説明

筒状体の接着剤塗布装置及び接着剤塗布方法

【課題】円筒状機械部品などの筒状体に接着剤を浸漬により塗布するにあたり、装置の保守作業を煩雑化させることなく、エア巻き込みや液溜りを解消して塗布ムラを抑制する。
【解決手段】接着剤槽4の底部8から接着剤Sの液面に向かって延びて、底部8の下方と接着剤Sの液面上方とを連通し、筒状の機械部品1が接着剤Sに浸漬される浸漬位置において機械部品1に挿入される連通管9に、接着剤Sの液面上方でワーク受け治具30を支持する支持軸7を挿入し、そのワーク受け治具30に、機械部品1の内周側に配されて機械部品1を支持する支持部31と、支持部31から上方に延びて接着剤Sの液面上方で支持軸7に連結される連結部32とを設けて、支持部31に支持された機械部品1の中心線回りに回転可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状体に接着剤を浸漬により塗布するための接着剤塗布装置及び接着剤塗布方法に関するものであり、特にゴムで被覆される機械部品に対する前処理としての接着剤塗布に有用である。
【背景技術】
【0002】
ゴムで被覆される円筒状機械部品(筒状体の一例。以下、単に機械部品と称する場合がある。)では、ゴムとの接着性を良好にするため、その表面に接着剤が塗布される。この接着剤は、一般に第1液と第2液とからなり、機械部品に第1液を浸漬により塗布して乾燥した後、第2液を浸漬により塗布して乾燥し、ゴムを被覆して加硫を行う。
【0003】
図5及び図6は、従来行われている機械部品の浸漬工程を説明する図である。接着剤S(第1液でも第2液でも構わない。)が入っている接着剤槽40の上方には、下向きに突出する複数本の把持爪42を備えたチャック43が昇降自在に設けられている。図5の装置では、チャック43で支持された機械部品41が把持爪42と共に接着剤槽40内の接着剤Sに浸漬され、次いで液面上方に引き上げられ、次工程に搬送される。また、図6の装置では、ワーク受け台44に載置された機械部品41が、ワーク受け台44と共に接着剤槽40内の接着剤Sに浸漬され、次いで液面上方に引き上げられ、チャック43により支持されて次工程に搬送される。後者については、下記特許文献1〜3に開示されている。
【0004】
上記のように接着剤を浸漬により塗布するにあたっては、機械部品の表面に塗布ムラを生じさせないことが重要である。塗布ムラの主な原因としては、エア巻き込みと液溜りが知られている。前者は、機械部品を接着剤に浸漬する際に巻き込まれたエアが、機械部品の表面付近に残留することにより、接着剤が部分的に塗布されないというものであり、これによってゴムとの接着力が低下するという問題がある。
【0005】
一方、後者は、引き上げられた機械部品の表面に接着剤が部分的に溜まり、塗布厚みが不均一になるというものである。これにより部分的に乾燥不十分となり、ゴムとの接着力が低下するという問題がある。そこで、従来は、機械部品を浸漬して液面上方に引き上げた後、チャックで支持した機械部品を該チャックと共に鉛直軸回りに回転させ、機械部品に付着している余分な接着剤を遠心力で振り切ることによって液溜りを解消している(下記特許文献1及び2参照)。しかし、かかる方法では、遠心力で振り切られた接着剤が巻き上げられてチャックの把持爪の上方に付着し、それが乾燥硬化して固着するために保守作業が非常に煩雑になるという問題があった。
【特許文献1】特開平05−185001号公報
【特許文献2】特開平05−185002号公報
【特許文献3】特開平05−269417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、円筒状機械部品などの筒状体に接着剤を浸漬により塗布するにあたり、装置の保守作業を煩雑化させることなく、エア巻き込みや液溜りを解消して塗布ムラを抑制することができる筒状体の接着剤塗布装置及び接着剤塗布方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、下記の如き構成の本発明により達成することができる。即ち、本発明に係る筒状体の接着剤塗布装置は、筒状体を浸漬するための接着剤が入った接着剤槽と、前記筒状体を支持し、前記筒状体が前記接着剤槽内の接着剤に浸漬される浸漬位置と、前記筒状体が前記接着剤の液面上方にある引き上げ位置との間で変位可能に構成されたワーク受け治具とを備える筒状体の接着剤塗布装置において、前記接着剤槽の底部から接着剤の液面に向かって延びて、前記底部の下方と接着剤の液面上方とを連通し、前記ワーク受け治具が前記浸漬位置にあるときに前記筒状体に挿入される連通管と、前記連通管に挿入され、接着剤の液面上方で前記ワーク受け治具を支持する支持軸とを備え、前記ワーク受け治具が、前記筒状体の内周側に配されて前記筒状体を支持する支持部と、前記支持部から上方に延びて接着剤の液面上方で前記支持軸に連結される連結部とを有し、前記支持部に支持された前記筒状体の中心線回りに回転可能に構成されたものである。
