説明

粉末化粧料およびその製造方法

【課題】使用感触、滑らかさ、フィット感などに優れ、しかも、安価に提供することができる粉末化粧料を提供する。
【解決手段】粉末成分と結合剤としての油性成分と表面処理剤としてのテトラアルキルアンモニウム塩を揮発性溶媒中で混合してスラリーとするスラリー調製工程と、前記スラリーを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程と、備え、該乾燥粉末から得られる粉末化粧料であって、前記乾燥工程で用いる乾燥装置は、前記スラリーを機械的なせん断力により微細液滴化し、該微細液滴に乾燥ガスを送風することで前記スラリーの乾燥を行う乾燥装置であることを特徴とする粉末化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉末化粧料およびその製造方法、特に粉末化粧料の滑らかさ、フィット感の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
パウダリーファンデーションなどに代表される粉末化粧料は従来、ヘンシェルミキサー(登録商標)、ナウターミキサー(登録商標)、リボンブレンダー、ニーダー等の攪拌混合機を用いて、粉末成分と結合剤としての油性成分等を混合し、該混合物をパルペライザー等の粉砕機にて解砕した後、金属や樹脂製の中皿に充填、あるいはさらに乾式プレス成型することで製造を行っていた。これら従来法は、粉末成分と結合剤としての少量の油性成分との混合を溶媒を添加することなく行う乾式混合、および乾燥粉末の状態で加圧成型を行う乾式成型の形態をとっており、乾式製法と呼ばれ古くから採用されてきた。
【0003】
近年、粉末化粧料に対して、使用感などの特性を改善すべく混合や成型に関する様々な方法が開発されている。たとえば、粉末成分と油性成分とを揮発性溶媒に添加してスラリー化する湿式混合を行い、次いでスラリーの状態で容器に充填し真空吸引などで溶媒を除去して粉末固形化する(湿式成型)といった粉末化粧料の製造方法が提案されており、湿式製法と呼ばれている。
また、粉末成分と油分とを揮発性溶媒中で混合を行う湿式混合の際に用いられる種々の装置に対する検討も広く行われている。例えば高分子粉体を揮発性溶媒中で媒体攪拌ミルを用いて粉砕した粉砕溶液を得た後、該粉砕溶液と顔料等の粉体をディスパーなどの湿式混合機にて混合しスラリーとし、得られたスラリーから揮発性溶媒を除去して乾燥粉末とし、さらに粉砕機により解砕した後、乾式成型を行い、固形状の粉末化粧料を得る製造方法(特許文献1)や、湿式混合の際に媒体攪拌ミルを用いる。得られたスラリーを容器内に充填後、吸引プレスする湿式成型を行うか、もしくは得られたスラリーから溶媒を除去して乾燥粉末とし、該乾燥粉末をさらに粉砕機により解砕した後、乾式成型を行って得られる粉末固形化粧料の製造方法(特許文献2)等が提案されている。
【0004】
なお、最近の使用者のニーズの多様化、高度化とも相俟って、パフへのとれといった使用性や肌へ塗付した際の使用感触への満足感だけではなく、生産性や作業環境の面において更なる向上を図った末、ビーズミルを用いて湿式系で高分散した後、フラッシュドライヤーにて乾燥微細粒子化を行って得られる粉末化粧料の製造方法が提案されている(特許文献3)。
【0005】
また、体質顔料の性質を変化させる方法として、表面処理が挙げられる。表面処理剤としては、金属石鹸処理、シリコーン処理、フッ素変成化合物による処理などさまざまなものが挙げられる。そのなかで、使用性を向上させる処理として、テトラアルキルアンモニウム塩に代表されるようなカチオン活性剤で表面処理する方法が知られている(特許文献4,5)。この方法は、表面の電荷が負となる顔料の表面をカチオン性活性剤にて処理するというものであり、滑らかさが非常に向上した粉体を得ることができる。
また、とりわけ処理される粉体として、粉砕またはへき解面に陽イオンを有する白雲母、金雲母、黒雲母、合成フッ素金雲母、絹雲母などに代表される2:1型粘土鉱物に属するケイ酸塩を用いた場合、特にその効果が顕著に現れることが知られている(特許文献6,7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−30926号公報
【特許文献2】特許3608778号明細書
【特許文献3】特開2007−55990号公報
【特許文献4】特公平4−45483号公報
【特許文献5】特開2001−335410号公報
【特許文献6】特開2006−199644号公報
【特許文献7】特開2006−199645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記製造方法では、あらかじめ上記のテトラアルキルアンモニウム塩で表面処理をした粉末を用意し、さらに結合剤としての油分とを混合する必要があった。また、必要に応じてそれぞれの粉末を別々に表面処理する必要もあった。そのため、表面処理をすることによる経済性や処理する粉末を選択する必要が生じる等の点で問題があった。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は滑らかさ、フィット感などに優れ、しかも、経済性に優れた粉末化粧料の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討を行った結果、湿式高分散工程中に粉末に対して吸着性の高いテトラアルキルアンモニウム塩を添加し、機械的なせん断力により微細液滴化し、該微細液滴に乾燥ガスを送風することで前記スラリーの乾燥を行う乾燥装置を用いて、瞬時に溶媒を乾燥し、乾燥粉末を得ることで、従来法によって製造された製品に比べ、滑らかさ、フィット感などの使用性に優れ、テトラアルキルアンモニウム塩の熱劣化による不快な臭いも無く、さらに経済性に優れた粉末化粧料が得られることを見出した。
すなわち、本発明の粉末化粧料は、粉末成分と結合剤としての油性成分と表面処理剤としての下記一般式(1)で示されるテトラアルキルアンモニウム塩を揮発性溶媒中で混合/分散してスラリーとし、前記スラリーを乾燥装置を用いて乾燥させた乾燥粉末を含有し、該乾燥装置は前記スラリーを機械的なせん断力により微細液滴化し、該微細液滴に乾燥ガスを送風することで前記スラリーの乾燥を行う乾燥装置であることを特徴とする。
(化1)

(式中、Xは塩素原子または臭素原子であり、R〜Rのいずれか1つ以上が炭素原子8〜22個の直鎖アルキル基であって、その残りが炭素原子1〜10個の直鎖アルキル基である。)
【0009】
また、本発明の粉末化粧料の製造方法において、前記粉末化粧料がテトラアルキルアンモニウム塩を0.2〜2.0質量%含有することが好適である。余剰のテトラアルキルアンモニウム塩を使用した場合、経時で不快な臭いを発する原因になるばかりでなく、肌への刺激の要因にもなりうるため、好ましくない。
【0010】
また、本発明の粉末化粧料の製造方法において、含有粉末のうち白雲母、金雲母、黒雲母、合成フッ素金雲母、絹雲母から選ばれる一種または二種以上の層間に陽イオンを有するケイ酸塩鉱物を20%以上含むことが好適である。
【0011】
本発明の粉末化粧料の製造方法は、粉末成分と結合剤としての油性成分と表面処理剤としての下記一般式(1)で示されるテトラアルキルアンモニウム塩を揮発性溶媒中で混合してスラリーとするスラリー調製工程と、前記スラリーを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程とを、備え、該乾燥粉末から得られることを特徴とする粉末化粧料の製造方法であって、前記乾燥工程で用いる乾燥装置は、前記スラリーを機械的なせん断力により微細液滴化し、該微細液滴に乾燥ガスを送風することで前記スラリーの乾燥を行う乾燥装置であることを特徴とする。
(化1)

(式中、Xは塩素原子または臭素原子であり、R〜Rのいずれか1つ以上が炭素原子8〜22個の直鎖アルキル基であって、その残りが炭素原子1〜10個の直鎖アルキル基である。)
【0012】
