説明

筒状型自在継手の取り付け方法

【課題】2つの開口部を複数の管状部材を筒状に連結して接続する筒状型自在継手の、効率的で柔軟な連結作業を可能とする取り付け方法を提供すること。
【解決手段】摺接回動自在に突合せ連結される連結口を両端に有する複数の管状部材を筒状にして、前記管状部材の一端の連結口を含む平面が他端の連結口を含む平面と平行でない管状部材を少なくとも2つ以上用い、前記開口部に前記管状部材の一端の連結口を取り付けるとともに、他端の連結口に他の前記管状部材の一端の連結口を互いに回動させて連結し、前記回動させた連結を繰り返すことにより、前記2つの開口部を連結する筒状型自在継手の取り付け方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略直管形態や曲管形態などの任意の配管方向に対して方向自在とする筒状型自在継手の取り付け方法に係り、特に、換気装置の接続排気口と建物の壁部または天井部に取り付けられる外部排気口との接続などに有効な筒状型自在継手の取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室内換気用の換気装置は、建物の壁部に開口部を設けて、この開口部に直接取り付けられる壁直付けタイプと、天井や壁部の内側などに設置される設置タイプが知られている。近年では、設置タイプが主流になってきている。この設置タイプの換気装置では、一体もののエルボ管やジャバラ管などを用いて建物の壁部に取り付けられる外部排気口との接続が行われる。
つまり、設置タイプの換気装置側の接続排気口の開口方向によっては、外部排気口の壁部に対する取り付け位置との関係などから、接続排気口と外部排気口との接続方向に芯ズレが起き、一致しないことがある。この場合、エルボ管、ジャバラ管のいずれか、あるいはエルボ管とジャバラ管とを組み合わせて接続排気口と外部排気口とを接続することが行われている。
【0003】
ところで、エルボ管は、内面に空気の流れを妨げる凸凹がないことで、室内換気用の配管継手として有効ではあるが、90°などの固定された曲がり角度を有する配管継手であるために、接続方向の芯ズレ(芯ズレ角度)などによっては非常に困難な作業となるばかりか、エルボ管単体では対応しきれない場合がある。この場合は、方向自在なフレキシブル性を有するジャバラ管との組み合わせ、あるいはジャバラ管単体を用いて行うことが多い。
このように、ジャバラ管は、接続排気口と外部排気口との接続方向の芯ズレなどに対して調整自在でスムーズに対応させることができるなどから、このような接続においては有効な配管継手と言える。しかし、ジャバラ管は、管内面に細かな凸凹が存在しているために、通気抵抗が高くなるなどの室内空気の円滑な流通が望めない問題がある。
特に、調理中に発生する汚染空気を屋外に排気するレンジフードの外部配管用として、ジャバラ管を使用した場合などには、汚染空気中に含まれている油脂分が細かな凹凸の凸部への衝突が繰り返されることで、油脂分が管内に溜まり易くなり、火災保安上において好ましくないものである。
【0004】
そこで、このような問題を解消するために、内周面にジャバラ管のような細かいピッチで管方向に存在する凸凹を有することなく、しかも、接続方向に対する芯ズレを調整自在とするフレキシブル性を有する通気用継手が提案されている(特許文献1を参照)。
この通気用継手は、接続管の管端部にバンド締めなどによって接続される接続口部とこの接続口部に連設させた半円状鍔を有する両側の端部材と、この両側の端部材の間において、両端部材の半円状鍔に嵌め合せ連結されるそれぞれの連結方向に向けた二方向の半円状鍔を連設させてなる中間部材とによって構成されている。
これにより、両側の端部材の半円状鍔と中間部材の半円状鍔との回動自在な連結によって、両側の端部材のそれぞれの接続口部が接続管との接続方向に対して同軸芯上に芯合わせ調整することができるフレキシブル性を備え、しかも、両側の端部材の間における中間部材の連結数によって全体の長さを変更し得るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平8−525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の従来技術は、例えば、補正後の図1および図2に示されているように、同じ鍔部(端面)形態にて内外関係で重なり合うように形成されている端部材の雌側半円状鍔を中間部材の雄側半円状鍔に覆う形で嵌め合せ連結させる連結構造である。
