粉体製品の製造方法
第1の材料の一部分と第2の材料の少なくとも一部分とを有する粉体製品の製造方法において、製造方法が、以下の工程、すなわち、第2の材料粉末と、一つの選択された部分又は複数の選択された部分内のガス化可能材料とを備えた少なくとも第1の本体であって、第2の材料粉末がガス化材料で保持されている少なくとも第1の本体を製品の形状を規定するカプセル内に配置する工程と、第1の材料粉末をカプセル内に満たす工程と、ガス化材料を除去する工程と、カプセルをシールする工程と、第1の材料粉末及び第2の材料粉末を緻密化して成形体にする高温まで高圧下でカプセルを加熱する工程と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体製品の製造方法に関する。特に、本発明は、HIPと呼ばれる熱間等方圧プレス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属又はセラミック粉末の熱間等方圧プレスは、HIP又はヒッピングと呼ばれ、様々な製品の製造プロセスで使用されている。HIP製造プロセスにおいて、製品の形状を規定するカプセルは、金属又は所定の成分のセラミック粉末で満たされる。カプセルは、真空にされ、シールされ、高温高圧にされ、これによって、粉末は緻密化され、成形体になる。
【0003】
一例として、粉体製品は製品によって異なる条件に晒される。または、ある部品や部分が他の部品や部分よりも周囲の環境により一層晒されるように、製品のデザインや幾何学形状が作られる。例えば、製品の一方の部分における荷重又は圧力が、製品の他の部分よりも大きくなることもある。摩耗、例えば、製品が受けるすきとり摩耗は、製品の一方の部分が、製品の他の部分よりも大きくなることもある。例えば、製品のある部分における増加した摩耗により、全体の摩耗から予測されるよりも早い段階で廃棄されることがある。“変化する物理的影響”や“増大する物理的影響”という用語は、以下において、製品が周囲の環境から受ける様々な効果であって、製品の一つの部分が他の部分よりも強調されるその効果を含むように使用される。
【0004】
物理的な荷重が増加する部分において、粉体製品の寸法を増加することによって、粉体製品を強化する試みが成されている。しかし、寸法を大きくすることは、いつもできることではない。
【0005】
粉体製品を強化する他の方法は、特許文献1及び2に記載されているように、フレームをコーティングすることを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0543353号公報
【特許文献2】特開平03−125076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらの方法は完全に成功したものではない。製品の微構造が、コーティングプロセスでの熱のために劣化する。フレームコーティング工具によって製品の所定の部分に到達することが難しいことが証明された。コーティング層の厚さ及び使用される材料の選択は、周知の方法において、制限されたものとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、強化部分を有する粉体製品の改良された製造方法を提供する。
【0009】
本発明の目的は、第1の材料の一部分と第2の材料の少なくとも一部分とを有する粉体製品の製造方法によって達成され、この方法は、第2の材料粉末と一つの選択された部分又は複数の選択された部分内のガス化可能材料とを備え、第2の材料粉末がガス化材料で保持されいる少なくとも第1の本体を製品の形状を規定するカプセル内に配置する工程と、第1の材料粉末をカプセル内に満たす工程と、ガス化材料を除去する工程と、カプセルをシールする工程と、第1の材料及び第2の材料粉末を緻密化して成形体にする高温まで高圧化でカプセルを加熱する工程と、を備える。
【0010】
第2の材料粉末がガス化材料によって保持されるため、カプセル内の任意の位置に容易に配置することができる。“保持する”は、ガス化材料が粉末材料を保持することを意味することによって、本体は破損することなく取り扱われるようになる。従って、第2の材料は、製造中に製品と一体化される。ガス化材料がカプセルから除去されるとき、第2の材料粉末は、カプセルの壁が存在するならば、一緒に保持されると共に、第1の材料の周囲の粉末によって所望の位置に保持される。
【0011】
上記プロセスは、異なる材料で部分を作る製品のニアネットシェイプ又はネットシェイプ製造を可能にする。激しい物理的影響を受ける製品の部分は、これによって強化される。更なる効果は、第2の材料が、到達できないだけでなく、強化できない位置に適用され得るということである。第2の材料が製品の本体に一体化されるため、異なる性質を有する種々の材料が、製品の形態及び形状を損なうことなく適用され得る。製品を緻密化する前に製品の第1の本体に第2の材料粉末の本体を一体化することによって、製品の第2の本体と第1の本体との間の非常に強い密着性が得られる。上記プロセスは、製品の材料が、微細構造を有し、高純度であるため、優れた機械的性質を有する強化された粉体製品の製造を可能にする。
【0012】
本体は、カプセルの壁の内面に配置され、本体は粉末材料で部分的に塞がれる。従って、摩耗や腐食などの物理的影響に対して抵抗する面を有する製品を製造する有効な方法が得られる。
【0013】
また、本体は、カプセルの壁の内面から一定の距離に配置され、本体が粉末材料で塞がれる。従って、重い荷重や衝撃などの物理的影響に対して強化された製品を製造する有効な方法が得られる。
【0014】
カプセルは、筒体とすることが好ましい。本体は、部分的にマント面を覆い、筒体の内壁のマント面と接触する。
【0015】
カプセルは、湾曲部を有する筒体とすることが好ましい。本体は、部分的にマント面を覆い、筒体の内壁のマント面と接触する。
【0016】
本体はカプセルの湾曲部に配置することが好ましい。
【0017】
一つの変形例によれば、本体は、ガス化高分子材料の一つ以上のシェルを備え、一つ又は複数のシェルは、少なくとも第2の材料粉末で満たされるか、予め満たされる。このようなシェルは、低コストで製造することを容易にし、取り扱いを容易にし、カプセル内に位置するか取り付けられる。
【0018】
一つの変形例によれば、本体は、高分子材料と少なくとも第1の材料及び/又は少なくとも第2の材料の一つ以上のシェルを備え、一つ又は複数のシェルは、少なくとも第2の材料粉末で満たされるか、予め満たされる。シェルは、周囲の第1の材料と一体化され、これによって、第1の材料と第2の材料との強い接着が高分子材料の除去と緻密化後に達成される。
【0019】
高分子材料と第1及び第2の材料とを有するシェルの使用は、次の工程でガス化される高分子材料の量を減らす。
【0020】
一つの変形例によれば、カプセルは部分的に第1の材料粉末で満たされ、シェルはカプセルに配置され、カプセルが第1の材料粉末で完全に満たされた後に、シェルは少なくとも第2の材料粉末で満たされる。この充填する工程を実施することによって、シェルはカプセル内の第1の材料粉末によって支持される。従って、シェルは、充填中に固定される。更に、シェルは、固定手段を使用することなく、カプセル内で任意の位置に配置されるという効果が得られる。
【0021】
一つの変形例によれば、本体は、ガス化高分子材料の一つ以上の固体と第2の材料粉末とを備える。多数の固体が予め作成されることができるが、そうすると、本体を充填することが不要になるため、製品の確実な生産をもたらことができる。更に、非常に複雑な形状の本体が、容易に製造され、製品と一体化されるという効果がある。固体は、周囲の材料と非常に良く一体化する。
【0022】
高分子粉末の体積は、本質的に、第1及び第2の材料粉末の粒子間の間隙の体積に等しくなるように、本体を作る混合物中の高分子粉末の量が調整されることが好ましい。高分子材料は粉末材料間の間隙にのみ存在し、高分子材料がガス化によって除去されるときに、生じる体積変化によるゆがみが最小化される。
【0023】
作成済みの固体は、異なる粉末材料の層又は部分を備えることができる。これによって、異なるタイプの補強材が一体化される製品を製造する有効な方法を達成することができる。例えば、作成済み本体の一部は、合金成分の拡散を防止し、本体の他の部分はすきとり摩耗に対する抵抗力を与える。
【0024】
いくつかの本体はカプセル内で調整される。これによって、異なる部分で強化される製品を製造する有効な方法が与えられる。
【0025】
本体は異なる粉末材料を備え、製品の一部分は、一つの物理的影響、例えば、すきとり摩耗に対して強化され、製品の他の部分は、異なる物理的影響、例えば、腐食に対して強化される。
【0026】
本体は、勾配が形成されるように互いに対して隣接して配置される。
【0027】
第1の材料は、ニッケル合金、コバルト合金、工具鋼、炭素鋼、ハドフィールド鋼、マルテンサイトステンレス鋼などのステンレス鋼、クロム鋼、オーステナイトステンレス鋼、二相ステンレス鋼又はそれらの混合物であることが好ましい。
【0028】
