説明

管理システム

【課題】作業者および管理者を煩わせることなく、作業の開始と作業の終了の履歴を簡単に管理することができるシステムを提供すること。
【解決手段】管理システムは、作業に関する情報が記憶されているICタグ12、14、16と、このICタグ12、14、16に記憶されている情報を読み取り可能な端末装置20と、この端末装置20と通信回線網42を介して接続された管理装置50とを備え、作業の開始と終了にあたって、端末装置20からICタグ12、14、16に記憶されている情報を読み取らせると、端末装置20は、読み取った情報を通信回線網42を介して管理装置50に送信し、管理装置50は、端末装置20から情報を受信すると、作業が開始されたことと作業が終了したことを日時に対応付けて記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システムに関し、詳しくは、作業の開始および作業の終了の履歴を管理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品の製造工程における作業を、いつ、誰が行ったかの履歴を管理する方法として、例えば、台帳等の書面で管理する方法が知られている。この方法では、作業の開始と作業の終了のときに、各作業者に自身の名前と日時を台帳に手書きで記入させ、その記入させた台帳を管理者が保存(例えば、パーソナルコンピュータに記憶させる)している。このように保存しておくことで、後日、製品にトラブル等が発生しても、管理者はその対処を迅速に行うことができる。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−247497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、作業の開始と作業の終了のときに、台帳を記入しなければいけないため、作業者にとって煩わしいものとなっていた。また、記入した台帳を保存しなければいけないため、管理者にとっても煩わしいものとなっていた。そのため、これらを解決することを求められていた。
【0006】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、作業者および管理者を煩わせることなく、作業の開始と作業の終了の履歴を簡単に管理することができるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、作業に関する情報が記憶されているICタグと、このICタグに記憶されている情報を読み取り可能な端末装置と、この端末装置と通信回線網を介して接続された管理装置とを備えており、作業の開始にあたって、端末装置からICタグに記憶されている情報を読み取らせると、端末装置は、読み取った情報を通信回線網を介して管理装置に送信し、管理装置は、端末装置から情報を受信すると、作業が開始されたことを日時に対応付けて記憶し、作業の終了にあたって、再度、端末装置からタグに記憶されている情報を読み取らせると、端末装置は、再度、読み取った情報を通信回線網を介して管理装置に送信し、管理装置は、再度、端末装置から情報を受信すると、作業が終了したことを日時に対応付けて記憶することを特徴とする構成である。
この構成によれば、作業の開始と作業の終了にあたって、端末装置からICタグに記憶されている情報を読み取らせると、管理装置が、その開始日時および終了日時を記憶する。そのため、作業者だけでなく管理者も煩わせることなく、作業の開始と作業の終了の履歴を簡単に管理することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の管理システムであって、端末装置には、外部機器からの外部情報を入力可能な入力端子が備えられており、端末装置は、入力端子から外部情報の入力を受け付けると、この受け付けた外部情報を通信回線網を介して管理装置に送信し、管理装置は、端末装置から外部情報を受信すると、受信した外部情報を日時に対応付けて記憶することを特徴とする構成である。
この構成によれば、外部機器からの外部情報も、そのときの日時に対応させて記憶させることができる。したがって、外部機器にトラブルが発生したとき、その履歴を確認することでトラブルの対処を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施例に係る管理システムの全体構成図である。
