説明

箱反転装置

【課題】直線の搬送ライン途中に設置でき、上下逆の状態で搬送されてくるダンボール箱を搬送しながら上下反転して高い処理能力を実現するとともに、シンプルな機構でスペースをとらないダンボール箱反転装置を提供する。
【解決手段】回転ドラム7は、回転円板11,12、及び両円板11,12間において互いに向い合うように配置された一対のベルトコンベア30,31と一対のガイド板40,41とから構成されていて、内部に箱Aの断面形状に合致するような断面略矩形の搬送経路3を形成している。箱Aは、ベルトコンベア30,31が上下位置にあるときに搬送経路3内に進入し、左右面がガイド板40,41で案内されつつ、上下面がベルトコンベア30,31で挟まれた状態で搬送されながら、回転ドラム7が回転することにより反転される。回転ドラム7の出口側において、反転された状態にある箱Aが搬出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製函されたダンボール箱、又はダンボール箱に製品が箱詰めされたダンボール箱包装体のような箱を天地方向に反転させる箱反転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、折り畳まれた状態にあるダンボール箱を拡開することで製函されたダンボール箱、又はそうしたダンボール箱内に製品を箱詰めして製造したダンボール箱包装体を、天地方向、即ち上下に反転させる技術については、さまざまなものが提案されている。特に、ダンボール箱包装体の場合には、製函されたダンボールの底側から製品の箱詰めが行われるので、ダンボール箱包装体を搬出するときに、上下反転させる必要がある。
【0003】
従来の、ダンボール箱を上下に反転させるような箱反転装置は、機構上、箱を一度停止させてから反転作業を行うようになっているものが多い。箱を一度停止させてから反転作業を行うと、箱を停止させるのに減速させてから停止させるまでの時間がまったくのロスになるとともに、箱の停止を確認してから反転作業を開始するので、停止センサの確認時間及び反転作業を行う機構の動作開始時間等も無駄時間となり、反転処理能力を高くすることができない。
【0004】
また、箱反転装置の中には、高い処理能力を得るために搬送しながら反転作業を行うものもある。しかしながら、こうしたダンボール箱の反転装置は、機構が非常に複雑であったり、装置として大がかりなものとなっており、それ自体で広いスペースを必要とするものである。また、かかるダンボール箱の反転装置は、例えば袋包装機と組み合わせられて、袋包装機が製造した複数の袋包装体を箱詰めするラインに組み込まれるときに、工場内のレイアウト上の制約を受けるなどという不都合が生じている。
【0005】
停止して反転させる箱反転装置の一例として、胡瓜等の果菜を等級別に選別しながら自動的に箱詰めするための自動整列装置が提案されている(特許文献1参照)。自動整列装置は、テーブル上の果菜に梱包箱をその開口部側を下にして被せる梱包箱被せ装置と、梱包箱をテーブルに押し当てる押え具と、テーブルを回転させて果菜及び梱包箱の上下を反転させる上下反転装置とを備えており、整列体に載せた果菜がテーブルの上に並べられると、梱包箱被せ装置が梱包箱をその開口部側を下にしてテーブル上の果菜の上に被せ、押え具がテーブルの上の梱包箱を同テーブルに押し当て、上下反転装置がテーブルを回転させて果菜及び梱包箱の上下を反転させ、梱包箱の開口部側を上にし、同梱包箱内に果菜を詰めている。
【0006】
また、略連続で搬送しながら反転させる例として、容器の搬送・反転中に容器の取手孔から梅、プラム、びわ等の小形の農産物がこぼれ落ちることのない農産物容器の反転装置が提案されている(特許文献2参照)。供給装置から反転装置本体の入口部に押出された農産物が収容された容器は、水平な回転軸回りの弧状経路を移動する内側コンベアと外側コンベアとの間に挟持されて上方へ搬送される。容器が上方に反転・搬送されながら、容器の傾き角が大きくなると、取手孔の位置まで容器内の農産物が次第に移動してくるが、この取手孔を塞ぐように可撓反力を備えるブラッシユニットが取付けられているので、容器の形状、大きさがある程度異なっても、また容器の取手孔の回りに補強用のビードが設けられていても、取手孔を十分塞ぎ、農産物のこぼれ落ちを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−033112号公報
