説明

粉体塗布剤供給装置

【課題】
金型に供給する粉体塗布剤の排出量を安定させた粉体塗布剤供給装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
弾性体214に振動を与えて粉体離型剤を収容したタンク部21から収容部31に移動させるのと同時に、タンク部21に配設した押出機構11により粉体離型剤等を送出口215に向けて押圧を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造、鍛造、樹脂成形等の素形材の成形加工における成形装置に用いられる離型剤や潤滑剤を成形装置に対して塗布する為の粉体塗布剤供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
素形材の成形装置において、一般的に、成形材料を溶融させ又は軟化させることにより所定の形状を成形し、加工後の成形材料を冷却させ所定の素形材の形状を成形することが一般的に実施されている。ここで、成形の際に成形材料を高温にする為、成形材料から金型への熱量移動が大きい。この時に金型の表面温度が上昇し、成形材料の温度と金型の表面温度が近い温度になると金型表面に成形材料が付着することがある。また、成形材料の熱が成形装置まで伝達し成形装置の摺動部等が加熱され磨耗が早まることがある。そして、素形材の成形装置では、成形材料を加熱後に冷却させることから、加工前後の素形材(成形材料)の温度変化が大きく、加工後の素形材が大きく収縮し、金型の凹凸部に素形材が喰い付き、金型から素形材の離型ができなくなることがある。このようなときに、離型剤や潤滑剤(以下離型剤等)は、成形材料が金型に付着することを防ぎ、製品と金型の離型性の向上、成形装置の熱磨耗抑止による寿命延長等に寄与する。一方後述するように、離型剤等は、成形時に離型剤等の成分が燃えて燃焼ガスを発生させる。この燃焼ガスが成形材料に巻き込まれると強度低下等の品質上の問題を発生させる。これらのことより離型剤等の種類、塗布量は素形材の成形における品質、生産上の大きな役割を果たしている。
【0003】
従来から離型剤等には離型剤成分を水に分散させた水溶性離型剤等が広く用いられている。しかし、水分を含む離型剤等を成形に使用すると、成形装置に塗布されている水溶性塗布剤と成形材料が成形装置内で接触する。この時、成形時に高温になっている成形材料により水溶性塗布剤中に含まれる水分と塗布成分(油性成分)が熱により蒸発し成形装置内で水蒸気と油分が混合した燃焼ガスが発生する。この燃焼ガスを成形材料が巻き込むとピンホール等の内部欠陥となり製品の強度低下や気密洩れが発生する。また、一度使用した水溶性離型剤等は含有成分の一部が蒸発しており再使用が難しく、使用済の離型剤等は含油処理等をしており環境、使用コスト面でも問題を有している。このような水溶性の離型剤等の問題を解決する為に、近年、ガス発生の抑制、使用後の離型剤の処理を容易とするべく、離型剤等の成分を粉末化した粉体塗布剤等が提案され使用されている。そして、この粉体離離型剤等を金型や成形装置に供給する装置が開発されており、例えば、特許文献1や特許文献2に粉体塗布剤供給装置が開示されている。この粉体塗布剤供給装置は、タンク部と、振動発生手段と、タンク部内から排出された粉体塗布剤等を収容する収容部と、収容部の粉体塗布剤等を排出する排出機構と、管路等を備えている。そして、振動によるエネルギーと粉体塗布剤等の自重を用いタンク部内から収容部へ所要量の粉体塗布剤を排出させて排出機構にて排出した後に金型へ粉体塗布剤等を供給する構成となっている。
【特許文献1】特開平11−128814号公報(図1)
【特許文献2】特開2002−192058号公報(図1から図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2に示される粉体塗布剤供給装置は、タンク部内の下方に排出口を有している。そして、タンク部の下方に弾性体を供え弾性壁を振動させる。そして、粉体塗布剤等を排出する際に、粉体塗布剤等の自重と振動壁の振動によりタンク部内から排出機構に粉体塗布剤等を落下させて金型への排出を行っている。これによりタンク部内に蓄えられた粉体塗布剤等の量が変動すると、粉体塗布剤の自重が変動し、落下する粉体塗布剤等の量に変動が生じる。
【0005】
これは、粉体塗布剤供給装置のタンク部内からの排出量が、振動発生手段が与える振動及び、タンク内の粉体重量と重力加速度の積で決まるからである。ここで、タンク内に収容されている粉体塗布剤等の収容量に関わらず一定の振動を与える場合を以下に説明する。タンク内に粉体塗布剤等が多量に収容されている場合では、排出口における粉体塗布剤等の自重は大きくなり粉体重量と重力加速度の積が大きくなる。このときにタンク部内の粉体塗布剤に所定の振動を与えると落下しやすくなり、粉体塗布剤等は多量に排出機構に供給される。次に、粉体塗布剤供給装置を連続して使用することにより、タンク部内の粉体塗布剤等が減少した場合を考える。この場合には、粉体塗布剤等の自重が小さいので粉体重量と重力加速度の積は小さくなり粉体塗布剤は自重が大きい場合に比べて落下し難くなる。そして、タンク部内から粉体塗布剤供給装置の排出機構へ落下する粉体塗布剤等の量が少なくなり、粉体塗布剤装置が吐出する粉体塗布剤の量も減少する。これにより、タンク部内での粉体塗布剤の収容量の違いにより離型剤供給装置から金型等へ供給される離型剤等の供給量に差が生じてしまう。
【0006】
ここで粉体塗布剤等の供給量が多い場合は、材料と粉体塗布剤が接触した際に粉体塗布剤の燃焼により発生するガスの量が多くなり、溶融材料が燃焼ガスを巻き込みピンホール等の内部欠陥が発生し品質が不安定になる。また、離型剤等が少ない場合には、成形後の金型から取り出す際の離型抵抗が増加し、素形材が歪んで品質が不安定となる。さらに材料の金型への焼き付きによる故障や、成形機械の摺動部が熱による変形で故障等を生じ生産性が低下する。
