説明

粉末コーティング用途に有用なエポキシ−イミダゾール触媒

固体エポキシ−イミダゾール触媒を形成する方法であって:イミダゾール、アミン、および1種以上のエポキシレジンを、添加される溶媒の不存在下で接触させて固体エポキシ−イミダゾール触媒を形成すること;を含む方法である。他の側面において、開示する態様は、エポキシ−イミダゾール触媒、更には硬化性組成物、硬化性組成物を形成する方法、および添加される溶媒の不存在下で形成されるエポキシ−イミダゾール触媒を用いて熱硬化レジンを形成する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の背景
開示の分野
本明細書で開示する態様は、概略的には、粉末コーティング用途に有用なエポキシ−イミダゾール触媒に関する。より具体的には、本明細書で開示する態様は、無溶媒プロセスを用いて形成される固体エポキシ−イミダゾール触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
イミダゾールは、エポキシレジン用の硬化剤として広く使用されている。これによって硬化される生成物は、一般的に、高度に望ましい物理特性および化学特性を有するからである。しかし、殆どの3級窒素含有硬化剤のように、イミダゾールは、室温でも極めて急速にエポキシレジン系と反応する。部分的に反応したイミダゾール−エポキシ系およびイミダゾール化合物(環内に2級アミノ基を有するもの)は、貯蔵寿命を延長するために使用する場合があり、関連する欠点を伴う。
【0003】
これらの欠点を回避するために、米国特許第3,756,984号は、ある範囲の、モノ−およびポリエポキシドのイミダゾール(環内に2級アミノ基を有するもの)による付加物の調製、ならびにこのような化合物を、硬化剤として、単独または他の硬化剤との組合せで、エポキシ組成物,特に成形用粉末または粉末コーティング組成物において使用することを開示する。これらの記載されるエポキシ−イミダゾール付加物は、一般的には、ポリエポキシドの無水硬化のための良好な硬化剤および促進剤である。米国特許第5,310,864号および第4,066,625号は、他のエポキシ−イミダゾール付加物を議論する。
【0004】
上記で列挙した特許において記載されるエポキシ−イミダゾール化合物は、典型的には溶媒系プロセスにおいて製造する。溶媒系プロセスは、一般的には、反応温度を制御すること、および固体反応生成物の早期のゲル化を回避することを必要とする。エポキシ−イミダゾール化合物の例(Hexion Specialty Chemicals,Houston,Texasから入手可能)は、触媒型硬化剤(商品名EPI−CURE,例えばEPI−CURE Pl0lで入手可能)である。
【0005】
溶媒系プロセスの結果として得られる固体触媒は、必然的に少量の残存溶媒を有する。特定の粉末系(固体)エポキシ系は、この残存溶媒による影響を受ける場合がある。
【0006】
従って、改善されたエポキシ−イミダゾール触媒系に対する必要性が存在する。加えて、改善されたコーティング性能,例えば高温水耐性、陰極剥離耐性、接着、および硬化性(低温での)を、他のコーティング特性を維持しながら有する粉末コーティング配合物の開発の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の要約
一側面において、本明細書で開示する態様は、固体エポキシ−イミダゾール触媒を形成する方法に関し、該方法は:イミダゾール、アミン、および1種以上のエポキシレジンを、添加される溶媒の不存在下で接触させて固体エポキシ−イミダゾール触媒を形成することを含む。
【0008】
別の側面において、本明細書で開示する態様は、イミダゾール、アミン、および1種以上のエポキシレジンを、添加される溶媒の不存在下で接触させて固体エポキシ−イミダゾール触媒を形成することを含む方法で形成されるエポキシ−イミダゾール触媒に関する。
【0009】
別の側面において、本明細書で開示する態様は、エポキシレジンと;イミダゾール、アミン、および1種以上のエポキシレジンを、添加される溶媒の不存在下で接触させて固体エポキシ−イミダゾール触媒を形成することを含む方法によって形成されるエポキシ−イミダゾール触媒と;を含む、硬化性組成物に関する。
【0010】
別の側面において、本明細書で開示する態様は、硬化性組成物を形成する方法であって:イミダゾール、アミン、および1種以上のエポキシレジンを、添加される溶媒の不存在下で接触させて固体エポキシ−イミダゾール触媒を形成すること;ならびに該固体エポキシ−イミダゾール触媒を少なくとも1種のエポキシレジンと混合すること;を含む方法に関する。
【0011】
別の側面において、本明細書で記載する態様は、熱硬化レジンを形成する方法であって:イミダゾール、アミン、および1種以上のエポキシレジンを、添加される溶媒の不存在下で接触させて固体エポキシ−イミダゾール触媒を形成すること;該固体エポキシ−イミダゾール触媒を少なくとも1種のエポキシレジンと混合して硬化性組成物を形成すること;ならびに該硬化性組成物を温度少なくとも60℃で熱的に硬化させて熱硬化レジンを形成すること;を含む方法に関する。
【0012】
他の側面および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
一側面において、本明細書で開示する態様は、エポキシ−イミダゾール触媒に関する。より詳細には、本明細書で開示する態様は、溶媒不含有プロセスにおいて形成されるエポキシ−イミダゾール触媒に関する。得られる触媒(溶媒不含有)は、粉末コーティング用途および他の用途(残存溶媒感受性である場合があるもの)のために有用であることができる。
【0014】
固体エポキシ−イミダゾール触媒は、本明細書で開示する態様に従って、イミダゾール、アミン、および1種以上のエポキシレジンを、添加される溶媒の不存在下で接触させることによって形成できる。イミダゾール、エポキシレジンおよびアミンの間の反応は、ある態様において、過度のエポキシ単独重合を回避するように比較的低温で実施できる。例えば、接触させることを、反応温度を140℃未満に維持するように制御された条件下で行うことによって、エポキシとイミダゾールとの間の効率的な反応を与える。
【0015】
エポキシとイミダゾールとの反応は、発熱反応による過度の熱を生じさせる場合がある。よって、本明細書で開示する態様に従い、過度の反応温度を回避するために、エポキシレジン、アミンおよびイミダゾールの接触を制御された様式で行って、混合物中に存在する反応物質の量を制限することができ、よって制御された発熱および十分な徐熱をもたらすことができる。例えば、イミダゾール、アミン、およびエポキシレジンの一部の初期混合物を反応させて初期発熱を生じさせる。残りの量のエポキシレジンを反応器に分割量で入れることができ、反応熱を混合物から除去し、よって反応混合物の温度を制御できる。分割量としては、例えば、エポキシレジンの延長された時間に亘っての連続または半連続の添加が挙げられ、ここで添加速度は、不所望の発熱および過度の反応温度をもたらさないように選択する。
【0016】
本明細書で開示する態様に従った、反応して固体エポキシ−イミダゾール触媒を形成する組成物全体は、10〜35質量パーセントのイミダゾール、65〜90質量パーセントの1種以上のエポキシレジン、および0超〜10質量パーセントのアミンを含むことができる。種々の態様において有用なエポキシレジン、イミダゾール、およびアミンを以下でより詳細に説明する。
【0017】
エポキシレジン
本明細書で開示する態様において使用するエポキシレジンは多様であることができ、そして従来のおよび市販で入手可能なエポキシレジンであることができ、これらは単独でまたは2種以上の組み合わせで使用できる。エポキシレジンの本明細書で開示する組成物のための選択においては、最終生成物の特性のみならず、レジン組成物の加工に影響する場合がある粘度および他の特性もまた考慮するのがよい。
【0018】
エポキシレジン成分は任意の種類のエポキシレジンであることができ、1つ以上の反応性オキシラン基(本明細書において「エポキシ基」または「エポキシ官能基」ともいう)を含有する任意の材料が挙げられる。本明細書で開示する態様において有用なエポキシレジンとしては、単官能エポキシレジン、多−またはポリ−官能エポキシレジン、およびこれらの組合せを挙げることができる。モノマー性およびポリマー性のエポキシレジンは、脂肪族、脂環式、芳香族、または複素環式のエポキシレジンであることができる。ポリマーエポキシとしては、直鎖ポリマーであって末端エポキシ基を有するもの(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、ポリマー骨格オキシラン単位(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)および側鎖エポキシ基を有するポリマー(例えば、グリシジルメタクリレートポリマーまたはコポリマー)が挙げられる。エポキシドは、純粋な化合物であることができるが、一般的には、分子当たり1つ、2つまたはそれを超えるエポキシ基を含有する混合物または化合物である。ある態様において、エポキシレジンは、反応性−OH基を有することもでき、これはより高温で無水物、有機酸、アミノレジン、フェノールレジン、またはエポキシ基(触媒される場合)と反応して、更なる架橋をもたらすことができる。
