、処理実行の進捗状況をセンタ装置200へ通知することにより、センタ装置200からの経過問合せコマンドの送信を省略させるための措置である。以上の処理により、センタ装置200と端末装置100との間で行なわれる通信処理の効率化を図ることができる。
【0106】
制御部110は、上述の処理S206又は処理S211を実行した後、又は処理S212において端末装置100の動作状態が保全状態であると判定した後、保全処理の実行が完了したか否かを判定する(S207)。制御部110は、保全処理の実行が完了したと判定された場合(S207でYES)、保全処理の結果を示すコードを有する通知SMSをセンタ装置200へ送信する(S208)。
【0107】
一方、保全処理の実行が完了していないと判定された場合(S207でNO)、制御部110は、上述の処理S200からの処理手順を再度実行する。すなわち、上述の処理S200において制御SMSを受信していないと判定した場合(S200でNO)、制御部110は、上述の処理S212において端末装置100の動作状態が保全状態であると判定し(S212でYES)、上述の処理S207の判定処理を実行することになる。
【0108】
なお、上述の処理S209において経過問い合わせコマンドでないと判定された場合(S209でNO)、上述の処理S212における判定処理が実行される。すなわち、受信した制御SMSが有するコマンドは本実施例に係る保全処置に関係するコマンドでは無いと判定され、上述の処理S200において制御SMSを受信していないと判定された場合と同様の処理が実行される。以上が、本実施例に係る端末装置100における保全処理の流れである。
【実施例2】
【0109】
1.システムの概要
本実施例に係るシステムの構成は、上述の実施例1と同様であるため、説明を省略する。
2.端末装置の構成(図6)
図6は、本実施例に係る端末装置の構成を示す図である。図6に示す端末装置は、実施例1に示すハードウェア構成の他に、残量検出部180を有している。なお、本実施例における電源部170は、端末装置100の動作に必要な電源の供給を、端末装置に接続される一次電池又は二次電池から受ける構成を有する。残量検出部180は、電源部170へ電源を供給する一次電池又は二次電池の残量を検出し、検出した残量を制御部110へ通信線130を介して転送する。その他の構成については、実施例1に示すハードウェア構成と同様のため、説明を省略する。
3.端末装置のプログラムの構成(図18)
図18は、本実施例に係る端末装置において実行するプログラムの構成要素を示す図である。図18に示すプログラムの構成要素は、上述の実施例1に示すプログラムの構成要素(図17)と同様の構成に対して、同一の参照符号を付している。図18に示すプログラムの構成要素は、例えば、電源残量検出(PG180)、第一の判定部(PG190)が追加されている点で、図17に示す実施例1のプログラムの構成要素と相違する。
【0110】
本実施例において追加されている、電源残量検出部(PG180)は、電源部170に電源を供給する一次電池又は二次電池の電源残量を検出する残量検出部180により検出された残量を取得する構成要素として、制御部110を機能させる。
【0111】
また、第一の判定部(PG190)は、電源残量検出部により検出された電源残量を第一の閾値と比較し、電源残量が第一の閾値を超えるか否かを判定する構成要素として、制御部110を機能させる。
【0112】
ここで、第一の閾値は、例えば、上述の処理状況通知部(PG160)により保全処理の実行状況をセンタ装置200へ通信部140を介して送信する際に端末装置において消費される電力に対応付けて設定することができる。
【0113】
そのほかの構成については、上述の実施例1と同様であるため、説明を省略する。
4.システム全体の通信処理の流れ(図7)
図7は、本実施例に係る端末装置とセンタ装置との間で、通信回線及び中継装置を介して行なわれる、通信処理の流れを示す図である。図7に示す通信処理の流れは、処理S102において、通知SMSが有する処理情報として残量検出部180で検出した残量を有する点で、実施例1に示す通信処理の流れと相違する。以上の処理により、センタ装置200は、端末装置における保全処理の実行が完了するまで動作可能な状態を端末装置が維持すことが出来るか否か、を把握することが可能となる。
【0114】
