説明

粉体処理装置

【課題】各種の粉体の処理目的に応じて、粉体処理装置を容易に設計変更可能とし、かつ、コンパクトなものとすることである。
【解決手段】粉体供給ユニット5、分級排出ユニット2、および粉体処理ユニットである粉砕ユニット7を、それぞれ分離可能な独立ユニットとし、これらの各ユニットを、分級排出ユニット2を最上段として、クランプ9で複数段に組み立てることにより、粉体の種類や処理目的に応じて、実用的または試験的な粉体処理装置を容易に設計変更でき、かつ、コンパクトなものとすることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、粉体を気流により粗粉と微粉とに分級する手段を有する粉体処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
粉体を気流により粗粉と微粉とに分級する手段を有する粉体処理装置としては、例えば、図7(a)に示すようなものがある(特許文献1参照)。この粉体処理装置は、一体の竪型筒状のケーシング51に、粉体を供給する供給管52と、高圧ガスを噴射するジェットノズル53と、モータ54で分級ロータ55を高速回転させる気流式分級機56とを設けたものであり、ジェットノズル53からのジェット噴流により供給される粉体同士を衝突させて粉砕し、粉砕された微粉を気流式分級機56の排出管57から排出する気流式粉砕装置である。
【0003】
図7(b)、(c)、(d)に示すように、このような粉体処理装置では、その目的や処理される粉体の種類によって、粉体の供給手段や処理手段が異なる設計とされる。図7(b)は、図7(a)における供給管52をスクリュフィーダ58としたもの、図7(c)は、さらに、粉体を粉砕するジェットノズル53の代わりに、分級用のガスノズル59を設けるとともに、ケーシング51の底に粗粉を回収する回収容器60を設けたもの、図7(d)は、図7(b)の底部に、落下する粗粉を撹拌するパドル61を設けたものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−212307号公報(第2頁、第3図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の粉体処理装置は、その目的や処理される粉体の種類によって異なる設計とされ、各種の粉体を実用的または試験的に処理するためには、その都度大幅な改造をするか、多種類の粉体処理装置を別々に保有しなければならない問題がある。これを避けるためには、装置の各部または一部を独立に配置する構成とすることが考えられるが、この場合は、装置の設置スペースを多く必要とし、かつ、各部を接続して粉体を移送する手段も必要となる。
【0006】
そこで、この発明の課題は、粉体の種類や処理目的に応じて、粉体処理装置を容易に設計変更可能とし、かつ、コンパクトなものとすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明は、粉体を気流により粗粉と微粉とに分級する分級手段を有する粉体処理装置において、前記粉体を供給する粉体供給ユニット、前記分級した微粉を外部に排出する分級排出ユニット、および粉体を処理する少なくとも1つの粉体処理ユニットを、それぞれ分離可能な独立ユニットとして備え、これらの各ユニットを、前記分級排出ユニットを最上段として、複数段に組み立てるようにした構成を採用した。
【0008】
すなわち、粉体供給ユニット、分級排出ユニット、および粉体を処理する少なくとも1つの粉体処理ユニットを、それぞれ分離可能な独立ユニットとし、これらの各ユニットを、分級排出ユニットを最上段として、複数段に組み立てることにより、粉体の種類や処理目的に応じて、実用的または試験的な粉体処理装置を容易に設計変更でき、かつ、コンパクトなものとすることができるようにした。
【0009】
前記少なくとも1つの粉体処理ユニットは、粉体を粉砕する粉砕ユニット、粉体を撹拌する撹拌ユニット、粉体を回収する回収ユニット、またはガスを供給するガス供給ユニットのいずれかとすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図6に基づき、この発明の実施形態を説明する。図1は、第1の実施形態を示す。この粉体処理装置は、粉体をジェット噴流で粉砕する気流式粉砕装置であり、気流式分級機1を設けた分級排出ユニット2、ロータリフィーダ3を有する粉体の供給管4を設けた粉体供給ユニット5、高圧ガスを噴射するジェットノズル6を設けた粉砕ユニット7、および底を覆うカバーユニット8の4つの分離可能な独立ユニットから成る。これらのユニットは鍔部が設けられており、この鍔部をワンタッチ式のクランプ9等で上下に連結されて、竪型筒状のケーシングを形成するように組み立てられている。
【0011】
前記供給管4からケーシング内に供給される粉体は、ジェットノズル6からの高圧ガスの噴射で形成されるジェット噴流により粉体同士が衝突し、この衝突で粉砕された微粉は、最上段の分級排出ユニット2に設けられた気流式分級機1の分級ロータ10で分級されて排出管11に入る。排出管11に入った微粉は、ブロワ12による吸引で排出されてバグフィルタ13に捕集される。また、十分に粉砕されていない粗粉は、分級ロータ10を通過できず、再びジェット噴流による粉砕作用を受ける。
【0012】
図2は、第2の実施形態を示す。この粉体処理装置も気流式粉砕装置であり、粉体供給ユニット5のみが第1の実施形態と異なる。この粉体供給ユニット5は、スクリュフィーダ14を設けたものである。その他は、第1の実施形態と同じであり、気流式分級機1の排出管11からブロワ12の吸引で排出される微粉はバグフィルタ13に捕集される。以下の各実施形態における微粉の捕集方法も同じである。
【0013】