【0007】
そこで、本発明は、タンク部内から収容部への粉体塗布剤の排出量を安定させた粉体塗布剤供給装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為に講じた第1の手段は、粉体塗布剤を収容するタンク部と、タンク部に接続され容積が可変となる収容部と、収容部から所望量の粉体塗布剤を排出する排出機構と、この排出機構により排出された粉体塗布剤を金型へとつながる管路に供給する供給部と、を備える粉体塗布剤供給装置において、粉体塗布剤を加圧することにより粉体塗布剤を前記収容部に押出す押出機構を備え、押出機構はタンク部内の前記粉体塗布剤を前記収容部へと押出し所望量の粉体塗布剤を金型へと供給するようにしたことである。
【0009】
この場合、押出機構は、タンク部内の粉体塗布剤を押出すピストンを備えると良い。
【0010】
また、押出機構は、タンク部の上方に配設すると良い。
【0011】
更に、タンク部に伸縮自在なバルーンを少なくとも一つ有し、バルーンの大きさを可変にする調整機構を備えると良い。
【0012】
そして、排出機構は、タンク部内の粉体塗布剤を押圧する押出面が斜面となっていると良い。
【0013】
ここで、押出機構は、収容部の粉体塗布剤の収容量と押出機構の押圧力を
計測する計測機構を備えると良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、タンク部内の粉体吐塗布剤を押し出すことにより粉体塗布剤供給装置の吐出量を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の第1実施形態の粉体塗布剤供給装置1について図1を参照して説明する。図1は、本発明の粉体塗布剤供給装置1の配置図である。ダイカストマシン10は、主に、射出装置91、固定金型2及び可動金型3から構成される金型93、可動金型3を開閉自在に作動させる型締機構92を備える。以下、本実施形態では、粉体塗布剤は粉体離型剤もしくは粉体潤滑剤として説明を行い、粉体塗布剤供給装置は、粉体離型剤供給装置1もしくは粉体潤滑剤供給装置1aとして説明する。
【0016】
ダイカストマシン10は、射出装置91は、射出シリンダー911が射出フレーム913に略直角に取付けられている。そして、射出シリンダー911のシリンダーロッド912の先端には図示しないチップ913が一体と螺合されている。また、チップ913は略筒状であるスリーブ914の内周に射出シリンダー911と略同軸に配設される。そして、チップ913の外周面とスリーブ914の内周面が略摺接し配設され、射出シリンダー912の動作によりスリーブ914内周を図1における左右方向に移動する構造を有している。
【0017】
そして、型締機構92は、固定金型2を取付ける固定プラテン7及び可動プラテン8を備えており、スリーブ914を介して射出装置91と略直角に配設されている。また、固定プラテン7と可動プラテン8は、図示しない把持部材を備えており、固定金型2と可動金型3の分割面931と軸方向において反対にある端面を固定プラテン7の取付け面711及び可動プラテン8の取付面811と当接した状態で固定している。更に、型締機構92は、トグル機構94を備えており、トグル機構94は可動プラテン8の可動金型3の取付面811と軸方向で反対の端面で係合している。そして、図1に示すように固定金型2と可動金型3が当接下状態から左右方向(図1におけるA1方向及びA2方向)に所定距離だけ可動金型3を固定金型2に対して自在に移動させる構造を有する。ここで、トグル機構94が可動金型3を固定金型2に当接させると、図示しない給湯装置から溶融金属がスリーブ914の給湯口95に注がれる。そして、射出装置91の射出シリンダー911がシリンダーロッド912と図示しないチップ913を金型93に向けて移動させることにより溶融金属を金型93の内部に押し込む構造を有する。
【0018】
ここで、粉体離型剤供給装置1は、配管5を介して可動金型3の一端に配設された供給入子4aと接続されている。そして、型締機構92により固定金型2と可動金型3が当接されており、射出装置91により金型93の内部に溶融金属が押し込まれる前に、所定量の粉体離型剤を金型93の内部に送出する構造を有する。
【0019】
また、固定金型2には、金型93の内部で余剰となった粉体離型剤を金型93の外部に放出する排気入子4bが配設されている。
【0020】
供給入子4aと排気入子4bの配設箇所は、本実施形態に限定されず、供給入子4aが固定側にあり、排気入子4bが可動側にあっても良い。
【0021】
ここで、第1実施形態の粉体離型剤供給装置1について図2を参照して説明する。図2は、本実施形態の粉体離型剤供給装置1における粉体離型剤が収容されている状態の位置を示した構成図である。この粉体離型剤供給装置1は、主に、押出機構11、タンク部21、収容部31、排出機構41、吐出部51、管路5、配管等を備えている。ここで、押出機構11は、タンク部21の上方に略同軸に配設さR手いる。そして、タンク部21に配設された図示しない接続口により連通している。更に、タンク部21の下方(図2における重力方向)に収容部31が軸方向において略同軸に配設され、タンク部21と収容部31は、排出口215を介して連通している。また、収容部31と略直交方向に排出機構41が配設され、排出機構41と直交する方向であり、収容部31が接続している一側とは軸方向反対側の他側に供給口511を介して供給部51が排出機構41と連通して配設されている。ここで、供給部51の接続口517は、管路5と接続している。この管路5が金型93の一端に配設されている粉体離型剤の供給入子4aと接続されることにより粉体離型剤供給装置1から吐出された粉体離型剤が金型93に供給される構造を有している。本実施形態では、管路5は可撓性ホースであるが、本実施形態に限定されず、可撓性ホースを射出装置91の移動範囲に配設し、残余部分を配管とする構成にしても良い。
