説明

端末装置及びプログラム

【課題】端末装置の加速度情報に基づく使用状況に応じて省電力モードへの電源制御を行うことである。
【解決手段】ハンディターミナル10の加速度を検知して加速度情報を取得する加速度センサ21と、加速度センサ21により取得された加速度情報を記憶するフラッシュメモリ17と、通常の電力供給を行う通常電力モードと、必要な構成要素のみに電力供給を行う省電力モードとを切替制御する電源制御部20と、時間情報を計時する計時部19と、前記記憶された加速度情報に基づいて、前記通常電力モードから前記省電力モードへの切替時間を設定し、計時部19により計時される時間情報が前記切替時間を経過した際に電源制御部20により前記省電力モードへ切替制御させるCPU11と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンディターミナル、携帯電話機等の端末装置において、電源オンの状態で操作を行わずに所定時間経つと省電力モードに自動的に移行する省電力機能を有するものがあった。
【0003】
また、携帯電話機が加速度センサを備え、加速度センサによりユーザが携帯電話機の画面を見る物理的挙動を検出し、その検出結果に応じて省電力モードへの移行又は省電力モードからの復帰を制御する構成が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−80219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の構成では、加速度センサから得られる加速度から端末装置の姿勢を検知するものであった。このため、端末装置の使用状況に応じて電源を通常電力モードから省電力モードへ切替制御を行うことができなかった。
【0005】
本発明の課題は、端末装置の使用状況に応じて省電力モードへの電源制御を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明の端末装置は、自装置の加速度を検知して加速度情報を取得する加速度検知手段と、前記加速度検知手段により取得された加速度情報を記憶する記憶手段と、通常の電力供給を行う通常電力モードと、必要な構成要素のみに電力供給を行う省電力モードとを切替制御する電源制御手段と、時間情報を計時する計時手段と、前記記憶された加速度情報に基づいて、前記通常電力モードから前記省電力モードへの切替時間を設定し、前記計時手段により計時される時間情報が前記切替時間を経過した際に前記電源制御手段により前記省電力モードへ切替制御させる制御手段と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の端末装置において、前記記憶手段は、前記加速度情報に、前記計時手段により計時された月又は曜日又は時間帯情報を対応付けて記憶し、前記制御手段は、前記月又は曜日又は時間帯に基づいて設定された前記切替時間の経過に応じて前記電源制御手段により前記省電力モードへ切替制御させる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の端末装置において、自装置の位置を検出し位置情報を取得する位置検出手段を備え、前記記憶手段は、前記加速度情報に、前記位置検出手段により取得された位置情報を対応付けて記憶し、前記制御手段は、前記位置情報に基づいて設定された前記切替時間の経過に応じて前記電源制御手段により前記省電力モードへ切替制御を行う。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の端末装置において、前記制御手段は、前記加速度情報を所定時間間隔で取得し、当該取得された加速度情報の平均値を算出し、当該算出された加速度情報の平均値の最大値及び最小値から閾値を算出し、当該算出された閾値と前記取得された加速度情報の平均値とを比較し、その比較結果に応じて前記切替時間を設定する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の端末装置において、前記制御手段は、前記閾値とは異なる閾値を算出し、当該算出された閾値と前記取得した加速度情報の平均値とを比較する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、コンピュータを、自装置の加速度を検知して加速度情報を取得する加速度検知手段、前記加速度検知手段により取得された加速度情報を記憶する記憶手段、通常の電力供給を行う通常電力モードと、必要な構成要素のみに電力供給を行う省電力モードとを切替制御する電源制御手段、時間情報を計時する計時手段、前記記憶された加速度情報に基づいて、前記通常電力モードから前記省電力モードへの切替時間を設定し、前記計時手段により計時される時間情報が前記切替時間を経過した際に前記電源制御手段により前記省電力モードへ切替制御させる制御手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、端末装置の加速度情報に基づく使用状況に応じて省電力モードへの電源制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明に係る好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0014】
