説明

端末装置及びプログラム

【課題】タッチスクリーンを備えた端末装置をその持ち方によらず、安定して持つことができようにする。
【解決手段】加速度センサ10からの検出結果(携帯電話機のX軸、Y軸の軸周りに回転する方向の加速度)に基づいて制御部1は、携帯電話機を片手で持たれているのか、両手で持たれているのかを判別し、片手で持たれている場合にはタッチスクリーンTS上の一部分にタッチ操作を無効とするタッチ無効化領域を確保する。これによって親指などをタッチ無効化領域に休ませる(指を置く)ことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチスクリーンを備えた端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、指で接触することによってコマンドやデータを入力するタッチスクリーンを備えた端末装置(例えば、携帯電話機)では、使用するアプリケーションの種類や状態に応じて操作画面(タッチ入力画面)を任意に変更可能となっている。更に、従来では、タッチスクリーンを備えた端末装置を片手で持ちながら、その手の親指でタッチスクリーン上をタッチ操作するようにした技術が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−152441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した先行技術においては、端末装置を片手で持って親指操作を行う場合、無闇にタッチスクリーン上に指を置くことができず、持ち方が不安定となって疲れたり、その持ち方によってはタッチスクリーン上に間違って指が触れてしまい、意図しないタッチ操作となったりするという問題がある。
【0005】
本発明の課題は、タッチスクリーンを備えた端末装置をその持ち方によらず、安定して持つことができようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、タッチスクリーンを備えた端末装置であって、当該端末装置の持ち方を判別する持ち方判別手段と、この持ち方判別手段によって判別された持ち方に応じて、前記タッチスクリーン上の一部分にタッチ操作を無効とするタッチ無効化領域を確保する制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【0007】
請求項1に従属する発明として、前記持ち方判別手段は、当該端末装置の持ち方として両手あるいは片手のどちらで持っているかを判別し、前記制御手段は、前記持ち方判別手段によって片手で持っていると判別された場合に、前記タッチスクリーン上の一部分にタッチ無効化領域を確保する、ようにしたことを特徴とする請求項2記載の発明であってもよい。
【0008】
請求項2に従属する発明として、当該端末装置に加わる加速度を検出する加速度検出手段を更に備え、前記持ち方判別手段は、前記タッチスクリーンへのタッチ操作中に、前記加速度検出手段によって当該端末装置のX軸あるいはY軸の軸周りに回転する方向の加速度が所定時間以上検出された場合に、片手で持たれていると判別する、ようにしたことを特徴とする請求項3記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項2に従属する発明として、前記持ち方判別手段は、当該端末装置のどの側面が持たれているかを判別し、前記制御手段は、前記タッチ無効化領域を前記持ち方判別手段によって判別された側面側に確保する、ようにしたことを特徴とする請求項4記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項1に従属する発明として、前記タッチスクリーンへのタッチ操作が所定時間行われていないか否かを判別する時間判別手段を更に備え、前記制御手段は、前記時間判別手段によって前記タッチスクリーンへのタッチ操作が所定時間行われていないと判別された場合に、持ち方判別手段によって判別された持ち方に応じて、前記タッチスクリーン上の一部分にタッチ操作を無効とするタッチ無効化領域を確保する、ようにしたことを特徴とする請求項5記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項1に従属する発明として、前記制御手段は、前記タッチスクリーンへのタッチ操作が再開された際に、前記タッチ無効化領域を解除して当該タッチスクリーンを元の状態に戻す、ようにしたことを特徴とする請求項6記載の発明であってもよい。
【0012】