【0019】
一般的には、エポキシレジンはグリシデート化レジン、脂環式レジン、エポキシ化油等であることができる。グリシデート化レジンは、しばしば、エピクロロヒドリンとビスフェノール化合物,例えばビスフェノールA;C4〜C28アルキルグリシジルエーテル;C2〜C28アルキル−およびアルケニル−グリシジルエステル;C1〜C28アルキル−、モノ−およびポリ−フェノールグリジシルエーテル;多官能フェノールのポリグリシジルエーテル,例えばピロカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン(またはビスフェノールF)、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン(またはビスフェノールA)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、およびトリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;上記のジフェノールの塩素化生成物および臭素化生成物のポリグリシジルエーテル;ノボラックのポリグリシジルエーテル;芳香族ヒドロカルボン酸のジハロアルカンまたはジハロゲンジアルキルエーテルとの塩のエステル化によって得られるジフェノールのエーテルのエステル化によって得られるジフェノールのポリグリシジルエーテル;フェノールと、少なくとも2つのハロゲン原子を含有する長鎖ハロゲンパラフィンとの縮合によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル、との反応生成物である。本明細書で開示する態様において有用なエポキシレジンの他の例としては、ビス−4,4’−(1−メチルエチリデン)フェノールジグリシジルエーテルおよび(クロロメチル)オキシランビスフェノールAジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0020】
ある態様において、エポキシレジンとしては:グリシジルエーテル型;グリシジル−エステル型;脂環式型;複素環型、およびハロゲン化エポキシレジン等が挙げられる。好適なエポキシレジンの非限定例としては、クレゾールノボラックエポキシレジン、フェノールノボラックエポキシレジン、ビフェニルエポキシレジン、ハイドロキノンエポキシレジン、スチルベンエポキシレジン、ならびにこれらの混合物および組合せを挙げることができる。
【0021】
好適なポリエポキシ化合物としては、レゾルシノールジグリシジルエーテル(1,3−ビス−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゼン),ビスフェノールA(2,2−ビス(p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル))プロパンのジグリシジルエーテル,トリグリシジルp−アミノフェノール(4−(2,3−エポキシプロポキシ)−N,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)アニリン),ブロモビスフェノールA(2,2−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)3−ブロモ−フェニル)プロパン)のジグリシジルエーテル,ビスフェノールF(2,2−ビス(p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)メタン)のジグリシジルエーテル,メタ−および/またはパラ−アミノフェノール(3−(2,3−エポキシプロポキシ)N,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)アニリン)のトリグリシジルエーテル,ならびにテトラグリシジルメチレンジアニリン(N,N,N’,N’−テトラ(2,3−エポキシプロピル)4,4’−ジアミノジフェニルメタン),ならびに2種以上のポリエポキシ化合物の混合物を挙げることができる。見出される有用なエポキシレジンのより包括的な列挙は、Lee,H.およびNeville,K.,Handbook of Epoxy Resins,McGraw−Hill Book Company,1982再発行、に見出すことができる。
【0022】
他の好適なエポキシレジンとしては、芳香族アミンおよびエピクロロヒドリンを基にするポリエポキシ化合物,例えば、N,N’−ジグリシジル−アニリン;N,N’−ジメチル−N,N’−ジグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン;N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン;N−ジグリシジル−4−アミノフェニルグリシジルエーテル;およびN,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−プロピレンビス−4−アミノベンゾエートが挙げられる。エポキシレジンとしてはまた:芳香族ジアミン、芳香族モノ1級アミン、アミノフェノール、多価フェノール、多価アルコール、ポリカルボン酸、の1種以上のグリシジル誘導体を挙げることができる。
【0023】
有用なエポキシレジンとしては、例えば、多価ポリオール,例えばエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセロール、および2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのポリグリシジルエーテル;脂肪族および芳香族のポリカルボン酸,例えばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、および二量体化リノール酸のポリグリシジルエーテル;ポリフェノール,例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン、および1,5−ジヒドロキシナフタレンのポリグリシジルエーテル;アクリレート部分またはウレタン部分を有する変性エポキシレジン;グリシジルアミンエポキシレジン;ならびにノボラックレジンが挙げられる。
【0024】
エポキシ化合物は、脂環式(cycloaliphaticまたはalicyclic)エポキシドであることができる。脂環式エポキシドの例としては、ジカルボン酸の脂環式エステルのジエポキシド,例えばビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)オキサレート,ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート,ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート,ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ピメレート;ビニルシクロヘキサンジエポキシド;リモネンジエポキシド;ジシクロペンタジエンジエポキシド;等が挙げられる。他の好適な、ジカルボン酸の脂環式エステルのジエポキシドは、例えば米国特許第2,750,395号に記載されている。
【0025】
他の脂環式エポキシドとしては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート,例えば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキサンカルボキシレート;6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート;3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート;3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート等が挙げられる。他の好適な3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートは、例えば、米国特許第2,890,194号に記載されている。
【0026】
特に有用な更なるエポキシ含有材料としては、グリシジルエーテルモノマーを基にするものが挙げられる。例は、多価フェノールを過剰のクロロヒドリン(例えばエピクロロヒドリン)と反応させることによって得られる多価フェノールのジ−またはポリグリシジルエーテルである。このような多価フェノールとしては、レゾルシノール,ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールFとして公知),2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールAとして公知),2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジブロモフェニル)プロパン,1,1,2,2−テトラキス(4’−ヒドロキシ−フェニル)エタンまたはフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(酸条件下で得られるもの,例えばフェノールノボラックおよびクレゾールノボラック)が挙げられる。この種のエポキシレジンの例は、米国特許第3,018,262号に記載されている。他の例としては、多価アルコール,例えば1,4−ブタンジオール、またはポリアルキレングリコール,例えばポリプロピレングリコールのジ−またはポリグリシジルエーテル、および脂環式ポリオール,例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジ−またはポリグリシジルエーテルが挙げられる。他の例は、単官能レジン,例えばクレジルグリシジルエーテルまたはブチルグリシジルエーテルである。