【図2】図2は、図1の端末装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、図1の管理装置に記憶される内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜3を用いて説明する。まず、図1を参照して、本発明の実施例に係る管理システムの全体構成を説明する。
【0011】
20は、端末装置である。この端末装置20は、作業者が運搬可能なサイズ(大きさ、重さ)に構成されている。32は、外部機器であり、例えば、材料を加工するプレス機械である。40は、後述する携帯電話回線網42の中継局である。この中継局40と端末装置20の後述する通信モジュール28とは、無線状態で各種情報の送受信が可能である。42は、通信回線網であり、例えば、既存の携帯電話回線網である。50は、管理装置であり、例えば、CPU、記憶部(HDD、RAM等)、モニタおよびキーボードを備えた汎用のパーソナルコンピュータである。
【0012】
このパーソナルコンピュータ50の記憶部には、本発明の管理システムに関するソフトウェアが記憶されており、このソフトウェアによって端末装置20から送られてくる情報を記憶部に記憶させる動作が実行されている。なお、これら端末装置20とプレス機械34、中継局40と携帯電話回線網42、および携帯電話回線網42とパーソナルコンピュータ50は、有線状態でそれぞれ電気的に接続されている。
【0013】
次に、図2を参照して、端末装置20について詳述する。この端末装置20は、本体22と、後述する作業指示識別カード12、作業識別カード14、作業者識別カード16にそれぞれ内蔵されたICタグ(図示しない)に記憶されている情報を読み取り可能なコントローラ24とから構成されている。
【0014】
この本体22の内部には、制御装置であるシーケンサ26が備えられている。また、この本体22の正面には、作業者が操作可能なタッチパネル30が備えられている。また、この本体22の向かって右側面には、通信モジュール28が備えられている。また、この本体の向かって左側面には、例えば、プレス機械34からの各種情報(例えば、故障に関する情報)を入力可能な入力端子32が備えられている。
【0015】
なお、これらシーケンサ26とコントローラ24、シーケンサ26とタッチパネル30、シーケンサ26と通信モジュール28およびシーケンサ26と入力端子32は、有線状態でそれぞれ電気的に接続されている。
【0016】
また、作業指示識別カード12は、複数の工程から成る作業指示が複数(この例では、第1の作業指示、第2の作業指示、第3の作業指示の計3つ)ある場合、いずれの作業指示であるかを識別するためのカードである。この実施例では、例えば、第1の作業指示は、材料取り、マシニング、塗装、組付け、引渡しの順に5つの工程の作業から構成されているものとする。そのため、この第1の作業指示に対応する第1の作業指示識別カード12aのICタグには、これら5つの作業が順に行われるように記憶されている。
【0017】
また、例えば、第2の作業指示は、材料取り、マシニング、引渡しの順に3つの工程の作業から構成されているものとする。そのため、この第2の作業指示に対応する第2の作業指示識別カード12bのICタグには、これら3つの作業が順に行われるように記憶されている。また、例えば、第3の作業指示は、材料取り、塗装、組付け、引渡しの順に4つの工程の作業から構成されているものとする。そのため、この第3の作業指示に対応する第3の作業指示識別カード12cのICタグには、これら4つの作業が順に行われるように記憶されている。
【0018】
また、作業識別カード14とは、上述した5つの工程の作業(材料取り、マシニング、塗装、組付け、引渡し)に対応付けられたカードである。そのため、第1の作業識別カード14aのICタグには、材料取りの作業に対応付けられた情報が記憶されている。また、第2の作業識別カード14bのICタグには、マシニングの作業に対応付けられた情報が記憶されている。
【0019】
また、第3の作業識別カード14cのICタグには、塗装の作業に対応付けられた情報が記憶されている。また、第4の作業識別カード14dのICタグには、組付けの作業に対応付けられた情報が記憶されている。また、第5の作業識別カード14eのICタグには、引渡しの作業に対応付けられた情報が記憶されている。
【0020】