請求項1に従属する発明として、前記制御手段は、タッチスクリーン上の表示内容を所定の方向にスクロールさせることによって生成された非表示領域をタッチ無効化領域として確保する、ようにしたことを特徴とする請求項7記載の発明であってもよい。
【0013】
また、上述した課題を解決するために請求項8記載の発明は、コンピュータに対して、 当該端末装置の持ち方を判別する機能と、前記判別された持ち方に応じて、タッチスクリーン上の一部分にタッチ操作を無効とするタッチ無効化領域を確保する機能と、を実現させるためのプログラムを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、タッチスクリーンを備えた端末装置をその持ち方によらず、安定して持つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】端末装置として適用した携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図 。
【図2】タッチスクリーンTSへのタッチ操作中に携帯電話機に加わる振動として加速度センサ10によって検出されるX軸、Y軸の軸周りに回転する方向の加速度を示した図。
【図3】(1)〜(4)は、携帯電話機が片手で持たれている場合に、タッチスクリーンTSの一部分にタッチ無効化領域TIが確保される様子を説明するための図。
【図4】電源投入に応じて実行開始される携帯電話機の動作(本実施形態の特徴的な動作)を説明するためのフローチャート。
【図5】持ち方判別処理(図4のステップA16)を詳述するためのフローチャート。
【図6】第2実施形態において、携帯電話機(筐体)のどの側面が片手で持たれたかを検出するタッチセンサ11の配設位置を説明するための図。
【図7】(1)〜(4)は、第2実施形態において携帯電話機のどの側面が持たれたかによってタッチ無効化領域TIが配設される位置を説明するための図。
【図8】第2実施形態において、一定時間毎(例えば、1秒毎)の割り込みによって実行開始されるタッチスクリーン一部無効化処理を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態1)
【0017】
以下、図1〜図5を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
本実施形態は、端末装置として携帯電話機に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図である。
携帯電話機には、音声通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)などが備えられている。制御部1は、二次電池を備えた電源部2からの電力供給によって動作し、記憶部3内の各種のプログラムに応じてこの端末装置の全体動作を制御するもので、この制御部1にはCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。
【0018】
記憶部3は、ROM、RAMなどの内部メモリで、プログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図4及び図5に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムが格納されている。また、記憶部3のデータ領域には、フラグ情報(後述する判定済みフラグF1、タッチ無操作フラグF2など)、タイマ情報(後述する判定用タイマJTなど)、カウンタ情報(後述する検出回数カウンタNCなど)、その他、この携帯電話機の動作に必要な各種の情報が一時記憶されている。
【0019】
操作部4は、十字キー(決定キーやカーソルキー)、数値キー、文字キーなど、各種の押し釦式のキーを備え、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行うもので、制御部1は、操作部4からの操作信号に応じた処理として、例えば、発信処理、電子メール作成処理など、各種の処理を行う。通信部5は、音声通話機能の構成要素であり、無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能の動作時に最寄りの基地局との間でデータの送受信を行うもので、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、電話部6を介して通話用スピーカSPから音声出力させ、また、通話用マイクMCからの入力音声データを電話部6から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナATから発信出力させる。