【0027】
エポキシ化合物の他の分類としては、多官能カルボン酸,例えばフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸またはヘキサヒドロフタル酸のポリグリシジルエステルおよびポリ(ベータ−メチルグリシジル)エステルが挙げられる。エポキシ化合物の更なる分類は、アミン、アミドおよび複素環式窒素塩基のN−グリシジル誘導体,例えばN,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N−N’,N’−テトラグリシジルビス(4−アミノフェニル)メタン、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N’−ジグリシジルエチルウレア、N,N’−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン、およびN,N’−ジグリシジル−5−イソプロピルヒダントインである。
【0028】
更に他のエポキシ含有材料は、グリシドールのアクリル酸エステル,例えばグリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートと1種以上の共重合性ビニル化合物とのコポリマーである。このようなコポリマーの例は、1:1スチレン−グリシジルメタクリレート、1:1メチルメタクリレート−グリシジルアクリレートおよび62.5:24:13.5メチルメタクリレート−エチルアクリレート−グリシジルメタクリレートである。
【0029】
容易に入手可能なエポキシ化合物としては、オクタデシレンオキサイド;グリシジルメタクリレート;ビスフェノールAのジグリシジルエーテル;D.E.R.*331,D.E.R.*332およびD.E.R.*330(The Dow Chemical Company,Midland,Michiganより);ビニルシクロヘキサンジオキサイド;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート;ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート;ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル;ポリプロピレングリコールで変性された脂肪族エポキシ;ジペンテンジオキサイド;エポキシ化ポリブタジエン;エポキシ官能基を含有するシリコーンレジン;難燃性エポキシレジン(例えば臭素化ビスフェノール型エポキシレジン(商品名D.E.R.*560で、The Dow Chemical Company,Midland,Michiganから入手可能));フェノール−ホルムアルデヒドノボラックの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(例えば、商品名D.E.N.*431およびD.E.N.*438でThe Dow Chemical Company,Midland,Michiganから入手可能なもの);ならびにレゾルシノールジグリシジルエーテルが挙げられる。具体的には言及しないが、商品名D.E.R.*およびD.E.N.*(The Dow Chemical Company,Midland,Michiganから入手可能なもの)の他のエポキシレジンもまた使用できる。ある態様において、エポキシレジン組成物は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとビスフェノールAとの反応によって形成されるエポキシレジンを含むことができる。
【0030】
他の好適なエポキシレジンは、米国特許第5,112,932号(参照により本明細書に組入れる)に記載されている。このようなエポキシレジンとしては、エポキシ末端ポリオキサゾリドン含有化合物,例えば、ポリエポキシド化合物とポリイソシアネート化合物との反応生成物を挙げることができる。開示されるポリエポキシドとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般にビスフェノールAという)のジグリシジルエーテルおよび2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般にテトラブロモビスフェノールAという)のジグリシジルエーテルを挙げることができる。好適なポリイソシアネートとしては、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)およびその異性体、MDIの高官能ホモログ(一般に、「ポリメリックMDI」という)、トルエンジイソシアネート(TDI),例えば2,4−トルエンジイソシアネートおよび2,6−トルエンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)およびイソホロンジイソシアネートを挙げることができる。
【0031】
他の好適なエポキシレジンは、例えば米国特許第7,163,973号,第6,887,574号,第6,632,893号,第6,242,083号,第7,037,958号,第6,572,971号,第6,153,719号および第5,405,688号、PCT公開第WO2006/052727号、ならびに米国特許出願公開第20060293172号および第20050171237号(これらの各々は参照により本明細書に組入れる)に記載されている。
【0032】
イミダゾール
本明細書で開示する態様において有用なイミダゾール化合物としては、分子当たり1つのイミダゾール環を有する化合物,例えばイミダゾール、2−メチルイミダゾール,2−エチル−4−メチルイミダゾール,2−メチル−4−エチルイミダゾール,2−ウンデシルイミダゾール,2−ヘプタデシルイミダゾール,2−フェニルイミダゾール,2−フェニル−4−メチルイミダゾール,l−ベンジル−2−メチルイミダゾール,2−エチルイミダゾール,2−イソプロピルイミダゾール,2−フェニル−4−ベンジルイミダゾール,1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール,1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール,1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール,1−シアノエチル−2−イソプロピルイミダゾール,1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール,2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(l)’]−エチル−s−トリアジン,2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4−メチルイミダゾリル−(l)’]−エチル−s−トリアジン,2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(l)’]−エチル−s−トリアジン,2−メチル−イミダゾリウム−イソシアヌル酸付加物,2−フェニルイミダゾリウム−イソシアヌル酸付加物、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール,2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール,2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール,2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等;および、分子当たり2つ以上のイミダゾール環を含有する化合物であって上記のヒドロキシメチル含有イミダゾール化合物の脱水によって得られるもの,例えば2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール,2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールおよび2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシ−メチルイミダゾール;ならびにこれらをホルムアルデヒドで縮合するもの,例えば4,4’−メチレン−ビス−(2−エチル−5−メチルイミダゾール)等を挙げることができる。
【0033】
アミン
