説明

箸洗浄装置

【課題】箸供給部から箸をスムーズに搬送手段に投入することができる箸洗浄装置を提供する。
【解決手段】箸供給部3は、箸搬送部10b,11,12に向けて開口し箸搬送部10b,11,12に向けて箸Cを1本ずつ供給する供給口と、上方より供給口に向けて複数の箸Cがスライド移動可能なスロープ3aと、スロープ3aを振動させる揺動手段4と、を備え、スロープ3aの下方の供給口に向けて殺到し供給口手前で停滞する複数の箸Cを、揺動手段4によりスロープ3aを振動させることで停滞を解消し、供給口から箸搬送部10b,11,12に向けてスムーズに箸Cを1本ずつ順次供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の箸を収容し供給する箸供給部と、箸供給部から供給された箸を搬送する箸搬送部と、箸搬送部で箸を洗浄する箸洗浄部と、を備える箸洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上端部に形成された投入口から使用後の箸が投入されるホッパ(箸供給部)と、ホッパの下端部に形成された供給口から供給される箸を搬送する第1のコンベア装置(箸搬送部)及び第2のコンベア装置(箸搬送部)を備え、第1のコンベア装置及び第2のコンベア装置で箸を搬送する際に、シャワーノズルによって洗浄液を箸に向けて噴出させることで箸の洗浄を行い、洗浄した箸を収納容器(箸収容部)に収納(収容)する箸洗浄装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−276198号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の箸洗浄装置にあっては、大量の箸をホッパ(箸供給部)に投入すると、複数の箸同士が接触することで生じる摩擦力により箸がホッパの供給口付近で詰まってしまい、第1のコンベア装置(箸搬送部)及び第2のコンベア装置(箸搬送部)への箸の供給が停止されて箸の洗浄ができなくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、箸供給部から箸をスムーズに搬送手段に投入することができる箸洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の箸洗浄装置は、
複数の箸を収容し供給する箸供給部と、該箸供給部から供給された前記箸を搬送する箸搬送部と、該箸搬送部で前記箸を洗浄する箸洗浄部と、を備える箸洗浄装置であって、
前記箸供給部は、前記箸搬送部に向けて開口し前記箸搬送部に向けて前記箸を1本ずつ供給する供給口と、上方より該供給口に向けて複数の前記箸がスライド移動可能なスロープと、該スロープを振動させる揺動手段と、を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、スロープの下方の供給口に向けて殺到し供給口手前で停滞する複数の箸を、揺動手段によりスロープを振動させることで停滞を解消し、供給口から箸搬送部に向けてスムーズに箸を1本ずつ順次供給することができる。
【0007】
本発明の箸洗浄装置は、
前記箸搬送部は、水平軸周りに回転する回転体であるとともに、前記揺動手段は、前記回転体の回転によって前記スロープを振動させることを特徴としている。
この特徴によれば、箸を搬送する回転体の回転を利用して、箸の搬送を行いながらスロープを定期的に繰り返し振動させることができる。
【0008】
本発明の箸洗浄装置は、
前記回転体には、前記供給口から供給される前記箸が配置される溝部と、前記供給口からの前記箸の供給を阻止する突部とが、前記供給口と対向するように、前記回転体の周方向に交互に複数形成されており、前記回転体の回転によって前記供給口と前記突部とが対向する状態から、前記供給口と前記溝部とが対向する状態に変化する際に、前記スロープが前記揺動手段によって振動されることを特徴としている。
この特徴によれば、揺動手段がスロープを振動させるタイミングと供給部と溝部とが対向するタイミングとを同期させてスムーズに溝部内に箸を配置することができるとともに、供給口と溝部とが対向した後に再び供給口と突部とが対向することによって、供給口から回転体への箸の過供給を防ぐことができる。
【0009】
本発明の箸洗浄装置は、
