説明

粉末化粧料

【課題】化粧持ちに優れた粉末化粧料、特に、ファンデーション又は化粧下地等の粉末メーキャップ化粧料を提供すること
【解決手段】粉末化粧料全量に対して、下記成分(A)を5〜50質量%、下記成分(B)を1〜30質量%含有することを特徴とする粉末化粧料。
(A)1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}による処理粉末
(B)ヒドロキシアパタイト粉末又はヒドロキシアパタイトを含む複合粉末

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉末化粧料に関する。さらに詳しくは、化粧持ち(化粧崩れ防止)に優れた粉末化粧料、特にはファンデーション又は化粧下地等の粉末メーキャップ化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンデーションや化粧下地等のメーキャップ化粧料に求められる機能は種々あるが、その中で化粧した状態の持続性、いわゆる「化粧持ち(化粧崩れ防止)」は、夏用メーキャップ化粧料の重要な機能の一つとして位置位置付けられている。
【0003】
この要望に対する、一つの解決策として、フッ素処理(パーフルオロアルキル基を有する化合物で処理)した粉末を配合することで、皮脂に対する耐性(濡れにくさ)を向上させ濡れによる粉末の明度や彩度の低下(くすみ)を防止する技術が開発されている(特許文献1〜11)。
【0004】
しかしながら、フッ素処理粉末を特にファンデーションのような粉末固形化粧料に配合した場合、バインダーとして使用する油分となじみにくいことによる、商品としての耐衝撃性が不十分であったり、肌への親和性が低いことから肌への付着性が悪かったりする場合がある。
【0005】
例えば、特許文献6には、パーフルオロアルキルシランで処理した粉末に関する一般的な記述があるものの、本発明で用いる(A)1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I):以下、本明細書にて、単に化合物(I)と称する場合がある}による処理粉末に関する具体的記述は、一切存在しない。
【0006】
その後、これらを解決する方法として、特定のフッ素系油分を組み合わせたり(特許文献12〜15)、パーフルオロアルキル基を有する化合物と長鎖アシルアミノ酸類を一緒に表面処理したり(特許文献16)、酸化亜鉛を併用したり(特許文献17)することで、ある程度の改善が図られているが、まだ十分ではないのが実情である。
【0007】
一方、ヒドロキシアパタイトについては、その皮脂の吸着特性に着目して化粧料に配合した例(特許文献18)、メカノケミカル的に球状粉末上に複合化した例(特許文献19)が挙げられる。しかし、これらの特許文献には、本発明の化合物(I)による処理粉末と組み合わせた記述は一切存在しない。
【0008】
さらに、ヒドロキシアパタイトを板状粉末上に被覆した複合粉末と、他にパーフルオロアルキルリン酸エステル塩で処理した粉末類を配合した化粧料の例が記載されている(特許文献20)。しかし、本発明の化合物(I)による処理粉末に関する記述は一切存在しない。また、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩で処理した粉末は、化合物(I)による処理粉末と比べて、使用感触が悪い傾向に有り、好ましくない。
【0009】
また、特許文献21及び22には、ヒドロキシアパタイトを化粧料に配合した例が記載されている。さらに、特許文献23には、平均粒子径が1〜100μmの有機または無機球状粒子の表面に、当該球状粒子の1/5以下の平均粒子径を持つヒドロキシアパタイトを複合化した複合粉末が記載されている。
【0010】
【特許文献1】特公平05−86984号公報
【特許文献2】特許第2597492号
【特許文献3】特許第2597494号
【特許文献4】特許第2698819号
【特許文献5】特許第2646253号
【特許文献6】特開平2−218603号公報
【特許文献7】特開2000−186016号公報
【特許文献8】特開2000−336012号公報
【特許文献9】特開2001−64114号公報
【特許文献10】特開2001−152050号公報
【特許文献11】特表2003−518024号公報
【特許文献12】特公平6−102607号公報
【特許文献13】特公平7−119168号公報
【特許文献14】特公平8−25856号公報
【特許文献15】特許第2521398号
【特許文献16】特開平5−93153号公報
【特許文献17】特許第3073877号
【特許文献18】特開平8−133942号公報
【特許文献19】特許第2893541号
【特許文献20】特開2000−169122号公報
【特許文献21】特開平11−292524号公報
【特許文献22】特開2000-143443号公報
【特許文献23】特公平6−92288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、化粧持ち(化粧崩れ防止)に優れた粉末化粧料、特に、ファンデーション又は化粧下地等の粉末メーキャップ化粧料を提供することにある。
【0012】
本発明者等は、上述した背景技術を鑑みて、前記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、パーフルオロアルキルシランの中で、特定された化合物(I)、すなわち、1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシランによる処理粉末と、ヒドロキシアパタイト粉末又はヒドロキシアパタイトを含む複合粉末とを主な粉末成分として化粧料に配合すると、化粧持ちに極めて優れた粉末化粧料を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、粉末化粧料全量に対して、下記成分(A)を5〜50質量%、下記成分(B)を1〜30質量%含有することを特徴とする粉末化粧料を提供するものである。
(A)1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}による処理粉末
(B)ヒドロキシアパタイト粉末又はヒドロキシアパタイトを含む複合粉末
【0014】
また、本発明は、粉末化粧料全量に対して、下記成分(A)を5〜50質量%、下記成分(B)を1〜30質量%含有することを特徴とする粉末化粧料を提供するものである。
(A)1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}及び下記式(II)で表される共重合体による処理粉末
(B)ヒドロキシアパタイト粉末又はヒドロキシアパタイトを含む複合粉末