先ず、図1を参照して本実施の形態の装置構成を説明する。図1に、本実施の形態のハンディターミナル10の内部構成を示す。
【0015】
本実施の形態のハンディターミナル10は、店舗等において、会計、棚卸時の商品に付されたバーコードの読み取りや、棚卸時の発注数量の入力等を行うための端末装置である。
【0016】
ハンディターミナル10は、制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)11、入力部12、RAM(Random Access Memory)13、表示部14、ROM(Read Only Memory)15、通信部16、記憶手段としてのフラッシュメモリ17、スキャナ部18、計時部19、電源制御手段としての電源制御部20、加速度検知手段としての加速度センサ21、位置検出手段としてのGPS(Global Positioning System)部22等を備えて構成され、各部がバス23を介して接続される。
【0017】
CPU11は、ハンディターミナル10の各部を中央制御する。CPU11は、ROM15に記憶されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムをRAM13に展開し、RAM13に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0018】
CPU11は、学習プログラムとの協働により、加速度センサ21により検知した加速度データを現在時刻(後述する時間番号)及び位置情報(後述するエリア情報)に対応付けてサンプリングし、その加速度データから基準閾値を算出し、その基準閾値と加速度データとを比較し、その比較結果に応じて通常電力モードから省電力モードへの切替時間を設定してフラッシュメモリ17に記憶する。
【0019】
また、CPU11は、学習結果反映プログラムとの協働により、ハンディターミナル10の使用時に、フラッシュメモリ17に記憶された切替時間を参照し、計時部19に計時された現在時刻及びGPS部22により検出された位置情報に対応する切替時間で電源制御部20に電源制御させる。
【0020】
入力部12は、カーソルキー、数字等の文字入力キー及び各種機能キー等を有するキーパッドを備え、操作者から押下入力された各キーの入力信号をCPU11に出力する。また、入力部12は、表示部14と一体的にタッチパネルが構成されることとしてもよい。
【0021】
RAM13は、揮発性のメモリであり、実行される各種プログラムやこれら各種プログラムに係るデータ等を格納するワークエリアを有し、情報を一時的に格納する。表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)、ELD(ElectroLuminescent Display)等で構成され、CPU11からの表示信号に従って画面表示を行う。
【0022】
ROM15は、各種プログラム、各種データの情報が予め読み出し専用に記憶される記憶部である。ROM15には、学習プログラム及び学習結果反映プログラムが記憶される。
【0023】
通信部16は、無線用のアンテナを含み、無線LAN(Local Area Network)形式で図示しない外部機器と通信を介する。また、通信部16は、外部機器に通信接続された図示しないクレードルへの接続端子を備え、ハンディターミナル10をクレードルに載置した状態で外部機器との通信を行う。また、通信部16は、通信ケーブル等を介して外部機器と有線通信する構成としてもよい。
【0024】
フラッシュメモリ17は、情報を読み込み及び書き込み可能に記憶する記憶部である。フラッシュメモリ17は、後述するタイムテーブル30、位置加速度情報部40、エリア加速度情報部50、位置エリア情報部60、学習命令情報部70、閾値情報部80等が記憶される。
【0025】
スキャナ部18は、商品に付されたバーコード等を光学的に読み取る部品である。スキャナ部18は、バーコード等に照射する光の発光部と、発光部から発光されてバーコード等で反射される反射光を受光して電気信号に変換する受光部とを備える。スキャナ部18は、入力部12におけるバーコード読み取り指示入力に応じたCPU11の制御により、光照射及び情報の読み取りの動作が行われる。
【0026】
計時部19は、計時回路を内蔵し、現在の時刻及び日付を計時して出力する。電源制御部20は、図示しないバッテリの電源から、ハンディターミナル10各部への電源電力供給制御を行う。電源制御部20は、特に、ハンディターミナル10各部へ通常の電力供給を行う通常電力モードと、所定時間使用していない場合に、必要な構成要素のみへの電力供給を行う(表示部14等の一部構成要素への電力供給を停止する)省電力モードと、の切替を行う。
【0027】