そのために、雄雌の両半円状鍔の嵌め合せ重合部の間に、雄雌鍔間をシールするためのOリングなどのシール材を装填することが必要であるなど、嵌め合せ連結作業に手間が掛かるものとなっていた。
例えば、レンジフードの設置現場において、室内壁面に取り付けられるフード部の接続排気口と、壁部に取り付けられる外部排気口との接続長さに合わせて行われる複数の中間部材を用いた嵌め合せ連結作業おいて、面倒で時間が掛かるなどの取扱い性に問題があった。
【0007】
また、従来技術では、製作面において、両側の端部材の他に異なる二種類の雌側中間部材と雄側中間部材をそれぞれ製作しなければならない。さらに、嵌め合せ重合部の間を埋めるOリングなどのシール材などが必須部品として必要となるめに、材料費や加工費か嵩むなどによってコスト高になっていた。
【0008】
また、嵌め合せ連結作業には、施工者のスキルを要するので、取り付けの完成度は、施工者のスキルに依存し、取り付け品質にばらつきが生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、特願2009−27917において、摺接回動自在に突合せ連結される連結口を両端に有する複数の管状部材を筒状に連結してなる筒状型自在継手であって、この管状部材は、両連結口がそれぞれ斜め角度にて輪切り状にカットされた筒方向の側面視で略V字形状に形成され、かつ、両連結口に突合せ連結部をそれぞれ備えていることを特徴とする筒状型自在継手の発明を提案した。
ここで、両連結口の突合せ連結部は、一方の連結口が断面視で略L字形状に形成されている突合せ当接部と、他方の連結口が断面視で略L字形状に形成されている突合せ嵌合部とから構成されている。そして複数の前記管状部材の両連結口同士の突合せ連結は、断面視で略L字形状に形成されている一方の連結口側の突合せ当接部を、同じく断面視で略L字形状に形成されている他方の連結口側の突合せ嵌合部に対する嵌め合せによって容易に行うことができる構造となっている。また、両連結口が真円に形成されている場合には、突合せ当接部を突合せ嵌合部に嵌め合わせた状態で管状部材を円滑に摺接回動させることができる構造となっている。
【0010】
また、突合せ当接部を有する連結口と突合せ嵌合部を有する連結口とを突合せ連結させた状態において、少なくとも突合せ嵌合部の外側シールド面部を、突合せ当接部の内側シールド面部に圧接させる締付けバンドを備えていることも特徴としている。
ここで、この締付けバンドは、断面視で略台形形状に形成され、両開放端側を引き寄せる(締付けバンドの径が小さくなる)ように繋ぐ締付けボルトを備え、かつ、突合せ当接部を有する連結口と突合せ嵌合部を有する連結口とを突合せ連結させた状態において、内側シールド面部の円周端部が外側シールド面部の円周端部よりも外側に飛び出していることが好適なものとなる。また、この締付けバンドを、両開放端側に向けて末広がる断面視で略台形形状に形成することもでき、この場合には、外側シールド面部の外側から突合せ嵌合部と突合せ当接部を包み込むようにセットされる締付けバンドによって、突合せ当接部を突合せ嵌合部に一体的に連結させることができる。
【0011】
本発明は、複数の管状部材を筒状にした筒状型自在継手の取り付け方法であって、効率的で柔軟な連結作業を可能とし、取り付け時間の短縮化、取り付け品質の均質化を行う、筒状型自在継手の取り付け方法に関する。
【0012】
まず、本筒状型自在継手の組立て原理を説明する。
図1に示すように、本管状部材の一の連結口をX−Y平面に向けて置いた場合、本管状部材の他の連結口を含む平面がX−Y平面と交差する角度(α:以下中心角という)に従い、三次元空間において、2つの連結口の中心O0(0,0,0)とO1(a,0,b)は、
a = r - rcosα