【化1】

【0015】
さらに、本発明は、前記成分(B)の複合粉末が、ヒドロキシアパタイトを0.1〜20質量%被覆した複合無機粉末であることを特徴とする上記の粉末化粧料を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、前記成分(B)の複合粉末が、ヒドロキシアパタイトを0.1〜20質量%被覆した複合樹脂粉末であることを特徴とする上記の粉末化粧料を提供するものである。
【0017】
さらに、本発明は、前記成分(A)の処理粉末中における1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}の含有量が、0.5〜20質量%であることを特徴とする上記の粉末化粧料を提供するものである。
【0018】
また、本発明は、前記成分(A)の処理粉末中における式(II)の共重合体の含有量が、0.1〜10質量%であることを特徴とする上記の粉末化粧料を提供するものである。
【0019】
さらに、本発明は、前記成分(A)の処理粉末中における1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}と式(II)の共重合体との含有質量比が、1:1〜10:1であることを特徴とする上記の粉末化粧料を提供するものである。
【0020】
また、本発明は、前記成分(A)の処理粉末における中1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}と式(II)の共重合体との含有質量比が異なる2種以上の処理粉末を含有することを特徴とする上記の粉末化粧料を提供するものである。
【0021】
さらに、本発明は、酸化亜鉛を含有することを特徴とする上記の粉末化粧料を提供するものである。
【0022】
また、本発明は、合成マイカを含有することを特徴とする上記の粉末化粧料を提供するものである。
【0023】
さらに、本発明は、球状粉末を含有することを特徴とする上記の粉末化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の粉末化粧料は、化粧持ち(化粧崩れ防止)に優れたメーキャップ化粧料を提供できる。さらに、使用性や仕上がりも良好なファンデーションや化粧下地を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を詳述する。
【0026】
「(A)1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}による処理粉末」
用いる粉末は、例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、ベントナイト、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、ヒドロキシアパタイト、金属石鹸等が挙げられる。
【0027】
粉末の形状は、例えば、板状、塊状、鱗片状のものが良い。また、粉末の粒径は、特に制限されないが、好ましくは平均粒子径で1μm〜100μmである。
【0028】
化合物(I)を用いて上記粉末に常法により処理することにより、成分(A)の処理粉末が得られる。粉末の表面処理方法は後述する。
【0029】
処理粉末中に含まれる化合物(I)の含有量は、処理粉末全量に対して0.5〜20質量%が好ましい。0.5質量%未満では、十分な撥水・撥油効果が得られない場合がある。また、20質量%を超えると、撥水・撥油効果は得られるものの、使用感が悪化する場合があり、好ましくない。
【0030】
処理粉末は、化合物(I)と一緒に、下記式(II)で表される共重合体によって処理することが好ましい。
