また、作業者識別カード16とは、作業者が複数(この例では、AAAさん、BBBさん、CCCさんの計3人)いる場合、いずれの作業者であるかを識別するためのカードである。この実施例では、例えば、第1の作業者識別カード16aのICタグには、AAAさんに対応付けられた情報が記憶されている。また、第2の作業者識別カード16bのICタグには、BBBさんに対応付けられた情報が記憶されている。また、第3の作業者識別カード16cのICタグには、CCCさんに対応付けられた情報が記憶されている。
【0021】
続いて、図3を参照して、上述した管理システムの動作を説明する。この説明にあたって、第1の作業指示が成された場合を説明する。また、第1の作業指示の作業のうち、材料取りはBBBさんが行い、マシニングはAAAさんが行い、塗装はCCCさんが行い、組付けはAAAさんが行い、引渡しはBBBさんが行う例を説明する。
【0022】
まず、BBBさんは、材料取りの作業を行う前に、端末装置20のコントローラ24から、第1の作業指示識別カード12aのICタグに記憶されている情報と、第1の作業識別カード14aに記憶されている情報と、第2の作業者識別カード16bに記憶されている情報とを読み取らせる。その後、BBBさんは、材料取りの作業にとりかかる。
【0023】
すると、端末装置20は、読み取った各情報を携帯電話回線網42を介してパーソナルコンピュータ50に送信する。そして、パーソナルコンピュータ50は、端末装置20から各情報を受信すると、その作業が開始されたことを、そのときの日時(例えば、2009年6月9日9時)に対応つけて記憶部に記憶させる。すなわち、パーソナルコンピュータ50の記憶部には、第1の作業指示における材料取りの作業が、BBBさんによって2009年6月9日9時に開始されたことが記憶される。
【0024】
やがて、材料取りの作業が終了すると、BBBさんは、端末装置20のコントローラ24から、再度、第1の作業指示識別カード12aのICタグに記憶されている情報を読み取らせる。
【0025】
すると、端末装置20は、読み取った情報を携帯電話回線網42を介してパーソナルコンピュータ50に送信する。そして、パーソナルコンピュータ50は、端末装置20から情報を受信すると、その作業が終了したことを、そのときの日時(例えば、2009年6月9日17時)に対応つけて記憶部に記憶させる。すなわち、パーソナルコンピュータ50の記憶部には、第1の作業指示における材料取りの作業が、BBBさんによって2009年6月9日17時に終了したことが記憶される。
【0026】
このとき、材料取りの作業を行う前に読み取らせたときと同様に、BBBさんは、端末装置20のコントローラ24から、第1の作業識別カード14aに記憶されている情報と、第2の作業者識別カード16bに記憶されている情報とを読み取らせる必要がない。なぜなら、作業指示識別カード12aは、既に、第1の作業指示における材料取りの作業が、BBBさんによって2009年6月9日9時に開始されたことを認識しているため、再度、重複する情報を読み取らせる必要がないからである。
【0027】
次に、その翌日(2日目)、AAAさんは、マシニングの作業を行う前に、端末装置20のコントローラ24から、第1の作業指示識別カード12aのICタグに記憶されている情報と、第2の作業識別カード14bに記憶されている情報と、第1の作業者識別カード16aに記憶されている情報とを読み取らせる。その後、AAAさんは、マシニングの作業にとりかかる。
【0028】
すると、端末装置20は、読み取った各情報を携帯電話回線網42を介してパーソナルコンピュータ50に送信する。そして、パーソナルコンピュータ50は、端末装置20から各情報を受信すると、その作業が開始されたことを、そのときの日時(例えば、2009年6月10日9時)に対応つけて記憶部に記憶させる。すなわち、パーソナルコンピュータ50の記憶部には、第1の作業指示におけるマシニングの作業が、AAAさんによって2009年6月10日9時に開始されたことが記憶される。
【0029】
やがて、マシニングの作業が終了すると、AAAさんは、端末装置20のコントローラ24から、再度、第1の作業指示識別カード12aのICタグに記憶されている情報を読み取らせる。
【0030】
すると、端末装置20は、読み取った情報を携帯電話回線網42を介してパーソナルコンピュータ50に送信する。そして、パーソナルコンピュータ50は、端末装置20から情報を受信すると、その作業が終了したことを、そのときの日時(例えば、2009年6月10日18時)に対応つけて記憶部に記憶させる。すなわち、パーソナルコンピュータ50の記憶部には、第1の作業指示におけるマシニングの作業が、AAAさんによって2009年6月10日18時に終了したことが記憶される。
