説明

管状フィルタ作用媒体にキャップを施すための熱可塑性樹脂射出成型方法

【課題】少なくともその一縁部に熱可塑性樹脂エンドキャップを有する管状フィルタ要素をオーバモールドするための方法を提供する。
【解決手段】オーバモールド法は、先例のない範囲の重合体材料および重合体成分から、良好な耐久性のあるフィルタカートリッジを、容易に且つコスト効率的に製造するために使用され得る。熱可塑性樹脂オーバモールド法は、上記一端部16Bの予備ラミネーションを必要とせず、且つ管状フィルタ作用媒体における望ましくない形態的な変化を結果として生じることのない温度および圧力にて遂行され得る。オーバモールド法を通して作られる例示的なフィルタカートリッジは、熱可塑性樹脂エンドキャップ間に介挿される管状フィルタ作用媒体を備え、エンドキャップの熱可塑性樹脂材料は管状フィルタ作用媒体に浸透し、それによってその両端に機械的な連結ゾーンを作り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2004年12月23日に出願された米国仮特許出願第60/638,596号の優先権を主張する。全体の内容は本明細書に組み込まれる。
【0002】
概して、本発明は、管状フィルタカートリッジにキャップを施すための方法、そしてより詳細には、管状フィルタ作用媒体に一体的に熱可塑性樹脂エンドキャップを射出成型するための方法を目的とする。
【背景技術】
【0003】
種々の材料および構造におけるフィルタ要素が商業的に入手可能であり、そしてその例は、米国特許第2,732,031号明細書、米国特許第3,013,667号明細書、米国特許第3,457,339号明細書、および米国特許第3,850,813号明細書に記載されている。そこに説明されたように、しばしばフィルタ面積を増大させるためのひだ、ならびにシールされた側縁部および端部を有する、1枚のフィルタ材料が、円筒などに形成される。端部は、エポキシまたはポリウレタン樹脂、溶融された熱可塑性樹脂、などのような液体シーラが凝固されたものに埋め込まれることによって、一般にシールされる。要素は、それからフィルタ材料の上流側にフィルタされるべき流体を供給し、且つ下流側から濾液を取り出すべく結合を提供するホルダに取り付けられる。一般に、管状要素は、金属またはプラスティックの中空の内部多孔性支持体を含み、流体が、フィルタ材料の外部に供給され、そして濾液が内部支持体から取り出される。
【0004】
微粒子をフィルタリングするために、それらの体積の約50%から80%を空隙として有する約0.1ミクロンから25ミクロンまでの細孔サイズを有する薄い繊維質のまたは型成型された微孔性膜が使用される。そのような膜は、特にひだが付けられたときに、比較的弱く且つ壊れ易い。その片側または両側の粗い浸透層は、しばしばひだが付けられた膜層の間に流れチャンネルを支持するためおよびそれを維持すべく使用される。しかしながら、支持されているときでさえも、シールの1つ、特に端部シーラおよび膜の上流接合部、において時折障害が起こる。
【0005】
管状フィルタ要素のための端部シールの信頼性を向上すべく、多数の処置が採用されてきている。相互の増強のための浅い、高密度に圧縮されたひだが使用されてきている。多孔性膜の余分な層も端部に採用されている。可撓性プラスティック、例えば可撓性ポリウレタンのストリップが、膜とシーラの接合部における強化のために膜に適用されてきている。特に重大な応用における壊れ易い型成型微孔性膜に使用するために、完全に満足できるものは、何ら存在しない。可撓性強化ストリップの使用は、付加的な材料およびステップを招き、有効なフィルタリング面積を減少させ、そして濾液内への抽出可能な源を増大させる。
【0006】
代案として、1983年7月12日に、G.C.GanziおよびC.T.Paulに対して発行された米国特許第4,392,958号明細書は、管状フィルタ要素の端部のシールのための方法および構造を記載している。この方法は、一枚の微孔性のフィルタ材料の縁部に沿って非多孔性の薄膜上にストリップを提供することと、ストリップが、その外側部分において液密にフィルタ材料に接合されるが、その内側部分においては自由フラップを形成することと、フィルタ材料の一端部において且つ上流側を覆ってストリップにより要素を形成することと、液体シーラ内にストリップのフラップ部分を越えて終端する深さまで端部を埋設することと、シーラを凝固させることと、を有する。
