説明

管厚測定装置および管厚測定方法

【課題】正確な管厚を測定することが可能な管厚測定装置および管厚測定方法を提供することを目的とする。
【解決手段】管厚測定装置1には、管2を内周面側と外周面側とから挟む一対の相対向した接触部15,16と、これら接触部15,16間の間隔を拡縮する拡縮手段17と、一対の接触部15,16間の間隔を検出する検出手段18と、両接触部15,16間を通り且つ管軸心4に平行な揺動軸心30回りに両接触部15,16を揺動させる揺動手段26とが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鋳鉄管等の管の厚さを測定する管厚測定装置および管厚測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管厚を測定するには、例えば図10(a)に示すように、管71の開口端部をマイクロメータ74のスピンドル72とアンビル73との間に挟んで、管厚Tを測定していた。
【0003】
上記の管厚測定は作業者による手動式の測定であるが、自動式の測定としては、例えば図11に示すように、管71を固定具75で固定し、管71の内周面と外周面とにそれぞれ管内面用プローブ76と管外面用プローブ77とを密着させ、管内面用プローブ76の変位量を内周面変位センサー78で検出し、管外面用プローブ77の変位量を外周面変位センサー79で検出し、これら検出された変位量から管厚Tを自動的に算出する管厚測定装置80がある(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−213409
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来形式において、マイクロメータ74を用いて管厚を測定する場合には、図10(a)に示すように、管軸心83から測定箇所Aを通る径方向の直線84上にマイクロメータ74のスピンドル72とアンビル73とを位置させた状態で測定する必要がある。これに反して、図10(b)に示すように、スピンドル72又はアンビル73が上記直線84上から外れてしまうと、測定された管厚T1が実際の管厚Tよりも大きくなり、正確な管厚を測定することが困難であるといった問題が生じた。
【0006】
また、図11に示した管厚測定装置80においても、上記と同様に、正確な管厚を測定することが困難であるといった問題が生じた。
本発明は、正確な管厚を測定することが可能な管厚測定装置および管厚測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本第1発明における管厚測定装置は、管を内周面側と外周面側とから挟む一対の相対向した接触部と、
これら一対の接触部間の間隔を拡縮する拡縮手段と、
一対の接触部間の間隔を検出する検出手段と、
一対の接触部間を通り且つ管軸心に平行な揺動軸心回りに一対の接触部を揺動させる揺動手段とが備えられたものである。
【0008】
これによると、一対の接触部によって管の内周面側と外周面側とが挟まれ、揺動手段によって一対の接触部が揺動軸心回りに揺動するとともに、検出手段によって一対の接触部間の間隔が検出される。上記検出手段によって検出された上記間隔の最小値が求められ、この最小値を管の厚さとすることで、正確な管厚を測定することができる。
【0009】
本第2発明における管厚測定装置は、一方の接触部は一方のフレームに設けられ、
他方の接触部は他方のフレームに設けられ、
一方のフレームは管の開口端から管内へ挿脱自在であり、
他方のフレームは、一方のフレームに対して、一対の接触部間の間隔が拡縮する拡縮方向に開閉自在であり、
拡縮手段は他方のフレームを拡縮方向へ開閉させる駆動装置からなり、
検出手段は他方のフレームの変位量を検出する変位計からなるものである。
【0010】
これによると、一方のフレームが管の開口端から管内へ挿入され、駆動装置によって、一対の接触部間の間隔が縮小する閉方向へ他方のフレームが移動し、一対の接触部によって管の内周面側と外周面側とが挟まれる。そして、揺動手段によって一対の接触部が揺動軸心回りに揺動するとともに、変位計によって他方のフレームの変位量が検出され、検出された変位量に基づいて一対の接触部間の間隔が算出され、算出された間隔の最小値が求められる。
【0011】
本第3発明における管厚測定装置は、一方および他方のフレームは昇降自在な昇降部材に設けられ、
昇降部材は管軸心の方向に移動自在な可動部材に設けられているものである。
【0012】