また、本発明の粉末化粧料の製造方法において、前記乾燥工程にて用いる乾燥装置は、中空状の筐体と、該筐体内に設けられたせん断部材によりスラリーをせん断して微小液滴化するせん断手段と、前記筐体内の前記せん断部材へスラリーを供給する供給手段と、前記筐体内に乾燥ガスを送風し、前記せん断手段により微小液滴とされたスラリーに乾燥ガスを供給、接触させる送風手段と、前記スラリーを乾燥することで生じた乾燥粉末を捕集する捕集手段とを備えた乾燥装置であることが好適である。
【0013】
また、本発明の粉末化粧料の製造方法において、前記スラリー調製工程にて、媒体攪拌ミルを用いて、揮発性溶媒中で粉末成分と油性成分とを混合し、該粉末成分を解砕および/または粉砕および/または分散してスラリーを得ることが好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる粉末化粧料の製造方法によれば、スラリー調整工程において表面処理剤としてのテトラアルキルアンモニウム塩を添加混合しているため、滑らかさ、フィット感に優れたの良い粉末化粧料を安価に得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態にかかる製造方法で用いる装置の概略構成図である。
【図2】媒体攪拌ミルの一例を示した図である。
【図3】媒体攪拌ミルの一例を示した図である。
【図4】本発明の製造方法によって得られたテトラアルキルアンモニウム塩配合の粉末化粧料のX線回折図である。
【図5】本発明の製造方法によって得られたテトラアルキルアンモニウム塩未配合の粉末化粧料のX線回折図である。
【図6】KCl(塩化カリウム)のX線回折図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明にかかる好適な実施形態について説明する。
粉末成分
本発明に用いる粉末成分としては、一般に用いられ得るものであれば特に限定されるものではない。例えば、タルク、カオリン、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、焼成タルク、焼成セリサイト、焼成白雲母、焼成金雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなど)、窒化ホウ素、フォトクロミック性酸化チタン(酸化鉄を焼結した二酸化チタン、)、還元亜鉛華;有機粉末(例えば、シリコーンエラストマー粉末、シリコーン粉末、シリコーンレジン被覆シリコーンエラストマー粉末、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ−酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、低次酸化チタン被覆雲母チタン、フォトクロミック性を有する雲母チタン、基板として雲母の代わりタルク、ガラス、合成フッ素金雲母、シリカ、オキシ塩化ビスマスなどを使用したもの、被覆物として酸化チタン以外に、低次性酸化チタン、着色酸化チタン、酸化鉄、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化コバルト、アルミなどを被覆したもの、機能性パール顔料として、パール顔料表面に樹脂粒子を被覆したもの(特開平11−92688)、パール顔料表面に水酸化アルミニウム粒子を被覆したもの(特開2002−146238)、パール顔料表面に酸化亜鉛粒子を被覆したもの(特開2003−261421)、パール顔料表面に硫酸バリウム粒子を被覆したもの(特開2003−61229)等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β−カロチン等)等が挙げられる。
【0017】
油性成分
本発明に用いられる油性成分としては、一般に用いられ得るものであれば特に限定されるものではない。具体的には、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン等が挙げられる。
【0018】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0019】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0020】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0021】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0022】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0023】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0024】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0025】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0026】
テトラアルキルアンモニウム塩
テトラアルキルアンモニウム塩の例としては、特に下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
(化1)

(式中、Xは塩素原子または臭素原子であり、R〜Rのいずれか1つ以上が炭素原子8〜22個の直鎖アルキル基であって、その残りが炭素原子1〜10個の直鎖アルキル基である。)
【0027】
このうち特に、モノ長鎖アルキル型の第4級アンモニウム塩、ジ長鎖アルキル型の第4級アンモニウム塩が好ましい。これらは具体的には、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジベヘニルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0028】
特に好ましくは、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジベヘニルジメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。
【0029】
その他の成分
また、本発明にかかる粉末固形化粧料では、本発明の効果を損なわない範囲において、他の成分、例えば、エステル油、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水等を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤形に応じて常法により製造することが出来る。以下に具体的な配合可能成分を列挙するが、上記必須配合成分と、下記成分の任意の一種または二種以上とを配合して粉末固形化粧料を調製できる。
【0030】
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE−ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE−ラウリル硫酸ナトリウム等);N−アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N−ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POE−オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE−ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N−アシルグルタミン酸塩(例えば、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE−アルキルエーテルカルボン酸;POE−アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0031】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム);アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE−アルキルアミン;