【化2】

【0031】
式(II)の共重合体は、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸アリルのランダム共重合体に、末端にSi-H基が置換したメチルポリシロキサンを、メタクリル酸アリル中のアリル基部分とのヒドロシリル化反応により付加して得られる。その分子量は30,000〜300,000である。式(II)の共重合体は、市販品(信越化学工業社製KPシリーズ)を使用することができる。
【0032】
化合物(I)及び式(II)の共重合体により粉末を処理する場合、処理粉末中に含まれる式(II)の共重合体の含有量は、処理粉末全量に対して0.1〜10質量%が好ましい。0.1質量%未満では、同時に配合する他の成分との親和性向上効果が不足する場合がある。一方、10質量%を越えると、処理粉末の凝集を促進する場合があり、好ましくない。
【0033】
さらに、化合物(I)と式(II)の共重合体の含有質量比は、1:1〜10:1が好ましい。化合物(I)が1:1より少ない場合は、十分な撥油効果が得られない場合が有る。一方、化合物(I)が10:1より多い場合は、前述のように、同時に配合する他の成分との親和性向上効果が不足する場合があり、好ましくない。
また、上記比率の範囲内で、異なる粉末に対して異なる比率の処理をした処理粉末を2種以上配合しても、十分な効果が期待できる。複数の処理粉末を使用すると、それぞれの処理粉末の特性を目的の製品に応じて活かせるので好ましい。
【0034】
<処理粉末の表面処理方法>
核となる粉末に対する化合物(I)、又は、化合物(I)及び式(II)の共重合体による表面処理は、常法に従って行うことができる。
すなわち、化合物(I)、又は、化合物(I)及び式(II)の共重合体を適当な溶媒に溶かした溶液の形態、或いは、化合物(I)自体の液体の形態で直接、粉末と接触させた後、100〜150℃、好ましくは120〜140℃で、1〜12時間、好ましくは3〜9時間加熱することにより、表面処理粉末を製造することができる。
核となる粉末に対する化合物(I)、又は、化合物(I)及び式(II)の共重合体による表面処理は、常法に従って行うことができる。
すなわち、化合物(I)、又は、化合物(I)及び式(II)の共重合体を適当な溶媒に溶かした溶液の形態で、或いは、化合物(I)自体の液体の形態で直接、粉末と接触させた後、100〜150℃、好ましくは120〜140℃で、1〜12時間、好ましくは3〜9時間加熱することにより、表面処理粉末を製造することができる。
なお、加熱雰囲気として、含水分雰囲気下である空気中、または少なくとも空気に含まれる程度の水分を含有する他の気体中で行うことができる。その他、水分を含んでいない雰囲気下に調整後、処理中(加熱中)に水分を添加しながら加熱する方法、あるいは少量の水分に、アルミニウム(III)、錫(II)、錫(IV)、鉄(III)又はチタン(III)の金属塩を1種以上含有する溶液を、表面処理剤{化合物(I)、又は、化合物(I)及び式(II)の共重合体}と同時又は事前に添加して行うこともできる。
上述の金属塩の具体例としては、塩化アルミニウム、塩化第二スズ、塩化第二鉄(それらの水和物を含む)等が挙げられる。
【0035】
化合物(I)、又は、化合物(I)及び式(II)の共重合体を適当な溶媒に溶かした溶液の形態で粉末と接触させる場合は、例えば、アルコール類、水、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の溶媒中に、0.3〜50重量%を含有する溶液を調製する。そして、その溶液中に、粉末を分散後、加熱して、溶媒を蒸発させると共に、化合物(I)、又は、化合物(I)及び式(II)の共重合体を、粉末の表面上で重合させることにより、処理粉末が得られる。この工程は、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー、ニーダー、媒体攪拌ミル(ビーズミル等)等を用いて行うことができる。
加熱に用いる装置としては、電気炉、トンネル炉、ローラハースキルン、ロータリーキルン等を用いることができる。
【0036】
化合物(I)、又は、化合物(I)及び式(II)の共重合体を、溶媒に溶解せずに、直接粉末と接触させる場合には、適切な混合機、例えば、回転ボールミル、振動式ボールミル、遊星型ボールミル、サンドミル、アトライター、バグミル、ポニミキサー、プラネタリーミキサー、らいかい機、ヘンシェルミキサー等により、粉末の接触を行って処理粉末が得られる。
【0037】
成分(A)の配合量は、粉末化粧料全量に対して5〜50質量%であり、好ましくは20〜50質量%である。
【0038】
「(B)ヒドロキシアパタイト粉末又はヒドロキシアパタイトを含む複合粉末」
ヒドロキシアパタイト〔Ca10(PO4)6(OH)2〕は、生物の骨や歯などを構成する成分でもあって生体適合性を有し、特に安全性の観点から注目されている。また、皮脂を吸着する効果にも優れていると言われており、化粧料の公知成分である(前記特許文献21及び22参照)。
本発明の(B)成分は、ヒドロキシアパタイトの粉末、又は、ヒドロキシアパタイトを含む複合粉末を使用する。これらの粉末の形状や平均粒子径は限定されないが、形状が板状、平均粒子径は1〜200μm程度が好ましい。
【0039】
平均粒子径が1〜100μmの有機又は無機球状粒子の表面に、当該球状粒子の1/5以下の平均粒子径を持つヒドロキシアパタイトを複合化した複合粉末も好ましい(前記特許文献23参照)。
【0040】
ヒドロキシアパタイトを含む複合粉末のヒドロキシアパタイトの含有量は、複合粉末全量に対して0.1〜2質量%が好ましい。0.1質量%未満ではヒドロキシアパタイトの効果がほとんど期待出来ない可能性がある。一方、20質量%を越えると、複合化するヒドロキシアパタイト同士の結合による大粒子化や、複合粉末としての使用性が低下する可能性があり、好ましくない。
【0041】
成分(B)の配合量は、粉末化粧料全量に対して1〜30質量%であり、好ましくは3〜20質量%である。
【0042】
「酸化亜鉛」
本発明の粉末化粧料には、上記必須成分の粉末とは別に酸化亜鉛の粉末を配合することが好ましい。酸化亜鉛粉末の形状や製法は特に限定されないが、平均粒子径が0.1μm〜100μmの粉末が好ましい。
