説明

簡易ユーザインターフェースを具備する移動電話端末

【課題】子供やお年寄りであっても容易に発呼操作や受話操作を行うことを可能とし、さらに遠隔操作による機能設定を可能とする移動電話端末を実現する。
【解決手段】移動電話端末は、制御部と、音声入出力部と、制御部及び音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、制御部及び音声符号化/復号化部に接続された無線通信回路と、無線通信回路に接続されたアンテナと、制御部に接続されて端末内の異なる位置に内蔵された、1つ又は複数の発呼スイッチと、1つ又は複数の発呼スイッチと各々に割当てられた電話番号との対応関係を記憶する記憶部とを具備する。制御部は、ある発呼スイッチが押されたことに応答して、当該発呼スイッチに対応する電話番号宛に発呼を行う。制御部は、所定の制御コード及び関連する設定内容を記述するメッセージを受信すると、制御コードに従い設定内容を移動電話端末の設定に反映させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動電話端末に関し、より詳細には、子供やお年寄りでも容易に発呼及び受話が可能な簡易ユーザインターフェースを具備し、さらに遠隔操作による設定が可能な移動電話端末に関する。
【背景技術】
【0002】
PHS(Personal Handyphone System)端末や携帯電話端末等の移動電話端末は世の中に広く普及している。移動電話端末は使用場所を選ばず電話をかけることが可能である点で便利である。
【0003】
しかしながら、従来の移動電話端末の操作は幼い子供やお年寄りにとって複雑である。移動電話端末を使用して電話をかけるためには、相手方の端末の電話番号を入力したり、移動電話端末の記憶部に格納された電話帳から所望の電話番号を選択したりする必要がある。発呼操作の簡略化のために短縮ダイヤルを設定している場合であっても、予め設定されている複数の短縮ダイヤルのうち所望の相手方に対応した短縮ダイヤルを入力しなければならない。また、受話の際には、移動電話端末の表示部に表示される電話番号を確認して、電話に出る必要があると判断した場合にのみ受話キーを押下するという操作が必要である。
【0004】
これらの操作は、電子機器の扱いに慣れておらず、文字や数字の読み取りが十分にできない子供やお年寄りにとっては複雑である。上記のような操作を誤りなく行えるようにこれらの人々を訓練することは容易ではない。また、従来の移動電話端末の場合、子供が明確な意思もなく操作部に触れることで登録されている電話帳データなどの設定が変わってしまったり、想定していない電話番号宛に誤って発呼してしまったりするという問題が発生し得る。
【0005】
一方、児童の外出時に児童の安否確認を行うために使用する情報端末が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の情報端末は、現在地に関するデータを取得する位置検出機能と、保護者用端末から受信したデータに応答して予め記憶された保護者の音声にてメッセージを出力するメッセージ出力機能とを有する。当該情報端末は携帯型の玩具に内蔵されている。保護者用端末からの要求パケットが情報端末に送られると、情報端末は、この要求パケットに基づいて現在地に関するデータを取得する。これにより保護者から離れた児童の居場所が確認される。また、要求パケットに基づいて、情報端末は、端末自身に予め格納されている保護者の音声メッセージを出力する。これにより、例えば児童を外出先から呼び戻すことが可能となる。このような端末は、従来の移動電話端末と比較して、児童による操作を特段必要としないという特徴を有する。
【0006】
しかし、特許文献1の情報端末は電話機能を持たない。したがって、このような情報端末を使用しても、子供は離れた場所にいる親と直接会話することができない。
【特許文献1】特開2003−168194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述の従来技術の問題点を鑑みてなされたものである。本発明は、子供やお年寄りであっても容易に発呼操作や受話操作を行うことを可能とし、さらに遠隔操作による機能設定を可能とする移動電話端末を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の移動電話端末は、制御部と、音声入出力部と、制御部及び音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、制御部及び音声符号化/復号化部に接続された無線通信回路と、無線通信回路に接続されたアンテナと、制御部に接続され、移動電話端末に具備された発呼スイッチと、発呼スイッチと該発呼スイッチに割当てられた電話番号との対応関係を記憶する記憶部とを具備する。制御部は、発呼スイッチが押されたことに応答して、記憶部において当該発呼スイッチと対応づけて記憶されている電話番号宛に発呼を行う。また、制御部は、所定の制御コード及び関連する設定内容を記述するメッセージの受信に応答して、当該制御コードに従い当該設定内容を移動電話端末の設定に反映させる。
【0009】
移動電話端末はぬいぐるみ型に構成してもよく、各手足に発呼スイッチが内蔵されるように構成してもよい。
【0010】
発呼スイッチは、複数のスイッチ素子からなるように構成してもよい。
【0011】
一例として、上記制御コードは電話番号の設定を指示し、上記設定内容は発呼スイッチに割当てるべき電話番号を含む。
【0012】
移動電話端末は、制御部に接続され、移動電話端末に内蔵された、応答スイッチをさらに具備してもよい。制御部は、着呼時に応答スイッチが押されたことに応答して通話を開始する。応答スイッチは、複数のスイッチ素子からなるように構成してもよい。
【0013】
また、本発明の移動電話端末は、アンテナ及び無線通信回路を有する無線通信モジュールと、当該無線通信モジュールと着脱可能に接続され、当該無線通信モジュールとともに移動電話端末として動作する装置とから構成してもよい。この場合、上記装置は、制御部と、音声入出力部と、制御部及び音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、制御部及び音声符号化/復号化部に接続され、無線通信モジュールとの間で符号化された音声信号及びデータ信号を送受信するためのインターフェース部と、制御部に接続され、装置内の異なる位置に内蔵された、複数のスイッチ素子からなる発呼スイッチと、発呼スイッチと該発呼スイッチに割当てられた電話番号との対応関係を記憶する記憶部とを具備する。制御部は、発呼スイッチが押されたことに応答して、記憶部において該発呼スイッチと対応づけて記憶されている電話番号宛に発呼を行うよう無線通信モジュールに指示する。また、制御部は、所定の制御コード及び関連する設定内容を記述するメッセージの受信に応答して、当該制御コードに従い当該設定内容を装置の設定に反映させる。