第2、第3又は更なる材料は、ニッケル合金、コバルト合金、工具鋼、炭素鋼、ハドフィールド鋼、マルテンサイトステンレス鋼などのステンレス鋼、クロム鋼、オーステナイトステンレス鋼、二相ステンレス鋼又は窒化チタン、炭化チタン、炭化タングステン、ホウ化チタンなどのセラミックス、金属マトリクス複合材又はそれらの混合物であることが好ましい。これらの材料は、すきとり摩耗、衝撃、腐食などに対して強化する。
【0029】
ガス化材料は、ポリプロピレン又はポリエチレンなどの熱的ガス化高分子材料とすることができる。カプセルから高分子材料を除去する工程は、カプセル内で真空にする工程と、高分子材料がガス化する温度にカプセルを加熱する工程の、サブ工程を含む。
【0030】
上述した高分子材料は、容易に成形することができ、そして、カプセル内に残留物を残すことなく加熱されるとき、蒸発する。
【0031】
ガス化材料は、ポリオキシメチレン、POMなどの化学的にガス化可能な高分子材料とすることができる。カプセルから高分子材料を除去する工程は、カプセルを真空にする工程と、高分子と化学的に反応するガスをカプセル内に噴射し、高分子材料をガス化する工程のサブ工程を備える。
【0032】
上述した高分子材料は、容易に成形することができ、そして、カプセル内に残留物を残すことなく、ガスと化学的に反応するようにガス化することによって、容易に除去することができる。
【0033】
この方法は、第1の材料と第2の材料の少なくとも一部分とを備える、ポンプハウジング、パイプ、ベントパイプ、インペラー、マニフォールド又は遠心分離機を製造する使用することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1の材料の第1の部分と第2の材料の第2の部分とを備える粉体製品の断面図を示す。
【図2a−2c】粉体製品を形成する方法で使用されるカプセルを示す図である。
【図3】粉体製品を形成する本発明の方法の工程を示すフローチャートである。
【図4a−4e】粉体製品を形成する本発明の方法の実施形態の工程を示す図である。
【図5a−5f】本発明の方法の第1の好ましい実施形態で使用されるシェルを示す図である。
【図6a−6c】本発明の方法の第2の好ましい実施形態で使用される作成済み本体を示す図である。
【図7a−7b】カプセル内の作成済み本体の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
使用される言葉の定義が以下で示される。
“第1の材料”は製品の第1の部分の材料を意味するものとする。第1の部分は、通常は、製品の本体である。第1の材料は、任意の金属又は合金であり、適用分野において必要な強度を有する固体成形体に緻密化される。例えば、ニッケル合金、コバルト合金、工具鋼、炭素鋼、ハドフィールド鋼、マルテンサイトステンレス鋼などのステンレス鋼、クロム鋼、オーステナイトステンレス鋼、二相ステンレス鋼又は上述した材料の混合物である。
【0036】
“第2の材料”は、製品の第2の部分であって、第1の部分とは異なる部分の材料を意味するものとする。第2の材料は、任意の金属、合金又はセラミックス又は金属−セラミックス複合材であり、適用分野において必要な強度を有し、性質を高める固体成形体に緻密化される。例えば、ニッケル合金、コバルト合金、工具鋼、炭素鋼、ハドフィールド鋼、マルテンサイトステンレス鋼などのステンレス鋼、クロム鋼、オーステナイトステンレス鋼、二相ステンレス鋼又は窒化チタン、炭化チタン、炭化タングステン、ホウ化チタンなどのセラミックス、金属マトリクス複合材又はそれらの混合物である。第2の材料は、第1の材料と上述した材料の混合物とすることもできる。
【0037】
“第3の材料”又は“更なる他の材料”は、製品の第3の部分又は更なる他の部分を意味するものとする。第3の材料などは上述した任意の材料またはそれらの混合物とすることができる。
【0038】
一般に、第1、第2、第3の部分などの材料は、異なる化学成分である。しかしながら、異なる部分の材料は、同じ化学成分とすることができるが、異なる微細構造、例えば異なる相又は変化する粒子サイズを有するものであって、同じ化学成分とすることができる。
【0039】
製品を製造する本発明の製造方法において、“第1の材料”、“第2の材料”、“第3の材料”などは、粒子サイズが1〜500μmの粉末材料として提供される。“第1の材料粉末”は、製品の第1の領域の粉末材料を意図するものとする。“第2の材料粉末”又は“第3の材料粉末”などは、製品の第2、第3,他の領域の粉末材料を意図するものとする。
【0040】
最終製品の部分の材料は、その部分に提供される粉末材料が、同じ化学成分又は相、粒子サイズなど同じ微細構造である。
【0041】
しかしながら、最終製品の材料は、異なる化学成分又は異なる微細構造を有するように、その部分に提供される粉末材料とは異なってもよい。違いは、製造中における材料に及ぼすプロセスパラメータの影響によるものである。例えば、成分の拡散が製造中において高温高圧下で生じるためである。
【0042】
図1は、本発明による方法によって製造された粉体製品1の断面図を示す。図1に示す製品は、沖合の石油の掘削で使用されるパイプである。しかしながら、製品は、例えば、ポンプハウジング、ピストン、パイプ、ベントパイプ、インペラー、マニフォールド又は遠心分離機などの任意の製品とすることができる。図1から見ることができるように、パイプの本体は、第1の材料、例えばステンレス鋼から作られる。パイプは、その内面で3次元方向に延びる部分3を更に備える。部分3は、腐食及び/又は浸食に対して抵抗力のある第2の材料、例えばニッケル合金や金属マトリックス複合材を有する。これによって、パイプは、摩耗に晒される部分において強化される。部分3は、製品1の本体2における任意の位置に配置することもでき、例えば、製品の本体2内に組み込んだり、製品の外面又は製品の端部に配置することもできる。任意の材料は、適用分野における必要な強度を有する固体成形体に緻密化される限りにおいて、本体2や部分3に使用してもよい。
【0043】
図2aは、粉体製品を製造する本発明の製造方法で使用で使用されるカプセル10の一例を示す。カプセル10は、製品の形態を規定し、製造される製品の形態に依存する任意の構成とすることができる。図2bは、A−A線に沿って切断したカプセル10の断面図を示す。カプセル10は、同心に配置された外壁10.1と内壁10.2とを有し、外壁と内壁との間にスペースがある。カプセル10の底において、スペースは底壁10.3により閉じられている。外壁10.1と内壁10.2とは、例えば、軟鋼のシートなどの金属シートと共に溶接によって製造されることができる。底壁10.3は、外壁10.1と内壁10.2のエッジに溶接された金属シートとすることもできる。
【0044】
一つの変形例によれば、外壁10.1と内壁10.2は、円柱状、すなわちチューブ形状としてもよい。これによって、カプセルは、中空円柱の形状、すなわち、パイプを規定する。
【0045】
図2cに示す第二の変形例によれば、外壁10.1と内壁10.2は、円柱であって、湾曲部を含むことができる。これによって、カプセルは、湾曲部を有する中空円柱の形状、すなわち、ベントパイプを規定する。
【0046】
以下には、第1の材料の一つの部分2と第2の材料の部分3とを備える粉体製品1を製造する本発明の製造方法の工程が説明されている。方法の工程は図3のフローチャートで示されている。第1のステップ100において、少なくとも一つの本体11は、第2の材料粉末と、製品の形状を規定するカプセルに配置されたガス化材料とを有する。第2の材料粉末は、ガス化材料によって保持される。これによって、本体11を破壊することなしに扱うことができる。
【0047】
本体11は、強化される製品の部分に適する任意の構成とすることができると共に、カプセル内の任意の適切な位置に配置することができる。図4aは、リング部を構成する本体11を示す。本体は、カプセル10の外壁10.1と内壁10.2との間のスペースに配置される。本体11は、例えば、接着、溶接、リベット固定、ねじ固定又はプレス嵌合によって、外壁10.1又は内壁10.2に固定される。本体を壁から一定の距離に配置してもよい。本体のいくつかをカプセルに配置してもよい。
【0048】
第1の変形例によれば、本体のガス化材料は、所定の温度に加熱されたときに残留物を残すことなく蒸発する高分子材料である。例えば、ポリプロピレン及びポリエチレンは450℃〜500℃で完全に蒸発する。
【0049】
第2の変形例によれば、本体のガス化材料は、ガスと化学的に反応するときにガス化する高分子材料である。例えば、ポリオキシメチレン、POMは硝酸ガスと反応することによってガス化する。
【0050】
第2の工程200において、カプセル10は第1の材料粉末で満たされる。図4bはカプセル10を満たすことを示す。満たした後、カプセル10は開口10.5を有する頂壁10.4によって覆われる。開口10.5には真空パイプが取り付けられる。
【0051】
変形例によれば、第2の工程200は、第1の工程100の前に部分的に実施することもできる。そうすると、カプセルは最初に部分的に満たされ、その後、本体がカプセル内に配置され、カプセルが完全に満たされる。