b = rsinα
(ここで、rは、本管状部材の中心軸の曲率半径)
だけずれることになる。また、この一段目の管状部材をX−Y平面でO0を中心に回動させれば、連結部の中心点O1の軌跡は、
x2+y2 = a2, z = b
の円となる。
さらに、この一段目の管状部材の上にもう一つの管状部材を載せる場合には、その二段目の管状部材の連結しない方の連結口の中心点O2(x2,y2,z2)は、一段目の管状部材を固定して、二段目の管状部材を回動させれば、
【数1】

の範囲での円の軌跡となる。(もちろん、二段目の本管状部材を載せた状態で一段目の本管状部材を回動させた場合、上述の中心点O1の軌跡に従い、O2の軌跡の範囲は変化するので、より柔軟な中心点の位置を持つことができる。)
従って、図1(b)のように、一段目と同じ向きに載せる場合(この場合を0度の向きという)、O2の位置は、
【数2】

となり、例えばα=45度とした場合、二段目の連結していないほうの連結口の中心点O2の位置は、
(a+b, 0, a+b)
となり、その連結口を含む面は、X−Y平面に垂直となる。
また、図2のように、180度回動させて連結する場合(この場合を180度の向きという)の二段目の連結していないほうの連結口の中心点O2の位置は、
(2a,0,2b)
となり、連結口を含む面はX−Y平面に平行となる。この特徴は、αが実質的に何度であっても平行となり、不変である。
そうすると、同じ中心角を持つ本管状部材を2つ180度回転させて繋ぎ合せると、連結口の面を平行に保ったままで、連結口の中心点の位置を2aだけずらすことが可能となる。そして、図3のように、この2つの本管状部材の間に直管を入れれば、
【数3】

の範囲で、連続的に連結口の中心の位置を変化させることができる。
【0013】
さらに、図4のように、この180度の向きで連結した2つの本管状部材の組を繋ぐことでより柔軟な中心点の位置の変更が可能となる。
例えば、図4(a)のように、この2つの組合せをX軸のプラス方向(図示)に連続的に繋げれば、
(2a,0,2b)、(4a,0,4b)、(6a,0,6b)、、、(2*i*a,0,2*i*b)、、、
(ここで、iは、2つの本管状部材の組の数)
と、離散的に連結口の中心の位置を変化させることができる。
また、図4(b)のように、この180度の向きで連結した2つの本管状部材の組を2つ組合せ、上段の該組合せを回動させた場合、上段の該組合せの上側の連結口の中心O2は、平面視でO1を中心とした半径2aの円周の軌跡を描く。そうすると、O0とO2の平面視での距離は、0から4aまで連続的に変化するから、この間の中心点のずれが調整可能となる。
さらに、図4(c)のように、この180度の向きで連結した2つの本管状部材の組を3つ組合せ、二段目の該組合せを、O2をX軸線上から一旦離すように回動させ、三段目の組の上側の連結口の中心O3を再度X軸線上に戻すように回動させると、平面視で、O2を頂点とする二等辺三角形O213を形成するので、O0とO3の距離は同軸上(例えば、同図ではX軸上)で、0から2aまで連続的に変化するから、2a以下の中心点のずれであっても同軸上で調整可能となる。従って、連結口の如何なる中心点のずれもこれらの構成により調整することで、中心点を一致させることが可能である。
【0014】
上記は、連結する2つの開口部を含む平面が平行、例えば、換気装置の接続排気口を含む面と建物の外部排気口を含む面が平行、即ち、通常水平に設置された換気装置の接続排気口と天井位置にある外部排気口をつなげる場合に係るものであり、その場合において接続排気口の中心点と外部排気口の中心点のずれを調整する手段である。
【0015】
次に、連結する2つの開口部を含む平面が平行でない、例えば、換気装置の接続排気口を含む面と建物の外部排気口を含む面が平行でない場合、即ち、2つの開口部が換気装置の接続排気口と建物壁部の外部排気口である場合(通常垂直)、以下のようになる。
【0016】
まず、単純化のため、接続排気口を含む面の垂線であって接続排気口の中心点を通る中心軸と外部排気口を含む面の垂線であって外部排気口の中心点を通る中心軸が平行ではないが、同一平面内にある場合について述べる。