加速度センサ21は、ハンディターミナル10の3軸の加速度を検知して加速度データとして出力する。図2に、時間に対する加速度の関係の一例を示す。
【0028】
3軸のうちの1軸において、ハンディターミナル10の使用時間に対する加速度を考える。加速度センサ21から出力されるデータは、ハンディターミナル10の静止時に0[G(=9.8[m/s])]となるように、較正される。更に、本実施の形態では、加速度の大きさのみを必要し、正負で表される方向を必要としないので、加速度センサ21から出力されるデータの絶対値がとられる。このようにして、加速度センサ21より出力され補正された加速度データは、例えば、図2に示すような正の値をとるグラフとなる。
【0029】
GPS部22は、GPS衛星から送信されたデータを受信する受信部を備え、当該受信したデータ等に基づいてハンディターミナル10の位置情報を算出して出力する。GPS部22が出力する位置情報は、例えば、緯度及び経度情報である。
【0030】
次いで、図2を参照して、ハンディターミナル10をコンビニエンスストア等の店舗で使用した場合の所定作業と加速度データとの関係を説明する。
【0031】
店舗には、会計用のレジスタが設置されているエリア(以下、第1エリアとする)と、店舗裏側の在庫商品が保管されているエリア(以下、第2エリアとする)と、を含む。ハンディターミナル10は、主として、第1エリア及び第2エリアにおいて使用される。第1エリアにおいて、商品の会計時に、ユーザとしての店員が、会計対象の商品に付されたバーコードをスキャナ部18により読み取り、レジスタにより会計を行う。
【0032】
第1エリアでの会計処理において、一人の顧客に対応する会計処理の経過時間に対応する加速度データを図2に示す。図2に示すように、区間T1は、ユーザが机上のハンディターミナル10を持ち上げて顧客の商品のバーコード読み取りの準備をしている時間である。区間T1では、加速度データが急激に増加していることが分かる。
【0033】
区間T2は、ユーザが持ち上げたハンディターミナル10を用いて複数の商品のバーコードを順に読み取っている時間である。区間T2では、加速度データが比較的低い値で安定していることが分かる。区間T2のあとは、ユーザがハンディターミナル10を机上に載置し、レジスタにより会計処理を行い、その後、次の顧客が来たときに、その顧客に対応する区間T1,T2へと移行される。このように、加速度データが大きくなると、ハンディターミナル10の使用頻度も高くなる。
【0034】
第1エリアでは、会計する顧客が多い時間帯に、ハンディターミナル10が動かされている状態が多くなり、その使用頻度が高くなり、加速度データの値も増大する。例えば、朝食、昼食の時間帯である。逆に、会計する顧客が少ない時間帯には、ハンディターミナル10が静止している状態が多くなり、その使用頻度が低くなり、加速度データの値も低減するので、省電力モードへの切替時間を短くすることが好ましい。
【0035】
第2エリアにおいて、商品の棚卸時に、ユーザとしての店員が、棚卸対象の商品に付されたバーコードをスキャナ部18により読み取り、入力部12を介して在庫数量や発注数量を入力する。以上のように、第1エリアと、第2エリアとでは、作業内容が異なり、時間帯に対するハンディターミナル10の加速度データ(使用状況)も異なる。つまり、加速度データ(使用状況)は、時間(帯)とエリア(位置)とに対応する関係を有する。
【0036】
次に、図3〜図8を参照して、フラッシュメモリ17に記憶される情報を詳細に説明する。図3に、タイムテーブル30の構成を示す。図4に、位置加速度情報部40の構成を示す。図5に、エリア加速度情報部50の構成を示す。図6に、位置エリア情報部60の構成を示す。図7に、学習命令情報部70の構成を示す。図8に、閾値情報部80の構成を示す。
【0037】
図3に示すように、フラッシュメモリ17に記憶されるタイムテーブル30は、
時間番号31と、時間帯32と、を有する。タイムテーブル30は、時間番号31と時間帯32とを関連付けたテーブルである。時間番号31は、一日の24時間のうち、所定の時間帯(ここでは、8:00〜9:00)を0として1時間ごとに順に付与した識別番号である。時間帯32は、1時間ごとに分けた時間帯である。時間帯32において、0秒の時刻は、時間帯の範囲の後側に含まれる。例えば、時間帯32の「8:00〜9:00」とは、「8:00:01〜9:00:00」を意味するものとする。
【0038】
図4に示すように、フラッシュメモリ17に記憶される位置加速度情報部40は、時刻41と、位置情報42と、加速度データ43と、を有する。位置加速度情報部40は、サンプリングした加速度データ43を、時刻41及び位置情報42に関連付けて格納した情報である。時刻41は、加速度データのサンプリング時の時刻である。位置情報42は、加速度データのサンプリング時のハンディターミナル10の位置情報である。加速度データ43は、加速度センサ21で検出され補正された加速度データである。位置情報42は、例えば、緯度及び経度のデータで表される。図4の位置情報42では、エリアAの位置情報をA1,A2…で表し、エリアBの位置情報をB1…で表した。エリアA,エリアB等は、例えば、前述の第1エリア、第2エリア等とする。