【0052】
これによって、本体11はカプセル内で粉末材料によって支持される。
【0053】
第3の工程300において、ガス化材料は充填されたカプセルから除去される。
【0054】
上述したように、ガス化材料を熱的ガス化高分子材料とすることができる。この場合、ガス化材料を除去する工程300は、カプセル内に真空を適用する工程のサブ工程と高分子材料がガス化する温度にカプセルを加熱するサブ工程とを備える。
【0055】
先ず、図4dに示すように、カプセル10は、炉内に配置されるが、代わりに、カプセルの周囲に配置された要素15を加熱してもよい。カプセル10内で開口10.5に取り付けられた真空ポンプ20によって、カプセルが真空にされる。カプセル10は、本体11内の高分子材料がガス化する温度に加熱される。高分子材料を完全にガス化するために、カプセルは約550℃に加熱され、カプセルサイズやカプセル形状や真空パイプに依存する所定の時間、例えば60分間この温度に保持される。ガス化高分子材料は、真空ポンプ20によって、ガス16としてカプセル10から排出される。
【0056】
上述したように、ガス化材料は、ガスと化学反応することによってガス化される高分子材料とすることができる。この場合、ガス化材料を除去する工程は、カプセル内を真空にするサブ工程と、高分子材料と化学的に反応し、高分子材料をガス化するガスをカプセルに噴射するサブ工程とを備える。
【0057】
先ず、カプセル内で開口10.5の真空パイプに取り付けられた真空ポンプ20によって、カプセルが真空引きされる。その後、真空ポンプ20は停止し、ガス、例えば硝酸ガスがカプセル内に噴射される。ガスはガス化する高分子材料と化学的に反応する。真空ポンプ20は、ガス化高分子材料をカプセルから再び蒸発し始め、カプセルが再び真空引きされる。その後、ポンプは停止し、硝酸ガスが再び噴射される。この工程は、高分子材料が完全にガス化されるまで繰り返される。
【0058】
第4の工程400において、カプセルは、保持されている高分子材料の除去中にカプセルが真空引きされるようにシールされる。カプセルをシールする前に、窒素などのガスをカプセルに噴射してもよい。窒素ガスは、確実にする。アルゴン、酸素、ガス化されたカーボンがカプセル内に存在しないようにする。カプセルのシールは、開口部10.5にある真空パイプを適切な工具を使用してクランプすること、及び溶接して開口を閉鎖することによって行われる。
【0059】
第5の工程500において、加熱されたカプセル10は、第1及び第2の材料粉末が成形体として緻密化される温度まで高圧下で加熱される。
【0060】
図4に示すように、カプセルは圧力室17に配置されている。一般に、HIP室という圧力室17は、少なくとも100気圧(10MPa)の圧力まで加圧され、圧力室17に配置された加熱要素によって少なくとも1000℃まで加熱される。圧力室17を加熱することは、ポンプ19が、圧力室17に空気又はアルゴンなどのガスを汲み上げることにより行われる。カプセル10は、カプセル内の粉末材料の融点以下の温度、例えば100〜500℃に加熱され、圧力室17の圧力が高められる。これによって、カプセルは、加熱されると共に、静水圧を受ける。
【0061】
上昇した圧力及び温度のために、カプセル内の粉末の粒子は、塑性変形し、拡散過程を通じて結合する。これらの過程の組み合わせは、収縮のためにポアを生じるが、HIP後にはポアを生ずることなく本体を完全に緻密化する。例えば、1〜2時間の所定時間経過後、カプセル内の加熱要素の電源が切れ、圧力が大気圧まで下がる。その後、カプセル10が冷却され、焼結製品から分離される。
【0062】
製造された製品は、研削加工、ボーリング加工、塗装、コーティングなどの処理を受ける。
【0063】
この方法の第1の好ましい実施形態によると、本体11は、ガス化材料を有するシェル12を備え、シェルは第2の材料粉末で満たされる。
【0064】
図5a〜5eは、種々の構成のシェルを示す。シェル12は、外壁12.1、底壁12.3及び頂壁12.4とを備える。これらの壁は、任意の厚さ寸法を有し、粉末材料で満たされる体積を規定する。頂壁12.4は、粉末材料が導入される開口12.5を備える。シェルはリング形状(図5a)であり、シェルは内壁12.2を有する。
【0065】
第1の変形例によると、シェル12は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリオキシメチレンなどの上述した高分子材料のシェル12である。シェル12は、種々の製造技術で形成され、例えば、ブロー成形、射出成形、鋳造、自由形状造形、又は機械加工などによって、高分子材料の管やシート材を作る。
【0066】
第2の変形例によれば、シェル12は、高分子材料と第1の材料粉末及び/又は第2の材料粉末の混合物を有する。また、混合物は、第1及び第2の材料粉末とは異なる第3の粉末材料を有する。
【0067】
シェル12内の高分子材料は、上述したように、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリオキシメチレンである。シェル12は、高分子材料と第1の材料などの粉末を混合することによって製造される。湿潤剤は、シェルの製造中に粉末粒子間の接合強度を改良するために加えることができる。シェル12は、任意の製造技術、例えば、押出加工、三次元印刷によって形成される。そうして、シェル12は、高分子材料の融点よりも僅かに高い温度に加熱される。シェル12を冷却すると、高分子材料粉末が固まり、第1及び/又は第2の材料粉末を結合する。
【0068】
混合物中の高分子材料粉末の量は、高分子材料粉末の体積が粉末材料の粒子間の空隙の体積に等しくなるように、調整される。シェルにおいて、高分子材料は、本質的に粉末材料の粒子間の間隙にのみ存在し、高分子材料がガス化によって除去されるときに体積変化によるゆがみが最小化される。
【0069】
シェル12は、第3の材料の外層、例えば、シェルとシェルの内部との間のカーボンなどの成分の拡散、又はシェルとシェルを囲む粉末材料との間の拡散を防ぐニッケルなどを備える。
【0070】
層は、シェル12上で薄い金属シートを適用することによって形成される。シェル12が粉末材料から形成されるとき、高分子材料と、第3の粉末材料、例えば、ニッケルとを有する拡散防止層は、シェル12の面上に形成される。図5fは、第3の材料の外層14.1を有するシェル12を示す。
【0071】
シェル12は、少なくとも第2の材料粉末で満たされ、この方法の第1の工程100で記載されたようにカプセル内に配置される。
【0072】
第1の変形例によれば、シェル12は第2の材料粉末で予め充填される。シェルは、カプセル10内に配置される。この方法の第2の工程200に記載されているように、カプセル10は第1の材料粉末で満たされる。
【0073】
第2の変形例によれば、シェル12は、先ず、カプセル10に配置される。それから、シェルは、第2の材料粉末で満たされる。この場合において、カプセル内にシェル12を配置する工程は、カプセル内にシェルを配置するサブ工程と、シェル12を満たすサブ工程とを備える。そうして、カプセル10は、この方法の第2の工程200で記載されたように第1の材料粉末で満たされる。シェル12とカプセル10は、同時に満たすこともできる。
【0074】
第3の変形例によれば、カプセル10は、先ず、第1の材料粉末で部分的に満たされる。その後、シェル12はカプセル10内に配置される。続いて、シェル12は第2の材料粉末で満たされる。この場合、カプセル内にシェル12を配置する工程は、カプセル内にシェルを配置するサブ工程と、シェルを満たすサブ工程とを備える。そうして、カプセル10は、この方法の第2の工程200で記載されたように第1の材料粉末で満たされる。シェル12は第2の材料粉末で予め満たすこともできる。
【0075】
その後、カプセルは、この方法の工程300、工程400及び工程500で処理される。
【0076】
この方法の第2の実施形態によれば、本体11は、高分子材料と少なくとも第2の材料粉末の混合物を有する固体13を備える。
【0077】
本体13は、作成済みであり、したがって、高分子材料粉末と第2の材料粉末と湿潤剤とを混合することによって製造される。高分子材料粉末は、上述したように、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリオキシメチレンである。湿潤剤は、混合物に添加されることができる。そうして、混合物は、例えば、射出成形加工、押出加工、3次元印刷又は他の適当な加工方法によって、特定の幾何学形状の本体13内に形成される。
【0078】
本体13は、高分子材料の融点よりも僅かに高い温度に加熱される。本体13が冷やされるとき、溶融した高分子材料が固化し、第2の材料粉末が固体に接着する。作成された本体は、必要とされるまで、長時間保管されることができる。
【0079】
本体13は、異なる粉末材料の部分を備える。
【0080】