【0022】
次に押出機構11について説明を行う。押出機構11は、円筒状のボディ111を有しており、ボディ111とタンク部21のハウジング211は軸方向で略同軸上に固設されている。ここで、ハウジング211と当接するボディ111の端面は、ハウジング211の内部と連通する穴を備えており、ロッド113は、この連通穴に摺動自在に挿入される構造を有する。
【0023】
ここで、押出機構11は、ボディ111と同軸上に配設されてボディ111の内周壁に摺接するピストン112とピストン112と同軸でありピストン112のタンク部21に対向する端面115でロッド113の一端と係合されている。そして、ロッド113におけるピストン112側の一端はボディ111の内部に収容され、他端はボディ111に収容されない構成を有する。更に、ボディ111に収容されないロッド113の他端は、タンク部21のハウジング211の内部に収容される。更に、ロッド113の他端には押出部材114が係合される。この構成とすることによりピストン112が移動することによりロッド113及び押出部材114はピストン112と連動する構成を有する。
【0024】
ここで、粉体離型剤は、油脂分を粉末状にしているので、押圧力を加えすぎると油脂分が固化する。固化した粉体離型剤は体積が大きくなり加圧エアーと混合されない。すると、粉体離型剤供給装置1は、金型等に所定量を送出させることができなくなる。これにより金型93に塗布される吐出量が大きく変化する。
【0025】
このことから、本実施形態の押出部材114は、外周をハウジング211の内周面に略摺接させる構成を有する。この構成とすることで、タンク部21に収容された粉体離型剤の周方向全体に押圧力を加えることができ、粉体離型剤の一部分のみに押圧力が加わることにより発生する粉体離型剤の圧縮による固化を抑制することができる。また、粉体離型剤の押出面118とロッド113との係合する端面117は円錐形状を有している。本実施形態のように押出面118を円錐形状にすることにより、押出機構11が粉体離型剤を押圧した際の押圧力が弾性体214の内周面に設けられた斜面及び送出口215に向けて伝えることができる。この構成によりタンク部21の内部の粉体離型剤を加圧し過ぎることにより発生する粉体離型剤の圧縮による固化を抑制することができる。
【0026】
この他、押出部材114に回転を与えて粉体離型剤を押圧する構造としても良い。押出部材114を回転させることで粉体離型剤がタンク部21の内部で攪拌され、押圧によるよる固化を抑制しながら収容部31に粉体離型剤を送出することができる。
【0027】
また、押出部材114の端面117を円錐状にすることで空間212に粉体離型剤が進入した場合に、ロッド113の周辺に粉体離型剤を堆積させることなく空間213に粉体離型剤を戻すことができる。
【0028】
また、ボディ111には、ボディ111とピストン112の端面116で形成する内部空間12と連通する継ぎ手61及びボディ111とピストン112の端面113で形成する空間13と連通する継ぎ手62を有する。この継ぎ手61には配管71が接続され、配管71はエアー源80と接続されている配管79と接続されている。そして、継ぎ手62には配管71が接続され、配管72はエアー源80と接続されている配管79と接続されている。この構成とすることにより、タンク部21に収容された粉体離型剤が減少し押出部材114の押圧位置が下降(図2におけるB2方向)しても押出部材114を所定の押圧位置に移動させることができる。また、タンク部21に粉体離型剤を供給し、押圧位置が上昇(図2における反重力方向)した場合には、空間13に加圧エアーを供給しピストン112を及びピストン112に固設されているロッド113と押出部材114を上昇(図2におけるB1方向)させ、押出部材114を所定の高さにする構造を有する。
【0029】
押出機構11は、本実施形態に限定されず、例えば、リンク機構により押圧部材114を移動させても良い。
【0030】
ここで、配管71の途中には、電磁弁81が配設されている。この電磁弁81は、後述する収容部31と定量空間312に収容された粉体離型剤の重量を検知する荷重センサ313の測定値によりピストン112を押す加圧エアーの流量を調整する機能を有する。本実施形態では、電磁弁の開度を圧力計313の測定値に対してリニアに流量調整ができる比例電磁弁を使用している。この構成とすることで、タンク部21に収容されている粉体離型剤の減少量に比例させて押出機構11の加圧力及び速度を制御できる。そして、押出機構11が収容部31と定量空間312に粉体離型剤が充填された状態で更にタンク部21の内部の粉体離型剤を加圧し過ぎることにより発生する粉体離型剤の圧縮による固化を抑制することができる。但し、電磁弁81は、本実施形態に限定するものではなく、加圧エアーの圧力、ボディ111やピストン112の内径を考慮すれば比例電磁弁でなく開閉のみを行う電磁弁を用いても良い。このような電磁弁81を使用することにより電磁弁81のコストを低減でき、電磁弁81を開閉させる制御回路を簡素化することにより粉体離型剤供給装置1の製作コストを低減できる。
【0031】
次にタンク部21は、粉体離型剤を収容するハウジング211を有し、一端には押出機構11が当接されており、他端には、後述する収容部31と接続する送出口215を有している。そして、タンク部には弾性体214が配設されている。この弾性体214は、ハウジング211の内部に配設されており、一方の開口面が広面のフランジ216であり、他方の開口面が狭面のフランジ217を備えている。そして、弾性体214はフランジ216の内周とフランジ217の内周を結んで形成される逆切頭円錐状の壁面218を有している。ここで、214のフランジ216の外周面はハウジング211の内周面と当接しており、狭面側のフランジ217は、平面部で送出口215の周縁部と当接している。そして、ハウジング211と弾性体214は押出機構11と略同軸上に配設されている。この構成により押出機構11で押された粉体離型剤は、ハウジング211の内部から弾性体214の側壁に沿ってハウジング211の内周面周辺の粉体離型剤を壁面218に沿ってタンク部21の内部に滞ることなく送出口215から収容部31に粉体離型剤を送出することができる。