さらに、上述のヒドロキシアパタイトと同様、他の無機又は有機粉末と複合化した酸化亜鉛粉末も好ましい。また、有機表面処理した酸化亜鉛粉末も好ましい。有機表面処理は特に限定されないが、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体、1,3,5,7-テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、分岐型シリコーン(信越化学工業社製:KF-9908(トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)やKF-9909 (トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン))等のようなシリコーン類、アルキルアルコキシシラン類、パーフルオロアルキルアルコキシシラン類等のシランカップリング剤、トリイソステアロイルイソプロピルチタネート等のようなチタネート系カップリング剤、パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩、パーフルオロアルキルリン酸等のようなフルオロアルキルリン酸、ステアリン酸アルミニウム等のような金属石鹸、N-ラウロイル-L-リジン等のようなアミノ酸、ステアリン酸等のような脂肪酸、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等のような四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0043】
酸化亜鉛粉末の配合量は特に限定されないが、通常、粉末化粧料全量に対して3〜15質量%であり、好ましくは5〜10質量%である。
【0044】
「合成マイカ」
本発明の粉末化粧料には、上記必須成分の粉末とは別に合成マイカの粉末を配合することが好ましい。合成マイカの種類は、特に限定されないが、一般式:X0.5〜1.0Y2〜3Z4O10F2で示される合成マイカを好適に使用できる。ここで、Xは配位数12の陽イオン、Yは配位数6の陽イオン、Zは配位数4の陽イオンであり、それぞれ以下の1種又は2種以上のイオンで置換される(X:Na+, K+, Ca2+, Ba2+, Rb2+, Sr2+、Y:Mg2+, Fe2+, Ni2+, Mn2+, Al3+, Fe3+, Li+、Z:Si4+, Ge4+, Al3+, Fe3+, B3+)。合成マイカは、非膨潤系マイカ及び膨潤系マイカに分類され、非膨潤系マイカが好ましく用いられる。非膨潤系マイカとしては、フッ素金雲母:(KMg3(AlSi3O10)F2)、カリウム四ケイ素雲母:(KMg2.5(Si4O10)F2)が例示される。膨潤系マイカとしては、ナトリウム四ケイ素雲母:(NaMg2.5(Si4O10)F2)、ナトリウムテニオライト:(NaMg2Li(Si4O10)F2)、リチウムテニオライト:(LiMg2Li(Si4O10)F2)が例示され、特にフッ素金雲母が好ましい。
さらに、有機表面処理した合成マイカ粉末も好ましい。有機表面処理は、特に限定されないが、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体、1,3,5,7-テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、分岐型シリコーン(信越化学工業社製:KF-9908(トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)やKF-9909(トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン))等のようなシリコーン類、アルキルアルコキシシラン類、パーフルオロアルキルアルコキシシラン類等のシランカップリング剤、トリイソステアロイルイソプロピルチタネート等のようなチタネート系カップリング剤、パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩、パーフルオロアルキルリン酸等のようなフルオロアルキルリン酸、ステアリン酸アルミニウム等のような金属石鹸、N-ラウロイル-L-リジン等のようなアミノ酸、ステアリン酸等のような脂肪酸、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等のような四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0045】
合成マイカ粉末の配合量は特に限定されないが、通常、粉末化粧料全量に対して3〜50質量%であり、好ましくは5〜30質量%である。
【0046】
「球状粉末」
本発明の粉末化粧料には、上記必須成分の粉末とは別に任意の球状粉末を配合することが好ましい。
球状粉末の化学組成や形状(長径と短径の比が1〜2程度でも良い)は、特に限定されない。例えば、球状ポリマー粉末としては、ポリメチルシルセスキオキサン(特開昭63−297313号公報及び特開平1−268615号公報参照)、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ポリスチレン、セルロース等の素材からなる球状粉末が挙げられる。東芝シリコーン(株)製のトスパール120及びトスパール145(球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末)、東レ(株)製のSP−500(球状ナイロン粉末)等の市販品を用いることができる。無機粉末としては、無水ケイ酸(シリカ)、無水ケイ酸を軟凝集させた加圧崩壊性球状シリカ(特開平3−197412号公報参照)、その他としてデンプン、シルク粉末等が挙げられる。
【0047】
球状粉末の配合量は特に限定されないが、通常、粉末化粧料全量に対して1〜30質量%であり、好ましくは3〜20質量%である。
【0048】
以下、本発明に配合可能な成分を列挙するが、ここに記載する限りではない。
【0049】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム、アルミナ、群青、紺青、水酸化クロム、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、雲母チタン、ベンガラ被覆雲母チタン、ベンガラ被覆ガラスパール、カーボンブラック等が挙げられる。
【0050】
液体油脂としては、例えば、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0051】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0052】
