説明

筆記具用箱

【課題】内部に収容された各々の筆記具をスムーズに取り出すことができ、且つ、胴部の強度を向上させることができる筆記具用箱を提供する。
【解決手段】角筒状の胴部3と、胴部3の上端に形成した蓋部5と、胴部3の下端に形成した底部4と、胴部3内に挿入される内装体6とからなる。胴部3上部と蓋部5とが、胴部3の背面で折り曲げ自在に接続されるヒンジ蓋8を構成する。ヒンジ蓋8の開放時、内装体6が外部に露出し、ヒンジ蓋8の閉鎖時、内装体6の外面がヒンジ蓋8の内面と係止する。内部に複数の筆記具7を横一列に収容する。胴部3、蓋部5、及び底部4を構成する紙の坪量が350g/m以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具用箱に関する。詳細には、複数の筆記具を横一列に収容する紙製の筆記具用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の筆記具を収容する、ヒンジ蓋を備えた筆記具用箱が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−284845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の筆記具用箱は、複数の筆記具を正面側と背面側の前後に重なるように横2列に収容する構成が記載されている。前記筆記具用箱において、背面側(ヒンジ蓋側)の筆記具をスムーズに取り出すことができないおそれがある。
【0005】
本発明は前記従来の問題点を解決するものであって、内部に収容された各々の筆記具をスムーズに取り出すことができ、且つ、胴部の強度を向上させることができる筆記具用箱を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本願の第1の発明は、角筒状の胴部3と、前記胴部3の上端に形成した蓋部5と、前記胴部3の下端に形成した底部4と、前記胴部3内に挿入される内装体6とからなり、前記胴部3上部と前記蓋部5とが、前記胴部3の背面で折り曲げ自在に接続されるヒンジ蓋8を構成し、前記ヒンジ蓋8の開放時、前記内装体6が外部に露出し、前記ヒンジ蓋8の閉鎖時、前記内装体6の外面がヒンジ蓋8の内面と係止してなる、複数の筆記具7を収容してなる紙製の筆記具用箱であって、内部に複数の筆記具7を横一列に収容し、前記胴部3、前記蓋部5、及び前記底部4を構成する紙の坪量が350g/m以上(好ましくは400g/m以上)であることを要件とする。
【0007】
前記第1の発明の筆記具用箱1は、内部に複数の筆記具7を横一列に収容することによって、内部に収容された各々の筆記具7をスムーズに取り出すことができる。また、前記第1の発明の筆記具用箱1は、前記胴部3、前記蓋部5、及び前記底部4を構成する紙の坪量が350g/m以上(好ましくは400g/m以上)であることにより、胴部3の強度が向上し、胴部3を把持した際に胴部3が内側に変形することを抑止できる。
【0008】
<2>本願の第2の発明は、前記第1の発明の筆記具用箱1において、前記内装体6を構成する紙の坪量が350g/m以上(好ましくは400g/m以上)であることを要件とする。
【0009】
前記第2の発明の筆記具用箱1は、内装体6を構成する紙の坪量が350g/m以上(好ましくは400g/m以上)であることによって、胴部3の強度が一層向上し、胴部3を把持した際に胴部3が内側に変形することを抑止できる。
【0010】
<3>本願の第3の発明は、前記第2または第3の発明の筆記具用箱1において、前記内装体6の中央部に、内側に折り曲げられた切り込み片67を設け、前記切り込み片67が前記胴部3の正面と背面を支持してなることを要件とする。
【0011】
前記第3の発明の筆記具用箱1は、前記内装体6の中央部に、内側に折り曲げられた切り込み片67を設け、前記切り込み片67が前記胴部3の正面と背面を支持してなることにより、胴部3の強度が一層向上し、胴部3を把持した際に胴部3が内側に変形すること抑止できる。
【0012】
<4>本願の第4の発明は、前記第1、第2または第3の発明の筆記具用箱1において、前記胴部3の表面に合成樹脂製フィルムを貼着してなることを要件とする。