【特許文献2】特開2003−072936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、搬送されてくる箱を反転装置において反転させる際に、箱の搬送を停止させることなく、搬送を継続させながら反転させる点で解決すべき課題がある。
【0009】
この発明の目的は、直線の搬送ライン途中に設置でき、上下逆の状態で搬送されてくるダンボール箱を搬送しながら上下反転して高い処理能力を実現するとともに、シンプルな機構でスペースをとらない箱反転装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、この発明による箱反転装置は、ドラム中心軸線の回りに回転可能に支持され且つ前記ドラム中心軸線方向の端部が開口している回転ドラムと、前記回転ドラムを回転させる回転駆動手段と、前記回転ドラム内において搬送面が前記回転ドラムの直径方向に対向して配置された一対の搬送手段と、前記回転ドラム内においてガイド面が前記一対の搬送手段の前記搬送面の対向方向と直交する方向で且つ前記回転ドラムの直径方向に対向して配置された一対のガイド部材と、を備え、前記回転ドラム内に前記開口から搬入された箱が、前記ガイド部材によって側面を案内されながら前記搬送手段によって搬送されるうちに、前記回転駆動手段によって前記回転ドラムを回転させることにより、前記箱を反転させることから成っている。
【0011】
この箱反転装置によれば、回転ドラム内に前記開口から搬入された箱は、回転ドラム内において搬送面が回転ドラムの直径方向に対向して配置された一対の搬送手段のうち一方の搬送手段に載置された状態で搬送される。その際、箱は、回転ドラム内においてガイド面が一対の搬送手段の搬送面の対向方向と直交する方向で且つ回転ドラムの直径方向に対向して配置された一対のガイド部材の当該ガイド面で案内される。ガイド部材によって案内されつつ搬送手段によって搬送されるうちに、回転駆動手段が回転ドラムをドラム中心軸線の回りに自転回転させることによって、箱が反転される。反転された箱は、一対の搬送手段のうちの他方の搬送手段に載置された状態で回転ドラムから搬出される。
【0012】
この箱反転装置において、前記回転ドラム内には、前記一対の搬送手段と前記一対のガイド部材で囲まれるように、前記箱が通過可能な搬送通路が形成されている。前記搬送通路は、前記箱の下面(即ち、天面と底面)が前記一対の搬送手段のうち下方を占める搬送手段と接触し、且つ前記箱の左右側面が前記一対のガイド部材に接触するように、前記箱の搬送方向に直交する面での断面で矩形に形成するのが好ましい。搬送通路に送り込まれた箱は、回転ドラム内において、上下面が搬送手段で、また左右側面がガイド部材によって規制され、回転ドラムが180度回転することで、箱が反転されて搬出される。
【0013】
この箱反転装置において、前記一対の搬送手段及び前記一対のガイド部材は、前記ドラム中心軸線に対して対称に配置することができる。
【0014】
この箱反転装置において、前記搬送手段は、前記搬送面としてのベルト搬送面を互いに対向させたベルトコンベアであり、前記ガイド部材は、前記ガイド面としての板面を互いに対向させたガイド板であり、前記回転ドラムは、前記ドラム中心軸線方向の両端部に設けられて且つ開口が形成された回転円板を備えており、当該両回転円板は例えば連結ステーのような連結部材によって連結されることから成っている。ベルトコンベアとガイド板の組合せは、それぞれ、構造が簡単でありながら確実な搬送作用及びガイド作用を奏する。また、ベルトコンベアとガイド板とは、回転円板を連結する連結部材に取り付けることで、回転ドラムを簡素な構造とすることができる。
【0015】