【0007】
Ganziらによって記載された「縁部シール」法は、生産的に且つ良好な結果を伴って使用され続けているけれども、管状フィルタ作用要素をシールするための代わりの手段には、引き続いて興味がもたれている。
【特許文献1】米国特許第2,732,031号明細書
【特許文献2】米国特許第3,013,667号明細書
【特許文献3】米国特許第3,457,339号明細書
【特許文献4】米国特許第3,850,813号明細書
【特許文献5】米国特許第4,392,958号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の要求に応じて、本発明は、少なくともその一縁部に熱可塑性樹脂エンドキャップを有する管状フィルタ要素をオーバモールドするための方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この方法は、前記熱可塑性樹脂エンドキャップの外側輪郭に実質的に適合するように形成されたそれの領域を有するダイモールド型を提供するステップと、次に上記少なくとも1つの縁部が上記領域内となるようにして、上記管状フィルタ要素をキャビティ内に挿入するステップと、次に、上記領域を満たすべく上記内側モールドキャビティ内に十分な量の溶融された熱可塑性樹脂材料を注入し、且つそれによって上記熱可塑性樹脂エンドキャップを形成するステップと、上記溶融された熱可塑性樹脂材料が十分に硬化した後に、上記ダイモールド型からエンドキャップが施された管状フィルタ要素を取り外すステップとを有する。
【0010】
本発明のオーバモールド方法は、先例のない範囲の重合材料および重合成分から、耐久性の良好な、フィルタカートリッジを容易に且つコスト効率良く製造するために使用され得る。
【0011】
そのようなフィルタカートリッジの一実施形態は、各々熱可塑性樹脂材料から形成される一対の熱可塑性樹脂エンドキャップと、第1および第2の端部を有して、第1および第2の連結ゾーンでそれぞれその中に固定された上記第1および第2の端部を有する熱可塑性樹脂エンドキャップ間に配置された、多孔性または繊維質の材料からなる管状フィルタ作用媒体と、を備える。本発明によれば、上記エンドキャップの上記熱可塑性樹脂材料は、各々上記連結ゾーンで上記管状フィルタ作用媒体の上記多孔性または繊維質の材料に浸透する。
【0012】
上述に照らして、本発明の目的は、管状フィルタ作用媒体の端部にエンドキャップを提供するための方法を提供することにあり、上記方法は、上記端部の予備ラミネーションを必要としない。
【0013】
本発明の他の目的は、管状フィルタ作用媒体の端部にエンドキャップを提供するための、熱可塑性樹脂射出ベースの方法を提供することにあり、上記方法は、管状フィルタ作用媒体における望ましくない形態的変化を結果的に生じることがない温度および圧力にて行なわれ得る。
【0014】
本発明の他の目的は、熱可塑性樹脂エンドキャップを管状フィルタ作用材料にオーバモールドするための方法を提供することにあり、エンドキャップとして用いられる材料と管状フィルタ作用材料は、異なっている。
【0015】
本発明の他の目的は、熱可塑性樹脂エンドキャップ間に介挿される管状フィルタ作用媒体を備えたフィルタカートリッジを提供することにあり、エンドキャップの熱可塑性樹脂材料は、管状フィルタ作用媒体に浸透し、それの端部に上記連結ゾーンを作り出す。
【0016】
本発明のこれらおよび他の目的は、添付図面に関連して考慮される以下の詳細な説明に照らしてさらに理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】オーバモールドされた熱可塑性樹脂エンドキャップ12および14の間に介挿される管状フィルタ作用媒体16を備え、本発明の一実施形態に従って構成された、フィルタカートリッジ10を断面図で概略的に説明している。
【図2】図1に図解されたフィルタカートリッジ10の外部を概略的に示している。
【図3A】管状フィルタ作用媒体16に熱可塑性樹脂エンドキャップ12をオーバモールドするための方法の各ステップを、本発明の一実施形態に従って概略的に示している。
【図3B】管状フィルタ作用媒体16に熱可塑性樹脂エンドキャップ12をオーバモールドするための方法の各ステップを、本発明の一実施形態に従って概略的に示している。