【0014】
装置はぬいぐるみ型に構成してもよく、各手足に発呼スイッチが内蔵されるように構成してもよい。
【0015】
一例として、制御コードは電話番号の設定を指示し、上記設定内容は各発呼スイッチに割当てるべき電話番号を含む。
【0016】
上記装置は、制御部に接続されて当該装置に内蔵された応答スイッチをさらに具備してもよい。制御部は、着呼時に前記応答スイッチが押されたことに応答して通話を開始するよう無線通信モジュールに指示する。
【0017】
また、本発明の移動電話端末は、制御部と、音声入出力部と、制御部及び音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、制御部及び音声符号化/復号化部に接続された無線通信回路と、無線通信回路に接続されたアンテナと、制御部に接続され、移動電話端末に具備された発呼スイッチであって、該発呼スイッチは複数のスイッチ素子からなり、当該複数のスイッチ素子の少なくとも1つが押されることにより制御部が該発呼スイッチの作動を検出するように構成された、発呼スイッチと、発呼スイッチと該発呼スイッチに割当てられた電話番号との対応関係を記憶する記憶部とを具備する。制御部は、発呼スイッチが押されたことに応答して、記憶部において該発呼スイッチと対応づけて記憶されている電話番号宛に発呼を行う。
【0018】
移動電話端末はぬいぐるみ型に構成してもよく、各手足に発呼スイッチを内蔵してもよい。
【0019】
移動電話端末は、制御部に接続されて移動電話端末に内蔵された応答スイッチであって、複数のスイッチ素子からなり、複数のスイッチ素子の少なくとも1つが押されることにより制御部が該応答スイッチの作動を検出するように構成された応答スイッチをさらに具備してもよい。制御部は、着呼時に応答スイッチが押されたことに応答して通話を開始する。
【0020】
また、本発明の移動電話端末は、アンテナ及び無線通信回路を有する無線通信モジュールと、当該無線通信モジュールと着脱可能に接続され、当該無線通信モジュールとともに移動電話端末として動作する装置とから構成してもよい。この場合、上記装置は、制御部と、音声入出力部と、制御部及び音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、制御部及び音声符号化/復号化部に接続され、無線通信モジュールとの間で符号化された音声信号及びデータ信号を送受信するためのインターフェース部と、制御部に接続されて装置内に具備された発呼スイッチであって、該発呼スイッチは複数のスイッチ素子からなり、該複数のスイッチ素子の少なくとも1つが押されることにより制御部が該発呼スイッチの作動を検出するように構成された、発呼スイッチと、発呼スイッチと該発呼スイッチに割当てられた電話番号との対応関係を記憶する記憶部とを具備するように構成される。そして、制御部は、発呼スイッチが押されたことに応答して、記憶部において該発呼スイッチと対応づけて記憶されている電話番号宛に発呼を行うよう前記無線通信モジュールに指示する。
【0021】
上記装置はぬいぐるみ型に構成されてもよく、各手足に前記発呼スイッチが内蔵されてもよい。
【0022】
上記装置は、制御部に接続されて当該装置に内蔵された応答スイッチであって、複数のスイッチ素子からなり、複数のスイッチ素子の少なくとも1つが押されることにより制御部が該応答スイッチの作動を検出するように構成された応答スイッチをさらに具備してもよい。制御部は、着呼時に応答スイッチが押されたことに応答して通話を開始するよう無線通信モジュールに指示する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、幼い子供やお年寄りなど電子機器の取扱に慣れていないユーザであっても容易に発呼操作や受話操作を行うことを可能にする移動電話端末を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の移動電話端末の一実施例の外観につき、正面図及び背面図をそれぞれ図1A及び図1Bに示す。移動電話端末1は、従来の移動通信端末内に組み込まれていた無線通信部分を別個の小型モジュールとして独立させた後述する無線通信モジュールと、このモジュールを挿入するためのスロットを有する本体部100とから構成される。無線通信モジュールは本体部100の内部に挿入されるため、図1には図示されていない。図1において、本体部100はくまのぬいぐるみの外観を有するが、本発明はこれに限定されるものではない。対象とするユーザに合わせて様々な形状を採用することができる。
【0025】
移動電話端末1においてユーザがつかんだり握ったりすることによって形状が変化する所定の部位には、着呼及び終話のためのスイッチが具備される。例えば、いずれかの耳(ここでは右耳)には応答スイッチ101が具備され、着呼時にこれを所定時間(例えば、1秒間)押し続けることにより電話を受けることができる。他方の耳(ここでは左耳)には終話スイッチ102が具備され、これを所定時間(例えば、1秒間)押し続けることによって電話を切ることができる。応答スイッチ101及び終話スイッチ102は外部から視認できないようにぬいぐるみの内側に内蔵してもよい。この場合、移動電話端末1の外観を一般的な玩具としてのぬいぐるみにより近づけることができる。
【0026】
ぬいぐるみの鼻もしくは口付近にはレシーバ部(受話部)103が具備されており、電話の相手の声がここから出力される。首の部分には可動部104が具備され、着呼時など所定の場合に首振り動作を行うなどしてユーザが着呼に気付きやすくする。胸部もしくは腹部にはマイク105が内蔵され、ここに向かって話しかけることでユーザの声が電話の相手方に伝わる。腹部には着信音等を発するためのスピーカ106が具備される。本実施例のように本体部100をぬいぐるみ型に構成する場合、レシーバ部103とマイク部105とを上述のように配置することにより、ユーザはぬいぐるみに話しかけるようにして通話をすることができる。したがって上述の構成は移動電話端末1を子供が使用する場合に好適である。