上述したとおり、二段目の本管状部材の上面の連結口を含む平面は、二段目の本管状部材が0度の向きから180度の向きへの摺接回動の過程で、X−Y平面に対して2αをなす平面から、X−Y平面に対して平行な平面へ連続的に変化する。例えばα=45度とした場合、二段目の上面の連結口を含む平面を、X−Y平面に対して0〜90度のいずれの角度を有する平面とすることができる。ただし、この場合、この平面は、その角度が0度と90度以外においては、Y軸の正又は負方向に傾いた平面となる。言い換えれば、図5(a)に示すように、Y軸方向から見た場合、この上面の連結口が見える状態になる。同図は、二段目の本管状部材を一段目の本管状部材に対して、上から見て(Z軸のプラス側から見て)時計回りに90度の向きに回動したものである。しかし、さらに、図5(b)に示すように、一段目の本管状部材をX−Y平面に対して逆に(同図の場合、上から見て反時計回りに)54.7度回動させることにより、二段目の本管状部材の上面の連結口を含む平面のX−Y平面に対して傾いた角度を維持したまま、再び二段目の本管状部材の上面の連結口を含む平面をY軸に平行な平面とする(Y軸方向から見た場合、上面の連結口が見えない状態にする)ことができる。従って、2つの本管状部材の組合せにより、二段目の本管状部材の上面の連結口を含む平面を、特定方向に向けて、X−Y平面に対して0〜2α度の間でいかなる角度にすることも可能である。
そうすると、例えば、接続排気口の中心軸と外部排気口の中心軸が平行ではない(中心軸が交わる角度をβとする)場合、まずは、接続排気口及び外部排気口のそれぞれにおいて、少なくとも2以上の本管状部材を設置し、接続排気口においては外部排気口の方へ、外部排気口においては接続排気口の方へ例えばそれぞれβ/2ずつ傾かせた平面を形成することにより、2つの二段目の本管状部材の連結していない方の連結口を含む平面をお互いに平行にすることが可能となる。これが可能となれば、その後は上述の方法で中心軸を一致させることにより、本筒状型自在継手の両側の開口部を接続することが可能となる。なお、必ずしもβ/2である必要はなく、一方の傾きが他方の傾きのβを全体とする補角であればよい。
【0017】
最後に、2つの開口部の中心軸が平行ではなく、且つ同一平面にもない、両者がねじれの位置ある場合、即ち、図6に示すような、三次元空間における原点Oを中心としX−Y平面内にある一の開口部と、P(xp,yp,zp)を中心としY−Z平面に平行な面内にある他の開口部を接続する場合について述べる。
例えば、一の開口部の中心軸を含み、且つ他の開口部の中心点を含む平面Wを考える。この場合、他の開口部の中心軸と平面Wとのなす角度γは、arctan(xp/yp)と、ベクトルOPがX−Y平面となす角度βは、arctan(zp/(xp2+yp2)1/2)と表され、一の開口部に取り付けられる複数の本管状部材の連結していない上端の連結口を含む平面のX−Y平面に対する角度と向きを、両開口部の相対的な位置関係で表すことができる。そうすると、上述のとおり、一の開口部に本管状部材を組み合わせて回動させて取り付けることにより、連結していない上端の連結口を含む平面をX−Y平面に対していかなる角度をなす平面とすることができ、また、開口部に対して本管状部材を回動させることにより、いかなる向きにもすることができるので、ベクトルOPを垂線に持つ平面を形成することが可能である。
また同様に、例えば、一の開口部の中心点を含み、且つ他の開口部の中心軸含む平面W'を考える。この場合、一の開口部の中心軸と平面W'とのなす角度γ'は、arctan(yp/zp)と、ベクトルPOがY−Z平面となす角度β'は、arctan(xp/(yp2+zp2)1/2)と表され、他の開口部に取り付けられる複数の本管状部材の連結していない上端の連結口を含む平面のY−Z平面に対する角度と向きを、両開口部の相対的な位置関係で表すことができる。そうすると、上述のとおり、他の開口部に本管状部材を組み合わせて回動させて取り付けることにより、連結していない上端の連結口を含む平面をY−Z平面に対していかなる角度をなす平面とすることができ、また、開口部に対して本管状部材を回動させることにより、いかなる向きにもすることができるので、ベクトルPOを垂線に持つ平面を形成することが可能である。