【図3C】管状フィルタ作用媒体16に熱可塑性樹脂エンドキャップ12をオーバモールドするための方法の各ステップを、本発明の一実施形態に従って概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1および図2に図解されているように、一実施形態に従った本発明は、それらの間に固定的に介挿された管状フィルタ作用媒体16を有する一対の熱可塑性樹脂エンドキャップ12、14を備える、フィルタカートリッジ10を提供する。熱可塑性樹脂エンドキャップ12、14の各々は、選択した熱可塑性樹脂材料から形成される。
【0019】
概して、管状フィルタ作用媒体16は、多孔性または繊維質材料からなっている。管状フィルタ作用媒体16(中心軸線A−Aならびに第1および第2の端部を有する)は、その第1および第2の端部が、それぞれ第1および第2の連結ゾーン12A、14Aにてその中に固定されるようにして、熱可塑性樹脂エンドキャップ12、14の間に配置されている。これらのゾーンにて、エンドキャップ12、14の熱可塑性樹脂材料は、上記管状フィルタ作用媒体16の多孔性または繊維質材料内に浸透する。
【0020】
本発明に従って構成された、フィルタカートリッジ10は、広い範囲の温度、圧力、および流速において実施される、幅広い種類のフィルタ作用応用技術に適応させるのに十分な耐久性を有する。結果として生ずる構造は、以前はしばしばより丈夫な製品形態を提供することに向けた戦略を制限した、化学的両立性要求(例えば、エポキシベースの埋設材料の使用に大きく関連する)を低減して、比較的広い種類の材料を用いて製造され得るので、より良好な耐久性からなるのに匹敵する。さらに、(米国特許第4,392,958号明細書において使用されているような)保護シール用薄膜の使用が必要とされないため、そのような薄膜に起因する浸出可能な材料の潜在的な発生源もまた軽減される。
【0021】
上述されたように、熱可塑性樹脂エンドキャップは、各々、予め選択された熱可塑性樹脂材料から形成される。管状フィルタ作用媒体が形態的変化をこうむる溶融温度を実質的に超過する溶融温度を、選択された熱可塑性樹脂材料が有することは、本発明の実施に重要である。例えば、もしも管状フィルタ作用媒体が、ひだ付き重合膜であるならば、選択された熱可塑性樹脂材料は、上記ひだ付き膜を作るのに使用された重合体の熱的溶融温度よりも、実質的に低い熱的溶融温度を有していなければならない。
【0022】
熱可塑性樹脂エンドキャップ12、14の形成のために有用な熱可塑性樹脂材料は、これらに限定されるわけではないが、ポリカーボネート、ポリエステル、ナイロン、PTFE樹脂および他のフッ素重合体、アクリルおよびメタクリル樹脂および共重合体、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリアリルスルフォン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ABSおよびその複合物および混合物、ポリウレタン、熱硬化性重合体、ポリオレフィン(例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、および超高分子量ポリエチレンおよびその共重合体)、ポリプロピレンおよびその共重合体、およびメタロセン生成ポリオレフィン、を含む。
【0023】
熱可塑性樹脂エンドキャップ12(キャップ付け、およびそれゆえ介挿される管状フィルタ作用媒体16の固定に関連する構造的特徴は別として)は、他の関連性のない機能を与える、いくつかの他の一体的に形成された構造的特徴を含み得る。そのような特徴の例は、これらに限定されるわけではないが、一体的に形成された入口(例えば、図1および図2における入口Iを参照されたい)、一体的に形成されたマニフォールドシステムまたは同様の流路またはチャンネル、外側フィルタハウジングへのフィルタカートリッジの据え付けを補助するための位置合わせガイドまたはカプラ、プラグおよびスペーサ、剛性強化リブ、補強材、およびブラケット、ならびに付加的なフィルタ作用関連、アセンブリ関連、および/または製造関連機能性のいずれかを提供する、他の同様の構造を含んでいる。
【0024】