これによると、可動部材が管軸心の方向に移動して、一方のフレームが管の開口端から管内へ挿入される。そして、昇降部材が上昇することにより、一方のフレームが上昇し、一方の接触部が管の内周面に当接する。その後、駆動装置によって、一対の接触部間の間隔が縮小する閉方向へ他方のフレームが移動し、一対の接触部によって管の内周面側と外周面側とが挟まれる。
【0013】
本第4発明における管厚測定方法は、管の内周面側と外周面側とを一対の相対向する接触部で挟み、
一対の接触部間を通り且つ管軸心に平行な揺動軸心回りに一対の接触部を揺動させるとともに、一対の接触部間の間隔を検出し、
上記検出された間隔の最小値を管の厚さとするものである。
【0014】
本第5発明における管厚測定装置は、一対の相対向する距離検出器が所定間隔をあけて設けられ、
一方の距離検出器は管内に挿入されて管の内周面までの距離を検出し、
他方の距離検出器は管外から管の外周面までの距離を検出し、
一対の距離検出器間を通り且つ管軸心に平行な揺動軸心回りに一対の距離検出器を揺動させる揺動手段が備えられたものである。
【0015】
これによると、一方の距離検出器を管内に挿入し、揺動手段により一対の距離検出器を揺動軸心回りに揺動させながら、一方の距離検出器から管の内周面までの一方の距離を検出するとともに他方の距離検出器から管の外周面までの他方の距離を検出する。
【0016】
そして、上記のようにして検出された一方の距離と他方の距離とを所定間隔から差し引いて求められる値の最小値を管の厚さとすることで、正確な管厚を測定することができる。
【0017】
本第6発明は、上記第5発明に記載された管厚測定装置を用いた管厚測定方法であって、
一対の距離検出器を揺動軸心回りに揺動させながら、一方の距離検出器から管の内周面までの一方の距離を検出するとともに他方の距離検出器から管の外周面までの他方の距離を検出し、
検出された一方の距離と他方の距離とを所定間隔から差し引いて求められる値の最小値を管の厚さとするものである。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によると、正確な管厚を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態における管厚測定装置の側面図である。
【図2】同、管厚測定装置の平面図である。
【図3】同、図1におけるX−X矢視図である。
【図4】同、管厚測定装置の一対の接触部で管を挟んだときの拡大図であり、管厚の測定方法を示す。
【図5】管厚測定装置を用いて管厚を測定するときの手順を示す側面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における管厚測定装置の側面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態における管厚測定装置の側面図である。
【図8】同、管厚測定装置の側面図であり、管厚を測定している状態を示す。
【図9】同、管厚測定装置の一対の距離検出器の拡大図であり、管厚の測定方法を示す。
【図10】従来、マイクロメータを用いて管厚を測定するときの測定方法を示す図である。
【図11】従来の管厚測定装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明における実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図3に示すように、1は鋳鉄管2の管厚Tを測定する管厚測定装置である。管厚測定装置1の前方には、鋳鉄管2を搬送経路3に沿って搬送する搬送装置6が設置されている。搬送経路3上には、搬送される鋳鉄管2を管厚測定位置Bに保持する保持装置(図示省略)が設けられている。尚、管厚測定位置Bには、この位置において鋳鉄管2の有無を検出する管検出装置5(例えば光電スイッチや近接スイッチ等)が設けられている。
【0021】
管厚測定装置1は以下のような構成を備えている。
管厚測定装置1は、可動部材11と、昇降部材12と、上下一対のフレーム13,14と、上下一対の相対向する接触部15,16と、拡縮用シリンダ装置17と、変位計18とを備えている。
【0022】
可動部材11は、複数の車輪21を有しており、ベースフレーム22に支持案内されて、管軸心4の方向C(前後方向)に移動自在である。尚、可動部材11の移動は移動用シリンダ装置(移動手段の一例、図示省略)により行われる。
【0023】
昇降部材12は、可動部材11に設けられており、昇降用ガイド24に支持案内されて昇降自在な昇降フレーム25と、昇降フレーム25に設けられた揺動手段26とを有している。尚、昇降部材12の昇降は可動部材11に設けられた昇降用シリンダ装置27(昇降手段の一例)により行われる。