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0032】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0033】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0034】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンテトラオレエート等);POE−ソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等);POE−グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOE−モノオレエート等);POE−脂肪酸エステル類(例えば、POE−ジステアレート、POE−モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE−アルキルエーテル類(例えば、POE−ラウリルエーテル、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POE−コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP−アルキルエーテル類(例えば、POE・POP−セチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP−モノブチルエーテル、POE・POP−水添ラノリン、POE・POP−グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP−エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE−ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE−ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE−硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE−ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE−ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE−プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE−アルキルアミン;POE−脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0035】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、アルキレンオキシド誘導体、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0036】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0037】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0038】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,0000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0039】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0040】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等);3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー;2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール;2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)
ベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン;5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、ジモルホリノピリダジノ;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート;2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−(1,3,5)−トリアジン等が挙げられる。
【0041】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0042】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられる。
【0043】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6−ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE−テトラハイドロフルフリルアルコール;POP−ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP−グリセリンエーテル;POP−グリセリンエーテルリン酸;POP・POE−ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0044】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D−グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D−エリトロース、D−エリトルロース、D−トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L−アラビノース、D−キシロース、L−リキソース、D−アラビノース、D−リボース、D−リブロース、D−キシルロース、L−キシルロース等);六炭糖(例えば、D−グルコース、D−タロース、D−ブシコース、D−ガラクトース、D−フルクトース、L−ガラクトース、L−マンノース、D−タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2−デオキシ−D−リボース、6−デオキシ−L−ガラクトース、6−デオキシ−L−マンノース等);アミノ糖(例えば、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D−グルクロン酸、D−マンヌロン酸、L−グルロン酸、D−ガラクツロン酸、L−イズロン酸等)等が挙げられる。
【0045】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
【0046】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。
【0047】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0048】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0049】
pH調整剤としては、例えば、乳酸−乳酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、コハク酸−コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、Eおよびその誘導体、パントテン酸およびその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0050】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0051】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0052】