なお、本実施例における処理S102において、端末装置100は、残量検出部180により検出した残量と、ハードウェアの構成に関する情報に基づいて取得した保全処理の実行開始から実行終了までの理論的な時間を示す予想時間と、を用いて保全処理の実行完了の可能性を示す度合いを、処理情報として取得する構成としても良い。
【0115】
例えば、保全処理の実行に必要な単位時間当たりの消費電力の理論値を端末装置100の記憶部120に予め格納しておくことにより、端末装置100の制御部110は、残量検出部180により検出した残量と消費電力の理論値とを用いて、端末装置100が動作可能な理論的な時間を示す動作可能時間を取得することが可能である。
【0116】
本実施例に係る端末装置100は、このようにして取得した端末装置100が動作可能な理論的な時間を示す動作可能時間を、上述の保全処理の実行完了の可能性を示す度合いとして、通知SMSに含ませて送信しても良い。
【0117】
また、端末装置100は、このようにして取得した動作可能時間と、端末が有するハードウェア構成に関する情報に基づいて取得した保全処理の実行開始から実行終了までの理論的な時間を示す予想時間と、を用いて上述の保全処理の実行完了の可能性を示す度合いを取得し、取得した度合いを通知SMSに含ませて送信しても良い。
【0118】
例えば、端末装置100は、予想時間のうち動作可能時間が占める割合を保全処理の実行完了の可能性を示す度合いとして取得しても良いし、予想時間と動作可能時間との差分を保全処理の実行完了の可能性を示す度合いとして取得しても良い。
5.端末装置における保全処理の流れ(図8、図9)
図8及び図9は、本実施例に係る端末装置100における保全処理の流れを示す図である。 図8及び図9に示す端末装置100における保全処理の流れは、図5に示す実施例1の処理手順と同じ内容となる処理手順に対して、同一の参照符号を付している。図8及び図9に示す処理手順は、例えば、処理S212及び処理S213が追加されている点で、図5に示す実施例1の処理手順と相違する。そこで、説明の簡略化のため、同じ内容となる処理手順については部分的に説明を省略する。
【0119】
本実施例において、制御部110は、センタ装置200から有効な保全コマンドを有する制御SMSを受信した場合(S200乃至S202)、上述のように、処理情報を取得する(S203)。
【0120】
制御部110は、例えば、ハードウェア構成に関する情報に基づいて取得される予想時間と、残量検出部180により検出される残量に基づいて取得される動作可能時間と、を処理情報として取得する(S203)。
【0121】
制御部110は、取得した処理情報を有する通知SMSをセンタ装置200へ送信し(S204)、保全処理を開始する(S205)。
【0122】
また、制御部110は、センタ装置200から経過問い合わせコマンドを有する制御SMSを受信した場合(S200、S201、S208)、上述のように端末装置100において実行されている保全処理の処理状況を取得する(S209)。
【0123】
例えば、端末装置100において保全処理の実行を開始してから現在までの経過時間、保全処理の実行により物理フォーマットされた補助記憶部122の記憶容量、補助記憶部122の記憶容量のうち保全処理の実行が未実施の記憶容量などを処理状況として取得する。
【0124】
制御部110は、取得した処理状況を有する通知SMSをセンタ装置200へ送信する(S210)。
【0125】
制御部110は、上述の処理S205又は処理S206又は処理S211を実行した後、保全処理の実行がまだ完了していないと判定した場合(S206でNO)、残量検出部180により検出される電源の残量を取得する。
【0126】
制御部110は、取得した残量を所定の閾値(第一の閾値)と比較することにより、検出された電源残量に基づいて保全処理の遂行が可能であるか否かを判定する(S212)。
【0127】
ここで、上述の第一の閾値は、例えば、センタ装置200への通知SMSの送信に必要な電力に対応付けて予め設定しておくことができる。
【0128】
制御部110は、電源残量が第一の閾値を超えない、すなわち、検出された電源残量に基づいて保全処理の遂行が可能でないと判定した場合(S212でNO)、上述の処理S209と同様に端末装置において実行されている保全処理の処理状況を取得し(S213)、取得した処理状況を有する通知SMSをセンタ装置200へ送信する(S207)。
【0129】
以上の処理により、端末装置100において動作を維持するために必要な電源を消費し尽くしてしまう直前に、保全処理の処理状況をセンタ装置200へ通知することが可能となる。すなわち、センタ装置200は、端末装置100において実行された保全処理のより正確な処理状況を把握することが可能となる。