【0024】
接触部15,16は、鋳鉄管2を内周面側と外周面側とから挟むものであり、回転自在な球体を有するコロ(転動体)からなる。このうち、上方の接触部15(他方の接触部の一例)は上方のフレーム13の前端部に設けられ、下方の接触部16(一方の接触部の一例)は下方のフレーム14の前端部に設けられている。
【0025】
フレーム13,14は揺動手段26を介して昇降フレーム25に設けられている。下方のフレーム14(一方のフレームの一例)は鋳鉄管2の開口端から管内へ挿脱自在である。また、上方のフレーム13(他方のフレームの一例)は、下方のフレーム14に対して、上下方向D(一対の接触部15,16間の間隔37が拡縮する拡縮方向の一例)に開閉(回動)自在である。尚、各フレーム13,14は両端が閉鎖された角鋼であり、各フレーム13,14にはそれぞれ、内部に冷却水を通過させるための冷却用供給配管35と冷却用排出配管36とが接続されている。
【0026】
また、下方のフレーム14には、下方の接触部16が鋳鉄管2の内周面に当接したことを検出する下方の接触検知器(例えば近接スイッチ等、図示省略)が設けられており、上方のフレーム13には、上方の接触部15が鋳鉄管2の外周面に当接したことを検出する上方の接触検知器(例えば近接スイッチ等、図示省略)が設けられている。
【0027】
揺動手段26は、鋳鉄管2を挟んだ一対の接触部15,16間を通り且つ管軸心4に平行な揺動軸心30の回りに両フレーム13,14と両接触部15,16とを一体的に揺動させるものであり、揺動軸心30の回りに揺動自在な揺動フレーム31と、揺動フレーム31を揺動させるアクチュエータ32とを有している。下方のフレーム14は揺動フレーム31の下部に水平に取り付けられている。また、上方のフレーム13は、横軸33を介して、揺動フレーム31に上下回動自在に取り付けられている。
【0028】
尚、アクチュエータ32は、シリンダ本体内に設けられたピストン(図示省略)と、ピストンに形成されたラック(図示省略)に歯合するピニオン(図示省略)と、揺動軸心30を中心にして回転自在なターンテーブル32aとを有している。空気圧でピストンを作動することにより、ラックが移動してピニオンと一体にターンテーブル32aが回動し、これにより、揺動フレーム31が揺動し、図3,図4(a)に示すように、両フレーム13,14と両接触部15,16とが揺動軸心30の回りに揺動する。
【0029】
拡縮用シリンダ装置17は、上方のフレーム13を上下方向D(拡縮方向の一例)へ開閉させる駆動装置の一例であるとともに、また、一対の接触部15,16間の間隔37を拡縮する拡縮手段の一例である。尚、拡縮用シリンダ装置17のシリンダ本体は揺動フレーム31に設けられ、ピストンロッドの先端は上方のフレーム13の後端部に連結されている。
【0030】
変位計18は、上方のフレーム13の上下方向の変位量(回動量)を検出するものであり、検出された変位量に基づいて一対の接触部15,16間の間隔37を検出する検出手段の一例である。また、変位計18は光学式のものを用いているが、機械式のものを用いてもよい。
【0031】
尚、図2,図3に示すように、昇降部材12とフレーム13,14と揺動手段26と拡縮用シリンダ装置17と変位計18と接触部15,16とは、一台の共通の可動部材11に二セットずつ設けられている。
【0032】
以下、上記構成における作用を説明する。
先ず、図5(a)に示すように、上方のフレーム13を上向きに回動させて一対の接触部15,16間の間隔37を拡大した状態で、可動部材11を待機位置Eまで後退させておく。そして、鋳鉄管2が、搬送装置6により搬送経路3上を搬送され、保持装置により管厚測定位置Bに保持され、管検出装置5が管厚測定位置Bに保持された鋳鉄管2を検出すると、図5(b)の実線で示すように、可動部材11が管軸心4に沿って待機位置Eから前進し、下方のフレーム14が鋳鉄管2の開口端から管内へ挿入される。
【0033】
次に、昇降部材12が上昇することにより、図5(b)の仮想線で示すように、下方のフレーム14と共に下方の接触部16が上昇して鋳鉄管2の内周面に当接する。この際、下方の接触検知器は下方の接触部16が鋳鉄管2の内周面に当接したことを検出し、この検出に基づいて昇降部材12が停止する。
【0034】