本明細書で開示する態様において有用なアミン触媒としては、N−アルキルモルホリン、N−アルキルアルカノールアミン、N,N−ジアルキルシクロヘキシルアミン、およびアルキルアミン(アルキル基がメチル、エチル、プロピル、ブチルおよびその異性体形のもの)、ならびに複素環式アミンを挙げることができる。
【0034】
ある態様において、好適なアミンとしては、求核アミン,例えばジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロオクテン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、ピペリジン;トリアルキルアミン,例えばトリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミンを挙げることができる。他の態様において、アミンとしては、モノエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ベンジルジメチルアミン、m−キシリレンジ(ジメチルアミン)、N−N’−ジメチルピペラジン、N−メチルピロリジン、N−メチルヒドロキシピペリジン、N,N,N’N’−テトラメチルジアミノエタン、N,N,N’,N’,N’−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリブチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルデシルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N,N’N’−テトラメチルプロパンジアミン、N−メチルピペリジン、N−N’−ジメチル−1,3−(4−ピペリジノ)プロパン、ピリジン等を挙げることができる。他の3級アミンとしては、1,8−ジアゾビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,8−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、4−(N−ピロリジノ)ピリジン、トリエチルアミンおよび2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールが挙げられる。
【0035】
追加の硬化剤(HARDENERS / CURING AGENTS)
上記のエポキシ−イミダゾール化合物に加えて、追加の硬化剤(hardenersまたはcuring agents)もまた、エポキシレジン組成物の架橋を促進してポリマー組成物を形成するために提供できる。追加の硬化剤(hardenersおよびcuring agents)は、個別にまたは2種以上の混合物として使用できる。硬化剤成分(硬化剤(hardener)または架橋剤(cross-linking agent)ともいう)としては、エポキシレジンのエポキシ基との反応性を有する活性基を有する任意の化合物を挙げることができる。硬化剤としては、窒素含有化合物,例えばアミンおよびその誘導体;酸素含有化合物,例えばカルボン酸末端ポリエステル、無水物、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、DCPD−フェノール縮合生成物、臭素化フェノールオリゴマー、アミノ−ホルムアルデヒド縮合生成物、フェノール、ビスフェノールAおよびクレゾールノボラック、フェノール末端エポキシレジン;硫黄含有化合物,例えばポリスルフィド、ポリメルカプタン;および触媒性硬化剤,例えば3級アミン、ルイス酸、ルイス塩基および上記硬化剤の2種以上の組合せを挙げることができる。実際には、ポリアミン、ジアミノジフェニルスルホンおよびその異性体、アミノベンゾエート、種々の酸無水物、例えばフェノール−ノボラックレジンおよびクレゾールノボラックレジン、を使用できるが、本開示はこれらの化合物の使用に限定されない。
【0036】
使用できる架橋剤の他の態様は、米国特許第6,613,839号に記載されており、例えば、分子量(Mw)が1500〜50,000の範囲および無水物量が15パーセント超の、スチレンおよび無水マレイン酸のコポリマーが挙げられる。
【0037】
本明細書で開示する組成物において有用であることができる他の成分としては、硬化触媒が挙げられる。硬化触媒の例としては、イミダゾール誘導体、3級アミン、および有機金属塩が挙げられる。このような硬化触媒の他の例としては、フリーラジカル開始剤,例えばアゾ化合物,例えばアゾイソブチロニトリル、および有機過酸化物,例えばターシャリーブチルパーベンゾエート、ターシャリーブチルパーオクトエート、およびベンゾイルパーオキサイド;メチルエチルケトンパーオキサイド、アセト酢酸パーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、シクロヘキサノンヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、およびこれらの混合物が挙げられる。メチルエチルケトンパーオキサイドおよびベンゾイルパーオキサイドは本発明において好ましく使用される。
【0038】
ある態様において、硬化剤としては、1級および2級のポリアミンおよびその付加物、無水物、およびポリアミドを挙げることができる。例えば、多官能アミンとしては、脂肪族アミン化合物,例えばジエチレントリアミン(D.E.H.*20、The Dow Chemical Company,Midland,Michiganから入手可能)、トリエチレンテトラミン(D.E.H.*24、The Dow Chemical Company,Midland,Michiganから入手可能)、テトラエチレンペンタアミン(D.E.H.*26、The Dow Chemical Company,Midland,Michiganから入手可能)、更に上記アミンのエポキシレジン、希釈剤、または他のアミン反応性化合物での付加物、を挙げることができる。芳香族アミン,例えばメタフェニレンジアミンおよびジアミンジフェニルスルホン、脂肪族ポリアミン,例えばアミノエチルピペラジンおよびポリエチレンポリアミン、ならびに芳香族ポリアミン,例えばメタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、およびジエチルトルエンジアミン、もまた使用できる。
【0039】
無水物硬化剤としては、例えば、ナドメチル無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、フタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、およびメチルテトラヒドロフタル酸無水物を特に挙げることができる。無水物硬化剤としてはまた、スチレンおよびマレイン酸無水物および他の無水物のコポリマー(米国特許第6,613,839号(参照により本明細書に組入れる)に記載されるような)を挙げることができる。
【0040】
ある態様において、フェノールノボラック硬化剤は、ビフェニル基またはナフチル基を含有できる。フェノール性水酸基は、化合物のビフェニル基またはナフチル基についていることができる。この種の硬化剤は、例えば、第EP915118A1号に記載される方法に従って調製できる。例えば、ビフェニル基を含有する硬化剤は、フェノールをビスメトキシ−メチレンビフェニルと反応させることによって得ることができる。
【0041】
他の態様において、硬化剤としては、三フッ化ホウ素モノエチルアミン、およびジアミノシクロヘキサンを挙げることができる。硬化剤としてはまた、イミダゾール、その塩、および付加物を挙げることができる。これらのエポキシ硬化剤は、典型的には室温で固体である。好適なイミダゾール硬化剤の1つの例としては、2−フェニルイミダゾールが挙げられ;他の好適なイミダゾール硬化剤は、第EP906927A1号に記載されている。他の硬化剤としては、芳香族アミン、脂肪族アミン、無水物、およびフェノールが挙げられる。
【0042】
ある態様において、硬化剤は、分子量が500以下(アミノ基当たり)であるアミノ化合物,例えば、芳香族アミンまたはグアニジン誘導体であることができる。アミノ硬化剤の例としては、4−クロロフェニル−N,N−ジメチル−ウレアおよび3,4−ジクロロフェニル−N,N−ジメチル−ウレアが挙げられる。
【0043】
本明細書で開示する態様において有用な硬化剤の他の例としては:3,3’−および4,4’−ジアミノジフェニルスルホン;メチレンジアニリン;ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(EPON1062としてShell Chemical Co.から入手可能なもの);ならびにビス(4−アミノフェニル)1,4−ジイソプロピルベンゼン(EPON1061としてShell Chemical Co.から入手可能なもの)が挙げられる。
【0044】