さらに、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リンゴ酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、甘草、カリン、イチヤクソウ等の各種生薬抽出物、酢酸トコフェロール、グリチルレジン酸、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、アルギニン、リジン等のアミノ酸及びその誘導体、フルクトース、マンノース、エリスリトール、トレハロース、キシリトール等の糖類等も適宜配合することができる。
【0053】
製造方法
図1は本発明の実施形態にかかる製造方法で用いる装置構成の一例を示した図である。本実施形態にかかる粉末固形化粧料の製造方法は、粉末成分と結合剤としての油性成分とのテトラアルキルアンモニウム塩を揮発性溶媒中で混合しスラリーとするスラリー調製工程と、前記スラリーを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程とを備える。
まず、スラリー調整工程では、図1に示した媒体攪拌ミル10を用いて、揮発性溶媒中で粉末成分と油性成分とテトラアルキルアンモニウム塩を混合し、該粉末成分を解砕/粉砕/分散することでスラリーを得る。得られたスラリーは貯蔵タンク12に一旦貯められ、乾燥装置14へ所定の流量で供給される。
【0054】
本実施形態で使用する乾燥装置14は、スラリーを機械的なせん断力、つまり、せん断手段18に設けられたせん断部材(板状部材34a,34b,34c)の回転によるせん断力で微細液滴化し、該微細液滴に乾燥ガスを送風して前記スラリーの乾燥を行う。なお、せん断部材の形状は本発明の目的に合致している限り特に限定されるものではなく、例えば、上記のような板状の他、羽根状、円盤状等、どのような形状でもかまない。
このように本実施形態ではスラリーを微細液滴にした状態で乾燥を行う乾燥装置14を用いて乾燥粉末を製造しているため、乾燥時に粉末成分の凝集がほとんど生じていない乾燥粉末を得ることができる。さらに、溶媒を瞬時に乾燥することが可能であるため、粉末への熱的な負荷が極めて少ないのも特徴である。そのため、肌への塗付時における使用感触に優れた粉末固形化粧料を提供することが可能となるばかりでなく、比較的熱安定性に乏しい原料の配合も可能となる。また、乾燥後に再度解砕を行う必要がないため生産性・作業環境性にも優れている。
【0055】
また、得られた乾燥粉末を容器に充填し、乾式プレス成型により固形化する工程をさらに備えることも好適である。得られる固形の粉末固形化粧料は使用感触のみならず、パフへのとれ具合といった使用性にも優れたものとなる。
また、図1に示したように、スラリー調製工程において、粉末油分と結合剤としての油性成分とを揮発性溶媒中で混合するために媒体攪拌ミル10を用いることが好適である。媒体攪拌ミルを用いることで、油性成分が粉末成分表面にきれいにコートされたスラリーを得ることができ、該スラリーを用いることでより使用感触、使用性がさらに優れた粉末固形化粧料を得ることができる。
【0056】
<スラリー調製工程>
粉末成分と油性成分とを揮発性溶媒中で混合してスラリーとする方法としては次のような方法が挙げられる。
(A)粉末と油分をあらかじめヘンシェルミキサー(登録商標)やパルペライザーなどにより乾式混合/解砕したものを、揮発性溶媒中に添加し、ディスパーミキサー、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、および二軸混練機などにより混合/分散する方法。
(B)粉末と油分を揮発性溶媒中に添加し、必要があればディスパーミキサーなどで予備混合した後に、媒体攪拌ミルにより、解砕/粉砕/分散処理を行う方法。
(C)高分子弾性粉末や微粒子粉末などの凝集性の強い一部特定の粉末成分を揮発性溶媒中に添加し、これを必要があればディスパーミキサーなどで予備混合した後、媒体攪拌ミルを用いて解砕/粉砕/分散させることで分散液を得て、該分散液とそのほかの粉末油分を添加し、さらに湿式混合機や媒体攪拌ミルを用いて処理を行う方法。
なお、スラリー調製工程において媒体攪拌ミルを使用することが好適である(例えば、上記(B)、(C))。媒体攪拌ミルとは、粉末成分(および油性成分)と溶媒からなる分散液をビーズ等の固体分散媒体(メディア)が充填された容器内に収容し、該容器内の液体を攪拌することでメディアによる衝撃力、摩擦力等により粉末成分の解砕/粉砕/分散を行うものである。
【0057】
図2、3はそれぞれ、本発明で好適に用いられる媒体攪拌ミルの例を示した概略構成図である。なお、本発明で好適に使用し得る媒体攪拌ミルとしては、以下のものに特に制限されず、本発明の目的を達成し得る限りどのようなものでもよい。
図2に示した例の媒体攪拌ミル110は、略円筒状の容器112と、容器112内に挿通された駆動軸114と、駆動軸114を回転駆動する駆動モータ116と、駆動軸114に取り付けられた複数枚の攪拌ディスク118a〜fと、を備えている。容器112内は、粉末成分の解砕/粉砕/分散を行う分散室120と、処理後の分散液を抽出する抽出室122とに分かれている。容器112の分散室120側には、処理対象の分散液を供給する供給口124が設けられ、また抽出室122側には処理後の分散液を取り出す抽出口126が設けられている。分散室120と抽出室122との間には開口部128を設けた隔壁130が備えられており、この隔壁130に近接して、駆動軸114に取り付けられた分離ディスク132が隔壁130の開口部128を覆うように配置されている。隔壁130と分離ディスク132との間には隙間が設けられており、この隙間を固体分散媒体と処理対象の分散液とを分離する分離スリット134として使用する。
【0058】
粉末成分と溶媒とを含む分散液は、容器112内の分散室120へ供給口124から順次供給され、分散室内120の分散液は順次抽出室122の方向へ移動する。このとき、駆動モータ116によって駆動軸114が回転駆動され、撹拌ディスク118a〜fが回転している。分散室120内には多数の固体分散媒体136が充填されており、撹拌ディスク118a〜fの回転によって分散液とともに固体分散媒体136が攪拌される。分散液中の凝集粉末成分は固体分散媒体136からの衝撃力やズリ応力などによって解砕/粉砕/分散される。
上記の解砕/粉砕/分散処理された分散液は、分散室120と抽出室122との間にある隔壁130と分離ディスク132との間の分離スリット134を通過して抽出室122に流入し、抽出口126から外部に抽出される。分離スリット134は、固体分散媒体136が分散室120内から抽出室122へ流出しない程度の大きさに取られている。そのため、分散液が分離スリット134を通過する際に、分散液(粉末成分+溶媒)と固体分散媒体136との分離が行われ、抽出室には分散液のみが入ることになる。
【0059】
図3はアニュラー型の媒体攪拌ミルの概略構成図である。図3の媒体攪拌ミル210は、中心軸Aに関して対称な略W字型の断面を有する容器212と、容器212内に設けられ、中心軸Aを中心として回転可能な略逆U字型のロータ214と、ロータ214を回転駆動する駆動モータ216とを備えている。容器216内面とロータ214外面との間には、環状の空間218が形成されており、この環状空間218は中心軸Aの両側に略V字状の断面を有した形状をとっている。また、容器212には、環状空間218へ処理対象の分散液(粉末成分+溶媒)を送りこむ供給口220と、環状空間218から処理後の分散液を取り出すための抽出口222とが形成されている。環状空間218には固体分散媒体224が充填されており、環状空間218を分散液中の粉末成分の解砕/粉砕/分散を行う分散室として使用する。
【0060】