その後、拡縮用シリンダ装置17のピストンロッドが短縮することにより、上方のフレーム13が下向き(すなわち閉方向)に回動し、上方の接触部15が下降して鋳鉄管2の外周面に当接し、一対の接触部15,16間の間隔37が縮小される。これにより、図1の実線で示すように、鋳鉄管2の内周面側と外周面側とが一対の接触部15,16によって挟まれる。この際、上方の接触検知器は上方の接触部15が鋳鉄管2の外周面に当接したことを検出し、この検出に基づいて拡縮用シリンダ装置17が停止するとともに、拡縮用シリンダ装置17のピストンロッドの伸縮がフリーの状態に切換えらる。
【0035】
この状態で、アクチュエータ32が作動して揺動フレーム31を揺動させることにより、図3,図4(a)に示すように、一対の接触部15,16がフレーム13,14と共に、揺動軸心30を中心にして揺動する。この際、接触部15,16の揺動範囲は揺動軸心30に直交する鉛直軸38を基準にして所定角度F(例えば±22.5°)の範囲に設定されている。
【0036】
上記のように両接触部15,16を揺動させながら、変位計18によって上方のフレーム13の上下方向の変位量を検出し、検出された変位量に基づいて一対の接触部15,16間の間隔37が算出され、算出された間隔37の最小値が求められ、この最小値を鋳鉄管2の管厚Tとする。
【0037】
上記のような管厚の測定方法において、鋳鉄管2を管厚測定位置Bに保持する際に位置ずれが発生して、図4(a)に示すように、管軸心4が接触部15,16の真下から搬送経路3の方向へ所定距離Gだけ位置ずれした場合であっても、上記のように両接触部15,16を揺動させることにより、揺動途中において、図4(b)に示すように、両接触部15,16が管軸心4から測定箇所Aを通る径方向の直線84上に位置し、接触部15,16間の間隔37の最小値を求め、この最小値を鋳鉄管2の管厚Tとすることにより、正確な管厚を測定することができる。
【0038】
上記のようにして管厚を自動的に測定した後、拡縮用シリンダ装置17のピストンロッドが伸長することにより、図1の仮想線で示すように、上方のフレーム13が上向き(すなわち開方向)に回動し、上方の接触部15が上昇して鋳鉄管2の外周面から離間し、一対の接触部15,16間の間隔37が拡大される。
【0039】
次に、図5(b)の実線に示すように、昇降部材12が僅かに下降することにより、下方のフレーム14と共に下方の接触部16が下降して鋳鉄管2の内周面から離間する。そして、図5(a)に示すように、可動部材11が管軸心4に沿って待機位置Eまで後退し、下方のフレーム14が鋳鉄管2の開口端から管外へ脱抜される。
【0040】
その後、管厚測定済みの鋳鉄管2が管厚測定位置Bから搬送経路3の下流側へ搬送されるとともに、未測定の鋳鉄管2が搬送経路3の上流側から管厚測定位置Bに搬送され、上記と同様な方法で管厚測定装置1により管厚が測定される。
【0041】
また、測定対象である鋳鉄管2は鋳造後の高温状態であるため、図1に示すように、冷却用供給および排出配管35,36を用いて各フレーム13,14内に冷却水を流して冷却することにより、フレーム13,14が熱で変形する等の悪影響を抑制して、正確な測定を行うことができる。
【0042】
尚、上記第1の実施の形態では、図2,図3に示すように、昇降部材12とフレーム13,14と揺動手段26と拡縮用シリンダ装置17と変位計18と接触部15,16とを一台の共通の可動部材11に二セットずつ設けているため、二本の鋳鉄管2の管厚を同時に測定することができるが、この構成に限定されるものではなく、例えば、三セット以上の複数セット設けて、三本以上の複数本の鋳鉄管2の管厚を同時に測定してもよく、或は、一セット(単数セット)のみ設けて、鋳鉄管2の管厚を一本ずつ測定してもよい。
【0043】
上記第1の実施の形態では、両接触部15,16を連続的に揺動させながら上方のフレーム13の変位量を連続的に検出してもよいし、又は、両接触部15,16を小角度毎に断続的に揺動させながら上方のフレーム13の変位量を断続的に検出してもよい。
【0044】
上記第1の実施の形態では、下方の接触検知器と上方の接触検知器とにそれぞれ近接スイッチ等を使用しているが、下方の接触検知器については、下方のフレーム14が昇降用シリンダ装置27により上昇し、下方の接触部16が鋳鉄管2の内周面に確実に当接したときの昇降用シリンダ装置27のシリンダ圧力を、鋳鉄管2が浮き上がらない程度の圧力に予め設定しておけば、近接スイッチの代わりにタイマーを使用してもよい。この場合、昇降用シリンダ装置27を作動し、タイマーで計測された所定時間が経過すると、昇降用シリンダ装置27を停止する。この間に、下方の接触部16が鋳鉄管2の内周面に確実に当接する。
【0045】