第1の変形例によれば、本体13は、一方の側から他方の側に向かって濃度勾配を有する。図6aは、異なる濃度の三つの層を有する本体13を示す。第1の層13.1は、高分子材料の一つの部分と第2の材料粉末の九つ部分とを備える。第2の層13.2は、高分子材料の一つの部分と、第2の材料粉末の六つの部分と、第1の材料粉末の三つの部分を備える。第3の層13.3は、高分子材料の一つの部分と、第2の材料粉末の一つの部分と、第1の材料粉末の八つの部分を備える。
【0081】
第2の変形例によれば、図6bに示すように、本体13は、第2の材料粉末の一つの部分13.1と、材料粉末13.2の一つの部分とを備える。
【0082】
第3の変形例によれば、図6cに示すように、本体13は、高分子材料の外層14.1と、ニッケルなどの第3の材料とを備える。層14.1は、本体13と周囲の粉末材料との間の要素の拡散に対して保護する。
【0083】
本体13は、この方法の第1の工程で記載されているように、カプセル10内に配置されている。
【0084】
第1の材料粉末と第2の材料粉末との間で異なる集中度を有する幾つかの本体は、カプセル10内で互いに隣接して配置されている。第2の材料の濃度勾配は、製品の面から製品の中心に向かっている。
【0085】
図7aは濃度勾配がカプセル10の内壁10.2から外壁10.1の方に形成されるように、幾つかの本体13.1,13.2,13.3が配置されている例を示す。第1の作成済み本体13.1は、高分子材料の一つの部分と第2の材料粉末の九つ部分とを備える。第2の作成済み本体11.2は、高分子材料の一つの部分と、第2の材料の六つの部分と、第1の材料粉末の三つの部分とを備える。第3の作成済み本体13.3は、高分子材料の一つの部分と、第2の材料粉末の三つの部分と、第1の材料粉末の六つの部分とを備える。
【0086】
他の変形例によれば、図7bに示すように、高分子材料と第2の材料粉末とを備える第1の本体13.1は、カプセル10内に配置される。他の本体13.2,13.3は、高分子材料と、第3の材料粉末とを備え、例えば、ニッケルが、第1の本体13.1の面と接触して、第1の本体13.1に隣接して配置される。
【0087】
カプセル10は、この方法の第2の工程で記載されているように、第1の材料粉末で満たされる。その後、カプセル10は、この方法の第3の工程300、第4の工程400、第5の工程500で処理される。
【0088】
特別な実施形態について詳細に説明されたが、これは単に例示のためであり、添付の特許請求の範囲について制限することを目的としたものではない。開示された実施形態や変形例は、組み合わせることもできる。特に、発明者によって、種々の変更や改良が、請求項に係る発明の範囲を逸脱することなく実施される。例えば、本体に一体化される製品を製造するのに使用される製造方法は、製品を補強すること以外の目的を有することもできる。例えば、磁気材料を備える本体は、装置を検出するための目印として使用される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体製品の製造方法に関する。特に、本発明は、HIPと呼ばれる熱間等方圧プレス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属又はセラミック粉末の熱間等方圧プレスは、HIP又はヒッピングと呼ばれ、様々な製品の製造プロセスで使用されている。HIP製造プロセスにおいて、製品の形状を規定するカプセルは、金属又は所定の成分のセラミック粉末で満たされる。カプセルは、真空にされ、シールされ、高温高圧にされ、これによって、粉末は緻密化され、成形体になる。
【0003】
一例として、粉体製品は製品によって異なる条件に晒される。または、ある部品や部分が他の部品や部分よりも周囲の環境により一層晒されるように、製品のデザインや幾何学形状が作られる。例えば、製品の一方の部分における荷重又は圧力が、製品の他の部分よりも大きくなることもある。摩耗、例えば、製品が受けるすきとり摩耗は、製品の一方の部分が、製品の他の部分よりも大きくなることもある。例えば、製品のある部分における増加した摩耗により、全体の摩耗から予測されるよりも早い段階で廃棄されることがある。“変化する物理的影響”や“増大する物理的影響”という用語は、以下において、製品が周囲の環境から受ける様々な効果であって、製品の一つの部分が他の部分よりも強調されるその効果を含むように使用される。
【0004】
物理的な荷重が増加する部分において、粉体製品の寸法を増加することによって、粉体製品を強化する試みが成されている。しかし、寸法を大きくすることは、いつもできることではない。
【0005】
粉体製品を強化する他の方法は、特許文献1及び2に記載されているように、フレームをコーティングすることを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0543353号公報
【特許文献2】特開平03−125076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらの方法は完全に成功したものではない。製品の微構造が、コーティングプロセスでの熱のために劣化する。フレームコーティング工具によって製品の所定の部分に到達することが難しいことが証明された。コーティング層の厚さ及び使用される材料の選択は、周知の方法において、制限されたものとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、強化部分を有する粉体製品の改良された製造方法を提供する。
【0009】
本発明の目的は、第1の材料の一部分と第2の材料の少なくとも一部分とを有する粉体製品の製造方法によって達成され、この方法は、第2の材料粉末と一つの選択された部分又は複数の選択された部分内のガス化可能材料とを備え、第2の材料粉末がガス化材料で保持されいる少なくとも第1の本体を製品の形状を規定するカプセル内に配置する工程と、第1の材料粉末をカプセル内に満たす工程と、ガス化材料を除去する工程と、カプセルをシールする工程と、第1の材料及び第2の材料粉末を緻密化して成形体にする高温まで高圧化でカプセルを加熱する工程と、を備える。
【0010】
第2の材料粉末がガス化材料によって保持されるため、カプセル内の任意の位置に容易に配置することができる。“保持する”は、ガス化材料が粉末材料を保持することを意味することによって、本体は破損することなく取り扱われるようになる。従って、第2の材料は、製造中に製品と一体化される。ガス化材料がカプセルから除去されるとき、第2の材料粉末は、カプセルの壁が存在するならば、一緒に保持されると共に、第1の材料の周囲の粉末によって所望の位置に保持される。
【0011】
上記プロセスは、異なる材料で部分を作る製品のニアネットシェイプ又はネットシェイプ製造を可能にする。激しい物理的影響を受ける製品の部分は、これによって強化される。更なる効果は、第2の材料が、到達できないだけでなく、強化できない位置に適用され得るということである。第2の材料が製品の本体に一体化されるため、異なる性質を有する種々の材料が、製品の形態及び形状を損なうことなく適用され得る。製品を緻密化する前に製品の第1の本体に第2の材料粉末の本体を一体化することによって、製品の第2の本体と第1の本体との間の非常に強い密着性が得られる。上記プロセスは、製品の材料が、微細構造を有し、高純度であるため、優れた機械的性質を有する強化された粉体製品の製造を可能にする。
【0012】
本体は、カプセルの壁の内面に配置され、本体は粉末材料で部分的に塞がれる。従って、摩耗や腐食などの物理的影響に対して抵抗する面を有する製品を製造する有効な方法が得られる。
【0013】
また、本体は、カプセルの壁の内面から一定の距離に配置され、本体が粉末材料で塞がれる。従って、重い荷重や衝撃などの物理的影響に対して強化された製品を製造する有効な方法が得られる。
【0014】
カプセルは、筒体とすることが好ましい。本体は、部分的にマント面を覆い、筒体の内壁のマント面と接触する。
【0015】
カプセルは、湾曲部を有する筒体とすることが好ましい。本体は、部分的にマント面を覆い、筒体の内壁のマント面と接触する。
【0016】
本体はカプセルの湾曲部に配置することが好ましい。
【0017】
一つの変形例によれば、本体は、ガス化高分子材料の一つ以上のシェルを備え、一つ又は複数のシェルは、少なくとも第2の材料粉末で満たされるか、予め満たされる。このようなシェルは、低コストで製造することを容易にし、取り扱いを容易にし、カプセル内に位置するか取り付けられる。
【0018】
一つの変形例によれば、本体は、高分子材料と少なくとも第1の材料及び/又は少なくとも第2の材料の一つ以上のシェルを備え、一つ又は複数のシェルは、少なくとも第2の材料粉末で満たされるか、予め満たされる。シェルは、周囲の第1の材料と一体化され、これによって、第1の材料と第2の材料との強い接着が高分子材料の除去と緻密化後に達成される。
【0019】
高分子材料と第1及び第2の材料とを有するシェルの使用は、次の工程でガス化される高分子材料の量を減らす。
【0020】
