説明

筒体の塗装方法

【課題】長手方向で断面形状が変化する筒体の内表面及び外表面に一定膜厚の塗装膜を精度良く塗布する。
【解決手段】筒体1の軸線を中心に回転させる回転駆動手段3と、移動手段12により筒体1の軸線と平行且つ筒体1の内表面1aと間隔を隔てて移動し円錐状に塗料を噴射するスプレーガン5と、噴射圧を調整してスポット径dを調整する圧力調節手段10とを設け、スプレーガン5と筒体1の長手方向表面との相対距離Lを予め計測しておき、スポット径dが相対距離Lに応じて一定に保持されるよう噴射圧を調整して筒体1の回転とスプレーガン5の移動とを行い、同時に、相対距離Lの減少時にはスプレーガン5の移動速度の増加と筒体1の回転速度の減少の少なくとも一方を行い、相対距離Lの増加時にはスプレーガン5の移動速度の減少と筒体1の回転速度の増加の少なくとも一方を行って、筒体表面に一定の塗布パターン幅で且つ一定のパターン間隔による一定膜厚の塗装膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒体、特にシャフトのように長さが長く更に長手方向で部分的に断面形状が変化するような筒体の内表面及び外表面に一定膜厚の塗装膜を形成するようにした筒体の塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばシャフトには、図13に一例を示すように例えば直径が150mm前後で長さが3000mm前後のような細長い筒体1によって構成されたものがあり、このようなシャフトは、断面形状が長手方向において均一ではなく、内表面及び外表面の夫々に部分的な凹凸部Aが形成されているものがある。そして、このようなシャフトにおいて、内表面と外表面に50〜60μmの薄い膜厚の塗装膜を形成することが実施されており、この塗装膜は塗布後に焼き付け処理を行って筒体と一体化しているがこの焼き付け処理の安定性を保持するために前記塗装膜の膜厚の誤差を30μm程度内に収めるという厳しい要求がある。
【0003】
従来、このようなシャフトの内表面を塗装する際は、長尺のアームの先端に周方向全周へ向けて塗料を噴射するようにしたスプレーガンを取り付けたスプレー装置を用意し、作業員がアームを把持してスプレーガンを筒体内に挿入することにより塗布していた。又、筒体の外表面を塗装する際は、作業員がスプレーガンを手で把持して塗布していた。
【0004】
前記したように50〜60μmの薄い膜厚を均一に塗布するために、従来は10μm以下程度の極めて薄い塗装膜を6〜7回重ねて塗布するようにしているが、従来は前記したように作業員が手作業で行っているために、50〜60μmのような薄い塗装膜を均一に塗布することは難しく、塗装には熟練を要していた。特にシャフトの内表面を塗布する際は目視によって確認することができないために熟練した作業員によっても均一な塗装を行うことは非常に困難であり、しかも塗装作業に長時間を要するという問題を有していた。
【0005】
一方、電子写真用感光ドラムのような筒体を回転させ、ノズルヘッドを回転軸と平行に移動させて筒体の外表面に連続した塗布膜を形成するものがある(特許文献1参照)。
【0006】
又、塗布剤を略一定の吐出流量で塗布ガンから噴出させ、その時の塗布剤の塗布パターン幅を検知するパターン幅検知工程と、検知された塗布パターン幅を目標パターン幅と比較し、両パターン幅の偏差に基づき、両パターン幅を一致させるための塗布ガンとワークとの距離を設定する距離設定工程とを備えることにより、塗布材の温度変化や粘性変化等によらずに、所定の目標パターン幅で塗布ガンから噴出させつつ塗布材を均一にワークに塗布するようにしたものがある(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平04−074570号公報
【特許文献2】特開平09−029164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1は、電子写真用感光ドラムのような均一外径の筒体に適用するものであって、前記したシャフトのように断面形状が長手方向で部分的に変化する筒体の表面に適用した場合には、形状が変化する表面に塗装膜を一定膜厚で精度良く形成することはできず、又、特許文献2は、塗布パターン幅を目標パターン幅に一致させることはできても、単に目標パターン幅で塗装を行うのみでは、前記したシャフトのように断面形状が長手方向で部分的に変化する筒体の表面に適用した場合には、形状が変化する表面に塗装膜を一定膜厚で精度良く形成することはできないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなしたもので、特にシャフトのように長手方向で部分的に断面形状が変化するような筒体の内表面及び外表面に一定膜厚の塗装膜を精度良く塗布できるようにした筒体の塗装方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、筒体の表面に一定膜厚の塗装膜を形成する筒体の塗装方法であって、
筒体の軸線を中心に回転駆動可能に支持する回転駆動手段と、移動手段により前記筒体の軸線と平行且つ筒体の表面と間隔を隔てて移動し筒体の表面に錐状に塗料を噴射するスプレーガンと、該スプレーガンからの塗料の噴射量及び空気の噴射圧を調整して筒体表面に塗布されるスポット径及び塗布量を調整するようにした圧力調節手段とを設け、
スプレーガンと筒体の長手方向表面との相対距離を予め求めておき、
筒体表面に塗布されるスポット径が前記相対距離に応じて一定に保持されるよう噴射圧を調整して筒体の回転とスプレーガンの移動とを行うことにより螺旋状の塗布パターンを形成し、同時に、前記相対距離の減少時にはスプレーガンの移動速度の増加と筒体の回転速度の減少の少なくとも一方を行い、又、前記相対距離の増加時にはスプレーガンの移動速度の減少と筒体の回転速度の増加の少なくとも一方を行うことにより、
筒体表面に一定の塗布パターン幅で且つ一定のパターン間隔による一定膜厚の塗装膜を形成することを特徴とする筒体の塗装方法、に係るものである。
【0010】
上記筒体の塗装方法において、前記スプレーガンの移動速度をVs、筒体の回転速度をωとしたとき、
【数1】