【0013】
前記第4の発明の筆記具用箱1は、前記胴部3の表面に合成樹脂製フィルムを貼着してなることにより、胴部3の強度が一層向上し、胴部3を把持した際に胴部3が内側に変形すること抑止できる。
【0014】
<5>本願の第4の発明は、前記第1、第2、第3または第4の発明の筆記具用箱1において、前記内装体6の上部中央にスリット65を形成し、前記ヒンジ蓋8の正面の下端部中央に係止片81を形成し、前記ヒンジ蓋8の閉鎖時、前記スリット65に前記係止片81を差込係止可能に構成したことを要件とする。
【0015】
前記第5の発明の筆記具用箱1は、胴部3の強度が向上することによって、繰り返しの係脱に対する耐久性が向上する。また、前記第5の発明の筆記具用箱1は、内装体6の強度が向上することによって、繰り返しの係脱に対する耐久性が向上する。また、前記第5の発明の筆記具用箱1は、胴部3及び内装体6の強度が向上することによって、繰り返しの係脱に対する耐久性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の筆記具用箱は、内部に収容された各々の筆記具をスムーズに取り出すことができ、且つ、胴部の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態の箱本体及び内装体の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態の箱本体内に内装体及び筆記具を収容した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態の箱本体内に内装体及び筆記具を収容した後、蓋部5を形成した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態のヒンジ蓋を開放した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態のヒンジ蓋を閉鎖した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び図2に本発明の実施の形態を示す。
【0019】
本発明の実施の形態の筆記具用箱1を、図1乃至図5に示す。
本実施の形態の筆記具用箱1は、角筒状の胴部3と、前記胴部3の上端に形成した蓋部5と、前記胴部3の下端に形成した底部4とからなる紙製の箱本体2と、前記箱本体2内に挿入され且つ下端が底部4内面に当接する横断面コ字状の紙製の内装体6とからなる。前記箱本体2(胴部3、蓋部5、及び底部4)、及び内装体6を構成する紙の坪量は、350g/m以上(好ましくは400g/m以上)である。前記箱本体2の表面には、合成樹脂製フィルム(例えばポリプロピレン製フィルム)が貼着される。
【0020】
・胴部
前記胴部3は、正面板31と、該正面板31と対向する背面板32と、前記正面板31と前記背面板32とを接続し且つ互いに対向する第1側面板33と第2側面板34とからなる。前記正面板31、前記第1側面板33、前記第2側面板34には、ミシン目35が形成される。前記正面板31の下部には横方向(左右方向)に延びる窓孔36が形成される。
【0021】
前記蓋部5は、正面板31の上端に連設された蓋板片51と、前記蓋板片51の外側端部に連設された折込片52と、第1側面板33の上端に連設され且つ蓋板片51に貼着される第1耳片53と、第2側面板34の上端に連設され且つ蓋板片51に貼着される第2耳片54とからなる。
【0022】
・内装体
前記内装体6は、横断面コ字状に折り曲げ形成される。前記内装体6は、中央板61と、該中央板61の右側に折り曲げ状に連設される第1側板62、該中央板61の左側に折り曲げ状に連設される第2側板63とからなる。
【0023】
前記内装体6の中央部(即ち中央板61の中央部)には、切り込み片67が内側に折り曲げられて設けられる。前記内装体6を前記胴部3内に収容した際、前記切り込み片67が前記胴部3の正面板31と背面板32を支持してなる。
【0024】