【0027】
本体部100においてユーザがつかんだり握ったりすることによって形状を変化させることができる所定の部位、例えば、図1Aに示すように、ぬいぐるみの右手、左手、右足及び左足には、それぞれ発呼スイッチ107A乃至107Dが具備される。発呼スイッチ107A乃至107Dは外部から視認できないようにぬいぐるみの内側に内蔵してもよい。詳細な動作については後述するが、本体部100はそれぞれの発呼スイッチと関連付けて異なる電話番号を記憶している。ユーザが右手、左手、右足もしくは左足を握ることによっていずれかの発呼スイッチが所定時間(例えば、1秒間)押し続けられると、移動電話端末1はその押された発呼スイッチに割当てられた電話番号宛に発呼を行う。
【0028】
本体部100はさらに、LED等の発光素子からなる状態表示部108を具備する。状態表示部108は、着呼時に点滅したり、所定の発光態様により電波強度を示したりするために使用される。
【0029】
図1Bに示すように、背面には開閉可能なチャック109が設けられる。チャック109を開くと、後述する無線通信モジュールを本体部100に挿入するためのスロット並びに本体部100の各構成要素及び無線通信モジュールに電力を供給する電源が具備されている。スロット及び電源は本体部100に内蔵されるため図1においては図示していない。電源は尾の部分に設けられた電源スイッチ110に接続されている。本体部100は、電源スイッチ110が所定時間(例えば、1秒間)以上押し続けられると電源が入るように構成される。電源としては例えば一般に市販されている乾電池を使用することができる。
【0030】
上述のように、本実施例の移動電話端末1はぬいぐるみ型であるが故に、電源がぬいぐるみ下部に配置され、無線通信モジュールの出し入れをするための開閉チャックを背面に具備するという特徴的な構成を有する。
【0031】
図1A及びBの内部の接続関係を模式的に示す透視図を図2A及び図2Bに示す。本体部100に内蔵された本体制御部111は上述の各構成要素と接続され、これら構成要素を制御する。図2Bは電源112及び無線通信モジュール挿入のためのスロット113の配置を模式的に示している。
【0032】
本実施例に関し、本体部100に無線通信モジュール200が挿入されたときの移動電話端末1の各構成要素の接続関係を示すブロック図を図3に示す。本体部100は、本体制御部111、本体制御部111に接続されたPCMコーデック等の音声符号化/復号化部114、音声符号化/復号化部114に接続されて音声入出力部として機能するマイク105及びレシーバ103等の音声入出力部、本体制御部111に接続された発呼スイッチ107A乃至107D、応答スイッチ101、終話スイッチ102、可動部104、スピーカ106、状態表示部108及び電源112並びに本体制御部111に接続または内蔵される記憶部115を具備する。本体制御部111はタイマー116を具備してもよい。
【0033】
無線通信モジュール200は、従来の移動通信端末内に組み込まれていた無線通信機能を別個の小型モジュールとして独立させたものである。本体部100は、無線通信モジュール200を接続するためのインターフェース117を図2Bに示すスロット113の内部に具備している。無線通信モジュール200もまた、本体部100のインターフェース部117と接続するためのインターフェース部214を具備している。無線通信モジュール200をスロット113に挿入して、無線通信モジュール200のインターフェース部214を本体部100のインターフェース部117に接続することにより、本体部100と無線通信モジュール200とは全体として移動通信端末1として機能する。無線通信モジュール200は、無線信号の送受信を行うためのアンテナ201、アンテナ201に接続されたアンテナ・スイッチ202、アンテナ・スイッチ202に接続された送信部203及び受信部204、変調部205及び復調部206、時分割多元接続(TDMA)符号化部207及びTDMA復号化部208、ADPCMトランスコーダ等の音声用トランスコーダ209、モジュール制御部210、ROM211、RAM212、電源213及びインターフェース部214を具備する。アンテナ・スイッチ202、送信部203及び受信部204、変調部205及び復調部206、TDMA符号化部207及びTDMA復号化部208は、無線通信モジュール200の無線通信機能に関わる無線通信回路を構成する。無線通信モジュール200は、例えばROM211に電話帳データを格納することができるなど、汎用性のある多機能通信モジュールである。また、ROM211は無線通信モジュール200に固有の電話番号や端末機器番号等を格納している。
【0034】
応答スイッチ101、終話スイッチ102及び発呼スイッチ107A乃至107Dの具体的な構成例を図4に示す。図4Aはいずれか1つのスイッチの内部構造を模式的に示す平面図、図4Bはその断面図、図4Cは回路図を示す。これらスイッチはそれぞれが複数のスイッチ素子401A乃至401Eを具備するように構成される。各スイッチを構成するスイッチ素子の数は適宜設計すればよい。各スイッチ素子はそれぞれ突起部402A乃至402Eを有している。図4Cの回路は本体制御部111に接続されており、本体制御部111はスイッチの導通状態を監視することができる。図4Cの回路図から理解されるように、突起部402A乃至402Eのうち少なくとも1つが押されると、本体制御部111と発呼スイッチとの間の回路が導通する。すなわち、移動電話端末1のユーザが、例えばぬいぐるみの右手を握ると、右手に具備される発呼スイッチ107Aを構成する複数のスイッチ素子401A乃至402Eに圧力が加わる。そして少なくとも1つのスイッチ素子の突起部が押されれば、本体制御部111との間の回路が導通する。本体制御部111はタイマー116を用いて導通時間を計測する。導通状態が所定時間(例えば、1秒間)継続した場合、本体制御部111は、導通したスイッチ(ここでは、発呼スイッチ107A)と関連付けて記憶されている電話番号を記憶部115から読み出して、当該電話番号宛に発呼するよう無線通信モジュール200のモジュール制御部210に指示する。
【0035】
本実施例の移動電話端末1はぬいぐるみ型の本体を有し、応答スイッチ101、終話スイッチ102及び発呼スイッチ107A乃至107Dはぬいぐるみの内側に内蔵することが可能である。この場合、各スイッチ101,102,107A乃至107Dは、外部からその存在がわからないため視認できない。このため、ユーザはこれらスイッチの正確な位置を把握しづらく、所望のスイッチを確実に押せない可能性が高くなる。図4に示す特徴的な構成を各スイッチに適用することにより、本実施例の移動電話端末1の特殊性により生じる上記の問題を解決することができる。
