説明

粉体塗装装置

【課題】簡単な構成かつ低コストで、側壁への粉体塗料の付着を防止可能な粉体塗装装置を提供する。
【解決手段】塗装ブース1内で被塗装物の塗装が行われている間、エアー供給管22を介して空間9内にエアーを供給し続けることにより、エアーが噴出孔10から噴出されて、側壁1c,1dに沿って下方に向かって流れる。側壁1c,1dに沿って下方に向かって流れたエアーは、隙間13を介して空間16内に吸引されて、さらにエアー排気管24を介して塗装ブース1の外部へ排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉体塗装装置に係り、特に、塗装ブース内を被塗装物が通過する際に、被塗装物に粉体塗料を吹き付けることにより被塗装物への塗装が行われる粉体塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の粉体塗装装置が、例えば特許文献1に開示されている。このような従来の粉体塗装装置は、吊り下げられた被塗装物が塗装ブース内を通過する際に、塗装ブース内に設けられた静電塗装ガン等から粉体塗料を被塗装物に吹き付けることにより、被塗装物への塗装が行われる。塗装ブース内で被塗装物に吹き付けられた粉体塗料が全て被塗装物に付着するわけではないので、塗装ブース内のエアーを排出することにより、塗装されずに塗装ブース内を浮遊する粉体塗料を塗装ブースから排出させている。
【0003】
ところが、被塗装物に付着しなかった粉体塗料は、塗装ブース内のエアーを排気することによって全てを塗装ブースから排出させることはできず、一部は塗装ブースの壁等に付着する。このため、塗装の色を替える場合には、変更前の色と混じり合わないように、塗装ブース内を清掃する必要がある。通常は、塗装作業を一時中断して、オペレータが塗装ブース内でエアブロー等により清掃を行うので、色替えに時間がかかってしまう。そこで、色替え時間を短縮するために、特許文献2の粉体塗装装置は、側壁に向けてエアーを噴出させる側壁ブロー部を、側壁に対して上から下に移動するように設けることにより、塗装終了後に、側壁に付着した粉体塗料を清掃可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−148805号公報
【特許文献2】特開2006−239587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2の粉体塗装装置は、側壁に付着した粉体塗料を清掃する側壁ブロー部が上下に移動可能な構成のため、構成が複雑でコストが高いといった問題点があった。
【0006】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、簡単な構成かつ低コストで、側壁への粉体塗料の付着を防止可能な粉体塗装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る粉体塗装装置は、天井、2つの側壁、2つの端壁、床を有する塗装ブースと、2つの側壁それぞれの上部に固定され、側壁に沿って下方に向かってエアーを流す第1エアー噴出手段と、2つの側壁それぞれの下部に固定され、側壁に沿って流れたエアーを吸引して塗装ブースの外部へ排出するエアー排出手段とを備える。
第1エアー噴出手段は、2つの長辺部及び2つの短辺部を有する矩形の第1板状部材であって、2つの長辺部のうちの一方が天井に固定されると共に2つの短辺部がそれぞれ2つの端壁に固定され、2つの長辺部のうちの他方が一方の長辺部よりも側壁に近い位置となるようにして、第1板状部材と、天井と、側壁と、端壁とによって第1空間が形成される第1板状部材と、塗装ブースの外部から第1空間へエアーを供給する第1エアー供給管とを備え、第1板状部材と側壁との間には、第1空間内に供給されたエアーが噴出される第1噴出孔が設けられていてもよい。
塗装ブース内で塗装が行われている間、第1エアー噴出手段から連続的にエアーが噴出されてもよく、または、第1エアー噴出手段からパルス状にエアーが噴出されてもよい。