図3は、第3の実施形態を示す。この粉体処理装置も気流式粉砕装置であり、第2の実施形態のカバーユニット8の代わりに、下方に落下する粗粉を回収する回収ユニット15を連結し、この回収ユニット15に上向きの気流を生じさせるガスノズル16を設けている。この上向きの気流で、落下する粗粉のうち、比較的細かなものは上昇させ、ジェットノズル6からのジェット噴流による粉砕作用を受けさせるようにしたものである。
【0014】
図4は、第4の実施形態を示す。この粉体処理装置は気流式分級装置であり、第3の実施形態における粉砕ユニット7を単なる空ユニット17とし、粉体供給ユニット5のスクリュフィーダ14から供給される粉体を粉砕することなく、そのままガスノズル16による上向きの気流で最上段の分級排出ユニット2側へ上昇させ、その微粉を分級排出するものである。なお、この実施形態では、スクリュフィーダ14にガス供給口18が設けられるとともに、その排出口が上向きとされ、供給される粉体中の微粉を効率よく分級排出ユニット2側へ上昇させるようになっている。
【0015】
図5は、第5の実施形態を示す。この粉体処理装置は、第3の実施形態における回収ユニット15の代わりに、撹拌パドル19を設けた攪拌ユニット20aを連結したものであり、粉体供給ユニット5から主原料と副原料の各粉体を供給して、これらを粉砕ユニット7で粉砕するとともに、攪拌ユニット20aの撹拌パドル19で攪拌することにより、主原料の微粉に副原料の超微粉を付着させたり、コーティングさせたりし、これらの微粉を分級排出ユニット2で分級排出する。この実施形態では、ジェットノズル6で形成されるジェット噴流は、主原料の微粉に副原料の超微粉をより細かく付着させたり、コーティングさせたりする効果もある。
【0016】
図6は、第6の実施形態を示す。この粉体処理装置は、第5の実施形態における粉砕ユニット7を取り外すとともに、攪拌ユニット20aの代わりに、攪拌羽根21とガスノズル22を設けた別の攪拌ユニット20bを連結したものであり、粉体供給ユニット5から供給される粉体を、攪拌羽根21で攪拌しながら、攪拌ユニット20bに装入された媒体ボール23で粉砕し、粉砕された微粉をガスノズル22からの上昇気流で上昇させ、最上段の分級排出ユニット2で分級排出する。
【0017】
上述した各実施形態では、粉体供給ユニット等の分離可能な独立ユニットを3段または4段に組み立てたが、これらの独立ユニットは2段以上の任意の段数に組み立てることができる。また、組み立てられる独立ユニットは、最上段が分級排出ユニットであればよく、その他の独立ユニットは、実施形態のものを含めて、任意の処理ユニットとすることができる。粉体供給ユニットに粉砕等の処理手段を設けることもできる。
【0018】
【発明の効果】
以上のように、この発明の粉体処理装置は、粉体供給ユニット、分級排出ユニット、および粉体を処理する少なくとも1つの粉体処理ユニットを、それぞれ分離可能な独立ユニットとし、これらの各ユニットを、分級排出ユニットを最上段として、複数段に組み立てるようにしたので、粉体の種類や処理目的に応じて、実用的または試験的な粉体処理装置を容易に設計変更でき、かつ、コンパクトなものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の粉体処理装置を示す概略縦断面図
【図2】第2の実施形態の粉体処理装置を示す概略縦断面図
【図3】第3の実施形態の粉体処理装置を示す概略縦断面図
【図4】第4の実施形態の粉体処理装置を示す概略縦断面図
【図5】第5の実施形態の粉体処理装置を示す概略縦断面図
【図6】第6の実施形態の粉体処理装置を示す概略縦断面図
【図7】a、b、c、dは、それぞれ従来の粉体処理装置の例を示す概略縦断面図
【符号の説明】
1 気流式分級機
2 分級排出ユニット
3 ロータリフィーダ
4 供給管
5 粉体供給ユニット
6 ジェットノズル
7 粉砕ユニット
8 カバーユニット
9 クランプ
10 分級ロータ
11 排出管
12 ブロワ
13 バグフィルタ
14 スクリュフィーダ
15 回収ユニット
16 ガスノズル
17 空ユニット
18 ガス供給口
19 撹拌パドル
20a、20b 撹拌ユニット
21 撹拌羽根
22 ガスノズル
23 媒体ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を気流により粗粉と微粉とに分級する分級手段を有する粉体処理装置において、前記粉体を供給する粉体供給ユニット、前記分級した微粉を外部に排出する分級排出ユニット、および粉体を処理する少なくとも1つの粉体処理ユニットを、それぞれ分離可能な独立ユニットとして備え、これらの各ユニットを、前記分級排出ユニットを最上段として、複数段に組み立てるようにしたことを特徴とする粉体処理装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの粉体処理ユニットが、粉体を粉砕する粉砕ユニット、粉体を撹拌する撹拌ユニット、粉体を回収する回収ユニット、またはガスを供給するガス供給ユニットのいずれかである請求項1に記載の粉体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2004−290737(P2004−290737A)
【公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−83276(P2003−83276)
【出願日】平成15年3月25日(2003.3.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成14年11月12日〜15日 社団法人日本粉体工業技術協会開催の「国際粉体工業展2002」に出展
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】