【0032】
更に、タンク部21は、弾性体214の外周面とハウジング211で形成される空間に外部と連通するノズル63を備えており、ノズル63は、配管73と配管79によりエアー源80と接続されている。そして、収容部31に粉体離型剤を送出する際は、押出機構11で粉体離型剤を押圧すると同時に弾性体214に向けて加圧エアーを噴射させて弾性体214に加圧エアーによる振動を発生させる構成を有する。この構成とすることで、タンク部21に収容されている粉体離型剤の収容量に関わらず所定量の粉体離型剤をタンク部21から収容部31に送出することができる。
【0033】
また、タンク部21は、空間212の内部に押出部材114とハウジング211の略摺接面から粉体離型剤が進入した際は、逆止弁82により空間212からタンク部21の外に放出する構成を有する。更に、逆止弁82は、ノズル64等から加圧エアーを吐出させた際に、タンク部21の内圧が上昇することを抑制する。この構成とすることで、押出機構11の摺動抵抗が増加することを抑制でき、押出機構11の押圧力を確実に粉体離型剤に伝えることができる。
【0034】
そして、タンク部21の下方には送出口215より小径の接続内径を有する収容部31が接続されており、タンク部21より押し出された粉体離型剤を排出機構により排出可能なように収容する機能を有している。ここで、収容部31は、タンク部21と連通する送出口215より小径穴を有する構成となっている。そして、収容部31は、タンク部21のハウジング211の送出口215を有する面と当接している。そして、収容部31は収容室311と外部を連通させる逆止弁付きのノズル64を有する。このノズル64には配管74が接続されており、配管74は配管79を介してエアー源80と接続されている。ここで、ノズル64は、タンク部21から収容部31に収容された粉体離型剤に加圧エアーを噴射し、タンク部21の内部で小片状に固化した粉体離型剤をノズル64から噴射される加圧エアーにより粉末状に解体する。この構成により粉体離型剤が粉末化され移動量が低減せず、供給入子4a及び管路5の内部における粉体離型剤の詰まりや金型93の内部における移動量の低下が抑制され、金型93の図示しない製品部及び湯道部に粉体離型剤の均一な塗布ができる。本実施形態では、逆止弁付きのノズルとしたが、この構成に限定するものではなく、逆止弁とノズルを別々に配設したものでも良い。
【0035】
次に、排出機構41の説明を行う。本実施形態における排出機構41は、主に排出シリンダー411と、ケース412と、定量部材413を有している。排出機構41は、ケース412の軸方向の一端に排出シリンダー411が配設される。これにより、排出シリンダー411のロッド(符番なし)先端に定量部材413が配設される。このとき、定量部材413は、ケース412の内部にも収納される構成を有する。これにより、排出シリンダー411が動作することによりケース412の内周を定量部材413も連動して動作(図2における左右方向)する構成を有する。本実施形態の構成では、定量部材413は、円筒形状を有し、円筒形状の一部に定量空間312を有しており、収容部31から移動した粉体離型剤を収容し排出シリンダー411の動作により供給部51に移動させる構成を有する。この定量空間312は、押出機構11、タンク部21、収容部31と略同軸上になるように配設されている。但し、粉体離型剤の使用量や、ケース412の大きさによっては本実施形態のように配設していなくても良く、収容部31から移動してきた粉体離型剤を収容できるものであれば良い。このように収容部31から移動した粉体離型剤は、定量空間312の一方から収容される。ここで、排出シリンダー411が動作すると定量部材413が移動(図2におけるA1方向)する。そして、定量空間312と供給空間514が連通する空間を形成する。更に定量空間312と供給空間514が連通するので、定量空間312の粉体離型剤は、供給空間514に移動することができる。
【0036】
このとき、収容部31は、排出部材413が前進(図2におけるA1方向)しているので、定量部材413の外周面により排出機構41への接続口が封鎖されている。この為に新たな粉体離型剤は排出機構41に移動しない構成となっている。
【0037】
ここで、定量空間312の収容部31との接続部は収容部31よりも大きな径を有している。このような径寸法とすることで、収容部31の粉体離型剤が確実に定量空間312に収容することができる。更に、定量空間312の収容部31との当接面において、定量部材413が、収容室311の一部を形成しているケース412の角部314と摺接することによる磨耗を抑制することができる。
【0038】
また、粉体離型剤の使用量によっては本実施形態の定量部材413の長さよりも長く又は短く変更することにより定量空間312の容量を可変させても良い。
【0039】