【0008】
上記のように、本発明の接着剤塗布装置が備えるワーク受け治具は、筒状体が接着剤槽内の接着剤に浸漬される浸漬位置と、筒状体が接着剤の液面上方にある引き上げ位置との間で変位可能に構成されているとともに、筒状体の中心線回りに回転可能に構成されている。これにより、筒状体の接着剤への浸漬または接着剤に浸漬されている筒状体の引き上げを、その筒状体を回転させながら行うことができる。その結果、浸漬の際に巻き込まれたエアを筒状体の表面から振り切ったり、引き上げられた筒状体に付着している余分な接着剤を振り切ったりして、エア巻き込みや液溜りを効果的に解消し、接着剤の塗布ムラを抑制することができる。
【0009】
更に、本発明の接着剤塗布装置では、筒状体を支持するワーク受け治具が、接着剤槽の底部を貫通する支持軸に支持されており、従来のように、接着剤槽の上方に設けられたチャックで筒状体を支持して回転させるものではない。そのため、筒状体の回転により巻き上げられた接着剤が、チャックに付着することがなく、装置の保守作業を煩雑化させることがない。なお、ワーク受け治具の支持部は、浸漬の際に筒状体と共に接着剤に浸漬されるため、付着した接着剤が乾燥硬化することなく、装置の保守作業を煩雑化させることがない。
【0010】
しかも、支持軸が、接着剤槽の底部から接着剤の液面に向かって延びて、底部の下方と接着剤の液面上方とを連通する連通管に挿入されているとともに、ワーク受け治具が、筒状体の内周側に配されて筒状体を支持する支持部と、支持部から上方に延びて接着剤の液面上方で支持軸に連結される連結部とを有し、ワーク受け治具が浸漬位置にあるときに筒状体が連通管に挿入されるように構成していることにより、接着剤槽の底部を特にシールしなくても接着剤が漏れ出ることがない。
【0011】
上記において、前記ワーク受け治具が前記支持軸に固定されており、前記支持軸を前記接着剤槽に対して前記支持軸の軸方向に相対的に昇降させる昇降手段と、前記支持軸を前記支持軸の軸回りに回転させる回転手段とを備えるものが好ましい。かかる構成によれば、上述した接着剤塗布装置を簡易且つコンパクトに構成することができる。
【0012】
また、本発明に係る筒状体の接着剤塗布方法は、筒状体を支持するワーク受け治具を、前記筒状体が接着剤槽内の接着剤に浸漬される浸漬位置に配置する浸漬工程と、前記浸漬位置にある前記ワーク受け治具を、前記筒状体が接着剤の液面上方にある引き上げ位置に配置する引き上げ工程とを備える筒状体の接着剤塗布方法において、前記浸漬工程及び前記引き上げ工程の少なくとも一方が、前記ワーク受け治具を前記筒状体の中心線回りに回転させながら行われるものである。
【0013】
浸漬工程及び引き上げ工程の少なくとも一方が、ワーク受け治具を筒状体の中心線回りに回転させながら行われることにより、浸漬の際に巻き込まれたエアを筒状体の表面から振り切ったり、引き上げられた筒状体に付着している余分な接着剤を振り切ったりして、エア巻き込みや液溜りを効果的に解消し、接着剤の塗布ムラを抑制することができる。
【0014】