【0036】
無線通信モジュール200を本体部100に接続して音声通信を行う場合の移動電話端末1の動作は以下のようになる。なお、上述した各スイッチ101,102,107A乃至107Dはぬいぐるみの内側に内蔵されているものとする。
【0037】
本体制御部111は、記憶部115において、本体部100の発呼スイッチ107A乃至107Dと各スイッチに割当てられた電話番号との対応関係を記憶している。例えば、記憶部115は、図5に示すように、発呼スイッチ107A乃至107Dとそれぞれの電話番号との対応表を記憶する。
【0038】
以下、本体制御部111は、発呼スイッチ107Aとユーザ(ここでは、子供)の母親の移動電話端末の電話番号(ここでは、「070−XXXX−1234」)とを対応付けて記憶していると仮定する。
【0039】
母親が子供を家に残して買い物に出かける場合を想定する。母親は外出前に電源スイッチ110を操作して移動電話端末1の電源を入れる。電源スイッチ110が所定時間(例えば、1秒間)押し続けられると電源が投入される。電源投入の際、本体制御部111はスピーカ106を制御して所定の音を出力させたり、状態表示部108を制御して所定の態様で点灯させたりしてもよい。
【0040】
自宅で留守番をしている子供は、外出中の母親と話したい場合、ぬいぐるみの右手を握る。右手に内蔵されている発呼スイッチ107Aを構成する複数のスイッチ素子401A乃至401Eの少なくとも1つが所定時間(例えば、1秒間)導通すると、本体制御部111はこれを検出し、記憶部115にアクセスして発呼スイッチ107Aに対応する電話番号(ここでは、070−XXXX−1234)を取得する。本体制御部111は、取得した当該電話番号に対して発呼するようモジュール制御部210に指示する。これにより、外出中の母親の端末への発呼が行われる。本体制御部111は、発呼をより確実に行うようにするため、発呼スイッチ107Aが所定時間押し続けられた場合に所定の音をスピーカ106から発して、もうスイッチを押す必要がないことを子供に伝えてもよい。
【0041】
母親が電話に出ると、子供はマイク105及びレシーバ103を介して会話を行う。子供の音声はマイク105を介してPCMコーデック等の音声符号化/復号化部114へ入力されてパルス符号変調される。ここで、本体部100のインターフェース部117及び無線通信モジュール200のインターフェース部214は、音声信号の送受信用に使用されるピンと制御信号等のデータ信号の送受信用に使用されるピンとを有している。そして、音声符号化/復号化部114により符号化された音声信号は当該音声用のピンを介して無線通信モジュール200内のADPCMトランスコーダ等の音声用トランスコーダ209へ入力される。音声用トランスコーダ209の出力信号は、TDMA符号化部207において時分割多元接続(TDMA)用ベースバンド信号に符号変換され、さらに変調部205、送信部203、アンテナ・スイッチ202及びアンテナ201を介して無線伝送される。
【0042】
また、本体制御部111とモジュール制御部210との間で発呼指示等のためにやり取りされる制御信号等のデータ信号は、インターフェース部117及び214のデータ信号用のピンを介して送受信される。
【0043】
一方、アンテナ201により受信された母親の音声を含む信号は、アンテナ・スイッチ202により受信部204へ入力される。この受信信号(例えば、1.9GHz帯)は、受信部204において増幅されて周波数変換され、ついで復調部206でTDMAベースバンド信号に復調された後、TDMA復号化部208により復号化される。TDMA復号化部208から出力された音声信号は音声用トランスコーダ209へ入力されてPCM音声信号へ変換される。PCM音声信号は、さらにインターフェース部214及び117の音声信号用のピンを介して本体部100側の音声符号化/復号化部114に入力され、アナログ信号に変換されてレシーバ103を介して出力される。
【0044】
移動電話端末1側で子供が電話を切る際、子供は左耳を握って内蔵された終話スイッチ102を作動させればよい。終話スイッチ102もまた図4に示すように構成することができる。終話スイッチ102が所定時間(例えば、1秒間)押し続けられたことを検出すると、本体制御部111はモジュール制御部210に通話を切断するよう指示する。
【0045】
家に戻った母親が電源スイッチ110を再度作動させれば移動電話端末1の電源を切ることができる。もしくは、電源スイッチ110を通常の移動電話端末のように終話スイッチと同一のスイッチに割り当てる構成にしても良い。
【0046】
上述のように、本実施例の移動電話端末1においては、発呼スイッチ107A乃至107Dが所定時間押し続けられると発呼が開始される。さらに、各発呼スイッチは図4に示すように複数のスイッチ素子を具備しており、少なくとも1つのスイッチ素子が押されれば当該発呼スイッチが作動して移動電話端末1が発呼動作を行うように構成される。子供が使用することを考慮して移動電話端末の本体部を本実施例のようにぬいぐるみ型とすると、内蔵された発呼スイッチの正確な位置は把握しづらいので、一度の操作で発呼スイッチを確実に作動させることが困難になる。しかし、上記の特徴的な構成を採用すれば、ぬいぐるみの手足のいずれかを握るだけで発呼操作を容易に行うことができる。
【0047】
このような特徴的な構成により、「母親と話したい場合にはぬいぐるみの右手を握り続けていればよい」ことを子供に教え込んでおけば、従来の移動電話端末を操作することが困難な幼児であっても母親の端末への発呼が可能である。したがって、本実施例によれば、ぬいぐるみ型の移動電話端末の所定部位をつかむという1アクションでの発呼が可能であるので、従来の端末と比較して、幼い子供にとってより操作しやすい移動電話端末を実現することができる。
【0048】
本実施例において、さらに本体部100の左手、右足及び左足にそれぞれ内蔵される発呼スイッチ107B、107C及び107Dと子供の父親の電話番号、祖母の電話番号及び祖父の電話番号を記憶部115に予め格納しておけば、子供は母親以外のこれらの人々に電話をかけることができる。
【0049】