一つの変形例によれば、カプセルは部分的に第1の材料粉末で満たされ、シェルはカプセルに配置され、カプセルが第1の材料粉末で完全に満たされた後に、シェルは少なくとも第2の材料粉末で満たされる。この充填する工程を実施することによって、シェルはカプセル内の第1の材料粉末によって支持される。従って、シェルは、充填中に固定される。更に、シェルは、固定手段を使用することなく、カプセル内で任意の位置に配置されるという効果が得られる。
【0021】
一つの変形例によれば、本体は、ガス化高分子材料の一つ以上の固体と第2の材料粉末とを備える。多数の固体が予め作成されることができるが、そうすると、本体を充填することが不要になるため、製品の確実な生産をもたらことができる。更に、非常に複雑な形状の本体が、容易に製造され、製品と一体化されるという効果がある。固体は、周囲の材料と非常に良く一体化する。
【0022】
高分子粉末の体積は、本質的に、第1及び第2の材料粉末の粒子間の間隙の体積に等しくなるように、本体を作る混合物中の高分子粉末の量が調整されることが好ましい。高分子材料は粉末材料間の間隙にのみ存在し、高分子材料がガス化によって除去されるときに、生じる体積変化によるゆがみが最小化される。
【0023】
作成済みの固体は、異なる粉末材料の層又は部分を備えることができる。これによって、異なるタイプの補強材が一体化される製品を製造する有効な方法を達成することができる。例えば、作成済み本体の一部は、合金成分の拡散を防止し、本体の他の部分はすきとり摩耗に対する抵抗力を与える。
【0024】
いくつかの本体はカプセル内で調整される。これによって、異なる部分で強化される製品を製造する有効な方法が与えられる。
【0025】
本体は異なる粉末材料を備え、製品の一部分は、一つの物理的影響、例えば、すきとり摩耗に対して強化され、製品の他の部分は、異なる物理的影響、例えば、腐食に対して強化される。
【0026】
本体は、勾配が形成されるように互いに対して隣接して配置される。
【0027】
第1の材料は、ニッケル合金、コバルト合金、工具鋼、炭素鋼、ハドフィールド鋼、マルテンサイトステンレス鋼などのステンレス鋼、クロム鋼、オーステナイトステンレス鋼、二相ステンレス鋼又はそれらの混合物であることが好ましい。
【0028】
第2、第3又は更なる材料は、ニッケル合金、コバルト合金、工具鋼、炭素鋼、ハドフィールド鋼、マルテンサイトステンレス鋼などのステンレス鋼、クロム鋼、オーステナイトステンレス鋼、二相ステンレス鋼又は窒化チタン、炭化チタン、炭化タングステン、ホウ化チタンなどのセラミックス、金属マトリクス複合材又はそれらの混合物であることが好ましい。これらの材料は、すきとり摩耗、衝撃、腐食などに対して強化する。
【0029】
ガス化材料は、ポリプロピレン又はポリエチレンなどの熱的ガス化高分子材料とすることができる。カプセルから高分子材料を除去する工程は、カプセル内で真空にする工程と、高分子材料がガス化する温度にカプセルを加熱する工程の、サブ工程を含む。
【0030】
上述した高分子材料は、容易に成形することができ、そして、カプセル内に残留物を残すことなく加熱されるとき、蒸発する。
【0031】
ガス化材料は、ポリオキシメチレン、POMなどの化学的にガス化可能な高分子材料とすることができる。カプセルから高分子材料を除去する工程は、カプセルを真空にする工程と、高分子と化学的に反応するガスをカプセル内に噴射し、高分子材料をガス化する工程のサブ工程を備える。
【0032】
上述した高分子材料は、容易に成形することができ、そして、カプセル内に残留物を残すことなく、ガスと化学的に反応するようにガス化することによって、容易に除去することができる。
【0033】
この方法は、第1の材料と第2の材料の少なくとも一部分とを備える、ポンプハウジング、パイプ、ベントパイプ、インペラー、マニフォールド又は遠心分離機を製造する使用することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1の材料の第1の部分と第2の材料の第2の部分とを備える粉体製品の断面図を示す。
【図2a−2c】粉体製品を形成する方法で使用されるカプセルを示す図である。
【図3】粉体製品を形成する本発明の方法の工程を示すフローチャートである。
【図4a−4e】粉体製品を形成する本発明の方法の実施形態の工程を示す図である。
【図5a−5f】本発明の方法の第1の好ましい実施形態で使用されるシェルを示す図である。
【図6a−6c】本発明の方法の第2の好ましい実施形態で使用される作成済み本体を示す図である。
【図7a−7b】カプセル内の作成済み本体の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
使用される言葉の定義が以下で示される。
“第1の材料”は製品の第1の部分の材料を意味するものとする。第1の部分は、通常は、製品の本体である。第1の材料は、任意の金属又は合金であり、適用分野において必要な強度を有する固体成形体に緻密化される。例えば、ニッケル合金、コバルト合金、工具鋼、炭素鋼、ハドフィールド鋼、マルテンサイトステンレス鋼などのステンレス鋼、クロム鋼、オーステナイトステンレス鋼、二相ステンレス鋼又は上述した材料の混合物である。
【0036】
“第2の材料”は、製品の第2の部分であって、第1の部分とは異なる部分の材料を意味するものとする。第2の材料は、任意の金属、合金又はセラミックス又は金属−セラミックス複合材であり、適用分野において必要な強度を有し、性質を高める固体成形体に緻密化される。例えば、ニッケル合金、コバルト合金、工具鋼、炭素鋼、ハドフィールド鋼、マルテンサイトステンレス鋼などのステンレス鋼、クロム鋼、オーステナイトステンレス鋼、二相ステンレス鋼又は窒化チタン、炭化チタン、炭化タングステン、ホウ化チタンなどのセラミックス、金属マトリクス複合材又はそれらの混合物である。第2の材料は、第1の材料と上述した材料の混合物とすることもできる。
【0037】
“第3の材料”又は“更なる他の材料”は、製品の第3の部分又は更なる他の部分を意味するものとする。第3の材料などは上述した任意の材料またはそれらの混合物とすることができる。
【0038】
一般に、第1、第2、第3の部分などの材料は、異なる化学成分である。しかしながら、異なる部分の材料は、同じ化学成分とすることができるが、異なる微細構造、例えば異なる相又は変化する粒子サイズを有するものであって、同じ化学成分とすることができる。
【0039】
製品を製造する本発明の製造方法において、“第1の材料”、“第2の材料”、“第3の材料”などは、粒子サイズが1〜500μmの粉末材料として提供される。“第1の材料粉末”は、製品の第1の領域の粉末材料を意図するものとする。“第2の材料粉末”又は“第3の材料粉末”などは、製品の第2、第3,他の領域の粉末材料を意図するものとする。
【0040】
最終製品の部分の材料は、その部分に提供される粉末材料が、同じ化学成分又は相、粒子サイズなど同じ微細構造である。
【0041】
しかしながら、最終製品の材料は、異なる化学成分又は異なる微細構造を有するように、その部分に提供される粉末材料とは異なってもよい。違いは、製造中における材料に及ぼすプロセスパラメータの影響によるものである。例えば、成分の拡散が製造中において高温高圧下で生じるためである。
【0042】
図1は、本発明による方法によって製造された粉体製品1の断面図を示す。図1に示す製品は、沖合の石油の掘削で使用されるパイプである。しかしながら、製品は、例えば、ポンプハウジング、ピストン、パイプ、ベントパイプ、インペラー、マニフォールド又は遠心分離機などの任意の製品とすることができる。図1から見ることができるように、パイプの本体は、第1の材料、例えばステンレス鋼から作られる。パイプは、その内面で3次元方向に延びる部分3を更に備える。部分3は、腐食及び/又は浸食に対して抵抗力のある第2の材料、例えばニッケル合金や金属マトリックス複合材を有する。これによって、パイプは、摩耗に晒される部分において強化される。部分3は、製品1の本体2における任意の位置に配置することもでき、例えば、製品の本体2内に組み込んだり、製品の外面又は製品の端部に配置することもできる。任意の材料は、適用分野における必要な強度を有する固体成形体に緻密化される限りにおいて、本体2や部分3に使用してもよい。
【0043】
図2aは、粉体製品を製造する本発明の製造方法で使用で使用されるカプセル10の一例を示す。カプセル10は、製品の形態を規定し、製造される製品の形態に依存する任意の構成とすることができる。図2bは、A−A線に沿って切断したカプセル10の断面図を示す。カプセル10は、同心に配置された外壁10.1と内壁10.2とを有し、外壁と内壁との間にスペースがある。カプセル10の底において、スペースは底壁10.3により閉じられている。外壁10.1と内壁10.2とは、例えば、軟鋼のシートなどの金属シートと共に溶接によって製造されることができる。底壁10.3は、外壁10.1と内壁10.2のエッジに溶接された金属シートとすることもできる。
【0044】
一つの変形例によれば、外壁10.1と内壁10.2は、円柱状、すなわちチューブ形状としてもよい。これによって、カプセルは、中空円柱の形状、すなわち、パイプを規定する。
【0045】