管状フィルタ作用媒体16(例えば、「実質的に管状の」フィルタ作用媒体16)は、多孔性または繊維質材料から作られている。そのような材料は、例えば、単一の一体のフィルタ媒体か、あるいは異なるまたは同様の材料からなる2以上の層を含む一体複合フィルタ媒体か、のいずれかとして提供される。さらに、多孔性または繊維質材料は、例えば、ひだ付き形態(そのひだは、装置10の軸線A−Aに対して実質的に垂直に伸びる)か、あるいは単一の層または多重のらせん状に巻回された層の巻回されたシート構造を形成し得る。
【0025】
多孔性材料は、例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリプロピレン、PES、PVDF、ポリスルフォン膜を含む。そのような膜は、例えば、マクロ多孔性のまたは超多孔性の、被覆されたまたは被覆されていない、対称のまたは非対称の、親水性のまたは疎水性の、支持されたまたは支持されていない、複合材料またはそうでないものであり得る。さらに、膜は、接合材、接続材、または組み込まれたクロマトグラフィのビードまたは粒子への、または多孔性材料それ自体への、目標特定接合位置またはリガンドの提供のような、フィルタ補助物および同様の付加物、またはベース基礎材料の分離特性および品質を増強し、低減し、変化させ、またはさもなければ変更する他の材料を備え、またはその材料で覆われ、またはその材料を含むこともあり得る。
【0026】
多孔性材料は、例えば、織物繊維または不織繊維を含んでいる。繊維は、天然(例えば、綿、亜麻、黄麻、絹など)であってもよく、または合成(例えば、セルロース、ポリプロピレン、ナイロン、およびガラス繊維)であってもよい。鉄、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮、銀、およびチタニウムのような金属繊維が使用され得るのと同様に、このタイプのモンモリロナイト、海泡石、パリゴルスカイト、およびアタパルジャイト粘土のような、針形のラス状または針状粒子を有する粘土であっても良い。繊維は、変化する厚み、有孔性、および密度のメッシュまたはネットとして構成され得る。多孔性材料と同様に、繊維質材料もフィルタ補助物および同様の付加物を組み込むことができる。
【0027】
使用される材料にかかわらず、管状フィルタ作用媒体およびそこを通る隙間空間(上述されたように)は、エンドキャップ12および14を形成するのに使用された熱可塑性樹脂材料の熱的溶融温度に近いまたは近付く温度にさらされたときに、崩壊し、縮み、歪み、またはさもなければ流体不浸透性にされるべきでない。そのような形態的変化が管状フィルタ作用媒体材料に生じる温度は、上記熱可塑性樹脂材料の熱的溶融温度よりも実質的に高くなるべきでない。
【0028】
指摘されたように、上記エンドキャップ12、14の熱可塑性樹脂材料は、連結ゾーン12A、14Aにて上記管状フィルタ作用媒体16の多孔性または繊維質材料に浸透する。そのような浸透の機能は、エンドキャップとフィルタ作用媒体を一緒に機械的に固定することである。媒体の上側外面を過ぎて浸透する熱可塑性樹脂材料は、比較的固定され且つ永久的な事態として、2つの構成要素を一緒に嵌め込み且つ咬み合わせて、その深さ内において機械的に係合する。
【0029】
そのような材料のそのような浸透の程度の存在は、例えば、媒体がエンドキャップに接するエリアまたは領域の適切な断面の微視的な検査によって、決定され得る。そのような微視的な検査は、上記接合の外側界面よりも下に少なくとも部分的な侵入を明らかにすべきである。縁部薄膜は利用されないため、熱可塑性樹脂材料は、連結ゾーン12A、14Aにおける侵入の実質的にエリア全体にわたって多孔性または繊維質材料に直接接触するであろう。さらに、連結ゾーン内における熱可塑性樹脂材料は、エンドキャップの(もしも全体でなければ)主な大部分を形成する熱可塑性樹脂材料と、実質的に連続し且つ同様の化学的組成を有するように見えるであろう。
【0030】
侵入の程度は、必要および方法論に応じて変動するであろう。特に高度に安定化され、またはさもなければ薬事上のプロセスを必要とするフィルタ装置にとって、侵入が、例えばいわゆる「デッドゾーン」を最小化し、および/または製品の耐久性、完全性、安全性、および/または有用性を最大化するために、少なくとも十分である(すなわち、エアギャップおよび空所がない)ことを確実にするために、完全な侵入は好ましいけれども、必要とはされない。
【0031】