エポキシ化合物用のチオール硬化剤もまた使用でき、そして例えば、米国特許第5,374,668号に記載されている。本明細書で用いる「チオール」としてはまた、ポリチオールまたはポリメルカプタン硬化剤が挙げられる。例示的なチオールとしては、脂肪族チオール,例えばメタンジチオール、プロパンジチオール、シクロヘキサンジチオール、2−メルカプトエチル−2,3−ジメルカプトサクシネート、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラ(メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラ(チオグリコレート)、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(ベータ−チオプロピオネート)、プロポキシル化アルカンのトリグリシジルエーテルのトリス−メルカプタン誘導体、およびジペンタエリスリトールポリ(ベータ−チオプロピオネート);脂肪族チオールのハロゲン置換誘導体;芳香族チオール,例えばジ−,トリス−またはテトラ−メルカプトベンゼン、ビス−,トリス−またはテトラ−(メルカプトアルキル)ベンゼン、ジメルカプトビフェニル、トルエンジチオールおよびナフタレンジチオール;芳香族チオールのハロゲン置換誘導体;複素環含有チオール,例えばアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、アルコキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、アリールオキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジンおよび1,3,5−トリス(3−メルカプトプロピル)イソシアヌレート;複素環含有チオールのハロゲン置換誘導体;少なくとも2つのメルカプト基を有しかつメルカプト基に加えて硫黄原子を含有するチオール化合物,例えばビス−,トリス−またはテトラ(メルカプトアルキルチオ)ベンゼン、ビス−,トリス−またはテトラ(メルカプトアルキルチオ)アルカン、ビス(メルカプトアルキル)ジスルフィド、ヒドロキシアルキルスルフィドビス(メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシアルキルスルフィドビス(メルカプトアセテート)、メルカプトエチルエーテルビス(メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(メルカプトアセテート)、チオジグリコール酸ビス(メルカプトアルキルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトアルキルエステル)、4,4−チオ酪酸ビス(2−メルカプトアルキルエステル)、3,4−チオフェンジチオール、ビスマスチオールおよび2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールが挙げられる。
【0045】
硬化剤はまた、求核物質,例えばアミン、3級ホスフィン、求核アニオンを有する4級アンモニウム塩、求核アニオンを有する4級ホスホニウム塩、イミダゾール、求核アニオンを有する3級ヒ素塩、および求核アニオンを有する3級スルホニウム塩であることができる。
【0046】
エポキシレジン、アクリロニトリルまたは(メタ)アクリレートの付加によって変性されている脂肪族ポリアミンもまた、硬化剤として利用できる。加えて、種々のマンニッヒ塩基を使用できる。アミン基が直接芳香環についている芳香族アミンもまた使用できる。
【0047】
本明細書で開示する態様において硬化剤として有用な求核アニオンを有する4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムアセテート、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムシアニド、セチルトリエチルアンモニウムアジド、N,N−ジメチルピロリジニウムシアネート、N−メチルピリジニウムフェノレート、N−メチル−o−クロロピリジニウムクロリド、メチルビオロゲンジクロリド等を挙げることができる。
【0048】
ある態様において、少なくとも1種のカチオン性光開始剤を使用できる。カチオン性光開始剤としては、特定の波長または波長領域の電磁放射に曝露されたときに分解して、例えばエポキシド基と水酸基との間の重合反応を触媒できるカチオン性種を形成する化合物が挙げられる。カチオン性種はまた、エポキシド基と硬化性組成物中に含有される他のエポキシド−反応性種(例えば他の水酸基、アミン基、フェノール基、メルカプタン基、無水物基、カルボン酸基等)との反応を触媒できる。
【0049】
カチオン性光開始剤の例としては、ジアリールヨードニウム塩およびトリアリールスルホニウム塩が挙げられる。例えば、ジアリールヨードニウム塩型の光開始剤は、Ciba−Geigyから商品名IRGACURE 250で入手可能である。トリアリールスルホニウム型光開始剤は、The Dow Chemical CompanyからCYRACURE 6992として入手可能である。カチオン性光開始剤は、触媒的有効量で使用でき、そして硬化性組成物の約10質量パーセント以下を構成できる。
【0050】
難燃添加剤
本明細書で記載するレジン組成物は、臭素化および非臭素化の難燃剤を含有する配合物において使用できる。臭素化添加剤の具体例としては、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)およびこれに由来する材料:TBBA−ジグリシジルエーテル,ビスフェノールAまたはTBBAとTBBA−ジグリシジルエーテルとの反応生成物,ならびにビスフェノールAジグリシジルエーテルとTBBAとの反応生成物が挙げられる。
【0051】
非臭素化難燃剤としては、DOP(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン10−オキサイド),例えばDOP−ハイドロキノン(10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン10−オキサイド)、DOPとノボラックのグリシジルエーテル誘導体との縮合生成物、および無機難燃剤,例えばアルミニウム三水和物およびアルミニウムホスフィナイトに由来する種々の材料が挙げられる。
【0052】
任意の添加剤
本明細書で開示する硬化性および熱硬化性の組成物としては、任意に、従来の添加剤およびフィラーを挙げることができる。添加剤およびフィラーとしては、例えば、他の難燃剤、ホウ酸、シリカ、ガラス、タルク、金属粉末、二酸化チタン、湿潤剤、顔料、着色剤、型離型剤、カップリング剤、イオン捕捉剤、UV安定剤、軟化剤、強化剤および粘着付与剤を挙げることができる。添加剤およびフィラーとしてはまた、ヒュームドシリカ、凝集剤,例えばガラスビーズ、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオールレジン、ポリエステルレジン、フェノールレジン、グラファイト、二硫化モリブデン、研磨顔料、粘度低下剤、窒化ホウ素、マイカ、成核剤、および安定剤を特に挙げることができる。フィラーおよび変性剤を、エポキシレジン組成物への添加前に予熱して湿気を追い出すことができる。加えて、これらの任意の添加剤は、該組成物の特性に対する効果を、硬化の前および/または後に有することができ、そして該組成物および所望の反応生成物を配合する際に考慮するのがよい。本明細書で開示する硬化性組成物はまた、任意に、一般的に従来の種類である他の添加剤を含有でき、例えば、安定剤、他の有機または無機の添加剤、顔料、湿潤剤、流動調整剤、UV光ブロッカー、および蛍光添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、ある態様では0〜5質量パーセント、他の態様では3質量パーセント未満の量で存在できる。好適な添加剤の例はまた、米国特許第5,066,735号およびPCT/US2005/017954号に記載されている。
【0053】
硬化性組成物
硬化性組成物は、上記のようなエポキシ−イミダゾール触媒を、エポキシレジン(例えば上記したような)と組合せることによって形成できる。本明細書で記載する硬化性組成物は、エポキシレジンおよびエポキシ−イミダゾール触媒、更に追加の硬化剤、添加剤、触媒、ならびに他の任意の成分を組合せることによって形成できる。例えば、ある態様において、硬化性組成物は、エポキシレジン組成物とエポキシ−イミダゾール化合物とを、触媒なしで混合して混合物を形成することによって形成できる。エポキシレジンとエポキシ−イミダゾール触媒との比率は、1つには、硬化性組成物および製造すべき、硬化した組成物において所望される特性、組成物の所望される硬化応答、および組成物の所望される貯蔵安定性(所望のシェルフライフ)によることができる。他の態様において、硬化性組成物を形成する方法は、エポキシレジンまたはプレポリマー組成物を形成するステップ、エポキシ−イミダゾール触媒を混合するステップ、追加の硬化剤または触媒を混合するステップ、難燃剤を混合するステップ、および添加剤を混合するステップ、の1つ以上を含むことができる。
【0054】
ある態様において、エポキシレジンは、硬化性組成物中に、硬化性組成物の0.1〜99質量パーセントの範囲の量で存在できる。他の態様において、エポキシ組成物は、硬化性組成物の5〜80質量パーセント;他の態様では15〜60質量パーセント;および更に他の態様では25〜40質量パーセントの範囲であることができる。他の態様では、エポキシ組成物は、硬化性組成物の30〜99質量パーセント;他の態様では50〜99質量パーセント;他の態様では60〜95質量パーセント;および更に他の態様では70〜90質量パーセントの範囲であることができる。