この箱反転装置において、前記回転駆動手段は、モータ等の駆動源の回転出力軸に設けられた駆動側係合部材、前記回転ドラムに取り付けられており周囲に前記駆動側係合部材が係合する従動側係合部材が設けられた駆動用回転円板とを備えていることができる。回転ドラムに駆動用回転円板を取り付けることで、回転ドラムの構造を利用して、モータ等の駆動源からの駆動力を伝達して、回転ドラムを駆動することができる。
【0016】
この箱反転装置において、前記一対の搬送手段は、常に所定の搬送速度で運転状態にあるか、又は反転すべき前記箱が前記箱反転装置の手前まで搬送されてきたことに応答して、前記箱が前記箱反転装置に搬入されるときに前記所定の搬送速度で駆動されているようにすることができる。
【0017】
この箱反転装置において、前記回転ドラムは時計方向と反時計方向とに交互に回転され、前記回転ドラムが前記時計方向又は前記反時計方向に半回転することにより、前記箱を反転することができる。回転ドラムが半回転(180度回転)すると、内部に収容している箱が反転される。回転ドラムを時計方向と反時計方向とに交互に回転することにより、そのどちらの回転方向で回転する場合であっても、箱が次々に反転され、効率良く箱の反転を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明による箱反転装置は、上記のように構成されており、搬送されてくる箱を停止させることなく、搬送を継続させながら箱を反転させるので、略連続の流れで反転処理を行なうため処理能力を高くすることができる。そして、直線の搬送ライン途中に設置でき、上下逆の状態で搬送されてくるダンボール箱を搬送しながら上下反転して高い処理能力を実現するとともに、シンプルな機構でスペースをとらない箱反転装置を提供することができる。更に、箱の搬入口と搬出口が一直線上にあるので、箱反転装置を同一搬送ライン上に設置でき、シンプルでコンパクトな機構であるため、箱反転装置の設置の際にも省スペースが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明による箱反転装置の一実施例の側面断面図である。
【図2】図2は、図1に示す箱反転装置のC−C断面図である。
【図3】図3は、図1に示す箱反転装置における回転ドラムの回転円板とその関連構成を説明する図である。
【図4】図4は、図1に示す箱反転装置における回転ドラムの駆動用回転円板とその関連構成を説明する図である。
【図5】図5は、図1に示す箱反転装置の回転ドラムのフレーム構造を示す斜視図である。
【図6】図6は、図1に示す箱反転装置の箱反転作用を説明する概略斜視図である。
【図7】図7は、図1に示す箱反転装置に用いられるセンサの種類と配置とを示す説明図である。
【図8】図8は、本発明による箱反転装置の運転制御ブロック図である。
【図9】図9は、本発明による箱反転装置の運転制御フロー図である。
【図10】図10は、本発明による箱反転装置の運転制御タイムチャートである。
【図11】図11は、本発明による箱反転装置回転ドラムの回転範囲を示す図である。
【図12】図12は、本発明による箱反転装置の一実施例の反転動作を説明する図であって、箱が箱反転装置内に搬入された状態から反転されて搬出されるまでの変遷を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付した図面を参照してこの発明による箱反転装置の実施例について説明する。図1は本発明による箱反転装置の実施例の側面断面図、図2は図1に示す箱反転装置のC−C断面図である。また、図3は、図1に示す箱反転装置における回転ドラムの回転円板とその関連構成を説明する図であり、図3中、(a)は正面図、(b)は側面図である。図4は、図1に示す箱反転装置における回転ドラムの駆動用回転円板とその関連構成を説明する図であり、図4中、(a)は正面図、(b)は側面図である。そして、図5は、図1に示す箱反転装置の回転ドラムのフレーム構造を示す斜視図である。
【0021】