本発明の望ましい実施形態においては、管状フィルタ作用媒体16は、熱可塑性樹脂エンドキャップ12、14の間に、内側および外側耐久性要素18および20と一緒に且つこれらの間に同軸的に、介挿される。一実施形態において、内側および外側耐久性要素は、他の数ある機能の中で特に、管状フィルタ作用媒体16の管状形態を制限しおよび/または保持するのを概して補助する、剛体の管状スクリーンまたはメッシュである。
【0032】
典型的には、外側耐久性要素18は、管状フィルタ作用媒体を、機械的応力および、例えばフィルタハウジング内へのフィルタカートリッジ10の取り付けの間に起こり得る操作から保護する、保護機能を提供するであろう。内側耐久性要素は、典型的には、ある程度は、保護機能も提供するが、しかしながら(特に巻回されたフィルタ作用材料の場合において)その上に前記材料が提供される剛体、コア、スプール、またはシートを提供する。
【0033】
外側および内側耐久性要素18および20の利用は、以下においてさらに説明される熱可塑性樹脂オーバモールド法の方法論に従ったフィルタカートリッジ10の製造の間において、特に有用である。そのような方法の間に、内側および外側耐久性要素18および20は、管状フィルタ作用媒体を、それに印加される溶融熱可塑性樹脂材料の重さに対して屈曲すること、またはさもなければ望ましくなくたわむことから保護する。
【0034】
外側および内側耐久性要素の形状、機能、剛性、または組成について、本発明のオーバモールド法において予期される温度および他の条件のもとにおいて、それが形態的な変化をこうむってはいけないこと以外に、特別な制限は存在しない。それゆえ、おそらくは、内側および外側耐久性要素18、20の組成は、熱可塑性樹脂エンドキャップ12および14を形成するのに用いられる特定の熱可塑性樹脂材料とは異なるであろう。その点を念頭に置いて、適切な材料は、これらに限定されるわけではないが、ポリカーボネート、ポリエステル、ナイロン、PTFE樹脂および他のフッ素重合体、アクリルおよびメタクリル樹脂およびその共重合体、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリアリルスルフォン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ABSおよびその複合物および混合物、ポリウレタン、熱硬化性重合体、ポリオレフィン(例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、および超高分子量ポリエチレンおよびその共重合体)、ポリプロピレンおよびその共重合体、およびメタロセン生成ポリオレフィン、を含む。
【0035】
本発明の方法の第1のステップは、図3Aに概略的に図示されているように、内側モールドキャビティ32およびそこに結合された供給ダクト34を有する、ダイモールド型30を提供することである。
【0036】
射出成型機械は、いくつかの様々な形態にて現在入手可能であるから、そのようなダイモールド型のために使用されるいかなる特定の構造または機構についても限定して解釈されるべきではない。本発明の実施において当業者は、彼らの意図された必要性に最も適するダイモールド型を採用することができる。しかしながら、本発明の実施において、ダイモールド型30の内側モールドキャビティ32は、工具で細工され、構成され、あるいはさもなければ、上記熱可塑性樹脂エンドキャップ12の予期される外側輪郭に実質的に適合すべく形成される、それの領域32Aを持つべく提供される。
【0037】
しかしながら、「実質的な」符合を満たすために、領域32Aが、完成した商業的に販売可能な製品の予期される外側輪郭に正確に一致されることは、必要条件ではない。確実なフィルタカートリッジ製品設計のために、モールド後処理ステップが、例えば、エンドキャップを磨くために、残ったばりおよび湯口を除去するために、および/または付加的な構造上の特徴(例えば、入口および出口開口を穿孔すること)または装飾的な特徴(例えば、消費者の自動車フィルタに企業ロゴをホットスタンプすること)を提供するために、用いられ得る。各々そのようなケースにおいて、「完成した」フィルタカートリッジ製品の外側輪郭は、ダイモールド型の領域32Aと一致していないであろう。とにかく、「最終」製品でなく、「中間」製品であったとしても、それらは全てそれに「実質的に」一致している。