【0039】
図5に示すように、フラッシュメモリ17に記憶されるエリア加速度情報部50は、エリア情報51と、位置情報52と、時刻53と、時間番号54と、加速度データ55と、を有する。エリア加速度情報部50は、位置加速度情報部40の各項目をエリア情報51及び時間番号54に関連付けた情報である。エリア情報51は、店舗のエリアの識別番号である。位置情報52は、位置情報42と同様の位置情報である。時刻53は、時刻41と同様の時刻である。時間番号54は、時間番号31と同様の時間番号である。加速度データ55は、加速度データ43と同様の加速度データである。
【0040】
図6に示すように、フラッシュメモリ17に記憶される位置エリア情報部60は、エリア情報61と、エリア詳細62と、を有する。位置エリア情報部60は、エリア情報とエリア詳細とを関連付けた情報である。エリア情報61は、エリア情報51と同様のエリア情報である。エリア詳細62は、各エリアの範囲を示す情報であり、例えば、緯度及び経度情報の範囲で表される。例えば、図6のエリア詳細62では、「エリアA」がエリアAの緯度及び経度の範囲を表現したものとし、「エリアB」がエリアBの緯度及び経度の範囲を表現したものとする。
【0041】
図7に示すように、フラッシュメモリ17に記憶される学習命令情報部70は、エリア情報71と、時間番号72と、加速度平均値73と、切替時間74と、を有する。学習命令情報部70は、エリア情報71及び時間番号72に対応付けて、適宜算出した加速度平均値及び切替時間を格納した情報である。エリア情報71は、エリア情報51と同様のエリア情報である。時間番号72は、時間番号54と同様の時間番号である。加速度平均値73は、加速度データの一時間毎の平均値である。切替時間74は、通常電力モードから省電力モードへの切替時間である。
【0042】
図8に示すように、フラッシュメモリ17に記憶される閾値情報部80は、基準閾値T(j)(j:位置情報の変数)81を有する。閾値情報部80は、ハンディターミナル10の使用頻度が高いか低いかを判別するための基準閾値81を格納した情報である。
【0043】
次に、図9〜図13を参照して、ハンディターミナル10の動作を説明する。図9に、学習処理の流れを示す。図10に、学習処理の位置情報格納処理の流れを示す。図11に、学習処理の平均値及び閾値算出処理の流れを示す。図12に、学習処理の切替時間設定処理の流れを示す。図13に、学習結果反映処理の流れを示す。
【0044】
先ず、図9〜図12を参照して学習処理を説明する。学習処理は、通常の業務時の加速度データをサンプリングしてハンディターミナル10の使用状況を学習し、その使用状況(加速度データ)に基づいて、通常電力モードから省電力モードへの切替時間を学習結果として算出して設定する処理である。
【0045】
ハンディターミナル10において、例えば、入力部12を介してユーザから学習処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、ROM15から読み出されて適宜RAM13に展開された学習プログラムと、CPU11との協働により、学習処理が実行される。
【0046】
図9に示すように、先ず、ユーザによりハンディターミナル10が静止した状態に載置され、この状態で加速度センサ21から出力される加速度データが0[G]になるような加速度データに対する補正条件が設定される(ステップS11)。以下、特に断らない限り、加速度センサ21による加速度データとは、加速度センサ21から出力されてステップS11の設定条件で補正された加速度データとする。また、以下、特に断らない限り、切替時間とは、通常電力モードから省電力モードへの切替時間とする。
【0047】
そして、切替時間の変数defaultに初期値の3分が設定され、加速度データのサンプリング間隔の秒数sに15秒が設定される(ステップS12)。変数default、秒数sへ設定する値は、この例に限定されるものではなく、他の値としてもよい。変数defaultの初期値の3分は、例えば、通常時の切替時間であるものとする。また、ステップS12〜S15では、学習処理の実行と並行し、ユーザが、ハンディターミナル10を用いて通常の業務の作業(会計作業、棚卸作業等)を行うものとする。
【0048】
そして、秒のカウンタのカウント数scount及び時間のカウンタのカウント数hcountが0に設定(リセット)され、カウント数scount,hcountのカウントがスタートされる(ステップS13)。ステップS13のカウントスタート後、カウント数scountは、計時部19から出力される時刻情報に応じて、1秒経過毎に1インクリメントされる。同様に、カウント数hcountは、計時部19から出力される時刻情報に応じて、1時間経過毎に1インクリメントされる。
【0049】
そして、カウント数hcount≧24[時間]であるか否かが判別される(ステップS14)。hcount<24である場合(ステップS14;NO)、位置情報格納処理が実行され(ステップS15)、ステップS14に移行される。