この結果、一の開口部から連結される複数の本管状部材の連結していない上端の連結口を含む平面と、他の開口部から連結される複数の本管状部材の連結していない上端の連結口を含む平面とをお互いに平行にすることが可能となる。これが可能となれば、その後は上述の方法で中心軸を一致させることにより、本筒状型自在継手の両側の開口部を接続することが可能となる。
【0018】
以上の組み立て原理に基づき、上記課題を解決するため、本発明は、摺接回動自在に突合せ連結される連結口を両端に有する複数の管状部材を筒状にして、2つの開口部を連結するための筒状型自在継手の取り付け方法であって、前記管状部材の一端の連結口を含む平面が他端の連結口を含む平面と平行でない管状部材を少なくとも2つ以上用い、前記開口部に前記管状部材の一端の連結口を取り付けるとともに、他端の連結口に他の前記管状部材の一端の連結口を互いに回動させて連結し、前記回動させた連結を繰り返すことにより、前記2つの開口部を連結する筒状型自在継手の取り付け方法である。
この方法によれば、本管状部材を用いて2つの開口部を連結するにあたり、容易、迅速、効率的、コスト安であり、しかも柔軟な取り付け方法の提供が可能となる。
【0019】
また、本発明は、前記平行でない管状部材を少なくとも2つ以上用いるとともに、前記管状部材の一端の連結口を含む平面が他端の連結口を含む平面と平行である前記管状部材を用いることを特徴とすることができる。
この方法によれば、直管を用いることができる場合には直管を用いることにより、迅速な取り付けが可能となる。
【0020】
また、本発明は、前記平行でない管状部材において、前記一端の連結口を含む平面と前記他端の連結口を含む平面とがなす角度が同じ管状部材を用いることを特徴とすることができる。
この方法によれば、部品の種類を減らすことができ、種類の少ない規格化された部品のみで取り付け可能となる。
【0021】
また、本発明は、2つの前記角度が同じ管状部材を連結するとき、連結しない2つの他端を含む平面が互いに平行になるように回動させて連結することを特徴とすることができる。
この方法によれば、両端の平面を平行に保ったまま、軸心のずれを調節することが可能となり、取り付けが容易となる。
【0022】
また、本発明は、前記連結しない2つの他端を含む平面が互いに平行になるように回動させて連結した管状部材の組みを少なくとも連続して2つ連結することを特徴とすることができる。
この方法によれば、両端の平面を平行に保ったまま、僅かな軸心のずれも調節可能となり、自由度の高い取り付けが可能となる。
【0023】
また、本発明は、前記2つの開口部の内、一が調理器具の上方に設置されるレンジフードの上部に設けられた接続排気口であり、他が前記レンジフードの周辺壁面或いは上方天井面に設けられた外部排出口であることを特徴とすることができる。
この方法によれば、2つの開口部の一がレンジフードの上部に設けられた接続排気口、他がこのレンジフードの周辺壁面や上方天井面に設けられた外部排出口である場合においても、容易、迅速、効率的で柔軟な連結作業を可能とし、事前に両開口部の位置関係さえ分かれば、事前に設計、検証が可能になることにより取り付け時間の短縮化が図られる。また、部材の規格化、部材点数の少数化を行うことができ、コスト削減が可能となる。
【発明の効果】
【0024】
上記の効果に加え、取り付け作業者に本取り付け方法などを記載した文書で指示することにより、的確な指示が可能となるので、現場での手戻り防止や取り付け品質の均質化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】2つの管状部材を0度の向きで連結した筒状型自在継手の連結口中心点の移動を示した説明概略図。(a)平面図。(b)側面図。
【図2】2つの管状部材を180度の向きで連結した筒状型自在継手の連結部中心点の移動を示した説明概略図(側面図)。
【図3】直管を用いた場合の連結口中心点の移動を示した説明概略図(側面図)。