【0031】
このとき、材料取りの作業の説明と同様に、AAAさんは、端末装置20のコントローラ24から、第2の作業識別カード14bに記憶されている情報と、第1の作業者識別カード16aに記憶されている情報とを読み取らせる必要がない。なぜなら、作業指示識別カード12aは、既に、第1の作業指示におけるマシニングの作業が、AAAさんによって2009年6月10日9時に開始されたことを認識しているため、再度、重複する情報を読み取らせる必要がないからである。
【0032】
次に、その翌日(3日目)、CCCさんは、塗装の作業を行う前に、端末装置20のコントローラ24から、第1の作業指示識別カード12aのICタグに記憶されている情報と、第3の作業識別カード14cに記憶されている情報と、第3の作業者識別カード16cに記憶されている情報とを読み取らせる。その後、CCCさんは、塗装の作業にとりかかる。
【0033】
すると、端末装置20は、読み取った各情報を携帯電話回線網42を介してパーソナルコンピュータ50に送信する。そして、パーソナルコンピュータ50は、端末装置20から各情報を受信すると、その作業が開始されたことを、そのときの日時(例えば、2009年6月11日8時)に対応つけて記憶部に記憶させる。すなわち、パーソナルコンピュータ50の記憶部には、第1の作業指示における塗装の作業が、CCCさんによって2009年6月11日8時に開始されたことが記憶される。
【0034】
やがて、塗装の作業が終了すると、CCCさんは、端末装置20のコントローラ24から、再度、第1の作業指示識別カード12aのICタグに記憶されている情報を読み取らせる。
【0035】
すると、端末装置20は、読み取った情報を携帯電話回線網42を介してパーソナルコンピュータ50に送信する。そして、パーソナルコンピュータ50は、端末装置20から情報を受信すると、その作業が終了したことを、そのときの日時(例えば、2009年6月11日16時)に対応つけて記憶部に記憶させる。すなわち、パーソナルコンピュータ50の記憶部には、第1の作業指示における塗装の作業が、CCCさんによって2009年6月11日16時に終了したことが記憶される。
【0036】
このとき、材料取りの作業の説明、マシニングの作業の説明と同様に、CCCさんは、端末装置20のコントローラ24から、第3の作業識別カード14cに記憶されている情報と、第3の作業者識別カード16cに記憶されている情報とを読み取らせる必要がない。なぜなら、作業指示識別カード12aは、既に、第1の作業指示における塗装の作業が、CCCさんによって2009年6月11日8時に開始されたことを認識しているため、再度、重複する情報を読み取らせる必要がないからである。
【0037】
次に、その翌日(4日目)、AAAさんは、組付けの作業を行う前に、端末装置20のコントローラ24から、第1の作業指示識別カード12aのICタグに記憶されている情報と、第4の作業識別カード14dに記憶されている情報と、第1の作業者識別カード16aに記憶されている情報とを読み取らせる。その後、AAAさんは、組付けの作業にとりかかる。
【0038】
すると、端末装置20は、読み取った各情報を携帯電話回線網42を介してパーソナルコンピュータ50に送信する。そして、パーソナルコンピュータ50は、端末装置20から各情報を受信すると、その作業が開始されたことを、そのときの日時(例えば、2009年6月12日8時30分)に対応つけて記憶部に記憶させる。すなわち、パーソナルコンピュータ50の記憶部には、第1の作業指示における組付け作業が、AAAさんによって2009年6月12日8時30分に開始されたことが記憶される。
【0039】
やがて、組付けの作業が終了すると、AAAさんは、端末装置20のコントローラ24から、再度、第1の作業指示識別カード12aのICタグに記憶されている情報を読み取らせる。
【0040】
すると、端末装置20は、読み取った情報を携帯電話回線網42を介してパーソナルコンピュータ50に送信する。そして、パーソナルコンピュータ50は、端末装置20から情報を受信すると、その作業が終了したことを、そのときの日時(例えば、2009年6月12日16時)に対応つけて記憶部に記憶させる。すなわち、パーソナルコンピュータ50の記憶部には、第1の作業指示における組付けの作業が、AAAさんによって2009年6月11日16時に終了したことが記憶される。
【0041】