上記において、前記浸漬工程が、前記筒状体を接着剤槽内の接着剤に浸漬する際に、前記接着剤槽の底部から接着剤の液面に向かって延びて、前記底部の下方と接着剤の液面上方とを連通する連通管を前記筒状体に挿入するものであり、前記筒状体は、前記筒状体の内周側に配されて前記筒状体を支持する支持部と、前記支持部から上方に延びて、前記連通管に挿入された支持軸に接着剤の液面上方で連結される連結部とを有する前記ワーク受け治具により支持され、前記浸漬工程または前記引き上げ工程における前記ワーク受け治具の変位及び回転が、前記支持軸を介して行われるものが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、筒状体を支持するワーク受け治具が、接着剤槽の底部を貫通する支持軸に支持されており、従来のように、接着剤槽の上方に設けられたチャックで筒状体を支持して回転させるものではない。そのため、筒状体の回転により巻き上げられた接着剤が、チャックに付着することがなく、装置の保守作業を煩雑化させることがない。しかも、支持軸が、接着剤槽の底部から接着剤の液面に向かって延びて、底部の下方と接着剤の液面上方とを連通する連通管に挿入されているとともに、ワーク受け治具が、筒状体の内周側に配されて筒状体を支持する支持部と、支持部から上方に延びて接着剤の液面上方で支持軸に連結される連結部とを有し、浸漬工程では筒状体に連通管を挿入するようにしてあることにより、接着剤槽の底部を特にシールしなくても接着剤が漏れ出ることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、図1に示す円筒状機械部品1(前記筒状体に相当する。以下、単に機械部品1と称する。)の表面に、ゴムとの接着性を良好にする接着剤を浸漬により塗布する例を説明する。本実施形態のように、機械部品1がフランジ状部分2を有する場合、浸漬の際にエアが巻き込まれ易く、また巻き込まれたエアがフランジ状部分2に捕獲され易いため、接着剤が部分的に塗布されない場合がある。更に、フランジ状部分2と円筒部分3との境界には液溜りが生じ易く、部分的に乾燥不十分となる場合がある。なお、本発明により接着剤が塗布される機械部品(筒状体)は、かかる形態に限られるものではない。
【0017】
図2は、本発明に係る接着剤塗布装置の構成の一例を示す正面図である。図3は、その接着剤槽の近傍を拡大して示す断面図である。接着剤槽4には、液状の接着剤Sが入れられ、液面が所定の高さに維持されている。かかる接着剤Sとしては、第1液と第2液のいずれであっても構わない。接着剤槽4は、中央に円孔5が形成された受け台6に載置されており、円孔5に挿通された支持軸7が底部8を貫通して液面上方に突出している。接着剤槽4の詳細については後述する。
【0018】
接着剤槽4の下方には、昇降フレーム10が配置されている。昇降フレーム10は、2枚の水平板11、12と、背板13と、それらと直交する側板14と、側板14の上端から水平に延びるアーム板15とから構成されている。水平板11には、支持軸7の下端が軸受16を介して回転自在に固定されている。支持軸7は、水平板12に固定された駆動用モータ17の出力軸に固定したモータ歯車18及び該モータ歯車18と噛み合う歯車19により駆動され、その軸回りに(鉛直軸回りに)回転する。即ち、この装置には、支持軸7を支持軸7の軸回りに回転させる回転手段が設けられている。
【0019】
昇降フレーム10の側方(図2の右側)には、エアシリンダ20がピストンロッド21を上方に向けて固定されている。ピストンロッド21の先端には、昇降フレーム10のアーム板15が連結されており、エアシリンダ20の駆動によって昇降フレーム10が昇降する。即ち、この装置には、支持軸7を支持軸7の軸方向に昇降させる昇降手段が設けられている。
【0020】
接着剤槽4の側方(図2の右側)には、機械部品1を搬送するための搬送ロボット22が配置されている。搬送ロボット22は、機械部品1を側方から挟持可能に構成されたハンド23と、ハンド23を作業空間内で移動させるための多関節アーム24とを備えている。かかる作業空間内には、図2に示す接着剤塗布装置以外に、接着剤未塗布の機械部品を多数ストックするストック装置(不図示)と、接着剤が塗布された機械部品を乾燥装置に搬入する搬入装置(不図示)とが配置されている。搬送ロボット22は、ストック装置にストックされた機械部品を搬送して接着剤塗布装置に供給する機能と、接着剤塗布装置で接着剤が塗布された機械部品を搬送して搬入装置に供給する機能とを有し、それらの動作は制御装置(不図示)により制御される。
【0021】
図3に拡大して示すように、接着剤槽4には、底部8から接着剤Sの液面に向かって延びて、底部8の下方と接着剤Sの液面上方とを連通する連通管9が設けられている。連通管9は、接着剤槽4の底面と接着剤Sの液面上方とで開口しており、接着剤Sの液面は連通管9の上端まで達しない高さに維持されている。連通管9の外径は機械部品1の内径よりも小さく、後述する浸漬の際には機械部品1に連通管9が挿入される。また、連通管9の内径は支持軸7の外径よりも大きく、支持軸7は、連通管9に挿入されて、接着剤Sの液面上方にて機械部品1を支持するためのワーク受け治具30を支持している。