【0130】
なお、上述の処理S212において、電源残量に基づいて保全処理の遂行が可能であると判定された場合(S212でYES)、制御部110は、上述の処理S200からの処理手順を再度実行する。以上が、本実施例に係る端末装置100における保全処理の流れである。
【実施例3】
【0131】
1.端末装置のプログラムの構成要素(図19)
図19は、本実施例に係る端末装置において実行するプログラムの構成要素を示す図である。図19に示すプログラムの構成要素は、上述の実施例2に示すプログラムの構成要素(図18参照)と同様の構成に対して、同一の参照符号を付している。図19に示すプログラムの構成要素は、例えば、第二の判定部(PG200)、電源制御部(PG200)が追加されている点で、図18に示す実施例2のプログラムの構成要素と相違する。
【0132】
本実施例において追加されている、第二の判定部(PG200)は、残量検出部(PG180)により検出された電源残量を、上述の第一の閾値とは異なる値に設定された第二の閾値と比較し、電源残量が第二の閾値を超えるか否かを判定する機能部として、制御部110を機能させる。
【0133】
また、電源制御部(PG210)は、上述の第二の判定部(PG200)における判定処理において、電源残量が第二の閾値を超えないと判定された場合、通信部140への電源供給を制限する信号を通信線130を介して電源部170へ送信する機能部として、制御部110を機能させる。そのほかの構成については、上述の実施例2と同様であるため、説明を省略する。
2.端末装置における保全処理の流れ(図8、図10)
図8及び図10は、本実施例に係る端末装置100における保全処理の流れを示す図である。なお、本実施例において、システムの構成、端末装置100及びセンタ装置200の構成、端末装置100とセンタ装置200との通信処理の流れは、上述の実施例2と同様のため、説明を省略する。図8に示す端末装置100における保全処理の流れは、上述の実施例2と同様のため、説明を省略する。
【0134】
図10に示す端末装置100における保全処理の流れは、図5に示す実施例1の処理手順及び図9に示す実施例2の処理手順と同じ内容となる処理手順に対して、同一の参照符号を付している。図10に示す処理手順は、例えば、処理S214、処理S215、処理S216、S217が追加されている点で、図9に示す実施例2の処理手順と相違する。そこで、説明の簡略化のため、同じ内容となる処理手順については部分的に説明を省略する。
【0135】
本実施例において、制御部110は、センタ装置200から受信した保全コマンドに基づいて開始させた保全処理の実行が完了していないと判定した場合(処理S206でNO)、上述の実施例2と同様に、残量検出部180により検出された電源残量を第一の閾値と比較する(S212)。ここで、第一の閾値は、例えば、センタ装置200への通知SMSの送信に必要な電力に対応付けて予め設定しておくことができる。
【0136】
制御部110は、電源残量が第一の閾値を超えない、すなわち、検出された電源残量に基づいて保全処理の遂行が可能でないと判定した場合(S212でNO)、上述の処理S209と同様に端末装置100において実行されている保全処理の処理状況を取得し(S213)、取得した処理状況を有する通知SMSをセンタ装置200へ送信する(S207)。
【0137】
以上の処理により、端末装置100において動作を維持するために必要な電源を消費し尽くしてしまう直前に、保全処理の処理状況をセンタ装置200へ通知することが可能となる。
【0138】
制御部110は、上述の処理S212において、電源残量が第一の閾値を越えると判定した場合(S212でYES)、電源残量を第二の閾値と比較する(S214)。
【0139】
ここで、第二の閾値は、例えば、端末装置100において保全処理の対象となる記憶部に対して物理フォーマットを実行するために必要な消費電力に対応付けて予め設定しておくことができる。第二の閾値は、第一の閾値が対応付けて設定した消費電力よりも多い消費電力に対応付けて設定することがより好適である。すなわち、「第一の閾値<第二の閾値」の関係が成立するように、各閾値を設定することがより好適である。
【0140】