前記箸供給部には、前記箸の前記供給口への進入数を規制する箸規制部が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、供給口近傍に集中した複数本の箸の荷重によってスロープの振動が阻止されてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例における箸洗浄装置を示す平面図である。
【図2】図1における箸洗浄装置のA−A断面図である。
【図3】図2における箸洗浄装置のB−B断面図である。
【図4】図2における箸収容部と第1搬送ギアとを示す箸洗浄装置の一部拡大断面図である。
【図5】箸が第1搬送ギアの溝部に収容された状態を示す箸洗浄装置の一部拡大断面図である。
【図6】図1における箸洗浄装置のD−D断面図である。
【図7】箸が第1搬送ギアの溝部に収容された状態を示す箸洗浄装置のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る箸洗浄装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0012】
実施例に係る箸洗浄装置につき、図1から図7を参照して説明する。以下、図1の紙面下側と、図2と図4及び図5の紙面手前側と、図3の紙面右側と、図6及び図7の紙面左側を箸洗浄装置の正面側(前方側)として説明する。
【0013】
図1の符号1は、本発明の適用された箸洗浄装置である。この箸洗浄装置1は、例えば、飲食店等にて、飲食客が使用した後の箸Cを自動的に洗浄するために使用される装置である。
【0014】
図1と図2及び図4に示すように、箸洗浄装置1は筐体2を有しており、この筐体2内の左側上部には、飲食客等の使用した複数の箸Cを投入するための箸供給部3が設けられている。筐体2内の左右幅方向の略中央部には、本発明における箸搬送部及び回転体としての第1搬送ギア10a,10bと第2搬送ギア11,11と第3搬送ギア12,12とが配置されており、筐体2内における第2搬送ギア11,11と第3搬送ギア12,12との上方は、箸Cを洗浄するための箸洗浄部20に構成されている。
【0015】
以下、箸Cの搬送される順に説明すると、この箸供給部3は、平面視で略方形状の箱体に形成されており、特に底板は、筐体2の右方側に向けて下方へ傾斜をなすスロープ3aに形成されている。
【0016】
このスロープ3aの右端部には、箸供給部3に収容された箸Cを後述する第1搬送ギア10a,10bに向けて供給するための供給口3bに形成されており、更に供給口3bには、後述する押圧突起4c,8a,8bと上下幅方向で対向するように切欠3cが形成されている。
【0017】
また、図2に示すように、箸供給部3の上部には、飲食店の従業員等が複数の箸Cを載置するための載置板3dが取り付けられている。この載置板3dの左端部と箸供給部3の左内側面との間には、箸Cを載置板3d上でスライド移動させながら箸供給部3内に投入するための箸投入口3eが形成されている。この箸投入口3eは、箸供給部3の前後幅方向に向けて長寸となるように形成されている。このため、箸供給部3は、箸Cの長手方向側を筐体2の前後幅方向側に向けて収容できる。
【0018】
一方、図1と図4及び図5に示すように、スロープ3aの下方における後部側には、スロープ3aの左右幅方向を向く本発明における揺動手段としての揺動ブラケット4が配置されている。この揺動ブラケット4の左右幅方向の略中央部は、箸供給部3の前後幅方向を向き、筐体2に端部が支持された水平軸5に枢支されている。この揺動ブラケット4の左端部には、スロープ3aに対して下方から振動を与えるためのハンマー4aが設けられている。また、揺動ブラケット4の右端部には、前後幅方向を向く押圧軸4bと、スロープ3aに向けて突出する押圧突起4cが形成されている。
【0019】
揺動ブラケット4の左端部の下方には、筐体2に端部が支持された付勢ブラケット6が延設配置されており、揺動ブラケット4の左端部と付勢ブラケット6との間には、揺動ブラケット4の左端部を上方に向けて付勢するコイルバネ7が設けられている。このコイルバネ7の付勢力によって揺動ブラケット4に水平軸5周りの力を与えることができるようになっている。
【0020】
また、図1と図6及び図7に示すように、スロープ3aの下方における前部側には、筐体2の図6及び図7視での左方を向く略コ字状に形成された揺動ブラケット8が配置されている。この揺動ブラケット8の左下部は、筐体2の前後幅方向を向き、筐体2に端部が支持された水平軸9に枢支されている。
【0021】