【図4(a)】180度の向きで連結した2つの管状部材の組を示す説明概略図(側面図)。本組を3つ連結した場合の連結口中心点の位置を示す。
【図4(b)】180度の向きで連結した2つの管状部材の組を示す説明概略図(側面図)。本組を2つ連結し、上段の組を回動させた場合の連結口中心点の移動を示す。
【図4(c)】180度の向きで連結した2つの管状部材の組を示す説明概略図(側面図)。本組を3つ連結し、中段、上段の組をそれぞれ回動させた場合の連結口中心点の移動を示す。
【図5】(a)2つの管状部材を連結した場合に、上段の管状部材を時計回りに90度の向きに回動させたときの説明概略図(側面図)。(b)aの状態から、下段の管状部材を反時計回りに、上段の管状部材の連結口が見えないように回動させたときの説明概略図(側面図)。
【図6】三次元空間における2つの開口部の関係を示した斜視図。
【図7−1】一実施形態に係る管状部材を連結して、レンジフードの接続排気口と壁面の外部排気口とを接続するプロセスを示す説明概略図。まだ管状部材を取り付けていない状態を示す。(a)斜視図。(b)側面図。
【図7−2】一実施形態に係る管状部材を連結して、レンジフードの接続排気口と壁面の外部排気口とを接続するプロセスを示す説明概略図。レンジフードの接続排気口と壁面の外部排気口に一つずつ管状部材を連結した状態を示す。(a)斜視図。(b)側面図。
【図7−3】一実施形態に係る管状部材を連結して、レンジフードの接続排気口と壁面の外部排気口とを接続するプロセスを示す説明概略図。レンジフードの接続排気口と壁面の外部排気口に二つずつ管状部材を連結した状態を示す。(a)斜視図。(b)側面図。
【図7−4】一実施形態に係る管状部材を連結して、レンジフードの接続排気口と壁面の外部排気口とを接続するプロセスを示す説明概略図。レンジフードの接続排気口と壁面の外部排気口に三つずつ管状部材を連結した状態を示す。(a)斜視図。(b)側面図。
【図7−5】一実施形態に係る管状部材を連結して、レンジフードの接続排気口と壁面の外部排気口とを接続するプロセスを示す説明概略図。レンジフードの接続排気口と壁面の外部排気口と接続した状態を示す。(a)斜視図。(b)側面図。
【図8】一実施形態に係るレンジフードの接続排気口と壁面の外部排気口との位置関係を示す図面。(a)平面図。(b)正面図。(c)側面図。
【図9】一実施形態に係るレンジフードの接続排気口と天井面の外部排気口との位置関係を示す図面。(a)平面図。(b)正面図。(c)側面図。
【図10】一実施形態に係る管状部材単体を示す。(a)縦断面図。(b)一の連結口側から見たときの斜視図。(c)他の連結口側から見たときの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[壁面開口部との取り付け方法]
レンジフードの接続排気口と壁面にある外部排気口が、図8に示すような位置関係にある場合に、管状部材を用いて両排気口を連結する筒状型自在継手の取り付け方法を説明する。説明の都合上、管状部材において、管状部材の連結口を含む両平面が最も近接する部分を0度の位置、逆に最も離れる位置を180度の位置とし、両連結口の0度の位置を結ぶ側面部を腹部、180度の位置を結ぶ側面部を背部と呼ぶ。
なお、ここで用いる管状部材は、両連結口を含む平面のなす角度(中心角)は30度であり、その直径は外寸で151ミリメートル(mm)、曲率中心から腹部までの距離は25mm、背部までの距離は176mmであり、その形状の概要は図10に示す。
また、図8に示すように、両排気口の中心は、水平方向に316.8センチメートル(cm)及び225.6cm、垂直方向に312.9cmの距離がある。両排気口を含む平面は直角をなしている。また、両排気口の直径は、管状部材の上記直径に対応している。
【0027】
図7−1から図7−5に従って逐次説明する。図7−1(a)は両排気口が上記関係を有する場合の斜視図、図7−1(b)は同側面図であり、まだ両排気口に管状部材は取り付けられていない状態である。また、本実施形態における基点(0度)を示している。