供給口220から供給された分散液は入口スリット226を通って環状空間218へ送りこまれる。送り込まれた分散液は環状空間218内を移動し、出口スリット228を通って抽出口222から取り出される。このとき、環状空間218内で中心軸Aを中心としてロータ214を回転させることによって、環状空間218内の分散液および固体分散媒体224を攪拌する。すると、分散液中の凝集粉末成分は固体分散媒体224からの衝撃力やズリ応力などによって解砕/粉砕/分散される。その後、分散液は出口スリット228を通過して、抽出口222から取り出される。
出口スリット228は固体分散媒体224が環状空間218内から流出しない程度の大きさに取られており、分散液(粉末成分+溶媒)と固体分散媒体224と分離する分離手段として機能する。また、ロータ214には固体分散媒体224を入口側へ戻すための戻し孔230が設けられており、固体分散媒体224が出口付近に留まらないようにされている。
【0061】
媒体攪拌ミルを用いて揮発性溶媒中で粉末と油分を解砕/粉砕/分散する理由としては、粉末成分と油性成分との混合・分散状態を高めることができ、さらに粉末成分表面に均一に油性成分を被覆させることができるため、使用感触のよい粉末固形化粧料を得ることができるからである。また、凝集性の強い粉末を容易に解砕し、揮発性溶媒中に均一に分散することもできる。
また、媒体攪拌ミルの例としては、上で説明したものの他に、バスケットミルなどのバッチ式ビーズミル、横型・縦型・アニュラー型の連続式のビーズミル、サンドグラインダーミル、ボールミル、マイクロス(登録商標)などが好適なものとして挙げられるが、本発明の目的に合致していれば特に制限無く使用することができる。つまり、凝集状態にある粉末成分を配合した場合、これら粉末成分の凝集を解いて一次粒子に近い状態まで攪拌、分散させ、油性成分を粉末表面に均一に付着させ得るものであれば特に制限なく使用することができる。
【0062】
媒体攪拌ミルに用いるメディアとしては、ビーズが望ましく、ガラス、アルミナ、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたビーズが使用可能であり、特に、ジルコニア製が好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常直径0.5〜10mm程度のものが好ましく用いられるが、本発明では直径2mm〜5mm前後のものが好ましく用いられる。ビーズ径の大きさが小さすぎると、マイカ、タルクなどの体質顔料の解砕が過度に進行し、使用感触に悪影響を及ぼしたり、成型後の硬度が硬くなるため取れが悪くなったり、ケーキングなどを引きおこしやすくなる。一方、ビーズの大きさが大きすぎると粉末成分の凝集を十分に解くことができず、油性成分の均一な被覆が困難となる。
【0063】
本発明で用いる揮発性溶媒としては、用いるテトラアルキルアンモニウム塩を溶解するものであれば特に制限は無いが、精製水、環状シリコーン、エタノール、軽質流動イソパラフィン、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N−メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。これらの溶媒を、用いる粉末成分の特性や油性成分の特性に応じて、1種または2種以上を混合して、適宜使い分けて用いることができる。
また、スラリー調製工程において、粉末成分と油性成分の量比(質量比)は、使用する油性成分、粉末成分の種類にもよるが、粉末成分/油性成分=60/40〜99.5/0.5であることが好適である。また、このとき用いる揮発性溶媒の量は、使用する揮発性溶媒の極性、比重などにもよるため、規定はできないが、媒体攪拌ミルのよる処理が可能となる流動性を確保することが重要である。
【0064】
<乾燥工程>
次に図1を参照して、本発明の実施形態にかかる製造方法の乾燥工程において用いられる乾燥装置の一例について説明を行う。なお、本実施形態にかかる製造方法で用いる乾燥装置は図1のものに限定されず、スラリーを機械的に微細液滴化するせん断手段を備えているものであればよい。図1の乾燥装置14は、スラリーの乾燥を行う場となる中空状の筐体16と、前記筐体16内に設けられた回転するせん断部材(板状部材34a,34b,34c)によりスラリーを微小液滴化するせん断手段18と、筐体16内のせん断部材(板状部材34a,34b,34c)へスラリーを供給する供給手段20と、筐体16内に乾燥ガスを送風し、せん断手段18により微小液滴とされたスラリーに乾燥ガスを供給する送風手段22と、スラリーを乾燥することで生じた乾燥粉末を捕集する捕集手段24とを備えている。
【0065】
筐体16は縦型で中空の略円柱形状をしており、その上部に乾燥粉末および乾燥ガスを排出する排出口26、下部に送風手段22からの乾燥ガスを筐体16内に供給する送風口28が設けられている。また、スラリーを筐体16内へ供給する供給口30は、筐体16の上部に位置する排出口26と下部に位置する送風口28との間に位置している。
せん断手段18は筐体16底部から垂直方向に設けられた回転軸32と、該回転軸32に直角に設けられたせん断部材(板状部材34a,34b,34c)と、回転軸32を回転するための駆動部36と、を備える。駆動部36は筐体16の外に配置され、回転軸32を介してせん断部材(板状部材34a,34b,34c)に回転力を伝達する。図1で示したせん断部材は、上下方向に間隔を置いて、回転軸32に直角に設けられた3つの板状部材34a,34b,34cによって構成されている。これらのせん断部材はスラリーの供給口30の下方かつ乾燥ガスの送風口28の上方に位置している。モータ等で構成される駆動部36により回転軸32を回転させることで、板状部材34a,34b,34cが筐体16内で回転軸32を中心に水平方向に回転し、この機械的なせん断力によりスラリーを微小液滴にする。
【0066】
供給手段20は貯蔵タンク12から送られるスラリーを筐体16内に供給する。筐体16内に供給されたスラリーは、板状部材34a,34b,34cへ向って落下し、回転する板状部材34a,34b,34cによって微細液滴とされる。また、送風手段22から送られた乾燥ガスは送風口28より筐体16内に送風される。乾燥ガスは筐体16の水平断面の接線方向に向って供給されており、さらに板状部材34a,34b,34cが回転運動を行っているため、筐体内16に送風された乾燥ガス流は旋回流となる。この乾燥ガス流に微細液滴状のスラリーが接触することにより、スラリーはさらに微細化され、乾燥し乾燥粉末となる。この乾燥粉末は乾燥ガス流とともに筐体16内上部へ吹き上げられ、排出口26から排出される。排出口26から筐体16外に排出された乾燥粉体は捕集手段24によって捕集される。
また、筐体16内の排出口26の部分に分級手段38が設けられている。分級手段38は排出口26に設けられたオリフィスとして構成されており、大きな粒や塊、未乾燥品などが捕集手段24へと入ることを防止している。なお、分級手段の構成としてはこれに限られず、その他の構成でもかまわない。
【0067】
このようにせん断部材(板状部材34a,34b,34c)によりスラリーに機械的なせん断力を与え、スラリーを微細液滴の状態にして乾燥を行うことで、凝集の少ない乾燥粉末を得ることができる。凝集が少ない乾燥粉末となる理由としては、微細液滴としたことで液滴中に存在する粉末成分の量が少ないため乾燥時の凝集が起こりにくいこと、また乾燥過程で起こる粉末成分の凝集がせん断部材もしくは旋回流によるせん断力により解かれること、等が考えられる。
ここではせん断部材として水平方向に回転する板状部材で構成されるものを示したが、この他に垂直方向に回転(回転軸が水平方向)に回転する板状部材で構成されるものも設けてもよい。また、せん断部材の形状としては上記のものに限られず、例えば、羽根状(回転軸に垂直な棒状部材の先端に垂直にカッターを設けたもの等)、円盤状、等が挙げられる。また、せん断部材の個数なども特に限定されない。
【0068】
また、上記の乾燥装置はフラッシュドライヤーと呼ばれるタイプのもので、例えば、APV Nordic Anhyro社製のスピンフラッシュドライヤーや、ホソカワミクロン社製のドライマイスターや、月島機械社製のたて型攪拌乾燥機等が挙げられる。なお、本発明で好適に用いられる乾燥装置はこの限りではなく、システム中にせん断機構を有するものであれば良く、縦型/横型いずれでも良い。