【0038】
使用のための適切なダイモールド型30の獲得および準備のあとで、本方法は、管状フィルタ要素の準備、および上記管状フィルタ要素の前縁16Bが上記領域32A内となるように、それをキャビティ32内に挿入することを含んでいる。
【0039】
これらのステップのために、管状フィルタ要素は、(a)単独の管状フィルタ媒体16か、または(b)内側および/または外側耐久性要素18および20と組み合わせて配置される管状フィルタ媒体16か、のいずれかを備え得る。管状フィルタ要素についてのそのような代案の詳細は、以上において詳細に述べられている。薬事上の応用技術に使用されるタイプのひだ付けされた膜のフィルタカートリッジの製造に関して、耐久性要素18および20との組み合わせが、比較的繊細なひだ付けされた膜の優れた保護および支持を提供する程度まで望まれる。
【0040】
上記ダイモールド型30の上記領域32A内への管状フィルタ要素の前縁の広がりが、例えば、エンドキャップの取り付けの所望の耐久性および強さ、溶融された熱可塑性樹脂材料の化学的性質、粘性、および流動性、管状フィルタ媒体16の有孔性または透過性、管状フィルタ作用媒体16の構成(例えば、ひだ付けされている、スパイラル状に巻回されている、など)、内側および/または外側耐久性要素18および29の使用(か否か)、モールド成型に使用されると予期される圧力および熱、射出装置の操作および機械的特性、ならびに商業的製造ファクタである人気または不人気、より高いまたはより低い生産高および/またはスループットに依存して、変動し得る。
【0041】
上記ダイモールド型30の領域32A全体にわたっての溶融された熱可塑性樹脂材料の妨害を受けず且つ相応な流れを確実にするために、管状フィルタ要素は、その前縁が上記ダイモールド型の面に接触するように、ダイモールド型内に完全に押し込まれるべきでなく、そしてそれゆえ、上記供給ダクト34から領域32Aの外側周囲縁部までの流れを潜在的に遮断しまたは妨げる。
【0042】
望ましいモードの動作において、管状フィルタ要素は、(射出成型における一般的な慣行においてそうであるように)ダイモールド型30の他の半分に本質的に対応する、ホルダ36を用いて、ダイモールド型30の領域32A内に挿入される。動作において、ホルダ36は、内側モールドキャビティをシールすべくダイモールド型30に係合しまたはさもなければ結合して、圧力の印加およびモールド温度の維持を可能とする。
【0043】
図3Bに示されるように、ホルダ32Aは、管状フィルタ要素を、確実に且つ堅固に設置すべく、そしてホルダ36がダイモールド型30に係合したときに、管状フィルタ要素の前縁16aが、ダイモールド型の領域32A内の所望の位置にもたらされるように、構成される。
【0044】
図3Bにおいても示されるように、ホルダは、好ましくは、管状フィルタ要素の内側管腔(図1における通路22を参照されたい)の内部に、相対的に密に(しかし取り外し可能に)嵌合するプラグ36Aを装備している。プラグは、望ましくは、(a)そこを通り且つさらに上記内側管腔内への流体の流れを実質的に遮断すべく構成されている末端部38を設けており、そして(b)上記末端部38が上記熱可塑性樹脂エンドキャップ12の所望の外側輪郭に実質的に一致するようにして、上記通路内に十分に深い挿入を可能とするのに十分な長さからなっている。
【0045】
プラグ36は、上記ホルダ30に一体化されてもよく、または分離された独立の部材(例えば、取り外し可能なコルク栓またはストッパ)であってもよい。
【0046】
採用されたとき、特に溶融された熱可塑性樹脂材料が(図3Aから図3Cにおけるように)内側モールドキャビティ内にまたは側部に(図示せず)流下したときに、プラグは、供給ダクトから内側管腔内に流れ且つそれを満たす溶融された材料を停止させるべく機能するだけでなく、また、溶融材料が、領域32Aの外側周囲エリアに向かって放射状に流出することも確実にすべく機能することが認識されるであろう。内部モールドキャビティ32内に(重力に抗して)上向きにポンプ送りされる低粘性溶融材料を含む状況においては、プラグ36Aの使用は、保証されない可能性がある。
【0047】