本実施例の移動電話端末1に着呼した電話を子供が受ける場合の動作は以下のようになる。無線通信モジュール200の電話番号宛に着呼があると、モジュール制御部210からの通知により本体制御部111は着呼を検知して、可動部104を作動させて所定の動作(例えば、首振り動作)を行わせる。子供が着呼に気付いて右耳を握ると、右耳に内蔵された応答スイッチ101が作動する。応答スイッチ101もまた図4に示すように構成することができる。応答スイッチ101を構成する少なくとも1つのスイッチ素子が所定時間(例えば、1秒間)導通すると、本体制御部111はこれを検出して、モジュール制御部210に制御信号を送信して通話接続動作を行うよう指示する。これにより、発呼者端末と子供が使用する移動電話端末1との間で通話接続が確立され、子供は発呼者と会話することができる。本発明においてこのような構成を採用すれば、「首が動いた場合には右耳を握ればよい」ことを子供に教え込んでおくだけでよい。したがって、このような構成を本発明に採用すれば、従来の端末と比較して、幼い子供にとって操作しやすい移動電話端末を実現することができる。
【0050】
もしくは、発呼スイッチ107A乃至107Dのうち少なくとも1つを押すことにより、通話接続動作を行うようにすることも出来る。
【0051】
また、別の構成として、本体制御部111は、タイマー116を用いて、着呼を検出した後所定時間後(例えば、3秒後)にモジュール制御部210に制御信号を送信して発呼者端末との間で通話接続を行うよう指示してもよい。このような構成を採用すれば、子供が右耳をつかまなかったり、あるいは応答スイッチ101の連続作動時間が所定値に達しなかった場合でも、通話が可能となる。
【0052】
さらに別の構成として、本体制御部111は、発呼スイッチ107A乃至107Dと関連付けて記憶部115に記憶されている電話番号以外の電話番号からの着呼を拒否するように構成してもよい。例えば、着呼の際、本体制御部111はモジュール制御部210から、発呼者の電話番号を得る。本体制御部111は、得られた電話番号を、記憶部115において発呼スイッチ107A乃至107Dの各々と関連付けられている各々の電話番号と比較する。発呼者の電話番号が記憶されている電話番号のいずれにも該当しない場合、本体制御部111は、モジュール制御部210に対して当該着呼を拒否するよう指示する。このような構成により、子供がいたずら電話等に応答することを回避できる。
【0053】
本実施例の移動電話端末1はぬいぐるみの外観を有するが、本発明はこれに限定されない。ユーザとして想定される子供やお年寄りが容易に握ることができる複数の部位を有する形状であればよく、使用目的に応じて適切な構成を採用できる。
【0054】
ユーザが幼い子供である場合、各発呼スイッチと関連付けて記憶される電話番号の設定は保護者が行うことになる。しかし、従来の移動電話端末と異なり、本実施例の移動電話端末1の本体部分100は液晶表示画面などの表示画面を具備せず、しかも、数字キー等の操作ボタンすら具備していない。これは、本発明が主として幼い子供やお年寄りをユーザとして想定しており、上記構成要素が特に必要とされないためである。このような特殊な構成のため、本発明においては移動電話端末を直接操作して電話番号の設定を行うことができない。この問題を解決すべく、本発明は、以下に示すように遠隔操作による電話番号の設定を可能にする。
【0055】
移動電話端末1の遠隔設定に用いられるシステム600の一例を図6に示す。パソコンや移動電話端末等の通信端末601及びサーバ603がインターネット等の通信ネットワーク602に接続される。移動電話端末1もまた通信ネットワークを介した通信が可能である。ここでは、移動電話端末1のユーザとして幼い子供を想定し、子供の保護者が自身の端末601を用いてシステム600を介して移動電話端末1の設定を行うものと仮定して説明する。
【0056】
保護者は端末601からサーバ603が管理する専用サイトにアクセスする。初めにログイン画面が表示され、保護者は、本体部100に挿入された無線通信モジュール200の電話番号、予め登録しているユーザID及びパスワードを入力する。サーバ603は入力された情報を登録情報と照合して認証作業を行う。認証が成功すると、サーバ603は、無線通信モジュール200が現在挿入されている機器(ここでは、ぬいぐるみ型の本体部100)の種類を識別する。無線通信モジュール200のモジュール制御部210は、無線通信モジュール200が現在挿入されている機器を識別する情報を本体制御部111から定期的に取得し、当該情報をサーバ603に送信するように構成される。サーバ603は受信した機器情報を個々の無線通信モジュールと対応付けて記憶している。したがって、サーバ603は、無線通信モジュール200が現在挿入されている本体部100がぬいぐるみ型であって、右手、左手、右足及び左足のそれぞれに電話番号を設定できることを知ることができる。従って、サーバ603は認識された本体部100の種類に対応した個別設定画面を表示することができる。別の手法として、サーバ603は、上記認証作業時に無線通信モジュール200にアクセスして、モジュール制御部210に対し、本体部100の識別情報を取得してこれをサーバ603に送信するよう指示してもよい。
【0057】
こうして表示される個別設定画面700の一例を図7に示す。個別設定画面700では、氏名等の個人情報が表示され(ここでは、「ようこそ、スズキ様。」と表示される)、本体部100の種類(ここでは、くまのぬいぐるみ型)に対応したイメージ701が表示される。本実施例において、本体部100はくまのぬいぐるみの形状を有するので、図示されるようにぬいぐるみのイメージ701が表示される。イメージ701の各手足に相当する箇所にそれぞれ電話番号設定用のボックス702A乃至702Dが表示される。
【0058】
保護者は、右手、左手、右足及び左足のボックスに、発呼スイッチ107A乃至107Dにそれぞれ設定したい電話番号を入力する。ここでは、ボックス702A、702B、702C及び702Dにそれぞれ「070−XXXX−1234」、「090−XXXX−4321」、「03−XXXX−6789」及び「080−XXXX−9876」と入力されている。決定ボタン703をクリックすると、サーバ603は入力された情報が電話番号であるか否かをチェックする。電話番号以外の文字列が入力されている場合、サーバ603はユーザに正しい情報を入力させるための画面を表示する。入力された情報が電話番号であることを確認すると、サーバ603は、移動電話端末1に電話番号設定を指示するためのメッセージを作成する。当該メッセージは通常の電子メールであってもよいし、ライトメールその他のメッセージであってもよい。作成されるメッセージ本文の例を図8に示す。メッセージ本文は、本体制御部111が認識できる制御コードと設定すべき電話番号とを記述する。制御コード及び各電話番号は改行コードで区切られる。最初の行(801)には制御コードが記述され、その後の行(802〜805)には順に右手、左手、右足及び左足に対応する電話番号が記述される。サーバ603は作成したメッセージを移動電話端末1内の無線通信モジュール200宛に送信する。