エアー排出手段は、2つの長辺部及び2つの短辺部を有する矩形の第2板状部材であって、2つの長辺部の一方が側壁に接続されることにより、第2板状部材と、床と、側壁と、端壁とによって第2空間を形成する第2板状部材と、第2空間内のエアーを塗装ブースの外部へ排出するエアー排気管とを備え、第2板状部材と側壁との接続部分には、第2空間内にエアーが吸引される第1吸引孔が設けられていてもよい。
第2板状部材は、側壁との接続部分を中心に回動可能であってもよい。また、第2板状部材は、一方の端壁側から他方の端壁側に向かって複数の分割板状部材に分割されていてもよい。
第2板状部材の2つの長辺部の他方と床との間には、第2空間内にエアーが吸引される第2吸引孔が設けられていてもよい。
床の下側に設けられた第3空間と、塗装ブースの外部から第3空間へエアーを供給する第2エアー供給管と、塗装ブース内において床から突出するように設けられ、第3空間と連通する第2エアー噴出手段とを備え、第2エアー噴出手段には、第3空間内に供給されたエアーを第2吸引孔に向けて噴出する第2噴出孔が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、2つの側壁それぞれの上部に固定された第1エアー噴出手段が、側壁に沿って下方に向かってエアーを流すと共に、2つの側壁それぞれの下部に固定されたエアー排出手段が、側壁に沿って流れたエアーを吸引して塗装ブースの外部へ排出することにより、塗装ブース内を浮遊する粉体塗料が側壁に付着せずにエアーに同伴されて塗装ブースの外部へ排出されるので、簡単な構成かつ低コストで、側壁への粉体塗料の付着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態に係る粉体塗装装置の塗装ブースの斜視図である。
【図2】この実施の形態に係る粉体塗装装置の塗装ブースの断面図である。
【図3】図2の矢印Aの方向から見た正面図である。
【図4】この実施の形態に係る粉体塗装装置のエアー排出手段の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
この発明の実施の形態に係る粉体塗装装置の塗装ブースの斜視図を図1に示す。塗装ブース1は、全体として略直方体形状を有しており、長手方向に関して対向する両端壁1a,1bと、長手方向に垂直な方向に関して対向する両側壁1c,1dと、天井1eと、床1fとから構成され、これらは樹脂材からなる。両端壁1a,1bにはそれぞれ、入口部2及び出口部3が設けられている。入口部2及び出口部3のそれぞれは、扉4及び5によって開閉されるようになっている。側壁1c,1dにはそれぞれ、塗装ブース1の内部に粉体塗装を吹き付ける図示しない塗装ガンを設けるための塗装用開口6が形成されている。塗装ブース1の天井1eと、入口部2及び出口部3のそれぞれの上面とには、直線状の溝部7が形成されている。図示しない被塗装物は、図示しない吊り下げ部に吊り下げられて塗装ブース内を移動するが、その吊り下げ部は、溝部7に沿って移動するようになっている。
【0011】
図2に示されるように、塗装ブース1の内部において、樹脂製の矩形の板状部材8(第1板状部材に相当する)が、側壁1c,1dそれぞれの上部に設けられている。板状部材8の一方の長辺部8aは、天井1eに固定されており、他方の長辺部8bは、側壁1c,1dに固定されている。板状部材8の両短辺部8c,8d(図3参照)はそれぞれ、端壁1a,1b(図3参照)に固定されている。板状部材8と、天井1eと、側壁1c,1dと、端壁1a,1bとによって空間9(第1空間に相当する)が形成される。長辺部8bと側壁1c,1dとの固定部分には、塗装ブース1の長手方向に沿って適当な間隔を空けて、複数の噴出孔10(第1噴出孔に相当する)が設けられている。尚、噴出孔10の形状や大きさ、隣り合う噴出孔10間の間隔等は、適宜設計事項である。
【0012】