また、乾燥の際に用いる乾燥ガスの温度は、用いる揮発性溶媒の沸点により変化させることが可能である。また、乾燥ガスの温度が高いほど乾燥効率は高くなるため、熱による乾燥粉末構成成分の変性等の悪影響が及ばない範囲で高温に設定することが望ましい。
また、筐体16内へ窒素ガス、Arガスなどの不活性ガスを封入することで対防爆性に優れたものになるため、作業環境性も良くなる。また、コンデンサーなどの溶媒回収機構を取り入れることで、溶剤の回収も可能である。
【0069】
<固形化工程>
本発明の実施形態にかかる粉末固形化粧料の製造方法において、乾燥粉末を容器に充填し、乾式成型により固形化する固形化工程をさらに備えることが好適である。固形化の方法としては従来公知の乾式プレス成型などを用いればよい。このようにして得られた粉末固形化粧料は湿式製法の利点である優れた使用感触を保ちながら、乾式成型の利点である使用性の良さ(パフへのとれ具合)も兼ね備えている。また、射出充填により容器内にスラリーを充填する工程を含む従来の湿式成型の場合はスラリーの充填性を考慮する必要があるため、用いる原料に制限があったが、通常の乾式プレス成型を行う限りにおいては、用いる原料の制限も無いことも利点として挙げられる。
また、粉末固形化粧料を得る際の乾燥粉体の配合量は、化粧料100重量部に対して、0.5〜100重量部が好ましく、さらに好ましくは、30〜100重量部である。
【0070】
さらに、雲母チタンやガラスパールなどに代表されるパール顔料を添加した粉末固形化粧料を作成する場合には、まずパール顔料以外の部分の粉末成分を用いて、上記のスラリー調製工程、乾燥工程を経て乾燥粉末を得る。この乾燥粉末と必要量のパール顔料をヘンシェルミキサーやナウターミキサーなどのせん断力の弱い乾式混合機にて混合して混合粉末とし、該混合粉末を容器に充填、あるいはさらに乾式成型して粉末固形化粧料を得る。この方法で得られた粉末固形化粧料は、使用感触および使用性に優れるだけでなく、パール感にも優れたものとなる。
【0071】
本発明にかかる製造方法は、ファンデーション、アイシャドウ、チークカラー、ボディーパウダー、パフュームパウダー、ベビーパウダー、プレスドパウダー、デオドラントパウダー、おしろいなどの粉末状もしくは固形状の粉末化粧料に好適に適用される。
【0072】
以下に本発明にかかる実施例などを説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記の処方中の量は質量%で示している。
<スラリー調製工程>
下記処方表1に示す粉末成分と油性成分とその他の成分を混合し、エチルアルコール中にディスパーミキサーにて混合し、スラリー粘度を2000mPa・s程度に調整した後、2mmφのジルコニアビーズを充填した媒体攪拌ミル(サンドグラインダーミル)を用いて、解砕/粉砕/分散を行った。これにより粉末スラリーを得た。
【0073】
<粉末化粧料の製造>
前記粉末スラリーを、フラッシュドライヤーを用い、微小液滴の状態で乾燥を行い、乾燥粉末を得た。
得られた乾燥粉末を樹脂製の中皿容器に充填し、公知の方法で乾式プレス成型を行い、固形状の粉末化粧料を得た。
【0074】
(粉末化粧料の使用性評価)
下記表1に示す処方でファンデーションを上記のスラリー調整工程と粉末化粧料製造工程により調製し、表面処理剤の有無、用いる粉末の種類の検討を行った。10名の化粧品専門パネルに、得られたファンデーションを肌に塗布してもらい、処理前後での違いを各々に対して、「肌へのフィット感」、「滑らかさ」、「仕上がりの均一さ」の各評価項目について、下記の評価基準に基づき7段階評価してもらい、更に各パネルの評点の平均点より、下記判定基準に従って判定した。その結果を表1に示す。
【0075】
判定基準:
[7段階評価方法]
まったく感じない:0点
感じない :1点
やや感じない :2点
どちらでもない :3点
やや感じる :4点
感じる :5点
とても感じる :6点
【0076】
[判定]
◎:評点の平均点が5点以上
○:評点の平均点が4点以上、5点未満
△:評点の平均点が2.5点以上、4点未満
×:評点の平均点が2.5点未満
【0077】
【表1】

【0078】
上記表1よりテトラアルキルアンモニウム塩であるジステアリルジメチルアンモニウムクロライドを1%添加し、体質顔料として2:1型ケイ酸塩構造を有する白雲母、セリサイト、合成フッ素金雲母、金雲母を用いた試験例1−1〜1−4の場合、肌へのフィット感、滑らかさ、仕上がりの均一さに極めて優れたものが得られることが分かった。一方で、表面電荷が負であるが、2:1型ケイ酸塩構造を有さない体質顔料であるタルク、薄片状シリカ、薄片状酸化チタンを用いた試験例1−5〜1−7の場合、上記2:1型ケイ酸塩構造を有するものを用いた試験例1−1〜1−4に比べて評価に劣っているものであった。
【0079】
また、試験例1−8〜1−10から明らかなように、2:1型ケイ酸塩構造を有するセリサイトの配合量を低下させた場合、使用感触の低下が観察された。セリサイトが20%より少ない試験例1−10においては好適な効果が得られないことが分かった。
さらに、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドを添加しない試験例1−11〜1−16においては、肌へのフィット感、滑らかさ、仕上がりの均一さに劣っていることが明らかとなった。
【0080】
続いて、下記処方表2に示す通り、粉末化粧料の全体量に対するテトラアルキルアンモニウム塩の好適な添加量を調べるために、上記のスラリー調整工程と粉末化粧料製造工程により得られたファンデーションを10名の化粧品専門パネルの肌に塗布してもらい、処理前後での違いを各々に対して、「肌へのフィット感」、「滑らかさ」、「仕上がりの均一さ」の各評価項目について、上記の評価基準に基づき7段階評価してもらい、更に各パネルの評点の平均点より、上記判定基準に従って判定した。
【0081】
【表2】

【0082】
以上により、肌へのフィット感、滑らかさ、均一な仕上がりに優れた粉末化粧料を得るためには、粉末化粧料中に占めるテトラアルキルアンモニウム塩を0.2質量%以上であることが望ましいことが明らかとなった。また、粉末への飽和吸着量を超える量のテトラアルキルアンモニウム塩の添加は、系外に存在してしまい、不経済であり、さらに肌への負担が考えられる。
【0083】
(摩擦係数測定)
下記表3に示す処方にて得られた粉末に関して、下記の摩擦係数測定法にて各粉末の摩擦係数を得た。
[摩擦係数の測定方法]
横引き式摩擦試験機(トライボギア:新東科学社製)を用いて100g、200g加重での摩擦係数を計測しその平均値を実験値とした。
【0084】
【表3】

【0085】
上記表3より、テトラアルキルアンモニウム塩を添加することにより一様に摩擦係数が低下することが確認され、テトラアルキルアンモニウム塩により表面処理されることによる効果が確認できた。
【0086】
次に、下記表4に示す通り、粉末化粧料の全体量に対する油性成分の好適な配合量を調べるために、上記のスラリー調整工程と粉末化粧料製造工程により得られたおしろいを10名の化粧品専門パネルの肌に塗布してもらい、処理前後での違いを各々に対して、「肌へのフィット感」、「滑らかさ」、「仕上がりの均一さ」、「容器の目詰まり」の各評価項目について、上記の評価基準に基づき7段階評価してもらい、更に各パネルの評点の平均点より、上記判定基準に従って判定した。
【0087】
【表4】

【0088】
上記表4により、使用性に優れ、容器の目詰まりが起こりにくいおしろいを得るためには、試験例4−1〜4−6により油性成分の配合量を0.2〜10質量%であることが好ましく、試験例4−1〜4−5により0.2〜8.0質量%であることがさらに好ましいことが明らかとなった。また、10質量%より多く配合させた場合には、滑らかさに欠け、容器の目詰まりが生じる結果となることが明らかとなった。
【0089】