【0050】
ここで、図10を参照して、ステップS15の位置情報格納処理を説明する。先ず、カウント数scount=秒数sであるか否かが判別される(ステップS151)。scount=sでない場合(ステップS151;NO)、ステップS151に移行される。scount=sである場合(ステップS151;YES)、加速度センサ21により加速度データがサンプリングされて取得される(ステップS152)。そして、ステップS152で取得された加速度データの絶対値が算出される(ステップS153)。
【0051】
そして、計時部19で計時される現在時刻が取得され、GPS部22によりハンディターミナル10の現在の位置情報が取得される(ステップS154)。そして、ステップS153で算出された加速度データが、ステップS154で取得された現在時刻、位置情報に関連付けられてフラッシュメモリ17内の位置加速度情報部40に格納される(ステップS155)。ステップS155では、加速度データ、現在時刻、位置情報が、それぞれ、位置加速度情報部40の加速度データ43、時刻41、位置情報42に格納される。
【0052】
そして、カウント数scountが0に設定(リセット)され、カウント数scountのカウントがスタートされ(ステップS156)、位置情報格納処理が終了する。ステップS156のカウントスタート後、カウント数scountは、計時部19から出力される時刻情報に応じて、1秒経過毎に1インクリメントされる。
【0053】
図9に戻り、hcount≧24である場合(ステップS14;YES)、フラッシュメモリ17に記憶された位置加速度情報部40が読み出される(ステップS16)。そして、ステップS16で読み出された位置加速度情報部40が位置情報42でクラスタリングされ、エリア加速度情報部50が生成される(ステップS17)。ステップS17では、位置情報42のうち同一エリアと推測されるもの同士でクラスタリングされ、その各エリアに識別番号(0〜クラスタ数)が付与され、付与した識別番号をエリア情報51とし、位置加速度情報部40の時刻41、位置情報42、加速度データ43を、時刻53、位置情報52、加速度データ55として、エリア加速度情報部50が生成される。
【0054】
そして、フラッシュメモリ17に記憶されたタイムテーブル30が読み出され、タイムテーブル30を用いて、時刻53から時間番号54が生成されてエリア加速度情報部50に格納される(ステップS18)。ステップS18では、タイムテーブル30が参照され、ステップS17で生成されたエリア加速度情報部50の時刻53が、これに対応する時間番号54に変換される。そして、ステップS17で取得されたクラスタ数が、エリア情報の最大値としてLに設定される(ステップS19)。
【0055】
そして、ステップS17で実行されたクラスタリングに応じて、クラスタ数であるエリア情報と、このエリア情報に対応する各位置情報を含む範囲であるエリア詳細とが生成され、それぞれ、エリア情報61、エリア詳細62とした位置エリア情報部60が生成されフラッシュメモリ17に記憶される(ステップS20)。
【0056】
そして、平均値及び閾値算出処理が実行される(ステップS21)。ここで、図11を参照して、ステップS21の平均値及び閾値算出処理を説明する。先ず、エリア情報の変数jに0が設定される(ステップS211)。
【0057】
そして、変数j=エリア情報の最大値であるクラスタ数Lであるか否かが判別される(ステップS212)。j=Lでない場合(ステップS212;NO)、フラッシュメモリ17に記憶されたエリア加速度情報部50が読み出され、エリア情報51の値が変数jであるエリア情報L(j)のレコードについて、時間番号54が同一のレコードの加速度データの相加平均値が算出され、その相加平均値が加速平均値として関連情報とともにフラッシュメモリ17内の学習命令情報部70に格納される(ステップS213)。ステップS213では、算出された加速平均値と、これに対応する時間番号、エリア情報L(j)が、それぞれ、学習命令情報部70の加速度平均値73、時間番号72、エリア情報71に格納される。
【0058】
そして、ステップS213で算出した変数jに対応する加速度平均値から、最大値及び最小値が抽出される(ステップS214)。そして、ステップS214で抽出された加速度平均値の最大値及び最小値の相加平均値が算出され、算出した相加平均値が基準閾値T(j)81としてフラッシュメモリ17内の閾値情報部80に格納される(ステップS215)。そして、変数jが1インクリメントされ(ステップS216)、ステップS212に移行される。j=Lである場合(ステップS212;YES)、平均値及び閾値算出処理を終了する。
【0059】
図9に戻り、ステップS21の実行後、切替時間設定処理が実行され(ステップS22)、学習処理が終了する。ここで、図12を参照して、ステップS22の切替時間設定処理を説明する。
【0060】