【数2】

Vp:スポットが筒体表面を移動する速度
d:スポット径
a:塗布パターンの重なり幅
であることは好ましい。
【0011】
又、前記筒体の塗装方法において、筒体の内表面を塗装することができる。
【0012】
又、前記筒体の塗装方法において、筒体の外表面を塗装することができる。
【0013】
又、前記筒体の塗装方法において、螺旋状に塗布した塗装膜上に更に塗装膜を形成する際は、前回の塗布パターンに対して位相をずらした塗布パターンで塗布することが好ましい。
【0014】
又、前記筒体の塗装方法において、筒体の表面に筒体の長手方向中間位置まで塗装膜を形成して塗布を停止した後、筒体を長手方向に反転し、残りの表面に前記停止位置である繋ぎ部まで塗装膜を形成することができる。
【0015】
又、前記筒体の塗装方法において、繋ぎ部を有して形成された塗装膜上に更に塗装膜を形成する際は、前回の繋ぎ部とは異なる位置まで塗装膜を形成して塗布を停止した後、筒体を長手方向に反転し、残りの表面に今回の停止位置である繋ぎ部まで塗装膜を形成し、塗装膜の繋ぎ部が前回と今回とで重ならないようにすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の筒体の塗装方法によれば、スプレーガンと筒体表面との相対距離の変化に応じて筒体表面に塗布されるスポット径が常に一定に保持されるように噴射圧を調整した状態において、前記相対距離の減少時にはスプレーガンの移動速度と筒体の回転速度とを増加し、前記相対距離の増加時にはスプレーガンの移動速度と筒体の回転速度とを減少するようにしたので、筒体の断面形状が変化しても筒体表面に一定の塗布パターン幅で且つ塗布パターンが互いに一定の重なり幅でラップした一定膜厚の塗装膜を形成できるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0018】
図1は筒体の一部にコーン状に拡がった形状変化部を有する筒体の内表面に塗装膜を形成する場合の本発明の一例を示す側面図、図2は図1のII−II方向矢視図である。図1、図2において、1は筒状の長手方向の一部にコーン拡径部2aからなる形状変化部2を有する筒体、3は例えばローラ4により筒体1を支持して筒体1の軸線を中心に回転駆動するようにした回転駆動手段、5は移動手段12に支持されているアーム6の先端に固定したスプレーガンである。移動手段12は、前記筒体1の軸線と平行に設けたガイドレール7に沿って移動する移動台車8を備えており、アーム6を介して移動手段12に支持されたスプレーガン5は、噴射口5aが筒体1の内表面1aとの間に所要の相対距離Lを有して移動するようになっている。
【0019】
前記スプレーガン5には塗料供給装置9により一定量の塗料が供給されるようになっており、更に、スプレーガン5には圧力調節手段10からの任意の噴射圧Pに設定された加圧空気が供給されるようになっており、これによりスプレーガン5の噴射口5aからは塗料が円錐状に噴射されて、筒体1の内表面1aに所要のスポット径dで塗料を塗布するようになっている。
【0020】
図3は筒体1の長手方向の一部にコーン拡径部2aからなる形状変化部2を有する筒体1の外表面1bに塗装膜を形成する場合の本発明の一例を示すもので、図3では回転駆動手段3が筒体1の両端に嵌合して筒体1の軸線を中心に回転駆動する回転治具11を備えた場合を示している。そしてこの場合のスプレーガン5は、該スプレーガン5の噴射口5aと筒体1の外表面1bとの間に所要の相対距離Lを有して移動するようにガイドレール7に沿って移動する移動台車8にアーム6を介して固定されている。
【0021】
図4、図5は、前記スプレーガン5と筒体1の表面1a,1bとの相対距離Lと、スポット径dと、噴射圧Pの関係を示したもので、相対距離Lが大きくなるとスポット径dは大きくなり、相対距離Lが小さくなるとスポット径dは小さくなり、又、噴射圧Pが大きくなるとスポット径dは小さくなり、噴射圧Pが小さくなるとスポット径dは大きくなる関係を有している。
【0022】
次に、上記図示例の作動を説明する。
【0023】
図1、図3の装置によって筒体1の塗装を行うには、先ずスプレーガン5と筒体1の長手方向の表面1a,1bとの相対距離Lを計測する。この時、筒体1の形状寸法については製造の段階におけるデータが存在しているので、このデータに基づき、筒体1の軸線と平行に移動するスプレーガン5と表面1a,1bとの間隔位置を設定することで、相対距離Lは容易に求めることができる。この相対距離Lは図示しないパーソナルコンピュータ等の制御装置に入力する。図1の例では、スプレーガン5の噴射口5aの位置を筒体1の軸線に一致させているが、スプレーガン5と筒体1の表面1a,1bとの間隔はスポット径dの大きさや噴射時の気流の乱れ等を考慮して任意に設定することができる。
【0024】
図1における筒体1の内表面1aを塗装する場合と、図3における筒体1の外表面1bを塗装する場合とは、全く同一の方法を用いて塗装することができるので、以下では、図1における筒体1の内表面1aを塗装する場合について説明し、図3における筒体1の外表面1bを塗装する場合については説明を省略する。
【0025】
前記スプレーガン5には、塗料供給装置9により一定量の塗料が供給され、且つ圧力調節手段10によって噴射圧Pに調節された加圧空気が供給されているので、スプレーガン5からは一定量の塗料が加圧空気により円錐状に噴射され、筒体1の内表面1aにスポット状に塗布される。ここで、図6に示すように、スプレーガン5と筒体1の内表面1aとの相対距離Lが一定である平坦部においては、スポット径d(図4参照)が所望の設定値になるようにスプレーガン5に供給する空気の噴射圧Pを一定の設定圧P1に設定する。又、スプレーガン5と内表面1aとの相対距離Lが増加するコーン拡径部2aにおいては、前記設定されたスポット径dと同一の径が保持されるように、相対距離Lの増加に応じてスプレーガン5の噴射圧Pを増加させる設定圧P2に設定する。
【0026】
同時に、スプレーガン5と内表面1aとの相対距離Lが一定の平坦部においては、図7に示すように前記設定されたスポット径dによる塗布パターン13が相互に所要の間隔を保持して(塗布パターン13が相互に一定の重なり幅aでラップして)設定された膜厚になるようにスプレーガン5の移動速度と筒体1の回転速度とを設定する。一方、スプレーガン5と内表面1aとの相対距離Lが増加するコーン拡径部2aにおいては、前記一定の重なり幅aを保持し且つ設定された膜厚になるように図6に示す如くスプレーガン5の移動速度と筒体1の回転速度を相対距離Lに応じて減少させるように制御する。
【0027】
上記スプレーガン5の移動速度と筒体1の回転速度の関係については、図8を参照して行う以下の方法によって設定することができる。図8中、太い矢印は前回と今回の塗布パターンの方向を示す軌跡であり、Vsはスプレーガン5の移動速度、Vpはスポットが筒体1の内表面1aを移動する塗装速度、S1はピッチ周期、θはピッチ角、dはスポット径、aはスポット径の重なり幅である。
【0028】
先ず、塗装速度Vpを一定とするためには、筒体1の回転速度をωとすると
【数3】