また、下記表5に示す粉末化粧料の処方を2種の製造方法によって製造した。試験例1−2は、粉末と油分、および表面処理剤とをエタノール中にてサンドグラインダーミルを用いて、混合・分散後にフラッシュドライヤーにて乾燥し、粉末化粧料を得た(製造方法A)。試験例5−1は粉末と油分と表面処理剤とをエタノール中にてサンドグラインダーミルを用いて、混合・分散後にトレイにスラリーを展開し、80℃の恒温槽にて乾燥し、粉末化粧料を得た(製造方法B)。続いて、試験例5−2は粉末と油分とをエタノール中にてサンドグラインダーミルを用いて、混合・分散後にフラッシュドライヤーにて乾燥し、粉末化粧料を得た(製造方法A)。そして、試験例5−3はテトラアルキルアンモニウム塩にて表面処理を予め施したテトラアルキルアンモニウム処理セリサイトと、他の粉体成分と油分と表面処理剤とをエタノール中にてサンドグラインダーミルを用いて、混合・分散後にフラッシュドライヤーにて乾燥し、粉末化粧料を得た(製造方法A)。
【0090】
【表5】

【0091】
上記表5の評価結果より、同一の処方であっても、本発明の製法(製造方法A)によって得られた試験例1−2の粉末化粧料は、異なる製法(製造方法B)によって得られた試験例5−1の粉末化粧料に比べてフラッシュドライヤーにて瞬時に乾燥させているため、テトラアルキルアンモニウム塩の熱劣化による臭いの発生を解決することができた。
また、本発明の製法(製造方法A)ではあるが、表面処理剤を配合していない試験例5−2、およびテトラアルキルアンモニウム塩で表面処理を予め施した粉体を用いた試験例5−3は肌へのフィット感、滑らかさ、均一な仕上がりに劣る結果となった。
【0092】
そして、上記製造例1−2,及び5−2について得られた粉末化粧料のX線回折図をそれぞれ図4および図5に示した。また、図6はKCl(塩化カリウム)のX線回折図である。
図4および図5を比較すると、両者のスペクトルには全く差異が見られなかった。そして、図4および図6を比較すると、テトラアルキルアンモニウム塩が配合された製造例1−2は、副生成物であるKCl(塩化カリウム)の結晶に由来するピークが図4において見られなかった。従って、本発明の製造方法によって得られた粉末化粧料においては、KClは極めて微細な結晶状態で存在していることが示唆される。該KClが比較的大きな結晶で存在すると、ざらつきの原因となり、使用性の面で劣る結果となる。
【実施例1】
【0093】
以下に本発明にかかる実施例を幾つか挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、下記の処方中の量は質量%で示している。
パウダリーファンデーションI
下記処方に示す粉末成分、油性成分、及び表面処理剤を混合し、エチルアルコール中にディスパーミキサーにて混合し、スラリー粘度を2000mPa・s程度に調整した後、2mmφのジルコニアビーズを充填したサンドグラインダーミルを用いて、解砕/粉砕/分散を行った。これにより得られた粉末スラリーを、フラッシュドライヤーにて乾燥を行い、得られた乾燥粉末を樹脂製中皿容器に充填し、従来の乾式プレス法にて、プレス成型し、パウダリーファンデーションを得た。得られたパウダリーファンデーションは使用感触、使用性共に非常に優れたものであった。
【0094】
・処方
(粉末成分)
タルク 残余
L−ラウロイルリシン処理合成フッ素金雲母 5
合成フッ素金雲母 10
セリサイト 30
硫酸バリウム 20
チッ化ホウ素 4
L-ラウロイルリシン 3
酸化チタン 15
酸化鉄赤 1
酸化鉄黄 3
酸化鉄黒 0.3
(油性成分)
リンゴ酸ジイソステアリル 2
ワセリン 1
トリオクタノイン 2
ジメチコン 1
ソルビタンセスキイソステアレート 0.8
(表面処理剤)
ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド 0.5
(その他)
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
【0095】
パウダリーファンデーションII
下記処方に示す粉末成分(ただし、パール顔料成分を除く)と油性成分と表面処理剤を混合し、イソプロピルアルコール中にディスパーミキサーにて混合し、スラリー粘度を2000mPa・s程度に調整した後、2mmφのジルコニアビーズを充填したサンドグラインダーミルを用いて、解砕/粉砕/分散を行った。これにより得られた粉末スラリーを、スピンフラッシュドライヤーにて乾燥を行い、得られた乾燥粉末とパール顔料部とをヘンシェルミキサーにて混合し得られた粉末を、樹脂製容器に充填し、パウダリーファンデーションを得た。得られたパウダリーファンデーションは使用感触、パール感が非常に優れたものであった。
【0096】
・処方
(粉末成分)
タルク 残余
合成フッ素金雲母 20
セリサイト 30
チッ化ホウ素 4
ミリスチン酸亜鉛 3
酸化チタン 15
シリコーン処理酸化鉄赤 1
シリコーン処理酸化鉄黄 3
シリコーン処理酸化鉄黒 0.3
(パール顔料成分)
球状硫酸バリウム被覆赤干渉雲母チタン 3
球状硫酸バリウム被覆黄干渉雲母チタン 2
(油性成分)
トリイソステアリン 2
ワセリン 2
トリオクタノイン 2
ジメチコン 3
ソルビタンセスキイソステアレート 0.8
(表面処理剤)
ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド 0.5
(その他)
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
【0097】
両用ファンデーション
下記処方の粉末成分と油性成分と表面処理剤を混合し、軽質イソパラフィン中にディスパーミキサーにて混合し、スラリー粘度を2000mPa・s程度に調整した後、3mmφのジルコニアビーズを充填したサンドグラインダーミルを用いて、解砕/粉砕/分散を行った。これにより得られた粉末スラリーをスピンフラッシュドライヤーにて乾燥を行い、得られた乾燥粉末を樹脂製中皿容器に充填し、従来の乾式プレス法にて、プレス成型し、両用ファンデーションを得た。得られた両用ファンデーションは使用感触、使用性共に非常に優れたものであった。
【0098】
・処方
(粉末成分)
シリコーン処理タルク 20
セリサイト 残余
マイカ 10
シリコーン処理酸化チタン 10
酸化亜鉛 5
板状無水ケイ酸 5
シリコーン処理ベンガラ 0.8
シリコーン処理黄酸化鉄 3
シリコーン処理黒酸化鉄 0.2
シリコーンエラストマー球状粉末 5
シリコーンレジン被覆シリコーンエラストマー球状粉末 5
(油性成分)
流動パラフィン 4
ワセリン 4
ソルビタンセスキイソステアレート 0.8
(表面処理剤)
ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド 0.5
(その他)
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
【0099】
おしろい
下記の処方に示す粉末成分(パール顔料部を除く)と油性成分と表面処理剤を混合し、エチルアルコール中にディスパーミキサーにて混合し、スラリー粘度を4000mPa・s程度に調整した後、二軸混練機を用いて、混合・分散を行った。これにより得られた粉末スラリーをスピンフラッシュドライヤーにて乾燥を行った。得られた乾燥粉末をパール顔料部とヘンシェルミキサーにて混合し得られた粉末を、樹脂製容器に充填し、おしろいを得た。得られたおしろいは使用感触、パール感に優れたものであった。
【0100】
・処方
(粉末成分)
セリサイト 30
タルク 残余
酸化亜鉛 5
微粒子酸化チタン 3
球状シリコーン粉末 20
(パール顔料)
酸化鉄被覆赤干渉雲母チタン 10
(油性成分)
ワセリン 1
スクワラン 2
リンゴ酸ジイソステアリル 1
(表面処理剤)
ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド 0.5
(その他)
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
【0101】
アイシャドウ