次に、ケース412は、周方向の一側で収容部31と接続しており、他側で供給部51と接続している。そして、定量空間312の一角を形成し、ケース412の外周面であり、収容部31が接続している側と軸方向で反対側の一側に荷重センサ313を配設している。この荷重センサ313は制御線83によりバルブ81に接続されている。そして、荷重センサ313の先端は定量部材413と干渉しないように配設される。この構成とすることで、収容部31と定量空間312に移動した粉体離型剤の荷重に対応させて押出機構11の加圧力及び速度をバルブ81により制御できる。また、押出機構11が収容部31と定量空間312に粉体離型剤が充填された状態で更にタンク部21の内部の粉体離型剤に押圧力をかけ過ぎることにより発生する粉体離型剤の圧縮による固化を抑制することができる。ここで、ケース412は、供給部51の供給口511と軸方向の反対側にノズル65を備えている。そして、ノズル65は、配管75が接続されており配管79を介してエアー源80と接続している。ノズル65は、排出部材412が移動して、定量空間312と供給空間514が略同軸上になるとノズル65から加圧エアーを定量空間312の粉体離型剤に向けて噴射する構成を有する。
【0040】
また、排出機構41のケース412には供給部51が接続される構成を有する。ここで、供給部51は略円筒状の供給管518を有しており、一端を排出機構41のケース412に接続し、他端を管路5に接続している。そして、第1ピンチバルブ52と第2ピンチバルブ53及び、第1ピンチバルブ52と第2ピンチバルブ53と供給管518で形成される供給空間514を備えている。供給部51は、排出機構41から移動された粉体離型剤を供給口511を通過させて供給管518の内部の供給空間514に収容する。また、供給管518には供給空間514に対応する外周面であり、供給空間514に連通する吐出ノズル67が配設されている。そして、吐出ノズル67は、配管77と接続されており、配管79を介してエアー源80と接続されている。そして、吐出ノズル67から加圧エアーを噴射せることにより金型93に向けて粉体離型剤を送出させる構成を有する。
【0041】
ここで、第1ピンチバルブ52は、供給管518の供給口511に近い位置に配設する。そして、第2ピンチバルブ53は、供給管518の接続口517に近い位置に設置する。第1ピンチバルブ52及び第2ピンチバルブ53の配設位置は供給空間514の容積が粉体離型剤供給装置1の一ショットあたりの供給量より多くなるように配設する。このことから、第1ピンチバルブ52及び第2ピンチバルブ53の位置は、本実施形態の位置に限定するものではなく、吐出する粉体離型剤の量に対応させて配設すれば良い。
【0042】
本実施形態の第1ピンチバルブ52と第2ピンチバルブ53は、同一の構造を有している。本実施形態では、バルブケース513(516)は、供給管518と略同軸上に配設されている。そして、バルブケース513(516)の内部に円筒状のピンチゴム512(515)をバルブケース513(516)と略同軸上に配設する。そして、バルブケース513(516)を貫通してピンチゴム512(515)に加圧エアーを噴射できるようにノズル66(68)を配設する。 更に、ノズル66(68)には配管76(78)を接続し、配管79を介してエアー源80と接続し、ノズル66(68)から加圧エアーを噴射し、加圧エアーの噴射力でピンチゴム512(515)を閉じる構成を有する。
【0043】
この構成とすることで、粉体離型剤の塗布に用いるバルブを簡素な構成にすることができ、故障を低減でき、バルブの摺動不良や、エアー漏れによる送出圧力不足を抑制して、効率的に粉体離型剤を管路5に送出することができる。
【0044】
ここで、粉体離型剤を吐出させるには、第1ピンチバルブ52を開けるとともに第2ピンチバルブ53を閉じる。粉体離型剤を定量部材413により計量した後に、第1ピンチバルブ52を閉じ、第2ピンチバルブ53を開けて吐出ノズル67から加圧エアーを噴射させることにより金型93に向けて粉体離型剤を吐出させる構成を有する。
【0045】
次に本発明の第1実施形態に係る粉体離型剤供給装置1の作動について説明を行う。ダイカストマシン10は、型締機構92により金型93の固定金型2に可動金型3を当接させる。そして、粉体離型剤装置11は、スリーブ914の内部に図示しない給湯装置から溶融金属を注湯完了前までに粉体離型剤を金型93の図示しない製品部と湯道部に向けて吐出する作動をさせる。そして、余剰と成った粉体離型剤は、固定金型2に配設された排気入子4bから金型93の外部に放出するように作動をさせる。
【0046】
このような作動とすることで、余剰となった粉体離型剤により、金型93の内部で溶融金属と粉体離型剤の接触による燃焼ガスの発生を抑制し品質を安定させる効果を有する。
【0047】
粉体離型剤供給装置1は、タンク部21の内部に粉体離型剤を収容している。ここで、収容された粉体離型剤は、タンク部21と収容部31及び定量空間313に充満した状態となっている。そして、排出機構41の排出シリンダー411が移動する(図2におけるA1方向)と、排出シリンダー411に配設されている定量部材413も移動(図2におけるA1方向)する。そして、定量部材413に設けられた定量空間313に充満している粉体離型剤も移動させる作動とする。
【0048】
ここで、定量空間313が供給口511と略同軸上の位置まで移動後に、ノズル65から加圧エアーを噴射させて供給空間514に粉体離型剤を供給させる。
【0049】
このとき収容部31は排出部材413が前進(図2におけるA1方向)しているので、定量部材413の外周面により排出機構41への接続口が封鎖されている。この為に新たな粉体離型剤は排出機構41に移動しない作動となっている。
【0050】
そして、供給空間514に粉体離型剤を供給後は、排出シリンダー411は定量部材413を後退(図2におけるA2方向)させる作動をする。
【0051】
次に、定量部材413の定量空間312が収容部31と連通する空間を形成すると、ノズル63から加圧エアーが噴射され、弾性体214に振動を与える。この振動を与える作動と同時に押出部材114が押出機構11によりタンク部21の内部の粉体離型剤を送出口215へと押し出す作動を行う。
【0052】
ここで、本実施形態では、弾性体214は120ヘルツで作動させているが、弾性体214の材質、粉体離型剤の性状によっては、この振動数よりも低くても良いし、この振動数より高くても良い。
