説明

篩漉し機

【課題】主としてラーメンスープ材料に有用な篩漉し機を提供する。
【解決手段】駆動モーター(13)を内蔵した据付けフレーム(F)と、そのフレームに搭載されたスープ受け入れタンク(18)と、そのタンクを挟む位置関係として垂設された回転軸(22)並びに軸受け筒(20)と、その両回転軸における何れか一方の下端部と上記モーターの出力軸(14)とを伝動連結するチエン(31)と、両回転軸がタンクの開口上面よりも背高く垂立する上端部へ嵌め付け一体化された一対の回転トップフランジ(23)と、その両トップフランジへ一対の偏心軸(26)を介して枢支連結されることにより、上記タンクの開口上面をほぼ水平に横断することとなる漉し網保持用両腕リング(25)とから成り、上記両腕リングの中央枠ヘ係止された漉し網(18)を、上記モーターにより往復円運動させるように設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主にラーメン専門店において豚骨類や鶏ガラ類などの動物系スープ材料から、目的物のスープを漉し取るための有用な篩漉し機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にラーメンスープの旨味は、豚骨類や鶏ガラ類などの動物系スープ材料(所謂ゲンコツ)から溶出される髄エキスに由来しており、これに和風ダシや調味料を加えて、醤油味や味噌味、塩味などの各種スープも作り出されているが、何れにしても上記髄エキスを溶出させるためには、その動物系スープ材料を長時間煮込む必要がある。
【0003】
そこで、ラーメン専門店では適当な大きさの寸胴鍋にベースとなる上記動物系スープ材料を入れて、これを湯水に漬けた状態から長時間に亘って煮炊きし、しかもその過程ではアクや不純物などを取り去ったり、キャベツや玉葱、その他の野菜類、果実類、節類、乾物、香辛料、調味料などを追加したりしている。
【0004】
また、煮込むに連れて、上記動物系スープ材料は形崩れして、軟らかい髄片が多数抜け出し、ヘドロ状態の濁った粘液となって、鍋底に焦げ付きやすくなり、万一焦げ付くと、ラーメンスープとして使用できなくなるため、万遍なくダシを煮出す意味からも、上記スープ材料を湯気に晒らされ乍ら掻き混ぜている。
【0005】
そして、最後に仕上がった煮出し汁(濾料)を柄杓で掬い、篩網によりラーメンスープ(濾液)として漉し取る一方、その篩網に残った不要な豚骨類や鶏ガラ類、その他の固形物、粘結した塊状の半固形物など(濾塊)を廃棄処理している。
【0006】
この点、上記人手による長時間の重労働な作業を省力化するためのスープ製造装置や骨スープ材生成装置として、下記特許文献1、2が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−22837号公報
【特許文献2】特開2009−136199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された円錐台形状網(6)は、その網目よりも大きな骨などの重量物を塞き止め滞留させ、細かい素材を通し抜くことになっているが、その終始静止状態に固定維持されていて、自然に沈降させるだけの濾過作用であるため、動物系スープ材料(ゲンコツ)の煮崩れして多数抜け出した小さなゼラチン状髄片でも、粘結し塊となって、網(6)の底面(6a)(6b)に付着・堆積し、目詰まりさせてしまうことは必至であり、そのスープ材料の小さな軟らかい髄片をスープの旨味成分として、有効に漉し取ることができない。
【0009】
他方、特許文献2に記載された網篭(23)も、タンク(20)の内部へ静止状態に固定維持されているため、切削杆(17)(18)や切削羽根(19)の回転遠心力とも相俟って、その切削杆(17)(18)や切削羽根(19)により細かく切削された骨の髄片が、網篭(23)やタンク(20)の胴面へ付着・堆積して、その網篭(23)を目詰まりさせてしまうことになり、やはりゲンコツの髄片をスープの旨味として有効に漉し取ることができず、廃棄を余儀なくされるのである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はこのような課題の抜本的な