【0020】
表示部7は、例えば、高精細液晶あるいは有機ELを使用し、待受画像などを表示するもので、この表示部7の表面全体には透明なタッチセンサ8が重ね合わせて配設されている。このように表示部7の表面に透明なタッチセンサ8を積層配設することによってタッチスクリーンTSが構成されている。タッチスクリーンTSは、人体の接触を検出する静電容量型のタッチセンサ8を有する構成で、各種のタッチキーが配置されており、文字入力、コマンド入力などを行う。制御部1は、タッチスクリーンTSからのタッチ入力信号に応じた処理を実行する。また、タッチスクリーンTSは、この携帯電話機の筐体の表面周縁部を除き略表面全体に形成されている矩形な入力表示領域である。時計部9は現在日時を計時するもので、制御部1は、いずれかのタッチ操作が行われる毎に現在日時を、前回タッチ操作を行った前回タッチ操作日時として更新するようにしている。
【0021】
加速度センサ10は、携帯電話機に加わる振動(加速度)を検出するもので、例えば、3軸タイプの加速度センサ(3軸方向振動センサ)によって構成されている。この場合、加速度センサ10は、携帯電話機に加わる加速度の大きさを振動波形信号として出力するようにしている。その際、加速度センサ10から出力される振動波形信号は増幅されてノイズ成分が除去されたものとなる。制御部1は、タッチスクリーンTSへのタッチ操作中において、携帯電話機に加わる振動を加速度センサ10によって当該携帯電話機のX軸、Y軸の軸周りに回転する方向の加速度として検出することによって、携帯電話機が片手で持たれているのか、両手で持たれているのかを判別するようにしている。なお、タッチセンサ11は、後述する第2実施形態で説明する。
【0022】
このように構成された携帯電話機は、表示部7を備える表示部筐体と操作部4を備える操作部筐体とを有し、この操作部筐体と表示部筐体とが開閉可能(折り畳み可能)に取り付けられていると共に、操作部筐体に対して表示部筐体がその表裏が反転可能となるように取り付けられてなる2軸ヒンジタイプの携帯電話機である。この2軸ヒンジタイプの携帯電話機には、表示部筐体の折り畳みを開いた状態で表示部7及び操作部4が露出した状態となるオープンスタイルと、表示部筐体を折り畳んで閉じた状態で表示部7が露出し、かつ操作部4が隠れた状態となるビュースタイルを有している。
【0023】
図2は、タッチスクリーンTSへのタッチ操作中において、携帯電話機に加わる振動として加速度センサ10によって検出されるX軸、Y軸の軸周りに回転する方向の加速度を示した図である。なお、図示の例では、携帯電話機をビュースタイルとした場合を示している。
この加速度センサ10によってX軸、Y軸の軸周りに回転する方向の加速度が検出される毎に、その検出回数を上述の検出回数カウンタNCによって計数するようにしている。この検出回数カウンタNCは、所定時間(例えば、2秒間)を計測する上述の判定用タイマJTがタイムアウトとなるまで(例えば、2秒経過するまで)、所定値以上の加速度(タッチ操作による振動)が検出される毎にその検出回数を計数するもので、この検出回数カウンタNCの値が所定値以上の場合、つまり、携帯電話機が不安定な状態で持たれているために上述の所定時間内に行われたタッチ操作(例えば、2回分のタッチ操作)による振動が多くなった場合には、携帯電話機が片手で持たれていると判別するが、検出回数カウンタNCの値が所定値未満の場合、つまり、携帯電話機が安定した状態で持たれているために上述の所定時間内に行われたタッチ操作(例えば、2回分のタッチ操作)による振動が少なかった場合には、携帯電話機が両手で持たれていると判別するようにしている。
【0024】
このように加速度センサ10からの検出結果(X軸、Y軸の軸周りに回転する方向の加速度)に基づいて制御部1は、携帯電話機の持ち方を判別し、その持ち方に応じてタッチスクリーンTSの一部分にタッチ無効化領域を確保するようにしている。このタッチ無効化領域は、タッチスクリーンTSでのタッチ操作(不用意に指が置かれたような場合など)を無効とするために特別に確保された領域である。なお、X軸の軸周りに回転する方向の加速度を計測する検出回数カウンタと、Y軸の軸周りに回転する方向の加速度を計測する検出回数カウンタとを個別に設けるようにしてもよいが、この実施形態においては、X軸とY軸とに分けずに単一のカウンタでその合計値をカウントするようにしている。
【0025】
図3は、携帯電話機をビュースタイルとした状態において、携帯電話機が片手で持たれている場合に、タッチスクリーンTSの一部分にタッチ無効化領域が確保される様子を説明するための図である。