r:筒体1の半径
である。
【0029】
又、塗布パターンの重なり幅aを一定にするためには
【数4】

S0=d−a
【数5】

である。
【0030】
上記式をスプレーガン5の移動速度Vsと筒体1の回転速度ωについて解くと、
【数6】

【数7】

となる。
【0031】
図6の原点Oを始点として塗装を開始し、予め求められているスプレーガン5と筒体1の内表面1aとの相対距離Lに基づいて、前記噴射圧Pと、スプレーガン5の移動速度Vsと、筒体1の回転速度ωを自動的に制御すると、筒体1の内表面1aには、図7、図8に示すように一定幅の塗布パターン13が一定の塗布パターン間隔S0を有して(塗布パターン13が円の場合には塗布パターン13が相互に一定の重なり幅aでラップして)一定の膜厚を有する螺旋状の塗装膜が形成されるようになる。
【0032】
上記したように、筒体1の内表面1aに塗布されるスポット径dがスプレーガン5と内表面1aとの相対距離Lの変化に応じて常に一定に保持されるよう噴射圧Pを調整した状態において、前記相対距離Lの減少時には、筒体1の回転速度を一定とした状態においてスプレーガン5の移動速度を増加させる、或いは、スプレーガン5の移動速度を一定とした状態おいて筒体1の回転速度を減少させる、又はスプレーガン5の移動速度を増加させると同時に筒体1の回転速度を減少させる制御を行う。
【0033】
又、前記相対距離Lの増加時には、筒体1の回転速度を一定とした状態においてスプレーガン5の移動速度を減少させる、或いは、スプレーガン5の移動速度を一定とした状態おいて筒体1の回転速度を増加させる、又はスプレーガン5の移動速度を減少させると同時に筒体1の回転速度を増加させる制御を行う。
【0034】
このように、筒体1の内表面1aに塗布されるスポット径dが常に一定になるように噴射圧Pを調整した状態において、スプレーガン5と内表面1aとの相対距離Lに応じてスプレーガン5の移動速度Vsと筒体1の回転速度ωとを制御することにより、筒体1の断面形状が変化しても内表面1aに一定の塗布パターン幅で且つ塗布パターン13が互いに一定の重なり幅aでラップした一定膜厚の塗装膜を精度良く形成することができる。
【0035】
この時、前記塗布パターン13が楕円の場合には、塗布パターン間隔S0を一定にすると、塗布パターン13の重なり幅aが変化することになるため、この場合には塗布パターン13の重なり幅aが一定になるように、スプレーガン5の移動速度Vsと、筒体1の回転速度ωを補正するようにしてもよい。
【0036】
又、上記したように筒体1の内表面1aに形成した塗装膜上に、更に塗装膜を形成する際には、図9に示すように、前回の塗布パターン13aに対して位相をずらした塗布パターン13b,13cで塗布することが好ましい。図9では塗布パターン13aの1ピッチの中に更に2つの塗装膜が形成されるように位相を1/3ずつずらして重ね塗りした場合を示しているが、位相をずらす回数は重ね塗りの回数に応じて任意に設定することができる。又、位相をずらす方法としては、塗装作業の始点を図6の原点0からずらすことで行うことができる。
【0037】
図10に示すように位相を同じくして複数の重ね塗りを行った場合には、塗装膜の膜厚に厚い部分と薄い部分が生じてしまうが、前記図9に示したように位相をずらして塗布することにより、塗装膜の膜厚が平坦化されて一定膜厚の塗装膜を精度良く形成できるようになる。
【0038】
又、上記形態では筒体1の内表面1aを全長に亘って一回の操作で塗装する場合について説明したが、筒体1の内表面1aを筒体1の長手方向で2回に分けて塗布することもできる。即ち、図11(a)に示すように、筒体1の内表面1aに筒体1の長手方向中間位置まで塗装膜を形成して塗布を停止した後、筒体1を長手方向に反転し、図11(b)に示すように、残りの内表面1aに前記停止位置である繋ぎ部14まで塗装膜を形成する。尚、上記塗布を停止する位置では塗り残しが無く且つ不要な重ね塗りが生じないように、スプレーガン5の移動の停止と塗料の噴射の停止を制御する。
【0039】