(1)一つ目の管状部材:レンジフードの正面から見た時に、管状部材の背部が左に腹部が右に見える位置に置いた状態を「0度」とし、この0度を基点にして、本管状部材を上からみて時計回りに25度回動させて連結する。(図7−2)
(2)二つ目の管状部材:一つ目の管状部材と二つ目の管状部材の腹部(および背部)を一致させた状態を「0度」とし、この0度を基点として、本管状部材を上からみて反時計回りに30度回動させて連結する。(図7−3)
(3)三つ目の管状部材:二つ目の管状部材と三つ目の管状部材の腹部(および背部)を一致させた状態を「0度」とし、この0度を基点として、本管状部材を上からみて反時計回りに80度回動させて連結する。(図7−4)
(4)四つ目の管状部材:レンジフードの上面から見た時に、管状部材の背部が右に腹部が左に見える位置に置いた状態を「0度」とし、この0度を基点にして、本管状部材を壁面に向かって見て反時計回りに22.3度回動させて連結する。(図7−2)
(5)五つ目の管状部材:四つ目の管状部材と五つ目の管状部材の腹部(および背部)を一致させた状態を「0度」とし、この0度を基点として、本管状部材を壁面に向かって見て反時計回りに71.9度回動させて連結する。(図7−3)
(6)六つ目の管状部材:五つ目の管状部材と六つ目の管状部材の腹部(および背部)を一致させた状態を「0度」とし、この0度を基点として、本管状部材を壁面に向かって見て時計回りに80.2度回動させて連結する。(図7−4)
(7)この段階で、三つ目の管状部材と六つ目の管状部材の未だ連結されていない連結口を含む平面は平行となり、且つこの連結口の中心を通るこの平面の垂線(中心軸)は一致している。従って、残った部分は直管で連結することができる。(図7−5)
【0028】
[天井面開口部との取り付け方法]
レンジフードの接続排気口と天井面にある外部排気口が、図9に示すような位置関係にある場合に、管状部材を用いて両排気口を連結する筒状型自在継手の取り付け方法を説明する。なお、ここで用いる管状部材は、上記の[壁面開口部との取り付け方法]に用いられた管状部材と同じである。
また、図9に示すように、両排気口の中心は、水平方向に313.9センチメートル(cm)及び152.1cm、垂直方向に398.8cmの距離がある。両排気口を含む平面は平行をなしている。また、両排気口の直径は、管状部材の上記直径に対応している。
【0029】
(1)一つ目の管状部材:レンジフードの正面から見た時に、管状部材の背部が左に腹部が右に見える位置に置いた状態を「0度」とし、この0度を基点にして、本管状部材を上からみて反時計回りに35度回動させて連結する。
(2)二つ目の管状部材:一つ目の管状部材と二つ目の管状部材の腹部(および背部)を一致させた状態を「0度」とし、この0度を基点として、本管状部材を上からみて反時計回りに20度回動させて連結する。
(3)三つ目の管状部材:二つ目の管状部材と三つ目の管状部材の腹部(および背部)を一致させた状態を「0度」とし、この0度を基点として、本管状部材を上からみて時計回りに110度回動させて連結する。
(4)四つ目の管状部材:レンジフードの正面から見た時に、管状部材の背部が右に腹部が左に見える位置に置いた状態を「0度」とし、この0度を基点にして、本管状部材を下からみて(天井を見上げて)時計回りに79.3度回動させて連結する。
(5)五つ目の管状部材:四つ目の管状部材と五つ目の管状部材の腹部(および背部)を一致させた状態を「0度」とし、この0度を基点として、本管状部材を下からみて(天井を見上げて)反時計回りに57.6度回動させて連結する。
(6)六つ目の管状部材:五つ目の管状部材と六つ目の管状部材の腹部(および背部)を一致させた状態を「0度」とし、この0度を基点として、本管状部材を下からみて(天井を見上げて)反時計回りに54.1度回動させて連結する。
(7)この段階で、三つ目の管状部材と六つ目の管状部材の未だ連結されていない連結口を含む平面は平行となり、且つこの連結口の中心を通るこの平面の垂線(中心軸)は一致している。従って、残った部分は直管で連結することができる。
【0030】
[その他の実施形態]