図3(1)は、ビュースタイルの携帯電話機を片手で持っている状態を示し、その親指がタッチスクリーンTSの一部分に置かれて(かかって)触れている状態である。図3(2)は、携帯電話機が片手で持たれていると判別した場合に、タッチスクリーンTSの一部分に確保したタッチ無効化領域TIを示し、片手持ちの際に指が触れる可能性の高い領域として、タッチスクリーンTSの下端部がタッチ無効化領域TIとして確保され、指を置いてもタッチとはならない安全な領域が確保されたことになる。
【0026】
図3(3)は、図3(1)と同様にビュースタイルの携帯電話機を片手で持っている状態を示しているが、このタッチスクリーンTS上には、複数の操作ボタン(タッチキー)がマトリックス状の配置されている。ここで、図示のように、その1行目(最上段)から3行目及び5行目の領域は、操作ボタンが配置されている領域となっているが、4行目の領域は操作ボタンが配置されていない空白領域(無表示部分)となっている。図3(4)は、携帯電話機が片手で持たれていると判別された場合に、タッチスクリーンTSの一部分に確保したタッチ無効化領域TIを示し、5行目の操作ボタン配置領域を4行目の空白領域(無表示部分)にスクロールすることによって5行目の領域がタッチ無効化領域TIとして確保され、指を置いてもタッチとはならない安全な領域が確保されたことになる。
【0027】
次に、第1実施形態における携帯電話機の動作概念を図4及び図5に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなど伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。このことは後述する他の実施形態においても同様であり、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0028】
図4は、電源投入に応じて実行開始される携帯電話機の動作(本実施形態の特徴的な動作)を説明するためのフローチャートである。
先ず、制御部1は、電源投入操作に応じて所定のメモリをクリアするなどの初期設定を行った後、何らかの操作や着信などの待ち受け状態となる(図4のステップA1)。この状態において、電話着信を検出したかを調べたり(ステップA2)、操作部4上の押しボタン式のキーやタッチスクリーンTS上のいずれかのキーが操作されたかを調べたり(ステップA9)、前回のタッチキー操作から所定時間(例えば、10秒)が経過したか(タッチ無操作時間は所定時間以上か)を調べたりする(ステップA17)。
【0029】
いま、電話着信を検出したときには(ステップA2でYES)、この着信に対する応答操作(オフフック操作)が行われたかを調べ(ステップA3)、オフフック操作が行われないまま通信相手側から回線接続が遮断されたときには(ステップA3でNO)、ステップA2に戻るが、オフフック操作が行われたときには(ステップA3でYES)、タッチスクリーンTSの一部分をタッチ無効化領域TIとして確保しているかを調べる(ステップA4)。ここで、タッチ無効化領域TIが確保されているときには(ステップA4でYES)、このタッチ無効化領域TIを解除することによってタッチスクリーンTSを元の状態に復帰させる(ステップA5)。そして、通話可能状態とする通話処理を開始させた後(ステップA6)、回線を遮断するオンフック操作が行われたかを調べ(ステップA7)、オンフック操作が行われたときには(ステップA7でYES)、回線接続を遮断して通話を終了する終話処理を実行した後(ステップA8)、上述のステップA2に戻る。
【0030】
また、操作部4やタッチスクリーンTS上のいずれかのキーが操作されたときには(ステップA9でYES)、タッチスクリーンTSの一部分をタッチ無効化領域TIとして確保しているかを調べる(ステップA10)。ここで、タッチ無効化領域TIが確保されているときには(ステップA10でYES)、このタッチ無効化領域TIを解除することによってタッチスクリーンTSを元の状態に復帰させる(ステップA11)。そして、操作に応じた処理として、例えば、発信処理などを実行した後(ステップA12)、今回の操作キーは、タッチスクリーンTS上のタッチキーであるかを調べ(ステップA13)、操作部4上の押しボタン式のキーが操作されたときには(ステップA13でNO)、上述のステップA2に戻るが、タッチキーが操作されたときには(ステップA13でYES)、
現在日時を前回のタッチ操作日時とすることによって前回タッチ操作日時の更新を行う(ステップA14)。
【0031】