本発明による箱反転装置1は、図1及び図2に示すように、全体がボックス状の筐体2を備えており、筐体2の内部には、搬入された箱を通過させながら反転させるため、水平(横)方向に貫通するように搬送経路3が形成されている。筐体2の底面の四隅には脚4が設けられており、箱反転装置1は、脚4の長さを調節することにより、床面B上において傾斜がないように且つ高さ調節可能とされている。箱反転装置1には、反転すべき箱A(図6参照)を搬入する側に搬入用ローラコンベア5が接続されており、反転した後の箱Aを搬出する側には搬出用ローラコンベア6が接続されている。搬送経路3は、搬入側のローラコンベア5の搬送路と搬出側のローラコンベア6の搬送路とに同じ高さに繋がっている。
【0022】
筐体2には、その内部に搬送経路3が形成される回転ドラム7が、水平方向(搬送経路3の中心を通る長手方向)に延びる仮想上の回転軸線8の回りに回転可能に設けられている。回転ドラム7は、図3に詳細に示すように、筐体2の搬入側の端面9の近傍に当該端面9に対して平行な面内で回転する回転円板11を備えているとともに、筐体2の搬出側の端面10との近傍に当該端面10に対して平行な面内で回転するように、回転円板12を備えている。回転円板11,12は、外周が円形に形成されており、中央に搬送経路3の断面形状と略整合した形(略矩形)に開口24,25が形成されている。搬入側の回転円板11の内側近傍には、回転円板11に平行に駆動用回転円板13が配設されている。駆動用回転円板13は、回転円板11,12と同様に外周が円形に形成されており、中央に搬送経路3の断面形状と略整合した形(略矩形)に開口26が形成されている。なお、図2においては、駆動用回転円板13を透過して描くことで、駆動用回転円板13のための駆動機構を示している。
【0023】
回転円板11,12は、それぞれ筐体2に対して、同じ構造を有するローラ支持機構によって自転回転可能に支持されているので、以下、回転円板11の回転支持について説明する。回転円板11は、その外周がローラ14,15によって支持されている。即ち、回転円板11を支持するローラ支持機構は、回転円板11の斜め上側に回転自在に配置されたローラ14,14と、回転円板11の下側に互いに接近して回転自在に配置されたローラ15,15とから成っている。ローラ14,15は周面に溝が形成されているローラであって、その溝内に回転円板11の円形外周端縁が嵌まり合うように係合している。したがって、回転円板11は、その円形外周端縁がローラ14,15の溝内を通過することによって、安定して転がり支持されながら回転軸線8の回りに自転する。
【0024】
一方、搬入側近傍に設けられた回転駆動手段の駆動用回転円板13は、図4に詳細に示すように、その外周に従動側係合部材としてのチェーン16が巻き掛けられている。回転円板13は連続回転をするのではなく、その回転範囲は後述するように半周に限られているので、チェーン16の両端は回転円板13に固定されている。筐体2には、ローラ15,15の位置に対応してローラ19,19が回転自在に設けられている。また、筐体2には、ブラケット23を介して正逆回転可能な駆動源としてのインダクションモータ20が取り付けられている。ローラ19,19間では、チェーン16は回転円板13から外側へ引き出されており、引き出されたチェーン16は、インダクションモータ20の出力軸に設けられた駆動側係合部材としての出力スプロケット21に巻き掛けられている。したがって、インダクションモータ20を駆動することにより、出力スプロケット21及びチェーン16を介して、回転円板13を回転軸線8の回りに自転させることができる。
【0025】
回転円板11と回転円板12との間には、回転軸線8を挟んで直径方向に互いに対向する位置に、搬送手段としての一対の搬送コンベア30,31が設けられている。搬送コンベア30,31は、回転軸線8の長さ方向に沿って延びていて、且つ回転軸線8に対して互いに点対称の構造であるので、以下、搬送コンベア30についてのみ説明する。搬送コンベア30は、この例ではベルトコンベアであり、回転円板11,12間に掛け渡されて且つ両端が回転円板11,12に固定されたフレーム32と、フレーム32に対して搬出側に取り付けられたコンベア駆動手段としてのインダクションモータ33とを備えている。インダクションモータ33の出力軸にはタイミングプーリ34が取り付けられており、タイミングプーリ34とベルトコンベア30の搬出側のコンベアローラ36と同軸のタイミングプーリ38との間には、タイミングベルト35が巻き掛けられている。