図2cに示す第二の変形例によれば、外壁10.1と内壁10.2は、円柱であって、湾曲部を含むことができる。これによって、カプセルは、湾曲部を有する中空円柱の形状、すなわち、ベントパイプを規定する。
【0046】
以下には、第1の材料の一つの部分2と第2の材料の部分3とを備える粉体製品1を製造する本発明の製造方法の工程が説明されている。方法の工程は図3のフローチャートで示されている。第1のステップ100において、少なくとも一つの本体11は、第2の材料粉末と、製品の形状を規定するカプセルに配置されたガス化材料とを有する。第2の材料粉末は、ガス化材料によって保持される。これによって、本体11を破壊することなしに扱うことができる。
【0047】
本体11は、強化される製品の部分に適する任意の構成とすることができると共に、カプセル内の任意の適切な位置に配置することができる。図4aは、リング部を構成する本体11を示す。本体は、カプセル10の外壁10.1と内壁10.2との間のスペースに配置される。本体11は、例えば、接着、溶接、リベット固定、ねじ固定又はプレス嵌合によって、外壁10.1又は内壁10.2に固定される。本体を壁から一定の距離に配置してもよい。本体のいくつかをカプセルに配置してもよい。
【0048】
第1の変形例によれば、本体のガス化材料は、所定の温度に加熱されたときに残留物を残すことなく蒸発する高分子材料である。例えば、ポリプロピレン及びポリエチレンは450℃〜500℃で完全に蒸発する。
【0049】
第2の変形例によれば、本体のガス化材料は、ガスと化学的に反応するときにガス化する高分子材料である。例えば、ポリオキシメチレン、POMは硝酸ガスと反応することによってガス化する。
【0050】
第2の工程200において、カプセル10は第1の材料粉末で満たされる。図4bはカプセル10を満たすことを示す。満たした後、カプセル10は開口10.5を有する頂壁10.4によって覆われる。開口10.5には真空パイプが取り付けられる。
【0051】
変形例によれば、第2の工程200は、第1の工程100の前に部分的に実施することもできる。そうすると、カプセルは最初に部分的に満たされ、その後、本体がカプセル内に配置され、カプセルが完全に満たされる。
【0052】
これによって、本体11はカプセル内で粉末材料によって支持される。
【0053】
第3の工程300において、ガス化材料は充填されたカプセルから除去される。
【0054】
上述したように、ガス化材料を熱的ガス化高分子材料とすることができる。この場合、ガス化材料を除去する工程300は、カプセル内に真空を適用する工程のサブ工程と高分子材料がガス化する温度にカプセルを加熱するサブ工程とを備える。
【0055】
先ず、図4dに示すように、カプセル10は、炉内に配置されるが、代わりに、カプセルの周囲に配置された要素15を加熱してもよい。カプセル10内で開口10.5に取り付けられた真空ポンプ20によって、カプセルが真空にされる。カプセル10は、本体11内の高分子材料がガス化する温度に加熱される。高分子材料を完全にガス化するために、カプセルは約550℃に加熱され、カプセルサイズやカプセル形状や真空パイプに依存する所定の時間、例えば60分間この温度に保持される。ガス化高分子材料は、真空ポンプ20によって、ガス16としてカプセル10から排出される。
【0056】
上述したように、ガス化材料は、ガスと化学反応することによってガス化される高分子材料とすることができる。この場合、ガス化材料を除去する工程は、カプセル内を真空にするサブ工程と、高分子材料と化学的に反応し、高分子材料をガス化するガスをカプセルに噴射するサブ工程とを備える。
【0057】
先ず、カプセル内で開口10.5の真空パイプに取り付けられた真空ポンプ20によって、カプセルが真空引きされる。その後、真空ポンプ20は停止し、ガス、例えば硝酸ガスがカプセル内に噴射される。ガスはガス化する高分子材料と化学的に反応する。真空ポンプ20は、ガス化高分子材料をカプセルから再び蒸発し始め、カプセルが再び真空引きされる。その後、ポンプは停止し、硝酸ガスが再び噴射される。この工程は、高分子材料が完全にガス化されるまで繰り返される。
【0058】
第4の工程400において、カプセルは、保持されている高分子材料の除去中にカプセルが真空引きされるようにシールされる。カプセルをシールする前に、窒素などのガスをカプセルに噴射してもよい。窒素ガスは、確実にする。アルゴン、酸素、ガス化されたカーボンがカプセル内に存在しないようにする。カプセルのシールは、開口部10.5にある真空パイプを適切な工具を使用してクランプすること、及び溶接して開口を閉鎖することによって行われる。
【0059】
第5の工程500において、加熱されたカプセル10は、第1及び第2の材料粉末が成形体として緻密化される温度まで高圧下で加熱される。
【0060】
図4に示すように、カプセルは圧力室17に配置されている。一般に、HIP室という圧力室17は、少なくとも100気圧(10MPa)の圧力まで加圧され、圧力室17に配置された加熱要素によって少なくとも1000℃まで加熱される。圧力室17を加熱することは、ポンプ19が、圧力室17に空気又はアルゴンなどのガスを汲み上げることにより行われる。カプセル10は、カプセル内の粉末材料の融点以下の温度、例えば100〜500℃に加熱され、圧力室17の圧力が高められる。これによって、カプセルは、加熱されると共に、静水圧を受ける。
【0061】
上昇した圧力及び温度のために、カプセル内の粉末の粒子は、塑性変形し、拡散過程を通じて結合する。これらの過程の組み合わせは、収縮のためにポアを生じるが、HIP後にはポアを生ずることなく本体を完全に緻密化する。例えば、1〜2時間の所定時間経過後、カプセル内の加熱要素の電源が切れ、圧力が大気圧まで下がる。その後、カプセル10が冷却され、焼結製品から分離される。
【0062】
製造された製品は、研削加工、ボーリング加工、塗装、コーティングなどの処理を受ける。
【0063】
この方法の第1の好ましい実施形態によると、本体11は、ガス化材料を有するシェル12を備え、シェルは第2の材料粉末で満たされる。
【0064】
図5a〜5eは、種々の構成のシェルを示す。シェル12は、外壁12.1、底壁12.3及び頂壁12.4とを備える。これらの壁は、任意の厚さ寸法を有し、粉末材料で満たされる体積を規定する。頂壁12.4は、粉末材料が導入される開口12.5を備える。シェルはリング形状(図5a)であり、シェルは内壁12.2を有する。
【0065】
第1の変形例によると、シェル12は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリオキシメチレンなどの上述した高分子材料のシェル12である。シェル12は、種々の製造技術で形成され、例えば、ブロー成形、射出成形、鋳造、自由形状造形、又は機械加工などによって、高分子材料の管やシート材を作る。
【0066】
第2の変形例によれば、シェル12は、高分子材料と第1の材料粉末及び/又は第2の材料粉末の混合物を有する。また、混合物は、第1及び第2の材料粉末とは異なる第3の粉末材料を有する。
【0067】
シェル12内の高分子材料は、上述したように、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリオキシメチレンである。シェル12は、高分子材料と第1の材料などの粉末を混合することによって製造される。湿潤剤は、シェルの製造中に粉末粒子間の接合強度を改良するために加えることができる。シェル12は、任意の製造技術、例えば、押出加工、三次元印刷によって形成される。そうして、シェル12は、高分子材料の融点よりも僅かに高い温度に加熱される。シェル12を冷却すると、高分子材料粉末が固まり、第1及び/又は第2の材料粉末を結合する。
【0068】
混合物中の高分子材料粉末の量は、高分子材料粉末の体積が粉末材料の粒子間の空隙の体積に等しくなるように、調整される。シェルにおいて、高分子材料は、本質的に粉末材料の粒子間の間隙にのみ存在し、高分子材料がガス化によって除去されるときに体積変化によるゆがみが最小化される。
【0069】
シェル12は、第3の材料の外層、例えば、シェルとシェルの内部との間のカーボンなどの成分の拡散、又はシェルとシェルを囲む粉末材料との間の拡散を防ぐニッケルなどを備える。
【0070】
層は、シェル12上で薄い金属シートを適用することによって形成される。シェル12が粉末材料から形成されるとき、高分子材料と、第3の粉末材料、例えば、ニッケルとを有する拡散防止層は、シェル12の面上に形成される。図5fは、第3の材料の外層14.1を有するシェル12を示す。
【0071】
シェル12は、少なくとも第2の材料粉末で満たされ、この方法の第1の工程100で記載されたようにカプセル内に配置される。
【0072】
第1の変形例によれば、シェル12は第2の材料粉末で予め充填される。シェルは、カプセル10内に配置される。この方法の第2の工程200に記載されているように、カプセル10は第1の材料粉末で満たされる。
【0073】