更に、揺動ブラケット8の図6及び図7視での左上部は、スロープ3aに形成された切欠3cと上下方向で対向する位置まで延設されており、この揺動ブラケット8の左上部には、上方を向く押圧突起8a,8bが左右幅方向に並設されている。一方、揺動ブラケット8の左下部は、筐体2の前部側に配置された第1搬送ギア10aの背面側と対向するように、第1搬送ギア10aの近傍に近接配置されている。
【0022】
図4及び図6に示すように、供給口3bの直上方である箸供給部3の内側面には、スロープ3aを供給口3bに向けて斜下方にスライド移動しようとする箸Cの数を規制する箸規制部16が設けられている。この箸規制部16は、筐体2の左方側に向けて下方へ傾斜をなす箸規制板16aと、この箸規制板16aの前後に配置された一対の側板16bとで構成されている。
【0023】
箸規制板16aは、図4に示すように、箸収容部3に箸Cが大量に投入されると、供給口3bに向けて殺到する箸Cの本数を規制するようになっている。また、両側板16bは、供給口3bの左右幅寸法と略同寸の左右幅寸法に形成されているとともに、両側板16bとスロープ3aとの間には、箸Cが1本分のみが通過可能な間隙が形成されている。このため、これら箸規制板16aと両側板16bとによって、スロープ3aを供給口3bに向けてスライド移動しようとする箸Cの数を規制するようになっており、これによって供給口3b付近に箸Cが殺到することを防止している。
【0024】
尚、箸供給部3内の上部には、下方に向けて前洗浄用の水を噴射する第1噴射ノズル17が設けられており、この水の噴射によって、箸供給部3に投入された複数の箸Cに付着した飯粒等の大きめの汚れを予め剥離除去し易いように軟化させることができるようになっている。
【0025】
図1及び図2に示すように、第1搬送ギア10a,10bは、供給口3bの下方にて、上端部を供給口3bに近接させた状態で一対となって筐体2の前後幅方向に並列配置されている。これら第1搬送ギア10a,10bは、筐体2の前後幅方向を向き筐体2に両端部が回転可能に支持された水平軸13に固定されており、各第1搬送ギア10a,10bの周面には、水平軸13方向を向く溝部10cと突部10dとが全周に亘って交互に等間隔に形成されている。
【0026】
溝部10cの第1搬送ギア10a,10bの周方向側の幅寸法は、箸Cの長手方向側の端部を収容配置可能な程度の幅寸法に形成されており、供給口3bから箸Cが第1搬送ギア10a,10bに向けて供給されることで、溝部10c内に1本の箸Cの長手方向側の端部のみが収容配置されるようになっている。
【0027】
また、筐体2の前部側に配置された第1搬送ギア10aの背面には、第1搬送ギア10aの周方向に沿って複数の押圧ピン10eが等間隔に取り付けられている。これら押圧ピン10eは、第1搬送ギア10aが正面視で時計回りに回転することで、間欠的に揺動ブラケット8のコ字状下方端部を押圧するようになっている。
【0028】
水平軸13の第1搬送ギア10a,10b間には、第1搬送ギア10a,10bよりも小径の円板カム18が固定されている。この円板カム18は、第1搬送ギア10a,10bとともに本発明における回転体を構成している。更に、図4及び図5に示すように、この円板カム18の周面には、複数の突部18aが等間隔に形成されており、隣り合う突部18a間には、一方の突部18aから正面視で時計回り側の他の突部18aに向けて円板カム18の中心へ傾斜をなす傾斜部18bが等間隔に形成されている。円板カム18は、正面視で時計回りに回転することで、これら傾斜部18bが間欠的に押圧軸4bを上方に向けて押圧するようになっている。
【0029】
図1及び図2に示すように、第1搬送ギア10a,10bよりも右側には、第2搬送ギア11,11が一対となって筐体2の前後幅方向に並列配置されている。これら第2搬送ギア11,11は、両第1搬送ギア10a,10bを筐体2の前後幅方向に挟む位置に配置されている。
【0030】
第2搬送ギア11よりも右側には、第3搬送ギア12,12が一対となって筐体2の前後幅方向に並列配置されている。これら第3搬送ギア12,12は、両第2搬送ギア11,11を筐体2の前後幅方向に挟む位置に配置されている。
【0031】
これら第2搬送ギア11及び第3搬送ギア12は、第1搬送ギア10a,10bと同様に、筐体2の前後幅方向を向き筐体2に両端部がそれぞれ支持された水平軸14,15に固定されているとともに、周面には、第2搬送ギア11及び第3搬送ギア12の周方向側の幅寸法を、箸Cの長手方向側の端部を収容可能な程度の幅寸法の溝部11a,12aと、突部11b,12bとが形成されている。
【0032】