更に、上記したように繋ぎ部14を有する塗装膜上に更に塗装膜を形成する際には、図12(a)に示すように、前回の繋ぎ部14とは異なる位置まで塗装膜を形成して塗布を停止した後、筒体1を長手方向に反転し、図12(b)に示すように、残りの表面に今回の停止位置である繋ぎ部14'まで塗装膜を形成し、今回の塗装膜の繋ぎ部14'が前回の繋ぎ部14と重ならないように塗布する。
【0040】
このように、筒体1の長手方向で2回に分けて塗布を行うと、特に内表面1aを塗布する際における図1のアーム6の長さ及びスプレーガン5の移動ストロークを短縮できるので、塗装装置を小型化することができる。
【0041】
なお、本発明は上記形態にのみ限定されるものできなく、シャフト以外にも長手方向で断面形状が変化する種々の筒体の塗装に適用できること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】コーン状に拡がった形状変化部を有する筒体の内表面に塗装膜を形成する場合の本発明の一例を示す側面図である。
【図2】図1のII−II方向矢視図である。
【図3】コーン状に拡がった形状変化部を有する筒体の外表面に塗装膜を形成する場合の本発明の一例を示す側面図である。
【図4】スプレーガンと筒体の表面との相対距離と、スポット径の関係を示す側面図である。
【図5】相対距離とスポット径と噴射圧の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の溶接方法の原理作動を示す線図である。
【図7】本発明により筒体の内表面に形成された螺旋状の塗装膜の概略図である。
【図8】スプレーガンの移動速度と筒体の回転速度を設定するための概念図である。
【図9】前回の塗布パターンに対して位相をずらして塗布した塗布パターンによる塗装膜の断面図である。
【図10】前回の塗布パターンに対して位相を同じくして塗布した塗布パターンによる塗装膜の断面図である。
【図11】(a)は筒体の内表面の長手方向途中まで塗布した状態の概略図、(b)は筒体を長手方向に反転し、内表面の残りを塗布して繋ぎ部を形成した状態の概略図である。
【図12】(a)は図11で形成した塗装膜の上に更に前記繋ぎ部とは異なる位置まで塗布した状態の概略図、(b)は筒体を長手方向に反転し、残りを塗布して前記とは異なる位置に繋ぎ部を形成した状態の概略図である。
【図13】シャフトの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 筒体
1a 内表面(表面)
1b 外表面(表面)
3 回転駆動手段
5 スプレーガン
10 圧力調節手段
12 移動手段
13 塗布パターン
14 繋ぎ部
14' 繋ぎ部
A 凹凸部
L 相対距離
P 噴射圧
1 設定圧
2 設定圧
a 重なり幅
d スポット径
ω 筒体の回転速度
Vs スプレーガンの移動速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒体の表面に一定膜厚の塗装膜を形成する筒体の塗装方法であって、
筒体の軸線を中心に回転駆動可能に支持する回転駆動手段と、移動手段により前記筒体の軸線と平行且つ筒体の表面と間隔を隔てて移動し筒体の表面に錐状に塗料を噴射するスプレーガンと、該スプレーガンからの塗料の噴射量及び空気の噴射圧を調整して筒体表面に塗布されるスポット径及び塗布量を調整するようにした圧力調節手段とを設け、
スプレーガンと筒体の長手方向表面との相対距離を予め求めておき、
筒体表面に塗布されるスポット径が前記相対距離に応じて一定に保持されるよう噴射圧を調整して筒体の回転とスプレーガンの移動とを行うことにより螺旋状の塗布パターンを形成し、同時に、前記相対距離の減少時にはスプレーガンの移動速度の増加と筒体の回転速度の減少の少なくとも一方を行い、又、前記相対距離の増加時にはスプレーガンの移動速度の減少と筒体の回転速度の増加の少なくとも一方を行うことにより、
筒体表面に一定の塗布パターン幅で且つ一定のパターン間隔による一定膜厚の塗装膜を形成することを特徴とする筒体の塗装方法。
【請求項2】
前記スプレーガンの移動速度をVs、筒体の回転速度をωとしたとき、
【数1】