そして、判定済みフラグF1は“0”であるかを調べる(ステップA15)。この判定済みフラグF1は、タッチスクリーンTSへのタッチ操作中に携帯電話機が片手で持たれているか、両手で持たれているかを判定したかを示すもので、判定済みフラグF1が“1”で、判定済みであれれば(ステップA15でNO)、上述のステップA2に戻る。また、判定済みフラグF1が“0”で、判定前であれば(ステップA15でYES)、持ち方判別処理の実行に移る(ステップA16)。
【0032】
図5は、持ち方判別処理(図4のステップA16)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、制御部1は、タッチ無操作フラグF2を参照し、その値は“1”であるかを調べる(ステップB1)。このタッチ無操作フラグF2は、タッチスクリーンTS上のタッチキーが前回操作されてから所定時間(例えば、10秒間)操作されなかったときに“1”となり、その後の最初のタッチキー操作で“0”となるフラグである。言い換えれば、タッチ無操作フラグF2は、無操作時間経過後の最初のタッチ操作が行われたか否かを示すフラグである。いま、タッチ無操作フラグF2が“1”であれば、タッチキーが所定時間(例えば、10秒間)無操作状態にあると判断して(ステップB1でYES)、加速度センサ10及び判定用タイマJTを起動すると共に、検出回数カウンタNCをリセットした後(ステップB2)、タッチ無操作フラグF2を“1”から“0”に変更するが(ステップB3)、タッチ無操作フラグF2が“0”であれば(ステップB2でNO)、上述の各ステップB2及びステップB3はスキップされる。
【0033】
そして、タッチスクリーンTSへのタッチ操作中において、加速度センサ10によって当該携帯電話機のX軸あるいはY軸の軸周りに回転する方向の加速度を検出すると(ステップB4でYES)、検出回数カウンタNCの値をカウントアップした後(ステップB5)、判定用タイマJTの値が所定時間(例えば、2秒間)に達したか(タッチ無操作時間として所定時間を経過したか)を調べ(ステップB6)、所定時間を経過しなければ(ステップB6でNO)、この持ち方判別処理から抜けて図4のステップA2に移る。いま、前回タッチキーが操作されてから所定時間が経過する前であれば(図4のステップA17でNO)、判定済みフラグF1は“0”であるかを調べるが(ステップA15)、この場合、判定済みフラグF1は“0”で、持ち方判定前であるから(ステップA15でYES)、持ち方判別処理に移る(ステップA16)。
【0034】
この場合、タッチ無操作フラグF2は“0”であるため(図5のステップB1でNO)、ステップB4に移って、加速度センサ10によって当該携帯電話機のX軸あるいはY軸の軸周りに回転する方向の加速度を検出したかを調べる。ここで、前回のタッチキー操作による余韻や片手持ちによる不安定さによる振動(加速度)を検出すると(ステップB4でYES)、検出回数カウンタの値をカウントアップする(ステップB5)。そして、判定用タイマJTの値が所定時間(例えば、2秒間)に達するまでは(ステップB6)、この持ち方判別処理から抜けて図4のステップA2に移り、以下、同様の動作を繰り返すことによって検出回数カウンタの値をカウントアップする(ステップB5)。
【0035】
いま、判定用タイマJTの値が所定時間(例えば、2秒間)に達したときには(ステップB6でYES)、検出回数カウンタNC値は所定値(例えば、10回)以上かを調べる(ステップB7)。ここで、所定値以上であれば、つまり、タッチ操作時に振動数が多ければ(ステップB7でYES)、携帯電話機を片手で持たれていると判定してその判定結果を一時記憶しておくが(ステップB8)、タッチ操作時に振動数が少なく検出回数カウンタNCの値が所定値未満であれば(ステップB7でNO)、携帯電話機を両手で持たれていると判定してその判定結果を一時記憶しておく(ステップB9)。このようにして持ち方の判定が終わると、判定済みフラグF1を“1”とした後(ステップB10)、加速度センサ10及び判定用タイマJTを停止すると共に、検出回数カウンタNCをリセットする(ステップB11)。そして、この持ち方判別処理から抜けて図4のステップA2に移る。
【0036】
一方、前回タッチキーが操作されてから所定時間(タッチ無操作時間)が経過したときには(図4のステップA17でYES)、タッチ無操作フラグF2を“1”とした後(ステップA18)、上述の持ち方判別処理で一時記憶した判別結果を読み出し(ステップA19)、携帯電話機を片手で持たれていると判定したかを調べる(ステップA20)。その結果、両手で持たれていると判定したときには(ステップA20でNO)、上述のステップA2に戻るが、片手で持たれていると判定したときには(ステップA20でYES)、タッチスクリーンTSの表示内容を上側にスクロールすることによって無表示部分を生成し、この無表示部分をタッチ無効化領域TIとして確保する(ステップA21)。その後、上述のステップA2に戻る。