【0055】
ある態様において、硬化性組成物は、約30〜約98体積パーセントのエポキシレジンを含むことができる。他の態様において、硬化性組成物は、65〜95体積パーセントのエポキシレジン;他の態様では70〜90体積パーセントのエポキシレジン;他の態様では30〜65体積パーセントのエポキシレジン;および更に他の態様では40〜60体積パーセントのエポキシレジンを含むことができる。
【0056】
ある態様において、本明細書で開示する態様に従って形成されるエポキシ−イミダゾール付加物は、硬化性組成物中に、0.01質量パーセント〜60質量パーセントの範囲の量で存在できる。他の態様において、エポキシ−イミダゾール付加物は、0.1質量パーセント〜55質量パーセント;他の態様では0.5質量パーセント〜50質量パーセント;および更に他の態様では1〜45質量パーセントの範囲の量で存在できる。
【0057】
ある態様において、触媒は、硬化性組成物中に、0.01質量パーセント〜10質量パーセントの範囲の量で存在できる。他の態様において、触媒は、0.1質量パーセント〜8質量パーセント;他の態様では0.5質量パーセント〜6質量パーセント;および更に他の態様では1〜4質量パーセントの範囲の量で存在できる。
【0058】
ある分類の態様において、本明細書で記載する硬化性組成物は:30〜99質量パーセントのエポキシレジン、0.01〜10質量パーセントのアミン触媒;1〜40質量パーセントのエポキシ−イミダゾール付加物を含むことができ、ここで与えられる質量パーセントは、アミン触媒、エポキシ−イミダゾール付加物、およびエポキシレジンの組合せ質量基準である。
【0059】
ある態様において、追加の硬化剤もまた、本明細書で記載するエポキシ組成物と混合できる。追加の硬化剤および追加の硬化剤の量の選択において考慮すべき変数としては、例えば、レジン組成物の特性、硬化した組成物の所望の特性(可撓性、電気特性等)、所望の硬化速度、更に硬化剤分子当たりの反応性基の数,例えばアミン中の活性水素の数、を挙げることができる。使用する追加の硬化剤の量は、ある態様で0.1〜150質量部(レジン組成物100質量部当たり)で変動できる。他の態様において、追加の硬化剤は、1〜95質量部(レジン組成物100質量部当たり)の範囲の量で使用でき;硬化剤は、他の態様では2.5〜90質量部(レジン組成物100質量部当たり);および更に他の態様では5〜85質量部(レジン組成物100質量部当たり)の範囲の量で使用できる。
【0060】
硬化性組成物はまた、ある態様において、約0.1〜約50体積パーセントの任意の添加剤を含むことができる。硬化性組成物は、他の態様では約0.1〜約5体積パーセントの任意の添加剤;および更に他の態様では約0.5〜約2.5体積パーセントの任意の添加剤を含むことができる。
【0061】
基材
上記で記載する硬化性組成物は、基材上に配置して硬化させることができる。基材は特に限定されるものではない。そのように、基材としては、金属,例えばステンレススチール、鉄、スチール、銅、亜鉛、スズ、アルミニウム、アルマイト等;このような金属の合金、ならびにこのような金属でめっきしたシートおよびこのような金属の積層シートを挙げることができる。基材としてはまた、ポリマー、ガラス、および種々の繊維,例えば、カーボン/グラファイト;ホウ素;クオーツ;酸化アルミニウム:ガラス,例えばEガラス、Sガラス、S−2 GLASS(登録商標)またはCガラス;およびシリコンカーバイドまたはシリコンカーバイド繊維(チタンを含有するもの)を挙げることができる。市販で入手可能な繊維としては:有機繊維,例えばKEVLAR(DuPontより);酸化アルミニウム含有繊維,例えばNEXTEL繊維(3Mより);シリコンカーバイド繊維,例えばNICALON(Nippon Carbonより);およびシリコンカーバイド繊維(チタンを含有するもの),例えばTYRRANO(Ubeより)を挙げることができる。特定の態様において、硬化性組成物を使用して、回路基板または印刷回路基板の少なくとも一部を形成できる。ある態様において、基材を相溶化剤でコートして、硬化性組成物および硬化した組成物の基材への接着を改善できる。
【0062】
コンポジットおよびコートされた構造物
ある態様において、コンポジットは、本明細書で開示する硬化性組成物を硬化させることによって形成できる。他の態様において、コンポジットは、硬化性組成物を基材または強化材料に適用することによって,例えば基材または補強材料を含浸またはコートし、そして硬化性組成物を硬化させることによって、形成できる。
【0063】
上記の硬化性組成物は、粉末、スラリー、または液体の形状であることができる。上記のように、硬化性組成物を生成した後で、これを、上記の基材の上、内部または間に、硬化性組成物の硬化前、硬化中または硬化後に配置できる。
【0064】
例えば、コンポジットは、基材を硬化性組成物でコートすることによって形成できる。コーティングは、種々の手順,例えばスプレーコーティング、カーテンフローコーティング、ロールコーターもしくはグラビアコーターでのコーティング、ブラシコーティング、およびディッピングまたは浸漬コーティングで実施できる。
【0065】
種々の態様において、基材は、単層または多層であることができる。例えば、基材は、特に、2つのアロイのコンポジット、多層ポリマー物品、および金属コートされたポリマーであることができる。他の種々の態様において、硬化性組成物の1つ以上の層は、基材の上または内部に配置できる。他の多層コンポジット(基材層および硬化性組成物層の種々の組合せによって形成されるもの)もまた本明細書で想定する。
【0066】
ある態様において、硬化性組成物の加熱は、例えば温度感受性基材の過熱を回避するために、局所的であることができる。他の態様において、加熱は、基材および硬化性組成物の加熱を含むことができる。
【0067】
本明細書で開示する硬化性組成物の硬化は、温度少なくとも約30℃、最大約250℃を、分単位から時間単位の間、レジン組成物、硬化剤および触媒(使用する場合)に応じて必要とする場合がある。他の態様において、硬化は温度少なくとも100℃で、分単位から時間単位の間で生じる。後処理を更に用いてもよく、このような後処理は通常温度約100℃〜200℃の間である。
【0068】
ある態様において、硬化は、発熱を防ぐために段階分けしてもよい。段階分けとしては、例えば、ある時間である温度にて硬化させた後、ある時間でより高温にて硬化させることが挙げられる。段階分けした硬化としては、2つ以上の硬化段階を挙げることができ、そしてある態様では温度約180℃未満で、そして他の態様では約150℃未満で、開始できる。
【0069】
ある態様において、硬化温度は下限温度30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、または180℃、から上限温度250℃、240℃、230℃、220℃、210℃、200℃、190℃、180℃、170℃、160℃、の範囲であることができ、該範囲は任意の下限から任意の上限であることができる。
【0070】
本明細書で記載する硬化性組成物およびコンポジットは、用途の中でも特に、接着剤、構造および電気積層体、コーティング、キャスティング、構造(航空宇宙産業用)、ならびに基板等(電子産業用)として有用であることができる。本明細書で開示する硬化性組成物はまた、電気ワニス、カプセル化剤、半導体、汎用の成形用粉末、フィラメント巻パイプ、貯蔵タンク、ポンプ用ライナー、および耐腐食性コーティングにおいて特に使用できる。選択される態様において、本明細書で記載する硬化性組成物は、レジンコートされた箔の形成(米国特許第6,432,541号(参照により本明細書に組入れる)に記載されるのと同様)において有用であることができる。
【0071】
種々の加工技術を用いて、本発明で開示するエポキシ系組成物を含有するコンポジットを形成できる。例えば、フィラメント巻、溶媒プリプレグ化、および引き抜き成形は、典型的な加工技術(硬化していないエポキシレジンを使用できる)である。更に、バンドル形状の繊維は、硬化していないエポキシレジン組成物でコートし、フィラメント巻として蓄積し、そして硬化させてコンポジットを形成できる。
【0072】
本明細書で記載するエポキシレジン組成物およびコンポジットは、接着剤、構造および電気積層体、コーティング、キャスティング、航空宇宙産業用の構造物として、電子産業用の基板等として、更にスキー、スキーのストック、釣竿、および他のアウトドアスポーツ用具の形成用に有用であることができる。本明細書で開示するエポキシ組成物はまた、電気ワニス、カプセル化剤、半導体、汎用の成形用粉末、フィラメント巻パイプ、貯蔵タンク、ポンプ用ライナー、および耐腐食性コーティングにおいて特に使用できる。
【0073】
上記で開示した態様(その代表的な利点を含み)のより良い理解を与えるために、以下の例を与える。
【0074】