ロウとしては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ホホバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0053】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、スクワレン、ワセリン等が挙げられる。
【0054】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0055】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0056】
エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0057】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0058】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0059】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0060】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物、トレハロース、エリスリトール、POE・POPランダム共重合体メチルエーテル等が挙げられる。
【0061】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0062】
紫外線吸収剤としては下記化合物が挙げられる。
(1)安息香酸系紫外線吸収剤
例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステルなど。
(2)アントラニル酸系紫外線吸収剤
例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレートなど。
(3)サリチル酸系紫外線吸収剤
例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレートなど。
(4)ケイ皮酸系紫外線吸収剤
例えば、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメートなど。
(5)トリアジン系紫外線吸収剤
例えば、ビスレゾルシニルトリアジン。
さらに具体的には、ビス{〔4−(2−エチルヘキシロキシ)−2−ヒドロキシ〕フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス{4−(2−エチルヘキシロキシカルボニル)アニリノ}1,3,5−トリアジンなど。
(6)その他の紫外線吸収剤
例えば、3-(4'-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン。ジモルホリノピリダジノンなどのピリダジン誘導体。
【0063】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0064】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0065】
アミノ酸としては、例えば、アラニン、セリン、グリシンアシルグルタミン酸塩、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0066】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル−1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0067】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0068】
pH調製剤としては、例えば、乳酸−乳酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、コハク酸−コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
【0069】
ビタミンとしては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、Eおよびその誘導体、パントテン酸およびその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0070】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0071】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0072】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、チオタウリン、ヒポタウリン、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、ユキノシタ抽出物、アルブチン、トラネキサム酸、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、L−アスコルビン酸グルコシド、4−メトキシサリチル酸カリウム等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤等が挙げられる。
【0073】
本発明の粉末化粧料は、上記必須成分と化粧料に通常配合されるとを混合し、常法に従って希望の剤型の目的の粉末化粧料を製造することができる。本発明は粉末メーキャップ化粧料が好適であり、特にファンデーションまたは化粧下地は最も好適である。
【実施例】
【0074】
次に本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。本発明はこれらの実施例によって限定されない。配合量は特に断りのない限り、全量に対する質量百分率(質量%)である。
【0075】
「実施例1(固形状粉末化粧料1)」
シリコーン処理硫酸バリウム 残余
1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(5%)処理セリサイト
10
1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(5%)処理タルク
20
1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(5%)処理マイカ