【0053】
このような作動とすることで、粉体離型剤に自重と振動だけでなく押出機構11による外力が加わり、一定量がタンク部21から押し出されることができる。 そして、定量空間312の下部に配設された荷重センサ313が所定の荷重を検出するまで収容部31及び定量空間312に粉体離型剤を押し出す作動を行う。その後、荷重センサ313が所定の荷重を検出すると、制御線83を通して指定電圧を電磁弁81に送り、電磁弁81の開度を調整し、押出機構11の押圧力の調整を行う作動とする。
【0054】
すると、タンク部21に収容される粉体離型剤の収容量に関わらず収容部31及び定量空間312に充填される粉体離型剤の充填量を安定させることができる。
【0055】
更に、押出機構11による粉体離型剤の加圧し過ぎによる圧縮固化を抑制することができる。
【0056】
ここで、押出機構11で粉体離型剤を押圧させるタイミングは、本実施形態に限定されるものではなく、弾性体214に振動を与えた後でも良いし、振動を与える前から押圧するタイミングでも良い。
【0057】
押出機構11は前記動作をタンク部21の粉体離型剤が所定量になるまでダイカストマシン10の鋳造ショットごとに押圧を行う作動としている。
【0058】
そして、粉体離型剤を金型93に向けて吐出する為にノズル65から加圧エアーを噴射する際には、第1ピンチバルブ52は開けておき、第2ピンチバルブ53は閉じる作動とする。そして、供給空間514に粉体離型剤を収容した後に第1ピンチバルブ52を閉じ、第2ピンチバルブ53を開けて、吐出ノズル67から加圧エアーを噴射させて金型93に向けて加圧エアーと粉体離型剤の混合気体を送出させる作動とする。
【0059】
次に、本発明の第2実施形態について図3を参照して説明を行う。この第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0060】
第2実施形態の粉体離型剤塗布装置1bは、タンク部21の内部で粉体離型剤をバルーンにより押圧する構成を有する。このバルーン121は、例えばゴム等の樹脂を材料とするものである。そして、バルーンはタンク部21のハウジング221の内部上方に配設される。そして、ハウジング221の内周側壁面と上部蓋222に接するように配設されている。加圧エアーがバルーン121に供給されると、主に重力方向(図3におけるB2方向)に膨張し、粉体離型剤を収容部31に向けて押圧する構成を有する。
【0061】
ここで、バルーン121は少なくとも一箇所で配管123と連通している。この配管123の一端は、バルーン121と連通しており、他端はエアー源124に接続される構成を有する。そして、配管123の途中には電磁弁122が配設されている。ここでバルーン121は、粉体離型剤を収容部31に送出する際に、電磁弁122が動作してバルーン121の内部とエアー源124を連通させてバルーン121を膨張させる。そして、収容部31に必要量の粉体離型剤を押し出した後は、荷重センサ(図示せず)からの指令電圧を受けて電磁弁122が動作して、バルーン121を膨張させていたエアーを大気開放させてバルーン121を収縮させる。
【0062】
この構成とすることで、押出機構11の構造を簡素にすることが可能となり、設備コストの低減、故障発生の抑制を行うことができ、粉体離型剤装置1bの生産性を向上させることができる。
【0063】
ここで、バルーン121の膨張させる構成は、本実施形態に限定されるものではなく、図示しない加圧エアー制御機器を用いて、弾性体214に振動を与えた後でも膨張する構成でも良く、振動を与える前から押圧する構成としても良い。また、バルーン121の圧縮を開始させる構成も、本実施形態に限定されるものではなく、図示しない加圧エアー制御機器を用いて、収容部31への粉体離型剤の送出が完了する前に圧縮させる構成としても良いし、粉体離型剤の送出が完了した後にバルーン121の圧縮を開始させる構成としても良い。
【0064】
次に、第2実施形態の作動について第1実施形態と異なる部分について説明を行う。
【0065】
第2実施形態は、タンク部21のハウジング221の内部に収容された粉体離型剤を収容部31に送出させるために弾性体214に振動が与えられると同時にバルーン121が膨張する作動とする。そして、収容部31に必要量の粉体離型剤を送出後は、荷重センサ(図示せず)からの指令電圧を受けて電磁弁122が動作して、バルーン121を膨張させていたエアーを大気開放させてバルーン121を収縮させる作動とする。このような作動とすることで、粉体離型剤に自重と振動だけでなくバルーン121による外力を加えることができる。そして、タンク部21に収容されている粉体離型剤の収容量に関わらずタンク部21から収容部31と定量空間312に所定量の粉体離型剤を充填させることができる。
【0066】
ここで、バルーン121の膨張させるタイミングは、本実施形態に限定されるものではなく、弾性体214に振動を与えた後でも良いし、振動を与える前から押圧するタイミングとする作動としても良い。また、バルーン121の圧縮を開始させるタイミングも、収容部31への粉体離型剤の送出が完了する前に圧縮させる構成としても良いし、粉体離型剤の送出が完了した後にバルーン121の圧縮を開始させる作動としても良い。
【0067】
次に、本発明の第3実施形態について図4を参照して説明を行う。この第2実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態と異なる部分を説明する。
【0068】