解決を目的としており、その目的を達成するために請求項1では回転駆動モーターを内蔵した据付けフレームと、そのフレームの上面中央部に搭載されたスープ受け入れタンクと、同じくフレームの上面周辺部からスープ受け入れタンクを挟む位置関係の向かい合う一対づつとして、ほぼ平行に垂設された回転軸並びにその軸受け筒と、その両回転軸における何れか一方の下端部と上記回転駆動モーターの上向く出力軸とを伝動連結する無端なチエンやベルト、歯車などの伝動手段と、同じく両回転軸が上記スープ受け入れタンクの開口上面よりも背高く垂立する上端部へ嵌め付け一体化された一対の回転トップフランジと、その両回転トップフランジへ一対の偏心軸を介して枢支連結されることにより、上記スープ受け入れタンクの開口上面をほぼ水平に横断することとなる漉し網保持用両腕リングとから成り、
【0011】
その両腕リングの中央枠ヘ上方から係脱自在に係止された漉し網を、上記回転駆動モーターにより往復円運動させるように設定したことを特徴とする。
【0012】
又、請求項2では漉し網を円錐受け皿形の金網として、その底部をスープ受け入れタンクの内部へ没入させたことを特徴とする。
【0013】
請求項3では漉し網の目開きを20メッシュ〜60メッシュに設定すると共に、回転軸の回転数を1秒当り3回〜7回にインバーター制御することを特徴とする。
【0014】
請求項4では漉し網を片手付き若しくは両手付きの円錐受け皿形又は寸胴形として、その周縁部から両腕リングのリング状中央枠へ係脱自在に係止し得る複数のフックを下向きに曲げ出したことを特徴とする。
【0015】
請求項5ではスープ排出口の開閉コックが具備されたスープ受け入れタンクを、据付けフレームの上面中央部へ取り付け固定したことを特徴とする。
【0016】
更に、請求項6ではスープ受け入れタンクを片手付き又は両手付きとして、据付けフレームの上面中央部へ着脱・交換自在に載置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の上記構成によれば、スープ受け入れタンクの開口上面を横断する漉し網保持用両腕リングの中央枠へ、上方から漉し網を係脱自在に係止するようになっており、その係止された漉し網を回転駆動モーターにより往復円運動させて、震動(篩漉し作用)を繰り返し与えるようになっているため、濾料である動物系スープ材料における骨の髄片やその他の細かい固形物などが、粘結し塊となって、漉し網の目詰まりを起すことを予防することができ、これらを廃棄処理するロスなく、上記骨から溶け出した液体(髄エキス)と同じく、スープの旨味成分として有効に漉し取れる効果があり、その篩漉し作業の省力化と能率向上にも役立つ。
【0018】
特に、請求項2の構成を採用するならば、漉し網保持用両腕リングの中央枠へ係止された状態にある漉し網が、円錐受け皿形の金網から成るため、回転駆動モーターにより繰り返し往復円運動されると、その内部の濾料である煮出し汁(固液混合物)は、前後・左右の横方向へ移動すると同時に、漉し網の円錐面を昇降し、その網目と広範囲・広面積のもとで接触することになる。
【0019】
その結果、上記煮出し汁(濾料)から目的物の液体(髄エキス)は勿論のこと、その煮崩れした小さな軟らかい骨髄片やその他のラーメンスープとして旨味成分になる多種・多様な固形物や半固形物をも、漉し網に目詰まりさせる(従って網内に残留し、延いては廃棄処理されてしまう)ことなく、確実に漉し取り捕集することができる。
【0020】
そして、このような効果は請求項3の構成を採用して、その漉し網の目開きを20メッシュ〜60メッシュの許容範囲内において取捨選択したり、回転軸の回転数を1秒当り3回〜7回としてインバーター制御したりすることによって、ますます向上させることができる。
【0021】
また、上記漉し網は円錐受け皿形をなしているため、その内部に残留した不要な固形物や半固形物などを、作業者が柄杓により掬い出したり、或いは漉し網の裏返し操作によって脱落させたりする際、これらを漉し網の円錐面に沿って洩れなく完全に掬い出し・脱落させ得る効果もある。
【0022】