以下の例において固体触媒を調製するための一般的な手順は、まずイミダゾール、アミン(使用する場合)、およびエポキシレジンの一部(例えば、脂肪族エポキシ、またはXZ 92447.00,D.E.R.*732,もしくはD.E.R.*736(これらの各々はThe Dow Chemical Company,Midland,Michiganから入手可能))を反応器に入れて、均一な混合物を室温で得ることである。液体アミンおよび液体エポキシレジンを典型的に用いて、固体イミダゾールとの液体混合物を得る。この混合物を、混合物がより高温に到達するように反応させ、この後、液体エポキシレジン(例えばD.E.R.*330,D.E.R.*383,またはD.E.R.*331(これらの各々はThe Dow Chemical Company,Midland,Michiganから入手可能))を一部ずつ添加して、強い発熱反応による発熱を制御する。温度は140℃未満に制御して、エポキシ−エポキシ単独重合よりもエポキシとイミダゾールとの間で効率的な反応をするようにし、そしていずれの反応物質の分解温度よりも低温に維持する。
【0075】
例1
窒素パージした1リットルの反応器を、2−メチルイミダゾールおよびエポキシレジン混合物の反応のために用い、ここで反応器を撹拌して、反応器温度を反応器内部で、容器壁近傍に配置した熱電対を用いて測定する。168グラムの2−メチルイミダゾールおよび65グラムのXZ 92447.00(多価フェノールのポリグリシジルエーテル)を反応器に添加する。次いで反応器を65℃に加熱し、この後、XZ 92447.00を毎秒0.5滴ずつ、250ml滴下漏斗を用いて添加する。約92グラムのXZ 92447.00の添加後、反応混合物をピーク温度約91.6℃に発熱させる。XZ 92447.00の添加を、毎秒1滴の速度で継続する。反応混合物の温度を約88℃まで低下させた後、15mlのXZ 92447.00を反応器に単発で添加する。XZ 92447.00の反応器への総添加は約113グラムである。得られる混合物を、次いで、12分間撹拌し、その間に、温度を88℃から80℃に低下させる。
【0076】
D.E.R.330(液体ビスフェノールA系エポキシレジン、The Dow Chemical Company,Midland,MIから入手可能)を、次いで、5秒当たり1滴の速度で、250mlの滴下漏斗を用いて添加する。滴下速度は、D.E.R. 330の粘度によって制限される。約137グラムのD.E.R.330の添加後、D.E.R.330を約50℃に加熱して、滴下速度を毎秒約2滴に増大させる。反応混合物は、ピーク温度約123℃(加熱されたD.E.R.330の添加中)に到達する。約311グラムのD.E.R.330の全部を反応器に添加する。反応器を次いで冷却し、そして得られる生成物を赤褐色固体として回収する。
【0077】
回収した触媒の特性を測定する。得られる固体の円錐平板粘度(150℃)は約2Pa・s(EIC Visco−Plot VPO、円錐(cone)および平板(plate)、C−円錐で測定)である。固体触媒の軟化点(Mettler FP80+ Mettler FP83組合せ、25℃で開始、2℃/分の加熱速度を用いて測定)を94.5℃で測定する。そして、化合物中の遊離の2−メチルイミダゾールの量(HPLCを用いて測定)は、約5.1質量パーセントである。
【0078】
例2
窒素パージした1リットルの反応器を、2−メチルイミダゾールおよびエポキシレジン混合物の反応のために用い、ここで反応器を撹拌して、反応器温度を反応器内部で、容器壁近傍に配置した熱電対を用いて測定する。311.8グラムのD.E.R.732P(長鎖ポリグリコールジエポキシド液体レジン、The Dow Chemical Company,Midland,MIから入手可能)を反応器に添加し、そして反応器を温度40℃に加熱する。2−メチルイミダゾールを約15グラム分量で添加する。約87グラムの2−メチルイミダゾールの添加後に発熱は認められず、この後、反応器を温度50℃に加熱する。追加の27グラムの2−メチルイミダゾールを反応器に添加し、ここで反応混合物は混濁したスラリーであると観察される。反応器を次いで65℃に加熱し、そして25グラムの追加の2−メチルイミダゾールをゆっくり添加する。若干の発熱が認められ、この後反応器を温度80℃まで加熱する。混合物は茶色がかった色の溶液様混合物となり、そしてピーク温度86℃まで発熱する。2−メチルイミダゾールはまた、反応温度で昇華することが認められる。残りの2−メチルイミダゾールを次いでゆっくり添加して総イミダゾール供給量約168.4グラムに到達させる。
【0079】
全部で約326グラムのD.E.R.330を5分割量で添加する(45g,60g,71g,70g,30g,および約50gをこの順で与える)。各分割量の後、反応温度を監視して温度を150℃未満に制御する。第1の分割量の添加後、反応混合物は98℃まで発熱する。第2の分割量の後、混合物は125℃まで発熱し、そして次いで水浴を用いて温度115℃未満まで冷却し、この温度で反応混合物はほぼ明澄である(もはや混濁スラリーではない)。反応混合物は温度145℃まで発熱し、次いで71g分割量および約148℃、次いで70グラム分割量とする。50g分割量の後、136℃までの発熱が測定され、そして混合物の粘度は増大する。反応器を次いで冷却し、そして赤褐色固体を回収する。
【0080】
回収した触媒の特性を測定する。得られる固体の円錐平板粘度(150℃)は約1.3Pa・sである。固体触媒の軟化点(Mettler FP80+ Mettler FP83組合せ、25℃で開始、2℃/分の加熱速度を用いて測定)を82℃で測定する。
【0081】
例3
窒素パージした1リットルの反応器を、2−メチルイミダゾールおよびエポキシレジン混合物の反応のために用い、ここで反応器を撹拌して、反応器温度を反応器内部で、容器壁近傍に配置した熱電対を用いて測定する。148.2グラムの2−メチルイミダゾールおよび21.9グラムのXZ 92447.00を反応器に添加し、そして反応器を温度75℃に加熱する。追加のXZ 92447.00を、約1.5時間に亘って、全体で約277.4グラムのXZ 92447.00が添加されるまで滴下添加する。追加の58グラム、50.6グラム、および追加の20.6グラムの2−メチルイミダゾールを反応器に添加し、第1の約1時間のXZ 92447.00滴下添加の後;次の第2の約1.45時間のXZ 92447.00滴下添加、および次の第3の約1.5時間のXZ 92447.00滴下添加を行う。追加のXZ 92447.00を連続流として2回、10秒間隔に亘り2分間あけて添加する。反応器は最高温度約97℃に到達し、そしてサンプル(サンプル1)を収集し、続いてXZ 92447.00を完全に添加する。反応器に添加するXZ 92447.00および2−メチルイミダゾールの総量は、それぞれ約177.8グラムおよび277.4グラムである。
【0082】
D.E.R.330を、次いで小分割量で約3.25時間かけて添加する。ここで分割量は反応器温度を約130℃未満に維持する少量の十分な分量で添加する。全体で約520グラムのD.E.R.330を添加し、ここで反応器サンプルを回収し、続いて約250グラムのD.E.R.330(反応器サンプル2)、380グラムのD.E.R.330(反応器サンプル3)、416グラムのD.E.R.330(反応器サンプル4)、444グラムのD.E.R.330(反応器サンプル5)、463グラムのD.E.R.330(反応器サンプル6)、467グラムのD.E.R.330(反応器サンプル7)、および471グラムのD.E.R.330(反応器サンプル8)を添加する。D.E.R.330を完全に添加した後、反応を完了させ、そして反応器を室温まで冷却して空にする。
【0083】
回収した触媒サンプルの特性を、表1に示すように測定する。サンプル1および2は室温では固体ではなかった。従って得られる軟化点は表1に表す特性結果からは省略している。
【0084】
【表1】

【0085】
例4
窒素パージした1リットルの反応器を、2−メチルイミダゾール(2−MI)およびエポキシレジン混合物の反応のために用い、ここで反応器を撹拌して、反応器温度を反応器内部で、容器壁近傍に配置した熱電対を用いて測定する。250グラムの2−メチルイミダゾール、20グラムのモノエタノールアミンおよび220グラムのXZ 92447.00を反応器に添加し、そして反応器を温度30℃に加熱する。反応混合物は発熱し、そして温度が約94℃まで増大し、この時点で510グラムのD.E.R.330を反応器に分けて入れ、ここで各分量を発熱させて安定化し、反応器温度を135℃未満に維持する。約137グラムのD.E.R.330の添加後、第1のサンプルを採取する(反応器サンプル1)。第2のサンプル(反応器サンプル2)を採取し、次いでD.E.R.330を完全に添加する。
【0086】
50グラムの追加のD.E.R.330を次いで混合物に添加して、更なるエポキシレジンの、得られる触媒に対する効果(分子量、粘度、遊離2−メチルイミダゾール等)を評価する。5つの追加の10グラム分量を反応混合物に添加し、反応器サンプルを採取し、次いで各々の発熱を完了させる(反応器サンプル3〜7)。反応器を次いで冷却し、そして得られる触媒を回収した(最終生成物)。回収したサンプルおよび最終触媒の特性を測定し、これらの結果を表2に表す。
【0087】
【表2】

【0088】
例5