窒化ホウ素 3
ヒドロキシアパタイト(10%)被覆マイカ 5
合成フッ素金雲母(合成マイカ) 4
酸化亜鉛 5
金属石鹸処理微粒子酸化チタン 5
シリコーン処理酸化チタン 12
シリコーン処理酸化鉄赤 0.5
シリコーン処理酸化鉄黄 2.5
シリコーン処理酸化鉄黒 0.1
球状ポリアクリル酸アルキル 3
球状シリカ 5
αオレフィンオリゴマー 3
ジメチルポリシロキサン 1
リンゴ酸ジイソステアリル 1
セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.5
オクチルメトキシシンナメート 3
ビタミンE 0.2
フェノキシエタノール 0.8
【0076】
「実施例2(固形状粉末化粧料2)」
シリコーン処理タルク 残余
1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(5%)
/式(II)の共重合体(2%)処理セリサイト 10
1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(5%)
/式(II)の共重合体(2%)処理タルク 20
1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(5%)
/式(II)の共重合体(2%)処理マイカ 5
窒化ホウ素 3
ヒドロキシアパタイト(7%)被覆複合化球状ナイロン(粒子径約5μm)

合成フッ素金雲母(合成マイカ) 4
低温焼成酸化亜鉛 5
金属石鹸処理微粒子酸化チタン 5
シリコーン処理酸化チタン 12
シリコーン処理酸化鉄赤 0.5
シリコーン処理酸化鉄黄 2.5
シリコーン処理酸化鉄黒 0.1
球状ポリメチルシルセスキオキサン 3
球状シリカ 5
αオレフィンオリゴマー 3
ジメチルポリシロキサン 1
リンゴ酸ジイソステアリル 1
セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.5
オクチルメトキシシンナメート 3
ビタミンE 0.2
フェノキシエタノール 0.8
【0077】
<実施例1及び2の製法>
粉末群をミキサーで混合後、予め混合した液体成分及び防腐剤・香料等を加え、ミキサーでさらに混合した後、パルベライザーで粉砕し、樹脂製の中皿容器に乾式プレス成型して固形状粉末化粧料(ファンデーション)を得た。
【0078】
「比較例1〜2」
実施例1〜2において、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン処理粉末、又は、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン/式(II)乃共重合体処理粉末を、それぞれ、メチルハイドロジェンポリシロキサン、又は、オクチルトリエトキシシラン処理品に変えた以外は同一の組成及び製法にて固形状粉末化粧料を調製した。
【0079】
「官能特性評価」
専門パネラー20名を用いて以下の官能特性評価項目に関して評価をした。結果を「表1」に示す。
評価基準
<使用性(なめらかさ)>
◎:20名中、17名以上がなめらかであると回答
○:20名中、12〜16名がなめらかであると回答
△:20名中、9〜11名がなめらかであると回答
×:20名中、5〜8名がなめらかであると回答
××:20名中、4名以下がなめらかであると回答
<均一な仕上がり感>
◎:20名中、17名以上が均一な仕上がり感があると回答
○:20名中、12〜16名が均一な仕上がり感があると回答
△:20名中、9〜11名が均一な仕上がり感があると回答
×:20名中、5〜8名が均一な仕上がり感があると回答
××:20名中、4名以下が均一な仕上がり感があると回答
<経時での化粧持ち>
(洗顔、化粧水及びO/W系乳化化粧下地を塗布した後、実施例の化粧料を塗布し、3時間後の化粧膜の状態を総合的に評価)
◎:20名中、17名以上が化粧もち効果が高いと回答
○:20名中、12〜16名が化粧もち効果が高いと回答
△:20名中、9〜11名が化粧もち効果が高いと回答
×:20名中、5〜8名が化粧もち効果が高いと回答
××:20名中、4名以下が化粧もち効果が高いと回答
【0080】
【表1】