第2の変形例によれば、シェル12は、先ず、カプセル10に配置される。それから、シェルは、第2の材料粉末で満たされる。この場合において、カプセル内にシェル12を配置する工程は、カプセル内にシェルを配置するサブ工程と、シェル12を満たすサブ工程とを備える。そうして、カプセル10は、この方法の第2の工程200で記載されたように第1の材料粉末で満たされる。シェル12とカプセル10は、同時に満たすこともできる。
【0074】
第3の変形例によれば、カプセル10は、先ず、第1の材料粉末で部分的に満たされる。その後、シェル12はカプセル10内に配置される。続いて、シェル12は第2の材料粉末で満たされる。この場合、カプセル内にシェル12を配置する工程は、カプセル内にシェルを配置するサブ工程と、シェルを満たすサブ工程とを備える。そうして、カプセル10は、この方法の第2の工程200で記載されたように第1の材料粉末で満たされる。シェル12は第2の材料粉末で予め満たすこともできる。
【0075】
その後、カプセルは、この方法の工程300、工程400及び工程500で処理される。
【0076】
この方法の第2の実施形態によれば、本体11は、高分子材料と少なくとも第2の材料粉末の混合物を有する固体13を備える。
【0077】
本体13は、作成済みであり、したがって、高分子材料粉末と第2の材料粉末と湿潤剤とを混合することによって製造される。高分子材料粉末は、上述したように、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリオキシメチレンである。湿潤剤は、混合物に添加されることができる。そうして、混合物は、例えば、射出成形加工、押出加工、3次元印刷又は他の適当な加工方法によって、特定の幾何学形状の本体13内に形成される。
【0078】
本体13は、高分子材料の融点よりも僅かに高い温度に加熱される。本体13が冷やされるとき、溶融した高分子材料が固化し、第2の材料粉末が固体に接着する。作成された本体は、必要とされるまで、長時間保管されることができる。
【0079】
本体13は、異なる粉末材料の部分を備える。
【0080】
第1の変形例によれば、本体13は、一方の側から他方の側に向かって濃度勾配を有する。図6aは、異なる濃度の三つの層を有する本体13を示す。第1の層13.1は、高分子材料の一つの部分と第2の材料粉末の九つ部分とを備える。第2の層13.2は、高分子材料の一つの部分と、第2の材料粉末の六つの部分と、第1の材料粉末の三つの部分を備える。第3の層13.3は、高分子材料の一つの部分と、第2の材料粉末の一つの部分と、第1の材料粉末の八つの部分を備える。
【0081】
第2の変形例によれば、図6bに示すように、本体13は、第2の材料粉末の一つの部分13.1と、材料粉末13.2の一つの部分とを備える。
【0082】
第3の変形例によれば、図6cに示すように、本体13は、高分子材料の外層14.1と、ニッケルなどの第3の材料とを備える。層14.1は、本体13と周囲の粉末材料との間の要素の拡散に対して保護する。
【0083】
本体13は、この方法の第1の工程で記載されているように、カプセル10内に配置されている。
【0084】
第1の材料粉末と第2の材料粉末との間で異なる集中度を有する幾つかの本体は、カプセル10内で互いに隣接して配置されている。第2の材料の濃度勾配は、製品の面から製品の中心に向かっている。
【0085】
図7aは濃度勾配がカプセル10の内壁10.2から外壁10.1の方に形成されるように、幾つかの本体13.1,13.2,13.3が配置されている例を示す。第1の作成済み本体13.1は、高分子材料の一つの部分と第2の材料粉末の九つ部分とを備える。第2の作成済み本体11.2は、高分子材料の一つの部分と、第2の材料の六つの部分と、第1の材料粉末の三つの部分とを備える。第3の作成済み本体13.3は、高分子材料の一つの部分と、第2の材料粉末の三つの部分と、第1の材料粉末の六つの部分とを備える。
【0086】
他の変形例によれば、図7bに示すように、高分子材料と第2の材料粉末とを備える第1の本体13.1は、カプセル10内に配置される。他の本体13.2,13.3は、高分子材料と、第3の材料粉末とを備え、例えば、ニッケルが、第1の本体13.1の面と接触して、第1の本体13.1に隣接して配置される。
【0087】
カプセル10は、この方法の第2の工程で記載されているように、第1の材料粉末で満たされる。その後、カプセル10は、この方法の第3の工程300、第4の工程400、第5の工程500で処理される。
【0088】
特別な実施形態について詳細に説明されたが、これは単に例示のためであり、添付の特許請求の範囲について制限することを目的としたものではない。開示された実施形態や変形例は、組み合わせることもできる。特に、発明者によって、種々の変更や改良が、請求項に係る発明の範囲を逸脱することなく実施される。例えば、本体に一体化される製品を製造するのに使用される製造方法は、製品を補強すること以外の目的を有することもできる。例えば、磁気材料を備える本体は、装置を検出するための目印として使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の材料の一部分(2)と第2の材料の少なくとも一部分(3)とを有する粉体製品(1)の製造方法において、
第2の材料粉末と、一つの選択された部分又は複数の選択された部分内のガス化材料とを備える少なくとも第1の本体(11,12,13)であって、第2の材料粉末がガス化材料で保持されている少なくとも第1の本体(11,12,13)を製品の形状を規定するカプセル内に配置する工程(100)と、
第1の材料粉末をカプセル(10)内に満たす工程(200)と、
ガス化材料を除去する工程(300)と、
カプセルをシールする工程(400)と、
第1の材料粉末及び第2の材料粉末を緻密化して成形体にする高温まで高圧下でカプセルを加熱する工程(500)と、
を備える製造方法。
【請求項2】
本体(11,12,13)が、カプセル(10)の壁(10.1,10.2)の内面に配置され、本体(11,12,13)が部分的に粉末材料で閉じられている請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
本体(11,12,13)は、カプセル(10)の壁(10.1,10.2)の内面から一定の距離に配置され、本体(11,12,13)が粉末材料で閉じられている請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
カプセル(10)が中空体を形成し、
本体(11,12,13)が、中空体(10)の内壁(10.2)の内面と接触して配置され、内面を部分的に閉じる請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
カプセル10は湾曲部を有する中空体を形成し、
本体(11,12,13)が、中空体(10)の内壁(10.2)の内面と接触して配置され、内面を部分的に閉じる請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
本体(11)が、ガス化高分子材料の一つ以上のシェル(12)を備え、
シェル(12)が、第2の材料粉末で満たされ、又は予め満たされている請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
本体(11)が、ガス化高分子材料及び少なくとも第1の材料粉末又は少なくとも第2の材料粉末の一つ以上のシェル(12)を備え、
シェル(12)が、第2の材料粉末で満たされ、又は予め満たされている請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
カプセルが第1の材料粉末で部分的に満たされ、
シェル(12)がカプセル(10)に配置され、
シェル(12)が、少なくとも第2の材料粉末で満たされ、その後、カプセル(10)が第1の材料粉末で完全に満たされる請求項6又は7に記載の製造方法。
【請求項9】
本体(11)が、ガス化高分子材料の一つ以上の固体(13)と少なくとも第2の材料粉末とを有する請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
本体(13)が、層(13.1,13.2)又は異なる材料の粉末の部分(13.1,13.2)と有する請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
カプセル(10)が第1の材料粉末で部分的に満たされ、
固体(13)がカプセル(10)に配置され、その後、カプセル(10)が第1の材料粉末で完全に満たされる請求項9又は10に記載の製造方法。
【請求項12】
幾つかの本体(11,12,13)がカプセル(10)内に配置される請求項1〜10の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
本体(11,12,13)が異なる材料粉末を有する請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