【0037】
以上のように、第1実施形態において制御部1は、携帯電話機の持ち方に応じてタッチスクリーンTS上の一部分にタッチ操作を無効とするタッチ無効化領域TIを確保するようにしたので、指を置いてもタッチとはならない安全な領域を確保することができ、携帯電話機を安定して持つことが可能となると共に、親指などを休ませる(指を置く)ことが可能となり、携帯電話機を片手で長時間持ちながらメールや映像などを見る場合に便利なものとなる。
【0038】
携帯電話機を片手で持っている場合に、タッチスクリーンTS上にタッチ無効化領域TIを確保するようにしたので、携帯電話機を片手でも安定して持つことができる。
【0039】
タッチスクリーンTSへのタッチ操作中に、携帯電話機のX軸、Y軸の軸周りに回転する方向の加速度が所定時間以上検出された場合に、片手で持たれていると判別するようにしたので、携帯電話機が不安定な状態で持たれているか(片手で持たれているか)を加速度センサ10によって容易に判別することができる。
【0040】
タッチスクリーンTSへのタッチ操作が所定時間行われていない場合に、持ち方に応じてタッチ無効化領域TIを確保するようにしたので、タッチ操作を行わず、携帯電話機を片手で長時間持ちながらメールや映像などを見るような場合に、タッチ無効化領域TIを確保することができる。
【0041】
タッチスクリーンTSへのタッチ操作が再開された際に、タッチ無効化領域TIを解除してタッチスクリーンTSを元の状態に戻すようにしたので、タッチスクリーンTSへの操作を再開するだけで、より広い領域での操作に戻ることができる。
【0042】
タッチスクリーンTSの表示内容を所定の方向にスクロールさせることで操作無効領域TIを確保するようにしたので、現在の表示状態を維持しつつ指を置いてもタッチとはならない安全な領域を確保することができる。
【0043】
(実施形態2)
以下、本発明の第2実施形態について図6〜図8を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、タッチスクリーンTSの一部分(下端部)にタッチ無効化領域TIを固定的に確保するようにしたが、第2実施形態においては、携帯電話機のどの側面が手に持たれたかによってタッチ無効化領域TIを設ける配設位置を変えるようにしたものである。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0044】
図6は、第2実施形態において、携帯電話機(筐体)のどの側面が片手で持たれたかを検出するタッチセンサ11の配設位置を説明するための図である。
携帯電話機を構成する筐体(全体が矩形の筐体)の上下左右の側面部には、矩形のタッチスクリーンTSの各辺を囲むようにタッチセンサ11が配設されている。すなわち、筐体の上側面部には、上側タッチセンサ11が配設され、筐体の下側面部には、下側タッチセンサ11が配設され、筐体の左側面部には、左側タッチセンサ11が配設され、筐体の右側面部には右側タッチセンサ11が配設されている。なお、タッチスクリーンTSを囲むように配設された各タッチセンサ11は、人体の接触を検出する静電容量型のタッチセンサである。
【0045】
図7は、第2実施形態において携帯電話機のどの側面が持たれたかによってタッチ無効化領域TIが配設される位置を説明するための図である。なお、図示の例では、携帯電話機をビュースタイルとした場合を示している。
図7(1)は、携帯電話機(筐体)の下側面部が片手持ちされた場合で、下側タッチセンサ11によって筐体の下側面部が持たれたことが検出されると、タッチ無効化領域TIは、タッチスクリーンTSの下端部に確保される。図7(2)は、筐体の上側面部が片手持ちされた場合で、上側タッチセンサ11によって筐体の上側面部が持たれたことが検出されると、タッチ無効化領域TIは、タッチスクリーンTSの上端部に確保される。図7(3)は、筐体の右側面部が片手持ちされた場合で、右側タッチセンサ11によって筐体の右側面部が持たれたことが検出されると、タッチ無効化領域TIは、タッチスクリーンTSの右端部に確保される。図7(4)は、筐体の左側面部が片手持ちされた場合で、左側タッチセンサ11によって筐体の左側面部が持たれたことが検出されると、タッチ無効化領域TIは、タッチスクリーンTSの左端部に確保される。
【0046】
図8は、第2実施形態において、タッチスクリーン一部無効化処理を示したフローチャートであり、一定時間毎(例えば、1秒毎)の割り込みによって実行開始される。