【0059】
上記メッセージとしてライトメールを使用する場合、ライトメールの受信を可能とするように無線通信モジュール200を予め設定しておく必要がある。本体部100がライトメールによる遠隔設定に対応した種類の機器である場合、本体制御部111は、無線通信モジュール200を挿入した際の初期ネゴシエーションにおいて、モジュール制御部210に対してライトメールを受信可能な状態とするためのコマンドを送信する。
【0060】
上記メッセージの受信の際、無線通信モジュール200のモジュール制御部210は、受信したメッセージに含まれるデータを、インターフェース部214及び117のデータ信号用のピンを介して本体制御部111に送信する。本体制御部111は受信したデータに含まれる制御コードを解析して、電話番号の設定が指示されていることを認識する。本体制御部111は、指定された各電話番号をそれぞれ発呼スイッチ107A乃至107Dのうち所定のものに関連付けて記憶部115に記憶させる。尚、メッセージの一部が規定された文字列以外が設定された場合や、解析処理で無効とした場合は、本体制御部111は該当の情報を記憶部115から削除する。例えば、図8の803の行が空欄であれば、本体制御部111は、左手の発呼スイッチ107Bに対応する電話番号を記憶部115から削除する。
【0061】
この際、本体制御部111は、記憶部115に予め登録されている送信元アドレスからのメッセージのみに反応して動作するように構成してもよい。これを可能にするため、記憶部115は予め所定の送信元アドレスを記憶している。メッセージを受信すると、本体制御部111は、当該メッセージの送信元アドレスが記憶部115に予め記憶されている上記アドレスのいずれかと合致するか確認し、合致する場合にのみ、当該メッセージの指示に従う。例えば、メッセージの送信元として、サーバ603のアドレスのみが予め記憶部115に記憶されており、モジュール制御部210から受け取った情報に含まれる送信元アドレスがその記憶されているアドレスと異なる場合、本体制御部111は、メッセージにより指示される動作を行わない。
【0062】
記憶部115への電話番号の設定が完了すると、本体制御部111は状態表示部108を制御して、所定の発光動作をさせてもよい。
【0063】
上記は電話番号を設定する場合のフローだが、音量、着信時のバイブレーション動作の態様、マナーモード設定のオン/オフ、位置情報取得許可に関する設定などの移動電話端末に関するその他の設定事項を変更したりといったことも、同様に専用ウェブサイト上で行うことが可能であることは当業者に明らかであろう。図9は、これら電話番号以外の遠隔設定の際にサーバ603が移動電話端末1へ送信するメッセージの例を示す。図9Aは音量設定のメッセージであり、音量設定制御コードに加えて、設定事項である受話音量、着信音量及び着信音種類が改行コードで区切られて記述される。各設定事項の記述態様は本体部100の種類や設定者(本実施例の場合、保護者)の好みに応じて設定できる。図9B乃至図9Dは、それぞれ、バイブレーション動作設定、マナーモード設定及び位置情報通知許可設定のためのメッセージの例である。図9Bはバイブレーション動作設定のメッセージであり、バイブレータ動作制御コードに加えて設定事項であるバイブレータのON/OFF,バイブレータの振動パターン、バイブレータの振動時間が改行コードで区切られて記述され設定できる。この場合、バイブレーションをONに設定するとバイブレータを振動させ、着信などを知らせることができる。また、図9Cはマナーモード設定のメッセージであり、マナーモード設定制御コードに加えてマナーモードのON/OFFが改行コードで区切られて設定され、マナーモードをONに設定すると着信などがあっても音や振動がないようにすることができる。さらに、図9Dは、位置情報通知許可設定のメッセージであり、位置情報設定制御コードに加えて、暗証番号、通知許可番号、通知許可パスワードが改行コードで区切られて記述され設定されている。この場合、位置情報の通知が許可されていることにより、例えば本実施例の移動電話端末1を子供が持ち歩いたとしてもどこにいるのかがわかることになる。
【0064】
以上のような特徴により、本実施例の移動電話端末は、操作ボタン及び表示画面を持たないという特殊な構造でありながら、発呼先電話番号その他の事項を遠隔操作により容易に設定できる。
【0065】
上述の実施例のほか、本発明の移動電話端末は、無線通信機能が独立していない構成の端末としても実施することができる。このような移動電話端末2の構成を図10に示す。移動電話端末2は、アンテナ1018、無線通信回路1019、ADPCMトランスコーダ等の音声用トランスコーダ1020、PCMコーデック等の音声符号化/復号化部1021、制御部1011、マイク1005及びレシーバ1003等の音声入出力部、発呼スイッチ1007A乃至1007D、応答スイッチ1001、終話スイッチ1002、可動部1004、状態表示部1008、スピーカ1006電源1012及び制御部1011に接続または内蔵される記憶部1015を具備する。制御部1011はタイマー1016を具備してもよい。無線通信回路1019は、図3のアンテナ・スイッチ202、送信部203及び受信部204、変調部205及び復調部206、及びTDMA符号化部207及びTDMA復号化部208に相当する。
【0066】
移動電話端末2の記憶部1015は、移動通信端末2に固有の電話番号や端末番号等の固有情報及び電話帳データを記憶している。さらに、記憶部1015は、発呼スイッチ1007A乃至1007Dと、それぞれに割当てられた電話番号との対応関係を記憶している。発呼スイッチ1007A乃至1007D、応答スイッチ1001及び終話スイッチ1002は図4に示すように構成することができる。
【0067】
図10に示す移動電話端末2が図3に示す移動電話端末1と同様に動作し、既に述べた本願発明の効果を奏することは当業者に明らかである。