請求項4の構成を採用するならば、その漉し網のフックを両腕リングの中央枠へ係止させることにより、その使用中における漉し網の不慮な位置ズレや脱落などを予防することができる共に、その漉し網に付属する片手又は両手を持って、両腕リングの中央枠に対する漉し網の係脱操作を便利良く行なえる効果がある。
【0023】
更に、請求項5の構成を採用するならば、篩漉し作業中にスープ受け入れタンクの開閉コックを開放状態に保って、漉し取った目的物のスープをそのスープ受け入れタンクのスープ排出口から、別なスープ捕集容器へ直かに移し入れることができ、作業性の向上に役立つ。
【0024】
他方、請求項6の構成を採用するならば、スープ受け入れタンクに付属する片手又は両手を持って、そのタンクを据付けフレームの上面から取りはずし移動でき、希望する場所において漉し取ったスープをそのタンクから取り出したり、またタンクを清掃作業したりできる利便性がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る篩漉し機の第1実施形態を示す使用状態の平面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】漉し網を取りはずして示す図1に対応する平面図である。
【図5】漉し網保持用両腕リングを抽出して示す平面図である。
【図6】図5の6−6線断面図である。
【図7】漉し網を抽出して示す平面図である。
【図8】図7の側面図である。
【図9】本発明に係る篩漉し機の第2実施形態を示す使用状態の平面図である。
【図10】図9の側面図である。
【図11】図10の11−11線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、図1〜8はその篩漉し機の第1実施形態を示しており、(F)は作業床への据付けフレームであって、ステンレス鋼材やその他の金属材から竪型の直方体に枠組み一体化されている。
【0027】
(11)はその据付けフレーム(F)の厚肉な天板であり、左右一対の張出し耳片(11a)を具備している。(12)は同じく据付けフレーム(F)の四隅部に設置された複数の接地脚であり、据付け高さを調整(昇降)できるネジ杆から成るが、これに代るキャスター(自在車輪)を採用すると共に、据付けフレーム(F)から手押しハンドル(図示省略)を立設して、作業床を移動できるように定めても良い。
【0028】
(13)は上記据付けフレーム(F)に内蔵された回転駆動モーターであり、その出力軸(14)が上向く姿勢の竪型として、断面ほぼハット形の吊持枠(15)と複数の固定ボルト(16)により、上記天板(11)の下面中央部に取り付けられている。(17)は駆動モーター(13)の出力軸(14)に嵌め付け一体化された出力スプロケットである。
【0029】
上記駆動モーター(13)は一例として、単相100V、0.2KW、415r.p.m の最高回転数を有し、その回転数(回転速度)を適当に低くインバーター制御することができるようになっている。(P)は駆動モーター(13)の足踏み操作するオン・オフスイッチである。尚、電源コンセントへ接続使用する差込みプラグは図示省略してある。
【0030】
また、(18)は上記据付けフレーム(F)における天板(11)の上面中央部へ固定状態に搭載されたスープ受け入れタンクであり、ステンレス鋼板から例えば約33.6リットルの容量を有する断面ほぼU字形(350mmの口径と300mmの深さを有する円筒形)に作成されている。しかも、その胴面の下部にはスープ排出口(蛇口)の開閉コック(19)が取り付けられてもいる。
【0031】
つまり、このような開閉コック(19)の開放操作によって、スープ(濾液)(S)の取り出しや清掃などを行なえるスープ受け入れタンク(18)である場合には、そのタンク(18)を上記据付けフレーム(F)における天板(11)の上面中央部へ溶接や固定ボルトなどにより、着脱や移動の不能に取り付け一体化してもさしつかえない趣旨である。
【0032】
(20)は上記据付けフレーム(F)における天板(11)の両張出し耳片(11a)へ、複数の固定ボルト(21)によって取り付けられた左右一対の軸受け筒であり、上記スープ受け入れタンク(18)を挟む位置関係のもとに垂立している。(22)はその両軸受け筒(20)によって回転自在に支持されたほぼ平行な左右一対の回転軸であり、その両回転軸(22)が軸受け筒(20)から上記スープ受け入れタンク(18)の開口上面よりも背高く垂立する上端部には、各々回転トップフランジ(23)が嵌め付け一体化されている。(24)は上記回転軸(22)とその軸受け筒(20)との相互間に介挿された上下一対のボールベアリングである。