制御部110は、上述の処理S214において、電源残量が第二の閾値を超えないと判定した場合(S214でNO)、上述の処理S213と同様に端末装置100において実行されている保全処理の処理状況を取得し(S215)、取得した処理状況及び節電モードに移行する旨のコードを有する通知SMSをセンタ装置200へ通信部140を介して送信する(S216)。
【0141】
以上の処理により、端末装置100における保全処理の最新の実行状況を、センタ装置200へ通知することができる。さらに、センタ装置200は、端末装置100へ送信した制御SMSに対する応答が端末装置100から受信できなかった場合に、その理由が、端末装置100が節電モードに移行したためであることを把握できる。
【0142】
制御部110は、センタ装置200へ通知SMSを送信した後、通信部140への電力の供給量を制限する節電モードへ動作状態を移行させる指示を電源部170へ送信し、上述の処理S206からの処理手順を実行する。制御部110からの指令を受けた電源部170は、例えば、通信部140への電力の供給を遮断する。
【0143】
以上の処理により、制御SMSの受信の有無を確認するために通信部140において消費されていた電力を節約でき、端末装置100における保全処理の実行完了までの動作に必要な電力を確保できる。
【0144】
一方、上述の処理S214において、電源残量が第二の閾値を超えると判定された場合(S214でYES)、上述の処理S200からの処理手順が再度実行される。
【0145】
以上の処理により、保全処理の実行に必要な最低限の消費電力の確保と、センタ装置200からの経過問合せに対する処理状況の通知による利便性の確保と、を両立させることができる。なお、上述の処理手順は、処理S214における第二の閾値との判定を行なった後に、処理S212における第一の閾値との判定を行なう構成としてもよい。
【0146】
また、上述の処理手順において、通知SMSをセンタ装置200へ送信する際に端末装置100の動作状態が節電モードである場合、制御部110は、通知SMSを送信するために通信部140への電力の供給を電源部170に行なわせ、通知SMSの送信が完了した後に通信部140への電力の供給を制限させる指令を電源部170へ送信する。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】実施例1に係るシステムの構成を示す図
【図2】実施例1に係る端末装置の構成を示す図
【図3】実施例1に係るセンタ装置の構成を示す図
【図4】実施例1に係る端末装置とセンタ装置との通信処理の流れを示す図
【図5】実施例1に係る端末装置における保全処理の流れを示す図
【図6】実施例2に係る端末装置の構成を示す図
【図7】実施例2に係る端末装置とセンタ装置との通信処理の流れを示す図
【図8】実施例2及び実施例3に係る端末装置における保全処理の流れを示す図
【図9】実施例2に係る端末装置における保全処理の流れを示す図
【図10】実施例3に係る端末装置における保全処理の流れを示す図
【図11】センタ装置における処理の流れを示す図
【図12】センタ装置における出力内容の例を示す図
【図13】制御SMSのデータ構造を示す図
【図14】ACK信号のデータ構造を示す図
【図15】通知SMS(処理情報)のデータ構造を示す図
【図16】通知SMS(処理完了)のデータ構造を示す図
【図17】実施例1に係る端末装置において実行されるプログラムの構成要素を示す図
【図18】実施例2に係る端末装置において実行されるプログラムの構成要素を示す図
【図19】実施例3に係る端末装置において実行されるプログラムの構成要素を示す図
【図20】センタ装置において実行されるプログラムの構成要素を示す図
【図21】センタ装置における出力内容の例を示す図(その2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を介してセンタ装置と通信可能な通信部と記憶媒体への書き込み及び読込みを制御する記憶制御部とを有する端末装置であって、
前記センタ装置から送信された制御コマンドを前記通信部を介して受信する、受信部と、
前記受信した制御コマンドが、前記記憶媒体に格納された情報の削除を行う保全処理の実行を指示する保全コマンドである場合、前記記憶媒体に対する保全処理の実行に関する情報を示す処理情報を取得する、処理情報取得部と、
前記取得した処理情報を、前記センタ装置へ前記通信部を介して送信する、処理情報通知部と、
前記受信した制御コマンドが、前記記憶媒体に格納された情報の削除を指示する保全コマンドである場合、前記記憶媒体に対して保全処理を実行する、保全処理実行部と、