また、塗装ブース1の内部において、樹脂製の矩形の板状部材11(第2板状部材に相当する)が、側壁1c,1dそれぞれの下部に設けられている。板状部材11の一方の長辺部11aが側壁1c,1dにヒンジ12を介して接続されており、板状部材11は、矢印Bの方向に回動可能となっている。長辺部11aと側壁1c,1dとの間には隙間13が形成されており、隙間13は第1吸引孔を構成する。板状部材11が回動して、他方の長辺部11bが床1f付近に位置するときに、長辺部11bに当接するように、床1fには複数の突起14が設けられている。長辺部11bが突起14に当接することにより、長辺部11bと床1fとの間には、隙間15が形成され(図3参照)、隙間15は第2吸引孔を構成する。板状部材11の両短辺部11c,11d(図3参照)はそれぞれ、端壁1a,1b(図3参照)に接するようになっている。板状部材11と、床1fと、側壁1c,1dと、端壁1a,1bとによって空間16(第2空間に相当する)が形成される。尚、板状部材11は、1枚の板でもよいが、図3に示されるように、長手方向に複数の分割板状部材11e〜11hに分割した構成が好ましい。
【0013】
図2に示されるように、床1fには、2つの板状部材11,11間に、床1fから突出すると共に塗装ブース1の長手方向に延びるエアー噴出部17(第2エアー噴出手段に相当する)が設けられている。エアー噴出部17には、両方の板状部材11,11に対向する位置に、長手方向に沿って適当な間隔を空けて、複数の噴出孔18(第2噴出孔に相当する)が設けられている。尚、噴出孔18の形状や大きさ、隣り合う噴出孔18間の間隔等は、適宜設計事項である。さらに、噴出孔18は、複数の孔から構成されるのではなく、エアー噴出部17の一端から他端に向けて延びる細長い1つのスリットであってもよい。
【0014】
床1fの下方には、床1fに平行に、樹脂製の下方床板19が設けられており、床1fと下方床板19との間には、床1f及び下方床板19に垂直な2枚の平行な樹脂製の壁板20,20が互いに適当な間隔を空けて設けられている。床1fと、下方床板19と、2枚の壁板20,20とによって空間21(第3空間に相当する)が形成される。すなわち、空間21は、床1fの下側に形成される。空間21とエアー噴出部17とは連通されている。
【0015】
図1に示されるように、端壁1aには、各空間9(図2参照)に連通するように、2本のエアー供給管22(第1エアー供給管に相当する)が設けられている。また、端壁1aには、空間21(図2参照)に連通するように、エアー供給管23(第2エアー供給管に相当する)が設けられている。エアー供給管22及び23はそれぞれ、図示しないブロアに接続され、当該ブロアによって、空間9及び21のそれぞれにエアーが供給されるようになっている。さらに、端壁1aには、各空間16(図2参照)に連通するように、2本のエアー排気管24が設けられている。エアー排気管24は、図示しない排気ファンに接続され、当該排気ファンによって、空間16内のエアーが排気されるようになっている。ここで、板状部材8(図2参照)及びエアー供給管22は第1エアー噴出手段を構成し、板状部材11(図2参照)及びエアー排気管24はエアー排出手段を構成する。
【0016】
図1〜3には図示されていないが、一端が側壁1dに接続すると共にエアー排気管24に接続する排気ファンに他端が接続する配管と、当該配管の途中に設けられたサイクロン及びバグフィルターとを設け、当該排気ファンによって、塗装ブース1内を浮遊する粉体塗料をエアーと共に、当該配管を介して塗装ブース1内から排出させて、当該サイクロンで粉体塗料を回収することができるようになっている。尚、この構成は公知の構成であり、塗装ブース1内のエアーを排出させて、エアーに同伴された粉体塗料を分離回収する他の公知の構成に変更可能である。
【0017】
次に、この実施の形態に係る粉体塗装装置の動作を、図1〜3に基づいて説明する。