下記処方に示す粉末成分(パール顔料部を除く)と油性成分と表面処理剤を混合し、エチルアルコール中にディスパーミキサーにて混合し、スラリー粘度を2000mPa・S程度に調整した後、2mmφのジルコニアビーズを充填したサンドグラインダーミルを用いて、解砕/粉砕/分散を行った。これにより得られた粉末スラリーを、スピンフラッシュドライヤーにて乾燥を行い、得られた乾燥粉末とパール顔料部をヘンシェルミキサーにて混合し得られた粉末を、樹脂製中皿容器に充填し、従来の乾式プレス法にて、プレス成型し、アイシャドウを得た。得られたアイシャドウは使用感触、使用性、パール感が非常に優れたものであった。
【0102】
・処方
(粉末成分)
タルク 残余
セリサイト 30
(パール顔料部)
酸化鉄被覆雲母チタン 30
無水ケイ酸被覆アルミベンガラ 10
(油性成分)
ワセリン 5
リンゴ酸ジイソステアリル 5
ソルビタンセスキイソステアレート 0.8
(表面処理剤)
ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド 0.5
(その他)
メチルパラベン 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
【0103】
プレストパウダー
下記処方に示す粉末成分と油性成分と表面処理剤を混合し、軽質イソパラフィン中にディスパーミキサーにて混合し、スラリー粘度を2000mPa・s程度に調整した後、2mmφのジルコニアビーズを充填したサンドグラインダーミルを用いて、解砕/粉砕/分散を行った。これにより得られた粉末スラリーを、スピンフラッシュドライヤーにて乾燥を行い、得られた乾燥粉末を樹脂製中皿容器に充填し、従来の乾式プレス法にて、プレス成型し、プレストパウダーを得た。得られたプレストパウダーは使用感触、使用性共に非常に優れたものであった。
【0104】
・処方
(粉末成分)
金属石鹸処理タルク 残余
合成フッ素金雲母 40
球状ウレタンパウダー 5
球状PMMA 5
L-ラウロイルリシン 5
(油性成分)
スクワラン 2
ポリブテン 1
ジメチコン 2
ソルビタンセスキイソステアレート 0.8
(表面処理剤)
ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド 0.5
(その他)
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
【0105】
ボディーパウダー
下記処方に示す粉末成分と油性成分と表面処理剤を混合し、エチルアルコール中にディスパーミキサーにて混合し、スラリー粘度を2000mPa・s程度に調整した後、2mmφのジルコニアビーズを充填したサンドグラインダーミルを用いて、解砕/粉砕/分散を行った。これにより得られた粉末スラリーを、スピンフラッシュドライヤーにて乾燥を行い、得られた乾燥粉末、その他の成分をヘンシェルミキサーにて混合し得られた粉末を、樹脂製容器に充填し、ボディーパウダーを得た。得られたボディーパウダーは使用感触に非常に優れたものであった。
【0106】
・処方
(粉末成分)
タルク 残部
マイカ 30
酸化亜鉛 5
球状シリコーン粉末 20
(油性成分)
ワセリン 1
スクワラン 2
リンゴ酸ジイソステアリル 1
(表面処理剤)
ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド 0.5
(その他)
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
【0107】
パフュームパウダー
下記処方に示す粉末成分と油性成分と表面処理剤を混合し、エチルアルコール中にディスパーミキサーにて混合し、スラリー粘度を2000mPa・s程度に調整した後、2mmφのジルコニアビーズを充填したサンドグラインダーミルを用いて、解砕/粉砕/分散を行った。これにより得られた粉末スラリーを、スピンフラッシュドライヤーにて乾燥を行い、得られた乾燥粉末と下記処方に示すパール顔料部とをヘンシェルミキサーにて混合し得られた粉末を、樹脂製容器に充填し、パフュームパウダーを得た。得られたパフュームパウダーは使用感触に非常に優れたものであった。
【0108】
・処方
(粉末成分)
タルク 残余
合成フッ素金雲母 30
チッ化ホウ素 2
シリコーンエラストマー球状粉末 20
赤色226号 0.1
(油性成分)
ワセリン 2
トリオクタノイン 2
(表面処理剤)
ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド 0.5
(その他)
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 1
【符号の説明】
【0109】
10 媒体攪拌ミル
12 貯蔵タンク
14 乾燥装置
16 筐体
18 せん断手段
20 供給手段
22 送風手段
24 捕集手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末成分と結合剤としての油性成分と表面処理剤としての下記一般式(1)で示されるテトラアルキルアンモニウム塩を揮発性溶媒中で混合してスラリーとし、前記スラリーを乾燥装置を用いて乾燥させた乾燥粉末を含有し、
該乾燥装置は前記スラリーを機械的なせん断力により微細液滴化し、該微細液滴に乾燥ガスを送風することで前記スラリーの乾燥を行う乾燥装置であることを特徴とする粉末化粧料。
(化1)

(式中、Xは塩素原子または臭素原子であり、R〜Rのいずれか1つ以上が炭素原子8〜22個の直鎖アルキル基であって、その残りが炭素原子1〜10個の直鎖アルキル基である。)
【請求項2】
請求項1に記載の粉末化粧料において、
前記粉末化粧料がテトラアルキルアンモニウム塩を0.2〜2.0質量%含有することを特徴とする粉末化粧料。
【請求項3】
請求項1に記載の粉末化粧料において、含有粉末のうち白雲母、金雲母、黒雲母、合成フッ素金雲母、絹雲母から選ばれる一種または二種以上の層間に陽イオンを有するケイ酸塩鉱物を20%以上含むことを特徴とする粉末化粧料。
【請求項4】
粉末成分と結合剤としての油性成分と表面処理剤としての下記一般式(1)で示されるテトラアルキルアンモニウム塩を揮発性溶媒中で混合してスラリーとするスラリー調製工程と、前記スラリーを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程とを、備え、該乾燥粉末から得られることを特徴とする粉末化粧料の製造方法であって、前記乾燥工程で用いる乾燥装置は、前記スラリーを機械的なせん断力により微細液滴化し、該微細液滴に乾燥ガスを送風することで前記スラリーの乾燥を行う乾燥装置であることを特徴とする粉末化粧料の製造方法。
(化1)

(式中、Xは塩素原子または臭素原子であり、R〜Rのいずれか1つ以上が炭素原子8〜22個の直鎖アルキル基であって、その残りが炭素原子1〜10個の直鎖アルキル基である。)
【請求項5】
請求項4に記載の粉末化粧料の製造方法において、
前記乾燥工程にて用いる乾燥装置は、中空状の筐体と、該筐体内に設けられたせん断部材によりスラリーをせん断して微小液滴化するせん断手段と、前記筐体内の前記せん断部材へスラリーを供給する供給手段と、前記筐体内に乾燥ガスを送風し、前記せん断手段により微小液滴とされたスラリーに乾燥ガスを供給、接触させる送風手段と、前記スラリーを乾燥することで生じた乾燥粉末を捕集する捕集手段とを備えた乾燥装置であることを特徴とする粉末化粧料の製造方法。
【請求項6】
請求項4または5のいずれかに記載の粉末化粧料の製造方法において、
前記スラリー調製工程にて、媒体攪拌ミルを用いて、揮発性溶媒中で粉末成分と油性成分とを混合し、該粉末成分を解砕および/または粉砕および/または分散してスラリーを得ることを特徴とする粉末化粧料の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−37328(P2010−37328A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−145070(P2009−145070)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】