【0022】
本実施形態のワーク受け治具30は、機械部品1の内周側に配されて機械部品1を支持する鍔状の支持部31と、支持部31から上方に延びて接着剤Sの液面上方で支持軸7に連結された円筒状の連結部32とを有し、支持軸7の上端に固定されている。また、ワーク受け治具30は、機械部品1が接着剤槽4内の接着剤Sに浸漬される浸漬位置と、機械部品1が接着剤Sの液面上方にある引き上げ位置との間で変位可能に構成されている。かかる変位は、上述した支持軸7の昇降により行われる。図3では、浸漬位置を実線で、引き上げ位置を鎖線で示している。更に、ワーク受け治具30は、支持部31で支持した機械部品1の中心線回り(鉛直軸回り)に回転可能に構成されている。かかる回転は、上述した支持軸7の回転により行われる。
【0023】
次に、この装置を用いて、機械部品1に接着剤を浸漬により塗布する方法について説明する。まず、ストック装置から接着剤未塗布の機械部品が搬送ロボット22により搬送される。このとき、支持軸7は上昇した状態であり、ワーク受け治具30は引き上げ位置に配置されている。搬送ロボット22が、ワーク受け治具30の上方で機械部品1の挟持を解除すると、機械部品1はワーク受け治具30の連結部32に外挿されて支持部31により支持される。かかる機械部品1は、まだ接着剤Sの液面上方に配置されている。
【0024】
機械部品1がワーク受け治具30により支持されると、支持軸7が下降を開始し、ワーク受け治具30が浸漬位置に配置されて、機械部品1が支持部31と共に連通管9に外挿された状態で接着剤Sに浸漬される(前記浸漬工程に相当する。)。このとき、支持軸7は回転駆動され、それに連動してワーク受け治具30に支持された機械部品1が回転しながら接着剤Sに浸漬される。これにより、接着剤内に巻き込まれたエアが機械部品1の表面から振り切られる。浸漬の際、接着剤Sの液面が多少上昇するが、連通管9は上昇した液面よりも上方で開口するように設定されている。
【0025】
機械部品1が接着剤Sに浸漬されると、支持軸7は上昇を開始し、ワーク受け治具30が引き上げ位置に配置されて、機械部品1が接着剤Sの液面上方に引き上げられる(前記引き上げ工程に相当する。)。このときも支持軸7は回転駆動され、それに連動してワーク受け治具30に支持された機械部品1が回転しながら引き上げられる。これにより、引き上げられた機械部品1に付着している余分な接着剤が振り切られ、液溜りが解消される。支持軸7の回転は、下降時または上昇時のいずれか一方で行っても塗布ムラを抑制しうるものであるが、エア巻き込みや液溜りを確実に解消するという観点から、下降を開始してから上昇が終了するまで続けて行われることが好ましい。
【0026】
ワーク受け治具30が引き上げ位置に配置されると、接着剤が塗布された機械部品1が搬送ロボット22のハンド23で挟持されて搬入装置に搬送され、乾燥装置により乾燥処理される。接着剤槽4内の接着剤Sが第2液であれば、続けて機械部品1にゴムが被覆され加硫が行われる。以上のような接着剤塗布装置の動作は、制御装置(不図示)により制御される。
【0027】
[別実施形態]
(1)前述の実施形態では、固定された受け台6に接着剤槽4を載置して、支持軸7を昇降させることで、ワーク受け治具30を浸漬位置と引き上げ位置とで変位させる例を示したが、これに代えて接着剤槽の方を昇降させても構わない。いずれにしても、支持軸を接着剤槽に対して支持軸の軸方向に相対的に昇降させればよい。また、1つの接着剤槽で複数の機械部品を浸漬できるように、底部に複数本の連結管を設け、それぞれに支持軸を挿入してワーク受け治具を支持するようにしてもよい。
【0028】
(2)前述の実施形態では、ワーク受け治具30が、鍔状の支持部31と円筒状の連結部32とからなる例を示したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、図4(a)に示すワーク受け治具33のように、放射状に突設された水平ピンからなる支持部34と、円筒状の連結部35とを備えるものでもよい。また、図4(b)に示すワーク受け治具36のように、放射状に突出するワイヤ状の支持部37と、支持軸7の外周に放射状に延設され、支持部37を先端に有するワイヤ状の連結部38とを備えるものでもよい。これらによれば、ワーク受け治具の支持部が接着剤に浸漬されることによるエアの巻き込みを低減することができる。