同様に、上方の接触検知器については、拡縮用シリンダ装置17のシリンダ圧力を、上方のフレーム13が下向きに回動して上方の接触部15が鋳鉄管2の外周面に確実に当接し得る圧力に予め設定しておけば、近接スイッチの代わりにタイマーを使用してもよい。この場合、拡縮用シリンダ装置17を作動し、タイマーで計測された所定時間が経過すると、拡縮用シリンダ装置17を停止する。この間に、上方の接触部15が鋳鉄管2の外周面に確実に当接する。尚、装置の維持管理の観点からは、上記のように下方および上方の接触検知器にタイマーを使用する方が好適である。
【0046】
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、図1に示すように、上下一対のフレーム13,14の先端に、コロからなる接触部15,16が設けられているが、本第2の実施の形態では、図6に示すように、上下一対のキャリパ41,42の先端に、上下方向へ屈曲した接触部15,16が形成されている。
【0047】
また、一対の接触部15,16間の間隔37を拡縮する拡縮手段は、可動部材11に設けられた拡縮用シリンダ装置17と、一端が上方のキャリパ41の前端部(遊端部)に接続されるとともに他端が拡縮用シリンダ装置17のピストンロッドに接続される拡縮用ワイヤ43とを有している。尚、拡縮用ワイヤ43は昇降部材12に設けられたガイドローラ44,45によって案内されている。また、拡縮用シリンダ装置17のピストンロッドが短縮すると、上方のキャリパ41が上方へ開動(回動)して間隔37が拡大される。また、拡縮用シリンダ装置17のピストンロッドが伸長すると、上方のキャリパ41が自重により下方へ閉動(回動)して間隔37が縮小される。
【0048】
(第3の実施の形態)
上記第1および第2の実施の形態では、図1,図6に示すように鋳鉄管2の内外周面に接触して管厚を測定する管厚測定装置1を説明したが、本第3の実施の形態では、図7〜図9に示すように、鋳鉄管2に接触せずに非接触で管厚を測定する管厚測定装置60について説明する。尚、上記第1の実施の形態で説明した部材と同じ部材については、同一の符号を付記して説明を省略する。
【0049】
上方および下方のフレーム13,14はそれぞれ揺動フレーム31に水平且つ平行に取り付けられている。下方のフレーム14の前端部には、鋳鉄管2の内部に挿入されて鋳鉄管2の内周面までの一方の距離L1を検出する下方の距離検出器61(一方の距離検出器の一例)が設けられている。また、上方のフレーム13の前端部には、管外から鋳鉄管2の外周面までの他方の距離L2を検出する上方の距離検出器62(他方の距離検出器の一例)が設けられている。尚、これら各距離検出器61,62には、レーザー光又は超音波を鋳鉄管2の内外周面に照射すると共にその反射光又は反射波を受けて、両者の位相差に基づいて内外周面までの距離を検出するものである。下方の距離検出器61と上方の距離検出器62とは、上下方向において、所定間隔L(一定値)をあけて相対向している。尚、所定間隔Lは鋳鉄管2の管厚Tよりも大きく設定されている。
【0050】
また、揺動手段26は、一対の距離検出器61,62間を通り且つ管軸心4に平行な揺動軸心30の回りに両フレーム13,14と両距離検出器61,62とを揺動させるものであり、揺動軸心30の回りに揺動自在な揺動フレーム31と、揺動フレーム31を揺動させるアクチュエータ32とを有している。
【0051】
尚、管厚測定装置60には、両距離検出器61,62間の所定間隔Lと両距離検出器61,62によって検出された距離L1,L2とに基づいて鋳鉄管2の管厚Tを算出する演算部63が備えられている。
【0052】
以下、上記構成における作用を説明する。
先ず、図7に示すように、可動部材11を待機位置Eまで後退させ、昇降部材12を昇降させて、距離検出器61,62を鋳鉄管2の口径に応じた高さに調節しておく。そして、鋳鉄管2が、搬送装置6により搬送経路3上を搬送され、保持装置により管厚測定位置Bに保持され、管検出装置5が管厚測定位置Bに保持された鋳鉄管2を検出すると、可動部材11が管軸心4に沿って待機位置Eから前進し、下方のフレーム14が鋳鉄管2の開口端から管内へ挿入され、これにより、図8に示すように、鋳鉄管2の管肉部が一対の距離検出器61,62間に挿入される。
【0053】
この状態で、アクチュエータ32が作動して揺動フレーム31を揺動させることにより、図9(a)に示すように、一対の距離検出器61,62がフレーム13,14と共に、揺動軸心30を中心にして揺動する。このように両距離検出器61,62を揺動させながら、両距離検出器61,62により一方の距離L1と他方の距離L2とを検出する。この際、演算部63において、所定間隔Lから上記検出された一方および他方の距離L1,L2を差し引いた値L3(すなわちL3=L−(L1+L2))を算出し、これら算出した値L3の最小値を鋳鉄管2の管厚Tとする。