水平軸13,14,15は、筐体2の外部にて図示しないモータ等の駆動手段に噛合部29を介して接続されており、この図示しないモータが駆動することによって正面視で時計周りに同期して回転するようになっている。つまり、第1搬送ギア10a,10bと第2搬送ギア11と第3搬送ギア12及び円板カム18は、水平軸13,14,15の回転によって正面視で時計周りに同期して回転する。
【0033】
尚、図1及び図2に示すように、第2搬送ギア11と第3搬送ギア12の上方である筐体2内の前後幅方向の中央寄りには、第2搬送ギア11と第3搬送ギア12との周面に沿う形状に形成された一対の押えフレーム19が配置されている。
【0034】
図2及び図3に示すように、第2搬送ギア11と第3搬送ギア12との上方には、第1搬送ギア10a,10bと第2搬送ギア11と第3搬送ギア12とによって筐体2内の右側に向けて搬送される箸Cを洗浄するための円筒形状の洗浄ブラシ21が配置されている。この洗浄ブラシ21は、筐体2の前後幅方向を向き筐体2に両端部が支持された水平軸22に固定されている。
【0035】
この水平軸22は水平軸13,14,15と同様に図示しないモータ等の駆動手段に接続されており、この図示しないモータが駆動することによって水平軸22が回転するようになっている。尚、洗浄ブラシ21の前後幅寸法は、第3搬送ギア12,12間の前後幅寸法よりも若干長寸に形成されている。
【0036】
筐体2内における洗浄ブラシ21の左側には、第1搬送ギア10a,10bと第2搬送ギア11とによって筐体2の右側に向けて搬送される箸Cに対して洗浄液を噴射する第2噴射ノズル23が設けられており、洗浄ブラシ21の右側には、洗浄ブラシ21によって洗浄された箸Cを濯ぐための水を噴射する第3噴射ノズル24が設けられている。
【0037】
筐体2内における第3搬送ギア12の右側には、筐体2の右方側に向けて下方へ傾斜をなすスロープ板25が設けられている。このスロープ板25の右側である筐体2の右外側部には、箸Cを回収するための箱上に形成された箸回収部26が設けられており、第3搬送ギア12の回転によって第3搬送ギア12から脱落した箸Cは、スロープ板25上をスライド移動した後、最終的にこの箸回収部26に収容されるようになっている。尚、第3搬送ギア12の右側には、第3搬送ギア12の右部及びスロープ板25の左端部に向けて圧縮空気等を噴射して箸Cを乾燥させるための第4噴射ノズル27が設けられている。
【0038】
尚、図2に示すように、筐体2の底部には、箸洗浄装置1の外部の図示しない排水管等に接続されたドレン管28が接続されており、第1噴射ノズル17及び第3噴射ノズル24から噴射された水と、第2噴射ノズル23から噴射された洗浄液はこのドレン管28から箸洗浄装置1外に排出されるようになっている。
【0039】
次に、前述のように構成した箸洗浄装置1の動作について説明する。先ず、図2と図4及び図6に示すように、飲食店の従業員等が載置板3d上に複数の箸Cを長手方向が箸洗浄装置1の前後幅方向を向くように載置する。そして、これら箸Cを箸投入口3eに向けてスライド移動させ、箸供給部3内に上方から複数の箸Cを投入する。
【0040】
この状態で、図示しないモータを駆動させることによって第1搬送ギア10a,10bと第2搬送ギア11と第3搬送ギア12と円板カム18と洗浄ブラシ21の回転を開始させ、円板カム18の傾斜部18bに沿って押圧軸4bを上方に向けて順次押圧するとともに、押圧ピン10eによって揺動ブラケット8のコ字状下方端部を上方に向けて順次押圧する。
【0041】
このとき、図5における揺動ブラケット4の右端部と、図7における揺動ブラケット8の左上部とが上方に向けて揺動され、押圧突起4c,8a,8bが切欠3cを介してスロープ3aの上方に突出する。これら押圧突起4c,8a,8bがスロープ3aの上方に突出することで、スロープ3a上に配置されている複数の箸Cを上方に向けて押し上げ、隣り合う箸C間で間隙を生じさせる。このため、隣り合う箸C間に生じる摩擦力を軽減し、箸Cを供給口3bから第1搬送ギア10a,10bに向けて供給しやすくすることができる。
【0042】
同時に、揺動ブラケット4の左端部は、下方に向けて揺動されるので、コイルバネ7に揺動ブラケット4の左端部を上方に向けて付勢する付勢力が蓄積される。
【0043】
この状態から円板カム18の更なる回転によって突部18aによる押圧軸4bの押圧が終了すると、図4に示すように、コイルバネ7の付勢力が揺動ブラケット4の左端部を上方に移動させることによって、ハンマー4aがスロープ3aを叩き、スロープ3aを振動させる。