第3実施形態の粉体離型剤塗布装置1cは、タンク部21のハウジング231の内部に複数のバルーン131を配設する。(本実施形態では4個のバルーンを配設している)バルーン131はハウジング231の内部で、重力方向に所定の間隔を有して配設されている。バルーン131は、ハウジング231の内周側壁に接するように配設されている。そして、バルーン131の中で、最も上方に配設されたバルーン131aの一端には、配管133がエアー源138と連通するように配設されている。更に、配管133の途中には電磁弁132が配設されている。ここで、バルーン131aの他端には、バルーン131aの下方に配設されたバルーン131bの一端とバルーン131aを連通させる配管135が配設されている。そして、バルーン131bの他端には、バルーン131bの下方に配設されたバルーン131cの一端とバルーン131bを連通させる配管136が配設されている。更に、バルーン131dの一端には、バルーン131cの他端とバルーン131dの一端を連通させる配管137が配設されている。ここで、収容部31に粉体離型剤を押圧するには、バルブ132を動作させ、エアー源138とバルーン131aを連通させバルーン131aを膨張させ、順次、下方に配設されたバルーン131b乃至131dを膨張させる構成を有する。
【0069】
この構成とすることにより、タンク部21の内部に収容された粉体離型剤がタンク部21の上方から送出口235に送出され、効率的にタンク部21の内部に収容された粉体離型剤が収容部31に送出される。
【0070】
配管133の接続するバルーンは、本実施形態のバルーン131aに限定されるものではなく、使用する粉体離型剤の性状、ハウジング231の内容積等を考慮し、131c乃至131dのいずれかに配管133を接続する構成としても良い。また、バルーンの配設数は、本実施形態に限定されるものではなく、粉体離型剤の性状、バルーンの大きさ等を考慮し、3個以下の配設数でも良いし、5個以上のバルーンを配設しても構わない。
【0071】
このような構成とすること、収容室31に移動する粉体離型剤に素早く押圧力を加えることができるので、131aに配管133を接続する構成より収容部31に粉体離型時を充填させる時間を短縮させることができる。
【0072】
また、バルーン131aが膨張途中に次のバルーン131bが膨張を始めるというようなタイミングでも良いし、途中のバルーン、例えば131aが膨張後に131cが膨張する構成としても良い。
【0073】
次に第3実施形態の作動について、第1実施形態及び第2実施形態と異なる部分を説明する。
【0074】
本実施形態の粉体離型剤供給装置1cは、収容部31に粉体離型剤を送出する際は、電磁弁132が動作し、エアー源138とバルーン131aが連通され、バルーン131aが膨張し、次にバルーン131bが膨張する。そして、バルーン131cが膨張し、最後にバルーン131dが膨張する作動となる。ここで、バルーン131の膨張は、本実施形態に限定されるものではなく、バルーン131aが膨張途中に次のバルーン131bが膨張を始めるというようなタイミングでも良いし、途中のバルーン、例えば131aが膨張後に131cが膨張する作動としても良い。そして、収容部31に粉体離型剤の所定量の粉体離型剤を送出後は、電磁弁132を動作させ、バルーン131a乃至バルーン131dに蓄えられた加圧エアーを大気開放させ、バルーン131a乃至バルーン131dを収縮させる作動とする。
【0075】
次に、第4実施形態について図5を参照して説明を行う。第4実施形態は、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態と異なる部分について説明を行う。
【0076】
第4実施形態は、スリーブ914の内部に塗布する粉体潤滑剤供給装置1aである。粉体潤滑剤供給装置1aは、スリーブ914と配管5aを介して接続されている。管路5aは、ロッド912に接続される。ここで、ダイカストマシン10aは、スリーブ914の内部に図示しない給湯装置から溶融金属が注がれ、ロッド912が前進(図5におけるA2方向)してチップ913が金型93の内部に溶融金属を押し込む。その後、所定の時間が経過した後にロッド912とチップ913は後退(図5におけるA1方向)する。この時、粉体潤滑剤供給装置11aは、ロッド912の内部に配設された通路(図示せず)に粉体潤滑剤をと出する。そして、ロッド912に配設された図示しない吐出口から粉体潤滑剤を吐出させ内周面915に粉体潤滑剤を塗布する構成を有する。ここで、ロッド912に配設された通路(図示せず)はロッド912の一端で継ぎ手916により外部と連通している。そして、この継ぎ手916に管路5aが接続される。また、ロッド912に配設された図示しない吐出口は、スリーブ914の図示しない内周面の周方向に所定量の粉体潤滑剤を塗布できる位置に配設される。この構成により、粉体潤滑剤供給装置11aは、管路5a、継ぎ手916、ロッド912の内部に配設された図示しない通路、図示しない吐出口により連通され、スリーブ914の内周915に粉体潤滑剤を塗布する構成を有する。
【0077】
本実施形態では、管路5aは可撓性ホースであるが、本実施形態に限定されず、可撓性ホースを射出装置91の移動範囲に配設し、残余部分を配管とする構成にしても良い。
【0078】
この構成とすることで、スリーブ914に所定量の粉体潤滑剤を吐出させることができ、溶融金属を注いだ際に、溶融金属と粉体潤滑剤の接触による燃焼ガスの発生量を安定させることができる。また、所定量の粉体潤滑剤が塗布されることによりチップ913とスリーブ914の摺動抵抗が軽減されチップ913とスリーブ914の磨耗量を抑制することができる。
【0079】
次に第4実施形態の粉体潤滑剤供給装置1aの作動について第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態と異なる部分について説明を行う。
【0080】