このとき、材料取りの作業の説明、マシニングの作業の説明、塗装の作業の説明と同様に、AAAさんは、端末装置20のコントローラ24から、第4の作業識別カード14dに記憶されている情報と、第1の作業者識別カード16aに記憶されている情報とを読み取らせる必要がない。なぜなら、作業指示識別カード12aは、既に、第1の作業指示における組付けの作業が、AAAさんによって2009年6月12日8時30分に開始されたことを認識しているため、再度、重複する情報を読み取らせる必要がないからである。
【0042】
最後に、その翌日(5日目)、BBBさんは、引渡しの作業を行う前に、端末装置20のコントローラ24から、第1の作業指示識別カード12aのICタグに記憶されている情報と、第5の作業識別カード14eに記憶されている情報と、第2の作業者識別カード16bに記憶されている情報とを読み取らせる。その後、BBBさんは、引渡しの作業にとりかかる。
【0043】
すると、端末装置20は、読み取った各情報を携帯電話回線網42を介してパーソナルコンピュータ50に送信する。そして、パーソナルコンピュータ50は、端末装置20から各情報を受信すると、その作業が開始されたことを、そのときの日時(例えば、2009年6月13日9時)に対応つけて記憶部に記憶させる。すなわち、パーソナルコンピュータ50の記憶部には、第1の作業指示における引渡し作業が、BBBさんによって2009年6月13日9時に開始されたことが記憶される。
【0044】
やがて、引渡しの作業が終了すると、BBBさんは、端末装置20のコントローラ24から、再度、第1の作業指示識別カード12aのICタグに記憶されている情報を読み取らせる。
【0045】
すると、端末装置20は、読み取った情報を携帯電話回線網42を介してパーソナルコンピュータ50に送信する。そして、パーソナルコンピュータ50は、端末装置20から情報を受信すると、その作業が終了したことを、そのときの日時(例えば、2009年6月13日17時)に対応つけて記憶部に記憶させる。すなわち、パーソナルコンピュータ50の記憶部には、第1の作業指示における引渡しの作業が、BBBさんによって2009年6月13日17時に終了したことが記憶される。
【0046】
このとき、材料取りの作業の説明、マシニングの作業の説明、塗装の作業の説明、組付けの作業の説明と同様に、BBBさんは、端末装置20のコントローラ24から、第5の作業識別カード14eに記憶されている情報と、第2の作業者識別カード16bに記憶されている情報とを読み取らせる必要がない。なぜなら、作業指示識別カード12aは、既に、第1の作業指示における引渡しの作業が、BBBさんによって2009年6月13日9時に開始されたことを認識しているため、再度、重複する情報を読み取らせる必要がないからである。第1の作業指示は、このように実行されている。
【0047】
なお、上述した管理システムの動作の説明において、作業の順序に誤りが生じた場合を説明する。例えば、2日目、AAAさんは、マシニングの作業を行う前に、端末装置20のコントローラ24から、誤って、第1の作業指示識別カード12aのICタグに記憶されている情報と、第3の作業識別カード14cのICタグに記憶されている情報と、第1の作業者識別カード16aのICタグに記憶されている情報とを読み取らせた場合を説明する。
【0048】
すなわち、2日目、AAAさんは、端末装置20のコントローラ24から、マシニングに対応する第2の作業識別カード14bのICタグに記憶されている情報ではなく、誤って、塗装に対応する第3の作業識別カード14cのICタグに記憶されている情報を読み取らせた場合を説明する。
【0049】
この場合、既に説明したように、第1の作業指示識別カード12aのICタグには、その5つの作業順序が記憶されている。そのため、上述したように、作業の順番を誤って読み取らせると、その誤りをシーケンサ26が判断してタッチパネル30に表示させることで、AAAさんに報知することができる。したがって、作業順序に誤りが生じることを防止できる。
【0050】
また、上述した管理システムの動作の説明において、プレス加工の作業を行っているプレス機械34に故障が発生すると、その故障に関する情報(例えば、油圧不足等)が入力端子32を介して端末装置20へ入力される。このように、端末装置20は、入力端子32から故障に関する情報の入力を受け付けると、この受け付けた故障に関する情報を携帯電話回線網42を介してパーソナルコンピュータ50へ送信する。そして、パーソナルコンピュータ50は、端末装置20から故障に関する情報を受信すると、受信した故障に関する情報を、そのときの日時に対応付けて記憶部に記憶させる。