先ず、エリア情報の変数jが0に設定(リセット)される(ステップS221)。そして、変数j=クラスタ数Lであるか否かが判別される(ステップS222)。j=Lでない場合(ステップS222;NO)、時間番号の変数timeが0に設定される(ステップS223)。
【0061】
そして、フラッシュメモリ17に記憶された学習命令情報部70及び閾値情報部80が読み出され、変数jのエリア情報71と、変数timeの時間番号72とに対応する加速度平均値73が、変数jの基準閾値T(j)81より小さいか否かが判別される(ステップS224)。加速度平均値≧T(j)である場合(ステップS224;NO)、切替時間が変数defaultに設定され、設定された切替時間が、変数jのエリア情報71と、変数timeの時間番号72とに対応する切替時間74に格納される(ステップS225)。
【0062】
そして、変数timeが1インクリメントされる(ステップS226)。加速度平均値<T(j)である場合(ステップS224;YES)、変数jのエリア情報71と、変数timeの時間番号72とに対応する加速度平均値73の加速度平均値が、変数jに対応する基準閾値T(j)/2より小さいか否かが判別される(ステップS227)。
【0063】
加速度平均値<T(j)/2である場合(ステップS227;YES)、切替時間が変数default−1分に設定され、設定された切替時間が、変数jのエリア情報71と、変数timeの時間番号72とに対応する切替時間74に格納され(ステップS228)、ステップS226に移行される。加速度平均値≧T(j)/2である場合(ステップS227;NO)、切替時間が変数default−30秒に設定され、設定された切替時間が、変数jのエリア情報71と、変数timeの時間番号72とに対応する切替時間74に格納され(ステップS229)、ステップS226に移行される。
【0064】
ステップS226の実行後、変数time=23であるか否かが判別される(ステップS230)。変数time=23でない場合(ステップS230;NO)、ステップS224に移行される。変数time=23である場合(ステップS230;YES)、変数jが1インクリメントされ(ステップS231)、ステップS222に移行される。j=Lである場合(ステップS222;YES)、切替時間設定処理が終了する。
【0065】
次いで、図13を参照して、学習結果反映処理を説明する。学習結果反映処理は、学習処理で設定された学習命令情報部70を用いてハンディターミナル10の電源制御を行う処理である。
【0066】
ハンディターミナル10において、例えば、学習処理が実行された後に、電源オンされたことをトリガとして、ROM15から読み出されて適宜RAM13に展開された学習結果反映プログラムと、CPU11との協働により、学習結果反映処理が実行される。
【0067】
先ず、学習結果反映処理を終了するか否かが判別される(ステップS31)。ステップS31では、例えば、電源オフされた場合に、学習結果反映処理を終了すると判別される。学習結果反映処理を終了しない場合(ステップS31;NO)、加速度センサ21によりハンディターミナル10の動きを示す加速度データが検知されたか否かが判別される(ステップS32)。例えば、加速度センサ21による加速度データが0以外である場合に、ハンディターミナル10の動きを示す加速度が検知されたものとする。
【0068】
学習結果反映処理を終了しない場合(ステップS31;NO)、加速度センサ21によりハンディターミナル10の動きを示す加速度データの加速度が検知されたか否かが判別される(ステップS32)。ステップS32では、ハンディターミナル10がユーザにより持ち上げられたか(使用開始されたか)否かが判別される。ステップS32では、例えば、加速度センサ21による加速度データが0以外である場合に、ハンディターミナル10の動きを示す加速度が検知されたものとする。
【0069】
加速度が検知されていない場合(ステップS32;NO)、ステップS32に移行される。加速度が検知された場合(ステップS32;YES)、電源制御部20に通常の電源制御が設定される(ステップS33)。つまり、ハンディターミナル10を動かさずに所定時間(3分)経過すると、通常電力モードから省電力モードに移行される。
【0070】
そして、切替時間のカウントの変数countが0に設定(リセット)され、変数countのカウントがスタートされる(ステップS34)。ステップS34のカウントスタート後、計時部19から出力される現在時刻に応じて、変数countは、1秒経過毎にインクリメントされる。
【0071】
そして、切替時間の変数defaultが3分に設定される(ステップS35)。そして、ステップS32と同様に、加速度センサ21によりハンディターミナル10の動きを示す加速度データが検知されたか否かが判別される(ステップS36)。加速度が検知された場合(ステップS36;YES)、切替時間のカウントの変数countが0に設定(リセット)され、そのカウントがスタートされる(ステップS37)。ステップS37のカウントスタート後、変数countは、計時部19から出力される現在時刻に応じて、1秒経過毎にインクリメントされる。