【0068】
以下、移動電話端末2が図1と同様のくまのぬいぐるみの外観を有し、記憶部1015において、ぬいぐるみの右手に内蔵された発呼スイッチ1007Aと関連付けて母親の移動電話端末の電話番号が記憶されていると仮定する。
【0069】
子供がぬいぐるみの右手を握り、内蔵されている発呼スイッチ1007Aが所定時間導通すると、制御部1011はこれを検出し、発呼スイッチ1007Aに割当てられた電話番号に対して発呼する。
【0070】
母親が電話に出ると、子供はマイク1005及びレシーバ1003を介して会話を行う。子供の音声は音声符号化/復号化部1021においてパルス符号変調される。符号化された音声信号は音声用トランスコーダ1020に入力される。音声用トランスコーダ1020の出力信号は無線通信回路1019及びアンテナ1018を介して無線伝送される。
【0071】
一方、アンテナ1018により受信された信号は、無線通信回路1019及び音声用トランスコーダ1020を介して音声符号化/復号化部1021に入力され、アナログ信号に変換されてレシーバ1003を介して出力される。
【0072】
移動電話端末2にかかってきた電話を子供が受ける場合の動作は以下のようになる。着呼があった場合、制御部1011は、可動部1004を制御して所定動作(例えば、首振り動作)を行わせる。子供が着呼に気付いて右耳を握り、応答スイッチ1001が所定時間押されると、制御部1011はこれを検出して、発呼者端末との間で通話接続を行う。
【0073】
また、制御部1011は、タイマー1016を用いて、着呼を検出した後所定時間後(例えば、3秒後)に発呼者端末との間で通話接続を行ってもよい。このような構成を採用すれば、子供が右耳をつかまなかったり、あるいは応答スイッチ1001の連続作動時間が所定値に達しなかった場合でも、通話が可能となる。
【0074】
さらに、制御部1011は、発呼スイッチ1007A乃至1007Dと関連付けて記憶部1015に記憶されている電話番号以外の電話番号からの着呼を拒否するように構成してもよい。例えば、着呼の際、制御部1011は発呼者の電話番号を取得する。制御部1011は、得られた電話番号を、記憶部1015において発呼スイッチ1007A乃至1007Dの各々と関連付けられている各々の電話番号と比較する。発呼者の電話番号が記憶されている電話番号のいずれにも該当しない場合、制御部1011は当該着呼を拒否する。このような構成により、子供がいたずら電話等に応答することを回避できる。
【0075】
移動電話端末2の遠隔設定もまた、図6に示すシステム600を用いて行うことができる。保護者は端末601からサーバ603が管理する専用サイトにアクセスする。ログイン画面において、保護者は、移動電話端末2の電話番号、予め登録しているユーザID及びパスワードを入力する。サーバ603は認証作業を行う。サーバ603は、移動電話端末2の電話番号と移動電話端末の種類(ここでは、ぬいぐるみ型)とを対応付けて予め記憶している。別の手法として、サーバ603は、上記認証作業時に移動電話端末2にアクセスして、制御部1011に対し、移動電話端末2の種類に関する識別情報を取得してこれをサーバ603に送信するよう指示してもよい。
【0076】
認証が成功すると、図7に示すのと同様の個別設定画面700が表示され、保護者は、右手、左手、右足及び左足のボックスに、発呼スイッチ1007A乃至1007Dにそれぞれ設定したい電話番号を入力する。サーバ603は入力された情報が電話番号であることを確認し、移動電話端末2に電話番号設定を指示するため、図8に示すようなメッセージを作成する。サーバ603は作成したメッセージを移動電話端末2宛に送信する。
【0077】
上記メッセージを受信すると、制御部1011は、受信したメッセージに含まれる制御コードを解析して、電話番号の設定が指示されていることを認識する。制御部1011は、指定された各電話番号をそれぞれ発呼スイッチ107A乃至107Dのうち所定のものに関連付けて記憶部1015に記憶させる。メッセージの一部が空欄であってヌル(Null)コードを含む場合、制御部1011は該当の情報を記憶部1015から削除する。制御部1011は、記憶部1015に予め登録されている送信元アドレスからのメッセージのみに反応して動作するように構成してもよい。
【0078】
電話番号の設定のほか、音量を変えたり、着信時のバイブレーション動作の態様を変えたり、マナーモード設定のオン/オフを変えたり、位置情報取得許可に関する設定を変更したりといったその他の設定も同様に行うことが可能である。
【0079】
以上の各実施例において、本発明の移動電話端末は図1に示すようなぬいぐるみの外観を有するものとして説明された。しかし、本発明はこのような実施例に限定されない。子供やお年寄りがつかんだり握ったりすることが可能な部位を有する様々な構成を本願発明の移動電話端末の形状に利用できることは当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の移動電話端末の一実施例の外観を示す図である。
【図2】移動電話端末の本体内部の接続関係を模式的に示す透視図である。
【図3】本体部に無線通信モジュールが挿入された状態の各構成要素の接続関係を示すブロック図である。
【図4】応答スイッチ、終話スイッチ及び発呼スイッチの具体的な構成例を示す図である。
【図5】記憶部に記憶される、各発呼スイッチと電話番号との対応表の例を示す図である。
【図6】移動電話端末の遠隔設定に用いられるシステムの一例を示す図である。
【図7】専用サイトにおける設定画面の一例を示す図である。
【図8】電話番号設定メッセージ本文の一例を示す図である。
【図9】電話番号以外の遠隔設定の際に送信されるメッセージの例を示す図である。
【図10】無線通信機能が独立していない構成の本発明の移動電話端末の各構成要素の接続関係を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、
音声入出力部と、
前記制御部及び前記音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、
前記制御部及び前記音声符号化/復号化部に接続された無線通信回路と、
前記無線通信回路に接続されたアンテナと、
前記制御部に接続され、前記移動電話端末に具備された発呼スイッチと、
前記発呼スイッチと該発呼スイッチに割当てられた電話番号との対応関係を記憶する記憶部とを具備する移動電話端末において、