前記中央板61の上端部中央には切り欠き64が形成される。前記中央板61の上部中央(即ち切り欠き64の下方)にはスリット65が形成される。前記中央板61の下部には横方向(左右方向)に延びる窓孔66が形成される。前記内装体6を前記胴部3内に収容した際、前記内装体6の窓孔66と、前記胴部3の窓孔36とが一致(即ち連通)し、前記内装体6の窓孔66と前記胴部3の窓孔36とを通して内部に収容された複数の筆記具7の各々が外部より視認可能となる。
【0025】
・内装体の挿入
前記角筒状に形成した胴部3に内部に、上方より前記内装体6が挿入される。内装体6の下端は、底部4内面に当接される。(図1参照)
【0026】
・筆記具の挿入
前記内装体6を内部に備えた筆記具用箱1に、複数本の筆記具7を、キャップ側を上にして横一列に収容する。前記各々の筆記具7のキャップの上端面には、インキ色またはペン先種類を識別する表示が設けられる。(図2参照)
【0027】
・蓋部の形成
筆記具7を収容した後、第1耳片53と第2耳片54とを蓋板片51に貼着し、折込片52を第1耳片53及び第2耳片54と背面板32内面との隙間に差し込み係止し、胴部3の上端に蓋部5が形成される。本発明の筆記具用箱1は、製造後、この状態で出荷され、ユーザーが使用開始するまでこの状態が維持される(図3参照)。
【0028】
・ヒンジ蓋
本実施の形態の筆記具用箱1をユーザーが使用開始する際、前記ミシン目35に沿って切断することにより、胴部3上部と蓋部5とが、胴部3の背面板32に接続されるヒンジ蓋88を構成する。前記ヒンジ蓋8の正面下端中央には、係止片81が突出形成される。前記ヒンジ蓋8の開放時、内装体6が外部に露出される。前記ヒンジ蓋8の閉鎖時、内装体6の外面がヒンジ蓋8の内面と係止されるとともに、係止片81がスリット65に差し込み係止される。前記背面板32の表面には、合成樹脂製フィルムが貼着されているため、ヒンジ蓋8の開閉による繰り返しの屈曲に対する耐久性が増す。
【符号の説明】
【0029】
1 筆記具用箱
2 箱本体
3 胴部
31 正面板
32 背面板
33 第1側面板
34 第2側面板
35 ミシン目
36 窓孔
4 底部
5 蓋部
51 蓋板片
52 折込片
53 第1耳片
54 第2耳片
6 内装体
61 中央板
62 第1側板
63 第2側板
64 切り欠き
65 スリット
66 窓孔
67 切り込み片
7 筆記具
8 ヒンジ蓋
81 係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角筒状の胴部と、前記胴部の上端に形成した蓋部と、前記胴部の下端に形成した底部と、前記胴部内に挿入される内装体とからなり、前記胴部上部と前記蓋部とが、前記胴部の背面で折り曲げ自在に接続されるヒンジ蓋を構成し、前記ヒンジ蓋の開放時、前記内装体が外部に露出し、前記ヒンジ蓋の閉鎖時、前記内装体の外面がヒンジ蓋の内面と係止してなる、複数の筆記具を収容してなる紙製の筆記具用箱であって、
内部に複数の筆記具を横一列に収容し、前記胴部、前記蓋部、及び前記底部を構成する紙の坪量が350g/m以上であることを特徴とする筆記具用箱。
【請求項2】
前記内装体を構成する紙の坪量が350g/m以上である請求項1記載の筆記具用箱。
【請求項3】
前記内装体の中央部に、内側に折り曲げられた切り込み片を設け、前記切り込み片が前記胴部の正面と背面を支持してなる請求項1または2記載の筆記具用箱。
【請求項4】
前記胴部の表面に合成樹脂製フィルムを貼着してなる請求項1乃至3のいずれかに記載の筆記具用箱。
【請求項5】
前記内装体の上部中央にスリットを形成し、前記ヒンジ蓋の正面の下端部中央に係止片を形成し、前記ヒンジ蓋の閉鎖時、前記スリットに前記係止片を差込係止可能に構成した請求項1乃至4のいずれかに記載の筆記具用箱。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−195171(P2011−195171A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64013(P2010−64013)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】