【0044】
また、第1搬送ギア10a,10bの溝部10cは、このハンマー4aによってスロープ3aが振動された過程で、供給口3bと対向する位置に配置される。このため、箸Cは第1搬送ギア10a,10bの回転に伴い溝部10cに向けて落下し、第1搬送ギア10a,10bの溝部10c内に長手方向側の端部が収容される。
【0045】
この状態から更に第1搬送ギア10a,10bが回転することで、図5に示すように、円板カム18が傾斜部18bに沿って押圧軸4bを上方に向けて押圧するとともに、第1搬送ギア10a,10bの突部10dが供給口3bに対向配置されるので、1つの溝部10cに対する供給口3bから、溝部10cに長手方向側の端部が収容された箸Cと隣り合っていた箸Cが連続して供給されることが防止されている。つまり、第1搬送ギア10a,10bの溝部10cは確実に箸供給部3内で隣あっていた箸Cを離間させて1本ずつ搬送することができる。
【0046】
第1搬送ギア10a,10bの溝部10cに長手方向側の端部が収容された箸Cは、第1搬送ギア10a,10bが正面視で時計回りに同期して回転することで、第1搬送ギア10a,10bの右部にて第2搬送ギア11の溝部11aに箸Cの長手方向側の端部が受け渡され、第2搬送ギア11の正面視で時計回りの回転によって筐体2内を右側に向けて搬送される。
【0047】
この第2搬送ギア11の正面視で時計回りの回転による搬送によって、図2に示すように、箸Cは、順次箸Cの周方向側の向きを変更されながら第2噴射ノズル23から洗浄液を噴射された後、回転する洗浄ブラシ21に摺接することによって洗浄される。
【0048】
そして、洗浄ブラシ21による洗浄後の箸Cは、第2搬送ギア11の右部にて第3搬送ギア12の溝部12aに長手方向側の端部が受け渡され、第3搬送ギア12の正面視で時計回りの回転によって筐体2内を右側に向けて搬送される。
【0049】
第3搬送ギア12の正面視で時計回りの回転による搬送によって、箸Cは、順次向きを変更されながら第3噴射ノズル24から水を噴射された後、第4噴射ノズル27から圧縮空気を噴射されることで、箸Cへの濯ぎと乾燥がなされる。
【0050】
尚、このように、箸Cは第2搬送ギア11と第3搬送ギア12とによる搬送途上にて、第2噴射ノズル23からの洗浄液の噴射と、洗浄ブラシ21による洗浄と、第3噴射ノズル24からの水の噴射と、第4噴射ノズル27からの圧縮空気の噴射と、による圧力を受けるが、押えフレーム19が箸Cの溝部11a,12aからの浮き上りを規制するため、これら押えフレーム19によって箸Cの溝部11a,12aからの脱落が防止されている。
【0051】
最後に、第3搬送ギア12の正面視で時計回りの回転によって箸Cの長手方向側の端部が収容されている溝部12aが筐体2の右側下方を向くことで、箸Cは溝部12aから滑落し、スロープ板25上をスライド移動して箸回収部26内に収容される。
【0052】
以上、本実施例における箸洗浄装置1にあっては、箸搬送部3に向けて開口し箸搬送部に向けて箸Cを1本ずつ供給する供給口3bと、上方より供給口3bに向けて複数の箸Cがスライド移動可能なスロープ3aと、スロープ3aを振動させるハンマー4aと、を備えるので、スロープ3aの下方の供給口3bに向けて殺到し供給口3b手前で停滞する複数の箸Cを、ハンマー4aによりスロープ3aを振動させることで停滞を解消し、供給口3bから箸搬送部に向けてスムーズに箸Cを1本ずつ順次供給することができる。
【0053】
また、箸搬送部は、水平軸13,14,15周りに回転する第1搬送ギア10a,10bと第2搬送ギア11と第3搬送ギア12と円板カム18とであるとともに、ハンマー4aは、円板カム18の回転によってスロープ3aを振動させるので、箸Cを搬送する円板カム18の回転を利用して、箸Cの搬送を行いながらスロープ3aを間欠的に繰り返し振動させることができる。
【0054】
また、第1搬送ギア10a,10bには、供給口3bから供給される箸Cが配置される溝部10cと、供給口3bからの箸Cの供給を阻止する突部10dとが、供給口3bと対向するように、第1搬送ギア10a,10bの周方向に交互に複数形成されており、第1搬送ギア10a,10bの回転によって供給口3bと突部10dとが対向する状態から、供給口3bと溝部10cとが対向する状態に変化する際に、スロープ3aがハンマー4aによって振動されるので、ハンマー4aがスロープ3aを振動させるタイミングと箸供給部3と溝部10cとが対向するタイミングとを同期させてスムーズに溝部10c内に箸Cを配置することができるとともに、供給口3bと溝部10cとが対向した後に再び供給口3bと突部10dとが対向することによって、供給口3bから第1搬送ギア10a,10bへの箸Cの過供給を防ぐことができる。