図3Cに示されるように、一旦、管状フィルタ要素が上記ダイモールドキャビティ32内に適切に挿入されると、溶融された熱可塑性樹脂材料が上記供給ダクトを介して、上記内側モールドキャビティ32内に上記領域32Aを満たすのに十分な量で注入され、それによって上記熱可塑性樹脂エンドキャップ12を形成する。エンドキャップが施された管状フィルタ要素は、上記熱可塑性樹脂エンドキャップ12を形成する上記溶融された熱可塑性樹脂材料が十分に硬化された後に、上記ダイモールド型30から除去される。
【0048】
上述において示唆されたように、キャビティ内に注入されたときに、溶融された熱可塑性樹脂材料は、管状フィルタ作用要素のフィルタ作用材料16の流体が出入り可能な細孔および他の同様な隙間エリアに浸透する。そのような浸透が生ずる程度は、有孔性、粘性、圧力、熱および時間のような、挿入深さの決定に関連する同一のファクタに依存するであろう。好ましくは、領域32A内のフィルタ作用材料16の全体の厚みおよび深さ12Aにわたって、強い接合、完全な浸透(すなわち、エアポケット、泡、クラックおよびクレバスなしに)を達成することが、探求されるべきである。
【0049】
溶融された熱可塑性樹脂材料の温度が、管状フィルタ作用材料16における形態的変化を生じさせるレベルよりも実質的に低い場合、その細孔(等)のつぶれおよび/または圧縮が生じることはない。それゆえ、上記溶融材料の良好な侵入のために適する条件を可能とする。
【0050】
最後に、ダイモールド型30からキャップが施されたフィルタ作用要素の排出について、排出に先立って熱可塑性樹脂材料が完全に硬化される必要はないことを、当業者は認識するであろう。一般に、部品は、熱可塑性樹脂材料がその形状を維持するために十分に硬化するとすぐに排出され得て、そしてその後に、例えば、後続の下流アニールプロセスにおいて、さらなる硬化が達成され得る。
【0051】
本発明は、そのある特定の実施形態に関して説明されてきたが、ここに述べられた本発明の教示の利益を有する当業者は、それに対して多数の変更を実現させ得る。変更は、添付された特許請求の範囲に述べられた通りの本発明の範囲内に包含される限り、考慮されるべきである。
【符号の説明】
【0052】
10 フィルタカートリッジ
12、14 熱可塑性樹脂エンドキャップ
12A、14A 連結ゾーン
16 管状フィルタ作用媒体
16A 前縁
18 外側耐久性要素
20 内側耐久性要素
30 ダイモールド型
32 内側モールドキャビティ
32A 領域
34 供給ダクト
36 ホルダ
36A プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々熱可塑性樹脂材料から形成される一対の熱可塑性樹脂エンドキャップと、
第1および第2の端部を有して、前記第1および第2の端部が第1および第2の連結ゾーンでそれぞれ中に固定されるように熱可塑性樹脂エンドキャップ間に配置された、多孔性または繊維質の材料からなる管状フィルタ作用媒体と、
を備える、フィルタカートリッジであって、
前記エンドキャップの前記熱可塑性樹脂材料は、各々前記連結ゾーンで前記管状フィルタ作用媒体の前記多孔性または繊維質の材料に浸透する、フィルタカートリッジ。
【請求項2】
前記管状フィルタ作用媒体は、重合体材料から構成されるひだ付けされた膜を備える、請求項1に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂材料は、前記ひだ付けされた膜を含む重合体材料の熱溶融温度より実質的に低い熱溶融温度を有する、請求項2に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項4】
前記管状フィルタ作用媒体の内面にオーバラップする内側耐久要素と、前記管状フィルタ作用媒体の外面にオーバラップする外側耐久要素とをさらに備え、前記内側および外側耐久要素は、それを通る流体の通路のために構成されている、請求項1に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項5】
フィルタカートリッジの製造に役立つ方法であって、前記フィルタカートリッジは、その少なくとも1つの縁部にて、熱可塑性樹脂エンドキャップでキャップされた管状フィルタ要素を備え、この方法は、
(a)内側モールドキャビティを有するダイモールド型を提供するステップであって、供給ダクトが前記内側モールドキャビティに結合されており、内側モールドキャビティは、前記熱可塑性樹脂エンドキャップの外側輪郭に実質的に適合するように形成された領域を有する、ステップと、