【数2】

Vp:スポットが筒体表面を移動する速度
d:スポット径
a:塗布パターンの重なり幅
である請求項1に記載の筒体の塗装方法。
【請求項3】
筒体の内表面を塗装する請求項1又は2に記載の筒体の塗装方法。
【請求項4】
筒体の外表面を塗装する請求項1又は2に記載の筒体の塗装方法。
【請求項5】
螺旋状に塗布した塗装膜上に更に塗装膜を形成する際は、前回の塗布パターンに対して位相をずらした塗布パターンで塗布する請求項1〜4のいずれか1つに記載の筒体の塗装方法。
【請求項6】
筒体の表面に筒体の長手方向中間位置まで塗装膜を形成して塗布を停止した後、筒体を長手方向に反転し、残りの表面に前記停止位置である繋ぎ部まで塗装膜を形成する請求項1〜5のいずれか1つに記載の筒体の塗装方法。
【請求項7】
繋ぎ部を有して形成された塗装膜上に更に塗装膜を形成する際は、前回の繋ぎ部とは異なる位置まで塗装膜を形成して塗布を停止した後、筒体を長手方向に反転し、残りの表面に今回の停止位置である繋ぎ部まで塗装膜を形成し、塗装膜の繋ぎ部が前回と今回とで重ならないようにした請求項6に記載の筒体の塗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−262094(P2009−262094A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116922(P2008−116922)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】