【0026】
ベルトコンベア30は、上記搬入側のコンベアローラ37と、回転円板12の搬送経路3の搬出寄りに配置された搬出側のコンベアローラ36と、両コンベアローラ36,37に巻き掛けられたコンベアベルト39とを備えている。コンベアベルト39の回転軸線8側を向いたベルト面は、回転円板11〜13の開口24〜26の開口縁よりも回転軸線8側(径方向内側)に位置しているので、箱Aの搬送経路3内への進入や通過を妨げることがない。また、下側のコンベアベルト39の回転軸線8側を向いたベルト面、即ち、箱載置面が、搬入側及び搬出側のローラコンベア5,6の搬送面と面一になるように、筐体2に高さ調整が行われている。搬送コンベア30,31は、インダクションモータ33,33によって互いに逆方向であるが同期した速度で運転されるので、搬送経路3内に進入した箱Aは、当該箱Aを載置する搬送コンベアによって搬送される。
【0027】
回転円板11と回転円板12との間には、案内手段としての一対のガイド板40,41が回転軸線8を挟んで直径方向に互いに対向し、且つ回転軸線8の長さ方向に沿って延びるように設けられている。一対のガイド板40,41の向かい合う向きは、ベルトコンベア30,31が互いに向い合う方向に対して直交している。ガイド板40,41は、回転軸線8に対して互いに対称の構造である。ガイド板40,41は、この例では平坦な板であり、回転円板11,12間に掛け渡されて且つ両端が回転円板11,12に固定されている。ガイド板40,41は、ステンレス製等の金属板であれば十分であるが、箱との滑りが良いように例えば、フッ素樹脂のような樹脂製の板であってもよい。ベルトコンベア30,31の向かい合うベルト面と、ガイド板40,41の向かい合うガイド面とで、断面略矩形の搬送経路3が形成されている。
【0028】
図1及び図2に示す箱反転装置における回転ドラムの全体のフレーム構造が図5に斜視図として示されており、回転ドラムの全体図が斜視図として図6に示されている。回転ドラム7は、各円板11〜13を、その開口24〜26の角部に対応して長手方向(軸線8に平行)に延びるステー42のような連結部材で連結することによって籠構造に構成されている。この実施例では、ガイド板40,41は、ステー42に加えて、両回転円板11,12を連結する連結部材としても機能している。回転円板11,12間には、一対のベルトコンベア30,31が互いに向い合うように、また一対のガイド板40,41が、ベルトコンベア30,31とは直交する方向に互いに向い合うように配置されて回転ドラムが構成されており、これらベルトコンベア30,31とガイド板40,41とで、箱の断面形状に合致するような断面略矩形の搬送経路3が形成されている。回転ドラム7において、箱Aは、ベルトコンベア30,31が上下位置にある搬送経路3内に進入し、その下面がベルトコンベア31に接触した状態でガイド板40,41によって案内されつつベルトコンベア31で搬送されながら、回転ドラム7が回転することにより反転される。反転された状態にある箱Aは、ベルトコンベア30に接触することになり、回転ドラム7の出口側において、ベルトコンベア30によって搬出される。
【0029】
図7は、箱反転装置に用いられるセンサについて、その種類と配置とを示す説明図である。図7(a)は箱反転装置の回転円板について正面から見た図、図7(b)は側面から見た図である。搬出側の回転円板12について、最上点と最下点に、上原点センサ(SEN−A)50と下原点センサ(SEN−D)51がそれぞれ配置されており、その中間上側位置と中間下側位置に上側速度変更点センサ(SEN−B)52と下側速度変更点センサ(SEN−C)53が配置されている。回転円板12には探知板54が取り付けられており、回転円板12の回転に伴って探知板54が各センサ(SEN−A〜D)50〜53に近接したときに、各センサ(SEN−A〜D)50〜53が検出信号を出力する。搬入側の回転円板11については、箱探知センサ(SEN−D)55が配置されている。
【0030】