【0081】
「表1」から分かるように、本発明の実施例1〜3の粉末固形化粧料は、使用感触(なめらかさ)、均一な仕上がり感を有し、特に経時での化粧持ちに優れていることが確認された。
【0082】
以下に、その他の実施例を列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】
「実施例4:固形化粧下地」
α−オレフィンオリゴマー 10 質量%
マイクロクリスタリンワックス 0.5
セレシン 5
ジメチルポリシロキサン 15
メチルフェニルポリシロキサン 10
マカデミアナッツ油 0.1
カルナウバロウ 0.1
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 7
2−エチルヘキサン酸セチル 10
セスキイソステアリン酸ソルビタン 1.5
1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(5%)処理マイカ

ステアリン酸アルミニウム 1
球状ポリメチルシルセスキオキサン 5
架橋型シリコーン末 5
(球状樹脂粉末、平均粒径1μm、トレフィルE−506)
N−ラウロイル−L−リジン 0.1
D−δ−トコフェロール 適量
ヒドロキシアパタイト(10%)被覆マイカ 3
シリコーン処理タルク 残余
【0084】
「実施例5:W/O型乳化ファンデーション」
マイクロクリスタリンワックス 5 質量%
ジメチルポリシロキサン 10
デカメチルシクロペンタシロキサン 15
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 2
ジプロピレングリコール 3
パルミチン酸 0.5
セスキイソステアリン酸ソルビタン 1
1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(5%)処理セリサイト