図示しない被塗装物が入口部2を介して塗装ブース1内に搬入される。尚、塗装作業中、扉4,5は開いたままである。塗装ブース1内に搬入された被塗装物は、塗装ブース1内を移動する間に、図示しない塗装ガンから塗装用開口6を介して、粉体塗料が吹き付けられることにより塗装される。被塗装物に塗装されずに塗装ブース1内を浮遊する粉体塗料は、側壁1dに接続された図示しない配管を介して塗装ブース1から排出される。
【0018】
一方で、塗装ブース1内を浮遊する粉体塗料の一部は、塗装ブース1の側壁1c,1dに付着してしまい、塗装ブース1内に滞留してしまうおそれがある。そこで、塗装ブース1内で被塗装物の塗装が行われている間、図示しないブロアがエアー供給管22を介して空間9内にエアーを供給し続ける。空間9内に供給されたエアーは、噴出孔10から噴出されて、側壁1c,1dに沿って下方に向かって流れる。これにより、塗装ブース1内を浮遊する粉体塗料が側壁1c,1dに近づくと、このエアーの流れに同伴されるようになるので、側壁1c,1dへの粉体塗料の付着が防止される。
【0019】
また、この動作と共に、図示しない排気ファンがエアー排気管24を介して空間16内のエアーを吸引して塗装ブース1の外部へ排出する。すると、側壁1c,1dに沿って下方に向かって流れるエアーは、隙間13を介して空間16内に吸引されて、さらにエアー排気管24を介して塗装ブース1の外部へ排出される。すなわち、側壁1c,1dに沿って下方に向かって流れるエアーに同伴された粉体塗料は、エアーと共に塗装ブース1の外部へ排出されるので、塗装ブース1内への滞留が防止される。
【0020】
さらにこれらの動作と共に、図示しないブロアがエアー供給管23を介して空間21内にエアーを供給する。空間21内に供給されたエアーは、エアー噴出部17の噴出孔18から噴出される。噴出孔18から噴出されたエアーは、床1fに沿って流れるので、床1f上に落下する粉体塗料を同伴する。噴出孔18から噴出されたエアーは、最終的に、隙間15を介して空間16内に吸引されて、さらにエアー排気管24を介して塗装ブース1の外部へ排出される。すなわち、噴出孔18から噴出されたエアーに同伴された粉体塗料は、エアーと共に塗装ブース1の外部へ排出されるので、塗装ブース1内への滞留が防止される。
【0021】
塗装ブース1内で塗装された被塗装物は、出口部3を介して塗装ブース1から搬出される。上記動作により、塗装ブース1内に滞留する粉体塗料が少なくなるので、塗装ブース1内の清掃作業なしに色替えを行ったとしても、変更前の色と混じり合う影響を最小限に抑えることができる。また、塗装ブース1の外部に排出された粉体塗料を、図示しないサイクロン等で回収することにより、廃棄される粉体塗料が低減されるので、塗装能率を向上することもできる。
【0022】
尚、空間16内へエアーに同伴されて吸引された粉体塗料が必ずしも全てエアー排気管24を介して塗装ブース1の外部へ排出されるわけではなく、その一部が空間16内において端壁1a,1b、側壁1c,1d、床1f、板状部材11に付着してしまう場合もある。しかし、隙間13,15を介して空間16内にエアーが吸引されているので、空間16内に付着した粉体塗料が隙間13,15を介して流出することはない。空間16内に付着した粉体塗料は、塗装作業が終了した後、オペレータ等が板状部材11を上方に回動させて回収することができる。ここで、板状部材11が1枚の板で構成されていると、塗装ブース1の長手方向が長い場合には、板状部材11が重くなって開閉作業が大変になるが、板状部材11を塗装ブース1の長手方向に向かって複数の分割板状部材11e〜11hに分割しておけば、それぞれの分割板状部材だけを開閉すればよく、板状部材11の開閉作業が楽になるので、粉体塗料の回収作業効率を向上することができる。
【0023】
このように、2つの側壁1c,1dそれぞれの上部に固定された第1エアー噴出手段が、側壁1c,1dに沿って下方に向かってエアーを流すと共に、2つの側壁1c,1dそれぞれの下部に固定されたエアー排出手段が、側壁1c,1dに沿って流れたエアーを吸引して塗装ブース1の外部へ排出することにより、塗装ブース1内を浮遊する粉体塗料が側壁1c,1dに付着せずにエアーに同伴されて塗装ブース1の外部へ排出されるので、簡単な構成かつ低コストで、側壁1c,1dへの粉体塗料の付着を防止することができる。