図8は、箱反転装置の運転制御ブロック図である。探知板54の近接に応じて、上原点センサ(SEN−A)50が検出した上原点信号、下原点センサ(SEN−D)51が検出した下原点信号、上側速度変更点センサ(SEN−B)52が検出した上速度変更点信号、及び下側速度変更点センサ(SEN−C)53が検出した下速度変更点信号、並びに箱探知センサ(SEN−D)55が箱Aの近接に応じて検出した箱探知信号は、それぞれ検出した時点で制御装置60に入力される。制御装置60は、これらの検出信号の入力を受けて次のように各種の駆動用のインダクションモータの制御を行う。即ち、コンベア駆動用のインダクションモータ33,33に対しては、コンベア起動マグネットリレー61のコイル62にコンベア起動信号を出力して、電源64に繋がる接点63をオンにして、両モータ33,33を起動する。また、ドラム回転用のインダクションモータ20に対しては、当該インダクションモータ20のコントローラ65に対してドラム起動信号、ドラム速度選択及びドラム回転方向の各指令を出力して、それぞれ、インダクションモータ20の回転/停止、低速/高速、時計方向(CW)/反時計方向(CCW)を制御する。
【0031】
図9は、図1及び図2に示す箱反転装置の運転制御の一例を示すフロー図であり、ここでは、回転ドラム7の原点復帰動作を説明している。回転ドラム7の原点復帰動作がスタートすると、制御装置60は、上原点センサ(SEN−A)50がONしているか否かが判定される(ステップ1;「S1」と略す。以下同じ)。S1の判定がYES(「Y」で示す。以下同じ)であると、コントローラ65に指令をして、ドラム回転用のインダクションモータ20を時計方向(CW方向)に低速で駆動する(S2)。回転ドラム7の時計方向の回転に伴い、上原点センサ(SEN−A)50がOFFをしたか否かを判定する(S3)。S3の判定がNO(「N」で示す。以下、同じ)であるときは、S3の判定を繰り返して、当該判定がYとなるのを待つ。S1の判定がNの場合、及びS3の判定がYとなった場合には、上原点を離脱した状態なので逆方向に駆動するべく、インダクションモータ20を反時計方向(CCW方向)に低速で駆動する(S4)。上原点センサ(SEN−A)50がONしているか否かが判定される(S5)。S4の判定がNであるときは、S3の判定を繰り返して、当該判定がYとなるのを待つ。S5の判定がYとなったときにインダクションモータ20を停止させる(S6)ことで、回転ドラム7の原点復帰動作が終了する。
【0032】
図10には、図1及び図2に示す箱反転装置の運転について制御タイムチャートの一例が示されている。制御装置60においてコンベア起動信号がコンベア起動マグネットリレー61に対して出力される(時刻T1)と、停止していたコンベア駆動用のインダクションモータ33,33が運転開始され、ベルトコンベア30,31が駆動される。回転ドラム7は回転しておらず上原点センサ(SEN−A)50がONの状態にある。そうした状態で箱探知センサ55が搬入されてくる箱Aの通過を探知する(時刻T2)と、制御装置60はコントローラ65にドラム起動信号を出力し、インダクションモータ20を駆動して回転ドラム7を低速で時計(CW)方向に駆動する。回転ドラム7の回転に伴って上側速度変更点センサ(SEN−B)52がONになる(時刻T3)と、制御装置60はコントローラ65にドラム速度選択を指令し、インダクションモータ20を同じ方向に高速で駆動する。回転ドラム7の更なる回転に伴って下側速度変更点センサ(SEN−C)53がONになる(時刻T4)と、制御装置60はコントローラ65にドラム速度選択を指令し、インダクションモータ20を低速で駆動する。下原点センサ(SEN−D)51がONになる(時刻T5)と、インダクションモータ20の駆動が停止され、回転ドラム7が下原点位置で停止する。このとき、箱Aは反転された状態となり、継続されているベルトコンベア30,31の搬送動作によって搬出用ローラコンベア6に搬出される。
【0033】