【0054】
上記のような管厚の測定方法において、鋳鉄管2を管厚測定位置Bに保持する際に位置ずれが発生して、管軸心4が距離検出器61,62の真下から搬送経路3の方向へ所定距離Gだけ位置ずれした場合であっても、上記のように両距離検出器61,62を揺動させることにより、揺動途中において、図9(b)に示すように、両距離検出器61,62が管軸心4から測定箇所Aを通る径方向の直線84上に位置し、上記のように算出した値L3の最小値を鋳鉄管2の管厚Tとすることにより、正確な管厚を測定することができる。
【0055】
上記のようにして管厚を自動的に測定した後、図7に示すように、可動部材11が管軸心4に沿って待機位置Eまで後退し、下方のフレーム14が鋳鉄管2の開口端から管外へ脱抜される。
【0056】
上記第3の実施の形態では、両距離検出器61,62を連続的に揺動させながら一方および他方の距離L1,L2を連続的に検出してもよいし、又は、両距離検出器61,62を小角度毎に断続的に揺動させながら一方および他方の距離L1,L2を断続的に検出してもよい。
【0057】
上記各実施の形態では、管の一例として鋳鉄管2を挙げたが、鋳鉄管2に限定されるものではなく、例えば鋼管や樹脂管等であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 管厚測定装置
2 鋳鉄管
4 管軸心
11 可動部材
12 昇降部材
13 上方のフレーム(他方のフレーム)
14 下方のフレーム(一方のフレーム)
15 上方の接触部(他方の接触部)
16 下方の接触部(一方の接触部)
17 拡縮用シリンダ装置(拡縮手段,駆動装置)
18 変位計(検出手段)
26 揺動手段
30 揺動軸心
37 接触部間の間隔
60 管厚測定装置
61 下方の距離検出器(一方の距離検出器)
62 上方の距離検出器(他方の距離検出器)
C 管軸心の方向
D 上下方向(拡縮方向)
L 所定間隔
L1 一方の距離
L2 他方の距離
L3 所定間隔から一方の距離と他方の距離とを差し引いて求められる値
T 管厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管を内周面側と外周面側とから挟む一対の相対向した接触部と、
これら一対の接触部間の間隔を拡縮する拡縮手段と、
一対の接触部間の間隔を検出する検出手段と、
一対の接触部間を通り且つ管軸心に平行な揺動軸心回りに一対の接触部を揺動させる揺動手段とが備えられたことを特徴とする管厚測定装置。
【請求項2】
一方の接触部は一方のフレームに設けられ、
他方の接触部は他方のフレームに設けられ、
一方のフレームは管の開口端から管内へ挿脱自在であり、
他方のフレームは、一方のフレームに対して、一対の接触部間の間隔が拡縮する拡縮方向に開閉自在であり、
拡縮手段は他方のフレームを拡縮方向へ開閉させる駆動装置からなり、
検出手段は他方のフレームの変位量を検出する変位計からなることを特徴とする請求項1記載の管厚測定装置。
【請求項3】
一方および他方のフレームは昇降自在な昇降部材に設けられ、
昇降部材は管軸心の方向に移動自在な可動部材に設けられていることを特徴とする請求項2記載の管厚測定装置。
【請求項4】
管の内周面側と外周面側とを一対の相対向する接触部で挟み、
一対の接触部間を通り且つ管軸心に平行な揺動軸心回りに一対の接触部を揺動させるとともに、一対の接触部間の間隔を検出し、
上記検出された間隔の最小値を管の厚さとすることを特徴とする管厚測定方法。
【請求項5】
一対の相対向する距離検出器が所定間隔をあけて設けられ、
一方の距離検出器は管内に挿入されて管の内周面までの距離を検出し、
他方の距離検出器は管外から管の外周面までの距離を検出し、
一対の距離検出器間を通り且つ管軸心に平行な揺動軸心回りに一対の距離検出器を揺動させる揺動手段が備えられたことを特徴とする管厚測定装置。
【請求項6】
上記請求項5に記載された管厚測定装置を用いた管厚測定方法であって、
一対の距離検出器を揺動軸心回りに揺動させながら、一方の距離検出器から管の内周面までの一方の距離を検出するとともに他方の距離検出器から管の外周面までの他方の距離を検出し、
検出された一方の距離と他方の距離とを所定間隔から差し引いて求められる値の最小値を管の厚さとすることを特徴とする管厚測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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