先ず、いずれかのタッチセンサ11へのタッチを検出したかを調べ(ステップC1)、いずれかのタッチセンサ11にもタッチされなければ(ステップC1でNO)、このフローから抜けるが、いずれかのタッチセンサ11にタッチされたときには(ステップC1でYES)、タッチされたタッチセンサ11の数は1つであるか、つまり、筐体が片手持ちされたのかを調べる(ステップC2)。
【0047】
いま、タッチされたタッチセンサ11の数は2つ以上で、筐体が両手で持たれたときには(ステップC2でNO)、このフローから抜けるが、筐体が片手で持たれたときには(ステップC2でYES)、どのタッチセンサ11がタッチされたのか(上下左右のいずれのタッチセンサ11がタッチされたのか)を調べる(ステップC3、C5、C7)。いま、上側のタッチセンサ11がタッチされたときには(ステップC3でYES)、タッチスクリーンTSの表示全体を下側に所定エリアだけスクロールして無表示部分を生成し、この無表示部分をタッチ無効化領域TI(図7(2)参照)として確保する(ステップC4)。
【0048】
また、下側のタッチセンサ11がタッチされたときには(ステップC5でYES)、タッチスクリーンTSの表示全体を上側に所定エリアだけスクロールして無表示部分を生成し、この無表示部分をタッチ無効化領域TI(図7(1)参照)として確保する(ステップC6)。また、右側のタッチセンサ11がタッチされたときには(ステップC7でYES)、タッチスクリーンTSの表示全体を左側に所定エリアだけスクロールして無表示部分を生成し、この無表示部分をタッチ無効化領域TI(図7(3)参照)として確保する(ステップC8)。また、左側のタッチセンサ11がタッチされたときには(ステップC7でNO)、タッチスクリーンTSの表示全体を右側に所定エリアだけスクロールして無表示部分を生成し、この無表示部分をタッチ無効化領域TI(図7(4)参照)として確保する(ステップC9)。
【0049】
このようにしてタッチスクリーンTS上にタッチ無効化領域TIが確保されている状態において、上述した第1実施形態と同様に、制御部1は、着信時にオフフック操作が行われると、タッチ無効化領域TIを解除してタッチスクリーンTSを元の状態に戻し、また、いずれかの操作が行われると、タッチ無効化領域TIを解除してタッチスクリーンTSを元の状態に戻すようにしている。
【0050】
以上のように、この第2実施形態においては、携帯電話機(筐体)のどの側面が持たれているかを判別し、この判別された側面側にタッチ無効化領域TIを確保するようにしたので、どのような持ち方であってもタッチとはならない安全な領域を確保することができ、携帯電話機を安定して持つことが可能となると共に、親指などを休ませる(指を置く)ことが可能となり、携帯電話機を片手で長時間持ちながらメールや映像などを見る場合に便利なものとなる。
【0051】
なお、上述した第2実施形態においては、携帯電話機を構成する筐体の上下左右の側面部に、タッチスクリーンTSを囲むようにタッチセンサ11を配設するようにしたが、更に、筐体の四隅の側面部にタッチセンサ11を配設するようにしてもよい。すなわち、筐体の右上角部が持たれたことを検出する右上側タッチセンサ11と、筐体の右下角部が持たれたことを検出する右下側タッチセンサ11と、筐体の左上角部が持たれたことを検出する左上側タッチセンサ11と、筐体の左下角部が持たれたことを検出する左下側タッチセンサ11を配設するようにしてもよい。
【0052】
そして、右上側タッチセンサ11によって筐体の右上角部が持たれたことが検出された場合には、タッチスクリーンTSの右上角部にタッチ無効化領域TIを確保し、右下側タッチセンサ11によって筐体の右下角部が持たれたことが検出された場合には、タッチスクリーンTSの右下角部にタッチ無効化領域TIを確保し、左上側タッチセンサ11によって筐体の左上角部が持たれたことが検出された場合には、タッチスクリーンTSの左上角部にタッチ無効化領域TIを確保し、左下側タッチセンサ11によって筐体の左下角部が持たれたことが検出された場合には、タッチスクリーンTSの左下角部にタッチ無効化領域TIを確保するようにしてもよい。
【0053】
また、上述した各実施形態においては、タッチスクリーンTSの横幅/縦幅に応じた大きさのタッチ無効化領域TIを確保するようにしたが、その幅の半分の大きさであってもよい。また、タッチ無効化領域TIの形状も矩形に限らず、任意であり、台形、三角形、円形など、任意である。
【0054】