(b)前記管状フィルタ要素を提供するステップであって、前記管状フィルタ要素は前記少なくとも1つの縁部を有する、ステップと、
(c)前記少なくとも1つの縁部が前記領域内となるようにして、前記管状フィルタ要素をキャビティ内に挿入するステップと、
(d)前記領域を満たすように前記内側モールドキャビティ内に前記供給ダクトを通して溶融された十分な量の熱可塑性樹脂材料を注入し、それによって前記熱可塑性樹脂エンドキャップを形成するステップと、
(e)前記溶融された熱可塑性樹脂材料が十分に硬化した後に、前記ダイモールド型からエンドキャップが施された管状フィルタ要素を取り外すステップと
を含む、方法。
【請求項6】
前記管状フィルタ要素は、前記少なくとも1つの縁部を有する多孔性または繊維質の材料からなり、且つステップ(d)において、前記溶融された熱可塑性樹脂材料は、前記縁部の前記多孔性または繊維質の材料に浸透する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記管状フィルタ要素は、その長さに沿って実質的に同軸的に伸びる通路を有し、且つこの方法は、
前記注入ステップ(d)に先立って、前記管状フィルタ要素の通路に取り外し可能にプラグを挿入するステップであって、前記プラグは、前記通路内において通る流体の流れを実質的に妨げるように構成された末端部を有し、前記プラグは、前記末端部が実質的に前記熱可塑性樹脂エンドキャップの前記所望の外側輪郭に実質的に適合するように、前記通路内に十分に深く挿入されるステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法にしたがって作られた、フィルタカートリッジ。
【請求項9】
管状フィルタ作用媒体をキャップする方法であって、
(a)内側モールドキャビティを有するダイモールド型を提供することであって、供給ダクトが前記内側モールドキャビティに結合されており、内側モールドキャビティは、前記熱可塑性樹脂エンドキャップの外側輪郭に実質的に適合するように形成された領域を有することと、
(b)前記管状フィルタ要素を提供することであって、前記管状フィルタ要素は前記少なくとも1つの縁部を有することと、
(c)前記少なくとも1つの縁部が前記領域内となるようにして、前記管状フィルタ要素をキャビティ内に挿入することと、
(d)前記領域を満たすように前記内側モールドキャビティ内に前記供給ダクトを通して溶融された十分な量の熱可塑性樹脂材料を注入し、それによって前記熱可塑性樹脂エンドキャップを形成することと、
(e)前記溶融された熱可塑性樹脂材料が十分に硬化した後に、前記ダイモールド型からエンドキャップが施された管状フィルタ要素を取り外すことと
を含む、方法。
【請求項10】
前記管状フィルタ要素は、その長さに沿って実質的に同軸的に伸びる通路を有し、且つこの方法は、
前記注入ステップ(d)に先立って、前記管状フィルタ要素の通路に取り外し可能にプラグを挿入するステップであって、前記プラグは、前記通路内においてそこを通る流体の流れを実質的に妨げるように構成された末端部を有し、前記プラグは、前記末端部が実質的に前記熱可塑性樹脂エンドキャップの前記所望の外側輪郭に実質的に適合するように、前記通路内に十分に深く挿入されるステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記管状フィルタ要素は、前記少なくとも1つの縁部を有する多孔性または繊維質の材料からなり、且つステップ(d)において、前記溶融された熱可塑性樹脂材料は、前記縁部の前記多孔性または繊維質の材料に浸透する、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公開番号】特開2009−292152(P2009−292152A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−166915(P2009−166915)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【分割の表示】特願2005−347469(P2005−347469)の分割
【原出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】