箱探知センサ55によって次の箱Aが搬入されてくるのが検出される(時刻T6)と、制御装置60はコントローラ65にドラム起動信号を出力し、インダクションモータ20を反対方向に駆動して回転ドラム7を低速で反時計(CCW)方向に駆動する。以下、下側速度変更点センサ(SEN−C)53及び上側速度変更点センサ(SEN−B)52の立ち下がり(時刻T7,T8)に応じて、時計方向回転の場合と同様に速度変更をして、上原点センサ(SEN−A)50がONになる(時刻T9)と、インダクションモータ20の駆動が停止され、回転ドラム7が上原点位置で停止する。このとき、箱Aは反転された状態となり、継続されているベルトコンベア30,31の搬送動作によって搬出用ローラコンベア6に搬出される。
【0034】
図11は、回転ドラム7の回転範囲を示しており、センサ50〜53が配置されている側の半周のみが時計(CW)方向及び反時計(CCW)方向に回転運転可能であり、その反対側の半周は禁止領域である。
【0035】
図12は、箱反転装置1の反転動作を説明する図であって、箱Aが箱反転装置1内に搬入された状態から反転されて搬出されるまでの変遷を示す説明図である。図12(a)に示すように、回転ドラム7が箱搬入待ちの回転角度位置を占めて停止している状態では、一対の搬送用のベルトコンベア30,31は回転ドラム7内の上下位置を占めており、一対のガイド板40,41は回転ドラム7内の左右位置を占めていて、箱反転装置1はダンボール箱(箱A)を受け入れる用意が整っている状態にある。
この例では、箱Aは、天地を逆にした状態で、搬入用ローラコンベア5によって搬送されてきて、箱反転装置1内に送り込まれる。
箱反転装置1の一対のベルトコンベア30,31は搬入用ローラコンベア5と同じ搬送速度となるように駆動されているので、搬入用ローラコンベア5によって搬送されてきた箱Aは、箱反転装置1内に送り込まれたときに、ベルトコンベア31による搬送状態にスムーズに移行する。
【0036】
図12(b)には、箱反転装置1の回転ドラム7が、回転を開始して箱Aが搬出側に到達する途中まで進み且つ90度回転した状態が示されている。一対のガイド板40,41は、回転ドラム7が箱Aと共に回転するときに、箱Aが搬送通路3内から逸脱することがないように支えている。このとき、箱Aはベルトコンベア31の搬送面から離れ、慣性によってのみ搬出口方向に向かって前進する状態となる。
【0037】
図12(c)に示すように、回転ドラム7が180度回転することにより、箱Aは上下が反転した状態となり、ベルトコンベア30の搬送面に乗り移り、搬出側へと送られる。搬出側においては、一対のベルトコンベア30,31と同じ速度で駆動されている搬出用ローラコンベア6によって、そのまま搬出される。
【0038】
このように、箱Aは、箱反転装置1に送り込まれて反転処理がされる際に、停止することなくそのままの搬送速度で搬送され続けて、箱反転装置1を通過するので、高速な反転処理を行うことができる。また、箱反転装置1の回転ドラム7は、ベルトコンベア30,31やガイド板40,41が点対称に構成されているので、箱Aを反転処理し終わった状態が、次の箱Aの反転処理の開始できる状態になっている。したがって、回転ドラム7を反対方向に回転させることによって当該次の箱Aの反転処理が可能であり、箱反転装置1の稼働率を大きく高めることができる。
【0039】
回転ドラム7は、時計方向と反時計方向とに交互に回転されるので、回転円板13に巻き掛けているチェーン16は、その両端が回転円板13自身に固定されており、出力スプロケット21の回転駆動力はチェーン16を介して回転円板13に伝達することができる。また、回転ドラム7の交互回転により、インダクションモータ33,33への電力供給や制御信号用の配線も支障がない。更に、回転円板13は、チェーン16とスプロケット21によって回転させていたが、歯車やタイミングベルト・プーリのような伝動装置であってもよいことは明らかである。
【0040】
上記実施例では、箱Aは、回転ドラム7をドラム回転軸線に沿って一方の端部から他方の端部へと貫通搬送されるうちに天地が反転されたが、搬送手段であるベルトコンベア30,31の回転方向をタイミングを取って変更することにより、搬入と搬出とを回転ドラム7の同じ側の端部で行うこともできる。この場合、箱反転装置の工場内レイアウトに適合させることができる。また、上記実施例では、搬送手段は、ベルトコンベアとしたが、ローラコンベア、ロープコンベア等の他の搬送コンベア手段でもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 箱反転装置 2 筐体