1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(5%)処理タルク

シリコーン処理赤干渉色雲母チタン 3
アルキル変性シリコーン樹脂被覆無水ケイ酸 2
アルキル変性シリコーン樹脂被覆セリサイト 10
ヒドロキシアパタイト(10%)被覆マイカ 3
架橋型シリコーン末 3
(球状樹脂粉末、平均粒径5μm トレフィルE−506)
酸化亜鉛 1
N−ラウロイル−L−リジン 0.1
酢酸トコフェロール 0.1
δ−トコフェロール 0.1
パラオキシ安息香酸エステル 適量
メリロートエキス 2
精製水 残余
【0085】
「実施例6:油性スティック状化粧下地」
カルナウバロウ 1 質量%
セレシン 6
デカメチルシクロペンタシロキサン 残余
ドデカメチルシクロヘキサシロキサン 20
セスキイソステアリン酸ソルビタン 2
1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(5%)処理
ベンガラ被覆雲母チタン 10
1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(5%)
/式(II)の共重合(2%)処理マイカ 10
ヒドロキシアパタイト(10%)被覆マイカ 5
N−ラウロイル−L−リジン 0.1
D−δ−トコフェロール 0.1
球状ポリアクリル酸アルキル粉末 10
(球状樹脂粉末、平均粒径5μm)
【0086】
「実施例7:O/W型乳化化粧下地」
マイクロクリスタリンワックス 1 質量%
ジメチルポリシロキサン 15
デカメチルシクロペンタシロキサン 2
1,3−ブチレングリコール 6
キャンデリラロウ 3
イソステアリン酸 1
エチレングリコール脂肪酸エステル 0.1
ラノリン脂肪酸オクチルドデシル 0.5
2−アルキル−N−カルボキシメチル
−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン 4
酸化チタン 7.5
1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(5%)
/式(II)の共重合体(2%)処理硫酸バリウム 5
1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(5%)
/式(II)の共重合体(2%)処理タルク 3
球状無水ケイ酸 4
架橋型シリコーン末 3
(球状樹脂粉末、平均粒径1μm、トレフィルE−506)
ヒドロキシアパタイト(7%)被覆複合化球状ナイロン(粒子径約5μm)

メタリン酸ナトリウム 0.1
ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 0.1
酢酸DL−α−トコフェロール 0.1
ハマメリス抽出液 0.1
シャクヤクエキス 0.1
コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.1
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
パラオキシ安息香酸エステル 適量
シリコーン処理雲母チタン 15
キサンタンガム 0.2
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.2
メリロートエキス 2
精製水 残余
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明によれば、化粧持ち(化粧崩れ防止)に優れた粉末化粧料を提供できる。特に、ファンデーション又は化粧下地等の粉末メーキャップ化粧料として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末化粧料全量に対して、下記成分(A)を5〜50質量%、下記成分(B)を1〜30質量%含有することを特徴とする粉末化粧料。
(A)1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}による処理粉末
(B)ヒドロキシアパタイト粉末又はヒドロキシアパタイトを含む複合粉末
【請求項2】
粉末化粧料全量に対して、下記成分(A)を5〜50質量%、下記成分(B)を1〜30質量%含有することを特徴とする粉末化粧料。
(A)1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}及び下記式(II)で表される共重合体による処理粉末
(B)ヒドロキシアパタイト粉末又はヒドロキシアパタイトを含む複合粉末
【化1】

【請求項3】
前記成分(B)の複合粉末が、ヒドロキシアパタイトを0.1〜20質量%被覆した複合無機粉末であることを特徴とする請求項1又は2記載の粉末化粧料。
【請求項4】
前記成分(B)の複合粉末が、ヒドロキシアパタイトを0.1〜20質量%被覆した複合樹脂粉末であることを特徴とする請求項1又は2記載の粉末化粧料。
【請求項5】
前記成分(A)の処理粉末中における1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}の含有量が、0.5〜20質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の粉末化粧料。
【請求項6】
前記成分(A)の処理粉末中における式(II)の共重合体の含有量が、0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載の粉末化粧料。
【請求項7】
前記成分(A)の処理粉末中における1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}と式(II)の共重合体との含有質量比が、1:1〜10:1であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載の粉末化粧料。
【請求項8】
前記成分(A)の処理粉末中における1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}と式(II)の共重合体との含有質量比が異なる2種以上の処理粉末を含有することを特徴とする請求項7記載の粉末化粧料。
【請求項9】
酸化亜鉛を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の粉末化粧料。
【請求項10】
合成マイカを含有することを特徴とする請求項1〜9いずれか1項記載の粉末化粧料。
【請求項11】
球状粉体を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の粉末化粧料。

【公開番号】特開2008−184399(P2008−184399A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17881(P2007−17881)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】