例2において形成した触媒を、工業界において使用される典型的な触媒,EPI−CURE P101(エポキシレジンおよびイミダゾールの反応生成物、Hexionから入手可能)と、エポキシレジン配合物の硬化について表3に示すように比較する。配合された粉末を静電スプレーガン(これは流体化供給チャンバーを有する)で175℃の予熱したグリット吹き付けスチールパネルの上に適用し、そして次いで170℃で3分間後硬化させる。適用したコーティングは厚み約350μmを有する。
【0089】
コーティングの接着性能を、高温水耐性および陰極剥離耐性によって特性化する。これらはパイプコーティング工業における標準的な試験方法である。高温水試験のために、コートされたスチールパネルを水浴中に75℃で48時間浸漬し、次いでレバー動作でコーティングの擦れまたは剥離をさせようと試みる。試験結果を1から5の評定尺度で表し、1は最良であり、5は最悪である。試験の結果を表3に示す。
【0090】
【表3】

【0091】
例5は、例2の触媒を有し、EPI−CURE P101を用いる比較例に対して、より良好な高温水耐性/耐衝撃性または少なくとも同等の結果を示す。
【0092】
上記したように、本明細書で開示する態様は、添加される溶媒の使用を伴わないエポキシ−イミダゾール触媒の形成を提供する。溶媒不含有触媒は、用途の中でも特にパイプコーティング、熱感受性基材コーティング、カプセル化、電気ラミネート、環境雰囲気でのコーティング、絶縁、およびコンポジットのための粉末コーティング配合物において使用できる。
【0093】
有利には、本明細書で開示する態様は、溶媒不含有エポキシ−イミダゾール触媒を提供できる。このような溶媒不含有触媒は、溶媒を含むプロセスにおいて形成される同様の触媒と比べて改善されたコーティング性能をもたらすことができる。例えば、本明細書で記載する溶媒不含有エポキシ−イミダゾール触媒から形成されるコーティングは、溶媒を含むプロセスにおいて形成される同様の触媒を用いて形成される配合物と比べて、改善された高温水耐性、陰極剥離耐性、接着、および硬化性(低温での)の1つ以上を有することができる。
【0094】
開示が含む態様の数は制限されているが、本開示の利益を有する当業者は、本開示の範囲から逸脱しない他の態様を考え出すことができることを理解するであろう。従って、該範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体エポキシ−イミダゾール触媒を形成する方法であって:
イミダゾール、アミン、および1種以上のエポキシレジンを、添加される溶媒の不存在下で接触させて固体エポキシ−イミダゾール触媒を形成すること;
を含む、方法。
【請求項2】
接触を温度140℃未満で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アミンが、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミンの少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
1種以上のエポキシレジンが、少なくとも1種の脂肪族エポキシレジンを含む、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
1種以上のエポキシレジンが、ビスフェノールA系エポキシレジンおよびポリグリコールポリエポキシドの少なくとも1種を含む、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
接触が:
イミダゾール、アミン、および1種以上のエポキシレジンの第1の部分を第1の温度で混合すること;
1種以上のエポキシレジンの第2の部分を、混合物が第2の温度より低温に維持されるように制御可能に添加すること;
を含む、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
エポキシ−イミダゾール触媒が室温で固体である、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
以下の質量範囲:
10〜35質量パーセントのイミダゾール;
0超〜10質量パーセントのアミン;および
35〜90質量パーセントの1種以上のエポキシレジン;
で用いる、イミダゾール、アミン、および1種以上のエポキシレジンで触媒を形成する、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
1種以上のエポキシレジンが:
35〜80質量パーセントのビスフェノールA系エポキシレジン;および
0〜30質量パーセントのポリグリコールジエポキシド;
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
イミダゾールが、2−メチルイミダゾールを含み、かつアミンがモノエタノールアミンおよびジエタノールアミンの少なくとも1種を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
イミダゾール、アミン、および1種以上のエポキシレジンを、添加される溶媒の不存在下で接触させて固体エポキシ−イミダゾール触媒を形成すること;
を含む方法によって形成される、エポキシ−イミダゾール触媒。
【請求項12】
接触を温度140℃未満で行う、請求項11に記載のエポキシ−イミダゾール触媒。
【請求項13】
アミンが、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミンの少なくとも1種を含む、請求項11または12に記載のエポキシ−イミダゾール触媒。
【請求項14】
1種以上のエポキシレジンが、少なくとも1種の脂環式エポキシレジンを含む、請求項11〜13のいずれかに記載のエポキシ−イミダゾール触媒。
【請求項15】
1種以上のエポキシレジンが、ビスフェノールA系エポキシレジンおよびポリグリコールジエポキシドの少なくとも1種を含む、請求項11〜14のいずれかに記載のエポキシ−イミダゾール触媒。
【請求項16】
接触が:
イミダゾール、アミン、および1種以上のエポキシレジンの第1の部分を第1の温度で混合すること;
1種以上のエポキシレジンの第2の部分を、混合物が第2の温度より低温に維持されるように制御可能に添加すること;
を含む、請求項11〜15のいずれかに記載のエポキシ−イミダゾール触媒。
【請求項17】
エポキシ−イミダゾール触媒が室温で固体である、請求項11に記載のエポキシ−イミダゾール触媒。
【請求項18】
以下の質量範囲:
10〜35質量パーセントのイミダゾール;
0超〜10質量パーセントのアミン;および
35〜90質量パーセントの1種以上のエポキシレジン;
で用いる、イミダゾール、アミン、および1種以上のエポキシレジンで触媒を形成する、請求項11〜16のいずれかに記載のエポキシ−イミダゾール触媒。
【請求項19】
1種以上のエポキシレジンが:
35〜80質量パーセントのビスフェノールA系エポキシレジン;および
0〜30質量パーセントのポリグリコールジエポキシド;
を含む、請求項18に記載のエポキシ−イミダゾール触媒。
【請求項20】
イミダゾールが、2−メチルイミダゾールを含み、かつアミンがモノエタノールアミンおよびジエタノールアミンの少なくとも1種を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
エポキシレジンと;イミダゾール、アミン、および1種以上のエポキシレジンを、添加される溶媒の不存在下で接触させて固体エポキシ−イミダゾール触媒を形成することを含む方法によって形成されるエポキシ−イミダゾール触媒と;を含む、硬化性組成物。
【請求項22】
硬化剤、難燃添加剤、および強化剤の少なくとも1種を更に含む、請求項21に記載の硬化性組成物。
【請求項23】
硬化性組成物を形成する方法であって:
イミダゾール、アミン、および1種以上のエポキシレジンを、添加される溶媒の不存在下で接触させて固体エポキシ−イミダゾール触媒を形成すること;ならびに
該固体エポキシ−イミダゾール触媒を少なくとも1種のエポキシレジンと混合すること;
を含む、方法。
【請求項24】
熱硬化レジンを形成する方法であって:
イミダゾール、アミン、および1種以上のエポキシレジンを、添加される溶媒の不存在下で接触させて固体エポキシ−イミダゾール触媒を形成すること;
該固体エポキシ−イミダゾール触媒を少なくとも1種のエポキシレジンと混合して硬化性組成物を形成すること;ならびに
該硬化性組成物を温度少なくとも60℃で熱的に硬化させて熱硬化レジンを形成すること;
を含む、方法。
【請求項25】
熱硬化レジンを、コーティング用途、コンポジット用途、プリプレグ製造用、および電気ラミネート製造用であって印刷回路板の製造に有用であるもの、の少なくとも1つにおいて用いる、請求項24に記載の方法。

【公表番号】特表2011−516714(P2011−516714A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505086(P2011−505086)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/039771
【国際公開番号】WO2009/129088
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ リミティド ライアビリティ カンパニー (1,383)
【Fターム(参考)】