【0072】
そして、フラッシュメモリ17から位置エリア情報部60が読み出され、GPS部22により取得される位置情報に対応するエリア詳細62のエリア情報61が取得される(ステップS38)。そして、フラッシュメモリ17からタイムテーブル30が読み出され、計時部19から現在時刻が取得され、現在時刻に対応する時間帯32の時間番号31が取得される(ステップS39)。
【0073】
そして、フラッシュメモリ17から学習命令情報部70が読み出され、ステップS38で取得されたエリア情報のエリア情報71と、ステップS39で取得された時間番号の時間番号72とに対応する切替時間74が取得され、取得された切替時間74が変数defaultに設定され(ステップS40)、ステップS36に移行される。
【0074】
加速度が検知されていない場合(ステップS36;NO)、変数countが変数defaultよりも大きいか否かが判別される(ステップS41)。count≦defaultである場合(ステップS41;NO)、ステップS36に移行される。count>defaultである場合(ステップS41;YES)、電源制御部20に省電力の電源制御が設定され(ステップS42)、ステップS31に移行される。つまり、ハンディターミナル10を動かさずに、切替時間経過すると、通常電力モードから省電力モードに移行される。学習結果反映処理を終了する場合(ステップS31;YES)、学習結果反映処理を終了する。
【0075】
以上、本実施の形態によれば、加速度センサ21により検知された使用頻度に対応する加速度データと当該検知の際に計時部19に計時された時刻(時間番号)及びGPS部22により取得された位置情報(エリア情報)とに対応する使用状況に基づいて、通常電力モードから省電力モードへの切替時間を設定して学習命令情報部70としてフラッシュメモリ17に記憶する。また、学習命令情報部70を参照して、計時部19に計時された現在時刻及びGPS部22により取得された位置情報に対応する切替時間74で、電源制御部20を電源制御する。このため、使用する時刻及び位置毎に、ハンディターミナル10の加速度データに基づく使用状況に応じて通常電力モードから省電力モードへの電源制御を行うことができる。
【0076】
また、加速度センサ21により検知された加速度データを位置及び時間に応じて時間間隔sでサンプリングし、当該取得した加速度データの平均値を算出し、当該算出した加速度平均値の最大値及び最小値から基準閾値T(j)を算出し、当該算出した基準閾値T(j)と、前記取得した加速度平均値とを比較し、その比較結果に応じて、時間帯(時間番号)ごとの切替時間を設定する。このため、ハンディターミナル10の使用状況に対応する適切な切替時間を容易に設定できる。
【0077】
また、切替時間設定処理において、加速度平均値と基準閾値T(j)とを比較し、加速度平均値が基準閾値T(j)よりも小さい場合に、さらに加速度平均値と基準閾値T(j)/2とを比較し、その比較結果に応じて別々の切替時間を設定し、加速度平均値が基準閾値T(j)/2よりも小さい場合に、切替時間を特に小さく設定する。このため、切替時間を細かく設定でき、より細かい省電力設定が可能である。
【0078】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る端末装置及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0079】
上記実施の形態では、加速度データ(使用状況)に応じて、通常電力モードから省電力モードへの切替時間を、基準の切替時間から短く設定する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、使用する切替時間を基準の切替時間から長く設定する構成としてもよい。例えば、ハンディターミナルの使用頻度が高いにもかかわらず、切替時間が短く却ってモード切替の頻度が高くなる場合には、使用する切替時間を基準の切替時間から長く設定し、モード切替の多用を防ぐ構成としてもよい。また、基準の切替時間を低く設定して、使用する切替時間を基準の切替時間から長く設定する構成としてもよい。
【0080】
また、上記実施の形態では、エリア情報(位置情報)及び時間帯(時間番号)に応じて切替時間を設定し、現在のエリア情報及び現在時刻に応じて切替時間を変更する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、時間帯(時間番号)に応じて切替時間を設定し、現在時刻に応じて切替時間を変更する構成、又はエリア情報(位置情報)に応じて切替時間を設定し、現在のエリア情報に応じて切替時間を変更する構成としてもよい。さらに、曜日、月等、他の時間情報に応じて切替時間を設定する構成としてもよい。
【0081】
また、上記実施の形態では、エリア情報(位置情報)をサンプリングされたデータの位置情報をクラスタリングすることにより算出したが、これに限定されるものではない。例えば、エリア情報は予めユーザによって定義されてもよく、どのエリアでハンディターミナルが利用されているのかが識別できればよい。