【0029】
(3)前述の実施形態では、ワーク受け治具30が支持軸7に固定され、支持軸7を介して昇降及び回転する例を示したが、例えば固定された支持軸の上端にワーク受け治具を回転させるための駆動用モータや昇降させるためのアクチュエータ等を設けて、ワーク受け治具を変位及び回転させても構わない。但し、装置を簡易且つコンパクトに構成するという観点からは、前述の実施形態の方が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】円筒状機械部品の(a)上面図及び(b)断面図
【図2】本発明に係る接着剤塗布装置の構成の一例を示す正面図
【図3】接着剤槽の近傍を拡大して示す断面図
【図4】ワーク受け治具の別形態を示す斜視図
【図5】従来行われている機械部品の浸漬工程を説明する図
【図6】従来行われている機械部品の浸漬工程を説明する図
【符号の説明】
【0031】
1 円筒状機械部品(筒状体に相当)
4 接着剤槽
7 支持軸
8 底部
9 連通管
10 昇降フレーム
17 駆動用モータ
20 エアシリンダ
22 搬送ロボット
30 ワーク受け治具
31 支持部
32 連結部
S 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体を浸漬するための接着剤が入った接着剤槽と、
前記筒状体を支持し、前記筒状体が前記接着剤槽内の接着剤に浸漬される浸漬位置と、前記筒状体が前記接着剤の液面上方にある引き上げ位置との間で変位可能に構成されたワーク受け治具とを備える筒状体の接着剤塗布装置において、
前記接着剤槽の底部から接着剤の液面に向かって延びて、前記底部の下方と接着剤の液面上方とを連通し、前記ワーク受け治具が前記浸漬位置にあるときに前記筒状体に挿入される連通管と、
前記連通管に挿入され、接着剤の液面上方で前記ワーク受け治具を支持する支持軸とを備え、
前記ワーク受け治具が、前記筒状体の内周側に配されて前記筒状体を支持する支持部と、前記支持部から上方に延びて接着剤の液面上方で前記支持軸に連結される連結部とを有し、前記支持部に支持された前記筒状体の中心線回りに回転可能に構成されたことを特徴とする筒状体の接着剤塗布装置。
【請求項2】
前記ワーク受け治具が前記支持軸に固定されており、前記支持軸を前記接着剤槽に対して前記支持軸の軸方向に相対的に昇降させる昇降手段と、前記支持軸を前記支持軸の軸回りに回転させる回転手段とを備える請求項1記載の筒状体の接着剤塗布装置。
【請求項3】
筒状体を支持するワーク受け治具を、前記筒状体が接着剤槽内の接着剤に浸漬される浸漬位置に配置する浸漬工程と、前記浸漬位置にある前記ワーク受け治具を、前記筒状体が接着剤の液面上方にある引き上げ位置に配置する引き上げ工程とを備える筒状体の接着剤塗布方法において、
前記浸漬工程及び前記引き上げ工程の少なくとも一方が、前記ワーク受け治具を前記筒状体の中心線回りに回転させながら行われることを特徴とする筒状体の接着剤塗布方法。
【請求項4】
前記浸漬工程が、前記筒状体を接着剤槽内の接着剤に浸漬する際に、前記接着剤槽の底部から接着剤の液面に向かって延びて、前記底部の下方と接着剤の液面上方とを連通する連通管を前記筒状体に挿入するものであり、
前記筒状体は、前記筒状体の内周側に配されて前記筒状体を支持する支持部と、前記支持部から上方に延びて、前記連通管に挿入された支持軸に接着剤の液面上方で連結される連結部とを有する前記ワーク受け治具により支持され、
前記浸漬工程または前記引き上げ工程における前記ワーク受け治具の変位及び回転が、前記支持軸を介して行われる請求項3記載の筒状体の接着剤塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−314933(P2006−314933A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140828(P2005−140828)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】