【0033】
更に、(25)は上記スープ受け入れタンク(18)の開口上面をほぼ水平に横断することとなる漉し網保持用の両腕リングであって、図5、6に示すようなリング状の中央枠(25a)と、これから連続一体に張り出す左右一対の腕片(25b)とを有しており、その両腕片(25b)が対応的な一対の偏心軸(26)を介して、両回転トップフランジ(23)と各々枢支連結されている。
【0034】
つまり、上記回転トップフランジ(23)における回転中心線上から一定距離(E)(例えば約30mm)だけ偏心した位置には、ボルト又はピンから成る偏心軸(26)が植え付けられており、その偏心軸(26)に上記両腕リング(25)の腕片(25b)が枢着されているのである。(27)はその両腕リング(25)の腕片(25b)と回転トップフランジ(23)との上下相互間に介挿されたディスタンスカラー、(28)は偏心軸(26)の座金である。
【0035】
(29)はステンレス網や真鋳網、その他の平織金網から上記両腕リング(25)のリング状中央枠(25a)と対応する大きさ並びに一定深さの円錐受け皿形に造形された漉し網であって、両腕リング(25)のリング状中央枠(25a)へ上方から係脱自在に係止されるようになっており、その係止された使用状態では漉し網(29)の底部が図2、3のように、上記スープ受け入れタンク(18)の開口上面を通じて、そのタンク(28)の内部へ没入する関係にある。その漉し網(29)の目開き(網目の空間)としては、20メッシュ〜60メッシュに設定することが好ましく、このような許容範囲内において取捨選択使用すれば良い。
【0036】
その場合、漉し網(29)の周縁部からは図7、8のように、複数のフック(29a)を下向きに曲げ出すほか、把手(29b)を横向き水平に張り出すことが好ましい。そうすれば、その複数のフック(29a)が上記両腕リング(25)のリング状中央枠(25a)へ係止して、漉し網(29)を位置ズレや脱落の不能な安定状態に保つことができ、また把手(29b)を持つことにより、その両腕リング(25)のリング状中央枠(25a)に対する漉し網(29)の係脱操作を便利良く行なえるからである。但し、その把手(29b)は図示のような片手付きに限らず、向かい合う一対の両手付きであっても勿論良い。
【0037】
他方、両回転軸(22)の下端部は何れも上記据付けフレーム(F)における天板(11)の張出し耳片(11a)から下向きに突出しているが、その左右何れか一方(図3の右側)の回転軸(22)は原動回転軸として、その下端部に上記出力スプロケット(17)と対応位置する伝動スプロケット(30)が嵌め付け一体化されている。
【0038】
そして、その原動回転軸(22)上の伝動スプロケット(30)と、上記駆動モーター(13)における出力軸(14)上の出力スプロケット(17)とが、無端な伝動チエン(31)を介して伝動連結されており、残る他方(図3の左側)の回転軸(22)は従動回転軸をなし、上記両腕リング(25)を言わばリンクアーム又はコネクティングロッドとして、原動回転軸(22)と一緒に連れ廻ることとなる。
【0039】
尚、上記駆動モーター(13)の出力軸(14)から原動回転軸(22)への伝動手段としては、図示のようなチエン(31)のみに限らず、ベルトや歯車、その他の手段を採用することができる。
【0040】
上記構成を備えた篩漉し機の使用に当っては、別途の煮込み作業により仕上がったラーメンスープ材料の煮出し汁(濾料)(M)を、その収容鍋(図示省略)から作業者が柄杓により掬い出して、上記両腕リング(25)のリング状中央枠(25a)に係止された漉し網(29)の内部へ移し入れる。
【0041】
茲に、ラーメンスープ材料の煮出し汁(濾料)(M)はその豚骨類や鶏ガラ類などの動物系スープ材料(ゲンコツ)から溶け出した液体のみならず、未だその動物系スープ材料の骨から煮崩れし、抜け出した多数の髄片やその他の大きさ・形状・硬さなどが多様な固形物や半固形物も含んだ混濁液(泥漿)の状態にある。