前記受信した制御コマンドが、前記保全処理実行部による保全処理の実行状況を問い合わせる問合せコマンドである場合、前記保全処理実行部による保全処理の実行状況を取得する、処理状況取得部と、
前記取得した保全処理の実行状況を、前記センタ装置へ前記通信部を介して送信する、処理状況通知部と、
前記保全処理実行部による保全処理の実行が完了した場合、前記記憶媒体に対する保全処理の実行が完了したことを、前記センタ装置へ送信する、処理完了通知部と、
を有する端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の端末装置であって、
前記処理情報取得部は、前記処理情報として、前記記憶媒体の記憶容量と、前記記憶媒体の型名と、前記記憶媒体に対する物理フォーマットの処理に要する理論的な所要時間と、の少なくともいずれかを取得する、端末装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の端末装置であって、
前記端末装置に接続される一次電池又は二次電池から電源の供給を受け、前記端末装置の各構成に電力を供給する、電源部と、
前記電源部に電源を供給する前記一次電池又は二次電池の電源残量を検出する、電源残量検出部と、
前記検出された電源残量を第一の閾値と比較し、前記電源残量が第一の閾値を超えるか否かを判定する、第一の判定部と、
を有し、
前記処理状況通知部は、前記判定において前記電源残量が第一の閾値を超えないと判定された場合、前記処理状況取得部により保全処理の実行状況を取得し、取得した実行状況を、前記センタ装置へ前記通信部を介して送信する、端末装置。
【請求項4】
請求項3に記載の端末装置であって、
前記残量検出部により検出された電源残量を、前記第一の閾値とは異なる値に設定された第二の閾値と比較し、前記電源残量が第二の閾値を超えるか否かを判定する、第二の判定部と、
前記判定において前記電源残量が第二の閾値を超えないと判定された場合、前記通信部への電源供給を制限する、電源制御部と、
を有する端末装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の端末装置であって、
前記第一の閾値は、前記処理実行状況通知部により前記保全処理の実行状況を前記センタ装置へ前記通信部を介して送信する際に前記端末装置において消費される電力に対応付けて設定される、端末装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の端末装置であって、
前記第二の閾値は、前記記憶媒体に対する保全処理の実行完了までに前記端末装置において消費される電力に対応付けて設定される、端末装置。
【請求項7】
通信回線を介してセンタ装置と通信可能な通信部と記憶媒体への書き込み及び読込みを制御する記憶制御部とを有する端末装置において用いられるプログラムであって、
前記端末装置を、
前記センタ装置から送信された制御コマンドを前記通信部を介して受信する、受信部と、
前記受信した制御コマンドが、前記記憶媒体に格納された情報の削除を行う保全処理の実行を指示する保全コマンドである場合、前記記憶媒体に対する保全処理の実行に関する情報を示す処理情報を取得する、処理情報取得部と、
前記取得した処理情報を、前記センタ装置へ前記通信部を介して送信する、処理情報通知部と、
前記受信した制御コマンドが、前記記憶媒体に格納された情報の削除を指示する保全コマンドである場合、前記記憶媒体に対して保全処理を実行する、保全処理実行部と、
前記受信した制御コマンドが、前記保全処理実行部による保全処理の実行状況を問い合わせる問合せコマンドである場合、前記保全処理実行部による保全処理の実行状況を取得する、処理状況取得部と、
前記取得した保全処理の実行状況を、前記センタ装置へ前記通信部を介して送信する、処理状況通知部と、
前記保全処理実行部による保全処理の実行が完了した場合、前記記憶媒体に対する保全処理の実行が完了したことを、前記センタ装置へ送信する、処理完了通知部、
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−81097(P2010−81097A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244799(P2008−244799)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】