また、上記実施の形態では、端末装置としてハンディターミナルを用いる構成としたが、これに限定されるものではない。端末装置としては、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)等、他の電子機器としてもよい。
【0082】
また、上記実施の形態におけるハンディターミナル10の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る実施の形態のハンディターミナルの内部構成を示すブロック図である。
【図2】時間に対する加速度の関係の一例を示す図である。
【図3】タイムテーブルの構成を示す図である。
【図4】位置加速度情報部の構成を示す図である。
【図5】エリア加速度情報部の構成を示す図である。
【図6】位置エリア情報部の構成を示す図である。
【図7】学習命令情報部の構成を示す図である。
【図8】閾値情報部の構成を示す図である。
【図9】学習処理を示すフローチャートである。
【図10】学習処理の位置情報格納処理を示すフローチャートである。
【図11】学習処理の平均値及び閾値算出処理を示すフローチャートである。
【図12】学習処理の切替時間設定処理を示すフローチャートである。
【図13】学習結果反映処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
10 ハンディターミナル
11 CPU
12 入力部
13 RAM
14 表示部
15 ROM
16 通信部
17 フラッシュメモリ
18 スキャナ部
19 計時部
20 電源制御部
21 加速度センサ
22 GPS部
23 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置の加速度を検知して加速度情報を取得する加速度検知手段と、
前記加速度検知手段により取得された加速度情報を記憶する記憶手段と、
通常の電力供給を行う通常電力モードと、必要な構成要素のみに電力供給を行う省電力モードとを切替制御する電源制御手段と、
時間情報を計時する計時手段と、
前記記憶された加速度情報に基づいて、前記通常電力モードから前記省電力モードへの切替時間を設定し、前記計時手段により計時される時間情報が前記切替時間を経過した際に前記電源制御手段により前記省電力モードへ切替制御させる制御手段と、を備える端末装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記加速度情報に、前記計時手段により計時された月又は曜日又は時間帯情報を対応付けて記憶し、
前記制御手段は、前記月又は曜日又は時間帯に基づいて設定された前記切替時間の経過に応じて前記電源制御手段により前記省電力モードへ切替制御させる請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
自装置の位置を検出し位置情報を取得する位置検出手段を備え、
前記記憶手段は、前記加速度情報に、前記位置検出手段により取得された位置情報を対応付けて記憶し、
前記制御手段は、前記位置情報に基づいて設定された前記切替時間の経過に応じて前記電源制御手段により前記省電力モードへ切替制御を行う請求項1又は2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記加速度情報を所定時間間隔で取得し、当該取得された加速度情報の平均値を算出し、当該算出された加速度情報の平均値の最大値及び最小値から閾値を算出し、当該算出された閾値と前記取得された加速度情報の平均値とを比較し、その比較結果に応じて前記切替時間を設定する請求項1から3のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記閾値とは異なる閾値を算出し、当該算出された閾値と前記取得した加速度情報の平均値とを比較する請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
コンピュータを、
自装置の加速度を検知して加速度情報を取得する加速度検知手段、
前記加速度検知手段により取得された加速度情報を記憶する記憶手段、
通常の電力供給を行う通常電力モードと、必要な構成要素のみに電力供給を行う省電力モードとを切替制御する電源制御手段、
時間情報を計時する計時手段、
前記記憶された加速度情報に基づいて、前記通常電力モードから前記省電力モードへの切替時間を設定し、前記計時手段により計時される時間情報が前記切替時間を経過した際に前記電源制御手段により前記省電力モードへ切替制御させる制御手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2009−3793(P2009−3793A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165436(P2007−165436)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】