【0024】
この実施の形態では、エアー供給管22,23及びエアー排気管24のいずれもが端壁1aに設けられていたが、この形態に限定するものではない。例えば、エアー供給管22,23はそれぞれ、端壁1bまたは側壁1c,1dに設けられてもよく、エアー排気管24は端壁1bに設けられてもよい。すなわち、エアー供給管22,23はそれぞれ、空間9,16に連通するように設けられればよく、エアー排気管24は、空間21に連通するように設けられればよい。
【0025】
この実施の形態では、板状部材8の長辺部8bを側壁1c,1dに固定していたが、この形態に限定するものではない。長辺部8bと側壁1c,1dとを固定させず、両者の間に1つの細長いスリット状の隙間を形成するようにしてもよい。すなわち、長辺部8aよりも長辺部8bのほうが側壁1c,1dに近い位置になるように配置すればよい。この場合には、このスリット状の隙間が第1噴出孔を構成する。
【0026】
この実施の形態では、被塗装物の塗装中、噴出孔10から連続的にエアーが噴出されていたが、この形態に限定するものではない。噴出孔10から間欠的に、すなわちパルス状にエアーを噴出するようにしてもよい。この場合には、エアーの噴出が行われていない時に側壁1c,1dに粉体塗料が付着することがあるが、パルス状のエアーの噴出により、側壁1c,1dに付着した粉体塗料が取り除かれる。これにより、側壁1c,1dへの粉体塗料の付着を防止することができる。尚、エアーが噴出される間隔や、各噴出の継続時間は、適宜設計事項である。
【0027】
この実施の形態では、塗装ブース1の端壁1a,1b、側壁1c,1d、天井1e、床1fと、板状部材8,11とはそれぞれ樹脂製であったが、これに限定するものではなく、任意の材料から製造してもよい。ただし、粉体塗料が付着してもエアブローによって容易に除去できるような材料を選択することが好ましく、当業者であれば、材料の強度やコスト等を考慮して容易に選択可能である。
【0028】
この実施の形態では、床1fに突起14を設け、板状部材11の長辺部11bが突起14に当接することにより、長辺部11bと床1fとの間に隙間15が形成されていたが、この形態に限定するものではない。例えば、図4に示されるように、側面1cにヒンジ12を介して接続された分割板状部材11e〜11hのそれぞれについて、側面1cに面する側の長辺部11a付近に、少なくとも1つの台形板状のつっかえ板30を設け、分割板状部材11e〜11hのそれぞれが回動する際に、つっかえ板30が側面1cに当接することによりそれ以上の回動が制限され、その結果、長辺部11bと床1fとの間に隙間15を形成するようにしてもよい。図示しないが、側面1dにヒンジ12を介して接続された分割板状部材11e〜11hのそれぞれについても同様である。この構成により、床1fには、突起14(図2参照)が不要になるので、床1fの清掃がしやすくなる効果がある。また、つっかえ板30の形状も台形板状に限定するものではなく、任意の形状であってもよい。さらに、つっかえ板30を設ける方法に限定するものではなく、長辺部11bと床1fとの間に隙間15を形成することができれば、どのような構成であってもよい。
【0029】
この実施の形態では、板状部材11の両短辺部11c,11dがそれぞれ端壁1a,1bに接していたが、両短辺部11c,11dと端壁1a,1bとの間に多少の隙間が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 塗装ブース、1a,1b 端壁、1c,1d 側壁、1e 天井、1f 床、8 板状部材(第1板状部材,第1エアー噴出手段)、8a,8b (板状部材8の)長辺部、8c,8d (板状部材8の)短辺部、9 空間(第1空間)、10 噴出孔(第1噴出孔)、11 板状部材(第2板状部材,エアー排出手段)、11a,11b (板状部材11の)長辺部、11c,11d (板状部材11の)短辺部、11e,11f,11g,11h 分割板状部材、13 隙間(第1吸引孔)、15 隙間(第2吸引孔)、16 空間(第2空間)、17 エアー噴出部(第2エアー噴出手段)、18 噴出孔(第2噴出孔)、21 空間(第3空間)、22 エアー供給管(第1エアー供給管,第1エアー噴出手段)、23 エアー供給管(第2エアー供給管)、24 エアー排気管(エアー排出手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井、2つの側壁、2つの端壁、床を有する塗装ブースと、