【0042】
そこで、上記駆動モーター(13)のオン・オフスイッチ(P)を足踏み始動し、原動回転軸(22)と延いては従動回転軸(22)を回転させれば、その回転トップフランジ(23)と両腕リング(25)とを枢支連結している偏心軸(26)が、上記回転軸(22)における回転中心線の廻りを言わば公転することになるため、上記両腕リング(25)のリング状中央枠(25a)に係止されている漉し網(29)は、図1の平面図に示す鎖線から明白なように、左右方向と前後方向へ振れる往復円運動を行ない、繰り返し震動(篩漉し作用)を与えられることとなる。
【0043】
その過程では、漉し網(29)の内部に投入されている上記固液混合状態の煮出し汁(濾料)(M)が、上記円錐受け皿形をなす漉し網(29)の中心部から前後・左右の横方向へ移動すると同時に、その漉し網(29)の円錐面を昇降し、その網目と広い範囲・広い面積のもとで接触することになる。
【0044】
その結果、上記固液混合状態にある煮出し汁(濾料)(M)の液体と固形物とを、自づと完全に篩漉し分離させることができることは勿論、そのゲンコツの軟らかい髄片やその他の細かい固形物などが粘結した塊(半固形物)となって、上記漉し網(29)の目詰まりを起すことも予防することができ、これらの多種・多様な固形物や半固形物も液体と同じく、漉し網(29)からスープ受け入れタンク(18)へ確実に抜け落とし、ラーメンスープ(S)の旨味成分として漉し取れるのである。
【0045】
その場合、上記回転駆動モーター(13)をインバーター制御して、両回転軸(22)の回転数を1秒当り3回〜7回に調整したり、又は/及び上記漉し網(29)の目開きを20メッシュ〜60メッシュに調整したりして、希望する大きさのスープ(S)を篩漉し採取することが好適である。上記回転数を増せば増す程、上記目開きを拡大すればする程、スープ(S)の旨味成分となる大きなスープ材料を漉し取ることができる。
【0046】
上記篩漉し作業を繰り返す毎に、作業者がその漉し網(29)に残存した不要な動物系スープ材料やその他の大きな固形物、粘結した塊状の半固形物などを、柄杓により漉し網(29)から掬い出して、別な廃棄容器に移し入れ、まとめて廃棄処理する一方、漉し取ったラーメンスープ(S)はそのスープ受け入れタンク(18)に溜まり次第、別なスープ捕集容器(T)に移し入れて、ラーメンの製造に用いる。
【0047】
そのラーメンスープ(S)をスープ捕集容器(T)へ移し入れる際には、上記スープ受け入れタンク(18)の開閉コック(19)を開放操作すれば良いが、その開閉コック(19)を終始開放状態に保っておき、篩漉し作業中スープ受け入れタンク(18)から別なスープ捕集容器(T)へ、上記スープ(S)を自づと移し入れてもさしつかえない。また、動物系スープ材料やその他の漉し網(29)に残存した不要な固形物・半固形物などを、別な廃棄容器へ移し入れる場合、その漉し網(29)を上記両腕リング(25)のリング状中央枠(25a)から取りはずし、裏返しても良い。
【0048】
次に、図9〜11は本発明に係る篩漉し機の第2実施形態を示しており、これではスープ受け入れタンク(18)を据付けフレーム(F)における天板(11)の上面中央部へ取り付け固定せず、着脱・交換自在として載置するにとどめている。但し、スープ受け入れタンク(18)の胴面と係止し得る図外の位置決めストッパーを、上記天板(11)の上面に取り付け固定しても良い。
【0049】
そして、何れにしても上記スープ受け入れタンク(18)は両手付きとして、その付属する向かい合う一対の把手(18a)により、タンク(18)を据付けフレーム(F)の天板(11)上から持ち運び、漉し取ったラーメンスープ(S)を別なスープ捕集容器(T)へ移し入れる作業や、上記タンク(18)自身の清掃作業などを行なえるようになっている。
【0050】
また、第2実施形態の漉し網(29)は上記第1実施形態のそれよりも深く、しかも底部のほぼフラットな寸胴形に造形されており、上記スープ受け入れタンク(18)の内部へやはり没入する関係状態にある。そのため、第2実施形態でも上記第1実施形態と同じく、繰り返し震動(篩漉し作用)される漉し網(29)からスープ受け入れタンク(18)の外部へ、そのラーメンスープ材料の煮出し汁(濾料)(M)が飛散するおそれはない。