【0051】
本発明の実施例に係る管理システムは、上述したように構成されている。この構成によれば、各作業の開始と作業の終了にあたって、端末装置20のコントローラ24から、該当するカード12、14、16のICタグに記憶されている情報を読み取らせると、パーソナルコンピュータ50が、その作業名に対応付けて、作業者名、開始日時および終了日時を記憶する。そのため、作業者だけでなく管理者も煩わせることなく、作業の開始と作業の終了の履歴を簡単に管理することができる。また、パーソナルコンピュータ50は、携帯電話回線網42と電気的に接続されているため、この携帯電話回線網42と電気的に接続されている他のパーソナルコンピュータから、パーソナルコンピュータ50に記憶した情報(作業名に対応付けた、作業者名、開始日時および終了日時)を読み込むことができる。また、この構成によれば、既存の携帯電話回線網42を利用するため、インフラ工事を必要とすることなく、直ぐに運用可能である。
【0052】
また、この構成によれば、プレス機械34からの各種情報を入力可能な入力端子32を備えているため、プレス機械34からの各種情報も、そのときの日時に対応させて記憶させることができる。したがって、プレス機械34にトラブルが発生したとき、その履歴を確認することでトラブルの対処を迅速に行うことができる。
【0053】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例では、作業の開始と作業の終了を管理する構成を例に説明した。しかし、これに限定されるものでなく、例えば、プレス機械34の金型と、その金型で製造された製品とを管理する構成であっても構わない。その場合、プレス機械34の金型と、その金型で製造された製品とに異なる情報を記憶させたICタグをそれぞれ付与しておき、プレス成形するときに、端末装置20のコントローラ24からそれらのICタグを読み取らせる構成となる。このことは、プレス機械34の金型に限定されることなく、各種の機械に適用できる。
【0054】
また、実施例では、作業に関する情報が記憶されている入力媒体の例としてICタグを説明した。しかし、これに限定されるものでなく、例えば、バーコード、QRコード(登録商標)等であっても構わない。
【符号の説明】
【0055】
20 端末装置
34 プレス機械(外部機器)
42 携帯電話回線網(通信回線網)
50 パーソナルコンピュータ(管理装置)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業に関する情報が記憶されているICタグと、このICタグに記憶されている情報を読み取り可能な端末装置と、この端末装置と通信回線網を介して接続された管理装置とを備えており、
作業の開始にあたって、端末装置からICタグに記憶されている情報を読み取らせると、
端末装置は、読み取った情報を通信回線網を介して管理装置に送信し、
管理装置は、端末装置から情報を受信すると、作業が開始されたことを日時に対応付けて記憶し、
作業の終了にあたって、再度、端末装置からタグに記憶されている情報を読み取らせると、
端末装置は、再度、読み取った情報を通信回線網を介して管理装置に送信し、
管理装置は、再度、端末装置から情報を受信すると、作業が終了したことを日時に対応付けて記憶することを特徴とする管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の管理システムであって、
端末装置には、外部機器からの外部情報を入力可能な入力端子が備えられており、
端末装置は、入力端子から外部情報の入力を受け付けると、この受け付けた外部情報を通信回線網を介して管理装置に送信し、
管理装置は、端末装置から外部情報を受信すると、受信した外部情報を日時に対応付けて記憶することを特徴とする管理システム。








【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−3120(P2011−3120A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147377(P2009−147377)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(591153651)浅井興産株式会社 (4)
【Fターム(参考)】