前記2つの側壁それぞれの上部に固定され、前記側壁に沿って下方に向かってエアーを流す第1エアー噴出手段と、
前記2つの側壁それぞれの下部に固定され、前記側壁に沿って流れたエアーを吸引して前記塗装ブースの外部へ排出するエアー排出手段と
を備える粉体塗装装置。
【請求項2】
前記第1エアー噴出手段は、
2つの長辺部及び2つの短辺部を有する矩形の第1板状部材であって、前記2つの長辺部のうちの一方が前記天井に固定されると共に前記2つの短辺部がそれぞれ前記2つの端壁に固定され、前記2つの長辺部のうちの他方が前記一方の長辺部よりも前記側壁に近い位置となるようにして、前記第1板状部材と、前記天井と、前記側壁と、前記端壁とによって第1空間が形成される第1板状部材と、
前記塗装ブースの外部から前記第1空間へエアーを供給する第1エアー供給管と
を備え、
前記第1板状部材と前記側壁との間には、前記第1空間内に供給されたエアーが噴出される第1噴出孔が設けられている、請求項1に記載の粉体塗装装置。
【請求項3】
前記塗装ブース内で塗装が行われている間、前記第1エアー噴出手段から連続的にエアーが噴出される、請求項1または2に記載の粉体塗装装置。
【請求項4】
前記塗装ブース内で塗装が行われている間、前記第1エアー噴出手段からパルス状にエアーが噴出される、請求項1または2に記載の粉体塗装装置。
【請求項5】
前記エアー排出手段は、
2つの長辺部及び2つの短辺部を有する矩形の第2板状部材であって、前記2つの長辺部の一方が前記側壁に接続されることにより、前記第2板状部材と、前記床と、前記側壁と、前記端壁とによって第2空間を形成する第2板状部材と、
前記第2空間内のエアーを前記塗装ブースの外部へ排出するエアー排気管と
を備え、
前記第2板状部材と前記側壁との接続部分には、前記第2空間内にエアーが吸引される第1吸引孔が設けられている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粉体塗装装置。
【請求項6】
前記第2板状部材は、前記側壁との接続部分を中心に回動可能である、請求項5に記載の粉体塗装装置。
【請求項7】
前記第2板状部材は、前記一方の端壁側から前記他方の端壁側に向かって複数の分割板状部材に分割されている、請求項6に記載の粉体塗装装置。
【請求項8】
前記第2板状部材の前記2つの長辺部の他方と前記床との間には、前記第2空間内にエアーが吸引される第2吸引孔が設けられている、請求項5〜7のいずれか一項に記載の粉体塗装装置。
【請求項9】
前記床の下側に設けられた第3空間と、
前記塗装ブースの外部から前記第3空間へエアーを供給する第2エアー供給管と、
前記塗装ブース内において前記床から突出するように設けられ、前記第3空間と連通する第2エアー噴出手段と
を備え、
該第2エアー噴出手段には、前記第3空間内に供給されたエアーを前記第2吸引孔に向けて噴出する第2噴出孔が設けられている、請求項8に記載の粉体塗装装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−55824(P2012−55824A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201095(P2010−201095)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000229597)日本パーカライジング株式会社 (198)
【Fターム(参考)】