【0051】
もっとも、第2実施形態では漉し取ったラーメンスープ(S)を別なスープ捕集容器(T)へ移し入れるべく、そのスープ受け入れタンク(18)を据付けフレーム(F)の天板(11)から持ち運ぶ場合、先に両腕リング(25)のリング状中央枠(25a)から漉し網(29)を取りはずしておく必要がある。
【0052】
尚、第2実施形態におけるその他の構成と使用法は、図1〜8の上記第1実施形態と実質的に同一であるため、その図9〜11に図1〜8との対応符号を記入するにとどめて、その詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0053】
(11)・天板
(11a)・張出し耳片
(12)・接地脚
(13)・駆動モーター
(14)・出力軸
(15)・吊持枠
(16)・固定ボルト
(17)・出力スプロケット
(18)・スープ受け入れタンク
(18a)・把手
(19)・開閉コック
(20)・軸受け筒
(21)・固定ボルト
(22)・回転軸
(23)・回転トップフランジ
(24)・ボールベアリング
(25)・両腕リング
(25a)・リング状中央枠
(25b)・腕片
(26)・偏心軸
(27)・ディスタンスカラー
(28)・座金
(29)・漉し網
(29a)・フック
(29b)・把手
(30)・伝動スプロケット
(31)・伝動チエン
(F)・据付けフレーム
(M)・ラーメンスープ材料の煮出し汁(濾料)
(P)・オン・オフスイッチ
(S)・ラーメンスープ
(T)・スープ捕集容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動モーターを内蔵した据付けフレームと、そのフレームの上面中央部に搭載されたスープ受け入れタンクと、同じくフレームの上面周辺部からスープ受け入れタンクを挟む位置関係の向かい合う一対づつとして、ほぼ平行に垂設された回転軸並びにその軸受け筒と、その両回転軸における何れか一方の下端部と上記回転駆動モーターの上向く出力軸とを伝動連結する無端なチエンやベルト、歯車などの伝動手段と、同じく両回転軸が上記スープ受け入れタンクの開口上面よりも背高く垂立する上端部へ嵌め付け一体化された一対の回転トップフランジと、その両回転トップフランジへ一対の偏心軸を介して枢支連結されることにより、上記スープ受け入れタンクの開口上面をほぼ水平に横断することとなる漉し網保持用両腕リングとから成り、
その両腕リングの中央枠ヘ上方から係脱自在に係止された漉し網を、上記回転駆動モーターにより往復円運動させるように設定したことを特徴とする篩漉し機。
【請求項2】
漉し網を円錐受け皿形の金網として、その底部をスープ受け入れタンクの内部へ没入させたことを特徴とする請求項1記載の篩漉し機。
【請求項3】
漉し網の目開きを20メッシュ〜60メッシュに設定すると共に、回転軸の回転数を1秒当り3回〜7回にインバーター制御することを特徴とする請求項1記載の篩漉し機。
【請求項4】
漉し網を片手付き若しくは両手付きの円錐受け皿形又は寸胴形として、その周縁部から両腕リングのリング状中央枠へ係脱自在に係止し得る複数のフックを下向きに曲げ出したことを特徴とする請求項1記載の篩漉し機。
【請求項5】
スープ排出口の開閉コックが具備されたスープ受け入れタンクを、据付けフレームの上面中央部へ取り付け固定したことを特徴とする請求項1記載の篩漉し機。
【請求項6】
スープ受け入れタンクを片手付き又は両手付きとして、据付けフレームの上面中央部へ着脱・交換自在に載置したことを特徴とする請求項1記載の篩漉し機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−251273(P2011−251273A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128597(P2010−128597)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000247247)有限会社ナカイ (22)
【Fターム(参考)】