ダイカストマシン10aが、スリーブ914の内部に図示しない給湯装置から溶融金属が注がれ、ロッド912が前進(図5におけるA2方向)してチップ913が金型93の内部に溶融金属を押し込む。その後、所定の時間が経過した後にロッド912とチップ913は後退(図5におけるA1方向)する。この時、粉体潤滑剤塗布装置11aは、ロッド912に配設された図示しない吐出口から粉体潤滑剤を吐出させ内周面915に粉体潤滑剤を塗布する作動をする。
【0081】
そして、ロッド912に配設された図示しない吐出口がスリーブ914の外に出る前の所定のタイミングで粉体潤滑剤の塗布を停止する作動を行う。
【0082】
以上説明したように、粉体離型剤及び粉体潤滑剤(以下粉体離型剤等)を収容するタンク部21と、タンク部21に接続されタンク部21から排出された粉体を排出する為に収容する収容部31と、収容部の容積を可変させて所望量の粉体離型剤等を排出する排出機構41と、この排出機構41により排出された粉体離型剤等を管路5(5a)に供給する供給部51とを備える粉体離型剤等供給装置11(11a)において、粉体離型剤等を押圧することにより粉体離型剤等を前記収容部に押出す押出機構11を備えているので、押出機構11を作動させることによりタンク部21の内部の前記粉体離型剤等を収容部31へと押出し所望量の粉体離型剤等を金型93へと供給するようにできる。この構成とすることで、粉体離型剤等供給装置11(11a)の吐出量を安定させることができる。
【0083】
この場合、押出機構11は、タンク部21の内部の粉体離型剤等をピストン112により押出すと良い。この構成とすることで、簡易な構成により粉体離型剤等に押圧力を加えることができる。
【0084】
また、押出機構11は、タンク部21の上方に配設すると良い。この構成とすることで、タンク部21に収容された粉体離型剤に均一に押圧力を加えることができる。また、従来の粉体離型剤等供給装置11(11a)と同じ設置面積を保ちつつ押出機構11を追加することができる。
【0085】
この他、タンク部21に伸縮自在なバルーン121(131)を少なくとも一つ有し、バルーン121(131)の大きさを可変させても良い。この構成とすることで、粉体離型剤等が摺動部に入ることによる押出機構11の各部の磨耗等が少なく押出機構11の故障を低減できる。
【0086】
そして、押出機構11は、タンク部21の内部の粉体塗布剤等の押出面118に斜面を備えると良い。この構成とすることで、押出機構11が粉体離型剤等を押圧した際の押圧力が弾性体214の内周面に設けられた斜面及び送出口215に向けて伝えることができる。この構成によりタンク部21の内部の粉体離型剤等を加圧し過ぎることにより発生する粉体離型剤等の圧縮による固化を抑制することができる。
【0087】
また、押出機構11は、収容部31の粉体離型剤等の収容量と押圧力を計測する計測機構を備えると良い。この構成とすることで、押圧力を制御でき、収容部31の粉体離型剤が圧縮固化しないように押圧力を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1実施形態による粉体塗布剤供給装置の配置図である。
【図2】本発明の第1実施形態による粉体塗布剤供給装置の構成図である。
【図3】本発明の第2実施形態による粉体塗布剤供給装置の構成図である。
【図4】本発明の第3実施形態による粉体塗布剤供給装置の構成図である。
【図5】本発明の第4実施形態による粉体塗布剤供給装置の配置図である。
【符号の説明】
【0089】
1 粉体離型剤供給装置(粉体塗布剤供給装置)
1a 粉体潤滑剤供給装置(粉体塗布剤供給装置)
1c 粉体離型剤供給装置(粉体塗布剤供給装置)
1d 粉体離型剤供給装置(粉体塗布剤供給装置)
5 管路
11 押出機構
21 タンク部
31 収容部
41 排出機構
51 供給部
93 金型
112 ピストン
118 押出面
121 バルーン
131a バルーン
131b バルーン
131c バルーン
131d バルーン
313 荷重センサ(計測機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体塗布剤を収容するタンク部と、
該タンク部に接続され容積が可変となる収容部と、
該収容部から所望量の前記粉体塗布剤を排出する排出機構と、
該排出機構により排出された前記粉体塗布剤を金型へとつながる管路に供給する供給部と、
を備える粉体塗布剤供給装置において、
前記粉体塗布剤を押圧することにより前記粉体塗布剤を前記収容部へと押出す押出機構を備え、該押出機構は前記タンク部内の前記粉体塗布剤を前記収容部へと押し出し、所望量の粉体塗布剤を前記金型へと供給することを特徴とする粉体塗布剤供給装置。
【請求項2】
前記押出機構は、前記タンク部内の前記粉体塗布剤を押出すピストンを備えることを特徴とする請求項1に記載の粉体塗布剤供給装置。
【請求項3】
前記押出機構は、前記タンク部の上方に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の粉体塗布剤供給装置。
【請求項4】
前記押出機構は、前記タンク部に伸縮自在なバルーンを少なくとも一つ有し、該バルーンの大きさを可変にする調整機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の粉体塗布剤供給装置。
【請求項5】
前記押出機構は、前記タンク部内の前記粉体塗布剤を押圧する押出面が斜面となっていることを特徴とする請求項1に記載の粉体塗布剤供給装置。
【請求項6】
前記押出機構は、前記収容部の前記粉体塗布剤の収容量と押出機構の押圧力を計測する計測機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の粉体塗布剤供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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