【0055】
また、箸供給部3には、箸Cの供給口3bへの進入数を規制する箸規制部16が設けられているので、供給口3b近傍に集中した複数本の箸Cの荷重によってスロープ3aの振動が阻止されてしまうことを防止することができる。
【0056】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0057】
例えば、前記実施例では、箸洗浄部20に洗浄液を噴射する第2噴射ノズル23と、回転して箸Cを洗浄する洗浄ブラシ21と、水を噴射して箸Cを漱ぐ第3噴射ノズル24と、を設けたが、箸Cを十分に洗浄可能であれば、噴射ノズルから高圧で水を噴射させ、この水圧で箸Cを洗浄するようにしてもよい。
【0058】
また、前記実施例では、第1搬送ギア10a,10bと第2搬送ギア11,11と第3搬送ギア12,12とを同期させて回転させることにより、箸Cを箸洗浄部20にて回転する洗浄ブラシ21で洗浄しつつ箸回収部26に向けて搬送したが、第1搬送ギア10a,10b、第2搬送ギア11,11及び第3搬送ギア12,12の回転速度を遅くさせ、箸Cを箸洗浄部20にて長時間洗浄するようにしてもよい。
【0059】
また、前記実施例では、第1搬送ギア10a,10bと第2搬送ギア11,11と第3搬送ギア12,12とを同期させて回転させることにより、箸Cを箸洗浄部20にて回転する洗浄ブラシ21で洗浄しつつ箸回収部26に向けて搬送したが、第1搬送ギア10a,10b、第2搬送ギア11,11及び第3搬送ギア12,12の回転速度に対して洗浄ブラシ21の回転速度を高速にすることで、箸Cをより確実に洗浄できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 箸洗浄装置
3 箸供給部
3a スロープ
3b 供給口
4 揺動ブラケット(揺動手段)
4a ハンマー
10a,10b 第1搬送ギア(回転体,箸搬送部)
10c 溝部
10d 突部
11 第2搬送ギア(回転体,箸搬送部)
11a 溝部
11b 突部
12 第3搬送ギア(回転体,箸搬送部)
12a 溝部
12b 突部
16 箸規制部
16a 箸規制板
16b 側板
18 円板カム(回転体)
20 箸洗浄部
C 箸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の箸を収容し供給する箸供給部と、該箸供給部から供給された前記箸を搬送する箸搬送部と、該箸搬送部で前記箸を洗浄する箸洗浄部と、を備える箸洗浄装置であって、
前記箸供給部は、前記箸搬送部に向けて開口し前記箸搬送部に向けて前記箸を1本ずつ供給する供給口と、上方より該供給口に向けて複数の前記箸がスライド移動可能なスロープと、該スロープを振動させる揺動手段と、を備えることを特徴とする箸洗浄装置。
【請求項2】
前記箸搬送部は、水平軸周りに回転する回転体であるとともに、前記揺動手段は、前記回転体の回転によって前記スロープを振動させることを特徴とする請求項1に記載の箸洗浄装置。
【請求項3】
前記回転体には、前記供給口から供給される前記箸が配置される溝部と、前記供給口からの前記箸の供給を阻止する突部とが、前記供給口と対向するように、前記回転体の周方向に交互に複数形成されており、前記回転体の回転によって前記供給口と前記突部とが対向する状態から、前記供給口と前記溝部とが対向する状態に変化する際に、前記スロープが前記揺動手段によって振動されることを特徴とする請求項2に記載の箸洗浄装置。
【請求項4】
前記箸供給部には、前記箸の前記供給口への進入数を規制する箸規制部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の箸洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−160874(P2011−160874A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24389(P2010−24389)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(390010319)株式会社石野製作所 (85)
【Fターム(参考)】