前記制御部は、前記発呼スイッチが押されたことに応答して、前記記憶部において前記発呼スイッチと対応づけて記憶されている電話番号宛に発呼を行い、
前記制御部は、所定の制御コード及び関連する設定内容を記述するメッセージの受信に応答して、前記制御コードに従い前記設定内容を前記移動電話端末の設定に反映させる、移動電話端末。
【請求項2】
前記移動電話端末はぬいぐるみ型に構成され、各手足に前記発呼スイッチが内蔵されている請求項1に記載の移動電話端末。
【請求項3】
前記発呼スイッチは、複数のスイッチ素子からなる請求項2に記載の移動電話端末。
【請求項4】
前記制御コードは電話番号の設定を指示し、前記設定内容は前記発呼スイッチに割当てるべき電話番号を含む請求項1に記載の移動電話端末。
【請求項5】
前記制御部に接続され、前記移動電話端末に内蔵された、応答スイッチをさらに具備し、前記制御部は、着呼時に前記応答スイッチが押されたことに応答して通話を開始する請求項1に記載の移動電話端末。
【請求項6】
前記応答スイッチは、複数のスイッチ素子からなる請求項5記載の移動電話端末。
【請求項7】
アンテナ及び無線通信回路を有する無線通信モジュールと着脱可能に接続され、前記無線通信モジュールとともに移動電話端末として動作する装置であって、
制御部と、
音声入出力部と、
前記制御部及び前記音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、
前記制御部及び前記音声符号化/復号化部に接続され、前記無線通信モジュールとの間で符号化された音声信号及びデータ信号を送受信するためのインターフェース部と、
前記制御部に接続され、前記装置内の異なる位置に具備された複数のスイッチ素子からなる発呼スイッチと、
前記発呼スイッチと該発呼スイッチに割当てられた電話番号との対応関係を記憶する記憶部とを具備し、
前記制御部は、前記発呼スイッチの少なくともの1つのスイッチ素子が押されたことに応答して、前記記憶部において該発呼スイッチと対応づけて記憶されている電話番号宛に発呼を行うよう前記無線通信モジュールに指示し、
前記制御部は、所定の制御コード及び関連する設定内容を記述するメッセージの受信に応答して、前記制御コードに従い前記設定内容を前記装置の設定に反映させる装置。
【請求項8】
前記装置はぬいぐるみ型に構成され、各手足に前記発呼スイッチが内蔵されている請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記制御コードは電話番号の設定を指示し、前記設定内容は各発呼スイッチに割当てるべき電話番号を含む請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記制御部に接続され、前記装置に内蔵された、応答スイッチをさらに具備し、前記制御部は、着呼時に前記応答スイッチが押されたことに応答して通話を開始するよう前記無線通信モジュールに指示する請求項7に記載の装置。
【請求項11】
制御部と、
音声入出力部と、
前記制御部及び前記音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、
前記制御部及び前記音声符号化/復号化部に接続された無線通信回路と、
前記無線通信回路に接続されたアンテナと、
前記制御部に接続され、前記移動電話端末に具備された発呼スイッチであって、該発呼スイッチは複数のスイッチ素子からなり、前記複数のスイッチ素子の少なくとも1つが押されることにより前記制御部が該発呼スイッチの作動を検出するように構成された、発呼スイッチと、
前記発呼スイッチと該発呼スイッチに割当てられた電話番号との対応関係を記憶する記憶部とを具備する移動電話端末において、
前記制御部は、前記発呼スイッチが押されたことに応答して、前記記憶部において該発呼スイッチと対応づけて記憶されている電話番号宛に発呼を行う、移動電話端末。
【請求項12】
前記移動電話端末はぬいぐるみ型に構成され、各手足に前記発呼スイッチが内蔵されている請求項11に記載の移動電話端末。
【請求項13】
前記制御部に接続され、前記移動電話端末に内蔵された、応答スイッチであって、複数のスイッチ素子からなり、前記複数のスイッチ素子の少なくとも1つが押されることにより前記制御部が該応答スイッチの作動を検出するように構成された応答スイッチをさらに具備し、
前記制御部は、着呼時に前記応答スイッチが押されたことに応答して通話を開始する請求項11に記載の移動電話端末。
【請求項14】
アンテナ及び無線通信回路を有する無線通信モジュールと着脱可能に接続され、前記無線通信モジュールとともに移動電話端末として動作する装置であって、
制御部と、
音声入出力部と、
前記制御部及び前記音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、
前記制御部及び前記音声符号化/復号化部に接続され、前記無線通信モジュールとの間で符号化された音声信号及びデータ信号を送受信するためのインターフェース部と、
前記制御部に接続され、前記装置内に具備された発呼スイッチであって、該発呼スイッチは複数のスイッチ素子からなり、前記複数のスイッチ素子の少なくとも1つが押されることにより前記制御部が該発呼スイッチの作動を検出するように構成された発呼スイッチと、
前記発呼スイッチと該発呼スイッチに割当てられた電話番号との対応関係を記憶する記憶部とを具備し、
前記制御部は、前記発呼スイッチが押されたことに応答して、前記記憶部において該発呼スイッチと対応づけて記憶されている電話番号宛に発呼を行うよう前記無線通信モジュールに指示する装置。
【請求項15】
前記装置はぬいぐるみ型に構成され、各手足に前記発呼スイッチが内蔵されている請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記制御部に接続され、前記装置に内蔵された、応答スイッチであって、複数のスイッチ素子からなり、前記複数のスイッチ素子の少なくとも1つが押されることにより前記制御部が該応答スイッチの作動を検出するように構成された応答スイッチをさらに具備し、
前記制御部は、着呼時に前記応答スイッチが押されたことに応答して通話を開始するよう前記無線通信モジュールに指示する請求項14に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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