上述した各実施形態においては、2軸ヒンジタイプの携帯電話機に適用したが、折り畳みタイプ、スライドタイプ、スピントップタイプなど任意の筐体構造であってもよく、また、スタイルとして、オープンスタイル、ビュースタイルを例示したが、筐体構造に応じた任意のスタイルであってもよい。また、操作部4を備えず、タッチスクリーンTSのみで操作を行うタイプであってもよい。また、スタイルには、そのスタイルに変更されるまでの途中の形態(前後の形態)を含めてもよい。例えば、折り畳みタイプにおいてオープンスタイルとは、完全に折り畳みを開いた状態のみに限らず、その途中の形態(例えば、半開き状態)をも含めてもよい。
【0055】
上述した各実施形態においては、携帯電話機を例示したが、これに限らず、例えば、パーソナルコンピュータ、PDA、デジタルカメラ、音楽プレイヤー、それらの複合機など、任意の端末装置であってもよい。
【0056】
上述した各実施形態において示した“装置”や“機”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 制御部
3 記憶部
4 操作部
7 表示部
8 タッチセンサ
9 時計部
10 加速度センサ
11 タッチセンサ
F1 判定済みフラグ
F2 タッチ無操作フラグ
JT 判定用タイマ
NC 検出回数カウンタ
TS タッチスクリーン
TI タッチ無効化領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチスクリーンを備えた端末装置であって、
当該端末装置の持ち方を判別する持ち方判別手段と、
この持ち方判別手段によって判別された持ち方に応じて、前記タッチスクリーン上の一部分にタッチ操作を無効とするタッチ無効化領域を確保する制御手段と、
を具備したことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記持ち方判別手段は、当該端末装置の持ち方として両手あるいは片手のどちらで持っているかを判別し、
前記制御手段は、前記持ち方判別手段によって片手で持っていると判別された場合に、前記タッチスクリーン上の一部分にタッチ無効化領域を確保する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項3】
当該端末装置に加わる加速度を検出する加速度検出手段を更に備え、
前記持ち方判別手段は、前記タッチスクリーンへのタッチ操作中に、前記加速度検出手段によって当該端末装置のX軸あるいはY軸の軸周りに回転する方向の加速度が所定時間以上検出された場合に、片手で持たれていると判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項2記載の端末装置。
【請求項4】
前記持ち方判別手段は、当該端末装置のどの側面が持たれているかを判別し、
前記制御手段は、前記タッチ無効化領域を前記持ち方判別手段によって判別された側面側に確保する、
ようにしたことを特徴とする請求項2記載の端末装置。
【請求項5】
前記タッチスクリーンへのタッチ操作が所定時間行われていないか否かを判別する時間判別手段を更に備え、
前記制御手段は、前記時間判別手段によって前記タッチスクリーンへのタッチ操作が所定時間行われていないと判別された場合に、持ち方判別手段によって判別された持ち方に応じて、前記タッチスクリーン上の一部分にタッチ操作を無効とするタッチ無効化領域を確保する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記タッチスクリーンへのタッチ操作が再開された際に、前記タッチ無効化領域を解除して当該タッチスクリーンを元の状態に戻す、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項7】
前記制御手段は、タッチスクリーン上の表示内容を所定の方向にスクロールさせることによって生成された非表示領域をタッチ無効化領域として確保する、
ようにしたことを特徴とする請求1項記載の端末装置。
【請求項8】
コンピュータに対して、
当該端末装置の持ち方を判別する機能と、
前記判別された持ち方に応じて、タッチスクリーン上の一部分にタッチ操作を無効とするタッチ無効化領域を確保する機能と、
を実現させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−28603(P2011−28603A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175054(P2009−175054)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】