第1の材料が、ニッケル合金、銅合金、工具鋼、炭素鋼、ハドフィールド鋼、マルテンサイトステンレス鋼などのステンレス鋼、クロム鋼、オーステナイトステンレス鋼、二相ステンレス鋼又はこれらの混合物である請求項1〜13の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
第2の材料、第3の材料又は他の材料が、ニッケル合金、銅合金、工具鋼、炭素鋼、ハドフィールド鋼、マルテンサイトステンレス鋼などのステンレス鋼、クロム鋼、オーステナイトステンレス鋼、二相ステンレス鋼、又はこれらの混合物、又は窒化チタン、炭化チタン、炭化タングステン又はこれらの混合物を含むセラミックスである請求項1〜14の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項16】
ガス化材料が、ポリプロピレン又はポリエチレンなどの熱的にガス化する高分子材料であり、
カプセル(10)から高分子材料を除去する工程(300)が、
カプセル(10)を真空にする工程と、
高分子材料がガス化する温度までカプセル(10)を加熱する工程と、
を備える請求項1〜15の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項17】
ガス化材料が、ポリオキシメチレン又はPOMなどのなどの化学的にガス化する高分子材料であり、
カプセル(10)から高分子材料を除去する工程(300)が、
カプセル(10)を真空にする工程と、
高分子材料がガス化するように高分子材料と化学的に反応するガスをカプセルに噴射する工程と、
を備える請求項1〜15の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項18】
請求項1〜17の何れか1項に記載の方法で製造された第1の材料の一部分(2)と第2の材料の少なくとも一部分(3)とを備えるポンプハウジング、パイプ、ベントパイプ、インペラー、マニフォールド又は遠心分離機などの製品。
【請求項1】
第1の材料の一部分(2)と第2の材料の少なくとも一部分(3)とを有する粉体製品(1)の製造方法において、
第2の材料粉末と、一つの選択された部分又は複数の選択された部分内のガス化材料とを備える少なくとも第1の本体(11,12,13)であって、第2の材料粉末がガス化材料で保持されている少なくとも第1の本体(11,12,13)を製品の形状を規定するカプセル内に配置する工程(100)と、
第1の材料粉末をカプセル(10)内に満たす工程(200)と、
ガス化材料を除去する工程(300)と、
カプセルをシールする工程(400)と、
第1の材料粉末及び第2の材料粉末を緻密化して成形体にする高温まで高圧下でカプセルを加熱する工程(500)と、
を備える製造方法。
【請求項2】
本体(11,12,13)が、カプセル(10)の壁(10.1,10.2)の内面に配置され、本体(11,12,13)が部分的に粉末材料で閉じられている請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
本体(11,12,13)は、カプセル(10)の壁(10.1,10.2)の内面から一定の距離に配置され、本体(11,12,13)が粉末材料で閉じられている請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
カプセル(10)が中空体を形成し、
本体(11,12,13)が、中空体(10)の内壁(10.2)の内面と接触して配置され、内面を部分的に閉じる請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
カプセル10は湾曲部を有する中空体を形成し、
本体(11,12,13)が、中空体(10)の内壁(10.2)の内面と接触して配置され、内面を部分的に閉じる請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
本体(11)が、ガス化高分子材料の一つ以上のシェル(12)を備え、
シェル(12)が、第2の材料粉末で満たされ、又は予め満たされている請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
本体(11)が、ガス化高分子材料及び少なくとも第1の材料粉末又は少なくとも第2の材料粉末の一つ以上のシェル(12)を備え、
シェル(12)が、第2の材料粉末で満たされ、又は予め満たされている請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
カプセルが第1の材料粉末で部分的に満たされ、
シェル(12)がカプセル(10)に配置され、
シェル(12)が、少なくとも第2の材料粉末で満たされ、その後、カプセル(10)が第1の材料粉末で完全に満たされる請求項6又は7に記載の製造方法。
【請求項9】
本体(11)が、ガス化高分子材料の一つ以上の固体(13)と少なくとも第2の材料粉末とを有する請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
本体(13)が、層(13.1,13.2)又は異なる材料の粉末の部分(13.1,13.2)と有する請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
カプセル(10)が第1の材料粉末で部分的に満たされ、
固体(13)がカプセル(10)に配置され、その後、カプセル(10)が第1の材料粉末で完全に満たされる請求項9又は10に記載の製造方法。
【請求項12】
幾つかの本体(11,12,13)がカプセル(10)内に配置される請求項1〜10の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
本体(11,12,13)が異なる材料粉末を有する請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
第1の材料が、ニッケル合金、銅合金、工具鋼、炭素鋼、ハドフィールド鋼、マルテンサイトステンレス鋼などのステンレス鋼、クロム鋼、オーステナイトステンレス鋼、二相ステンレス鋼又はこれらの混合物である請求項1〜13の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
第2の材料、第3の材料又は他の材料が、ニッケル合金、銅合金、工具鋼、炭素鋼、ハドフィールド鋼、マルテンサイトステンレス鋼などのステンレス鋼、クロム鋼、オーステナイトステンレス鋼、二相ステンレス鋼、又はこれらの混合物、又は窒化チタン、炭化チタン、炭化タングステン又はこれらの混合物を含むセラミックスである請求項1〜14の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項16】
ガス化材料が、ポリプロピレン又はポリエチレンなどの熱的にガス化する高分子材料であり、
カプセル(10)から高分子材料を除去する工程(300)が、
カプセル(10)を真空にする工程と、
高分子材料がガス化する温度までカプセル(10)を加熱する工程と、
を備える請求項1〜15の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項17】
ガス化材料が、ポリオキシメチレン又はPOMなどのなどの化学的にガス化する高分子材料であり、
カプセル(10)から高分子材料を除去する工程(300)が、
カプセル(10)を真空にする工程と、
高分子材料がガス化するように高分子材料と化学的に反応するガスをカプセルに噴射する工程と、
を備える請求項1〜15の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項18】
請求項1〜17の何れか1項に記載の方法で製造された第1の材料の一部分(2)と第2の材料の少なくとも一部分(3)とを備えるポンプハウジング、パイプ、ベントパイプ、インペラー、マニフォールド又は遠心分離機などの製品。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【公表番号】特表2012−522893(P2012−522893A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503373(P2012−503373)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050361
【国際公開番号】WO2010/114474
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(507226695)サンドヴィク インテレクチュアル プロパティー アーゲー (34)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050361
【国際公開番号】WO2010/114474
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(507226695)サンドヴィク インテレクチュアル プロパティー アーゲー (34)
【Fターム(参考)】
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