本発明は上記実施の形態にこれに限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含むものである。
上記の実施形態において、二つの開口部が同じ位置関係にある場合にあっても、上記とは異なる取り付け方法を行うことが可能である。
両端連結口の曲率半径は同一であることが好ましいが、同一でなければならないことはない。
レンジフードと天井は水平に設置されているものとして、また、壁は垂直に設置されているものとして上述したが、これに限定されるものではなく、例えば、傾斜天井などのようなものであってもよい。
【0031】
平行でない管状部材において、一端の連結口を含む平面と他端の連結口を含む平面とがなす角度は、0度より大きく、90度より小さいことが好ましい。ただし、90度より大きく、180度より小さいことを除くものではない。
【0032】
連結口と開口部の形状は、円として記述しているが、これに限定するものではない。例えば、正多角形であってもよい。この場合は、回動する角度は、360/N度(Nは、正N角形のN)が単位となる。例えば、形状が正八角形の場合、45度単位で回動することとなる。
【0033】
摺接回動し連結する際に、どの程度回動させたら良いのかの目安になる、連結口の周囲に目盛りを描くことが望ましい。
【符号の説明】
【0034】
1 開口部
2 レンジフード
3 壁面
4 管状部材
5 直管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
摺接回動自在に突合せ連結される連結口を両端に有する複数の管状部材を筒状にして、2つの開口部を連結するための筒状型自在継手の取り付け方法であって、
前記管状部材の一端の連結口を含む平面が他端の連結口を含む平面と平行でない管状部材を少なくとも2つ以上用い、前記開口部に前記管状部材の一端の連結口を取り付けるとともに、他端の連結口に他の前記管状部材の一端の連結口を互いに回動させて連結し、前記回動させた連結を繰り返すことにより、前記2つの開口部を連結する筒状型自在継手の取り付け方法。
【請求項2】
前記平行でない管状部材を少なくとも2つ以上用いるとともに、前記管状部材の一端の連結口を含む平面が他端の連結口を含む平面と平行である前記管状部材を用いることを特徴とする請求項1に記載の筒状型自在継手の取り付け方法。
【請求項3】
前記平行でない管状部材において、前記一端の連結口を含む平面と前記他端の連結口を含む平面とがなす角度が同じ管状部材を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の筒状型自在継手の取り付け方法。
【請求項4】
2つの前記角度が同じ管状部材を連結するとき、連結しない2つの他端を含む平面が互いに平行になるように回動させて連結することを特徴とする請求項3に記載の筒状型自在継手の取り付け方法。
【請求項5】
前記連結しない2つの他端を含む平面が互いに平行になるように回動させて連結した管状部材の組みを少なくとも連続して2つ連結することを特徴とする請求項4に記載の筒状型自在継手の取り付け方法。
【請求項6】
前記2つの開口部の内、一が調理器具の上方に設置されるレンジフードの上部に設けられた接続排気口であり、他が前記レンジフードの周辺壁面或いは上方天井面に設けられた外部排出口であることを特徴とする請求項1乃至請求項5いずれかに記載の筒状型自在継手の取り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図4(c)】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図7−5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−236666(P2010−236666A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87446(P2009−87446)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000237374)富士工業株式会社 (112)
【Fターム(参考)】