3 搬送経路 4 脚
5 搬入用ローラコンベア 6 搬出用ローラコンベア
7 回転ドラム 8 回転軸線
9,10 端面
11,12,13 回転円板 14,15 ローラ
16 チェーン 19 ローラ
20 インダクションモータ 21 出力スプロケット
23 ブラケット 24,25,26 開口
30,31 ベルトコンベア 32 フレーム
33 インダクションモータ 34 タイミングプーリ
35 タイミングベルト 36 タイミングプーリ
37 コンベアローラ 38 コンベアローラ
39 コンベアベルト
40,41 ガイド板 42 ステー(連結部材)
50 上原点センサ(SEN−A) 51 下原点センサ(SEN−D)
52 上側速度変更点センサ(SEN−B)
53 下側速度変更点センサ(SEN−C)
54 探知板 55 箱探知センサ(SEN−D)
60 制御装置60 61 コンベア起動マグネットリレー
62 コイル 63 接点
64 電源 65コントローラ65
A 箱 B 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム中心軸線の回りに回転可能に支持され且つ前記ドラム中心軸線方向の端部が開口している回転ドラムと、
前記回転ドラムを回転させる回転駆動手段と、
前記回転ドラム内において搬送面が前記回転ドラムの直径方向に対向して配置された一対の搬送手段と、
前記回転ドラム内においてガイド面が前記一対の搬送手段の前記搬送面の対向方向と直交する方向で且つ前記回転ドラムの直径方向に対向して配置された一対のガイド部材と、を備え、
前記回転ドラム内に前記開口から搬入された箱が、前記ガイド部材によって側面を案内されながら前記搬送手段によって搬送されるうちに、前記回転駆動手段によって前記回転ドラムを回転させることにより、前記箱を反転させることから成る箱反転装置。
【請求項2】
前記回転ドラム内には、前記一対の搬送手段と前記一対のガイド部材で囲まれるように、前記箱が通過可能な搬送通路が形成されていることから成る請求項1に記載の箱反転装置。
【請求項3】
前記一対の搬送手段及び前記一対のガイド部材は、前記ドラム中心軸線に対して対称に配置されていることから成る請求項1又は2に記載の箱反転装置。
【請求項4】
前記搬送手段は、前記搬送面としてのベルト搬送面を互いに対向させたベルトコンベアであり、前記ガイド部材は、前記ガイド面としての板面を互いに対向させたガイド板であり、前記回転ドラムは、前記ドラム中心軸線方向の両端部に設けられて且つ開口が形成された回転円板を備えており、当該両回転円板は連結部材によって連結されることから成る請求項1〜3のいずれか一項に記載の箱反転装置。
【請求項5】
前記回転駆動手段は、モータ等の駆動源の回転出力軸に設けられた駆動側係合部材、前記駆動側係合部材が係合する従動側係合部材、及び前記回転ドラムに取り付けられており周囲に前記従動側係合部材が設けられた駆動用回転円板を備えていることから成る請求項1に記載の箱反転装置。
【請求項6】
前記一対の搬送手段は、常に所定の搬送速度で運転状態にあるか、又は反転すべき前記箱が前記箱反転装置の手前まで搬送されてきたことに応答して、前記箱が前記箱反転装置に搬入されるときに前記所定の搬送速度で駆動されることから成る請求項1に記載の箱反転装置。
【請求項7】
前記回転ドラムは時計方向と反時計方向とに交互に回転され、前記回転ドラムが前記時計方向又は前記反時計方向に半回転することにより、前記箱を反転することから成る請求項1に記載の箱反転装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−96888(P2012−96888A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245744(P2010−245744)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000148162)株式会社川島製作所 (90)
【Fターム(参考)】